アリオ仙台泉がイオンモールに!(その2)
前回記事の続きです。
前回記事
泉中央がおかれてきた状況について、前回記事で整理しました。
南の拠点長町と泉中央との大きな違いは、分散型の長町と一極集中の泉中央。地下鉄の終点故全員下車し、バスや送迎、自転車、徒歩などの別の交通モードに移行するにあたり、乗降客4.8万人が行き来することでのビジネスチャンスが大きいこと。一方、以遠に行く方にとっては、乗り換えが面倒である他、車で直接目的地に向かうという誘因が生じること。
一方長町駅は、地下鉄も、JRも通過駅で素通りされることが多い。ただし、地下鉄・JR駅の合計乗降客数は3万5千人程度ながらも、相互の乗り換えがあること、通過客が途中下車することが可能であり、特にJR(アクセス線含む)は高架で街並みをアピールすることができることから、潜在的なビジネスチャンスにつながること。また、長町エリアにはJRでは他に太子堂駅、地下鉄では長町一丁目駅と長町南駅があり、最寄りの駅を使って都心部と直接行き来することができることから、薄く広く利便性の高い街が広がっていることも、メリットであります。
それぞれ特徴を持っていますが、泉中央に関しては、現時点で裏目に出ているような状況です。
厳しい商業ポテンシャル
2年間以上も棚ざらし状態だったアリオ跡地ですが、オーナーである住友商事(住商アーバン開発)もセルバ・セルバテラスと連携した形での商業施設としての再開を模索していたと考えるのが自然。
他のヨーカドー跡地で、青森店や弘前店、五所川原店、花巻店、そして新潟中心部のIY丸大もロピア(ヨドバシビルに続いて近隣での出店を計画していた)が後釜に入っているのに、周辺人口だけであれば他の店舗跡と遜色ないどころか、地下鉄ターミナルのマンション林立エリアでありながら、すぐに白羽の矢が立たなかったというのは、大家が住友商事であり、セルバ・セルバテラスと一体での商業施設として再生することを目指していたと。
それが結果的に再生できなかったというのは、セルバ・セルバテラスの売り場面積が約1.5万平米であるのに対し、空きビルとなっている旧アリオの売り場面積が約2万平米と、SCを実際2倍以上に増床するようなもので、現在のセルバ・セルバテラスを維持するのでも精一杯というところ。
セルバも徐々に空きテナントが増えてきたところで、GUも地域一番の売り場面積で進出したり、八文字屋書店からダイソー3業態(スタンダードプロダクツ、スリーピー含む)に入れ替えたところなどなど、賃料はかなりディスカウントしたのだろうなと。
しかしダイソー3業態は近隣でもイオンタウン泉大沢の広大な空きフロアを活用して出店したばかりで、物珍しさは薄れているところ。セルバ1階の食彩館はスーパー機能の代替として好調ですが、住友商事としてアリオの6層のフロアは広すぎ、縦に長すぎる。
そしてあのバブル感満載の吹き抜けがあるフロアの活用のし辛さなど、手詰まり感があったと。
何より、セルバ・セルバテラスに出店している店舗は、周辺に林立しているイオンをはじめとした郊外型SCでも手に入るものばかり。
とどめを刺したのが、学院大の泉キャンパス撤退で、駅前を経由して路線バスを利用して通っていた学生が一気に消えてしまったこと。
イオングループ寡占化が進む仙台圏
イオンモールが土地建物を取得したことで、ニュースでインタビューを受ける市民からは歓迎ムードを感じますが、「建物を活用するかどうかは不明ながら、将来性から取得した」という企業側のコメントからも、本気で力を入れる物件とは思えないのです。
「仙台の北のポテンシャルの高いエリアなので取得した。地元の人にヒアリングし、リサーチを重ねて何が必要かを検討したい」
今後について「魅力的な施設づくりを通して地域の皆様と共に、仙台市のまちづくりに貢献してまいります」
というのも、このアリオ(ヨーカドー)を閉店に追い込んだのはイオングループであること。
そもそも、将監トンネルの先の4号バイパスとの交差点脇にあった旧ジャスコ泉店(閉店後「いずみパワーモール」としてしばらく存続)を撤退に追い込んだのは当時のヨーカドー仙台泉店。その敵をとるかのように、イオンがヨーカドー包囲網を敷いたのは(その1)で述べたとおり。
泉中央の活性化のために進出するのであれば、まだ30年余しか活用していない建物の再利用前提で、”なるはや”での計画を進めるはず。それが、上述のような期待はさせても具体的な中身がない発表では、「急いでやる気はありません」ということ。結局耐震補強を理由に休止した仙台フォーラスのように、期待だけさせておいて放置という戦術なのではと。
更に建物を再活用しない可能性もあるとのことで、その場合土地面積は1.2haしかなく、イオンモールにふさわしい規模感は確保できることは期待薄。
