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2024年1月

2024年1月20日 (土)

激変 泉区の商業環境(その2)間もなく閉店アリオ&泉中央の行方

新年初めての記事となります。

 新年早々、能登半島に大地震と津波という大災害が発生し、それに加えて羽田空港での航空機事故。直接被害を受けている訳でなくとも、色々と気持ちが掻き乱され気持ち的に滅入ってしまいそうになります。今回の能登の震災は、地形的に隔絶した半島という過疎地域で起こったことで、支援も入りづらいという厳しい状況かつ度重なる強い余震が続き、東日本大震災よりも被災範囲は狭いにせよ、ある意味では厳しい状況に置かれている地区も多いように感じます。

 冬の寒さが厳しい北国で発生した大災害。3月に発生した東日本大震災を思い出しますが、避難所の過酷な環境を耐えしのばなければならないうえ、被災した住宅の片付けなど、何重もの苦しみを感じることに。自分にできることは限られますが、募金を含め少しでも力になれればと思います。

 自分事でいろいろとあり中々筆が進まず、2週間越しの記事となります。

1月末で閉店 アリオ仙台泉

 先日泉の蔦屋書店とイオンタウン仙台泉大沢に行った帰りに、泉中央に寄りました。

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 昨年4月にも記事にしていますが、アリオ仙台泉は、1月末閉店に向けて店によってはセールが始まっていました。


過去記事


 入り口部分には、閉店および感謝を表す掲示がありましたが、間もなく閉店してしまうことに、実感が湧きません。

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 食品スーパーのヨーカドーについては、いつものように周近隣の住民、そして周辺の住宅団地の方にとってはバスに乗る前に,買い物ができる非常に使い勝手が良いスーパーとして30年ちょっと当たり前のように存在してきました。

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 仙台一号店として話題になったバーガーキングも閉店で、移転先は泉区とはいえ青葉区との境目のブランチ仙台とのこと。

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 隣のセルバ食彩館もデパ地下風の専門店の集まりで賑わっていますが、あくまでもスーパーのヨーカドーを補完する役割であり、ここだけで用が済むわけではない。なので、早めにグループのヨークベニマルが継承するなど、スーパー機能は再開して欲しいところ。まぁヨークベニマルは泉中央駅周辺だけでも、市名坂、将監、八乙女真美沢、野村、上谷刈とドミナント展開していることから、この立地を継承することに障害はないでしょう。まぁ、他の面白い展開としては、ロピアがヨドバシ第二ビルに続いて出店することがあれば話題性に富むし、集客マグネットとしては効果的だなぁとは思ったりもします。

 博多ヨドバシに出店したロピアも、続いて福岡市周辺に4店舗出店するとの話ですし、物流上飛地出店のデメリットを解消するために、仙台近郊への出店は考慮しているはずなので、根拠がある訳ではないですが、このくらいの話題性のあるテナントが出店すると良いなぁと。

一方上層階は。。。

 専門店が集まる4階。ロフトが閉店セールしていましたが,泉周辺への再出店はないとの話で、仙台は駅前の大型店仙台ロフトとララガーデンの小型店長町ロフトの2店舗体制になるようです。その他のテナントも、タワーレコードもこのCD不況のご時世で再出店するとは思えず、くまざわ書店も、連絡通路で繋がるセルバに八文字屋書店があることから、あえて再出店は考えづらい。

 そもそも、セルバ側も順調という訳ではなく、アリオほどではないにせよ多少空きスペースがあり、全てフロアが埋まっているわけではない。GUの大型店でフロアを埋めていたり。

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 仙台の郊外駅前で唯一と言って良い首都圏郊外のような複数の商業施設が集積するこの泉中央にしても,同じ北部エリアで北環状線沿い、パークタウンの寺岡(タピオ・プレミアムアウトレット),富谷(イオンモール)と泉大沢(イオンタウン・ムサシ・家電店),市名坂(ヨークタウン)や4号バイパス沿い、そして新利府のイオンモールと競争が激しい中で、泉中央のカバーする範囲が徐々に削られてきたこの30年間。

 かつては泉中央エリアに、敵なしと言われたダイエー泉店がありましたが、泉中央のヨーカドー・セルバ、富谷のイオンモールなどの出店で包囲され、2005年に閉店し、その後は西友が出店したもののジリ貧で建物ごと閉鎖となり、その跡地はカインズホームと三井不動産が運営するスポーツ施設のFANTEとなりました。ダイエー別棟時代からのスケートリンクである現アイスリンク仙台はなんとか残っていますが、泉区エリアの新規住宅地開発もパークタウン朝日地区以外は止まり、高齢化が進み購買力も衰えつつある状況のなか、車を使用しない住民の拠り所として、泉区の中心である泉中央の果たすべき役割は大きい。


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泉中央はオワコンなの?

