久々の新潟 その(4)仙台の都心部の商業集積について考えさせられた
さて,ちょっと空きましたが,新潟編の続きとしながらも,万代シテイの目の当たりにして,仙台の都心部の商業について考える良い機会になりました。
前回記事
仙台の都心部全体で考えれば,仙台の方が出店しているテナントの量・質ともに高いはずなのに,最近街中に休日に行こうとすると,東口ヨドバシからエスパル,ロフト,せいぜいパルコまで回って疲れてしまい,アーケードまで行かず帰ることが多いです。
気候が良い時期の平日は,勾当台公園付近から一番町四丁目商店街からアーケードをぶらぶらして仙台駅から帰ることがあるので使い分けしている面もありますが。
アーケードは横につながるSCではあるものの,アーケード沿いの店舗もドラッグストアやコンビニ,カフェなど均一化しており,大型店も軒並み老朽化し,魅力が薄れてきています。
建ち並ぶ大型店についても,軒並み建物が1975年よりも古い,築50年近いビルが当たり前のように残っています。
三越はともかく,大町一帯の再開発の核として建替えが検討されている藤崎,そしてイオングループが半ば放置状態で運営しているフォーラス仙台店とイオン仙台店(旧ダイエー)と,アーケード沿いの大型店には正直最近行くことが少なくなっています。
イオン仙台店が入居する読売仙台ビルは大規模再開発構想が動いているようなので,期待したいところ。写真はダイエーからイオンに変わった6年前のもの。イオンになってからブックオフやセリア,マブチなど大型テナントを入れている上層階はともかく,中層階の放置ぶりは何とも言えない気持ちになります。
都心部への大型SCの必要性
仙台駅前だけでも移動距離が長く,効率的に回れないと感じていました。
さくら野倒産後は仙台駅前から百貨店がなくなり,(藤崎と三越は一番町にあることから)仙台駅前だけでは用が済まないという方もいるでしょう(自分はめったに行かないですが)。
この新潟の万代シティの利便性を目の当たりにすると,都心部で一か所で買い回りができる大型SCの有難みを感じます。
新潟は駅前が商業機能貧弱で,旧来の都心部古町が極端に衰退し,その間に整備された大型商業施設が都市の中心になったという多少特殊な例ですが,他の政令指定都市のうち,例えば札幌は,JR札幌駅前の大丸(百貨店)・ステラプレイス(専門店街)・エスタ(旧そごうから転換した専門店ビル)+大規模地下街(paseo,APIA)で,駅前だけで効率的に買い物が済むことを3年前に訪れた際に実感しました。
現在は,2030年度目標の北海道新幹線札幌延伸に向けた駅や商業施設の大規模再整備のため,地下街paseoが9月末で閉鎖予定だったり,今後老朽化したエスタの閉鎖と跡地へ200m超の超高層ビルの建設が計画されており,更にパワーアップすることになっています。
さらに,駅正面の旧西武五番館跡地はヨドバシカメラが取得しながら,仙台と同様?長年更地状態になっていましたが,ここにも,JRタワー2と競い合うような規模の超高層ビルが計画されているなど,遅く訪れる新幹線開業を見越した都市再開発がものすごいことに。
東京や大阪の都心部の駅は駅ビルやSCが周辺に林立しているのは当然として,名古屋や福岡(博多駅)も,JRの中心駅に巨大な駅ビルSCと地下街があり,概ねその駅周辺で用が済みます。
広島駅周辺もこれまでは都心部の紙屋町・八丁堀と比べ,圧倒的に商業機能が弱かったのが,先行した駅の再整備と現在進む駅ビルの建替えに併せ,駅ビルとしては仙台よりも巨大な商業機能が2025年に整備される予定です。モノレールでは小倉駅ビル乗り入れの事例がありますが,路面電車が駅ビル2階に乗り入れるという,象徴的な空間が形成されます(完成予想パースはJR西日本HPより引用)。
仙台駅前の現状
家族連れが効率的に買い物などを楽しむ場所として,仙台は都心部が以前より選ばれなくなっており,郊外のモールに吸い取られている面がありますが,新潟ではその郊外の大型モールをも凌駕する都心部の疑似巨大SCの万代シテイが存在感を発揮しています。
家族連れでの買い物において求められるのは,雨や雪の日でも猛暑の日でも,天気を気にすることなくスムーズに移動できること。
仙台駅前では,基本的にペデストリアンデッキレベルの移動となりますが,基本的に天候の影響を受けること,旧さくら野前とパルコ・AER方面がつながっていないなど,結構移動に手間がかかります。
地下レベルのネットワークは,JR仙台駅,地下鉄仙台駅の2路線とJR仙石線のあおば通駅を中心に,充実しているように見えますが,地下街を介して相互の商業施設をつなげる機能がなく単なる地下通路になっていること,パルコとパルコ2,ドン・キホーテ仙台西口店をはじめとして,近年商業施設の地下フロアへの接続が行われなくなったため,一旦地上に出なければという状態が多く,ちょっと使いづらい。
仙台駅東口に誕生する巨大疑似SC
仙台では,駅ビル再開発が縮小され,現在の「オフィス+ホテル+エスパルの拡張」 という構成となり,あの吹き抜け空間が誕生したのは感動的でしたが,せっかくのチャンスを逃した感があります。
その点は残念でしたが,まずは仙台駅東口から生まれ変わるチャンスであり,現在建設中で来年春に竣工予定のヨドバシカメラを核店舗としたリンクス仙台のオープンで,エスパル東館とほぼつながる大規模商業施設が誕生し,さらに現在の第2ビルに入っているヨドバシカメラ仮店舗の跡の1.2万平米に入る専門店にも期待できるので,エスパル本館からヨドバシ第2ビルまでの連続する商業施設で7~8万平米規模の商業床面積の集積となり,基本的に天候の影響をそれほど受けずに移動できる快適な空間になります。(上の写真は8月上旬,下は8月下旬のもの)。
仙台駅西口駅舎の2階レベルを経由すれば,パルコやアエルまでもほぼ天候を気にせずに行くことができることに。
仙台駅西口(地下鉄仙台駅周辺)での動き
一方,地下鉄仙台駅コンコースから接続するロフト・イービーンズ,1階レベルになるけれど目の前から入れるパルコ2などとはJR仙台駅からペデストリアンデッキを経由しての移動が必要で,現状では,JR仙台駅直結の商業施設群よりも小さいまとまりですが,ドン・キホーテグループ(PPIH)が進めるさくら野百貨店跡地の再開発とオリックスグループが進めるEDEN暫定利用後の再開発計画次第では,地下鉄仙台駅に接続する側のこちらも化けることになりそう。
残念ながら,オリックスの再開発はロフトやヒューモスという他地権者の協力が得られずに,街区全体ではなく単独再開発になるようで,まだ詳細は明らかになっていませんが,向かい側のPPIHの超高層ビル再開発に入る2万平米程度の商業機能と広場化が図られる青葉通を挟んで連携することができるので,この調整は仙台市にしっかりやって欲しいところ。
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現在進められているヨドバシ仙台第一ビルの再開発,ドン・キホーテグループが進めるさくら野跡地再開発,オリックスグループが進めるEDEN跡地再開発により,仙台駅前の商業機能が更新・拡充されること,また,藤崎を中心とする大町アーケード沿いの巨大再開発構想などが進めば,都心部でも一か所で楽しめる疑似SCのような機能が誕生し,郊外のモール群と,良い意味で切磋琢磨できるようになると思うので,仙台都心再構築プロジェクトでの再開発計画の進展を祈りたいと思います。
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