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2024年8月

2024年8月25日 (日)

九州旅行編(その2) 元気な九州の魅力

 九州旅行編の続きです。


前回記事


 九州には約20年ぶりの上陸。その前は学生時代に2週間くらい九州内を彷徨ったことがあり、ずっと再訪したいと思っていながら、東北から九州は敷居が高く、ようやく念願の再訪が叶いました。


 前回は2003年11月29日。ベガルタのJ 1残留をかけた最終戦のために、いてもたってもいられず大分に行って以来。 その時は、羽田からの飛行機が取れず、仕事終えた金曜日夜に新横から小倉まで東海道・山陽新幹線、そしてドリームにちりんという今は亡き宮崎行きの夜行特急に乗り換え、大分で2時頃に途中下車しネットカフェで朝まで過ごして、当時のビッグアイでの直接対決決戦に向かった覚えがあります(若かった。。。)。試合は、勝てば残留のところ 1点が遠く 1−1の引き分けとなり、翌年から6年間の長いJ2での苦境を彷徨ったベガルタでした。

 ベガルタの3回目のJ2はすでに3年目ですが、まだ3年目と言えるほど簡単に抜け出せる世界ではない。新潟もJ2に落ちて戻るまで5年もかかっているので、ことしは森山監督(ゴリさん)のもとで秋に向けて期待が残っていますが、J1昇格プレーオフに残れば御の字というスタンスで、楽しみます。


 試合翌日にはせっかくなので、小倉のリバーシティ北九州、キャナルシティ博多という当時話題になっていたジョン・ジャーディが手がけた複合商業施設を梯子し、そして天神の渡辺通沿いの三越・岩田屋・ソラリアを中心とした商業施設群の迫力、11月なのに歳末か?と見間違うような人混みに圧倒され、降格の傷心の中新幹線で5時間弱の長い帰途についた記憶は鮮明に残っています。それ以来ということもあり、本当に楽しみでした。

 

SUNQパスフル活用
 九州内は主に高速バスで移動。SUNQパスというバス乗り放題の切符が役に立ちました。都市間の中距離バス移動だけで十分に元を取った上、長崎市、熊本市、福岡市での都市内の路線バス移動にも利用することができ、旅先での運賃の違いを気にしながら乗る必要がなく、ストレスが軽減されました。


 SUNQパスは、北部九州3日間券を9000円で購入。他に南九州版、全九州版(これのみ4日間あり)もあり、目的地や利用期間によって選ぶことができます。高速バスや路線バスも全て乗り放題、そして一部のフェリーなども乗れて、北部九州版は1日3000円と格安。下関など山口県の一部も範囲に含まれていること、観光施設の割引クーポンもあり、西鉄バスを中心に、都市間高速バスも、都市部の路線バスも信じられない本数が走っている九州なだけに、非常に使い勝手が良い切符でした。

Sunqmap 

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 これ、東北でも真似してもいいんじゃない?とはいえ、九州の西鉄バスのような音頭を取れる事業者がいればですが、宮交バスはお察しの状況。また、都市間バスはそれなりにありますが、路線バスが壊滅的な都市もあること、面積が広い分、価格を高く設定する必要がありそうということなど、困難な要素は多いですが、インバウンド対策も含めて、検討の余地はあるのでは。東北運輸局あたりで音頭をとって欲しいな。 

 

九州が元気な要因

 本州から離れた島という、一見ハンディにも思える条件ですが、それを感じさせず、逆にメリットとしてしたたかに生き残っている印象です。

1.航空便の発達

 本州からは飛行機の移動が主流になり、東京や大阪からの航空便の本数が確保されているため、格安航空券やツアーが使え、観光客の誘致にはかえってメリットになっている点。

 そして、東京からの距離はあっても、古くからアジアやヨーロッパとの交易などでの交流が盛ん立ったこともあり、また、飛行機でのアジアとの時間距離は2時間圏にソウル、上海、台北と、東京への所要時間と変わらず、地の利をうまく活かしているのは、熊本のTSMC誘致成功も然り。

