旅行

2025年10月 6日 (月)

久々に広島へ(その4)エディオンピースウイングスタジアム

ひろしまゲートパークを抜け、ようやくエディオンピースウイングスタジアムへ。

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最新式の新スタジアム

 このサッカースタジアムは、最新式の街なかスタジアムとして2024年2月に完成し、収容人員約28,000人を誇ります。

 Jリーグ開幕直後から約30年使用していたアジア大会主会場のビッグアーチが収容人員は最大4~5万人と大きくとも、一昔前の陸上競技場で屋根なし、郊外でアクセス悪しと、宮スタ(屋根は形だけ)をホームスタジアムとして使用しているような状態。

 優勝決定時でも約3.5万人で周辺道路が麻痺し、普段でもせいぜい1.5万人前後と、アストラムラインの終点広域公園駅から徒歩圏とはいえ、都心部の起点駅の本通駅から遠回りの約40分+駅からは坂を上る必要があるなど、軌道系交通機関があるだけ宮スタよりはましとはいえアクセスに難があり、都心外縁部のJR横川駅からの都市高速西風新都線経由シャトルバスの方が早く着くという状態。新スタジアム待望論が長年出ていました。


オリジナル10のチームの中で、スタジアム環境の悪かった当時の市原(千葉)が比較的早く2005年に新スタ完成していますが、その他ガンバの新スタが2016年完成に対し、完成までは難産を強いられました。


 ベガルタと残り数試合まで競り初優勝を飾った2012年以降はJ1上位に定着しながら、2013年には優勝だとスタジアム整備を求められるので2位で良かったとの市長の失言に発奮し逆転優勝で連覇というエピソードもあり、2015年に3度目のJ1制覇を果たすなど、新スタジアムに向けた動きが高まってきて、行政側も腹をくくった印象。候補地選定に難航しながらもサンフレッチェ側の意向が反映され、この都心部の素晴らしい立地が実現。

 ユアスタの2万人弱と比較し約1.5倍の規模の専用スタジアムを、オープン以降の2シーズンのリーグ戦はほぼ満員が続いています。正直広島の都市規模でこのハコを恒常的に埋められるのは、J1上位に定着しており、チームの人気も安定していること、それに前スタジアムの悪条件から一転、国内でも最も恵まれた立地条件とハコを手に入れた故。しかし300億弱の事業費と、約30年前に整備したユアスタの2倍以上かかっていますが、昨今の建設費高騰の中何とか完成までこぎつけた印象です。

 詳しくは、下記の力の入った30回連載のスポナビ特集記事をご覧ください。


広島“街なかスタジアム”誕生秘話(Sportsnavi)


中央公園のHiroPa

 ピースウイングスタジアム自体は、中央公園西側に位置しており、東側の広島城側はこちらも広大な広場に面した店舗でした。

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 こちらも、試合前後は賑わうのでしょうが、広島ゲートパークと同じような空間「HiroPa」が広がっており、真夏には厳しい空間でした。

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でも、都心部にこのような広大な空間が存在するのは貴重。仙台でも勾当台公園と西公園、錦町公園が定禅寺通で結ばれており、緑の軸線を形作っていますが、一つ一つのサイズは大きくなく、さらに、街路樹や公園内の樹木が適度に配置されているので、同じような都心部の広場・公園でも大分印象が異なります。

 

都心部ど真ん中の交通アクセス

 スタジアムの横の城南通を経由して、広島駅前まで一直線で結ばれています。

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 広電の路面電車からは、原爆ドーム停留所まで徒歩10分弱。その他アストラムラインの県庁前・城北駅は徒歩10分強、そしてアストラムラインとの乗換駅であるJR新白島駅までも徒歩20分弱と、都心部どまんなかに見える割には各駅からの距離があるけど、遠くから来る方も、輸送力が限られる路面電車以外に、アストラムとJR駅へも徒歩圏ということで、複数の駅や停留所に観客が分散するし、それに紙屋町や本通り方面に繰り出す方も多いでしょうから、本当に理想的な環境ですね。試合がなくとも、ものすごい存在感で、普段から試合を見に行きたいと思わせる環境があります。

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 以前旧広島市民球場があった時代は、2015年のJR新白島駅設置前だったので、路面電車は原爆ドーム前駅の目の前だったとはいえ、JR利用者は広島駅・横川駅・西広島駅まで路面電車で20分以上かけて出る必要があり、乗り継ぎを考えると、都心部とはいえちょっと安心して帰り辛かったのかなとも。

 ゲートパーク方面からも、スタジアムは独特の形の屋根が存在感があり、試合前だったらさらにワクワク感が感じられただろうなぁと。

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バックスタンドのボリュームが凄い。

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 その日は試合はなかったので、スタジアムツアーに申し込み、スタジアムの中に入ることができました。

 受付は、1階にある広島サッカーミュージアムにて。ガラス張りできれいな施設です。

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キャプテン翼との平和を訴えるコラボの壁画もあります。

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 なお、スタジアムツアー(1800円)に申し込まずとも、公開されているバックスタンドど真ん中の入り口から内部を見ることができたことを知り、一瞬損した気分になりましたが、ツアーでは普段入ることのできないスタンド内部やフィールドに降りることができ、説明も詳しくかつ分かりやすく、結論としては参加して良かった。

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 バックスタンドからゴール裏はこんな感じ。空席が目立ち辛いよう、新国立競技場のようにモザイク柄にしていますが、今のサンフレッチェの試合ではそんな必要はないですね。

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 サンフレッチェや女子サッカーのレッジーナの功労者のレリーフがずらっと並んでいました。

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 その中で、ベガルタ関係者として、やはり目についたのは寿人。ベガルタにいたのは2年間だけでしたが、エースとして、川崎F戦でロスタイムの2ゴールで追いついた伝説とか、記憶に残る選手でした。

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同じく広島に引き抜かれ、移籍した林卓人。

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 初期の主力選手で昇格に貢献した中村伸。引退後も10年ほど指導者としてベガルタに所属していました。レッジーナの監督をしていたというのは知らなかった。懐かしい。

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 そして、日本代表の森保監督。ベガルタでは初昇格の2002年から2年間プレイし、J2降格と同時に引退しました。

 そう考えると、ベガルタとサンフレッチェ、いろいろと縁がありますね。

 今の森山監督もサンフレッチェのユース監督を長くやっていたというのもあるし。

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スタジアム内部へ

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 改めて、巨大なバックスタンド。ここが毎試合埋まることを考えると、改めてすごい。

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アウェイゴール裏のビジョンもデカい!

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コンコースのコーナー部には、ゆったりしたこんな席も。

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 全席ドリンクホルダー完備というのも羨ましい上に、ミニテーブル付きの席もあります。

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ホームゴール裏より。気持ち良い青空が広がっています。

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 サッカー専用のため、ゴール裏最前列とゴールの距離が本当に近く、手が届きそう。日立柏並みに感じる。

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そして、ホームゴール裏の上空の屋根の影が。。。

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 芝生の生育のために、ガラス張りの屋根になっており、日光を通す構造となっています。

 また、バックスタンドとホームゴール裏の間の空間が、街とスタジアムを繋げており、高さ150mの高層ビルであるリーガロイヤルホテルが狙ったように見えます。逆に、ホテルの窓からこのスタジアムの試合が見えるということに。

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 また、この4方のスタンドを囲む巨大な屋根のおかげで、基本的に雨を遮ることができるようですが、屋根の高さもありやはり前列部分は濡れてしまうとか。

 内部には、レセプションや小規模なコンベンションを開催できるスペースも。当然ながら、食事の提供も可能とのこと。

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 ホーム側のベンチです。ここに座ることもできました。

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グッズ売り場も充実

 スタジアム内に、こんな充実した常設オフィシャルグッズショップがあるとはびっくりしました。規模感としては楽天のスタジアム隣接オフィシャルストアに迫るもの。

 ベガルタは、スタジアム内では仮設のグッズショップで、本拠地の泉中央駅ビル内のカーサベガルタも撤退し、今は仙台駅前パルコ内のサッカーショップKAMOがオフィシャルショップの位置付けであるのと比較してしまいます。

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一方、我らがユアテックスタジアム

 我らがホームスタジアムのユアテックスタジアムは、1997年のオープンから28年もたっているとは思えない20,000人弱収容で観客席は屋根で覆われ、地下鉄ターミナル駅から徒歩4分の最強アクセスと完成度の高い作りですが、最新式の巨大な街中スタジアムを目の当たりにすると、本当に羨ましく感じました。

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応援を反響させる劇場型スタジアム。そして、雨が降っても気づかないほどの4方を囲む最強屋根。

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ベガルタゴールドにびっちり埋まったゴール裏。

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 とはいえ、28年間も素晴らしいスタジアムで観戦できていることに当たり前さを感じている我々は贅沢なのかもしれません。

広島のプロスポーツに対する熱情

 サンフレッチェサポはJ開幕からの30年以上、最初のホーム広島スタジアムからビックアーチと、アクセスも臨場感も不足した陸上競技場での観戦を強いられながら、新スタジアムの運動を粘り強く行ってきた、そのご褒美的なプレゼントにも感じました。

 一般市民の地元プロスポーツに対する熱情の高さは、全国の都市の中でも一番に感じます。その理由としては、やはり戦後の焼け野原で生まれたカープを75年も支えてきた土壌があるのでしょう。ジプシーロッテが居候した5年間にせよ、1リーグ再編騒動の棚ボタでの楽天進出と、運よく外部資本の球団が与えられた立場の宮城県は足元にも及ばない。

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 大阪と福岡に挟まれ、中国地方からの流入が限られる反面、市民の地元出身者の率は仙台よりも高いでしょうし、プロ球団を支える資本がマツダ一族とエディオンなど地元というところも大きいのかなと、この素晴らしい二つの野球とサッカースタジアムを眺めながら、改めて感じた次第。そしてローソンまでこの色というのは流石。

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2025年10月 5日 (日)

久々に広島へ(その3)旧市民球場跡地「広島ゲートパーク」

都心部の憩いの空間

 広島に到着して、広島駅ビルを散策してから、紙屋町西停留所を降り、地下街のシャレオを経由して、まずは旧市民球場跡地の広島ゲートパークへ。

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 広場としては野球場の形状を残しており、外周に沿って、平屋の店舗が並んでいます。

 広々とした空間で、サンフレッチェの試合前後とか、イベントが行われていれば賑わっていたんでしょうが、真夏の平日の昼間ということで、人はまばら。

 そもそも真夏にここでイベントを行うのは結構辛そうだなぁと。というのも、野球場の名残を残すために、ほとんど日陰になるスペースがなく、夏にイベント行う際は、暑さ対策で大型テントなどが必須かなと。また広場としては広すぎで都心部のど真ん中で贅沢な土地の使い方だなぁとも。

 春や秋は様々なイベントの開催に適しているでしょう。


ひろしまゲートパークHP


 

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新サッカースタジアム候補地の変遷と複雑な背景

 旧市民球場跡は、当初球場の現位置建て替えを模索しながらも、狭隘な敷地から、東広島貨物駅ヤード跡地への移転となりましたが、その後街中への賑わい確保の観点から声が上がった、このサッカースタジアムの新設候補地の一つとして検討が行われ、移転後も一部残されていた市民球場のスタンドを活用してという案もありましたが、原爆ドームの目の前、かつ広島の復興の象徴だった旧市民球場の跡地にサッカースタジアムということについて、反対意見も多かった模様。

 そこで、この場所と比較され、県と市が推していた広島港エリアのみなと公園に決まりかけたところ、イベント時の大渋滞と軌道系公共交通機関が広電路面電車頼みということで、宇品地区の企業などから交通渋滞を懸念する反対の意見があったこと、それにとどめとなったのはサンフレッチェ自体が「宇品だったら使わない」と、とどめのカウンターパンチを浴びせ、そこでこれまでの経緯と隣接地の基町アパートへの配慮からタブー視されていた中央公園が一気に候補地として浮上し、行政側としても「渡りに船」「ここしかない」という感じで突っ走った形となったようです。

