県政

2025年6月22日 (日)

課題満載 仙台東道路の4ルート案公表

 ルートが具体化しつつある仙台東道路。過去記事として10年以上前に記事にしていたので、雑感などはそちら参照。


過去記事


 東北道の仙台宮城ICから都心部を結ぶ仙台西道路は昭和58年度に全通し、東北道からに限らず愛子地区からのアクセスを革命的に短縮した無料の高規格道路として欠かせない幹線道路となっていますが、その西道路に対する東部道路方面の仙台東道路、そして泉方面の仙台北道路、長町方面への仙台南道路は構想路線として30年以上前から存在しながら、事業化に至っていない仙台都心部に向かう高規格道路群。その中で、西道路に対して整備されればバランスの良い仙台東道路の4つのルート案が国土交通省から出されました。

仙台東道路計画段階評価第3回説明資料

Wwwthrmlitgojp2

 そもそもルート沿いに整備された東部道路のコロナワールド付近から広瀬通へ繋がる元寺小路福室線は、基本的に片側3車線で都市計画決定され、中央分離帯への高架橋建設も十分可能は幅員であり、近年は架け替えられた宮城野橋から仙台駅東口第二土地区画整理事業部分が立派に整備されました。仙台医療センター東側のJR貨物線をくぐる部分のみ片側1車線になっていますが、一応全線通れるようになっています。

Wwwthrmlitgojp

 なので、ルートはこの元寺小路福室線沿い一択かと思っていたところ、今更4つのルート案が公表され、正直ずっこけました。

Wwwthrmlitgojp3

 都心部は、3通り、仙台駅以東は、4通り ですが、基本的なルートは都心部の3通りに対応しています。

都心部(仙台駅西)

  仙台駅東~東部道路

①定禅寺通経由

45号線経由

②広瀬通経由

元寺小路福室線経由

元寺小路福室線+原町岡田線経由

③青葉通経由

産業道路経由

 そもそも仙台東道路は、東部道路から元寺小路福室線の仙台駅東(アンパンマンミュージアム付近)が終点であれば、整備の困難度はそれほど高くないですが、そのような形にしてしまうと、西道路から吐き出され、東道路に向かう大量のクルマとトラックが広瀬通を経由し、今以上に都心部の幹線道路が麻痺してしまうことが容易に予想されることから、東道路は西道路と直結させて、一般道への影響を極力小さくするして整備することが前提とされ、一気に整備のハードルが高くなってしまいました。

地下前提の都心部エリアも困難だらけ

 そうすると、仙台駅東方面は整備費から高架道路一択ですが、仙台駅西口エリアは正直首都高のような高架道路はちょっとあり得ない。 


 例えば、定禅寺通や青葉通を高架道路が走る形になるのは、仙台市のシンボルケヤキ並木への影響が大きく、仙台市や市民が許すわけがない。この2つの通りとの比較で、広瀬通はまだイチョウ並木なので、まだ伐採して中央分離帯に高架道路を整備するのは不可能ではないでしょうが、それでも沿道にビルが立ち並び4~5階の高さに高架道路がというのはほぼ商業・業務系のビルとはいえ、杜の都のイメージを棄損することになり、簡単ではない。

 広瀬通では、アエル近辺の車線増のために中央分離帯のイチョウを10本伐採した際に、結構問題になった覚えもあります。広瀬通でさえなので、定禅寺通と青葉通は不可能でしょうね。


 そうなると、地下トンネルしかないにせよ、広瀬通は地下鉄南北線広瀬通駅と駐輪場が一部地下に位置していること、さらに青葉通は地下鉄東西線と、青葉通地下道、駐輪場、そして仙石線あおば通駅と、ほぼ全線にわたり地下に構築物があることから、広瀬通より条件は厳しく、大深度でなければ無理じゃない?

 そうなると、地下の構築物が勾当台公園付近で地下鉄南北線をくぐる部分のみとなる定禅寺通の条件が良さそうですが、それも地下鉄東西線青葉通一番町駅建設の際に多くのケヤキ並木が伐採され、いつぞやの市長がケヤキの精発言をしたり、地下鉄反対派が乗ってきてケヤキ伐採反対運動を繰り広げるなどした記憶が思い起こされ、地下を通すにしても結構大変そうです。

 定禅寺通自体は、車道減少で歩行空間拡大に向けた再整備を実施しているところで、その計画にも大きな影響が出てしまう。このシンボルロードの地下に時代遅れの地下道路を通すということが許されるのか。

 どのルートであってもそれに地下を通す場合、それなりの大深度が前提となることから、西口側(特に仙台駅付近)で地上への出入口が設置可能な場所も限られ、換気口の設置場所を含め、どのような手法になるのか想像がつきません。

東側は高架一択にしても。。。

 そもそも国道45号線ルートが出てきたのがよく分からない。幅員も狭く、仙台港北IC付近で三陸道に接続するにしても、現道の幅員が狭く曲がりくねった区間もあり、このルート沿いで整備できるイメージが湧かない。もっとも整備距離が長く、三陸道松島・石巻方面に向かうのであれば距離が短縮されるにせよ、空港や常磐道方面との行き来を考えると、非常に遠回りになり、需要が見込めない。地下が最も通しやすい定禅寺通りとセットで検討した結果なのかもしれませんが。。。

 また、地下整備が最も困難な青葉通に対応して、産業道路(新寺通)へつなぐルートを見る限りは、地下鉄南北線が通る愛宕上杉通と上に在来線と新幹線が通る新寺ガードが含まれ、正直あり得ないルートとしか思えない。

 なので、結局整備するとしたら②の広瀬通⇔元寺小路福室線(or原町岡田線)しかないのでは。

 元寺小路福室線がネックになるとしたら、防衛上、自衛隊苦竹駐屯地を見下ろす形となる高架道路を整備することの妥当性や、新県民会館への振動の影響などが考えられますが、他のルートよりは解決が容易。先日交差点立体化工事が終了し開通した4号線バイパスの箱堤交差点との接続の困難さを考えると、平面交差の卸町交差点へ接続するために1本南側の原町岡田線にルートを振るという可能性もあるのか。

 インターは、西道路終点付近、仙台駅西口付近に1か所、広域防災拠点付近に1か所、国道4号バイパス交差点に1か所、あとは東部道路へJCT形式で直接接続が前提でしょう。

事業化へのハードル

 正直、構想が出てからの検討時期が長過ぎ、建設工事費の高騰が進んでいる今、整備の時期を逸してしまったという感想になってしまいます。

 約20年前工事が行われた秋田中央道路(片側各1車線、秋田駅の東西を地下トンネル構造、2.55㎞で事業費約700億円)を考えると、仙台都心部の地下トンネル工事のみで1,000億円は下らない。20年以上前に整備された仙台東部道路の高架区間(仙台東IC⇔仙台港北IC:5.2km)が520億の整備費とのことなので、仙台駅東側を高架で5㎞以上をこれから整備する場合はゆうに1000憶は超えるだろうし、そうなると全線で地下鉄東西線を超える2500憶~3000憶程度のビッグプロジェクトになってしまう。

 そうなると当然ながら無料通行を前提にはできず、都市高速的な有料道路としての整備が前提となるでしょうが、普通車通行料を仮に5~600円としてどの程度の利用が生まれるか。西道路との直結を前提とするのであれば、西道路を組み込み有料化し、料金収入を上積みすることも必要になるかもしれない。また、仮に2030年頃に事業化されても全通まで15年程度はかかるだろうから、そのころには交通需要も低下し、事業として成り立つかどうか、見通しは暗いのでは。

 そもそも、幹線道路が各2本以下と限られる北・南・西方面と異なり、東方面は利府街道、国道45号、元寺小路福室線、産業道路と、都心部からの幹線道路が4本整備され、整備水準は高い状況。

 今回のルート案公表で正直事業が前に進むのかと思ったら、まだこの段階の検討だったのかと拍子抜けとなってしまい、事業化されれば嬉しいにしても、ここまでのルート条件、事業採算性の厳しさから、トーンダウンしてしまいました。

 そもそも、仙台市は、地下鉄東西線を整備することで、都心部を含めた自動車交通量の減少を見込んでいたはず。定禅寺通りの車線減少もその一環。その前段で都心部を取り囲む自動車専用道路を整備し、通過交通の排除を進めていながら、環状道路は有料道路であることから、結局、仙台宮城IC⇔西道路⇔広瀬通 という無料ルートに大型車が流入してしまっています。この東道路を進めることで、都心部へのクルマの流入を促進することとなり、これまでの流れに逆行することとなるのでは。

 福岡や広島のように、都市高速が整備され都心部への自動車アクセスが向上することで、高速バスの定時性も高まるなど、良い効果は見込めるにしても、正直これから改めて事業化を進めるのは厳しいなぁと改めて感じた次第。

スポンサーリンク

 


 

| | コメント (0)

2025年5月25日 (日)

スターフライヤー 福岡ー仙台便 10月就航へ

仙台空港は、空港利用者数や仙台空港アクセス鉄道の利用者が過去最高を更新するなど、遅ればせながらインバウンドの効果もあり、コロナでのダメージからようやく脱しつつあります。

 Img_0002

 仙台空港は、昨年末からの不思議な香港便3社就航ラッシュ(妙な噂で予約が急減し、夏季期間は運休や減便が生じるのは残念ですが)、タイガーエア台湾の7月高雄便新規就航など、国際線中心に路線網が拡大している状況です。

アクセス鉄道の混雑問題

 インバウンド利用者は、分かりやすい公共交通機関である鉄道の利用率が高いためか、国際線の到着直後の便を中心にアクセス線の混雑が激しく特に2両編成の電車の混雑が問題になっています。

 地元マスコミで記事やニュースになり、仙台空港鉄道の運営会社でも、「これ以上の増便は難しく、JRと協議して極力2両編成を4両編成にしたい」とのコメントを出していますが、空港鉄道株式会社単独での車両増備は難しいようで、JRと協議するとのこと。

 そもそも、特に積み残しが発生しているのはJR東北本線名取ー仙台間であるので、JRに対応してもらうのは理にかなっており、JRの車両をあてにするとすれば、電車区で昼間寝ている車両を1編成持ってくればとのことなので、不可能ではないにしても、仙台地区のJRはもともと車両の余裕がなく、最低限の配置数になっていることから、JRが首を縦にふるかどうかは分からない。

 また、全て4両編成になっている分、概ね30分間隔の朝夕時間帯を、昼間ど同様に20分毎にするためにも、JRの車両をあてにするしかないですが、6両編成を増やすべき東北本線の朝夕ラッシュ時で4両編成を走らせ混雑している状況からすると、これ以上東北本線の車両を減らし、空港線を優先というわけにもいかないのでしょう。アクセス線利用者数でいうと、開業当初の目標である1日1万人はクリアしながらも、例えば、東北本線の岩沼駅1駅だけでアクセス線内3駅合計を超える利用者がいますし。


関連記事


まさかのスターフライヤー就航

 このような状況の中、突然飛び込んできたのが、北九州空港を本拠とするANA系のスターフライヤーの福岡ー仙台便新規就航。

10月以降に2往復での就航という内容で、プレスリリースがなされました。

Brave_screenshot_wwwstarflyerjp

 

 現在は、仙台ー福岡便は、仙台空港を本拠とするIBEXが5往復と、JALが2往復、計7往復と、地方空港同士を結ぶ路線としては、IBEXがボンバルディアの70人乗り、JALが95人乗りと、小型機で多頻度運行を行っていることで、IBEXとJALを合わせて座席数として540席/人 と中型機だと3~4便相当となるので、7便というのは比較的利便性が高い状況です。

 特に、仙台空港を本拠とするIBEXの路線の中で5往復を飛ばしているのは福岡空港のみで、同社の主力路線であり、朝の7時35分仙台空港発で福岡空港には10時前に到着することができ、帰りも19時過ぎの便で仙台空港着が21時前の到着と、滞在時間が長くとれるのがメリット。なおIBEXは福岡空港でも夜間駐機しているので、福岡→仙台の利便性も同様に高いことも、利用率が高く5往復をキープしている要因と思われます。