2.陸路でも本州とつながっている

 戦前から関門国道トンネルで本州とつながり、1973年の関門橋開通で高速道路でも本州と結ばれ、クルマでの本州との行き来も容易になりました。その後、1975年の博多までの山陽新幹線全通、2011年の九州新幹線全通により、博多駅の交通拠点性が高まった上、博多駅を挟み新大阪から鹿児島中央までの直通運転が開始され、航空路線がなかった広島や岡山などからも、熊本や鹿児島まで乗り換えなしで毎時1~2本の「みずほ」・「さくら」で移動することができるように。九州は、福岡空港や宮崎空港を除いて空港が中心都市から遠いこともあり、九州新幹線の全線開業で大阪以西との一体化が進んだことは大きかったと。以下の図は日経記事より引用。

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 特に、広島~熊本は九州新幹線直通の効果は絶大で、1時間35~50分で結ぶというのは破壊的。仙台~東京間に相当するこの間に福岡市・北九州市を含め4つの政令指定都市が存在するのはさすが太平洋ベルト国土軸の延長線というか。

3.”離島”としての一体感と各県の対抗意識のバランス

 面積は東北地方の6割にも関わらず、人口は1.5倍。人口密度だけでも2.5倍と。そもそも適度な集積があります。全国に対して占める割合から1割経済と言われており、大きすぎず、小さすぎずという絶妙の”カタマリ”。

 人口ブラックホールの首都東京に陸路で繋がり、心理的障壁が小さい東北地方と異なり、 首都圏から物理的に離れていることで九州内に留まろうとする意識が強いことも、福岡市が九州の首都として人口増を続け本州に対する人口ダム機能を果たしているという面があります。このような大都市の存在は、北海道に対する札幌が分かりやすい例。 


 自分は東京一極集中解消の観点から道州制が望ましいと長年思ってきましたが、一方実質道州制が実現しているような北海道は、東北地方と新潟県を合わせた面積に匹敵しますが、札幌に人も富も一極集中する一方、旭川、函館、釧路などの拠点都市の寂れ方と周辺部の過疎化、無住化の極端な進展ぶりと課題が山積です。一方、ここまで福岡市が発展しても他県も切磋琢磨し観光地や名産品をはじめ魅力を発信し続けていることが九州の魅力であり、また県庁所在地の活力が失われていないという点もバランスの良さを感じます。九州に関しては現在の各県がそのまま残り、連携するところは九州でまとまるという方法で十分やっていけそうな気がします。くまモンは道州制だったら生まれていたか?


 そんなことを感じながら、各地を周りました。もっと各都市をじっくり腰を落ち着けて回りたかったのですが、欲張り過ぎて本当に駆け足の旅に。

 

次回に続きます。

 

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2024年8月19日 (月)

九州旅行編(その1) 久々の仙台空港&アクセス鉄道

 7月に北部九州旅行へ。5日間で足早に回りました。

 以前は1~2年毎に飛行機でどこかには出かけていたのに、コロナ禍のため空港利用は北海道旅行以来ちょうど5年ぶり。

スマホでチェックインができるようになっていたり、いろいろと進化していますね。

仙台空港拠点のIBEX

 今回は、仙台⇔福岡便を往復利用して行ってきました。IBEX(ANAコードシェア)が5往復、JALが2往復で、地方都市相互としてはまぁまぁの便数。特にIBEXは仙台空港が拠点なので、朝一の便が7時35分と早く、現地での初日の時間を長くとることができました。ボンバルディアの70人乗り
小型機を活用するリージョナルジェットのIBEXが仙台空港を拠点にしていることで、広島便も時間が選択できる最低限の3往復確保され、他社がメインの他路線でも、各3往復程度と補完の役割を果たしてくれています。