 中央公園と基町アパートは、仙台で言えば近年退去が終わり2023年の緑化フェアで供用開始した青葉山公園(旧追廻地区)が性格として近く、追廻地区は戦後の引揚者の住宅として国有地の借地権を認め個人の住宅が建設された後に、仙台市都市計画で公園用地として移転交渉が長年進められ、宮城野区新田の仙台政府倉庫敷地
(JR東仙台駅近く)を移転地としてようやく完了したという歴史がありますが、元町アパートは、その大規模版のようなもので、原爆スラムと言われていた焼け出された方々が何千人と住み着いた現中央公園エリアの環境整備のため、隣接地に数千戸規模の大規模アパートを県市で協力して短期間で建設したというようです。

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 50年以上前に、このような戦後の処理を短期間で終わらせたというのが凄いなぁと感じます。まぁ住民の移転のために、環境が変わらない隣接地に移転先の大規模公営住宅群を確保せざるを得なかったのでしょう。そのような経緯のある中央公園を活用できたのは僥倖ながらも、20年にわたる議論の末。広島は市民球場の建替えも長年の議論の末、現在地の貨物ヤード跡地という立地条件の良い場所に移転することができましたが、球場もサッカースタジアムも市民や地元企業からの多くの募金を集め、事業推進の機運を高めていったというのが、広島の風土故なんでしょうね。

 今度は、Bリーグの広島ドラゴンフライズも2023-24シーズンの優勝とBプレミアへの移行に向けて、暫定的なホームアリーナとしては広島グリーンアリーナを使用するとのことですが、県営体育館ながらも、どっかの県と違って都心部のど真ん中で1万人収容でき、ライブ会場としても大人気(故に利用制限がある)の施設のため、ドラゴンフライズとしては新アリーナ完成までの5年間しか使用を認められないため、新アリーナを広島駅新幹線口にという署名運動で10万人以上集めたとのこと。

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 野球・サッカーに続いて、バスケの本拠地施設も、都心エリアの交通が至便なところに、1万人規模の施設を想定しているようで、羨ましく思ってしまいます。 

 都心部の賑わいづくりとしては、行政・企業・市民が一体となって粘り強く進めていくところが、広島の強みだなぁと改めて。

都心部ど真ん中

 すぐ横には、そごうとリーガロイヤルホテル広島が立地しており、本当に都心ど真ん中でです。なお、写真の手前に見えるスロープは、そごう3階に位置している広島バスセンターへ進入するバスのためのもの。そごうのバスターミナルは、老朽化は進んでいながらも、広島駅から多少離れた都心部の拠点交通施設として、賑わいが感じられました。

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 振り返ると、原爆ドームからへの平和の軸線が。平和祈念館と原爆ドーム、ピースウイングスタジアムが一直線に結ばれているとのこと。

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 エディオンピースウイングスタジアムの記事に続きます。

 

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2025年9月17日 (水)

久々に広島へ(その2) 路面電車の功罪


広島編(その1)の続きです。


 宇都宮ライトラインの成功から路面電車が再評価され、マスコミ等に取り上げられることが増えましたが、その流れを作ったのは間違いなく元祖路面電車王国の広島でしょう。そもそも、宇都宮のライトラインは計画段階から広島電鉄の路面電車の神様みたいな方が乗り込んで技術協力したという経緯もあります。1路線のみ(西側延伸予定あり)の宇都宮ライトラインに対し、市内のデルタ地帯に面的に6系統の路線を走らせている広島電鉄。そして、郊外の専用軌道のインターアーバン的な宮島線にも乗り入れ一体運用しているなど、かなり前から先進的な取り組みを採用してきました。

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課題満載の路面電車

 その広島では、前回訪問した20年前の時点で、3両編成の連接車グリーンムーバーが走っており、車両については単車のいかにも路面電車からLRTへ進化させようという意欲を感じていましたが、そこから20年が経過し、連接車両の増加を感じました。

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連接車両の導入で運転手の削減、輸送力アップを図り、100万都市のメイン公共交通機関として、できる限りの努力をしているんだろうなぁと感じた一方、流石に路面電車故の限界に直面しており、中々運用を含めてLRTには進化しきれていない印象です。


  1. 1編成あたりの輸送力不足(連接車でも仙台市東西線の1/3、アストラムラインの半分)
  2. 遅い(広島駅ー紙屋町2㎞が15分)
  3. 労働集約型産業(人件費率の高さ)

 1~3まで課題を挙げましたが、それぞれの課題は相互に関わっています。

 まず1の輸送力不足についてですが、3連接や5連接といっても、路面電車の車両長は法規で30m以内とされています。宇都宮ライトラインも同じ制約をクリアするように整備され、定員160名(うち座席50席)ですが、広島電鉄も同程度の定員となります。

 例示した仙台市地下鉄東西線の定員は4両編成で388名(座席100席程度)、アストラムラインは6両編成ならがも定員264~288名(座席100席程度)で、それぞれ 、東西線で500人、アストラムラインで400人程度は詰め込むことができ、朝ラッシュ時を中心に大量輸送に活躍しています。

【仙台市地下鉄東西線 】

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アストラムライン

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【広島電鉄】

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 一方、広島電鉄の路面電車は、新型の超低床型連接車でも概ね定員150人で座席数は不明ながらも立ち客前提のように感じ、2~3本でようやく東西線やアストラムラインの1本分の輸送力に届く形となっています。昼間は10分に単車も含め2~3本なので、東西線もアストラムラインも10分に1本であることから、広島駅⇔紙屋町付近の輸送力としては大量輸送の軌道系機関の両者とほぼ同じ程度をなんとか複数系統を束ねて確保している形です。

 いかんせん、その分運転手(連接車両は車掌も)必要で、3の人件費率の高さに繋がってきます。2の遅さとの関連で所要時間がかかるということは拘束時間も長いということ。

強すぎる広電の影響力

 様々な課題がありながら、広電という民間企業に都市内の主要公共交通機関の運営を任せていることから、市側の意向がそのまま通るわけではなく、松山市と伊予鉄、新潟市と新潟交通、福岡市と西鉄の関係にも似ている。ただ、福岡市は市営地下鉄3路線を運営(かつての西鉄路面電車から移行)しており、自前で施策を実行できる手段があるのに対し、広島市は第三セクターのアストラムライン(広島高速鉄道)1路線のみ。

 アストラムラインを延伸するにしても、広電路面電車との絡みや、地盤が軟弱な故の高コストな工事費などもあり、事業化が難しい状況で、現在の都心部側の終点である本通からの延伸ではなく、広電路面電車と競合しない末端の終点である広域公園ー西広島間を単線で整備することになりましたが、570億から760億に見直された工事費、しかも単線での整備と、都心部西部のターミナルである西広島駅につなげることでのJRを含めたネットワーク化の効果があるにしても、次善の策という苦しさが伝わってきます。

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相次ぐ運賃値上げ

 それに、路面電車自慢の低運賃も、長らくは150円均一(路面電車部分)だったのが、2014年の消費税8%時に160円、2017年に180円、2019年に190円、2022年に220円と小刻みに値上げが続き、 この時にコロナ禍の苦境を逆手に、エリア内の路面電車やバスの共通運賃制度を導入しましたが、さらに今年の2月からは240円と、どんどん上がっているのは、3の人件費負担の大きさもあるでしょう。

 とはいえ、路面電車の市内線は値上げが続きながらも、均一区間に郊外区間の宮島線が含まれ、広島駅から宮島駅までは270円から240円(独自カードのMOBIRY DAYS利用で220円)と、値下げで並行するJR山陽線に対する価格競争力確保と、全線均一区間にすることでの精算の簡略化を図っています。そもそも広島駅から宮島口まで、JRで30分420円のところ、広電では70分240円と、所要時間倍以上、料金半分程度ということで、目的地に応じて使い分けがなされているのではと。急ぐ時はJRで急行料金のようなもの。

 1乗車あたりの運賃を値上げする反面、1日券700円で3回乗車すれば元が取れる設定とし、そして、普段使いの通勤通学客には電車全線定期券を発売し、広島駅から宮島口、広島港までの全区間を半年で5万3千円(1か月9800円)で乗り放題になるようにし、気軽に足代わりに乗ってもらおうという考えに思えます。

 普段の通勤通学以外の区間でも乗り放題になるとのことで、公共交通機関の利用促進の効果は絶大では。

 値上げと大盤振る舞いが混在して、よくわからなくなりますが、総利用者を増やすために考え付いた取り組みなのでしょうね。

MOBIRY DAYSへの移行と、交通系ICの利便性低下

 この施策については、以前の地域で利用できた交通系ICのPASPYのシステム更新費用の多額負担が理由とし、ICカードではない独自規格のMOBIRY DAYSへ移行することとし、SUICA・ICOCAなどの交通系ICは利用できなくなるとの報道でした。熊本に続く交通系ICカードのシステム更新負担の重さからの離脱の動きとなりましたが、結果的には広電でも簡易端末でSUICA・ICOCAを利用できるようになりました(ただし、距離制運賃の場合は、整理券で読み取った金額を運転手が入力して決済というような、混乱を招くような仕組みに)。

 広電の路面電車でも、MOBIRY DAYSは乗車時と降車時の両方の読み取りが必要全てのドアでの乗降が可に対し、  SUICA等交通系は
降車時のみタッチでOK(市内の路面電車・バスは240円均一のため)ながら、車掌等がもつ端末でのみ降車処理可といったように、正直最初は???でした。

 広島駅から紙屋町西まで乗車しましたが、昼間で観光客が多かったこと、連接車両で車内がかなり混雑していたことから、乗車時・降車時ともかなり混乱していました。ICOCA(SUICA)をMOBIRY DAYS端末にかざそうとする方がかなり多く、車掌も降車客が持つカード・スマホに応じて、あっちの据え置き式リーダー、手元のハンディカードリーダーと指示しながら使い分け、現金精算者向けの両替対応など、こんなに忙しい対応を強いるのは本当に酷に感じました。

 なお、最初は乗降で時間がかかり遅れが慢性化した宇都宮ライトラインは 、慣れた利用者が大部分となった朝の通勤通学時はほぼICカード利用でスムーズに乗降できているので、広電も通勤通学時はそれほど混乱していないのかもしれません。

遅さという宿命

 広島駅発車時からこのような感じで、数分発車が遅れ、次の稲荷町電停発車時には右折待ちで数分停車、その後の胡町、八丁堀、立町などの停留所に頻繁に停車する際に、降車客の精算処理で1~2分は発車できずの繰り返しで、降車した紙屋町東までの1.9㎞を15分以上要したため(時刻表では13分) 、乗車してからのべ20分程度かかりました。揺れる路面電車で立ちっぱなしだったので、結構しんどかった。

 触れ込みでは、駅前大通線をショートカットすることで4分短縮とありましたが、「信号待ち」「降車時の精算処理」「停留所間隔の短さ」で、この時間短縮効果が消えてしまっているのは本当に惜しい!