 自分も、昨年の九州旅行で利用しましたが、ANAのコードシェア便としてセール対象になっている時は片道1万5千円以上で、他のセール対象路線と比較するとやや高め。先日のANAセール時に、伊丹や広島便が1万円を切っていたのと比較すると。

 このような状況の中、中型機で運行するスターフライヤーが2往復というのは驚きました。


 以前、元祖格安系のスカイマークが仙台ー福岡便を2013年春から中型機(177人乗り)で2往復運行していたことがありましたが、2015年のスカイマーク破綻のため2年程度で運行停止になってからは、基本的に小型機のみの運行になっており、運賃も高止まりしています。ピーチの路線開設に期待していましたが、IBEXとの関係なのか、これまで就航はかなっておらず、そもそもピーチは仙台空港での路線展開は小休止で夜間駐機も廃止している状況。一応空港運用時間の条件付き24時間化は実現しましたが、福岡、那覇、新千歳など、他の有力空港での拠点化が次々と実現した今、仙台空港の優先順位は低くなってしまいました。


関連記事


 スターフライヤーは黒づくめと航空機としては異色かつ重厚なデザインと、革張りのシートが売り。24時間運用の北九州空港を本拠地とし、羽田22時頃で北九州空港に23時40分に到着する便を運航するなど羽田便を11往復運行していますが、北九州空港からは羽田便以外の運行は厳しいようで、それ以外は、近隣の福岡空港や山口宇部空港発着便というのは、厳しい現実。

 この仙台便も北九州ー仙台として、福岡空港発着の既存2社の路線と差別化する方向性もあったかと思いながらも、やはり、目的地が福岡市内もしくは、博多駅乗換で他の県庁所在地(熊本、鹿児島、長崎等)であれば、九州新幹線や乗換となり博多駅から地下鉄で5分という驚異的なアクセスの福岡空港に対し勝ち目はない。福岡空港へは各都市からの高速バスも経由しており、博多駅までで出なくとも移動できるし、都市高速も直結しているので、レンタカーでも移動が容易。

 そうなると、北九州空港発着であれば、運賃で訴求しないと厳しく、それであれば、競合がありながら、多くの需要が見込める福岡空港を選択するのは当然ながら、本拠地空港なのに運行路線が1路線のみというのは、地元の北九州市としては歯がゆいでしょうね。

 もちろん、この仙台便開設の背景として、福岡ー中部便が6往復から3往復に減便した分の発着枠と機材を活用してということがあるので、その合間の就航ということからすると、福岡空港発着というのが自然ではあります。

 ただ、気になるのは、中型機の162席の便で運航することから、2便で324席と、従来の7往復で540席から864席と約1.6倍に増え、供給過多が予想されます。もちろん、運賃競争が激しくなれば、他路線の運賃からすると最安9,600円から九州に行きやすくなり(昨年IBEXで行った際は、セール以外の2か月半前予約で往復4万円程度)ますが、気になるのはスターフライヤーもIBEX同様ANA系で、コードシェア対象になりそうなこと。そうなると、IBEXが5往復そのままというのも考えづらく、3往復程度に減便し、差し引き変わらない7往復という可能性が高いのではと。それでも、180席/日 程度は供給数が増える(計724席)ので、十分かと。

 IBEXが減便するとしたら、その分をスターフライヤーが3往復減便した福岡―中部便(現在IBEXも同路線を1往復のみ運行)の穴埋めをするか、IBEXとして仙台空港発着の新路線(鹿児島?)を新規就航するなど、ANA系としての路線再編成の一環なのではと、勘ぐってしまいます。

 というのも、運営会社の仙台国際空港では、昨年路線拡大の構想を表に出しており、過去就航路線の再就航として、南九州(鹿児島?)や四国(松山か高松?)あたりを想定し、航空会社に働き掛ける意向があることが判明しているためです。

 スターフライヤーの就航は10月以降とのことで、冬ダイヤからの運行でしょうから、IBEXの冬ダイヤがどうなるかも注視して行こうと思います。

 

スポンサーリンク

| | コメント (2)

2024年12月25日 (水)

ようやく仙石線新型車両投入!

 しばらく仙台関連のあまり良いニュースがなく、来春のJRダイヤ改正でも仙台エリアの在来線にほぼ動きがないなど、特にネタがなく更新が途絶えていましたが、久々に朗報です。

 故障続きで現在の205系の限界が囁かれるどころか声高に叫ばれている状況の中、車両置き換えについては首都圏からの車両改造転用説や都市郊外線区用のE131系の導入など様々な噂や情報が出ており、最終的に、E131系14編成の導入に落ち着き、ようやくJR東日本から昨日公式に発表されました。

  


プレスリリース

Senseki_20241225220201


 

 この車両は、4ドアで2〜4両単位が基本で、房総地区を皮切りに近年日光線、宇都宮線(宇都宮ー黒磯)、相模線、南武線支線などに様々なアレンジが行われながらも導入が続いてきました。

 仙石線導入にあたっては、

  • 従来どおりの4両固定 or 2両編成×2 (末端での2両編成運転を可能とするため)にするか
  • 従来の205系と比較しての拡幅車体が入線できるか
  • 4両×14編成と噂された編成数で運用が可能か

 など、待望の新車導入の方向性への期待の反面不確定要素があり、他線区でも導入時には短編成化や車両の削減からの減便、ワンマン化対応などのコストダウンの取り組みが含まれていることから不安もありました。結果的に現在と同じ4両固定ながらも編成数が減る形となります。

 ほぼ1年後の2025年冬からの置き換え開始とのことで、全編成置き換えの後はワンマン運用が行われるのは省力化の流れです。

 仙台市地下鉄南北線の車両置き換えは2024年度は1編成のみで、5年位のスパンで全編成置き換えとなることと比べると、JR東日本の資本力と自前の車両製造工場の製造能力の違いを感じます。

 

編成数の減少の影響

 上述の仙台市地下鉄南北線は同じく4両編成で21編成の置き換えを予定しているのに対し、仙石線は2/3の14編成。現在の編成数16→14と、既報通り2編成も減少となります。

 運行時間も、南北線の全線28分と対比すると、高頻度の複線区間(東塩釜ーあおば通)の所要時間が約30分で対応しますが、さらに東塩釜以北の石巻までの区間で少なくとも毎時1往復することを考えると、実質的に、南北線の半分程度の頻度で運行している現在の本数を確保するのが精一杯。一定の予備編成を確保することになるので、朝ラッシュ時の減便がセットになることは確実かと。

  南北線 仙石線(複線区間)
朝ラッシュ 3〜4分毎 6〜9分毎
昼間 8〜10分毎 10〜20分毎
夕ラッシュ 5〜6分毎 約10分毎
夜間 8〜12分毎 15〜20分毎

 正直、沿線人口および駅利用者数を考慮すると南北線の2/3程度の本数が適正なのでしょうが、沿線人口の高齢化が進み、新規の開発余地も小さくなっています。沿線の中では新しい街と思われている小鶴新田駅エリアで駅前に久々に大規模マンションが分譲されましたが、新駅開業から20年も経過している現実。ここ10年で、高齢化に加え、仙石東北ラインの開業による沿線通過人員の減少の影響もあるのでしょう。

 朝ラッシュの仙石線(多賀城以西)はかつて東北本線(仙台ー岩沼)と同様に5分間隔ダイヤを実施した時期がありましたが、現在は南部方面はアクセス線分で名取以北は更に最短4分間隔と増便になってる一方、仙石線は6〜9分間隔と徐々に減便傾向となっていることも、多少南側に並行して運行する東西線と比較して、運行の安定性、駅や車両の古さ、本数の少なさ故、比較して新たな転入者が仙石線を選ばなくなってきていることの影響が生じていますね。

 新型車両の導入で、少なくとも故障運休の多発を含む車両への不満は改善されるのに、編成数の減少から減便が確実視されるのは残念な限り。せめて、多賀城以西の本数は維持して欲しいもの。

 そして昼間の松島海岸まで20分毎のダイヤも、仙台近郊の利用者にとっては非常に使いづらい状態が続いていますが、増発は期待薄。


過去記事


 新型車両への置き換えとはいえ、仙石線は石巻側が仙石東北ラインのハイブリッド車両も乗り入れていること、利用者減から本数が整理される可能性もあることから、それを踏まえての新型車両の2編成減なのかも。仙石線全体で仙石東北ラインと合わせた適正な車両運用を模索していくことになるのでしょう。

JR東日本 運賃値上げについて

 先日、令和8年からのJR東日本の運賃値上げが発表されました。

 ドル箱区間、特に東京都心の電車特定区間の廃止による幹線料金への統合による大幅値上げがニュースになった反面、それ以外の地域の値上げ幅については、妥当な範囲に感じました。

 仙台近郊の主要区間は概ね切符購入で10〜20円アップ、ICカードで概ね10円未満のアップととなり、ICカードの方が必ず安くなるように改正されます。


  •  150円→160円[IC155円](あおば通↔︎宮城野原)
  •  190円→200円[IC199円](仙台↔︎長町・北仙台・小鶴新田・東仙台)
  •  200円→210円[IC209円](仙台→南仙台・国見・中野栄・岩切)
  •  240円→260円[IC253円](仙台↔︎名取・陸前落合・多賀城・塩釜)

 と、初乗り210円、次の区間250円の地下鉄と比較しても、十分安いレベルは保たれます。

 競合区間の仙台↔︎長町・北仙台では、運賃差が約60円→約50円に縮まるとはいえ、JR200円、地下鉄250円と大きく変化はありません。

 さらに通学定期は据え置きと、かなり影響が小さくなるよう配慮した運賃値上げだったように感じます。

 JRの運賃が安い水準に保たれているのは有難い限りですが、正直この運賃では首都圏はともかく、地方部では利益が出るはずはない水準です。

 JR東日本の職員の給与水準は基本的にエリア内でほぼ変わらないでしょうから、コストは相対的に地方部が高くなるのに対し、運賃が市地下鉄よりも安くては、残念ながらも運行水準が低くなるのは当然なのでしょう。


 JR九州における福岡、JR北海道における札幌は、各会社のお膝元であり、ここで儲けなければということになり、運行水準は快速の運行、新駅の積極的な設置と、本州会社のエリアの仙台や広島と比べ力を入れていながらも、それでも大幅な利益が出ていたわけでもなく、駅ビルなどの不動産業を積極的に展開しており、それでも厳しい分は2025年4月から民営化後実質2回目の大幅運賃値上げを強いられます。JR北海道は初乗り210円、JR九州は200円と、それ以上の距離帯も市営地下鉄と同水準まで値上げするとか。


 

 利益確保に必死な3島会社でこのような状況であり、JR東日本エリアの地方路線は、首都圏や新幹線の利益で成り立っているのは変わらず、コストを回収するために地方部で公営地下鉄レベルへの大幅な運賃値上げを図ってもその分利用者が減ってしまい、運行本数の増加、新駅の設置、設備改善などを図ってもらうほどの利益が出るわけではない。 なかなかうまく行かない未来になってしまう。

 そうすると、行政側の支援でサービス水準の底上げを行う手段もありますが、JRは県を超える広域エリアを運行しており、仮に仙台市だけで車両購入や運行費の支援するのも難しい。そうすると、新駅設置や高架化・橋上化など駅設備の更新などのインフラ整備位ですが、運行本数の増までには至らず、路線として劇的な利便性アップには至らない。仙台市も予算に限りがあり、以前は岩切駅の橋上化、現在は福田町駅の移転、南仙台駅の西側新改札開設に向けた調整で精一杯で、仙山線の高架化などは優先順位が後回しと、できることからやって行くしかなく、利用者の大幅増を図れるような切り札はそもそもない。

 仙台近郊での行政の投資が有効だった実例は、県を中心とした第三セクターを設立して建設した、仙台空港アクセス鉄道。名取↔︎仙台 が東北本線への乗り入れ前提だったため、アクセス線の40往復以上が純粋に増発され、東北本線部分の利便性は大幅に高まりました。運行本数増を図るにはこのような方法しかないかと。仙台市は、自前の交通局でJRと競合する路線を運行・維持するのに精一杯で、なかなかJRへの直接的な支援も行いづらい状況にあったりします。