 バスのような4列シートのため、窓際を指定できる確率が1/2という点は嬉しい。


(8/21追記)

 ピーチは関空、那覇、成田に続き2017年から4番目に拠点化されながらも、その後新千歳、福岡、中部と国内の主要空港も拠点化されると、ピーチとして相対的に仙台空港の位置づけが低下したということが明らか。コロナ禍後は2019年にスタートした夜間駐機も中止され、 沖縄便と台北便の運休や、札幌便の減便、関西便の始発が午後になるなど、親会社ANAとの兼ね合いもあるのかと邪推してしまうほど、露骨に利便性が低下している残念な状態なので、これ以上の路線拡大は期待できない。

 一方、IBEXであれば、定員70名ということから中型機では就航が難しい都市への新規便の可能性があるのかなと思っており、IBEXが現在就航している空港で、仙台空港からかつて就航していた鹿児島へは仮に1日1往復でも5往復の福岡便と組み合わせて利用できることから、可能性はあると思っていたところ。

 本日の日経東北版で、新たに仙台空港の運営会社に就任した前田社長より

  • 「仙台空港は国内で羽田空港への就航便がない全国的にも珍しい空港だ。羽田以外の就航地を求めていく必要があり、地方空港を結ぶ核となる空港をめざしたい」
  • 「新規就航としては四国と南九州など過去に定期便の就航実績がある、時期によってチャーター便が飛んでおり、航空会社に働きかけていきたいと考えている」

    とのコメントがあり、そうすると、鹿児島と松山便(もしくは高松)の可能性が高いのではと。
    仙台空港を拠点にしているIBEXに期待したい。

 過去記事


Rosenzu

 


IBEX 仙台空港発着時刻表(2024年夏ダイヤ)
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朝の仙台空港アクセス線

 7時35分離陸なので、30分前までに空港に到着しなければと思いながらも、直前の電車は空港7時6分着。そうすると出発前30分を切り、保安検査を考えるとあまり余裕がない。そもそも万が一電車が遅れたり止まったらと考えると1本早い電車の方が安心と、長町駅6時21分発で空港駅に6時40分に到着。

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長町駅でも、スーツケースを持った方々の乗車がちらほら見受けられました。

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 4両編成なので各ボックス1~2人という乗り具合でしたが、7時前のこの時間でも、それなりの利用者が仙台空港駅の改札を通過します。

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 7月でしたが、七夕飾りが利用者を出迎えていました。

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 いつも思うところですが、昼間が20分毎(2~4両編成で毎時3本)になったのと比べると、朝夕は概ね30分毎(4両編成で毎時2本)で待ち時間が長いので、ここが改善されると仙台空港の便数や利用者数を踏まえると完璧なのになぁと。

仙台駅発 空港駅着 間に合う便
6時16分 6時40分 名古屋、伊丹、福岡(7時35分発)
6時42分 7時  6分 新千歳(7時45分)、伊丹(7時50分)
7時  8分 7時31分 広島(8時10分)、新千歳(8時15分)

 7時35から8時15分までの時間帯に、主要目的地である各方面への始発便(新千歳×2、大阪×2、名古屋、福岡、広島)が出発しますが、目安として仙台駅を1時間前に出発できるよう、20分毎に運行してくれると時間が調節しやすいのですが、いかんせん朝と夕方以降は東北線内の混雑緩和のため4両編成で運行する制約、及び朝の空港発と夕方以降の空港行は乗り入れるJR東北本線自体が過密ダイヤでアクセス線を増発する余地は限られるのが残念。


 であれば、朝の空港行や夕方の空港発はまだダイヤ上余裕があるので、一部2両編成を活用し、空港駅や仙台駅で増解結するという手段は不可能ではないですが、いかんせんその都度というのは手間がかかり過ぎる。増解結は従来仙台駅のみでしか実施していない。