 この距離は、仙台の南北線でいえば、仙台駅から北四番丁(1.9㎞)で3駅5分の所要時間で、路面電車遅すぎ!と感じますが、  


JRから地下鉄への乗換移動で5分 ⇒ ホームでの平均待ち時間5分 ⇒ 乗車時間5分 ⇒ 地上に出るのに3分


 と考えると3km未満の近距離でのトータル所要時間は地下鉄でも路面電車でもそれほど変わらないのかもしれません。

 さらに、仙台市地下鉄は平日昼間(休日はほぼ終日)の10分間隔トラップがあることから、最大乗るまでに9分程度待つことを強いられるので、それを考えると、この辺の精算処理の改善と、電停の統合などを含めた、スピードアップの取り組みにより、広島駅から紙屋町まで10分程度の所要時間に短縮し、名実ともにLRT化されれば、路面電車でも十分生き残れるかと感じました。

 また、広電はJR広島駅・横川駅・西広島駅で定時性の高いJRからの乗換客があり、組み合わせで利用している方も多く、トータル(所要時間・運賃)で絶妙なバランスを保っているのかもしれません。

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 とはいえ、夕方に、八丁堀から西広島まで(約4km)まで25分、夜に横川駅から皆実町6丁目まで(約5km)を30分以上かけて移動し、このくらいの距離となると、正直遅いなぁと感じましたが、だんだんとこの情緒にやられて、遅さに慣れてきました。

沿道の厚み

 それも、やっぱり沿道が元気なんですよね。古い町並みかもしれないが、チェーン店以外の商店や飲み屋も電停前だけでなく、駅間でも結構残っているし、マンションなどの集合住宅の密度も高く、乗っていて飽きませんでした。乗客も入れ代わり立ち代わり 乗ってきて、乗り降りのない停留所がなく、本当にげた替わりに利用されているというのが分かりました。

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 仙台では、地下鉄沿線でも沿道の賑わいを維持するのに四苦八苦しています。特に約50年前に廃止された仙台市電沿線、かつ副都心エリアでありながらも、長町商店街の長町一丁目駅と長町駅の間は500mしかないのに、商店街としてはかなり歯抜けでまずい状態にあります(スーパーはモリヤ閉店の後ウジエ出店のようで、一息つく形なのが幸い)。両駅(JRを含む)で乗降客合わせて4万人以上いるのに、商店が閉店した後は駐車場になったり、徐々にマンションに建て替わっており、これが地下鉄と路面電車やバスとの明確な街への影響の差と感じました。

 路面電車やバスであれば、停留所間でも車窓を通じてのアピール効果があり、今度行ってみようと思わせるものがありますが、地下鉄は速さと駅間の長さと引き換えに、街をワープしているようなもので、駅周辺の”点”の集客効果はあれども、広がりは限定的。

 これは、路面電車と地下鉄の差というだけではなく、そもそも仙台の市街地の人口密度の低さ故なのかもしれません。


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2025年9月 9日 (火)

久々に広島へ(その1)路面電車が新駅ビル直結!

 先日、約20年ぶりに広島へ行ってきました。昨年の福岡も同様に久しぶりの訪問でしたが、広島も変わった部分と変わらない部分があり、駆け足で回りましたが、いろいろと楽しめました。

広電 駅前大橋ルート開業と広島駅新駅舎乗入れ

 8月3日に念願の広島駅ビル乗り入れを迎えた広電こと広島電鉄の路面電車。これまでは、駅前の遠回りの細い道路を回り込むように駅前に入っていましたが、新設された駅前大橋ルートをショートカットして、駅ビル2階に乗り入れです。

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 JR広島駅在来線改札からは、徒歩1分もかからず、本当にスムーズに乗り継ぎできます。

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 仙台のように地下鉄であれば、概ね5~10分程度の乗換時間が必要ですが、改札出て2分後には路面電車への乗車も可能という劇的な改善。以前も、駅舎から1階に降りたところにあり、それほど遠い訳ではなかったにせよ、改札降りてすぐに視覚的にどーんと飛び込んでくるこのインパクトは大きい。 

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 このように、駅ビルから電車が飛び出してくるような構造は、JR九州の小倉駅ビルと北九州モノレールが有名で、30年近く前の1997年に実現していますが、路面電車としては、富山駅を南北に貫通する富山地鉄市内線でコロナ禍の数年前に実現したばかり。ただ富山は在来線が高架化され南北の路面電車を接続し1階を路面電車が貫通できるようにしたのに対し、広島は在来線が地上を走っていること、駅北方面への延伸は厳しく、従来通りのJR広島駅終点前提で地下案と2階案の検討の結果、2階になったとのこと。

 視覚的にも機能的にも、この2階に停留所が移設されたのは良かったと思います。

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 実際に、紙屋町方面に行くには、路面電車は遅く、地元民は急いでいる時はバスを使うとのことで、そのバス停も、駅舎1階に隣接した場所にきれいに再整備されたようですが、目の前に路面電車が並び、時刻表示もされいつ発車するかも一目瞭然なので、自然と足が路面電車の方に吸い寄せられそうです。

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 以前の旧駅は縦列停車もあり、狭いスペースで複数系統を神がかり的な発着運用をしていましたが、駅ビル2階に整備された新駅舎は横にA~Dの4つのホームが並び、行先毎に乗り場が分かれ、発車時間の電光掲示も設置され、初めての利用者でも分かりやすくなりました。


  •  A:比治山経由       広島港行(昼間 5本/時)
  •  B:八丁堀・原爆ドーム経由 宮島口行(昼間 6本/時)
  •  C:八丁堀・原爆ドーム経由 江波行  (昼間 4本/時)
  •  D:八丁堀・市役所前経由  広島港行(昼間  5本/時)

で、広島港行が2系統あり、ここは戸惑うかもしれませんが、基本的にB~Dの乗り場から都心部の八丁堀・紙屋町方面へ行け、都心部へは概ね10分間で2~3本出ているので、本数的には十分です。

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 ただし、入線待ち、降車待ち、乗車待ちで常態的に遅れが発生し、昼頃に乗車した際は、2分程度発車が遅れました。時刻表表示があるだけに、逆に遅れが気になってしまう面もあります。路面電車なので、時刻表通りに行かないのは当たり前なのですが。

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そして、旧停留所の跡地は既に撤去され、整地作業に入っていました。新停留所に切り替わって1か月であっという間です。

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正面の広島駅に向かう旧ルート。もう、ここを電車が通ることはありません。しかし、こんな狭い道を通っていたんですね。

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その2に続きます。

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2025年6月14日 (土)

仙台と福岡(その3)福岡市地下鉄各路線について


仙台と福岡(その2)地下鉄直結!福岡空港からの続編です。


 福岡市地下鉄3路線目として、2005年2月に天神南ー橋本間の12㎞が開業した七隈線。

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  事業化のためには、コスト削減で断面積の小さいリニア地下鉄が採用され、既存路線との直通を当初から断念することとなった上、開業前には、幾度となく需要予測が下方修正され、ようやく開業にこぎつけた感があった路線。この紆余曲折ぶりは、「仙石線相互直通+モノレール南西線」計画撤回により生み出された、仙台市東西線とも共通するところ。同じリニア地下鉄というところも。

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 将来の延伸を見据えて、天神の駅位置が天神地下街を挟んで南側に置かざるを得ず、既存の地下鉄空港線乗換のためには、その天神地下街経由で10分弱の改札外乗換を強いられ、地下鉄で博多駅や空港方面へ行くには、非常に遠回り感が生じていました。

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 博多駅へは途中の薬院駅で博多駅行のバスに乗り換えるか、それであれば、最寄りのバス停から直接博多駅行に乗った方が楽という、中途半端さがあだとなり、開業後も西鉄バスが真っ向勝負で博多駅直行バスをバンバン出し続けたため、当初は、七隈線の一日の利用者数が4万人台(需要予測11万人)と惨憺たる利用状況となっていたとか。

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 もともとの構想は天神南・中洲川端駅経由ウォータフロント方面と、途中の薬院駅で分岐して博多駅延伸という路線が考えられていましたが、ウォータフロント方面構想は中洲川端駅で既存2路線に乗り換えできるというメリットの反面、採算性に難があり、天神南行と博多駅行を分岐させる運行体系は無駄が多いということで、延伸計画は決まるまで時間がかかりました。

 せっかく整備した七隈線の利用促進のために、
2011年に実際開業した現ルートの整備が決定し、天神南駅からキャナルシティ博多経由で博多駅乗り入れ工事を開始したものの、記憶に新しい平成28年の工事中道路陥没事故で開業が2年程遅れ、令和5年3月26日にようやく博多延伸開業にこぎつけたとのこと。

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 七隈線雑感については、過去記事と重複するので、こちらを。

 開業前の低利用率から一転、博多駅延伸開業後の混雑状況が話題になっていた七隈線に初めて乗車しました。あえて朝ラッシュ時をめがけて、宿泊していた天神の宿を朝早く出て、終点の橋本駅まで向かって、平日の8時頃に博多駅に到着する電車に乗ってみました。

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 仙台の東西線で乗り慣れているリニア地下鉄の車両サイズですが、やはり窮屈感は否めません。向かい側の席が目の前に感じます。

 下りは6時台だったため、当然ガラガラで25分の道のりを橋本まで。この駅は、日本最西端の地下鉄駅とか。

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 一旦改札の外に出て、駅周辺を観察しましたが、幹線道路沿いで上空には都市高速環状線が走っており、向かい側には「木の葉モール橋本」というそこそこのサイズの郊外型SCが。かなりの郊外を感じるエリアで、この光景見覚えあると思ったら、仙台の三井アウトレット仙台港と産業道路・上空に東部道路という組み合わせに似ている。

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 橋本駅周辺は住宅密集地という訳ではなく、発展途上な印象で比較的低密な土地利用が広がる中、周辺の丘の上に見えるニュータウンからの乗り継ぎバスターミナルがありました。地下鉄で博多から30分の終点なので、郊外なのは当たり前にしても。

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広々とした橋本駅構内です。

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 7時29分発博多駅方面の朝ラッシュ時の電車に着席乗車でしたが、発車後3~4駅でようやく空席が埋まり、福大前駅あたりからは多少混雑してきました。

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 六本松と薬院の間の数駅はドア付近はかなりの混雑で積み残しも多少あるようでしたが、座席に挟まれた通路の部分は2列でつり革をゆったりとつかめるような混み具合で、足元もかなり余裕あり。ピークはもう少し後だったのかもしれませんが、最高140%の乗車率という前評判?に対し、多少拍子抜け。一応夏休み前の学生も多い時期でした。確かに、リニア地下鉄の小型車両では2列ではゆったりつり革をつかめるけど、3列になってまで中に詰めるのは困難という中途半端な車幅ではある。

 予想通り、西鉄乗換の薬院駅で混雑が緩和され、天神南駅で過半数が降り、あとは立ち客がパラパラ状態で博多駅方面へ。仙台もですが、実際混雑が激しい区間は数駅だけという感覚は同じでした。

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 一般的な地下鉄は都心部を貫通して双方向の利用がありますが(空港線はこのパターン。仙台の南北・東西線も。)、七隈線は博多・天神南・薬院という繁華街や乗換駅が終点寄りに固まっており、片道28分の片輸送気味で、福大輸送はあれども路線としては効率は良くないと感じました。延々と住宅地から小型車両4両編成で20分以上も乗客を集めていけば、さすがに車内が混雑するのは当然で、仙台の東西線でさえ、東の終点荒井から片道10分を超える仙台駅直前はかなりの混雑になる。

 ミニ地下鉄では大江戸線は8両編成で乗客を詰め込んでいるなど、1両当たりの輸送力が小さい分を編成を長くして対応するしかない。


 そもそも西鉄バスが地下鉄へのシフトに協力的であれば、七隈線は博多延伸時に6両編成への増結が可能になる程度の利用者数と経営状態にもなり得たと考えます。郊外からの片輸送を少しでも軽減させ、利用者数を確保するために、沿線のマンモス大である福岡大学を経由させ、車両基地設置の都合で引っ張った橋本方面へはかなりの遠回りの線形となるなど、苦労がしのばれる計画でもありました。

 西鉄バスとしても、当時真っ向から勝負に出たのは、元々経営していた路面電車が廃止を強いられ、市営地下鉄空港線・箱崎線への移行に協力したという背景から、これ以上ドル箱の沿線の乗客が根こそぎ奪われるのを避けるためというのは、民間企業の判断として分からなくもないですが、結局博多駅延伸されれば勝ち目がないと、乗務員不足もあり白旗を上げるタイミングは結果論ではあるとしても、悪すぎるとしか。


流石の空港線ラッシュ

 一旦ホテルに戻ろうかと思いながらも、せっかく博多駅まで行ったので、空港線に乗り換え、姪浜方面へ乗車。大濠公園を散歩しようと思ったら、大雨が降ってきたので、とんぼ返りで大濠公園駅で8時半頃のラッシュ状況を観察しました。