 富山県では、北陸新幹線開業で三セク化されたあいの風とやま鉄道を核に、飛地で残るJR城端線、氷見線の運営を受け入れ、利便性アップを図ろうとしています。富山市では、旧JR富山港線の運営移管とLRT化(現在は富山地鉄市内電車と一体化)の実績があり、引き続き市域で完結するJR高山本線の運営移管の動きもあります。

 これは、JR西日本としてもエリアの端っこの運行効率の悪い赤字ローカル路線の運営移管というメリットがあり、WINーWINの関係になるでしょうが、仙台は新幹線を含めて東北エリアの路線網の中心でJR東日本が東北本部を置いているなど、関連事業運営を含め重要拠点であり、県内でJRが名指ししている陸羽東線や気仙沼線、石巻線の行く末が不明な中、阿武隈急行に対しても非常に冷淡な知事が大荷物を背負う選択を積極的に進めるわけもなく。


路線バスの値上げも

 仙台市営バスと宮城交通グループの運賃も平均15%程度の値上げを計画しているとのニュースが出ています。

 先にニュースになっていた市営バスが2026年10月からの値上げ計画であるのに対し、宮交バスは2025年3月からとすぐに値上げされることに。ついこの前値上げしたばかりのような気がしますが、値上げ後も減便と終バスの繰り上げが続き、泉区のパークタウン、富谷方面、南では山田方面以外の宮交バス沿線では、21時頃に終バスと大幅前倒しになっており、正直通勤で使うには厳しい状況になっています。知り合いで終バスの大幅前倒しで「まともに残業できない。毎晩駅からタクシー」と、宮交沿線からJR沿線へ引っ越した人を知っています。そのように住宅地の価値も落とし続けることになるでしょう。

 今回発表された情報からすると、初乗りが200円と大幅値上げとなり、ほぼ確実にJR線や地下鉄よりも高くなり、客離れが進む一方でしょうね。

 市営バスの値上げが行われる26年10月までの1年半は、並行路線でも著しい運賃差が生じることとなり、特に、市主導で運行間隔の調整を行い実施にこぎつけた「八木山ライン」は、極端に宮交を避ける動きが起こり、せっかくの取り組みが無駄になってしまうことが予想されます。


関連記事


 運転手不足を理由としていますが、前回値上げしてからもひどくなる一方。政令市の民営バス会社でこんなひどい状況のところはないのでは。地元紙もこれに関しては事実を淡々と報じるのみ。 市バスには、住民の感情的な意見をぶつけるのに。

 正直宮交バスは、公共交通機関としての役割を放棄しつつあるように感じます。値上げをしても、とても状況が改善するように思えない。県外名古屋系の名鉄資本に任せ続けるのではなく、栃木、福島や岩手のバス会社を買収しているみちのりHDの傘下になった方が、よっぽど永続的な運行につながるように思える。

 一方、市バスは、責任を持って夜間帯の運行本数を確保してきましたが、減便はやむを得ない状況にはなっています。それでも公営交通としての責任感からなるべく22時頃までは終バスを確保すべく努力しています。市バスについては、住民や市議会の反対から大規模な路線見直しが難しい状況であり、特に東西線のフィーダー路線など、ほとんど1〜2人しか乗っていないような路線を廃止するなど、悪平等となる平均的な減便は避け、鶴ヶ谷、桜ヶ丘などの主要路線への資源集中を図る方向性の方が望ましいと思っています。

 市バスの値上げは、おそらく地元紙が反対意見を煽って、予定通りにはならないでしょうが、消費税を除いた実質的な値上げは25年ぶりとなり、これはやむを得ないのではと考えます。

 公共交通全体として、特に乗合バスは厳しい状況が続きますが、仙石線の新型車両導入という、クリスマスプレゼントのようなニュースのほか、ちょっと前に東西線の利用者が順調に増え、R5年度はコロナ前を超えて過去最高を記録したというニュースもあり、人口が頭打ちになる中で基幹系交通機関としての鉄道の優位性が増していく流れになっているのは、悪い話ではないように思えます。

 

スポンサーリンク


 

| | コメント (0)

2024年8月19日 (月)

九州旅行編(その1) 久々の仙台空港&アクセス鉄道

 7月に北部九州旅行へ。5日間で足早に回りました。

 以前は1~2年毎に飛行機でどこかには出かけていたのに、コロナ禍のため空港利用は北海道旅行以来ちょうど5年ぶり。

スマホでチェックインができるようになっていたり、いろいろと進化していますね。

仙台空港拠点のIBEX

 今回は、仙台⇔福岡便を往復利用して行ってきました。IBEX(ANAコードシェア)が5往復、JALが2往復で、地方都市相互としてはまぁまぁの便数。特にIBEXは仙台空港が拠点なので、朝一の便が7時35分と早く、現地での初日の時間を長くとることができました。ボンバルディアの70人乗り
小型機を活用するリージョナルジェットのIBEXが仙台空港を拠点にしていることで、広島便も時間が選択できる最低限の3往復確保され、他社がメインの他路線でも、各3往復程度と補完の役割を果たしてくれています。

 バスのような4列シートのため、窓際を指定できる確率が1/2という点は嬉しい。


(8/21追記)

 ピーチは関空、那覇、成田に続き2017年から4番目に拠点化されながらも、その後新千歳、福岡、中部と国内の主要空港も拠点化されると、ピーチとして相対的に仙台空港の位置づけが低下したということが明らか。コロナ禍後は2019年にスタートした夜間駐機も中止され、 沖縄便と台北便の運休や、札幌便の減便、関西便の始発が午後になるなど、親会社ANAとの兼ね合いもあるのかと邪推してしまうほど、露骨に利便性が低下している残念な状態なので、これ以上の路線拡大は期待できない。

 一方、IBEXであれば、定員70名ということから中型機では就航が難しい都市への新規便の可能性があるのかなと思っており、IBEXが現在就航している空港で、仙台空港からかつて就航していた鹿児島へは仮に1日1往復でも5往復の福岡便と組み合わせて利用できることから、可能性はあると思っていたところ。

 本日の日経東北版で、新たに仙台空港の運営会社に就任した前田社長より

  • 「仙台空港は国内で羽田空港への就航便がない全国的にも珍しい空港だ。羽田以外の就航地を求めていく必要があり、地方空港を結ぶ核となる空港をめざしたい」
  • 「新規就航としては四国と南九州など過去に定期便の就航実績がある、時期によってチャーター便が飛んでおり、航空会社に働きかけていきたいと考えている」

    とのコメントがあり、そうすると、鹿児島と松山便(もしくは高松)の可能性が高いのではと。
    仙台空港を拠点にしているIBEXに期待したい。

 過去記事


Rosenzu

 


IBEX 仙台空港発着時刻表(2024年夏ダイヤ)
Sdjtimetable

朝の仙台空港アクセス線

 7時35分離陸なので、30分前までに空港に到着しなければと思いながらも、直前の電車は空港7時6分着。そうすると出発前30分を切り、保安検査を考えるとあまり余裕がない。そもそも万が一電車が遅れたり止まったらと考えると1本早い電車の方が安心と、長町駅6時21分発で空港駅に6時40分に到着。

Img_9969_20240818230501

長町駅でも、スーツケースを持った方々の乗車がちらほら見受けられました。

Img_9974

 4両編成なので各ボックス1~2人という乗り具合でしたが、7時前のこの時間でも、それなりの利用者が仙台空港駅の改札を通過します。

Img_9978

 7月でしたが、七夕飾りが利用者を出迎えていました。

Img_9976

 いつも思うところですが、昼間が20分毎(2~4両編成で毎時3本)になったのと比べると、朝夕は概ね30分毎(4両編成で毎時2本)で待ち時間が長いので、ここが改善されると仙台空港の便数や利用者数を踏まえると完璧なのになぁと。

仙台駅発 空港駅着 間に合う便
6時16分 6時40分 名古屋、伊丹、福岡(7時35分発)
6時42分 7時  6分 新千歳(7時45分)、伊丹(7時50分)
7時  8分 7時31分 広島(8時10分)、新千歳(8時15分)

 7時35から8時15分までの時間帯に、主要目的地である各方面への始発便(新千歳×2、大阪×2、名古屋、福岡、広島)が出発しますが、目安として仙台駅を1時間前に出発できるよう、20分毎に運行してくれると時間が調節しやすいのですが、いかんせん朝と夕方以降は東北線内の混雑緩和のため4両編成で運行する制約、及び朝の空港発と夕方以降の空港行は乗り入れるJR東北本線自体が過密ダイヤでアクセス線を増発する余地は限られるのが残念。


 であれば、朝の空港行や夕方の空港発はまだダイヤ上余裕があるので、一部2両編成を活用し、空港駅や仙台駅で増解結するという手段は不可能ではないですが、いかんせんその都度というのは手間がかかり過ぎる。増解結は従来仙台駅のみでしか実施していない。


 かつて臨時列車で21時頃に運行されたことがある「空港発名取行」の区間列車。空港発は「名取駅2番線着⇒対面の3番線から仙台行接続」が可能なので”あり”なのではと思いますが、逆に仙台駅から空港方面に向かう客の利用は、「名取駅1番線着⇒階段・エスカレーター経由で2番線から空港行に接続」と不便。そもそも、仙台駅からのどの電車が名取駅で接続するか特に旅行者には分かりにくく、利用者は限られてしまう。それにダイヤ乱れの時には名取駅2番線をふさいでしまうというデメリットも。

関連記事


 この点を解決するためには、そもそも車両の増備が必要でしょうが、経営状態に余裕がない仙台空港鉄道にとって数億円の投資は県の更なる支援がなければ無理。

 また、空港線部分は単線で行き違いが美田園駅に限られることも、運行ダイヤの細かな調整ができない理由ですが、現在の美田園駅と名取駅での上下列車交換のみでも、昼間の20分間隔が実現できているので、杜せきのした駅での交換設備設置の優先順位は低いのでしょうね。 


 なお、各駅停車の所要時間は25分と謳っていながら、片道23分~29分と所要時間にばらつきがあるのは美田園駅などでの交換待ち時間次第のためでしょうが、極力統一が望ましいと。

 昼間の20分間隔の時間帯に限った話ですが、必ず仙台駅発空港行が美田園駅で必ず3分間の交換待ちがあり、所要時間27分で統一されているのが勿体ないと感じます(空港駅発仙台駅行は所要時間25分で統一)。遅延対策で1分程度の余裕時間も必要でしょうから、空港駅発を2分早めれば、交換待ち時間がその分短縮され、所要時間25分で運行できるのにとも。


朝の出発ラッシュ

 さて、下の写真は始発から10時ころまでの出発案内。7時台と9時台に出発便が集中し、8時台はやや少ないうえに小型機3便のみ。今春就航しデイリー化された新潟便の折り返し始発も9時前の時間に出発です。

Img_9987

 パタパタ式の出発時刻掲示板が廃止されたのは時代の流れとはいえ、残念。今は萩の月の広告看板に。

Img_9988

空港内散歩

 出発まで約1時間近くありもったいないながらも、久々の仙台空港利用なので、変わったところがないか20分ちょっと内部をぶらぶらしました。

Xでバズってた電話機。

Img_9994

 ベガルタ選手のフラッグが壮観。

Img_9997

飲食店のリニューアル

 話題性のある飲食店が増えていますね。これも民営化による創意工夫でしょうか。

Img_9992

これはフラットホワイトコーヒー。開店前ですが。

Img_9996

海鮮丼が豊富な、ふぃっしゃーまん亭(フィッシャーマンズ・ジャパン)。こちらも開店前。

Img_9993

Img_9995

 エアサイド(保安検査後)でしか食べられないだし廊GOLD。7時からオープンでしたが、うろうろしすぎて時間が無くなり断念

Img_0010

 相変わらず出発前も到着後の時間調整にも重宝する、使いやすいプロント。

Img_9998

Img_9999

増設された搭乗口

 そういえば、5年前の北海道旅行の時にはすでに西側の搭乗口が増設されていましたが、

残念ながら、その後計画されたランドサイドの商業機能のリニューアルは、コロナでほぼ様子見となっているようでした。


過去記事


 