 泉中央エリアは、開発が始まってから40年、区画整理エリアの建物概成から20年程度経過し、新たな施設等を呼び込む空き地が限られています。駅西側の飲み屋街にはコインパーキングとして使われている貴重な未建築地は点在していますが、分譲マンションも数年に一棟というペースで、新たな住民層を呼び込むことができず、賃貸住民による入れ替わりはあるにせよ、成長余力のある長町エリアと比較して、泉中央は終わった街という見方もされてます。でも、その見方は一面的で、現在は成長の踊り場ではあるにせよ完成度の高いコンパクトなエリアであり、その点で長町はまだまだ及ばないと思っています。

 


過去記事


 長町は駅4つ(長町、長町南、長町一丁目、太子堂)を擁している分、長町南駅には区役所とザ・モール、ララガーデン。長町駅エリアにはIKEA、やゼビオアリーナ、ヨークタウン。長町一丁目駅には市立病院。太子堂駅エリアにはヨークと生協、ヤマダデンキと核的な立地施設が分散し一箇所では用が済まず、歩きでの行き来には遠すぎ、バスもあすと長町側は利用し辛く、クルマや自転車での移動を強いられる点が欠点でもあり、一方密度が低く車社会に適した面的な展開となった点は、結果論としては今の社会にマッチしています。


 

 アリオ4階の空きフロアにて、これまでの泉中央そしてヨーカドー時代からアリオ転換、そして閉店までの写真展を開催していました。

展示物自体は写真撮影禁止とのことで、入り口の案内のみ。

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 田んぼの真ん中にポツンと位置していた旧泉市役所、区画整理が行われグリーンフェア仙台が開催された1989年、そして1992年の地下鉄泉中央駅延伸とヨーカドーオープン、1997年の仙台スタジアムオープン、99年のセルバオープン、2011年の東日本大震災の影響、2013年のアリオ転換によるリニューアル、2015年のセルバテラスオープン、そして今に至る40年以上の泉中央の変遷をじっくり味わうことができました。

 旧泉市が仙台市に合併された際にの合併建設計画に沿って、旧泉市時代からの役所とイズミティ21に加え、地下鉄延伸と駅ビル、図書館・子ども科学館(現在は閉館)、健康増進センター、警察署と公共施設を中心に駅周辺にコンパクトに集積し、そしてベガルタの本拠地となった仙台スタジアム(現ユアテックスタジアム)も整備されたことも泉中央の街にとって象徴的なものでした。

泉中央エリア再整備の芽

 今回のアリオ閉店は、ヨーカドーとしての開店から30年余ですが、30年は一世代に相当し生まれ変わる周期としては適切なタイミングではと。現在、建設から40年以上経過した泉区役所の建て替えと再整備が計画されています。

 計画では区役所の建物は西側に寄せ、泉中央駅とを結ぶ地下通路により直結させ、広場を挟んで東側には金融機関(東北労金)の本店オフィスや賃貸住宅を中心とした内容で三菱地所グループにより提案され、仙台市により採用されました。

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 泉中央の課題となっている分譲マンションの新規供給がなく高齢化が進んでいる点に対し、ここを分譲マンションにするのは一時的な対処療法であり、公共の敷地を活用することから、若い世代を対象とした住民の入れ替わりが行われる賃貸住宅の導入というのは着眼点が良いと感じます。

 また、東北労金の従業員(市の基本計画資料では数百人とあります)が新たに集まることにより、ラッシュとは反対方向の地下鉄南北線利用者にもプラスになりますし、周辺飲食店への昼食需要、そして夜の飲み需要の底上げにもつながります。

 なお、次点はセルバやアリオの大家である住友商事で、シネコンなどを含んだ計画提案だったようですが、落選となっています。


 泉中央といえば住友商事という存在ですが、特定の企業にあまりにも依存するのはリスクでもあり、街の多様性からも、泉パークタウンのデベロッパーである三菱地所の選定というのはバランスが良かったのではと感じます。長町南の市有地借地コンペでも、モールを運営する東特エステートのザ・モールPART3の提案が落選し、現在のララガーデン運営企業の三井不動産が選ばれたということに通じる仙台市のバランス感覚を感じるところ。

 住友商事としても、アリオの撤退から、泉中央駅前の3商業施設の再構築に注力せざるを得ない状況となったこともあり。そもそも区役所敷地に住商がシネコンを提案するのであれば、長年構想があったセルバテラスの場所に導入するべきだったし、ちょっとちぐはぐ感が否めないと感じました。結果的にアリオが撤退し空きビルとなることから商業床としてはセルバテラス分は過剰だったとも言え、結果論ですがちょっともったいない。アリオの上層階をシネコンに改造できればと思いましたが、まぁ構造上無理でしょうし。