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 3分間隔で、6両編成の車両が双方向に行き交い、どの電車もかなりの混雑。入口付近はもちろんのこと、七隈線と異なりドアとドアの間もそれなりの混雑であることが感じられました。また、当然ながら、空港線なので福岡空港に向かう大きなスーツケースを持った乗客も目立ち、ラッシュ時に乗り込もうとすると結構辛そうでした。

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 特にJR筑肥線直通のJR車両の混雑が激しいことは、一見して分かりました。

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 糸島市や西区からの郊外電車の役割を担いながら、学生街でもある副都心西新、赤坂から天神までのビジネス街、繁華街中州、新幹線では西日本随一の大ターミナル博多駅、便利過ぎる福岡空港を貫通する効率の良い路線ということを実感。さらに、箱崎線にも昼間に15分毎に分岐する直通が走るなど、空港線については、50年前にこのような路線網と輸送体系を計画した福岡市は流石としか。ただ、西鉄との関係や、貝塚線との直通が実現せずに、結果的に箱崎線を持て余している反面、七隈線の低輸送力など、苦労しているところもありますね。


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 これは、訪問時の福岡空港駅の時刻表ですが、朝の8時台だけはJRからの博多駅乗換客対応かやたらと多く16本/h と仙台の南北線と同じ本数ですが、その他の時間帯は概ね7~9分間隔。夕方もそれほど多い訳ではない。空港発ということを考えると6両編成なので十分な本数と輸送量ですが、当然2駅先の博多駅ベースで考えると同じ本数でもやや少なく感じました。2年前の七隈線博多駅延伸で、天神方面へは七隈線利用という選択肢も出来たとはいえ実質別の駅であり、JRからの乗り換えを考えると空港線乗換よりプラス2~3分多くかかるので、空港線ホームで次の電車を待った方が早いという状況。

 空港線は、博多駅から2駅先(天神の1駅手前)の中洲川端で箱崎線から天神方面へ乗り入れる電車が昼間で15分おきにあるため、パターンがバラバラになっているという理由もあります。


 注)訪問時に抱いた感想に対し、今年の3月から地下鉄空港線で一気に19往復の増便が行われ、朝の7~9時台や夕方の17~19時台も毎時数往復ずつ増発されました。

地下鉄空港・箱崎線のダイヤ改正を実施します!

仙台市地下鉄は、平日昼間及び土日終日の減便で該当時間帯は10分間隔と、正直悲しくなります。

過去記事


 相互乗入がない仙台の地下鉄と比較すると、JR筑肥線及び箱崎線2路線からの乗り入れがあり複雑に感じます。

 筑肥線は地下鉄開業時に単線非電化で地上を走り踏切だらけの並行部分(姪浜~博多)を廃止したということで、実質地下鉄空港線が旧筑肥線の連続立体交差化のような複雑な経緯を持つとはいえ。

 仙台で例えると、仙山線の北仙台~仙台を廃止し、南北線に乗り入れているようなイメージか。その筑肥線を過去に廃止したエリアに地下鉄七隈線を整備したとか、都市の発展に合わせて苦労したところがあるように感じました。


存在感が薄い箱崎線

 大動脈の空港線から中洲川端駅で分岐する4.7㎞の枝線的な箱崎線。終点の貝塚駅で西鉄貝塚線に乗り換えができます。

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 福岡市地下鉄の最初の開通区間は、室見ー天神という中途半端な区間で、博多駅乗入れも仮駅を設置して段階的に実施したというように、いろいろ苦労してきたようです。意外だったのは、博多駅までの開通より前に、天神から分岐駅の中州川端駅を経由して箱崎線の呉服町駅までが第二期延伸区間だったこと。現在は大動脈である空港線に対し存在感が薄い箱崎線ですが、中洲川端駅で2層でホームが設置され、建設時から2路線が一体的に整備されていたんですね。

 地図をみると、中洲川端駅から東にまっすぐ進む箱崎線がメインで空港線が南に分岐するようにも見えます。というのも、西鉄が運営していた路面電車では、姪浜から九大箱崎キャンパス付近までがメイン路線だったようで、その代替として箱崎線計画されたこともあるのかと納得。

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 沿線には、箱崎に県庁や九大のキャンパスなどの目的地となる施設も点在していましたが、平行してJR鹿児島本線も走っており、県庁と九大病院はJR吉塚駅、箱崎キャンパスはJR箱崎駅からも徒歩圏。さらに、地下鉄・西鉄の貝塚駅近くに、JR新駅の設置が決定しており、更に競合が激しくなります。

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 それに、九大は、医学部のキャンパスと大学病院は残っているものの、箱崎キャンパスは六本松キャンパスと合わせて伊都キャンパスへ移転したため跡地となってしまい、利用者である学生・教職員はごそっといなくなってしまいました。


ただ、跡地の約28haについては、住友商事を中心とするグループが落札し、再開発が始まります。

 規模とすると、東北大学農学部(雨宮キャンパス)跡地が9.3haなので、約3倍の面積に、居住、商業、医療機能が整備されるということなので、内容も雨宮キャンパスの拡大版というイメージですね。9.3haの雨宮キャンパスでも15年以上かけて今秋のイオンモールオープンでようやく完成となることを考えると、10年以上かけて徐々に整備していくことになりそうですね。住居も2000戸とあすと長町の高層マンション群に匹敵する戸数が徐々に整備されるとなると、利用者も徐々に増えていくことが見込まれます。

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 天神方面へはこの箱崎線各駅から一部直通(毎時3~4本)で行けますが、博多駅方面は中洲川端駅で乗り換えが必要。

 よって、博多駅などJR鹿児島本線沿線は、JR箱崎駅から2駅5分で博多駅と、利用者はJRと地下鉄に分散しています。利用者目線では地下鉄もJRも(そして西鉄バスも)使えて便利ですが、 福岡市交通局としては、地下鉄開業後に国鉄からJRになり本数が激増し、また駅高架化により駅が使いやすくなるなど競合路線の利便性が高まったため、利用者が伸び悩んだことは誤算でしょう。朝ラッシュ時も昼間も変わらず毎時7~8本の運行というのは、空港線優先ダイヤとなっていることと、JRと並行していることで、この本数でも十分に運べるということか。

 とはいえ、上述のJR貝塚新駅は、キャンパス跡地の利便性を高めることになるでしょうし、箱崎線にとっても、最大60円の乗継割引はあるとはいえ、これまで、乗換駅の千早と貝塚で「JR⇔西鉄⇔地下鉄」と乗り換えるのは3社を経由して割高なため利用を敬遠していた天神方面との利用客が、JRから直接この貝塚新駅で地下鉄に乗り換えることも想定され(混雑する博多駅乗換からのシフト)、多少は箱崎線の活性化にも多少寄与することに。

 また、西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線の乗換駅である他、物流系の事業所や公営住宅が点在するエリアとしての位置付けで、駅前には空き地と自転車置き場が目立つような貝塚駅周辺ですが、箱崎キャンパス跡地開発のエリアにも含まれ、JR新駅との間も整備され、新駅開業後は大きく印象が変わることになりそうです。

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 写真は西鉄貝塚線と乗換できる箱崎線貝塚駅改札です。

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 地下鉄ですが地上駅で、振り返ると西鉄の改札が。平面で1分程度で乗り換えが可能です。

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(おまけ)地下鉄直通構想頓挫&輸送力不足 貝塚線

 朝夕でも概ね10分間隔、昼間や休日は約15分間隔です。概ね地下鉄が昼間7.5分間隔なので、接続する地下鉄は2本に1本の空港線直通に合わせているようです。

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 2両編成のレトロな電車で、最近置き換えのニュースがでたようですが、昼間では6両編成の地下鉄からの乗換者でさらっと埋まる程度。

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 朝夕は、千早駅近辺の再開発地に林立するマンションからの利用者でかなりの混雑になっているようですが、そもそも2両編成かつ朝夕でも単線約10分間隔という輸送力不足が理由。せっかく20年以上前に香椎副都心土地区画整理事業のJR線と合わせて西鉄香椎以西が高架化された際に、地下鉄直通にも対応できるような設備にはなっているようですが、2007年の末端区間の一部廃止(西鉄新宮ー津屋崎駅)、交換設備の撤去などで朝晩の本数が減っています。

 以前は、博多駅近くの千鳥橋まで乗り入れしていた西鉄宮地岳線の貝塚以西が西鉄市内電車に組み込まれ、結果的に廃止→箱崎線代替となってしまったことで、中途半端な位置づけとなってしまった現西鉄貝塚線。地下鉄箱崎線が開通した1980年代から、アイランドシティへの鉄道乗り入れ構想に組み入れられるなど長年検討が進められていた、地下鉄箱崎線との直通計画についても、基本的に西鉄側が消極的だったこと、貝塚駅を挟んで輸送力に差があることから、直通方法や乗り入れ区間、両数など市を中心に様々な検討が行われてきましたが、B/Cの低さから事業化に踏み切れず、結局霧散してしまったようです。

 西鉄としても、貝塚駅まで200円程度しか収入が得られないのであれば、都市高速経由で天神まで送り込んで4~500円程度の客単価の路線バスを走らせた方が得策というのも分からないではないですが、ここも七隈線と共通するような、連携の悪さを感じさせるエピソードだったりします。

競争による高い利便性の確保

 まぁ、このように地下鉄と西鉄、そしてJRが緩い協調状態を保ちながらも、競争で乗客を獲得してきた結果、都市への人口集中と相まって、高いレベルでの複数の交通サービスが提供されているので、福岡という都市にとっては結果オーライではありますが、今後さらにバス運転手不足が進んだ時に、西鉄バスの高い利便性がどれだけ維持されるかというところは気になります。JR九州も値上げが進み、初乗り200円と地下鉄に近い水準となっている他、福岡近郊でも減便が行われており、限られた交通サービスの資源を協調して効率的に維持して良く必要があるでしょうね。

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2025年6月 9日 (月)

仙台と福岡(その2)地下鉄直結!福岡空港

 


仙台と福岡(その1)究極のコンパクトシティ福岡 からの続編です。


最高のアクセス!福岡空港

 まずは今回初めて利用した福岡空港の感想から。

 過去2回の九州上陸の際は鉄道を利用したので、飛行機で入るのは初めて。

 よって、福岡空港利用も初めてで、都心部からの地下鉄直結でのアクセスの良さは耳にタコができるほど聞いていながらも、実際どんなものかと楽しみにしていました。

 仙台からの約2時間10分のフライトで、北側のアイランドシティ方面からの着陸でしたが、港と街と空港が狭い範囲に集まっており、集合住宅が広い範囲に立ち並ぶ市街地に囲まれた空港の立地条件を実感しました。

 行きは荷物は特に預けなかったので、すぐに到着ゲートを通過できました。

 到着ゲート前には高速バスの案内もあり、コロナで路線が減っているようでしたが、久留米や熊本、日田には1時間毎、その他佐賀方面にも路線があるようでした。これは国内線ターミナル経由の高速バスですが、その他に国際線ターミナル経由は長崎や湯布院など、多くの路線があります。国内線ターミナルから国際線ターミナルへは滑走路を挟んだ位置関係なので、無料バスでの連絡です。

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地下鉄への案内に沿って、吹き抜けのエスカレーターを降りた先には。。。

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地下鉄の改札が現れました!ターミナルビル直下なので、確実に仙台空港と空港駅の距離よりも近い。新千歳空港とも同じようなイメージですね。

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博多駅まで5分、天神駅まで11分。ともに260円と早くて安い!

