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2025年9月

2025年9月17日 (水)

久々に広島へ(その2) 路面電車の功罪


広島編(その1)の続きです。


 宇都宮ライトラインの成功から路面電車が再評価され、マスコミ等に取り上げられることが増えましたが、その流れを作ったのは間違いなく元祖路面電車王国の広島でしょう。そもそも、宇都宮のライトラインは計画段階から広島電鉄の路面電車の神様みたいな方が乗り込んで技術協力したという経緯もあります。1路線のみ(西側延伸予定あり)の宇都宮ライトラインに対し、市内のデルタ地帯に面的に6系統の路線を走らせている広島電鉄。そして、郊外の専用軌道のインターアーバン的な宮島線にも乗り入れ一体運用しているなど、かなり前から先進的な取り組みを採用してきました。

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課題満載の路面電車

 その広島では、前回訪問した20年前の時点で、3両編成の連接車グリーンムーバーが走っており、車両については単車のいかにも路面電車からLRTへ進化させようという意欲を感じていましたが、そこから20年が経過し、連接車両の増加を感じました。

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連接車両の導入で運転手の削減、輸送力アップを図り、100万都市のメイン公共交通機関として、できる限りの努力をしているんだろうなぁと感じた一方、流石に路面電車故の限界に直面しており、中々運用を含めてLRTには進化しきれていない印象です。


  1. 1編成あたりの輸送力不足(連接車でも仙台市東西線の1/3、アストラムラインの半分)
  2. 遅い(広島駅ー紙屋町2㎞が15分)
  3. 労働集約型産業(人件費率の高さ)

 1~3まで課題を挙げましたが、それぞれの課題は相互に関わっています。

 まず1の輸送力不足についてですが、3連接や5連接といっても、路面電車の車両長は法規で30m以内とされています。宇都宮ライトラインも同じ制約をクリアするように整備され、定員160名(うち座席50席)ですが、広島電鉄も同程度の定員となります。

 例示した仙台市地下鉄東西線の定員は4両編成で388名(座席100席程度)、アストラムラインは6両編成ならがも定員264~288名(座席100席程度)で、それぞれ 、東西線で500人、アストラムラインで400人程度は詰め込むことができ、朝ラッシュ時を中心に大量輸送に活躍しています。

【仙台市地下鉄東西線 】

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アストラムライン

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【広島電鉄】

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 一方、広島電鉄の路面電車は、新型の超低床型連接車でも概ね定員150人で座席数は不明ながらも立ち客前提のように感じ、2~3本でようやく東西線やアストラムラインの1本分の輸送力に届く形となっています。昼間は10分に単車も含め2~3本なので、東西線もアストラムラインも10分に1本であることから、広島駅⇔紙屋町付近の輸送力としては大量輸送の軌道系機関の両者とほぼ同じ程度をなんとか複数系統を束ねて確保している形です。

 いかんせん、その分運転手(連接車両は車掌も)必要で、3の人件費率の高さに繋がってきます。2の遅さとの関連で所要時間がかかるということは拘束時間も長いということ。

強すぎる広電の影響力

 様々な課題がありながら、広電という民間企業に都市内の主要公共交通機関の運営を任せていることから、市側の意向がそのまま通るわけではなく、松山市と伊予鉄、新潟市と新潟交通、福岡市と西鉄の関係にも似ている。ただ、福岡市は市営地下鉄3路線を運営(かつての西鉄路面電車から移行)しており、自前で施策を実行できる手段があるのに対し、広島市は第三セクターのアストラムライン(広島高速鉄道)1路線のみ。

 アストラムラインを延伸するにしても、広電路面電車との絡みや、地盤が軟弱な故の高コストな工事費などもあり、事業化が難しい状況で、現在の都心部側の終点である本通からの延伸ではなく、広電路面電車と競合しない末端の終点である広域公園ー西広島間を単線で整備することになりましたが、570億から760億に見直された工事費、しかも単線での整備と、都心部西部のターミナルである西広島駅につなげることでのJRを含めたネットワーク化の効果があるにしても、次善の策という苦しさが伝わってきます。

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相次ぐ運賃値上げ

 それに、路面電車自慢の低運賃も、長らくは150円均一(路面電車部分)だったのが、2014年の消費税8%時に160円、2017年に180円、2019年に190円、2022年に220円と小刻みに値上げが続き、 この時にコロナ禍の苦境を逆手に、エリア内の路面電車やバスの共通運賃制度を導入しましたが、さらに今年の2月からは240円と、どんどん上がっているのは、3の人件費負担の大きさもあるでしょう。

 とはいえ、路面電車の市内線は値上げが続きながらも、均一区間に郊外区間の宮島線が含まれ、広島駅から宮島駅までは270円から240円(独自カードのMOBIRY DAYS利用で220円)と、値下げで並行するJR山陽線に対する価格競争力確保と、全線均一区間にすることでの精算の簡略化を図っています。そもそも広島駅から宮島口まで、JRで30分420円のところ、広電では70分240円と、所要時間倍以上、料金半分程度ということで、目的地に応じて使い分けがなされているのではと。急ぐ時はJRで急行料金のようなもの。