過去記事


 また、セルバ南側の駐車場となっている土地を購入したミヤギテレビは、2030年以降に日ノ出町からの本社移転を予定しており、就業者数はKHBが150人程度だったことを考えるとそれほどは見込めませんが、東北労金と併せて数百人の新たな就業人口の増加となること、そして目の前のペデストリアンデッキを活用したイベントや中継も行われ、泉中央の情報発信がコンスタントに行われることを考えると、このエリアを底上げする有形無形の効果は大きいのではと。


過去記事


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 さらに、昨年10月末に明らかになった、大衡村第二中核工業団地内への台湾半導体ファウンドリーPSMCとSBIの合弁企業としてJSMCが2027年にも操業開始というスケジュールで進出することとなっています。国からの補助金もどうなるのか未確定で要望中という心配要素もありますが、県もこのチャンスを逃すまいと既定路線として進めている印象です。


過去記事


 これはトヨタ東日本や東京エレクトロン宮城という進出企業が黒川郡内に立地していることもあり、現在でも泉区役所周辺に集まる送迎バスが一日120便とのことで、この送迎バスを再整備後の区役所敷地内で乗降させようという三菱地所グループからの提案もありますが、JSMCの進出後はこの台数がアップする可能性が高く、台湾からをはじめ、高いスキルを持つ技術者の住居としては、教育水準の高さや仙台駅とのアクセスの良さもあり、まずは泉中央の賃貸住宅が拠点となり、ここからバスで送迎という形になるのではと。

 そうなると、現時点でこそ、学院大泉キャンパスの閉鎖やアリオ閉店、そして周辺住宅地のオールドタウン化(泉区の人口減拡大)というマイナス要素が大きく意識されている状況ですが、このようなプラス要素も数多く存在しています。

セルバ・セルバテラスを含めた一体化リニューアルを

 今回閉店するアリオについては、専門店ビルセルバとセルバテラスの2館に挟まれた建物であることから、セルバの延長としての専門店ビルとし、2階のペデストリアンデッキや1階の泉中央おへそ広場を介して3つの建物をより一体化したショッピングモールとして再生する方向で活用してもらえればと。ただ、今もですが、冬や夏の厳しい気候の時期、そして雨の日などは、相互の移動が厳しい。セルバと閉店するアリオ間は上層階の通路で結ばれているけれど、セルバテラスとの間はやはり行き来がしづらいのが難点であり、理想を言うとおへそ広場部分を3つの商業施設をつなぐリングとして屋内空間にできればと。ただしデッキ下のおへそ広場は公共空間ではあり、現時点では難しいでしょうが、泉区役所横に区民広場機能が設けられることから、このおへそ広場の機能を移すこともありかなと。

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 3施設合わせて商業床で3万5千㎡と、ザ・モール長町の本館に匹敵する規模の商業施設の集積であり、減少しているとはいえ一日2万人以上の乗降がある泉中央駅前の商業施設であることから、一体化して規模を確保した形での再生が望ましいところ。ただ アリオ(2万㎡)は、セルバとセルバテラスを合わせた床面積(1.5万㎡)よりも大きいことから、それを埋めなくてはならないため再生のハードルは高い。 また、駅前だからといえ地下鉄やバス利用者や周辺住民だけでは成り立つ規模ではなく、ある程度クルマで周辺住宅地からの集客も図る必要がある中で、駐車場の無料時間の設定に工夫が必要かと。現在は1時間無料で、2000円以上の買い物で最大3時間まで無料になります。長く滞在してもらうためには、長町モールのように3時間無料だと安心して買い物できますが、この駅前立地でここまではできない。それにベガルタの試合時に無料駐車場として使われてしまうのはまずい。よって基本的に無料時間を2時間に設定し(ベガルタ試合時は長町ゼビオアリーナ周辺のように特定日として無料時間を1時間に)一体の商業施設として今後周辺の競合商業施設(タピオ、イオンモール等)に対して戦っていくためには、クルマ客のハードルを下げることも必要になってくるのではと。ただでさえ常に渋滞が激しく混雑している泉中央エリアにクルマを集める施策はやりづらいところはあれども、ここまでしないと一体の商業施設としての再生は難しいという印象です。

 


関連リンク


 仙台市として、都市の顔である都心部の活性化は当然必要ではある一方、南北の拠点であり、区の中心である泉中央と長町は、地下鉄で都心と短時間で結ばれており、都市機能を役割分担する意味でバランス良い機能集積と拠点機能の維持が必要です。

 そのため、アリオは閉店となりますが泉中央はここが踏ん張りどころで、ここを乗り切れば仙台の中でまた注目される存在になると思っています。

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