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 それに、地下鉄空港線は、概ね地下鉄線内折り返しとJR筑肥線直通が交互に発着するパターン。

 空港線の終点姪浜より先はJR筑肥線に乗り入れ、昼間は大部分が途中駅の筑前前原駅までですが、唐津方面まで直行できる電車もあります。

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 本当に、着陸して10分後には地下鉄に乗っているというのもあながち大げさではない利便性です。

 今回は、平戸方面が最初の目的地だったので、10時9分発の貴重な快速西唐津行を待って乗車しました。

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地味な福岡市交通局の車両と異なり、JR九州の電車はデザインが独特で目立ちます。

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 車内も、ビビッドな赤色ドアに対し、落ち着いた緑色の座席。1席ずつモケットが分かれているのが定員着席を促せて良いですね。

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 空港発では、6両編成の先頭だったためガラガラでしたが、博多駅で立ち客が出る位乗ってきて、天神で入れ替わりながらも、それなりに埋まった状態で姪浜でようやく地上にでました。その後筑肥線に入ってからは、徐々に降車していき、大部分の電車が3両編成の区間電車に系統分離されている筑前前原駅以西は車両で5~6人という状況。朝晩はともかく、昼間は6両編成での唐津までの直通は無駄が大きいため、徐々に減らされているのでしょう。

 筑前前原の直前の九大学研都市駅。九大が箱崎と六本松キャンパスからの移転先で、大学名を称した駅からさらにバスに乗らなければならないという、アクセス面ではいろいろ言われていますが、それでもこの博多駅から30分という乗車時間の新駅前にこれだけマンションが林立していることに驚きました。福岡市の西端にあたる場所のJR沿線ですが、地下鉄直通で沿線からはみ出た住宅需要を受け止めているのでしょうし。
 また九大の教授や職員向けの住居需要もあるのでしょうが、中心駅から30分圏のJR西条駅からバスで10分圏という同じような遠隔地に移転している広島大学と比較してしまいます。都市の勢いと大学の成り立ちの差があるとはいえ。イオンのそこそこの規模のSCも立地し、利便性の高い駅となっています。

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 唐津までの車窓は、見事な快晴のなか綺麗な海を眺めながら、遠くに来たという旅情を感じていました。自宅を出発して4~5時間後に味わうこの日常とのギャップはいつもたまらない。

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(おまけ)お土産探しの失敗

 5年前の北海道旅行の時は、札幌駅で概ねお土産を購入し、あとは新千歳空港で買い足してという感じだったので、博多駅でいろいろとお土産を探したのですが、ほとんど福岡・博多のお土産かつ、苦手なめんたいこ・たらこ攻撃に一気に意気消沈。長崎や熊本のお土産は極わずか。荷物になるからと現地では買わなかったんですよね。

 せめて福岡空港に行けば何かあるかなと思い、地下鉄で空港へ移動しましたが、結局博多駅と同じような感じで各県のお土産は2割程度と唖然としました。

 北海道を代表する空港である新千歳空港とは異なり、各県ごとに空港があるので、ターミナルビルで扱うお土産も基本”県ごと”ということを実感。

 ということで、結局博多駅に地下鉄で戻って、駅ビルで買い残しのお土産を購入し、また空港に戻りました。

 こんなことが普通にできるのも、この福岡空港の立地条件故!思い立って10分後には博多駅に戻れたのですから。地下鉄の博多駅もJR駅の真下なので、改札抜けてすぐに駅ビルやJR改札の近くに出ることができるのもすごいと思ったところ。

 それに、地下鉄なので安定した運行で、いざというときには路線バスやタクシーで行けるという安心感も大きいですね。

 仙台空港アクセス線は、地上を走るJR線区間(南仙台付近や仙台駅付近)での踏切事故などで、月数回はストップしており、離陸ギリギリの時間の利用は怖くてしょうがないという状況なので。


仙台と福岡(その3)福岡市地下鉄各路線についてに続きます。


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仙台と福岡(その1)究極のコンパクトシティ福岡

 昨年の九州旅行編も、途中で更新が止まっていましたが、福岡についてはほぼ丸1日しか滞在しなかったのに、余りにも印象が強すぎて、どのように取り上げれば良いか考えていたら、そのままになっていました。

 今年は何度か遠出することになりそうなので、その前に記録としてできる限り更新しておこうかなと。九州編から独立させて福岡編としてまとめます。

コンパクトシティ福岡

 一昨年に、地方中枢都市3都市と仙台の比較シリーズ記事を書きました。

 福岡を訪問したのは、以前の記事のとおり20年以上前以来でしたが、その時点でさえ、11月末なのに天神のお祭りのような賑わいに愕然とした覚えがありました。

 その時点からのインフラ面の大きな変化は、  


地下鉄七隈線開業(2004年)・博多駅延伸(2023年)

JR博多駅再開発&九州新幹線全線開業(2011年)

都市高速環状線開通(2012年)天アイランドシティ線開通(2021年)


 ですが、その他商業面でも旧岩田屋本店がパルコになったり、天神地下街の拡大、そして、天神ビッグバンのために商業施設の新陳代謝が進んでいるなど、細かいところの変化が多数ありました。人口もこの20年で30万人増加していると、地方都市では別格の成長ぶり。

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 都心部の人口密度と七隈線延伸開業を中心とした軌道系交通機関についての多少の考察は、上記記事で触れていますが、特にもともとドーナツ化が進んでおらず、都心部周辺に高密な住宅地が広がっているところが特筆すべきところ。天神と博多駅の都心部商業の核に加え、キャナルシティ博多、ゆめタウン博多、マークイズ福岡ももち、そして近年オープンしたららぽーと福岡というように、2大都心部から数キロ圏にこれだけの郊外型も含めた大規模商業施設が集積しているのに、どの施設も共存しているというのは、後背地の広さだけでなく、都心部の足元人口の多さ故なのでしょう。

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福岡については、いろいろと他都市と比較すると、独特な要素が盛沢山です。

  •  都心至近の国際空港(地下鉄で博多駅から5分、天神から11分)
  •  西鉄バス王国(都市高速経由で鉄道に真正面から対抗)
  •  博多と天神の2眼レフ構造(地下鉄2路線で接続)
  •  アジアの都市への近さ(ソウル・上海等が東京より近い)

 20年以上前のブログ始めた直後に記事にしていましたが、今見ても都市の勢いという点では加速しているところが凄いですね。

 人口も20年間で25万人以上の伸びで、同時期で仙台は8万人ほど。これでも震災後の流入でピークが後ろ倒しになりプラスの影響もあったのに。


関連記事

 改めて、シリーズで記事にしてみようと思います。



 

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2024年12月26日 (木)

九州旅行編(その4)課題満載の公共交通  政令市熊本

夏の旅行記事で積み残していた、政令市熊本編の続きです。


前回記事

前編では、街中の商業集積と賑わいの凄さについて記事にしたところですが、都心部に集まる人達の足となる都市圏内の公共交通網について。

 

賑わう都心部への集客手段

 都心部が賑わっている都市の特徴として、やはり軌道系交通機関が発達し、大量の都心部への来訪者を短時間で運ぶことができること。

 東京大阪名古屋そして福岡のような、JR・大手私鉄のみならず地下鉄が発達しているような都市は、都心部の中心駅は数十万人規模以上の乗降客数を数えており、就業者、買い物客など多くの輸送需要をまかなっています。

 札幌や仙台は、大手私鉄は存在しませんが、JRと地下鉄で都心部にダイレクトに短時間でアクセスできる路線網で、複数路線が乗り入れる札幌駅(8方面)、仙台駅+あおば通駅(10方面)は地下鉄とJRを合わせた乗降客数がコロナ前で30万人以上、大通駅(地下鉄6方面+市電)などは、乗降客20万人弱と、都心部の賑わいを生み出す人の流れも納得できるところです。

 一方、熊本市は、都心部の軌道系交通機関は市電と街外れにターミナルを持つ熊本電鉄のみ。広島市と同様、JRの中心駅と都心部が離れており、15分程度で路面電車で結ばれているのは共通ですが、新幹線の通るJR中心駅の利用者数として、熊本駅は新幹線を含めても乗降客数で約3万人、広島駅の約15万人と比較しても1/5。

 その熊本市電は全線で利用者数3万人/日、熊本電鉄はターミナルの藤崎宮前駅の利用者数は2,000人台/日とローカル線並と、鉄道は存在していても輸送力が貧弱な故に、路面電車で運びきれないor路面電車沿線外との需要が多いのか、5社がひしめく路線バスは広島と共通する面があるかもしれませんが、利用者数もそれほど多くない。

 なので、公共交通機関を利用せずに済む近隣の住民が一定数いるとはいえ、都心部に公共交通機関で流入する人数が1桁少ないのにも関わらず、この都心部の賑わいを維持していることが不思議でたまりません。クルマでの流入が多いとしたら、郊外の大規模SCとの競争の中で街中も選ばれているということに。

 

サクラマチクマモトバスターミナル

 前回記事でも取り上げた複合施設サクラマチクマモト内の巨大バスターミナル。路線バスは熊本駅からこのターミナルを経由し、各方面に向かっている便が多い印象。

 高速バスで存在感が大きいのは、やはり福岡とを約2時間で結ぶ高速バス「ひのくに号」。大きなライバルとなった九州新幹線の開業後に高速バスの利用者が増えたというのは驚き。

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 博多駅・天神までの約2時間強の直行便は概ね平日毎時2~4本、休日は毎時3~6本。

 それとは別に、途中インター経由便と、福岡空港行きがほぼ毎時各1本と、両都市の都心部直行というメリット。

 片道2700円、そしてスマホ4枚回数券だと最安片道2000円と、新幹線料金の半分で気軽に行ける運賃です。

 高速バスは、九州道のインターまで多くのバス停を経由する反面、乗り換えなしのメリットが。

 新幹線は博多駅ー熊本間最短35分とはいえ、熊本駅までのアクセス、そして天神までの移動を考えると、発着地によってはバスもそれほど変わらないことで、新幹線開業前と比較すると全体のパイが拡大しているとか。そうはいっても、コロナや御多分に漏れず乗務員不足でピーク時と比較するとこれでもバス本数は減少傾向。 


 東北地方では仙台ー山形線が約 1時間強で80往復程度運行しており、本数の多い路線の代名詞となっていますが、在来線が不便で本数が少ない故。

 福岡ー熊本線は、2時間超の所要時間で新幹線も毎時3〜4本運行しているのに、その仙台ー山形線を超える本数というのは正直すごい。新幹線が平行する同じような関係だと、仙台ー福島は、新幹線が毎時2〜3本でもバスは毎時1本程度まで少なくなっており、仙台ー盛岡線も同程度。


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 人口規模は倍以上違うとはいえ、両政令市間の旺盛な移動需要を垣間見ることができました。これだけ福岡の吸引力が強くても、賑わいを見せる熊本市。本当に良い意味で理解し難い。

 それ以外で本数が多いのは、熊本空港リムジンバスで、都心部から空港行は15~20分間隔で運行しています。その他は本数が少ないながらも由布院方面への九州横断バス、天草方面への特急バス、長崎、鹿児島方面へのバスが発着しています。

輸送力不足に苦しむ熊本市電

 熊本市中心部の賑わいを産んでいるのは、この市電という分かり易い軌道系交通機関が残っていることも大きいでしょう。

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 熊本駅方面から、中心部を通り豊肥本線新水前寺駅を経由し、健軍町までの1号線と、中心部手前で分岐しJR上熊本駅を結ぶ2号線が残っており、比較的高頻度で運行されています。一乗車で180円均一と、長崎よりは高いにせよ十分使いやすい運賃。バスは距離制で健軍方面の遠距離で市電が競争力を持つなど、常に混雑しています。

 ただし、昔ながらの単車が中心で輸送力の高い連接車の導入はごく一部と、JRからの乗換需要があり(熊本駅、新水前寺駅、上熊本駅)積み残しも生じているのに、運転手不足で減便を強いられるなど、この残った路面電車を活用しきっているとはいえない状況。それにいかんせんバスよりも遅く、遅れも多いというデメリット。

 訪問の際はほぼ半日しか時間がなく、バスのフリー切符があったこと、翌朝市電に乗ろうと思ったら大雨でおっくうになり結果的に市電の乗車は断念しましたが、熊本駅と都心部の間はバスの方が本数が多く地元民は使い分けている印象がありました。

 市の運行ということで、採算性にある程度目をつぶって連節車両のさらなる導入や電停の改修などを政策的に進め、利用者を増やす取組を図れないものかと思いましたが、公営企業ということで、多額の赤字を出せないことから縮小均衡に陥っているといのは、仙台市バスも同じ。