 かつて臨時列車で21時頃に運行されたことがある「空港発名取行」の区間列車。空港発は「名取駅2番線着⇒対面の3番線から仙台行接続」が可能なので”あり”なのではと思いますが、逆に仙台駅から空港方面に向かう客の利用は、「名取駅1番線着⇒階段・エスカレーター経由で2番線から空港行に接続」と不便。そもそも、仙台駅からのどの電車が名取駅で接続するか特に旅行者には分かりにくく、利用者は限られてしまう。それにダイヤ乱れの時には名取駅2番線をふさいでしまうというデメリットも。

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 この点を解決するためには、そもそも車両の増備が必要でしょうが、経営状態に余裕がない仙台空港鉄道にとって数億円の投資は県の更なる支援がなければ無理。

 また、空港線部分は単線で行き違いが美田園駅に限られることも、運行ダイヤの細かな調整ができない理由ですが、現在の美田園駅と名取駅での上下列車交換のみでも、昼間の20分間隔が実現できているので、杜せきのした駅での交換設備設置の優先順位は低いのでしょうね。 


 なお、各駅停車の所要時間は25分と謳っていながら、片道23分~29分と所要時間にばらつきがあるのは美田園駅などでの交換待ち時間次第のためでしょうが、極力統一が望ましいと。

 昼間の20分間隔の時間帯に限った話ですが、必ず仙台駅発空港行が美田園駅で必ず3分間の交換待ちがあり、所要時間27分で統一されているのが勿体ないと感じます(空港駅発仙台駅行は所要時間25分で統一)。遅延対策で1分程度の余裕時間も必要でしょうから、空港駅発を2分早めれば、交換待ち時間がその分短縮され、所要時間25分で運行できるのにとも。


朝の出発ラッシュ

 さて、下の写真は始発から10時ころまでの出発案内。7時台と9時台に出発便が集中し、8時台はやや少ないうえに小型機3便のみ。今春就航しデイリー化された新潟便の折り返し始発も9時前の時間に出発です。

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 パタパタ式の出発時刻掲示板が廃止されたのは時代の流れとはいえ、残念。今は萩の月の広告看板に。

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空港内散歩

 出発まで約1時間近くありもったいないながらも、久々の仙台空港利用なので、変わったところがないか20分ちょっと内部をぶらぶらしました。

Xでバズってた電話機。

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 ベガルタ選手のフラッグが壮観。

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飲食店のリニューアル

 話題性のある飲食店が増えていますね。これも民営化による創意工夫でしょうか。

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これはフラットホワイトコーヒー。開店前ですが。

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海鮮丼が豊富な、ふぃっしゃーまん亭(フィッシャーマンズ・ジャパン)。こちらも開店前。

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 エアサイド(保安検査後)でしか食べられないだし廊GOLD。7時からオープンでしたが、うろうろしすぎて時間が無くなり断念

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 相変わらず出発前も到着後の時間調整にも重宝する、使いやすいプロント。

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増設された搭乗口

 そういえば、5年前の北海道旅行の時にはすでに西側の搭乗口が増設されていましたが、

残念ながら、その後計画されたランドサイドの商業機能のリニューアルは、コロナでほぼ様子見となっているようでした。


過去記事


 

 

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 行きはIBEXながらも4番搭乗口からでした。朝は夜間駐機分もあり搭乗口はほぼ埋まり、IBEX名古屋便やトキエアはバス連絡での地上からの搭乗です。

なお、帰りの到着便はバス連絡を体験しました。

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 IBEXの利用は初めてでしたが、やっぱりかわいいサイズ。

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離陸後に、名取市閖上・広浦付近。

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約2時間ちょっとのフライトで、福岡空港に到着しました。

その2に続きます。

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2024年8月 3日 (土)

