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2022年8月15日 (月)

陸羽東線と快速ゆけむり号

 昨日の記事の続編です。


前回記事


 当日は,小さな旅フリー切符を利用し,東北本線福島駅経由で,山形線米沢,山形駅などを経由し,新庄から陸羽東線に乗車しました。

立派過ぎる新庄駅

 ガラス張りで,交流スペースや観光案内機能も含めた複合的な巨大な駅。とても人口4万人弱の地方都市の駅とは思えない。

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人口が倍以上多い県南部置賜の拠点米沢駅のレトロさと比べると,いくら始発駅とはいえ雲泥の差。 

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 山形新幹線の新庄延長時には,何をトチ狂ったことしているんだ?と思いましたが,沿線には天童市,東根市,村山市,尾花沢市,新庄市と,概ね5万人以下の規模の小都市がバランスよく並び,これらの都市から1~2時間に1本東京直通の新幹線に乗れるという状況を目の当たりにすると,県としては一応成功なのだろうな。

 新庄駅は,山形新幹線(山形線),奥羽本線(秋田方面),陸羽東線,陸羽西線と,鉄道のジャンクション機能を持ちながらも,山形・東京方面以外の3路線は,輸送密度が200人前後の路線で,陸羽西線は並行する高規格道路の工事のため2年間休止バス代行と前代未聞の対応。新庄まで山形新幹線で来ても,在来線に乗り換えてという方はかなり少ないのかと。そもそもコロナ禍で山形新幹線を含めても,新庄駅の一日利用者は千人未満にまで落ち込んでいる(約20年前の山形新幹線新庄延伸時は約2000人/日)とのことで,この利用者数で9往復/日 の7両編成のミニ新幹線を維持できるものかと新幹線の方も心配になりました。

 奥羽本線の秋田方面は切りにくいでしょうが輸送密度は,陸羽東線・西線と変わらない。貨物輸送もない。どの路線も存続が厳しいことには変わらず。

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 新幹線用に,自動改札がある他,全路線に電光掲示板と豪華仕様。

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 奥羽本線としてのこの駅を跨いだ直通は,軌間が異なることから不可能であり,そのため,奥側のホームとを平面で移動できるようにしています。

ある意味バリアフリーな対応。

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快速ゆけむり号

 通常車両と思っていたら,外観はラッピングされ,観光列車っぽいデザインになっており,気分が一瞬上がりました。

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 この新庄からの区間は,以前も2回ほど乗ったことがありますが,前回リゾートみのりで新庄から仙台まで乗りとおした際は,半分程度の乗車率で,それなりに賑わっていた記憶があります。

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車内の質感も良く,これに指定席料金をプラスするだけで乗車できるというのは,非常にお得感がありました。

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観光列車で,アテンダントも乗車しており,記念品がもらえたり,車内販売もあったりで,華やかは雰囲気は,流石東北新幹線と山形新幹線を結ぶ役割を持つ観光路線ならではと思ったり。なので,それほど古びている感はなかったにせよ,引退となり残念な思いが。



 そのリゾートみのりの後継車両として,キハ110の改造車両というのは,格落ち感があり,これまではそれほど魅力を感じませんでしたが,新庄から仙台までリクライニングシートでビールを飲みながら乗り換えなしで帰れるという魅力から,指定席をえきねっとで確保しようとしたところ,前日で席選び放題。。。2両1編成で15席程度しか埋まっておらず,当日は結局空席のままの席もあり,新庄発車時点で10人程度。鳴子温泉での途中乗車客2名を含めても,15人にも行かない乗り具合でした。

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 車内は指定席だけあって,リクライニングシートで,当然乗り心地は良かったです。ただし,質感は以前乗車したリゾートみのりと比べると雲泥の差。でも文句は言えまい。

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 意外だったのは,アテンダントが乗車し,今どき新幹線でも廃止された車販がまだ残っていたとは!

