JR南仙台駅 西口改札設置なるか?(その1)
先日発表された、令和5年度の乗車人員でも9,518人と、県内のJR駅で名取駅に次ぎ4位の乗降客数を誇る太白区の南仙台駅。
コロナ前の令和元年度は、乗車人員10,017/日 人と1万人越えを一瞬達成しながら、そこからコロナ禍で2割も利用者数が減少し、5類移行後に回復しつつありながらも、ピーク時には届いておりません。
JR長町駅の猛迫をかわしつつありながらも、長町駅は9413人で105人差とだいぶ差は縮まってきており、まだ新築マンションの分譲が進んでいる開発余地のある長町駅周辺の状況からすると、逆転される未来もありそう。ポテンシャルは大きいのに、もったいないと思いながら長年見ています。
県内ベスト10利用者数のJR駅について
先日発表されたJR東日本2023年度駅乗車人員に基づき、宮城県内で利用者が多いJR駅ベストテンの中で、立体交差化、駅の橋上化など駅の整備がなされているものが大部分。
参考リンク
特に仙石線は都心部の5駅分が地下にて連続立体交差化され、多賀城や塩釜地区でも高架化済。残る地平区間でも比較的橋上駅化が進み、地上駅は陸前高砂のみですが駅舎は建替え済(駅前広場も整備済)と、駅や線路インフラとしては、更新整備が進んでいます。加えて、40年位前に橋上駅化された福田町駅が老朽化とバリアフリー化で駅舎移転・改築が計画されているなど、現在も地道に改善の動きが続いているのは、一応市地下鉄南北線・東西線と並んで、福田町駅までは都市計画上都市高速鉄道の位置付けだけあります。
仙石線沿線の市街化も、小鶴新田~福田町 以外は東塩釜駅まで市街地が連続し、沿線人口は稠密で短い駅間ながらもコンスタントに数千人規模の乗客数を誇る駅が続きます。
駅間が短い割には、各駅の利用者数が多く、県内のJR線の中では都会的なイメージが強い路線です。一方、東西線沿線に新住民を取られがちであり沿線の高齢化が進み本数が減少傾向なのと、しょっちゅう故障し限界がささやかれている205系車両の古さという課題から、車両はE131系に更新という噂があり、そろそろ発表されるのではと思われています。それでも2025年以降でしょうね。
地下駅 | 高架駅 | 橋上駅 | 地上駅 | |
仙石線 | (①仙台駅) ②あおば通 ⑨宮城野原 |
⑧多賀城 | ⑦小鶴新田 ⑩中野栄 |
なし |
東北本線 | なし | ⑤長町 | (①仙台駅) ③名取 |
④南仙台 ⑥岩沼 |
一方、東北本線は、長町地区のみは連続立体交差で高架化されていますが、他は線路は地上のままで高架化の計画もなし、名取駅が橋上化されていますが、その他の南仙台と岩沼駅は昔ながらの地上駅。
そのうち、岩沼駅はメイン改札がある東口の他、構内こ線橋と自由通路を結んで西口改札を設置し、疑似橋上駅として新興住宅地の土ケ崎・松ヶ丘・たけくま方面の利便性を高めています。
よって、純粋に駅の片側にしか改札がなく、自由通路経由での連絡とはいえ反対側の利便性が極端に低いのは、乗降客数第4位の南仙台駅のみという現状。
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南仙台駅の置かれている現状
東西の駅前広場のロータリーは今世紀にはいってから、そして東西自由通路は1981年に整備されており、しっかりした作りに見えますが、自転車対応のスロープが整備されている一方通路自体の高さや長さがあり、上り下りは結構大変。ホームからも見える規模の大きい東口駐輪場の存在は袋原、四郎丸方面まで含まれる広大な駅勢圏を現わしています。
しかし、問題はこの東口にしかない駅舎。これ自体は少なくとも自分が子供の頃から40年位は変わっていないはず。キオスクからNewDaysへの転換、自動改札や電光掲示板の設置はありながら、ほとんど待合スペースがないなど狭隘な駅舎、そして、仙台方面の2番線に向かうこ線橋は狭くてボロボロ。岩沼駅のこ線橋と同じ位の年代物で、エレベーターを設置してバリアフリー対応としていますが、整備計画が停滞していたからこその放置状態ともいえました。
到着する時は目の前の1番線で便利ですが、仙台方面はこ線橋を渡った向かい側の2番線から。