 

Img_9983 

 行きはIBEXながらも4番搭乗口からでした。朝は夜間駐機分もあり搭乗口はほぼ埋まり、IBEX名古屋便やトキエアはバス連絡での地上からの搭乗です。

なお、帰りの到着便はバス連絡を体験しました。

Img_0006

 IBEXの利用は初めてでしたが、やっぱりかわいいサイズ。

Img_0004

離陸後に、名取市閖上・広浦付近。

Img_0022

約2時間ちょっとのフライトで、福岡空港に到着しました。

その2に続きます。

スポンサーリンク

 

 

 

 

 

 

 

 


 

| | コメント (0)

2024年6月 2日 (日)

新築移転 仙台厚生病院へ

 ゴールデンウイーク明けに、市内上杉エリアの旧東北大学農学部(雨宮キャンパス)跡地へ、仙台厚生病院が移転新築開院しました。

(注:6/2 写真を追加し、内容を追記の上、東北大学青葉山新キャンパスの記事を分離しました)

Img_9632 Img_9628

仙台厚生病院移転開院

 病床数は、広瀬町の旧病院と同じ409床ながらも、病室の全てが個室となり、駐車場も従来の3層自走式立体駐車場(200台)から、平面で400台と、収容台数は倍増しました。平面駐車場は南と北に分かれており、北の方が広め。ただ、以前は立体駐車場で雨の日などは殆どぬれずに病院の建物に入れましたが、動線としてちょっと長くなりました。なお、診療を受けた際の駐車場料金は300円(以前は200円)。

Img_9633

 公共交通のアクセスも、旧病院と変わらず至近の幹線道路(北六番丁通)にバス停(堤通雨宮町)が設置され、東仙台営業所や鶴ケ谷団地方面の市バスが利用可能で、従来の八幡町、愛子方面からの利用者も、北四番丁駅前のバス停でカバーしています。

 そもそも、地下鉄駅からのアクセスは格段に向上し、これまでの北四番丁駅徒歩20分程度から徒歩6分程度に劇的に短縮しました。

 仙台厚生病院は、約10年前の県内への医学部設置構想に乗って東北福祉大や東北学院大学と組んでの附属病院化を模索しながらも組み合わせに迷走し、宮城大学栗原キャンパス構想を経て、最終的には当時の東北薬科大学が採択された経緯があります。その後、病院の土地建物をリースバックの形で病院運営していましたが、仙台都心部の総合病院として生き残っていくために、イオンモールやマンションを中心とする9.3haの複合開発地の約半分の敷地を活用できるより良い立地条件の場所に移転することとなりました。

 雨宮キャンパスの再開発については、先陣を切って野村不動産の「プラウドシティ仙台上杉山通」、続いて住友不動産の「シティハウス堤通雨宮町」と合計400戸規模の中層マンションが分譲済で、マンションに続き仙台厚生病院が立地します。

Img_9631

なお、土地を東北大学から購入したイオンモールのSCは来年秋の開業に向けて着工したばかり。

Img_9627

Img_9630

イオンモール開業段階で、移転構想段階から20年近く経過することとなりますが、中心市街地に近接した最初で最後の以上のまとまった面的な再開発となりました。

厚生病院の内部へ 

 先日、病院に用があり、初めて中に入りました。

中に入ると、広々とした吹き抜けのロビーがありました

 Img_9609

Img_9604

ホワイトと木目調の落ち着いたデザインです。

主な診察のフロアは1~2階。3階は手術室、4階にレストラン、5階以上は入院病棟となります。

各診療科の受付書類を挟むクリアファイルの裏面がに、平面図がついており、移転後初めてながらも分かりやすかったです。

Img_9611 Img_9606

1階には病院にはよく入っているローソンが。

Img_9620

 なお、以前にあった七十七銀行のATMは廃止され、ローソン内のローソン銀行ATMを利用する形になります。

以前2階にあったレストランは4階へ。ラーメンやうどん、どんぶりもの、定食など、選択肢は豊富です。ガラス張りで明るい印象でした。Img_9612_20240601234501Img_9618

 そして、屋上庭園に面し、南側の県庁、ドコモビル方面の眺めも良かったです。なお、屋上庭園は訪問時はまだ閉鎖されており、屋内からの撮影です。

Img_9617

 なお、再診の受付も、支払いも機械化され、スムーズに。診察券を入れると自動的に受付してくれます。

 また、診察待ちの状況や薬の準備具合も大型モニターに受付番号が表示され、分かりやすくなりました。

とにかく、以前は混雑しすぎて座る場所がなく、立って待つことも多かったことと比較し、診察待ちスペースが広々としてストレスをあまり感じることはありませんでした。

Img_9609 

総合病院移転新築の流れについて 雑感

 この10年、仙台市では総合病院の移転新築が続いています。

 10年前の2014年には、仙台市立病院(若林区清水小路⇒太白区あすと長町)、2019年に仙台医療センター(宮城野原内で移転)、2021年にJCHO仙台(青葉区台原⇒泉区紫山)、2022年に仙台徳洲会(泉中央駅西側⇒駅東側の高玉町)が移転しました。

 これだけ主要な病院が建て替えをしていると、残された病院としても設備の高度化を進めて行かないと、患者獲得に後れを取り、経営的にも経ちいかなくなる不安が出てくるのでしょう。もちろん病院の新築サイクルは30~40年なので、そのサイクルでやむを得ず移転した病院が大部分ですが、この厚生病院はまだ30年経たない中で、東北大雨宮キャンパスの移転に伴う再開発に参加する形で早めの移転にこぎつけたのは、そういうライバル病院との競争から、より街中に近い一等地への移転を決断したものと思います。民間ではないにせよ財団法人という経営形態から、そのような判断をしやすい面も。

 一方、現在県が進めている4病院移転は、公営もしくは公的な性格を持つ病院で、全て築30年を超え、日赤病院と労災病院は40年を超えており、いずれにせよ建物や設備の更新は必要な時期となっています。とはいえ、公的な病院としての重要性はあれども、公的であるだけに、昨今の緊縮財政もあり、そのままの建替えは難しい状況であることは認識しています。

 公的病院は政策的に必要な分野を優先し、民業圧迫しないようにという原則があり、その点県立がんセンターと日赤病院の統合移転は、名取以南の総合病院の少なさという、地域的な医療資源のバランスを整える意味から、進めても良いものではと考えています。


 そもそも、日赤病院は現在の福祉プラザの場所にありました。市立病院が現在のタワービルの場所から昭和55年に東北学院大学五橋キャンパスの場所に移る際に、道路向かいの目の前にあった日赤病院を仙台市が八木山の市有地に追い出す形で移転されられた経緯があるようです(病院HPから)。そして、現在の日赤病院は、あすと長町へ移転した新市立病院に患者を取られ経営難になったという因縁もあります。地下鉄東西線もモノレール計画の時には日赤病院付近駅が設けられるはずが、手前の動物公園駅までになってしまったことで、日本赤十字社としては仙台市に良い思いはしていないでしょう。


 なお、その日赤病院はかつては県立病院でもあった(仙台赤十字病院併設県立仙台病院)という背景もあり、県の求めに応じて県立がんセンターとくっつくのは先祖返りというか自然なことかもしれません。国道4号バイパス沿い、館腰駅からも遠くはなく、東部道路の名取中央スマートインターにも近接しているので、アクセス的には十分な場所にはなります。進め方は強引とは感じていましたが、協定も締結され、淡々と進められていくでしょうね。

 一方、労災病院の富谷移転は、労災病院と新厚生病院が直線で1㎞ない位近くになってしまったこと、老朽化が進んでいることから移転は必要になるでしょうが、名取からの県の精神医療センターの移転を合わせ技にしたこと、公共交通の便の悪い場所に無理やり移転させる形になり、医療スタッフも十分に移ることができない場所であること、そして、富谷市に総合病院はなくとも、近接する泉区に2つの総合病院(JCHO,徳洲会)が近年移転新築され、その点が無視されていることから、この計画については賛成はできません。

 いずれにせよ、高齢化による人口減が進み、急性期患者の減少とともに、医療スタッフの確保も難しくなることから、医療の世界だけを聖域として守っていくことはできないでしょう。

 それにしても、病院に限らず公共施設の再編の際に必ず出てくる県と仙台市の争い。本来は県と市で協議しながら進めて行く話であり、それができないのは残念ではあります。


関連記事


 

スポンサーリンク

 

 

 

 

 


| | コメント (0)

2024年5月18日 (土)

東北大青葉山新キャンパス散策

※仙台厚生病院の記事は、再編集の上別記事(新築移転 仙台厚生病院へ )としました。

 

東北大青葉山新キャンパスへ

 閉鎖された雨宮キャンパスに位置していた東北大農学部ですが、2016年に青葉山ゴルフ場を買収して造成した青葉山新キャンパスへ移転済です。この青葉山新キャンパスへは、2015年の地下鉄東西線の開業日に来て以来しばらくぶりでしたが、地下鉄の一日乗車券があったので、当てもなく向かってみました。

Img_9429

広々としたプロムナード

 ゴールデンウィーク中の休日で当然講義もない中で、新緑の中小鳥がさえずる気持ち良い日でした。

P4273510

日本人学生は帰省しているためか少なく、通りかかるのは外国人留学生が多く、聞こえてくる言葉はインターナショナル。市内に居ながらも外国にトリップしたような感覚を覚えました。

Img_9428

 キャンパスモールの突き当りには、移転した農学部新キャンパスの建物がありました。南側の農場を含めても雨宮キャンパスよりも狭いというのは意外。

P4273512

農学部の記念碑がありました。

P4273509

 青葉山駅付近から新キャンパス方面を見渡すと、キャンパスモールの南側の丘の上に集合住宅が立ち並ぶ一角が。留学生宿舎を中心とした青葉山ユニバーシティ・ハウス青葉山。

P4273503

P4273490 

 以前は東北福祉大学近くの三条町にしかなかった留学生宿舎ですが、新キャンパス内に752戸という規模で設置され、総戸数は倍になりました。日本人学生でもインターナショナルな環境で住むことができ、地下鉄駅から徒歩10分圏ということから、川内キャンパスや仙台駅方面への移動も便利で、素晴らしい環境です。ただ買い物はプロムナード沿いの青葉山コモンズ(生協売店)や青葉山みどり厚生会館(ローソンなど)のみでちょっと不便そうですが。あと夜はちょっと怖いかなと。

ナノテラスへ

 ユニバーシティ・ハウスを越えて、サイエンスパークの一角へ。この4月に供用開始したという「国際放射光イノベーション・スマート研究棟」と「青葉山ユニバース」の建物がありました。

P4273502

P4273494

 ただ、 この写真のようにサイエンスパークへの企業の研究拠点の集積はまだまだこれから。

P4273492

 さらに奥に行くと、見えてきました。休日なので全く人気はなく、駐車場にはクルマは殆どありませんでしたが、さすがの存在感です。

P4273496

P4273501

 国内最先端の放射光施設で、東日本では茨城県に続き整備され、最北の施設となりました。

P4273498

 これまで有名だった兵庫県佐用町のスプリング8が既存都市から離れた播磨科学公園都市に立地しているのと比較すると、最寄り駅まで徒歩15分(学内キャンパスバスで9分、タクシーだと5分程度)、そこから地下鉄東西線で仙台駅まで乗車10分と、仙台駅と30分以内で行き来することができるなど、アクセスは国内の他の施設と比べ物になりません。何と青葉山駅方面へのキャンパスバスは23時まで運行しています。
P4273500

 


構想段階では、東北六県の国立大学連名での誘致という背景から、福島大学の先生が先頭に立って、東北大学は半歩引いた立場で誘致活動に加わっていましたが、その時の候補地は丸森町、大郷町、松島町(松島町の候補地は現在イノベーションヒルズという工業団地として造成中)。県外では青森県内に候補地がありました。