というのも、結局イオン寡占化が進んでいる仙台都市圏北部。(仮称)イオンモール泉中央 に力を入れるにしても、その売り上げはゼロサムゲームであり、他のイオンの店舗が減ってしまうだけであれば、力の入れ具合は限られてしまう。
そもそも、アリオの建物再活用のとどめを刺したのは、昨秋にオープンした都市型店舗「イオンモール仙台上杉」が青葉区北部(地下鉄南北線北側)の需要を抑えにかかったからであること。
更に、アリオの建物を活用したとしても、商業床面積が約2万平米と、イオンモール仙台上杉の2/3程度。規模感としては、東西線卸町駅前の「イオンスタイル仙台卸町」と同規模で、この規模ではGMS中心で専門店の導入は限定的。そもそもセルバ・セルバテラスが専門店街の役割を果たしていることから、イオンモールのリーシング力を活用して専門店を誘致しようとすると、完全にセルバ側とガチンコで競合してしまう。
全国でもイオンモールとしての最小店舗と言われているのは、東京都日野市の「イオンモール多摩平の森」で商業床面積が2.4万平米であり、それより小さければ、イオンモールの魅力が発揮できない。そうなると、イオンモールとして再オープンさせるためには、セルバ・セルバテラス側も買収し、売り場面積3.5万平米規模で、駐車場も共通利用してという形にならないと厳しく、そうなると5年スパンで待たされる可能性も高いと思っています。
イオンタウンあすと長町の再来?
なお、このブログでもしょっちゅう言及してますが、あすと長町の集客施設と期待され長町駅東口の保留地2.7haを2012年末に取得したイオンタウンは、駐車場状態のまま早13年以上放置されながらも、現時点でも具体的な発表が行われていません。
イオングループの中で 卸町→名取増床→新利府出店→上杉 と続き、ようやく長町の計画が動くのではとは言われていますが、そもそも南部エリアはイオンモール名取とザ・モール仙台長町(トライアルが買収)が競合している商圏で、(仮)「イオンタウンあすと長町」はその両モールに規模間で勝ち目がないことから、急ぐ理由はないんでしょうし、再開発地「あすと長町」のど真ん中の虎の子の土地を13年間放置し続けていることなど、街づくりへの協力という視点は薄いのは明らかです。忘れている方も多いでしょうが、住友不動産と共同で土地入札し、住友側は「シティタワー長町新都心」として9年前に分譲されているのに、共同事業の商業施設部分がここまで遅れるというのも信義則に反するとしか。
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泉中央の将来性を左右する半導体企業誘致の動向
そうなると、土地・建物の取得理由として「仙台の北のポテンシャルの高いエリアなので取得した。地元の人にヒアリングし、リサーチを重ねて何が必要かを検討したい」というコメントが気になります。
泉区役所再整備は今年の10月に完成し、東北労金の本社機能の移転などで就業人口の増加が図られ、イベント広場の活用など、賑わいが生まれる見込みで、泉中央エリアの定住人口増の要素としては、徳洲会跡付近での泉中央西土地区画整理事業の造成工事が始まり、建物が建ち始めるのは2030年ころ。そのほかは (その1)でも言及し、過去記事を紹介したミヤギテレビ新社屋は2030年以降と言われており、まだだいぶ先。
よって、これだけでは「北のポテンシャル」というのには弱すぎる。泉中央駅を起点として整備する構想の富谷市ロープウェイ(ジッパー)も、仙台市の郡市長が否定的なコメントをしている状況など、実現性は不透明で、そもそも現在のバス輸送分の振替でしかない。
そうなると、例の大衡村への進出が撤回されたPSMCの後継となる企業誘致への期待ということに尽きるのでは。
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先月に突然ニュースとなり、即座に企業側から撤回された、韓国半導体大手のSKハイニックスの日本へのメモリ工場建設の話が生きていることに期待するところですが、それ以外の企業になったとしても村井知事は粘り強く誘致活動を続けているようです。
工業団地としての条件は、高速道路アクセス、工業用水、地盤の強さなど優位点がいくつもあります。
ただ、母都市となる仙台から25㎞の距離というのがネックのところ、中継点としての泉中央駅エリアの拠点性が上がるとしたら、その状況を見据えて、土地を確保したということも。
あくまでも可能性ですが、そうなるとイオンモールが泉中央の将来性を評価してくれたことは悪い話ではないにせよ、なおさら短期的な商業機能の復活というのは期待薄ではと、考えれば考えるほど厳しいように思えてなりません。
いろいろと、現在の取り巻く状況から予想してみました。泉中央としてはプラスになる話ではあり、今後朗報が飛び込んでくることを期待したいと思います。
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