西口から2番線ホームは目と鼻の先なのに、河北の記事にもありますが、自由通路を上り下りし、改札入って狭いこ線橋を上り下りしてやっとたどり着くというのは、精神衛生上良くない。
東口駅舎直近にコンビニがないためか、比較的品ぞろえの良いNewDays。
駅の東側がバイパス東側の一部を除き、基本的に区画整理事業ではなく街道沿いや田んぼを埋める形で自然発生的な住宅地化が進み、田んぼも一部残っている他自動車学校、流通・業務など準工業地域のような沿道系の土地利用が多く、立地条件の良さの割には駅前に商業施設や分譲マンションも少なく、非常に物足りない街並みを形成しており、商業施設は主に駅から離れた4号バイパス沿いと、袋原地区と南仙台駅を結ぶ都市計画道路沿いに広がっています。
一方、駅西側は1970年代から、駅西口一体の区画整理事業(中田第一土地区画整理事業)が開始され、県道仙台館腰線までの一体が西中田という住居表示となり、県道以西の柳生地区の区画整理も太白大橋が完成した1994年頃までに概成するなど、概ね30年前までに計画的な市街化が進んだ地域。駅西側もバブル期からの分譲マンションが点在し、西友やコンビニの立地はあるなど東口よりは便利な状況で、東口よりは不動産的に人気が高い状況とはいえ、いかんせん駅に直接入れる改札口がないことからもったいない状況です。西側も商業施設は県道仙台館腰線沿いや仙台岩沼線沿いに飲食店を中心とする郊外型店舗が立ち並んでおり、それぞれ郊外部が地域の中心的な位置づけとなっています。
駅の東西の状況からすると、県内4番目に利用者の多い駅には見えません。
せっかく20年位前に整備された東口ロータリーですが、タクシーとバス停、そして送迎用の乗降場としての役割は果たしていながらも、駅前としての利便施設の立地が全くないのはもったいない。これだけ朝は5分に1本、夕方以降は5~10分に1本、昼間も概ね10分毎に発着するコンスタントに乗降客がいる駅なのに、幹線道路がロータリーで行き止まりで交通量が少ないためとはいえ、まるで郊外の3万人都市の駅前のような光景。橋上化された名取駅前が再開発ビルや分譲マンションなどあれだけ整備されているのと比較すると、残念でしかない。
東口駅前を発着するバスも、全て地下鉄長町駅方面発着の経由便で、四郎丸・袋原とJR南仙台駅とを結ぶ役割(上)と、南仙台駅〜太子堂駅間の住民利用+地下鉄長町駅やザ・モール、市立病院まで運ぶ役割(下)を併せ持っています。
駅を発着する本数は、基本毎時2~3本程度で、決して便利とは言えません。四郎丸方面はさらに系統が2つに分かれるため1時間に1本しか使えないエリアも多い。この不便さから高校生だけでなく社会人も平らな道を自転車で駅まで向かう方が多く、それ故の巨大な駐輪場の存在。
南仙台駅始発着に短縮し、JR接続に特化しバス本数を増やす方法もあるでしょうが、市営バス故に同じ市交通局運営の地下鉄に乗客を送り込む役割も放棄することはできず、本数的に非常に中途半端な状態が続いています。
なお、南仙台駅前を経由しない長町直行便も他に毎時1本程度あるので、四郎丸・袋原地区を発着するバスは毎時3本という本数となり、エリアの人口からすると、ちょっと物足りない本数となっています。バス通りも基本細いセンターラインもない道路も多く、自家用車メインとなっていますが、うねうねと細い道を経由してバイパスに抜けることとなり、そのバイパスに入る交差点で渋滞と長い信号待ちを強いられ、袋小路感は否めません。
いつも引用させていただいている、人口密度マップですが、区画整理された西口は8,000人/㎢以上(オレンジ色)の比較的高密度な住宅地が面的に広がっている反面、東口はそのオレンジ色は大規模マンションや市営住宅が集まっている部分に限られ、かつ点在している状況。
そうなると、西口側の西中田・柳生の高密度な市街地の利便性を高めるために、南仙台駅西口に改札を設けるという議論は至極自然な話となります。
仙台市においても、ようやく改札設置案について説明会を実施する段階に至ったとのことで、この件については、次回に続きます。
次回記事
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