 その後、東北大学キャンパス内を候補地として立候補することに。他の県内の候補地に勝ち目がある訳がないし、ヘビーユーザーは東北大と共同研究する企業がメインになるでしょうから、紆余曲折ありながらも、このキャンパス内に立地することができて良かったと。この立地でも運営費が厳しいと言われていますが、土地の造成やアクセス道路の整備など周辺投資がほぼ不要だったことは大きく、仮に他の候補地であれば土地造成費用やアクセス道路の費用でプラスで数百億は必要だったはず。さらに、多少でも地下鉄東西線の利用促進にもつながります。


 

川内キャンパスへ

 青葉山駅に戻りましたが、まだ時間があったので、1駅仙台駅寄りの川内駅で下車し、東北大の文系や全学教育(いわゆる教養課程)がある川内キャンパス内を散策しました。

Img_9436

 広大な青葉山キャンパス(新キャンパスを含む)は青葉山駅1か所でカバーしているのと異なり、コンパクトな川内キャンパスは、川内駅と国際センター駅の2か所に挟まれ、行先によって駅を選ぶことができます

P4273568

 川内駅はホームは地下ですが、駅改札階は地上で国際センター駅ほど立派ではないですが駅舎が存在しています。

Img_9437

 コンパクトと言っても非常に緑豊かというのは変わらず、キャンパス内の建物や緑にも歴史を感じることができました。

P4273534 

P4273531

適当にさまよっていたら、東北大学植物園にたどり着きました。本当に気持ち良い季節で、時間があれば中に入ってみたかったのですが、時間がなかったのでまたの機会に。

P4273528

P4273530

その先には、川内萩ホールが。ここに来たのは初めて。

P4273536

 青葉山エリアといえば、カフェモーツアルト。現在、県美術館のフィガロは休業中ですが、この川内萩ホール内のクレール、東西線国際センター駅2階のメトロに続き、この4月にリニューアルした仙台市博物館にもカフェモーツアルトテオがオープンしたようです。

P4273546

P4273549  

国際センター駅方面に向かう前に、眺めの良い場所があったので、しばし休憩を。

 P4273555

国際センターやトラストタワー方面が一望です。

P4273557

国際センター展示棟ではクラフト系のイベントが開催されていました。本当に緑豊かで気持ちの良い空間です。

P4273563

 現在市民が寄ることができる施設は、この国際センターと緑化フェア跡地の青葉山公園、リニューアルした仙台市博物館だけですが、すったもんだの挙句現地存続となり改装中の宮城県美術館も令和7年度中に再開予定で、国際センター駅北側には仙台市の音楽ホールが令和13年にオープン見込み。市民が集える施設がこの界隈に集まることに。

 都心部にこんなに近い空間を味わっているのがほぼ学生だけというのは本当にもったいないところ。本当に気持ち良い時間を過ごすことができました。

スポンサーリンク

 


| | コメント (0)

2024年1月20日 (土)

激変 泉区の商業環境(その2)間もなく閉店アリオ&泉中央の行方

新年初めての記事となります。

 新年早々、能登半島に大地震と津波という大災害が発生し、それに加えて羽田空港での航空機事故。直接被害を受けている訳でなくとも、色々と気持ちが掻き乱され気持ち的に滅入ってしまいそうになります。今回の能登の震災は、地形的に隔絶した半島という過疎地域で起こったことで、支援も入りづらいという厳しい状況かつ度重なる強い余震が続き、東日本大震災よりも被災範囲は狭いにせよ、ある意味では厳しい状況に置かれている地区も多いように感じます。

 冬の寒さが厳しい北国で発生した大災害。3月に発生した東日本大震災を思い出しますが、避難所の過酷な環境を耐えしのばなければならないうえ、被災した住宅の片付けなど、何重もの苦しみを感じることに。自分にできることは限られますが、募金を含め少しでも力になれればと思います。

 自分事でいろいろとあり中々筆が進まず、2週間越しの記事となります。

1月末で閉店 アリオ仙台泉

 先日泉の蔦屋書店とイオンタウン仙台泉大沢に行った帰りに、泉中央に寄りました。

Img_8678

 昨年4月にも記事にしていますが、アリオ仙台泉は、1月末閉店に向けて店によってはセールが始まっていました。


過去記事


 入り口部分には、閉店および感謝を表す掲示がありましたが、間もなく閉店してしまうことに、実感が湧きません。

Img_8680

 食品スーパーのヨーカドーについては、いつものように周近隣の住民、そして周辺の住宅団地の方にとってはバスに乗る前に,買い物ができる非常に使い勝手が良いスーパーとして30年ちょっと当たり前のように存在してきました。

Img_8666 

 仙台一号店として話題になったバーガーキングも閉店で、移転先は泉区とはいえ青葉区との境目のブランチ仙台とのこと。

Img_8665

 隣のセルバ食彩館もデパ地下風の専門店の集まりで賑わっていますが、あくまでもスーパーのヨーカドーを補完する役割であり、ここだけで用が済むわけではない。なので、早めにグループのヨークベニマルが継承するなど、スーパー機能は再開して欲しいところ。まぁヨークベニマルは泉中央駅周辺だけでも、市名坂、将監、八乙女真美沢、野村、上谷刈とドミナント展開していることから、この立地を継承することに障害はないでしょう。まぁ、他の面白い展開としては、ロピアがヨドバシ第二ビルに続いて出店することがあれば話題性に富むし、集客マグネットとしては効果的だなぁとは思ったりもします。

 博多ヨドバシに出店したロピアも、続いて福岡市周辺に4店舗出店するとの話ですし、物流上飛地出店のデメリットを解消するために、仙台近郊への出店は考慮しているはずなので、根拠がある訳ではないですが、このくらいの話題性のあるテナントが出店すると良いなぁと。

一方上層階は。。。

 専門店が集まる4階。ロフトが閉店セールしていましたが,泉周辺への再出店はないとの話で、仙台は駅前の大型店仙台ロフトとララガーデンの小型店長町ロフトの2店舗体制になるようです。その他のテナントも、タワーレコードもこのCD不況のご時世で再出店するとは思えず、くまざわ書店も、連絡通路で繋がるセルバに八文字屋書店があることから、あえて再出店は考えづらい。

 そもそも、セルバ側も順調という訳ではなく、アリオほどではないにせよ多少空きスペースがあり、全てフロアが埋まっているわけではない。GUの大型店でフロアを埋めていたり。

Img_8677

 仙台の郊外駅前で唯一と言って良い首都圏郊外のような複数の商業施設が集積するこの泉中央にしても,同じ北部エリアで北環状線沿い、パークタウンの寺岡(タピオ・プレミアムアウトレット),富谷(イオンモール)と泉大沢(イオンタウン・ムサシ・家電店),市名坂(ヨークタウン)や4号バイパス沿い、そして新利府のイオンモールと競争が激しい中で、泉中央のカバーする範囲が徐々に削られてきたこの30年間。

 かつては泉中央エリアに、敵なしと言われたダイエー泉店がありましたが、泉中央のヨーカドー・セルバ、富谷のイオンモールなどの出店で包囲され、2005年に閉店し、その後は西友が出店したもののジリ貧で建物ごと閉鎖となり、その跡地はカインズホームと三井不動産が運営するスポーツ施設のFANTEとなりました。ダイエー別棟時代からのスケートリンクである現アイスリンク仙台はなんとか残っていますが、泉区エリアの新規住宅地開発もパークタウン朝日地区以外は止まり、高齢化が進み購買力も衰えつつある状況のなか、車を使用しない住民の拠り所として、泉区の中心である泉中央の果たすべき役割は大きい。


関連記事


 

泉中央はオワコンなの?

 泉中央エリアは、開発が始まってから40年、区画整理エリアの建物概成から20年程度経過し、新たな施設等を呼び込む空き地が限られています。駅西側の飲み屋街にはコインパーキングとして使われている貴重な未建築地は点在していますが、分譲マンションも数年に一棟というペースで、新たな住民層を呼び込むことができず、賃貸住民による入れ替わりはあるにせよ、成長余力のある長町エリアと比較して、泉中央は終わった街という見方もされてます。でも、その見方は一面的で、現在は成長の踊り場ではあるにせよ完成度の高いコンパクトなエリアであり、その点で長町はまだまだ及ばないと思っています。

 


過去記事


 長町は駅4つ(長町、長町南、長町一丁目、太子堂)を擁している分、長町南駅には区役所とザ・モール、ララガーデン。長町駅エリアにはIKEA、やゼビオアリーナ、ヨークタウン。長町一丁目駅には市立病院。太子堂駅エリアにはヨークと生協、ヤマダデンキと核的な立地施設が分散し一箇所では用が済まず、歩きでの行き来には遠すぎ、バスもあすと長町側は利用し辛く、クルマや自転車での移動を強いられる点が欠点でもあり、一方密度が低く車社会に適した面的な展開となった点は、結果論としては今の社会にマッチしています。


 

 アリオ4階の空きフロアにて、これまでの泉中央そしてヨーカドー時代からアリオ転換、そして閉店までの写真展を開催していました。

展示物自体は写真撮影禁止とのことで、入り口の案内のみ。

 Img_8671

 田んぼの真ん中にポツンと位置していた旧泉市役所、区画整理が行われグリーンフェア仙台が開催された1989年、そして1992年の地下鉄泉中央駅延伸とヨーカドーオープン、1997年の仙台スタジアムオープン、99年のセルバオープン、2011年の東日本大震災の影響、2013年のアリオ転換によるリニューアル、2015年のセルバテラスオープン、そして今に至る40年以上の泉中央の変遷をじっくり味わうことができました。

 旧泉市が仙台市に合併された際にの合併建設計画に沿って、旧泉市時代からの役所とイズミティ21に加え、地下鉄延伸と駅ビル、図書館・子ども科学館(現在は閉館)、健康増進センター、警察署と公共施設を中心に駅周辺にコンパクトに集積し、そしてベガルタの本拠地となった仙台スタジアム(現ユアテックスタジアム)も整備されたことも泉中央の街にとって象徴的なものでした。

泉中央エリア再整備の芽

 今回のアリオ閉店は、ヨーカドーとしての開店から30年余ですが、30年は一世代に相当し生まれ変わる周期としては適切なタイミングではと。現在、建設から40年以上経過した泉区役所の建て替えと再整備が計画されています。

 計画では区役所の建物は西側に寄せ、泉中央駅とを結ぶ地下通路により直結させ、広場を挟んで東側には金融機関(東北労金)の本店オフィスや賃貸住宅を中心とした内容で三菱地所グループにより提案され、仙台市により採用されました。

Wardofficeplan

 泉中央の課題となっている分譲マンションの新規供給がなく高齢化が進んでいる点に対し、ここを分譲マンションにするのは一時的な対処療法であり、公共の敷地を活用することから、若い世代を対象とした住民の入れ替わりが行われる賃貸住宅の導入というのは着眼点が良いと感じます。

 また、東北労金の従業員(市の基本計画資料では数百人とあります)が新たに集まることにより、ラッシュとは反対方向の地下鉄南北線利用者にもプラスになりますし、周辺飲食店への昼食需要、そして夜の飲み需要の底上げにもつながります。

 なお、次点はセルバやアリオの大家である住友商事で、シネコンなどを含んだ計画提案だったようですが、落選となっています。


 泉中央といえば住友商事という存在ですが、特定の企業にあまりにも依存するのはリスクでもあり、街の多様性からも、泉パークタウンのデベロッパーである三菱地所の選定というのはバランスが良かったのではと感じます。長町南の市有地借地コンペでも、モールを運営する東特エステートのザ・モールPART3の提案が落選し、現在のララガーデン運営企業の三井不動産が選ばれたということに通じる仙台市のバランス感覚を感じるところ。

 住友商事としても、アリオの撤退から、泉中央駅前の3商業施設の再構築に注力せざるを得ない状況となったこともあり。そもそも区役所敷地に住商がシネコンを提案するのであれば、長年構想があったセルバテラスの場所に導入するべきだったし、ちょっとちぐはぐ感が否めないと感じました。結果的にアリオが撤退し空きビルとなることから商業床としてはセルバテラス分は過剰だったとも言え、結果論ですがちょっともったいない。アリオの上層階をシネコンに改造できればと思いましたが、まぁ構造上無理でしょうし。