 1乗車あたりの運賃を値上げする反面、1日券700円で3回乗車すれば元が取れる設定とし、そして、普段使いの通勤通学客には電車全線定期券を発売し、広島駅から宮島口、広島港までの全区間を半年で5万3千円(1か月9800円)で乗り放題になるようにし、気軽に足代わりに乗ってもらおうという考えに思えます。

 普段の通勤通学以外の区間でも乗り放題になるとのことで、公共交通機関の利用促進の効果は絶大では。

 値上げと大盤振る舞いが混在して、よくわからなくなりますが、総利用者を増やすために考え付いた取り組みなのでしょうね。

MOBIRY DAYSへの移行と、交通系ICの利便性低下

 この施策については、以前の地域で利用できた交通系ICのPASPYのシステム更新費用の多額負担が理由とし、ICカードではない独自規格のMOBIRY DAYSへ移行することとし、SUICA・ICOCAなどの交通系ICは利用できなくなるとの報道でした。熊本に続く交通系ICカードのシステム更新負担の重さからの離脱の動きとなりましたが、結果的には広電でも簡易端末でSUICA・ICOCAを利用できるようになりました(ただし、距離制運賃の場合は、整理券で読み取った金額を運転手が入力して決済というような、混乱を招くような仕組みに)。

 広電の路面電車でも、MOBIRY DAYSは乗車時と降車時の両方の読み取りが必要全てのドアでの乗降が可に対し、  SUICA等交通系は
降車時のみタッチでOK(市内の路面電車・バスは240円均一のため)ながら、車掌等がもつ端末でのみ降車処理可といったように、正直最初は???でした。

 広島駅から紙屋町西まで乗車しましたが、昼間で観光客が多かったこと、連接車両で車内がかなり混雑していたことから、乗車時・降車時ともかなり混乱していました。ICOCA(SUICA)をMOBIRY DAYS端末にかざそうとする方がかなり多く、車掌も降車客が持つカード・スマホに応じて、あっちの据え置き式リーダー、手元のハンディカードリーダーと指示しながら使い分け、現金精算者向けの両替対応など、こんなに忙しい対応を強いるのは本当に酷に感じました。

 なお、最初は乗降で時間がかかり遅れが慢性化した宇都宮ライトラインは 、慣れた利用者が大部分となった朝の通勤通学時はほぼICカード利用でスムーズに乗降できているので、広電も通勤通学時はそれほど混乱していないのかもしれません。

遅さという宿命

 広島駅発車時からこのような感じで、数分発車が遅れ、次の稲荷町電停発車時には右折待ちで数分停車、その後の胡町、八丁堀、立町などの停留所に頻繁に停車する際に、降車客の精算処理で1~2分は発車できずの繰り返しで、降車した紙屋町東までの1.9㎞を15分以上要したため(時刻表では13分) 、乗車してからのべ20分程度かかりました。揺れる路面電車で立ちっぱなしだったので、結構しんどかった。

 触れ込みでは、駅前大通線をショートカットすることで4分短縮とありましたが、「信号待ち」「降車時の精算処理」「停留所間隔の短さ」で、この時間短縮効果が消えてしまっているのは本当に惜しい!

 この距離は、仙台の南北線でいえば、仙台駅から北四番丁(1.9㎞)で3駅5分の所要時間で、路面電車遅すぎ!と感じますが、  


JRから地下鉄への乗換移動で5分 ⇒ ホームでの平均待ち時間5分 ⇒ 乗車時間5分 ⇒ 地上に出るのに3分


 と考えると3km未満の近距離でのトータル所要時間は地下鉄でも路面電車でもそれほど変わらないのかもしれません。

 さらに、仙台市地下鉄は平日昼間(休日はほぼ終日)の10分間隔トラップがあることから、最大乗るまでに9分程度待つことを強いられるので、それを考えると、この辺の精算処理の改善と、電停の統合などを含めた、スピードアップの取り組みにより、広島駅から紙屋町まで10分程度の所要時間に短縮し、名実ともにLRT化されれば、路面電車でも十分生き残れるかと感じました。

 また、広電はJR広島駅・横川駅・西広島駅で定時性の高いJRからの乗換客があり、組み合わせで利用している方も多く、トータル(所要時間・運賃)で絶妙なバランスを保っているのかもしれません。

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 とはいえ、夕方に、八丁堀から西広島まで(約4km)まで25分、夜に横川駅から皆実町6丁目まで(約5km)を30分以上かけて移動し、このくらいの距離となると、正直遅いなぁと感じましたが、だんだんとこの情緒にやられて、遅さに慣れてきました。