続 新潟編 厳しい古町の現状

 さて、新潟訪問の続きです。


前回記事


 わずか2時間余の滞在時間で、2年前にバスで通過しただけだった古町を訪れました。

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 今は亡きかつてはBRTと称された萬代橋ラインにて、古町へ向かいましたが、雨と寒さでテンションが低くなっている中、お目当ての連接バスも来ず、そして知ってはいたけれど、均一料金が210円から260円にアップしており(新潟駅ー万代間を除く)、全線に乗るんだったらともかく、たった5分ちょっとの乗車でとがっかり感。そもそも快速便なのに5人程度しか乗っておらず、万代から多少は乗ってきましたが、平日の昼間とはいえ確かに連接バスにする必要もない乗車状況。仙台市地下鉄の昼間10分間隔もがっかりですが、新潟市の幹線系統と位置付けられている街の中心に向かう基幹系統バスで10分間隔、そしてガラガラという状況を目の当たりにすると、何ともいえない気分。

かつての古町の中心

 古町モールを横目に見ながら、まずは新潟三越跡とNEXT21、新潟大和跡の再開発ビルである「古町ルフル」が集まる西堀交差点に。

   交差点を取り囲む建物からは街の中心地という賑やかさを感じます。

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 その3つの核的な施設を結んでいた、地下街西堀ローサにまずは潜りました。前回震災前に来た時でも、結構厳しい状況ながらも、それなりに店は並び、そのご大規模なリニューアルでテコ入れされたと記憶していました。

 まるで地下鉄に入るような不思議な感覚で地下に潜ると、こんなレトロな地下街が。

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 訪問したのは冬でしたが、暖房もバッチリで通路としては使い勝手が良いと思いながらも、地下街の店舗は正直厳しい。

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 結構な長さがありますが、半分以上の店舗名がテープで覆われているように、結構な歯抜け状態。

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 端から端まで10分くらいかけて歩いてみましたが、ため息しか出ませんでした。

 この地下街の店舗がかつては全て埋まっており、新潟の最先端のストリートとして人でごった返していたという情報からすると、なんとも言えない。地上の賑わっていたアーケードがシャッター街になった状態は見慣れていますが、それでも人が住んでいたりでここまで寂しい雰囲気にはならない。入居しているのはチャレンジショップ的なもの、飲食店、そして消費生活相談所のようなもので、正直まともに商売になっているところはあるのだろうかと思わせる位の状況。

 この地下街も全店舗を撤退させて運営会社が2025年で解散するとの発表がありましたが、地下駐車場や周辺施設との連絡機能もあることから、通路自体の閉鎖はしないようですが、どのような未来が待っているのでしょうか。

 そのような西堀ローサからの薄暗い連絡通路が、NEXT21に繋がっていました。

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ファッションビルからお役所ビルへ(NEXT21)

 地下1階からセブンイレブンが、1階を含め、クリニックや薬局などで埋められています。

 1階から上空に広がるアトリウムについては実質無料休憩所で、外で買った弁当を広げる市民が多し。

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 建物の2〜5階は、新潟市中央市役所として活用されていましたが、正直仙台のアエルのようなガラス張りの吹き抜けもある高層ビルが区役所として活用されていることについては、石巻市役所の旧さくらの百貨店の建物は閉じられた建物で「これもありかな」と思わせたのに対し、更に役所らしくなさを感じました。

 中心市街地活性化として、行政機能の街中移転という施策はよく使われますが、大和、三越という百貨店2店舗、そしてラフォーレというそもそも買物する場所がなくなった古町。飲食などは期待できるのでしょうが、人を集めさえすれば良いという訳でもないよなとも。でもやらないよりはマシとも。 


なお、このNEXT21は、かつて移転した新潟市役所跡地の再開発と聞いて、頭が痛くなりました。役所跡を再開発したけれどうまくいかず、結局役所機能を戻すという例を聞くのは初めて。。。

 そもそも郊外の新光町の現地に移転した県庁跡地に、かつて玉突き的に新潟市役所が移転したとか。県のしりぬぐいをさせられて、結果的に中心部が衰退し、二重の意味で労力を掛けざるをえなかったということには気の毒な面も。