過去記事


 また、セルバ南側の駐車場となっている土地を購入したミヤギテレビは、2030年以降に日ノ出町からの本社移転を予定しており、就業者数はKHBが150人程度だったことを考えるとそれほどは見込めませんが、東北労金と併せて数百人の新たな就業人口の増加となること、そして目の前のペデストリアンデッキを活用したイベントや中継も行われ、泉中央の情報発信がコンスタントに行われることを考えると、このエリアを底上げする有形無形の効果は大きいのではと。


過去記事


Img_8658

 さらに、昨年10月末に明らかになった、大衡村第二中核工業団地内への台湾半導体ファウンドリーPSMCとSBIの合弁企業としてJSMCが2027年にも操業開始というスケジュールで進出することとなっています。国からの補助金もどうなるのか未確定で要望中という心配要素もありますが、県もこのチャンスを逃すまいと既定路線として進めている印象です。


過去記事


 これはトヨタ東日本や東京エレクトロン宮城という進出企業が黒川郡内に立地していることもあり、現在でも泉区役所周辺に集まる送迎バスが一日120便とのことで、この送迎バスを再整備後の区役所敷地内で乗降させようという三菱地所グループからの提案もありますが、JSMCの進出後はこの台数がアップする可能性が高く、台湾からをはじめ、高いスキルを持つ技術者の住居としては、教育水準の高さや仙台駅とのアクセスの良さもあり、まずは泉中央の賃貸住宅が拠点となり、ここからバスで送迎という形になるのではと。

 そうなると、現時点でこそ、学院大泉キャンパスの閉鎖やアリオ閉店、そして周辺住宅地のオールドタウン化(泉区の人口減拡大)というマイナス要素が大きく意識されている状況ですが、このようなプラス要素も数多く存在しています。

セルバ・セルバテラスを含めた一体化リニューアルを

 今回閉店するアリオについては、専門店ビルセルバとセルバテラスの2館に挟まれた建物であることから、セルバの延長としての専門店ビルとし、2階のペデストリアンデッキや1階の泉中央おへそ広場を介して3つの建物をより一体化したショッピングモールとして再生する方向で活用してもらえればと。ただ、今もですが、冬や夏の厳しい気候の時期、そして雨の日などは、相互の移動が厳しい。セルバと閉店するアリオ間は上層階の通路で結ばれているけれど、セルバテラスとの間はやはり行き来がしづらいのが難点であり、理想を言うとおへそ広場部分を3つの商業施設をつなぐリングとして屋内空間にできればと。ただしデッキ下のおへそ広場は公共空間ではあり、現時点では難しいでしょうが、泉区役所横に区民広場機能が設けられることから、このおへそ広場の機能を移すこともありかなと。

Img_8662

 3施設合わせて商業床で3万5千㎡と、ザ・モール長町の本館に匹敵する規模の商業施設の集積であり、減少しているとはいえ一日2万人以上の乗降がある泉中央駅前の商業施設であることから、一体化して規模を確保した形での再生が望ましいところ。ただ アリオ(2万㎡)は、セルバとセルバテラスを合わせた床面積(1.5万㎡)よりも大きいことから、それを埋めなくてはならないため再生のハードルは高い。 また、駅前だからといえ地下鉄やバス利用者や周辺住民だけでは成り立つ規模ではなく、ある程度クルマで周辺住宅地からの集客も図る必要がある中で、駐車場の無料時間の設定に工夫が必要かと。現在は1時間無料で、2000円以上の買い物で最大3時間まで無料になります。長く滞在してもらうためには、長町モールのように3時間無料だと安心して買い物できますが、この駅前立地でここまではできない。それにベガルタの試合時に無料駐車場として使われてしまうのはまずい。よって基本的に無料時間を2時間に設定し(ベガルタ試合時は長町ゼビオアリーナ周辺のように特定日として無料時間を1時間に)一体の商業施設として今後周辺の競合商業施設(タピオ、イオンモール等)に対して戦っていくためには、クルマ客のハードルを下げることも必要になってくるのではと。ただでさえ常に渋滞が激しく混雑している泉中央エリアにクルマを集める施策はやりづらいところはあれども、ここまでしないと一体の商業施設としての再生は難しいという印象です。

 


関連リンク


 仙台市として、都市の顔である都心部の活性化は当然必要ではある一方、南北の拠点であり、区の中心である泉中央と長町は、地下鉄で都心と短時間で結ばれており、都市機能を役割分担する意味でバランス良い機能集積と拠点機能の維持が必要です。

 そのため、アリオは閉店となりますが泉中央はここが踏ん張りどころで、ここを乗り切れば仙台の中でまた注目される存在になると思っています。

スポンサーリンク

 


| | コメント (4)

2023年10月28日 (土)

大型半導体工場が仙台近郊進出へ 場所はどこに?

 昨日の午後から、界隈はこのニュースで持ち切りになっていますが、宮城県内へ大型半導体工場が進出とのこと。

 第二地方銀行の連携を推進するSBIホールディングスが資金源となり、台湾では3位の力晶(PSMC)と組んでとのことですが、突然のニュースで驚いています。


台湾半導体、宮城に工場建設へ SBIと、地銀の資金調達

 台湾の半導体受託生産大手の力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスが共同で、半導体工場を宮城県に建設する方針を固めたことが27日、分かった。事業規模は8千億~9千億円とみられる。SBIが「第4のメガバンク構想」を掲げて提携してきた地方銀行からの資金調達を検討する。

 PSMCは半導体の受注生産に特化した世界有数の企業だ。両社は日本国内に工場を新設すると7月に表明。全国25カ所を候補地とし、現地視察などを通して絞り込みを進めていた。

 PSMCと同業の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は熊本県菊陽町に第1工場を建設中で、同県内に第2工場の建設も検討している(10/27共同通信)。

 Map_20231028141101


 

TSMCで先鞭をつけた熊本

 国内では、コロナ禍でのパワー半導体不足による製造業への多大な影響が生じたこと、また台湾有事を見越して、熊本県の熊本市郊外である菊陽町へTSMCを誘致し立て続けに2棟の巨大工場を進出させることで、熊本は菊陽町の周辺自治体を含めて従業員の住居や関連工場の用地確保に向けた争奪戦が起こり、土地価格の2桁上昇が当たり前という局地的な土地バブルが生じています。

 経産省が支援するのであれば、熊本だけでなく国内でのリスクやチャンス分散も図って欲しいと思っていながら、同じ会社であれば近接した場所での操業が効率的なのでしょうが、熊本だけに兆単位の支援は不公平だなぁと感じていました。

 もちろん、かつて”シリコンロード”と言われた東北に対し、九州は”シリコンアイランド”として、半導体工場が多く立地していたという背景があり、今回の菊陽町のTSMCの建設地に隣接して、ユーザーとなるソニーの半導体工場が立地しているということ、地下水などの水源が豊富であること、そして原発が稼働し、電気料金も安定していることなど、誘致にあたってのメリットが大きいところがあります。

 また、現在は長く続く少子化により、若年層の労働力人口が激減しており、昔の企業誘致感覚で数多いる”労働力”を地元に留まらせるというよりは、一定の”技術者”を集めてこなければならず、、何もない田舎に集めてくることは厳しい状況。

 なので、街中も元気で都市的な要素が残っている熊本市は70万人といえども政令指定都市であり、菊陽町はその熊本市の近郊で九州新幹線熊本駅から接続する豊肥本線で30分ほどの人口4万人を超えるベッドタウンの街。菊陽町は羽田、そして台北とを結ぶ「阿蘇くまもと空港」に近接し、九州道や八代港という高速交通インフラも比較的近く、地元だけでなく、熊本市や他都市からも技術者を呼んできやすい、そして家族で生活するのにも支障がない都市機能を持っています。

全国に半導体工場進出が拡大

 TSMCの第2期も熊本と、不公平感を感じていたところでしたが、従来から立地していた東広島市の米半導体大手マイクロンへの経産省の支援に続き、オールジャパンでの国策会社ラピタスが北海道千歳市への進出が約半年前の2月末に決まりました。

 千歳も、熊本と条件が似ているところがあり、200万都市札幌から30分圏で通勤も可能、当然ながら国内だけでなく、国際線も多数就航する北日本最大の新千歳空港に近接、苫小牧港も車で30分、道央道ICも近く。そして水資源も豊富、なにより広大な土地が格安で拡張の余地が大きいというメリットも。電気についても東北電力や東京電力管内よりは余裕があり(非常時の本州からの融通が難しいのがデメリットですが)。

 このラピダスの進出先選定の際に宮城県内も候補に残っていたとのことで、残念に思っていたところでしたが、結果的に、今回のSBIと力晶(PSMC)のコラボでの大規模半導体工場の立地として選定されたため、熊本県、広島県、北海道、そして宮城県と、結果的に中核地方都市を擁する4地方にバランスよく立地させ、経産省の支援を受けることになり、良かったと思っています。

 なお、”札仙広福”の中で「福岡」の代わりに「熊本」という構図となりましたが、福岡はもともと水資源がネックで、工業は北九州に任せ商業都市に特化した経緯もあり、九州の中のバランスを考えてもベストだったのでは。

 仙台近郊の強みとしては、研究開発と人材供給の面で東北大の存在が一番ながらも、世界的な半導体製造設備メーカーのグループである「東京エレクトロン宮城」も大きいでしょうね。また、女川原発の再稼働に目途がつき、少なくとも操業時には管内の電力事情が安定しているという目算も。

仙台近郊のどこに?

 今回のファクターとして、報道では「仙台市近辺の工業団地などが候補地」とあり、さらに「仙台」ではなく「宮城」に進出とあるので、仙台市外であることは確実です。

 本来、求められる要素としては、熊本の菊陽町や東広島市、千歳市の立地のように、都市近郊の鉄道沿線が望ましい(東広島市は市内に新幹線駅と在来線駅がありながら工業団地は多少駅から離れていますが)ところで、県内の工業団地の分布については、16年前のセントラル自動車(現 トヨタ自動車東日本)の誘致決定時とほとんど変わっていないのが残念なところ。よっぽど、キオクシア(旧 東芝メモリ)が巨大工場を建設している隣県北上市の方が母都市の生活環境が良いというのが。


過去記事


立地場所として理想は、

  • 母都市の生活機能が充実
  • 大都市(仙台)からの通勤も可能
  • 空港近く
  • 高速道路近く
  • 港が近く

 となると、熊本県菊陽町も千歳市も空港の近くなので、それに類するJR東北本線館腰駅周辺の名取市から岩沼市にかけての一帯が立地場所としては全ての要素を満たす最高の立地となります。

 ただ、既存の仙台空港南の工業団地に空きがなく、これから迅速な拡張は周りが農地とはいえ農振農用地の解除と地盤沈下対策、アクセス道路の整備などを考えると、2026年には到底間に合わない。そもそもJR東北本線の東側であれば津波浸水地域であり、それをどう評価するか。

 立地場所を抜きにして、工場自体に求められる要素は、


  • 1 2026年に稼働可能
  • 2 一般的に20ha以上の敷地が必要
  • 3 第二期の拡張も視野
  • 4 東京エレクトロン宮城に近い方が望ましい

 との必要とされる要素から、現実的な候補地は限られています。

 

【対抗】 愛島台<1◎、2〇、3△、4△>

 名取市であれば、空いているのは、愛島台(愛島西部第2期)で20ha程度はありますが、第二期を見越すと新たな造成が必要で土地に余裕はありません。それにどん詰まりの一時期は開発が放棄された住宅団地に、1000名以上?の通勤者が生じることを考えると厳しい面はあります。

 ただし仙台方面からのクルマ以外での通勤者の足としては、JR館腰駅まで20分程度でそこから送迎バスを設定すれば20分と及第点。

 なにより、アクセス道路は高規格で、空港にもインターにも時間距離は近いという面が。あと水の確保がネックでもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Medeshima

 

【本命】第二仙台北部中核工業団地<1◎、2〇、3△、4〇>

 トヨタ自動車東日本大衡工場のすぐ近くで、東北道大衡ICにも程近いこの松の平3丁目の区画は20ha以上はありそうです。説明文にも令和7年4月分譲開始に向けて造成中とのことで、ユーザーになり得るトヨタ東日本の各工場にも程近くです。 