沿道の厚み

 それも、やっぱり沿道が元気なんですよね。古い町並みかもしれないが、チェーン店以外の商店や飲み屋も電停前だけでなく、駅間でも結構残っているし、マンションなどの集合住宅の密度も高く、乗っていて飽きませんでした。乗客も入れ代わり立ち代わり 乗ってきて、乗り降りのない停留所がなく、本当にげた替わりに利用されているというのが分かりました。

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 仙台では、地下鉄沿線でも沿道の賑わいを維持するのに四苦八苦しています。特に約50年前に廃止された仙台市電沿線、かつ副都心エリアでありながらも、長町商店街の長町一丁目駅と長町駅の間は500mしかないのに、商店街としてはかなり歯抜けでまずい状態にあります(スーパーはモリヤ閉店の後ウジエ出店のようで、一息つく形なのが幸い)。両駅(JRを含む)で乗降客合わせて4万人以上いるのに、商店が閉店した後は駐車場になったり、徐々にマンションに建て替わっており、これが地下鉄と路面電車やバスとの明確な街への影響の差と感じました。

 路面電車やバスであれば、停留所間でも車窓を通じてのアピール効果があり、今度行ってみようと思わせるものがありますが、地下鉄は速さと駅間の長さと引き換えに、街をワープしているようなもので、駅周辺の”点”の集客効果はあれども、広がりは限定的。

 これは、路面電車と地下鉄の差というだけではなく、そもそも仙台の市街地の人口密度の低さ故なのかもしれません。


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2025年9月 9日 (火)

久々に広島へ(その1)路面電車が新駅ビル直結!

 先日、約20年ぶりに広島へ行ってきました。昨年の福岡も同様に久しぶりの訪問でしたが、広島も変わった部分と変わらない部分があり、駆け足で回りましたが、いろいろと楽しめました。

広電 駅前大橋ルート開業と広島駅新駅舎乗入れ

 8月3日に念願の広島駅ビル乗り入れを迎えた広電こと広島電鉄の路面電車。これまでは、駅前の遠回りの細い道路を回り込むように駅前に入っていましたが、新設された駅前大橋ルートをショートカットして、駅ビル2階に乗り入れです。

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 JR広島駅在来線改札からは、徒歩1分もかからず、本当にスムーズに乗り継ぎできます。

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 仙台のように地下鉄であれば、概ね5~10分程度の乗換時間が必要ですが、改札出て2分後には路面電車への乗車も可能という劇的な改善。以前も、駅舎から1階に降りたところにあり、それほど遠い訳ではなかったにせよ、改札降りてすぐに視覚的にどーんと飛び込んでくるこのインパクトは大きい。 

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 このように、駅ビルから電車が飛び出してくるような構造は、JR九州の小倉駅ビルと北九州モノレールが有名で、30年近く前の1997年に実現していますが、路面電車としては、富山駅を南北に貫通する富山地鉄市内線でコロナ禍の数年前に実現したばかり。ただ富山は在来線が高架化され南北の路面電車を接続し1階を路面電車が貫通できるようにしたのに対し、広島は在来線が地上を走っていること、駅北方面への延伸は厳しく、従来通りのJR広島駅終点前提で地下案と2階案の検討の結果、2階になったとのこと。

 視覚的にも機能的にも、この2階に停留所が移設されたのは良かったと思います。

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 実際に、紙屋町方面に行くには、路面電車は遅く、地元民は急いでいる時はバスを使うとのことで、そのバス停も、駅舎1階に隣接した場所にきれいに再整備されたようですが、目の前に路面電車が並び、時刻表示もされいつ発車するかも一目瞭然なので、自然と足が路面電車の方に吸い寄せられそうです。

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 以前の旧駅は縦列停車もあり、狭いスペースで複数系統を神がかり的な発着運用をしていましたが、駅ビル2階に整備された新駅舎は横にA~Dの4つのホームが並び、行先毎に乗り場が分かれ、発車時間の電光掲示も設置され、初めての利用者でも分かりやすくなりました。


  •  A:比治山経由       広島港行(昼間 5本/時)
  •  B:八丁堀・原爆ドーム経由 宮島口行(昼間 6本/時)
  •  C:八丁堀・原爆ドーム経由 江波行  (昼間 4本/時)
  •  D:八丁堀・市役所前経由  広島港行(昼間  5本/時)

で、広島港行が2系統あり、ここは戸惑うかもしれませんが、基本的にB~Dの乗り場から都心部の八丁堀・紙屋町方面へ行け、都心部へは概ね10分間で2~3本出ているので、本数的には十分です。

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 ただし、入線待ち、降車待ち、乗車待ちで常態的に遅れが発生し、昼頃に乗車した際は、2分程度発車が遅れました。時刻表表示があるだけに、逆に遅れが気になってしまう面もあります。路面電車なので、時刻表通りに行かないのは当たり前なのですが。

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そして、旧停留所の跡地は既に撤去され、整地作業に入っていました。新停留所に切り替わって1か月であっという間です。

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正面の広島駅に向かう旧ルート。もう、ここを電車が通ることはありません。しかし、こんな狭い道を通っていたんですね。

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その2に続きます。

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