 特に、熊本は市電もバスも運転手不足に陥っているようですが、原因としてTSMC進出での都市圏全体での賃金アップ圧力の影響もあるのでは。特にバスは工場と駅とのシャトルバス運転手需要も高そうだし、そもそも新規採用で集めるにしても他業種と比較して賃金が見劣りしてしまう。

 都市圏としての発展が続いている反面、全国有数の渋滞都市という汚名返上のために、切羽詰まって公共交通機関の利用促進に県と熊本市が協力して取り組んでいる方向性を示していながらも、課題が大き過ぎて、どの方面も中途半端な取組となっている印象を持ちました。

 そして、道路整備は続き、交通量の増加といたちごっことなるので、せっかくの軌道系既存インフラを活用する方向が望ましいのでしょうが。

個性的な熊本電鉄

 都心部の上通商店街の先には、いろいろ複雑な経緯があったようですが、かつて市電に譲渡した路線が廃止されたことで接続が切られ孤立した、熊本電鉄藤崎線(本線)都心側ターミナルの藤崎宮前駅。この都心部の手前にターミナルが残されているという中途半端さは、金沢市の北陸鉄道石川線野町駅ともイメージが被る。

 非常に中途半端な場所にありながらも、上通と並木通りで繁華街に徒歩10分程度で繋がっていることもあり、ギリギリ及第点の立地条件。ただし、建設から30年もたっていない駅ビルの奥に駅が位置していながら、11階建てのビル自体が廃墟化しており、外来者にとっては非常に場所が分かり辛い。

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 ターミナル駅で1日の乗降客が2000人台というのは正直厳しいながらも、朝夕は15分間隔、基本的に30分間隔で23時台まで運行されるなど、地方都市の鉄道としては十分頑張っています。

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 人口が増加傾向で渋滞が激しい合志市方面との足でもあり、有効活用が期待されながら、御代志駅から藤崎線と分岐する北熊本駅を経由し上熊本駅を結ぶ菊池線と一体での運用となると、都心部側の行き先が2つに分かれるのは本数上も不利。検討されたバス転換も棚上げ状態で、利便性向上のため事業者側から都心部延伸LRT化や市電への再接続なども提案しながらも、熊本市側が乗り気ではなく実現は困難に。

 なお、熊本駅方面には上熊本駅経由でJRで行けるというのも、上述の北陸鉄道と被る不思議な共通点(西金沢駅でIRいしかわ鉄道乗換で金沢駅に行ける)。経営が厳しいながらもバス転換も厳しい規模というのも。
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 改札もホームもローカル感満載ながら、LCDでの案内が設置されています。

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熊本の副都心?JR熊本駅前

 熊本市の都心部の強さは、かつてはJR熊本駅周辺の集積の弱さ故というところがありましたが、2011年3月の九州新幹線全通により、博多駅を越えて山陽新幹線方面(小倉、広島、岡山、新大阪)までの直通が実現し、都市間の交通拠点としての位置付けが一気に高まりました。新幹線の開業に遅れながらも熊本駅の前後では在来線も高架化が実現し、その在来線の高架化で生み出された広大な駅前広場の再整備、そして博多駅に次ぐ巨大な駅ビルアミュプラザの開業と、都心部に対抗する副都心的な位置付けとして、生まれ変わったようです。

 横長で黒基調、存在感が半端ない新熊本駅舎。駅前広場とバスターミナルも広々しています。 

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 駅前広場の北側には、ビックカメラが低層階に入居するJRのオフィスビルが。

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そして、駅前広場の南側には、巨大駅ビルのアミュプラザくまもとが。駅前広場には2階レベルで歩行者デッキが整備されています。

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 このデッキは、市電乗り場や、駅真正面に整備された「くまもと森都心ビル」に接続しています。

 この高層ビルは、行政中心で建設されたよくある再開発ビルですが、駅直結ではないので、マンションやサービス機能が中心と控えめな機能。でも存在感は大きいです。

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 JR九州肝入りの「アミュプラザくまもと」。入り口付近の開放的な吹き抜けに滝が流れているのには度肝を抜かれました。

 イオンモールのようなファミリー向けに振った意匠ではなく、百貨店にあってもおかしくない高級感のある雰囲気づくり、そしてテナント群に驚愕。少なくとも、仙台の駅ビルエスパルの1.5倍を超える規模、入居テナントの質共に陵駕されています。熊本駅前はこのアミュプラザしかないとはいえ、

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 熊本駅前からは市電が街中方面に運行されていますが、徐々に連節車両が導入され初めているとはいえ、基本単行で輸送能力は大きくはないのがもったいないところ。それを十二分にカバーしているのが、ひっきりなしに発着する路線バス。充実した情報量のデジタルサイネージで直近の行き先と時刻、系統のほか、従来型の時刻表と、経由地マップを一目で確認することができ、デジタルとアナログ的な情報の両方から確認することができ、利用するに当たり安心することができました。

 市電と路線バスの輸送力を総動員して需要に対応していることを感じました。ただ、運賃が市電が均一なのに対し、バスが距離制で市電と同一の区間でも異なることの分かりにくさもあるようです。まぁ、市電は観光客など、外部からの利用者には分かりやすいため、混雑を招きやすい一方、バスが比較的余裕がある利用状況だったり、広島で進められているような路面電車とバスの共通運賃制度も導入の余地はありそう。

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半導体特需に沸く豊肥本線沿線

 熊本周辺のJRは、複線電化の幹線である鹿児島本線が福岡方面からから八代までを結ぶほか、熊本と大分を結ぶ横軸である豊肥本線、そして盲腸線の三角線と、それほど充実している訳ではなく、中心駅の熊本駅が都心部から南東方向に寄っており、これまでは街外れというような見方をされていたこともあり、上述のとおり乗降客数は3万人前後と、同じ新興政令市の新潟、岡山、静岡と比較しても少ない状況。

 そのうち、南北に走る幹線の鹿児島本線は、特急が新幹線に移行し線路容量に余裕ができたとはいえ、朝晩は毎時4本程度ながらも昼間になると毎時2本程度、それに短編成の2両編成などと、正直設備を持て余しているのは、仙台近郊の東北本線下り(松島・小牛田方面)とも共通するような状況。

 一方、同じ熊本駅から内陸に伸びる豊肥本線沿いは、熊本市に隣接する菊陽町に台湾半導体大手のTSMCが第二工場までの進出を決め、全国的にも有名な半導体バブルに沸いているエリアで、不動産価格の高騰や通勤ラッシュの激化、人手不足など、住民の生活にとっては痛し痒しの面もあります。

 全国の政令市の中でも交通渋滞が激しく自動車交通の分担率の高い熊本都市圏で、自動車専用道路をはじめとした道路新設を図っており、熊本空港まで都心部から20分というキャッチフレーズで建設を進めようとしていたり、工業団地周辺道路の拡充を図っていますが、そうはいっても交通需要の増加に対して焼石に水。近くを走る豊肥本線の増発などの強化を図ろうとしていますが、そういう路線に限って「単線で設備が貧弱」で抜本的な改善が難しいという点は、仙台でも仙山線が思い浮かびます。

 仮に鹿児島本線筋であれば、特急が新幹線へ移行し持て余している複線設備を活かした増発も容易なところ、そのような本線筋はある程度開発が進んでいて、企業誘致に適したような土地が少なかったりという面もあったりします。なかなかうまくいかないもので。

 また、JR九州にとっても、福岡都市圏でも減便や短編成化などコストカットを進めているのに、都市圏規模の小さい熊本に自前では積極的な投資をするつもりはなく、行政の補助金次第で協力するかという状況なのか。大雨被害で寸断された肥薩線も行政の補助金で復活を決めたところだし。まぁ、活用できる路線があるだけ良かった。


 9月末に突然の破談が報じられた、宮城大衡のPSMC計画。正直あんな危なっかしい計画がそのまま進まなくて良かったと今では感じています。工場の用地や工業用水など従来型の工場を誘致できる基盤はあれども、熊本のTSMCのように既存の核となる街は20km離れた泉中央しかなく、工業団地近辺には鉄道も走っていない。

 仮にその計画がうまく行ったとしても、トヨタの時のように、大和町、富谷市エリアのニュータウンに人口が広く薄く張り付き、数十年後には高齢化が進んだお荷物住宅地化の可能性が高いとしか。

 熊本のように、空港から近いわけでもなく、母都市の仙台との交通アクセスも車と、一日10往復の大衡村役場行きの高速バスのみ。以前から提案している大衡ICにバス停を設置し県北方面への高速バスを停車させるなどでの仙台や古川・栗原・登米方面との公共交通の足交通確保など、既存の資源を有効活用した改善策もなし。通常の2次産業の従業員とは異なり、専門的な知識を持つ技術者集めにも苦しむでしょうし、ここが永続的に上手くいくイメージがどうしても沸いてこなかった。

 進出発表時の記事に書いた通り、仮に候補地が名取の館腰駅・杜せきのした駅近辺であれば、既存の鉄道沿いで4号線や東部道路も南北に走り、仙台空港も近くという事なし。土地も広大な農地が広がっています。杜せきのした駅近辺のイオンモール南側かつ名取中央SIC周辺で広大な区画整理事業を前提に市街化区域編入が行われますが、この50ヘクタール規模の開発地を半導体工場用地として活用するようなイメージであれば、まちづくりにも好影響で大賛成。(ただ、半導体工場に求められる水や地盤の強固さなどがクリアできるかという問題も)



 

大丈夫?熊本空港アクセス鉄道

 この豊肥本線絡みのプロジェクトでは、県が進めている熊本空港アクセス鉄道計画があります。


リンク

 熊本空港は、大部分を羽田との利用者が占めながら年間300万人台の利用者と、仙台空港に匹敵する利用者があります。

 熊本空港は、このTSMCが立地する菊陽町に隣接する益城町に位置し、熊本市からは約20kmと、仙台駅と仙台空港との位置関係とはそれほど変わらないながらも、都心部からはリムジンバスで45〜60分という所要時間というのは、アクセス鉄道が開業する前の仙台空港よりも時間がかかっている状態。

 熊本空港アクセス鉄道は、JR九州が協力可能とした肥後大津駅ルートでも熊本駅から44分と、多少は短縮されますが、そもそも乗り入れる豊肥本線のルートが熊本駅からS字を描くような遠回りルートなので、時間短縮効果は限定的。また、全線乗り入れ先の豊肥本線と新たに建設するアクセス鉄道は全て単線であり、少しの遅れが交換待ちを招き、雪だるま式に遅れが積み重なることが想定され、定時性や信頼性にも疑問。 


 末端部分のアクセス鉄道を三セクで建設し、JR路線に乗り入れさせて乗り入れ先路線も利便性UPを目論むのは仙台と一緒ですが、そもそも乗り入れ先の豊肥本線が線路容量が限られ、現在の設備ではこれ以上の増発が難しいところは、複線電化の東北本線に乗り入れることで空港行が純粋に44往復の増発となったた仙台との違い。そのように条件は良くないですが、「アクセス鉄道の整備のためには、乗り入れ先の豊肥本線の改善を図ることが必要」という論理で両者をセットで進めているのでしょうね。

 仙台空港は、東部道路経由のリムジンバスで仙台駅から40分だったのが、鉄道開通で各駅停車25分(記録用の快速で17分)に改善され、時間短縮と渋滞での遅れがないという安心感は大きいもので、今となれば、仙台空港にはなくてはならない公共交通機関としてみなされていますが、現在でも課題満載です。

 市営リムジンバス時代の仙台駅発15分間隔、空港発は到着便に合わせた運行から、鉄道では双方向20〜30分間隔と、昼間は改善されましたが運行頻度では必ずしも便利になったとは言えず、空港に早めに行かざるを得ないことや、到着後は空港での電車待ちを強いられるなど、特に30分間隔となる朝晩は不便さを感じます。