 車販がある訳ない思いこみ,新庄駅のNEWDAYSで食料とビールを買い乗車したのですが,もし車販の存在を知っていたらコンビニで買わなかったのに。。。と思える位,10人少々の乗客に対しての車内販売が売れる訳ない。自分も事前購入していたので,申し訳ないと思いながら利用せず。車両は変わったけれど,観光列車としての最低限のサービスは残していたようでした。

 乗車した際には,乗車記念の切符のようなものや,子供向けの工作?を配っていました。途中駅から乗車した人にも配付してたり。

 当日は,32度を超える暑い日で,ビールをのみながら,2時間40分のちょうど良い時間を楽しみました。

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 乗客の気配もほとんど感じず,手持無沙汰なアテンダントの方がやけに気になってしまったり。

途中で,紅葉シーズンには絶景であろう鳴子峡を通過する際に徐行する旨のアナウンスがありました。

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以前乗車した際は,運行の区切りでもあり,沿線の中心観光地である鳴子温泉駅で10人近く乗車してきたものでしたが,今回は2人のみで寂しいもの。朝の仙台からの便に乗れば,5時間以上は鳴子温泉街を楽しめるなど,全線乗り通さずとも日帰り利用にも適した観光列車であるものの,コロナの影響も大きいことを感じました。

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 古川駅で新幹線乗り継ぎと思われる降車が多少あり。

 最後は,松島付近の海を眺めながら,うとうとしながら,仙台駅へ到着。

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陸羽東線のおかれている状況

 今回JR東日本から発表された,県内を通る利用の少ない路線の中で,観光面及び通学に大きな役割を果たしており,地元大崎市が存続に熱意を持っている陸羽東線。

 しかし,鳴子温泉ー最上という県境の流動が少ない区間は,列車本数も少なく1日7本。朝晩は1~2時間おきながらも,昼間は3時間おき(週末の臨時列車を除く)という状況。

 コロナ前の2017年度でもこの区間の通過は100人/日 程度,2020年度はコロナによりさらに減少し,何と41人/日

 JRに移行した1987年時点でも輸送密度は500人を割っており,その時点からの比較では91%減と凄まじい減少率です。

 2020年度は,JR東日本の営業区域の中でもワースト営業係数である22149円(支出に占める収入は何と0.5%)で,収入は年間200万円なので,一日たった5~6千円ということに。

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 国鉄民営化時に廃止された路線群の中でも北海道の美幸線などは営業係数が3000円程度で全国ワーストとなっていましたが,さすがにこの営業係数には驚きました。そして,国有企業由来とはいえ,株式上場をしている民間企業が負担すべきものなのか,これまでの新幹線や首都圏での莫大な黒字を上げていればこそで,コロナ後であっても会社全体の収益性は戻ることはない中,情緒的に存続すべきとは軽々しくも言えない重みをもつ数値を突きつけられました。

 この区間は定期利用も僅少でしょうが,観光や日常の移動で通常運賃利用者が10人もいれば達成してしまうような金額。

 もちろん,この区間のみの利用ということではなく,観光などでの通過の利用者が多いのでしょうが,そういう利用者はフリー切符や区間外の駅発着の切符を購入して乗車するのでしょうから,この5千円/日 という収入自体,それらの通過利用者分の運賃収入がどの程度カウントされているかは懐疑的ながらも,通過人員は正確でしょうから,仮にこの区間の420円の片道運賃に41人を掛けたとしても,せいぜい1万7千円で焼け石に水の収入金額。せめて,週末運行のゆけむり号のような指定席料金(片道530円)の収入は多少でもカウントされていると思いたいが。


 年間赤字額がこの区間だけで5億円,そして陸羽東線のうち乗客が少ない古川ー新庄の区間で22億超円の赤字。。。

 一応,東北新幹線古川駅と山形新幹線新庄駅の両駅を結ぶ新幹線フィーダー路線で,観光の周遊ルートを構築するための利用価値があるはずの路線とはいえ,これだけの負担をJR東日本が続けるのは厳しい。この区間の唯一の存在意義ともいえる観光列車でさえ惨憺たる乗車率で,後継の専用車両を新造してということは絶望的だろうなぁと。

