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2023年5月 5日 (金)

激化するSC戦争その2 正念場のザ・モール仙台長町(2)

前回の続きです。



強みである地下鉄長町南駅直結

 毎日1万人以上の乗車客を誇る地下鉄南北線長町南駅に地下部分で直結しているというメリットは大きいところ。駅改札を出たところに、左はザ・モール、右はララガーデンと誘導案内があります。

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 ザ・モールへの入り口は広々とした空間が広がっており、エスカレータも2人横並びが上下設置されています。

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 一方、2009年のララガーデンオープン時に設置された地下鉄連絡通路。

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 ザ・モール口と比較するとこじんまりとした印象で、エスカレータも1人横並び用。でも、ララガーデンは定期借地活用なのに地下鉄直結動線まで整備したのは、コンペでの提案内容に含まれていたのでしょうが、ザ・モール側に対抗して地下鉄利用客を誘客するためには必要だったのかと。

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4館の位置関係について

ザ・モール本館とパート2及びアウトドアスポーツ館、そしてララガーデンの位置関係は以下の通り。

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 だいたいモール&ララガーデンに行くときは目的買いが多いので、個人的には全館をぶらぶら回るというのは少ないです。

そのため車で行くときは近い駐車場に停め、本館&ララガーデン、もしくは本館&パート2という感じ。

 パート2とララガーデンのハシゴはよほどのことがない限りはしない。というのも混みあう本館3階を経由しての相互移動がだるすぎるため。

 前回も触れていますが、まだ本館とララガーデンの移動は2階と3階に連絡通路がありますが、本館とパート2の移動は3階の連絡通路のみ。

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 そして2階レベルでは直接連絡されず、3階の連絡通路もしくは1階レベルで外を歩く必要があり、正直本館の2階は自然と避けてしまっています。これまで買い物をした覚えがほぼありません。本館の1階と3階はよく使うのですが。
 

 パート2の2階は無印やセリアなど良く行きますが、混みあった3階の連絡通路経由で行くのがだるく感じます。さらにパート2の1階はなおさら。

充実の専門店群

 このような建物の配置のため、動線が間延びし効率が良くないという点はありながらも、モール本館とパート2、そしてララガーデンを合わせると、日常生活に必要な機能がほぼ揃います。

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 ザ・モール側は、紀伊国屋書店、GU、トイザらス、H&M、ディズニーストア、無印良品、ライトオン、Asbee、ムラサキスポーツ、Seria等。

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 ララガーデン側には、Loft、アカチャンホンポ、ユニクロ、ABCマート、Vie FUJISAKI(藤崎の小型店)、ダイソー、また商業フロアではないですが、4~5階にはコナミスポーツクラブが入っている他、仙台市の子育て支援施設「のびすく長町南」も入居しているのは、小さな子供連れにはポイント高し。最近のSCに導入されているクリニックモールもあります。

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 ララガーデン部分については、明らかにザ・モール部分と比較するとテナントリーシングのノウハウの差なのか、グレードの高さを感じます。特に2階はロフトの小型店がある他、かつザ・モール側にはないようなファッションブランドが並んでいます。3階の飲食店街も、ザ・モール3階の飲食店よりは魅力的。1階も藤崎の小型店をはじめ食に関しちょっとした贅沢を楽しめるような店舗が並んでいるなど、全体的ザ・モール側と比べるとワクワク感を感じられるテナント構成になっています。絨毯の柄も落ち着いていて、シックな雰囲気が。泉パークタウンのタピオに通ずる雰囲気を感じます。

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20周年リニューアル後の現状

 ザ・モール仙台長町は、約5年前の2017年秋に20周年リニューアルと称し、本館3階の西友直営売り場縮小と専門店導入、2階へのH&M導入(旧さくら野百貨店からの移転)、1階フードコートの拡大などを行いました。ララガーデンも2016年に2階を中心とするテナント入れ替えを行っています。


過去記事



  ザ・モール部分については、5年前のリニューアルで本館3階に出店した目玉的なミニテーマパーク「ひつじのショーン」及び館内移動した「Francfranc」がともに撤退という状況。同時期に旧西友直営部分にオープンした「トイザらス」と「ASBee」は残っていますが、正直こんなに見切りが早いとはという感想でした。

 パート2に集めていた雑貨をばらけさせたのが裏目に出たような。Francfrancは一番町平和ビルとイオンモール名取が最寄店舗に。Francfrancは価格帯が高目ですが、かつては雑貨店の代名詞のようなブランドだったので、寂しい限り。ただ、100均や300円均一などのコスパが高いプチプラ商品に対しての競争力が弱くなっていたところで、そのFrancfranc跡には、4月28日に「3COINS+plus」が超大型店として出店。ある意味トレンドに沿ったテナント入れ替えで、オープン後訪れた際には賑わっていましたが、向かい側に既存の300円ショップ「illusie300」があるので、相乗効果になるか、共喰いになるかは正直未知数。

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 ひつじのショーンの跡は、キッズコーナーに。ターゲットは同じにしても、広いスペースを持て余しているような印象です。
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 出店時は市内唯一だったH&Mも今はパルコ2に出店しているし、ファストファッションとしては、ユニクロとGUという両ブランドがSC内に出店している中で、本館2階の南端という目立たない場所というのもあるけれどちょっと集客が弱いかなと。

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苦戦するアウトドアスポーツ館

 本館に2階部分で接続しているアウトドアスポーツ館ですが、LLビーン及びゴルフ練習場のみで寂しかった1階に続き、2階のオープン当初から入居していた核テナントの一つであるスーパースポーツゼビオが1月下旬に撤退しました。