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 上階はフィットネスクラブ、オフィス、レストラン街ですが、レストラン街はほとんど営業していません。仙台のSS30やアエル、アジュール仙台(現大樹生命仙台本町ビル)もですが、地方都市の超高層ビルの飲食店街は長続きしない印象。

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 NEXT21は震災前にまだファッションビル「ラフォーレ原宿新潟」が入居していた時にを見に来たことがありましたが、その時は、仙台駅前のEーBeansのようなレディースファッションの集積地という華やかさを感じたものでしたが、ハコは一緒とはいえ全く雰囲気が変わっており驚きました。

 屋上の展望スペースも雨ながら眺めは良かったのですが、そこの無料休憩スペースには区役所やオフィスに勤務されていると思われるかなりの方々の昼食スペースに変身していました。皆、弁当やサンドウィッチを慌ただしげに食べており、居心地の悪い視線を感じ全く落ち着くことができず、さっさと退散せざるを得ない状況に。

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 前回新潟を訪問した際に寄った、新潟日報メディアシップでも感じましたが、1階の一等地が休憩スペースに解放されており、あらゆる年齢の方々が長時間滞在しコンビニやパン屋で買った物を食べていること。これが仙台であれば、ちょっとした待ち合わせに短時間使用するような使われ方をしていたり、うまくお金を落とすためのカフェなどが設置されている印象ですが、一等地の使い方として勿体無いというか、違和感を感じる場所が多かったと感じました。


過去記事


百貨店からお役所ビルへ(古町ルフル)

 そして、また西堀ローサに戻り、向かい側の再開発ビルの古町ルフルへ向かいました。綺麗な連絡口が整備されています。

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エスカレータと立派な階段が整備されており、地下街の現状との落差にびっくりしました。

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ガラス張りで今風の再開発ビルです。

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NEXT21展望台から。

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 低層部は商業施設、上層部はオフィスと思ったら、3階から6階までが何と新潟市役所ふるまち庁舎とか。その上も公共系(金融・産業関係)の団体が入居しているなど、公共施設ビルになっているではないですか。

 低層部もドラッグストアとコンビニエンスストア、そして金融機関。正直百貨店跡地に再開発ビルとしてわざわざ作る必要があったものかは疑問に思いました。まぁ、リーシングがうまくいかずに、後戻りできなかったパターンと思われます。

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 入り口部分のオブジェというか見事な意匠です。

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 建物の前面とバス停との間には、北国での冬の寒さを避けるためにイベント広場として使えるスペースが整備されていました。

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 新潟駅方面へのバス停が目の前なのは良いですね。

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 キッチンカーが出店し、ここにも無料休憩スペースがありましたが、お金をかけずに休憩する場所がここまで整備されている都市は中々見ない。ある意味周辺の専門学校の学生などにとっては居心地がいいのかもしれない。一方、カフェが見たかぎりドトール1店舗のみでしたが、スタバもNEXT21から撤退しているなど、大手チェーン店の出店対象から外れてきている危機的な状況。マックも無くなったのでしょうか。個人の喫茶店は点在しているのが救いですが、気軽に入ることができるチェーン店もあると良いのに。


 先日行った、長崎市の浜町アーケードは、長崎駅から市電やバスで10分以上かかる場所にあるどちらかというと地元民向けの商店街なのに、ドトール、マック、コメダ、サンマルクなどチェーン店のカフェがこれでもかと出店しており驚いたもの。


 そういう意味で、この一体は、NSGグループが経営する専門学校を集積させ、街中に若者を集めるという施策を長年とっており、これまでは比較的評価されていたという印象でしたが、高齢化が進み新潟島の人口が減少し、街の中心が新潟駅や万代へ移っている中で、外から集めているのがその購買力の小さい学生だけでは、街を維持するのは難しい。大和と三越の閉店で、百貨店の客層である高齢者も万代の伊勢丹に移ってしまったのか。