 途中の瀬見温泉などの温泉最寄駅であっても観光列車での鉄道アクセスの利用はわずかでしょうし,利用最閑散区間の最上駅ー鳴子温泉駅は,県境で学生利用も見込めず,フリー切符などで乗りとおす通過客のみであれば収支改善の見通しは立ちようがないと。

 もちろん,地元が負担を負えるかというと,実質的には,県と大崎市がメインになるでしょうし,第三セクターでの存続も山形と宮城にまたがることから厳しい(三セクで存続する場合でも県境で運営会社を分けるケースがほとんどで,2県で運営する事例は阿武隈急行位)

 仮に,宮城県側の鳴子温泉以東を三セクで存続させる場合でも,通学定期も値上げ,そして新幹線経由での鳴子温泉への観光客は新幹線との通し運賃あってこそであり,古川ー鳴子温泉で現在の680円の1.5倍になれば片道千円を超えることから,陸羽東線部分を別途支払うことを考えると負担感が大きく,鉄道離れがさらに進んでしまう。そうすると,上下分離で鉄道施設部分を自治体に譲渡し,メンテナンスや修繕費用を地元負担とし,運行はJRにということが地元として受け入れられるギリギリになるのかと。さすがに大崎市として古川駅から在来線をなくす選択肢は取れないだろうし。

 それを地元が支えるという意識から,市役所職員の通勤利用の促進などをしっかりとやるにしても,並行する国道47号が整備されている故に,
明るい未来は思い浮かびませんでした。鉄道のみで行ける温泉地として鳴子温泉郷は貴重な存在ですが,それだけでは存続できないという現実に悲しい気持ちになりました。今後,各路線とも地元との協議が順次始まるでしょうが,県の姿勢からはあまり期待できないでしょうから,最悪の事態も想定しながら,見守らざるを得ないという気持ちです。

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コメント

ご存知でしたら申し訳ありませんが、陸羽東線鳴子温泉駅〜古川駅間には、並行して大崎市民バスの鳴子線が走っています。宮交の中型路線バス(ツーステップ)での運行で、平日1日5往復、土日運休です。
https://www.city.osaki.miyagi.jp/shisei/soshikikarasagasu/shiminkyodousuishimbu/machizukurisuishinka/1/3272.html

7月13日(水)(大雨の日)に仙台から高速バスと市民バスを乗り継いで鳴子温泉に行ったのですが、ほとんどの区間で乗客0〜2名ほど、という状態でした。

ひたすら国道を走るのですが、こまめにバス停があります。特に岩出山地区はバス停が手厚い印象です。西大崎駅以西は、全駅にバス停が併設されています。運賃は鉄道線とそれほど変わりませんが、上限が500円に設定されています。所要時間は鉄道の50分に対し、バスは80分ほどです。

鉄道が普通列車14往復で、合計19往復あるわけですが、「共同運行」のような形でパターンダイヤ化・効率化できたら望ましいと考えています。朝6時台から20時台まで毎時1本で1日15往復。鉄道とバスを2時間に1本ずつきれいに組み合わせれば、使いやすく収まると思います。

ただし、温泉観光客の市民バス認知度はきわめて低いでしょうから、列車扱いで市民バスを運行するなどしないと、定着が難しいと思われます。

問題は「共同運行」をどのように実現するか、にあると思います。大崎市側がJRに頼み込んで、鉄道減便の引き換えに市民バスを列車扱いで運行してもらうというのがどれほど現実的なのか、検討がつきません。何らかのアドバイスがいただければ幸いです。

投稿: そばにゃん | 2022年8月16日 (火) 01時21分

新庄駅が一見人口に見合わない広大な駅舎なのは、新庄市だけでなく最上郡8町村(旧新庄藩に由来するこのエリアは通勤等の経済的一体性が極めて高い)が利用することも大きいかと思います。新庄単体だと4万人にみたいですが最上地方全体だと7.5万人程度は居ますので。
また、広大な無料駐車場を併設してるため、秋田新幹線の通らない秋田県南部の湯沢・横手方面の住民の利用も多く、お盆シーズンには始点の新庄から指定席満席・自由席すし詰め状態となっていました。(途中駅から乗れないとの不満の声が村山地方・置賜地方からあり、これがつばさの全指定席化の理由でもあります。)