 1日の利用者は開業時の目標である1万人を超えましたが、仙台空港駅の利用者は半数強で、なとりりんくうタウン内の2駅の利用者増が寄与しているところ。それでも震災の被害やコロナ禍でのダメージと紆余曲折が続き、設備の公有化により運営との上限分離を図ったり、累積赤字の増大により運営会社の大幅減資を決定した上で、2030年頃の運賃値上げが最近アナウンスされるなど、持続的な運営のために、四苦八苦しています。


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 それに、熊本では、熊本駅よりも都心部への需要の方が大きい状況から、仙台のように基本的にリムジンバスを廃止して、鉄道に需要を一本化する形ことは困難と思われます。


  • 目的地の利用者が分散(熊本駅と都心部)
  • 既存バス経路上の利用者への利便性確保。
  • 将来的にはライバルとなる高速道路の整備構想あり(都心部まで20分)

 というのもアクセス鉄道から途中駅のJR新水前寺駅から輸送力の低く遅い市電乗り換えは、時間短縮効果が打ち消され、3社(アクセス鉄道、JR、市電)の初乗り運賃の支払いと割高感を感じること、荷物の多い旅行者ということを考えると、乗り換え前提は到底無理。それに、現在のリムジンバス沿線の県庁前などからの需要も残る。

 しかし、利用者を一本化できないと、鉄道利用者も確保できない。並行して構想されている空港までの自動車専用道路が開通したら、都心部まで20分と、時間的な優位性もなく根こそぎ利用者を奪われる可能性が高い。

 さらに、仙台のように沿線開発での利用者確保が見込まれず、空港利用者のみということであれば、空港自体の利用者数が仙台と変わらないことから、無謀としか思えない計画に思えます。

 そもそも熊本駅からであれば、九州新幹線経由で博多まで最短で35分。博多駅で地下鉄に乗り換えて同程度の時間帯で便数も段違いに多くLCCも多数就航している福岡空港利用も可能と、四面楚歌のような悪条件ながら、これを事業化しようとしている熊本県の執念は凄い。もちろん、根元路線であるJR豊肥本線の輸送力増強と一体で進めるための手段としての役割も期待されているのでしょうが、それであればアクセス鉄道に投資する500億規模のうち豊肥本線の強化に回すだけでも、かなりの効果が見込めるのでは。アクセス線への膨大な投資を行なった他に豊肥本線の輸送力強化まで金が足りるのか?

 この成功が困難に思われる新規事業に数百億を投資するのであれば、補助制度など予算の出所の違いがあるのは承知ながらも、需要があるのに応えきれない市電と、潜在需要はあるのに活用しきれていない熊本電鉄の有効活用に少しでも回せないのかなとも思いました。 

 

バブル状態

 イケイケドンドンバブル状態に見える熊本都市圏で進む様々な構想で、このような地方都市は中々ないので、仙台から見ると羨ましいところもあります。せっかくの機会を生かして、交通環境の改善を進めることは賛成ですが、市営の路面電車の強化という市内交通の地道なところがおろそかになり、県が採算性が厳しい空港アクセス鉄道に注力しているところは噛み合わなさと危なっかしさを感じますが、このご時世で景気の良い話が飛び交う地方都市圏は少ないので、宇都宮と並んで引き続き興味深く追っていきたいところです。

 


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2024年9月16日 (月)

九州旅行編(その3) 街中の驚異的な賑わい 政令市熊本

 九州旅行編の続きです。


前回記事


街中が元気な九州の都市

 福岡をはじめ、その他の都市も軒並み街中の賑わいを保っていることに改めて驚きました。

 東日本は、首都圏は別格として、東北地方だと仙台市以外は盛岡市位、北関東は東北並みのクルマ社会で駅前や繁華街の賑わいが正直厳しい状態で、しいて言えば高崎駅前位。ライトライン開業1周年で改めて注目されている宇都宮市も旧来の駅西は商業施設の撤退が相次いてきた歴史が。

 新潟市は前の記事で取り上げたとおりで、従来型の繁華街が衰退し相対的に新潟駅や万代の大型商業施設に賑わいが移っているという形ですが、九州の都市は従来型の繁華街に加えて中心駅に新たな賑わいが生まれ、また郊外に大型モールが出店しても街中が対抗出来ているという、東北人からすると信じられない光景が広がっていました。

 街中の賑わいを保てる人口規模を有している(県庁所在地は概ね40万人以上)ということもありながら、非県庁所在地の佐世保のように20万人規模で活力を維持しているところもあり、本当に面白い。

 この写真は福岡市の天神。

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 福岡市は別格として、熊本市や佐世保市も郊外に大型SCが生まれ、以前よりは賑わいが薄れている面もありますが、それでもアーケードをはじめとした中心街の賑わい、そして都心部の再開発が進み、都市のハレの場としての役割を担い続けていることに関しては、本当に羨ましいと感じました。

バケモノ都市熊本(誉め言葉)

 熊本市は人口73万人。県全体で174万人なので、県庁所在地を除いた人口は宮城県も熊本県と同程度と考えれば分かりやすい(宮城県は225万人のうち仙台市は110万人)。 熊本県には、天草の方に松島があったり、台湾の半導体工場の進出など、宮城県との不思議な共通点も?大地震があったという嫌な共通点もありますが、県自体の人口規模が倍以上で政令市を2つ持つ福岡県よりも参考になりそうな要素は多かったり。 

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 震災で被害を受けた熊本城も修復途上ながら、街中のすぐ隣にあり存在感の大きさに驚きました。

疑似的な2核1モール 

 下の案内図のオレンジ色がアーケード。線が市電で、下通アーケードの両端が「市電の駅」そして「大規模商業施設」という集客動線的には理想的な交通環境。市電沿いには多くの平行バス路線がひっきりなしに。

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 下通の南端付近には、辛島町電停と 巨大複合再開発『サクラマチくまもと』で、高速バスを含む巨大バスターミナルも。

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 下通と上通の結節点には通町筋電停があり、その近くには熊本県唯一の巨漢百貨店「鶴屋」が。

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 下通と上通の結節点付近に位置し、以前よりは減ったとはいえ500億弱を売り上げる地方百貨店屈指の鶴屋。2015年に現サクラマチくまもとの場所にあった県民百貨店が閉店し、熊本県で唯一の百貨店となっています。

 目の前の電車通りには市電とひっきりなしに通る路線バス、空港リムジンバスなどで、本当に賑やか。

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 本館、東館、Wing館とあり、建物は老朽化しているようですが、とにかく横に長い巨漢店で複数棟に及び売り場面積は7万平米強と藤崎の倍以上と存在感が凄い。まぁ藤崎は売り場面積半分以下でほぼ鶴屋に匹敵する売り上げなので、藤崎も売り場面積が小さい割には健闘しているともいえます。時間がなく外から眺めるのみでした。なお、電車通り向かいにも別館(New-S) あり。

驚異的な賑わい 下通アーケード

 仙台もアーケード商店街が賑わう代表的な都市と言われ、6つのT字型の商店街合計で全長1.5㎞で店が連なり、七夕の主会場であることをはじめ街の中心軸、ハレの場として市民・県民にも旅行者にも認知されているのは自慢できるものですが、上述の2核を繋ぐ歩行者モール(アーケード)である熊本市の下通~サンロード新店街もなかなかのものでした。

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 噂では聞いていましたが、まずはアーケードの幅の広さにびっくり!幅は15m以上と車道上下1車線ずつに幅の広い歩道が両側にある標準的な都市計画道路と同幅員。天井からも光が差し込む構造で、アーケードの高さも2~3階レベルでゆったりしており、ここに人が集まるのも納得。

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 それに、下通は幹線道路などで約600mのアーケードが分断されることがなく歩きやすいこと、アーケードに接続した路地にも飲食店などが連なり、更に平行して飲食店中心の別の片アーケード(駕町通り)もあり、面的にも楽しめる街ということを感じました。

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 テナント構成は、どちらかというと飲食店が多め。仙台でいうと名掛丁や一番町4丁目を合わせたような雰囲気。でも、何でもあり。

 旧ダイエー跡が再開発された「COCOSA」。1F~4Fがガラス張りで高級感のある新しい商業施設です。

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低層階がファッション、飲食店、上層階が無印、ニトリDECOホーム、セリアなどの雑貨店、ABCストアなどで構成され、身の丈に合ったテナント構成という感じ。


COCOSA HP


 

 下通付近が現在も賑わっている秘訣として、核となる商業施設は、上述の鶴屋百貨店の存在感だけでなく、この『ダイエー⇒COCOSA』以外にも撤退商業施設の後が建替え、リニューアルで基本的に商業施設として残り、商業床があまり減少していないことも。『県民百貨店⇒サクラマチくまもと』で魅力アップしている施設もあるなど、都心部を取り囲む郊外に出店しているイオンモール熊本やゆめタウン光の森などの影響を感じさせない賑わい。

これは、『寿屋⇒カリーノ下通(蔦屋書店を中心とした専門店ビル)』 で建物をリニューアルしたタイプ。

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左側が下通の北端に2023年にオープンした『熊本パルコ⇒ HAB@熊本 』。

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 立地条件の良さからか2020年の閉店後すぐ建替えられ、、B1F~2Fの3フロアはSTANDARD PRODUCTSなどの専門店と飲食店街、3階以上は星野リゾートのOMO5が出店しています。商業施設としてはダウンサイジングですが、何というスピード感。引き続きパルコが運営とのこと。


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上通と並木坂

 下通と比べると幅も狭く地味な印象の上通とそれに続く並木坂。

 熊本電鉄の都心側のターミナルで市電の通町筋電停からは徒歩10分程度の「藤崎宮前駅」に向かう通り道でもあります。

 この写真は、アーケードとしての北端で並木通りに路地を挟んでそのままシームレスに繋がっています。

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 下通がバケモノ級なだけで、上通が地味と言っても仙台でいうとサンモールよりは賑わっています。雰囲気はマーブルロードおおまちに似てい落ち着いた印象。店舗については、地元の店が多く、飲食店も目立ちます。

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 鶴屋百貨店本館の道路向かいで、上通アーケード入口に面する別館(New-S)。上階はホテル日航や美術館も。

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 気付いたこととして、このように仙台ではアーケードから姿を消した地元書店が数軒まだアーケード内に残っていたこと。この向かいにも別の店がありました。仙台ではアーケードに面する書店は、先日金港堂本店が閉店となり大きな衝撃をもって受け止められたニュースとなり、残るは一番町四丁目のあゆみブックス(≠地元)のみ。

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 上通に繋がる並木坂には、センスの良い飲食店や衣服店などが並び、藤崎宮前駅に繋がる通りだけに、それなりに人通りはありました。

 アーケード周辺に関しては、空き店舗やシャッターだらけで厳しい一角というところもなく、空き店舗があっても新陳代謝があり、それが熊本市中心部の強さだなぁと感じた次第。

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巨大複合再開発 サクラマチクマモト

 2019年にオープンし、先日5周年を迎えたサクラマチクマモト。

 何で、地方中枢都市でもない新興政令市でこのような巨大な複合再開発が実現したのかと不思議に思っていいながら、ようやく訪問することができました。基本的に九州産交の巨大バスターミナルと県民百貨店跡の再整備であり、土地の権利関係が比較的シンプルだったこと、隣接地にあった熊本市のホール機能を拡充しMICE機能として熊本城ホールを整備するなど、熊本市も協力的だったのかと感じました。

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サクラマチクマモト HP


  中心駅と都心部が離れた都市が多く、都心部直行のバスと鉄道が鎬を削る九州ならではという、このような街中の巨大バスターミナルの存在があり、再開発の拠点施設として再整備することができたのではと。


 地元のバス会社が中心となったバスターミナル併設型都心部集客施設といえば、以前取り上げた新潟交通の新潟の万代シテイが50年前から存在し、今や都心部随一の集客力を誇る場所となっていることを連想しましたが、一方仙台ではと考えると悲しい限り。