 それに加えて公共系の就労者を集めて飲食店などのある程度の下支えにはなるでしょうが、それにしても隣接する古町モールの衰退ぶりには驚きました。商店街の方がバス通りからの入り口でさえ、空き店舗が目立っている状況で、古町ルフルの1階部分の店舗も正直魅力的な店舗を入れられていない。

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 NSGグループの奮闘ぶりは非常に感じました。

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 厳しいふるまちモール

 震災前に新潟訪問した際には、三越、ラフォーレ、大和とまだ大型商業施設が健在の頃で、とにかくふるまちモールの元気さと長さとには驚きました。バス通りに近い部分は全蓋式、離れたところは一番町4丁目のような片側アーケードがどこまでも伸び、チェーン店から、地元の味がある店舗や飲食店などに徐々に移り変わっていく様子が非常に新鮮でした。

 5年位前には、カミフル(上古町)と呼ばれる白山神社寄りの商店街を見学する機会があり、商店街の端っこで苦しんでいるアーケードの維持、テナントリーシングや運営の工夫について話を聞くことができ、ほとんど空き店舗がないということでした。

 この長いモールが結果的に機能分担して頑張っていることについては、仙台のアーケードのように地価や賃料が高すぎて、ほとんどがチェーン店の集まりとなってしまい、通行量が多いけれど面白みのない街並みになってしまっていることの良い意味でのアンチテーゼとも。


 仙台市役所が中心となって、東北芸術工科大学の馬場教授に協力を得て「リノベーションまちづくり」として、肴町、立町など、アーケードから程近くながら、古い建物が生かされていないエリアに家賃の安い面白いビジネスを生み出すプロジェクトをここ10年進めていますが、地価が高すぎる仙台では中々進まない弱点が。地価が安く実験的な店舗を若者の多いエリアに出しやすくなっているというのは大きなメリット。


 今回、カミフルまでは時間がなく、天気も悪く回ることができませんでしたが、平日の昼過ぎとはいえ、古町の厳しい状況を十分に感じました。本当に歩いている人がほとんどいない。雨かつ、専門学校が休みに入り、オフィスワーカーが働いている時間帯と言ってもここまでになってしまうのか?

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 今回は雨で諦めましたが、並行してふらっと本町にも庶民的なアーケード街が伸びており、今度閉店しロピアが入居することになったイトーヨーカ堂丸大新潟店が位置しているなど、古町といえばアーケードと商店街というイメージがあっただけに、核となる大型店舗がほぼ失われると、街中の買い物は万代シテイ、そして、今後は新潟駅ビル、そもそも、郊外のショッピングモールや郊外型専門店で十分となってしまっているのか。買回り品のふるまちモールよりは、イトーヨーカドー丸大がある食料品などのふらっと本町の方が人通りが多いという印象でした。

 確かに、新潟市中心部は、前回記事で取り上げた新潟駅新駅ビル、そして衰退気味とはいえ誰もが認める街の中心である万代シテイに専門店が集積し、古町の立ち位置が厳しくなっていますが、やはり街の軸として打ち出して投資を促すには、バスでは不十分で効果を発揮しないということを改めて認識。

 新潟市の前に訪問した宇都宮市、そして今回九州で訪問した長崎市、熊本市という政令市、中核市を見ても、街中の路面電車のシンボル性、沿線の市街地形成における信頼性は圧倒的です。

 白山駅から古町、万代、そして高架化された新潟駅を貫通させ、駅南のビッグスワン方面といったような、中心地と郊外をバランスよく結ぶLRTは新潟にはピッタリと考えられており、政令市化に向けた21世紀初頭は「政令市でJR以外の軌道系交通機関がないのは新潟市だけ」という現状から、行政も地元団体も積極的にLRT導入に向けた提案をしており、宇都宮市よりも新潟市での導入可能性が高いと思われていましたが、2015年に開業した実験的なBRTもK産党や地元マスコミの餌食となり骨抜きされ、LRTまで昇華させることはおろかただのバスになってしまいました。