   (12/13追記)結果的に決まったのはトヨタ東日本本社工場南側の中央平の敷地でした。分譲ガイドの区画図から敷地はもっと狭いとみていましたが17haとのことで、区画道路の廃止や隣接地を含め最大限使える土地をかき集めたのか。想定していた20haは満たしていないですが、スピード感優先で、より広い松の平は造成中なので造成済の中央平を使うことにしたようですね。


 最も大きいのは、供給能力に余裕がある県の工業用水が団地内に整備され、既に配管が来ていること。あと東京エレクトロンも同じ黒川郡内で、クルマで30分と遠くはないということ。なお、仙台空港や仙台港には多少距離があるといっても、高速道路(東北道ー北部道路ー東部道路)で一直線で結ばれており、それほどネックにはならなそうです。

 生活環境については、トヨタ東日本も受け入れた実績があるし、大衡村には何もないとはいえ、富谷市・大和町には一定の郊外型商業施設・住宅団地があり、クルマがあれば普通に生活は可能です。ただ、仙台市方面からの通勤は泉区からが限界であり、トヨタ系に加えての大規模半導体工場立地となると、追加の交通渋滞対策が必要となる点がやはり気になります。現在でも、ラッシュ時には双方向の激しい渋滞が発生していますし、

 そうなると、これも以前から主張していることですが、隣接する東北道大衡ICに高速バス停留所を設けて、そこからマイクロバスなどで各工業団地の企業にフィーダー輸送ができないものかと。既に通過している古川・栗原・登米市方面の高速バスを停車させるだけだし、特に宮交の古川線は北隣の三本木で客扱いしているので、小さい投資で利便性が確保されることになるのではと。


過去記事 


現在でも大衡村役場までは平日10往復の高速バスが発着していますが、通勤には使えない時間帯の運行である一方、東北道の北行きバスは既に古川や栗原、登米市方面への通勤用で仙台朝7時頃発の便が設定されているので、このような交通対策が講じられると良いのかなとは思うところ。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Hokubu

 

【穴】松島イノベーションヒルズ<1〇、2◎、3△、4△>

 面積が27haと意外にあります。三陸道の松島大郷や松島北ICからすぐで、仙台港や仙台空港へも高速道路で20~30分圏、そして、JR東北本線の愛宕駅から1kmと、比較的広域からの通勤が可能である立地です。ただ母都市である松島町は観光都市で、ベッドタウンとしての生活機能が弱いところがあり、その点大崎市鹿島台や塩釜市、利府町など周辺都市に依存することになります。

 また現在でも利府街道や国道45号など一般道の整備水準が弱いことから、インフラ面で不安はあります。

 そもそも、造成が間に合うのかと思って居ましたが、一応説明文には令和6年供用開始を目指しとあるので、現在進行形で進んでいるのかもしれません。

 沈滞気味の松島町や塩釜市、鹿島台方面への東北本線沿いへ好影響が想定され、また仙台市内からの鉄道通勤も可能な距離であることから、人材確保にはプラスと考えられます。県のバランス良い発展のためには、黒川地区に誘致企業を集積させるのではなく、開発規制が強すぎてこれまで産業面で日の当たらなかったこの地区を推しています。なお、松島北IC付近には東京エレクトロン系列の事業所が大和のテクノヒルズ進出以前から存在していることも、あり得ないことではないと思った理由でもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Matsushima

 

【番外編】成田二期北(富谷市)

 最初、100ha以上あり拡張し放題のここが本命では?と思いながらも、調べてみると、区画整理でまだ環境アセス中。造成はこれからだし、南は北部道路、西は東北道に面し、幹線道路から全てこれから整備となると、10年後だったらともかく、ここは無理と感じました。とはいえ、工場拡張の際に土地がなければ、第二期開発には間に合うかもしれません。

 その他、東京エレクトロン宮城が立地する大和町のテクノヒルズも土地があれば大本命になるところ、既に空き区画は東京エレクトロン宮城が抑えており全て完売済であることから、ここもないだろうなと(拡張用地として東エレ取得済の土地を譲渡することはないでしょうし、そもそも11haしかない)。

 仙台圏以外で、高速交通網が整備されているところであれば、白石市にも新IC近接で造成中の「仙台南部工業団地」もあるし、母都市となる白石市への好影響もあり、仙台からの通勤も可能と、良い立地ではありますが、「仙台近郊の工業団地」という表現から、厳しいかなとは思いました。

 

やはり、第二仙台北部中核工業団地か?

 なにより、造成済でトヨタと近接、東京エレクトロン宮城とも遠くない、そして県の工業用水がふんだんに使えるという要素が大きいかと思いました。全国の25か所から選定されたということであれば、ここが一番強みを持つことも納得できます。正式な発表を待つこととします。


(あとがき)

 なお、先日の県議選の争点でもあった、村井知事が進める富谷への病院移転の背景として、この巨大工場誘致もあるかもしれません。黒川エリアに総合病院を誘致し、黒川エリア一帯の生活環境を底上げし、居住エリアとしてのイメージアップを図るという理由で。

 先日の村井知事と郡市長との論争を聞いて、

「鉄道沿線外でクルマ依存型のこのエリアに大病院を整備しても患者も医師・スタッフが集まらず、そして将来的な高齢化と人口減は否めず、仙台ではなく富谷に移転した方が将来的に病院の経営が行き詰るのでは」

と感じたところでしたが、黒川エリアへのさらなる企業誘致で人口増をもくろんでいるのかもしれません。まぁ、移転先の市長と既に話がついているような移転の進め方については違和感を拭えませんが、移転する法人(病院)の判断もあり、ここまで反対運動が広がるとどうなるのでしょうね。

※ 細部の表現を修正、及び一部加筆しました(10/29)


スポンサーリンク


| | コメント (5)

2023年5月 7日 (日)

激化するSC戦争その3 イオンモール名取へ

 仙台圏南部で存在感を増すイオンモール名取。

 2007年2月末に仙台空港アクセス線杜せきのした駅前にダイヤモンドシティ名取エアリとしてオープンし、その後イオングループの再編で現在の店名へ。もう17年目になるんですね。


過去記事


 

試行錯誤が続く

 オープン時は、ジャスコと三越名取店を両端に配する2核1モール形式ながらも、早々に三越名取店が売り上げ不振で2009年に撤退した後に、1階にワールドのフラクサス、2階にコジマ、3階にダイソーとピュアキッズと、百貨店と比べた後継テナントの落差の大きさを感じ、その後も一時期はテナントの撤退と入替が続き順風満帆という訳ではなく試行錯誤していましたが、その現状を打開するために2019年に敷地北東側の杜せきのした駅とのデッキが繋がっていた駅隣接部分に約2万平米の商業床を増床し、現在の約8万平米に。ザ・モール長町&ララガーデンと比較し、一回り大きい規模に。

Img_7214


過去記事


仙台圏南部でオープン以来ザ・モール長町とララガーデン長町の牙城を崩し続けていながらも、実際に長町の両施設に異変が生じたのは、2019年の名取増床と2020年の新利府オープン後と感じます。もちろん両イオンモールの影響だけでなく、シネコンについては駅前のパルコ2へTOHOシネマズが2016年にオープンしたことも影響としては大きいにしても、イオンモール名取で名取市以南、新利府で宮城野区や若林区西部からの集客が落ちた印象が。


関連記事


空港アクセス線杜せきのした駅直結!

 駅を出て、右に曲がるとすぐ入口が見えます。徒歩30秒程度で入ることができ、増床前と比較するとかなり近くなっています。

Img_7216

 なお、このアクセス線は2021年3月のダイヤ改正で昼間時間帯がきれいに20分間隔となり、杜せきのした駅を通過する快速1往復以外は、仙台方面が20分間隔の等間隔ダイヤとなり帰りの時刻が分かりやすくなったことも、来店者に対する割合は多くはないとはいえ、アクセス線の利用促進にもつながっているものと感じています。

 Img_7220_20230503225401

 これは夕方の時間帯でしたが、17時台からは約30分間隔となり、次の電車時刻を意識していないと厳しくはなります。

Img_7219

 イオンモール名取については都心部や長町モールへの影響などの問題点はありながらも、評価できる面も多いと感じています。

名取市のイメージアップに

 仙台圏北部と比較してかつては仙南方面地縁者でなければ住居選択で選ばれ辛かった名取市方面。

 理由として、かつては、


  •  車両も古くランダムダイヤかつしょっちゅう遅れるJR線沿線
  •  名取市内でニュータウン的な街が駅遠の高館方面(ゆりが丘、那智が丘等)、愛島方面(愛の杜等)のみ
  •  大型SCが長町モールしかなく、名取市以南の商業環境はロードサイド型店舗のみ。
  •  高校の南北学区制のため、避けられがちの南学区(選択肢が狭く、教育環境が良くなかった)

それが、2007年以降は、


  •  アクセス線の開業による名取以北の増便かつ新型車両の導入で、使いづらいイメージを払拭
  •  これまで仙台圏ではあまりなかった駅近ニュータウン(名取りんくうタウン)が誕生
  •  仙台圏最大の大型モールオープン
  •  高校の学区制撤廃及び共学化で選択肢の拡大(二高も選べるように)

 ということで、震災の影響もありながらも、その後も名取りんくうタウンは仙台駅まで電車で直通20分前後という、泉や富谷のニュータウンと比較しての利便性の高さから、ほぼ新規分譲の余地がないほどの人気となっており、名取市の人口も8万人に迫る勢いです。

 それに、採算性が危ぶまれながらも県が何とか開業にこぎつけた仙台空港アクセス鉄道は、空港利用客だけでは成り立たず、途中駅開発を当てにして事業化にこぎつけたという背景があり、そのアクセス鉄道の利用者も空港利用者の増加とりんくうタウン居住者の増加、そしてこのイオンモール名取への従業員や来店者の利用が相まって、震災前になんとか当初目標の1日1万人に乗り、昼間の2両編成での混雑が問題になり4両編成への増結が行われる位になりました。

 単独では難しかった空港への鉄道アクセスの整備・利用客の確保に貢献しているという点も、社会的意義は大きいと感じるところ。

 なので、某町の無駄に巨大なSC(近くの人は便利かもしれないが、仙台都市圏として害が大きすぎる)と異なり一定の評価はしています。

回遊性の高いショッピングモール

 増床前の当初から、イオンスタイル側の核(西側)とユニクロ・コジマ側の核(東側)を3層で幅の広い吹き抜けの専門店街で結び、この吹き抜けを通じて特に意識をしなくとも吹き抜けを挟んだ上下階を含めた店舗を認識しやすいというのがメリットで、来場者及び出店しているテナントからすると死角となる店舗が少ないことが、回遊性の弱い長町モール&ララガーデンと比較しての強みと感じます。

Img_7205t_20230504072201

Img_7206_20230504072201

 なお、増床部分は吹き抜けなしのクローズドモールになっていますが、特筆すべきは曲線を描いている幅の広い通路で、ゆったり歩くことができるほか、通路の先の店舗も把握しやすくなっています(写真は増床時のもの)。また休憩できるスペースの多さも感じます。

 Img_7725_1 

専門店の構成(長町モール&ララガーデンとの比較)

 イオンモール名取と長町モール&ララガーデンの専門店については、両方に展開しているところが多いですが、気づいたところを。

 ユニクロとGUは、旧三越名取店食料品売り場(その後ワールドが運営するフラクサス)だった1階の広大な売り場を分け合って店舗を展開しています。

Img_7227t

 一方、長町モール及びララガーデンにはこのユニクロ・GUの両ブランドはありますが、ユニクロはララガーデン1階、GUはパート2の1階と、わざとなのか回遊しにくい商業施設群の両端に位置しています。