 宮城交通は、一応広瀬通の高速バスターミナルの再整備として、土地売却先の東京建物の協力で、オフィスビルの1階部分に小規模なものは確保しています。これまで、北仙台ターミナルも長町ターミナル敷地も土地売却や再開発で高層マンションになっていますが、基本的に資産の切り売りをし続けてきたのに、今やその蓄えもなく、現在の減便一辺倒の状況に至っているのは悲しい限り。近年は仙台市営バスの営業所運営受託という安定収入を得てしまっただけに、自社路線を犠牲にしてでも運転手を市バス路線の運行に回していたり。そもそも泉区の路線は地下鉄開業に伴うバーター策などでパークタウン線など市バスからの移譲路線も多いながらも、うまく生かせなかった印象。一時期は泉中央駅を発着する路線で深夜帯のバスなど積極策に出ていたのは今や昔。


 約10年以上かけた再開発で、着工後に熊本地震が起こり完成が1年半遅れ、設計見直しなどで総工費も1.5倍以上の800億円弱に跳ね上がり、紆余曲折ありながらも完成にこぎつけましたが、その後もコロナに見舞われる時期もありながら、現在では賑わいを見せています。さらに整備が遅れていたら総工費は1000億円は下らなかったでしょう。

 時代は違うけれど、約800億の総工費はバブル崩壊後ながら豪華な作りと総事業費で批判を浴びた再開発ビル仙台駅前アエルとほぼ同じと考えると、サクラマチクマモトは同程度の総工費で済み時代が良かったと。それはリーマンショックの辺りに入札で事業者を決めた仙台市地下鉄東西線も同じことが言えますが。逆にどの都市でも、これからの再開発は資材高と職人の取り合いで大変。東北電力が中心の電力ビル再開発はなんとかなりそうですが、これからのさくら野跡やオリックス再開発、藤崎を中心とした大町再開発はなおさら。

 仙台市の今後整備される公共施設でも市庁舎が500億、音楽ホールが350億と総事業費が軒並み想定の1.5倍に。市庁舎は震災対応で計画が先送りとなり、音楽ホールはもともと20年以上前から計画がありながら、候補地が移ろい(長町モール横⇒あすと長町⇒都心部⇒国際センター北側)、そして県民会館との役割分担の議論などもありここまで遅れてしまった結果。それでも、市庁舎も音楽ホールも仙台市は様々な意見を聞きながら丁寧に施設内容を詰めてきており、先日の藤本壮介氏の設計に決まった音楽ホールのコンペも公開で実施され、斬新な設計が評価されました。遅れながらも素晴らしい施設となりそう。

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構成される機能として

  • 熊本桜町バスターミナル(29パース:高速バスと路線バス)
  • コンベンション施設(熊本城ホール)
  • 商業施設(B1~3階:約150の専門店)
  • シネコン(TOHOシネマズ)
  • ホテル(KOKO HOTEL Premier 熊本)
  • 分譲マンション(マリモ)
  • オフィス

と、てんこ盛りの再開発。総床面積が16万平米超えは、地方都市としてはバケモノ級です。

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2階以上のバルコニー部分は、緑豊かなテラスが。当日は天気が悪いながらも、それなりにくつろいでいる利用者が。

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 2階部分の広々とした通路は、1階バスターミナル相互を結ぶコンコースを兼ねています。

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 商業施設(シネコン含み)は、延床面積で4.5万平米。売り場面積で2.8万平米。結果的に県民百貨店の再出店ではなく、専門店の集積というのはこの施設の性格に合っていたのではと。百貨店斜陽の時代で、地域一番店の鶴屋百貨店との消耗戦を招かなかったことも。

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 このバスターミナルという性格からか、熊本への旅行者風の方が多く、レストランやフードコートの充実ぶりにうなずけます。

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 バスターミナルは、29パースと巨大。これでも事業者や路線再編により再開発前より縮小されたとか。

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 発車案内もLCDで経由地も含め非常に分かりやすく

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バス乗り場の通路はちょっと狭め。

高速バス等公共交通全般については、別記事で。

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街中のコンベンション施設 熊本城ホール

 3000人規模の大ホールや展示施設、会議施設などもこの再開発の肝であり、熊本市も多くの負担をして整備されました。単独施設ではなく、ホテルや交通ターミナルも含めた複合再開発の一部として整備した相乗効果は大きい。当然整備費用も節減されるし。使い勝手が良くなり稼働率にも好影響が。稼働率については7割程度とそれなりに健闘しているのではと。こういう件には必ず噛みつく某政党が文句言っているようですが。

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ちょうど、訪問時には医療系の大規模な学会が開催されていました。

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 天気が悪い中で、半日で駆け足で回ったので、鶴屋をはじめ都心部の商業施設、市電沿線の街の広がり、豊肥本線沿線のTSMCの好影響などまでは確認できませんでしたが都心部を見るだけでも熊本市の勢いは十二分に感じることができました。

 このような賑わう大都市で生活しながら、週末は福岡という大都会にもバスで往復5千円以内で気軽に出ることができるとは、恵まれた環境の都市に感じました。この規模で九州内で3番手の都市というのも、九州のポテンシャルの凄さかと。

 もう1日余計に滞在し、周辺も含めていろいろ回りたかったのですが、先の行程もあり泣く泣くこの地を離れました。

 なお、この勢いのある熊本市。順風満帆に見えながら、特に都市交通面では渋滞で悩まされているとか、バス・市電の乗務員不足による減便、JR熊本駅が郊外で利用者が少ないことなど、訪問して見えてきた面も。この件については次回に続きます。

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2024年8月25日 (日)

九州旅行編(その2) 元気な九州の魅力

 九州旅行編の続きです。


前回記事


 九州には約20年ぶりの上陸。その前は学生時代に2週間くらい九州内を彷徨ったことがあり、ずっと再訪したいと思っていながら、東北から九州は敷居が高く、ようやく念願の再訪が叶いました。


 前回は2003年11月29日。ベガルタのJ 1残留をかけた最終戦のために、いてもたってもいられず大分に行って以来。 その時は、羽田からの飛行機が取れず、仕事終えた金曜日夜に新横から小倉まで東海道・山陽新幹線、そしてドリームにちりんという今は亡き宮崎行きの夜行特急に乗り換え、大分で2時頃に途中下車しネットカフェで朝まで過ごして、当時のビッグアイでの直接対決決戦に向かった覚えがあります(若かった。。。)。試合は、勝てば残留のところ 1点が遠く 1−1の引き分けとなり、翌年から6年間の長いJ2での苦境を彷徨ったベガルタでした。

 ベガルタの3回目のJ2はすでに3年目ですが、まだ3年目と言えるほど簡単に抜け出せる世界ではない。新潟もJ2に落ちて戻るまで5年もかかっているので、ことしは森山監督(ゴリさん)のもとで秋に向けて期待が残っていますが、J1昇格プレーオフに残れば御の字というスタンスで、楽しみます。


 試合翌日にはせっかくなので、小倉のリバーシティ北九州、キャナルシティ博多という当時話題になっていたジョン・ジャーディが手がけた複合商業施設を梯子し、そして天神の渡辺通沿いの三越・岩田屋・ソラリアを中心とした商業施設群の迫力、11月なのに歳末か?と見間違うような人混みに圧倒され、降格の傷心の中新幹線で5時間弱の長い帰途についた記憶は鮮明に残っています。それ以来ということもあり、本当に楽しみでした。

 

SUNQパスフル活用
 九州内は主に高速バスで移動。SUNQパスというバス乗り放題の切符が役に立ちました。都市間の中距離バス移動だけで十分に元を取った上、長崎市、熊本市、福岡市での都市内の路線バス移動にも利用することができ、旅先での運賃の違いを気にしながら乗る必要がなく、ストレスが軽減されました。


 SUNQパスは、北部九州3日間券を9000円で購入。他に南九州版、全九州版(これのみ4日間あり)もあり、目的地や利用期間によって選ぶことができます。高速バスや路線バスも全て乗り放題、そして一部のフェリーなども乗れて、北部九州版は1日3000円と格安。下関など山口県の一部も範囲に含まれていること、観光施設の割引クーポンもあり、西鉄バスを中心に、都市間高速バスも、都市部の路線バスも信じられない本数が走っている九州なだけに、非常に使い勝手が良い切符でした。

Sunqmap 

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 これ、東北でも真似してもいいんじゃない?とはいえ、九州の西鉄バスのような音頭を取れる事業者がいればですが、宮交バスはお察しの状況。また、都市間バスはそれなりにありますが、路線バスが壊滅的な都市もあること、面積が広い分、価格を高く設定する必要がありそうということなど、困難な要素は多いですが、インバウンド対策も含めて、検討の余地はあるのでは。東北運輸局あたりで音頭をとって欲しいな。 

 

九州が元気な要因

 本州から離れた島という、一見ハンディにも思える条件ですが、それを感じさせず、逆にメリットとしてしたたかに生き残っている印象です。

1.航空便の発達

 本州からは飛行機の移動が主流になり、東京や大阪からの航空便の本数が確保されているため、格安航空券やツアーが使え、観光客の誘致にはかえってメリットになっている点。

 そして、東京からの距離はあっても、古くからアジアやヨーロッパとの交易などでの交流が盛ん立ったこともあり、また、飛行機でのアジアとの時間距離は2時間圏にソウル、上海、台北と、東京への所要時間と変わらず、地の利をうまく活かしているのは、熊本のTSMC誘致成功も然り。

2.陸路でも本州とつながっている

 戦前から関門国道トンネルで本州とつながり、1973年の関門橋開通で高速道路でも本州と結ばれ、クルマでの本州との行き来も容易になりました。その後、1975年の博多までの山陽新幹線全通、2011年の九州新幹線全通により、博多駅の交通拠点性が高まった上、博多駅を挟み新大阪から鹿児島中央までの直通運転が開始され、航空路線がなかった広島や岡山などからも、熊本や鹿児島まで乗り換えなしで毎時1~2本の「みずほ」・「さくら」で移動することができるように。九州は、福岡空港や宮崎空港を除いて空港が中心都市から遠いこともあり、九州新幹線の全線開業で大阪以西との一体化が進んだことは大きかったと。以下の図は日経記事より引用。

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 特に、広島~熊本は九州新幹線直通の効果は絶大で、1時間35~50分で結ぶというのは破壊的。仙台~東京間に相当するこの間に福岡市・北九州市を含め4つの政令指定都市が存在するのはさすが太平洋ベルト国土軸の延長線というか。

3.”離島”としての一体感と各県の対抗意識のバランス

 面積は東北地方の6割にも関わらず、人口は1.5倍。人口密度だけでも2.5倍と。そもそも適度な集積があります。全国に対して占める割合から1割経済と言われており、大きすぎず、小さすぎずという絶妙の”カタマリ”。

 人口ブラックホールの首都東京に陸路で繋がり、心理的障壁が小さい東北地方と異なり、 首都圏から物理的に離れていることで九州内に留まろうとする意識が強いことも、福岡市が九州の首都として人口増を続け本州に対する人口ダム機能を果たしているという面があります。このような大都市の存在は、北海道に対する札幌が分かりやすい例。 


 自分は東京一極集中解消の観点から道州制が望ましいと長年思ってきましたが、一方実質道州制が実現しているような北海道は、東北地方と新潟県を合わせた面積に匹敵しますが、札幌に人も富も一極集中する一方、旭川、函館、釧路などの拠点都市の寂れ方と周辺部の過疎化、無住化の極端な進展ぶりと課題が山積です。一方、ここまで福岡市が発展しても他県も切磋琢磨し観光地や名産品をはじめ魅力を発信し続けていることが九州の魅力であり、また県庁所在地の活力が失われていないという点もバランスの良さを感じます。九州に関しては現在の各県がそのまま残り、連携するところは九州でまとまるという方法で十分やっていけそうな気がします。くまモンは道州制だったら生まれていたか?


 そんなことを感じながら、各地を周りました。もっと各都市をじっくり腰を落ち着けて回りたかったのですが、欲張り過ぎて本当に駆け足の旅に。

 

次回に続きます。

 

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