 もはや、手遅れ状態に。


過去記事


三越跡地の再開発計画

 新潟三越は、同じグループの伊勢丹が万代に百貨店を構えており、新潟での2店舗は維持できなかったのか、実質的に伊勢丹新潟店に統合されました。この跡地は37階建てのオフィス、マンションを含む東京建物による再開発が行われるとのことで、街中に居住者を集める流れからも、再開発が成功して欲しいと思いますが、商業機能は古町ルフルの二の舞になりかねない。写真は、店舗跡。

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 閉店すると、当然寂しげな光景になりますが、前向きな閉店であることをアピールするような掲示物がありました。

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 「みーつ」とは、meetsと三越を掛けているのでしょうか。

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 仙台でも、耐震工事やリニューアルの必要性を見極めるために一旦閉店したフォーラス前にもこのようなメッセージがありますね。

新潟市と熊本市

 このような古くからの繁華街の古町は厳しい状況ですが、そうはいっても新潟市全体が衰退しているわけではなく、前回取り上げた新潟駅周辺や都市型大型商業施設が集積する万代シテイに商業機能が移ってしまったという面が大きく、街の新陳代謝の一環と言えるかもしれません。


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 今回の記事を書くにあたり、3月の新潟市訪問時よりも更にネガティブなトーンになった理由としては、同日に訪問した宇都宮市のライトラインを目の当たりにしてということもありましたが、同じく新興政令市である熊本市に先日訪問した際に感じた賑わいの度合いの違いからです。

 新潟市は人口77万人。熊本市は73万人とほぼ人口規模としては同規模。もちろん合併前の人口が約50万人都市だった新潟市と、もともと周辺市町村合併前も65万あり市域も比較的コンパクトだった熊本市ではおかれている条件に違いはありますが、九州新幹線開業後のJR熊本駅周辺開発と、熊本城至近の従来の中心市街地の賑わいを両立させていることに、驚きを感じたものでした。

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賑やかなアーケード。幅の広さにもビックリ。

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バスターミナルやホール、ホテルなどの超大規模複合開発の「サクラマチくまもと」

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 熊本は、近年近郊自治体である菊陽町への台湾半導体企業のTSMCが進出することで、盛り上がっていますが、そもそも渋滞が激しく、バイパスを作って一旦解消しても、クルマが増えいずれ元通りに元通りになってしまうことの繰り返しであること、公共交通機関は、以前からの市電を生かし街中の求心力を保っていますが、JRや私鉄(熊本電鉄)などの軌道系が弱く、JR熊本駅の乗降客が3万に留まっており(新潟駅は乗降客で6万人を超え熊本市の倍以上)、複数社運行する路線バスの存在感が大きいですが、公共交通機関の分担率は実は熊本市よりも新潟市の方が高いということに驚きました。

 このような状況の中、熊本県と熊本市が協力して、渋滞解消と公共交通の改善に向けたメッセージを発しています。

 やはり、クルマ社会の限界を感じないと動かないというのは、宇都宮市もインターパークなど商業の郊外化でオリオン通りなど都心部の空洞化が進行し、また鬼怒川以東の工業団地への渋滞解消策が限界に達したこと。LRTの導入が発表された那覇市も同じでしょう。


 その点、新潟市は高規格バイパス網の整備が進み、さらに都心部に向かう栗の木バイパスの立体化も進むなど道路交通網に恵まれ、公共交通機関への理解が集まらない状況というのが、持続的な都市構造を作り上げるためにはあだになってしまった印象。やっぱり、「バイパスサイコー」というメンタリティが市民、県民、そして行政にしみ込んでしまったか。


 しかし、この政令市ワーストの公共交通分担率の中、街中に驚愕に賑わいを保っている熊本市。仙台も負けてしまうのではないかと思わせるものがありました。

 次回記事は、この点について深めて行きたいと考えています。

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