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 スーパースポーツゼビオ自体は、震災1年後に現在のあすと長町店をオープンさせた時点から、1㎞程度しか離れていないモール店は閉店させるのではと予想していましたが、そこから11年もこの至近距離で併存させてきたのが意外ながらも、両店舗が併存可能な状況ではなくなり、契約期間を踏まえ効率化を図ってきたのかと。なお、あすと長町店も定期借地で20年なので、もう契約期間の半分を超えていますが、ゼビオアリーナ敷地を含め契約延長を見越しているのかな。


過去記事


 なので、この閉店自体には驚きはないものの、アウトドアスポーツ館2階の全部を占めていたゼビオのスペースはどうするのだろうか。

 ここも、ただでさえ存在感が薄い本館西友直営売り場に隣接した2階の西端と回遊性に難がある場所なので、よほど目的買いを期待できる強力な核テナントを誘致するか、賃料を下げてでも中山イオン別館に1年前にオープンしたジョイポリスのような広いスペースを埋めることができるテナントを呼んでくるか。

 アウトドアスポーツ館という名称に拘ると、テナント誘致に制約が大きく厳しいので、館自体の名称を変更してでも、幅広い業態で検討した方が良いのではと。


【2024/6/10追記】

 結果的には2023年秋にアルペンアウトドアーズがオープンしました。広い面積を生かしたアウトドアショップ。館名の変更には至らずでした。


 

吹き抜けモール空間について

 イオンモールではスタンダードなこの3層吹き抜け空間。25年前のザ・モールオープン時としては斬新で驚いた覚えが。

 ただ、今となってみると、吹き抜けの幅が狭く上下階のテナントを(イオンモールのように)一望し認識できるわけではないこと、商店街的な小規模テナントが多く、構成としては雑多な印象を持ちます。

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 3階建てというのは泉中央のアリオやセルバのような5~6層多層階店舗と比較すると位置関係を把握しやすく、郊外型モールの王道的なフロア構成ですが、この吹き抜け部分以外の専門店街には分かりやすいメイン動線がないことが、回遊性についてのウイークポイントになっているような気がします。また、専門店配置について、繰り返しとなりますが、


  •  パート2の2階に集めていた雑貨売り場を本館3階に分散させた上に、ロフトはララガーデンにあるなど、回りづらくなったこと。
  •  ユニクロはララガーデン1階、GUはパート2の1階と両端に位置していること。
  •  建物間の連絡通路が狭く、常に混雑していること。

 など、西友側と三井側で連携しているとはいえ、別々の商業施設で建物も分かれていることからの限界も。

 

イオングループの侵攻に防戦一方

 地元に支持されている来店頻度が高い巨大モールではありますが、買回り品というよりは最寄り品(日常的な生活必需品)の購入先として選ばれている印象があります。

 郊外型SCにおける買回り品需要が、名取以南、中田・柳生・四郎丸⇒イオンモール名取、宮城野区・若林区東部⇒イオンモール新利府に奪われ、商圏が太白区と青葉区南部・若林区西部(都心周辺)に縮小してしまったが故に、最盛期と比較すると厳しい状況で、買い物の場としての華やかさが失われつつある印象が。

 イオングループの戦略として、イオンモール名取を仙台圏南部での一番店としての地位を強固なものにするために、仙台周辺への包囲網的な出店によりかつては仙台で敵なしと言われたザ・モール(&ララガーデン)の商圏と売り上げを徐々に削り、次に雨宮の東北大農学部跡地への出店で都心周辺からのワンストップショッピング需要を奪い、最終的にグループ会社であるイオンタウンを1km離れたあすと長町に出店させ、ザ・モールのお膝下である太白区からの売り上げを少しでも奪うことで、とどめを刺そうとしているように感じています(以前はザ・モール&ララガーデンに対し敷地面積1.5ha(北側12街区)+0.6ha(南側17街区)と規模が劣り勝ち目がないため、出店を急がないのかと思っていましたが)。


過去記事

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 このシリーズの続編としては、そのザ・モールのライバルであるイオンモール名取について改めて考察したいと思います。駅前立地かつ回遊しやすい3層吹き抜け形態という、数年前の増床により完成した大型モールの理想形というのを改めて感じた次第。

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コメント

ゼビオ跡地はDボルダリングという施設になるようです。
https://www.d-b-c.jp/sendai/
前々から計画していとはいえ、すかさずエンタメ施設を誘致できるのは流石だなと思います。

投稿: | 2023年5月 8日 (月) 15時25分

コメントありがとうございます。
Dボルダリングは1階の空きスペースへの出店ですね。2階のゼビオ跡は広さからすぐには決まらなそうです。早く埋まって欲しいですが。

投稿: SENDAI Watcher! | 2023年5月 9日 (火) 23時42分

そうでしたか。。情報ありがとうございます!
そういえばtekuteながまちの海苔巻き 長吉さんもこの間追加で撤退していました...
tekuteの人入りは悪く無いだけに今後の新陳代謝に期待ですね。

投稿: | 2023年5月10日 (水) 00時00分

コメント遅くなりました。

tekuteは普段使いといっても、ちょっと贅沢という需要を狙っているので、仙台駅では成り立っても長町では厳しい業態・店舗もあるのかなと思って居ます。とはいえ、同じく郊外拠点の泉中央ではセルバの食彩館がその役割を担っていてあれだけ賑わっているので、コロナが落ち着きつつありテナントの入れ替わりを経て、落ち着いてくるのではと思っています。

投稿: SENDAI Watcher! | 2023年5月18日 (木) 07時08分

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