以上の理由から、山形新幹線の延伸は「何をトチ狂ったことしているんだ」どころか、並行する羽田便を一時期壊滅寸前まで追い込むほど成功しました。人口減少が厳しいですが、新板谷トンネルや福島アプローチ建設など、現在も少しずつ利便性・安全性の向上が図られています。

投稿: 常田 | 2022年8月16日 (火) 17時41分

↑を見て気になったのですが、庄内の住民は新庄駅利用するんでしょうか?
やっぱり新潟駅から新幹線?

投稿: | 2022年8月19日 (金) 21時59分

>そばにゃんさん

コメントありがとうございます。
陸羽東線と並行する市民バスの存在は知りませんでした。運賃が上限500円であればJRより安い区間が出てくるのでしょうが,いかんせん全線で80分は同じ市内なのに時間がかかり過ぎという印象を持ちました。せめて岩出山と古川間であれば利用価値があるかもしれません。
乗客がほとんどいなかったとのことで,市民バスではよくある状況なのでしょう。
 ご提案の列車と並行バスのパターン化と共通運賃化はJR四国の牟岐線で行われている取り組みですね。国土交通省も7月に出した「ローカル鉄道の在り方に関する提言」の中で,事例として挙げられているので,今後行われるであろう,JRと地元自治体との協議の中で,大崎市が提案すればJRも乗ってくる可能性があるお話ではないでしょうか。
https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001492230.pdf

 なお,牟岐線の場合は大阪発着高速バスの末端一般道(JR並行区間)での施策であり,バス停がある程度限られているため,JRとバスとの時間差があまりありません。一方,大崎市民バスはその性質上バス停数が多すぎて,JRとの所要時間差が大きいことが共通化にあたっての課題となるのではと思いました。
https://www.jr-shikoku.co.jp/02_information/tokushima-kippu/

投稿: SENDAI Watcher! | 2022年8月20日 (土) 22時07分

>常田さん

コメントありがとうございます。また,新庄駅の駅勢圏がパークアンドライドのためかなり広いのは知っていましたが,お盆などのピーク時にはかなりの乗客を集めているとのことはあまり意識していませんでした。新庄延伸は成功事例なんですね。

 もちろん,東京駅で新庄行との表示やアナウンスが行われる無形・有形の効果は大きいでしょうし,ピーク時には始発のため席を確実に確保できることは大きいですね。ただ,夏のハイシーズンでも新庄駅が閑散としていたので,ちょっと心配に思った次第です。
山形以南からの乗客もあるので,天童以北で3~4割でも乗っていることが理想かと思いながらも,沿線人口から厳しい印象を持ちました。
山形新幹線自体は,フル規格であれば切り捨てられてしまう地域輸送と高速輸送との共存を図ることができるので,福島駅や板谷峠の改良なども含め,定時性の確保・高速化に向けて進化していって欲しいと思っています。

投稿: SENDAI Watcher! | 2022年8月20日 (土) 22時21分

>未入力(2022-08-19 21:59:35)さん

庄内からの東京への移動に山形新幹線を使うかは,詳しくは存じ上げませんが,少なくとも鶴岡からはほとんどないでしょうね。
新庄から東京が3時間半程度かかり,酒田・鶴岡からの自家用車移動は1時間以上は見なければいけないため。
陸羽西線はバス代行中ですが,そもそも列車が走っていても,新潟発着特急いなほも新幹線ときも余裕で座れることから,あまり新庄経由を使う理由は弱いのではと。福島や栃木に用がある場合は別として。
そもそも,電車では4時間程度かかり,特にビジネスでは飛行機で庄内空港から羽田へ飛ぶ方が早くて良いという方も多いのではと思います。
(朝一の便であれば,9時半に新潟経由よりも早く東京駅に到着できます)。

投稿: SENDAI Watcher! | 2022年8月20日 (土) 22時46分

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