 その点、両方をはしごして見比べる気はおきず、その点イオンモール名取の方が利用しやすく感じます。

 一方、皮肉にも長町モール本館3階から撤退したFrancfrancの跡に入った3COINS+plusが、皮肉にもイオンモール名取では上下階に展開しています。

 なお、3coins+plusの規模としては、HPによると長町モール(超大型店)>イオンモール名取(大型店)とのこと。

Img_7207

その他、両方のSCに展開している全国展開の専門店・テナントは多いです。

両方に出店: 
 雑貨 無印良品、3coins+plus,GLOBAL WORK、ダイソー、studioCLIP、yogibo
 ファッション ライトオン、ユニクロ、GU、タカキュー、ハニーズ、ORIHICA
 スポーツ・シューズ ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート
 その他 島村楽器

Img_7213t

一方、

片方のみ出店
 長町モール&ララガーデン ロフト、H&M、トイザらス、アカチャンホンポ、セリア、ディズニーストア、212KITCHEN STORE など
 イオンモール名取 Francfranc、ニトリデコホーム、コジマ&ビックカメラ、ビレッジヴァンガード、スポーツオーソリティ、STANDARD PRODUCTS など

 なお、ブランドが異なる同業種の専門店については、シネコン(ムービックス、イオンシネマ)、書店(紀伊国屋書店、未来屋書店)などがそれぞれ出店しています。

 飲食店・食品系については割愛しましたが、各SCの色が出ていますね。意外に長町モール&ララガーデンのみに出店している専門店が多い一方、イオンモールの方が駐車場無料ということで滞在時間が長く買い回り品に強みがある印象で、家電店やスポーツ用品はイオンモール名取に強みがあります。

 ただし、それぞれのSC内になくとも、近隣に単独ロードサイド店として存在する場合もあるので、あくまでもワンストップで買い物ができる参考として見て下さい(トイザらス&ベビザらスは、イオンモール名取東側のアクロスプラザ内にあり、逆に長町モール近隣のあすと長町にゼビオとヤマダデンキがあるなど)

空きテナント状況

 勢いがあるように見えて、増床棟2階において空きスペースもありました。

Img_7224

 フロアマップを見る限りでは、1階は空きスペース無しですが、2階と3階に計6区画あり、特に最上階3階のピュアキッズ側(東側)に4区画が集中しているなど、まんべんなく人の流れがあるようで一部弱いエリアがあるようです。

 


イオンモール名取|フロアガイド (natori-aeonmall.com)


 

 長町モールでも人の流れが弱いアウトドアスポーツ館の状況は厳しいですが、基本的に平日と週末の落差が小さい長町モール&ララガーデンと比較し、イオンモール名取は平日の弱さ故に週末頼みという、周辺人口や立地条件の差もあり、テナント料の高さから期待される売り上げのハードルは高いのかと。まぁ、一定程度の空きテナントは商業施設の新陳代謝のためには必要ではあります。

今後の両SCの行方

 仙台圏においては、今後イオンモール名取や長町モール&ララガーデンのような巨大SCが新規立地する余地はなさそうです。

 というのも、雨宮のイオンモールや、東西線六丁の目駅近くの仙台工業団地跡に出店が見込まれているららぽーとも、敷地面積の制約から、せいぜい長町モール本館クラスの規模(店舗面積4~5万平米)に留まるためです。


関連記事


 もちろん、郊外だけではなく、郊外に対する都心部の商業機能も充実していって欲しいところですが、1か月程度延期となっているヨドバシ第一ビルオープンが控えているにせよ、それ以外の都心部の構想中の再開発(旧さくら野、藤崎、フォーラス、イオン仙台店等)は大分先の話となってしまうことから、他の地方政令市での札幌駅や福岡の博多駅ビル、新潟市の万代シティのように都心部のワンストップで買い物ができる都心部のSC機能が弱い面がある以上、郊外でのファミリー向けの買い物需要を満たすSCはある程度は必要なので。

 そうすると、両者が郊外型かつ駅前SCとして切磋琢磨しながら共存していくことが望ましいと考えています。

スポンサーリンク

 

 


| | コメント (0)

2023年4月27日 (木)

未来の杜せんだい2023開幕&賑わう国際センター駅

さて,


前回記事 

JR長町駅東口駅前広場再整備&バスで八木山動物公園駅へ


 の続きです。 八木山動物公園駅を発車し,乗客が疎らな車内を過ごしながら,青葉山で5名程度,川内駅でも10名程度と,車内の雰囲気は変わらずと思っていたら,国際センター駅で多くの乗客が乗ってきたと同時に,対向列車からも多くの人が降りてきました。

Img_6738_20230426205601

 なお,青葉通一番町駅と国際センター駅は,基本上下線の電車が同時発車する駅(豆知識)。

集客力抜群の写真展

 「何かやっているのかな」と興味本位で下車し,改札をくぐったところには長蛇の列。。。それも女性だらけ💧

Img_6727_20230426205601

 これでした。なお,3月12日の出来事です。「羽生結弦 写真とポスター展2023」が開催中でした。

Img_6730_20230426205601

 3.11前後に羽生君のアイスショーは,利府の山の中でやっていることは知っていましたが,

基本的にあそこでやっているイベントには嫌悪感(と仕方なく行かれる方への同情)しか感じない。

でも,他都市からやってきた多くの参加者が,東西線に乗って,この関連イベントであるポスター展を訪れていることを目の当たりにして,「羽生くん様様」と感じました。


 羽生結弦君のこの写真展には期間中で1万人以上は来ていたでしょうから,この方々が全て仙台駅から東西線を往復乗車したとすると,500万円近い収入となり,普段からガラガラと言われ,通勤通学利用が落ち込む週末において,イベント乗客の利用比重が高くなる東西線にとっては大きい。


Img_6737_20230426205601

 会場の2階,青葉の風のテラスに向かう階段は大行列。並んでいる方はみんな楽しそう。

Img_6729_20230426205601

 なお,行列は,国際センター駅舎内では収まらず,外の階段まで続いていました。

Img_6728_20230426005001

 駅舎の外のサインパネルコーナーも,楽しそうに写真を撮る方々で人だかりが。

 ふと国際センター展示場を見ると,何か別のイベントが開催されているようで,防災関係の国際会議でした。

P1230027_20230426205601

 国際センター駅の賑わいと比較すると,あまり人の出入りはなかったですが,国際センター駅から徒歩1分の絶好の位置にある展示場。来場者にとっても仙台駅から乗車したら10分以内で到着することができる,来場者にやさしい施設です。

 仙台駅方面の電車には多くの帰りの乗客が乗ってきましたが,それでも座席が埋まって多少の立ち客が出る程度というのは,ミニサイズであっても4両編成の地下鉄ならではの輸送力。一編成の定員388名と考えると,これでも乗車率3割程度。

Img_6740_20230426213201

 東西線もこのくらいの利用状況だと,安心します。

未来の杜せんだい2023開幕

 この国際センター駅近くの旧追廻,青葉山公園から西公園にかけてをメイン会場とし,4月26日より都市緑化フェアの「未来の杜せんだい2023」が開幕しました。6月18日までの約2か月弱の開催です。


 過去記事

  仙台で都市緑化フェア再び!? 2020.01.15


Img_5986

大橋側には,シンボル的なインフォメーション施設の仙臺緑彩館・もりの庭園が恒久施設として整備されています。

初日の今日はあいにくの冷たい雨となりましたが,これからは仙台の気持ち良い新緑の季節で,都心部近くで開催される入場料不要のイベント,そして青葉山公園のオープニングイベントなので,目玉的なイベントが見えづらい気がしながらも,それなりの集客を集めそうです。


未来の杜せんだい2023ホームページ

Main_map_20230426220001


 

会場間を結ぶのは東西線

 街中会場の青葉通,定禅寺通はもちろん,東部会場の荒井駅上のメモリアル交流館,農業園芸センターや旧荒浜小学校と,各会場は東西線沿線沿いに集まっています。

 そのために,仙台MaaSを用いた1日パスが販売されます。


1680998952_mirainomori

1 名称 緑化フェア周遊パス
2 対象路線 【地下鉄】南北線・東西線
       【市バス】荒井駅~農業園芸センター前~震災遺構仙台市立荒浜小学校前
3 利用可能期間 4月26日~6月18日
         ※利用日の9日前から購入可能、1日間乗り放題
4 販売価格 【平日券】大人:1,000円
       【土・日・休日券】大人:800円
       ※大人1人につき、最大で小児(1才~小学生)5人まで無料
        (小児のみのご利用はできません)


 販売価格は,通常の一日乗車券に荒井駅からのバスが利用できる分として180円プラスされた金額。

 正直通常の一日乗車券と比べてお得感は薄いですが,メリットとしては大人1人あたり子ども5人まで無料という点。

 有人改札を通過する必要があるのはちょっと面倒に感じますが,フェア期間中は東西線がにぎわいそうですね。


 普段からガラガラのイメージが強い東西線ですが,実は3月に博多駅まで延伸開業した福岡市の地下鉄七隈線(開業18年目)と延伸開業前時点の利用客数がそれほど変わらない。ミニ地下鉄かつ距離もほぼ同じなので,開業から8年目の東西線は意外に健闘しているかも。


土日祝日の10時台は6分半間隔に増発

 この緑化フェアの開催期間に合わせて,期間中の土日祝日の9時半頃から10時台の東西線が増発されます(仙台駅基準)

 会場方面の八木山動物公園駅行は通常の昼間時間帯は7分半間隔のところを,2往復増発し6分半間隔と,南北線よりも頻発運行となります。

Timetable1_20230427061501

 平日や土日休日の前後のダイヤと比較すると分かりますが,毎時8本⇒10本となります。

 この時間帯は,毎時揃っている時刻のパターンがずれるので,普段お使いの方はやや注意が必要です。

 車両が小さいことから会場に向かう方が集中すると混雑しがち(定員が南北線の約2/3)ですが,仙台駅から国際センター駅までは5分程度なので,混雑していてもあっというまに到着する距離ではありますが,おもてなしとして増発はありがたいです。

 なお,帰りの午後の時間帯の増発はなし。既存ダイヤで十分に運べると思われます

荒井行も9~10時台増発で,荒井駅付近の東部会場に向かう方にはやや便利になりますね。

間もなく改装 宮城県美術館

 この近隣の集客施設としては,宮城野原の県民会館への移転統合構想が撤回となり,無事現地存続の運びとなった宮城県美術館。

 リニューアルは統合騒ぎの前の計画よりも縮小されながらも,老朽化対策を中心にこの緑化フェア終了と同時に,6月19日より約2年間の休館に入ります。2年後のリニューアルオープンに期待。


基本設計のポイント
1.老朽化対策
 ① 空調・熱源等の各種設備更新 
 ② 外構・屋上防水等の劣化箇所修繕
2.社会状況やニーズの変化への対応
 ① 現講堂をキッズ・スタジオ(仮称),新県民ギャラリーへ用途変更します
 ② 現図書室,現映像室を情報・交流ラウンジ(仮称)へ用途変更します
 ③ 現県民ギャラリーを新展示室,新収蔵庫へ用途変更し,「見える収蔵庫」を設置します
 ④ レストラン,ミュージアムショップの拡充,トイレ設備更新,授乳室新設等を実施します
詳細はこちら(PDF)


  美術館へは,昨秋のフェルメール展の時に訪問しました。

 移転統合騒ぎが収まってから初めて訪れましたが,やはりこの中庭の空間は落ち着きました。

Pb262321

 カフェモーツアルト・フィガロのテラスにて,家族とランチをしました。

Pb262326

 フェルメール展は以前も来た事がありましたが,この絵にこんなエピソードがあったとは。

Pb262302_20230426224901

 移転統合の場合,建物の取り壊しや譲渡が条件だったので,このアリスの庭が失われてしまった世界線を考えると,撤回となって良かったと感じます。例の4病院問題ももやもやします。

Pb262311

Pb262312

 仙台は得てして古くて価値があるものを惜しげもなく壊してしまうことが多いので,この空間が今後50年と残るために,しっかりリニューアルして欲しいです。新しい美術館を楽しみにしています。

 東西線沿線のこのエリアは観光地もあり緑化フェアも含めた様々なイベントが開催され,楽しみが多いですね。これからの気候の良い季節。もっと訪れたいと思います。

 

スポンサーリンク


| | コメント (0)

より以前の記事一覧