常磐線ひたちで仙台へ (その3 のんびり3時間の旅)
このシリーズ3回目です。ようやく念願の特急ひたちに乗車し,全通した被災区間を通過しました。
前回記事
ようやく約1時間遅れで水戸駅のホームに滑り込んできました。当たり前ながら,仙台駅の6番ホームで見る車両と長さも含め同じということが,不思議な感じがしました。震災前は長大11両編成のうち仙台には4両編成の付属編成しか行かなかったのが,10両そのままいわき以北に乗り入れするということも,乗車率のことを考えると複雑。
入ってきたひたち13号ですが,東京との流動があるはずの水戸駅時点であっても,乗車率は芳しいものではありませんでした。
自分が乗車した9号車には,他に2人乗車しましたが,その時点で10名程度。
今のE657系から全席指定になり,指定済の席は緑ランプが点灯するようになっていました。指定なしで乗車する場合は,赤ランプのところに乗車できるみたい。また,途中駅から指定されている座席は黄色ランプに変わる模様。
殆ど赤ランプで,指定席をとる時点で,同一号車内で5~6席しか指定されていないことは分かっており,間隔を空けて予約したということはあれど,ほとんど人の気配を感じず,不思議な”ほぼ”貸し切り気分を味わえました。
昔の震災前のスーパーひたち時代は付属編成の4両編成のうち指定席が2両,自由席が2両で,ほとんど満席で水戸時点では立ち客もおり,水戸での乗降も多くかった印象。付属編成はほとんどがいわき以北に直通する乗客で,原ノ町・相馬で半分が降りながらも仙台までもそこそこ乗っていましたが,10両とはいえ,この乗車率というのは,ちょと寂しい思いでした。
ただ,長町駅北側の広瀬川堤防で昨年春に通過したひたち号を眺めた時には,全10両で10人位しか確認できなかったので,その時点と比較すると,多少は乗客が増えている状況ではあります。
海を眺めながらのんびり旅
昔乗った時は夕方から夜にかけての,上野16時発(確か仙台20時12分頃着)に乗ることが多かったからか,あまり車窓を気にせず,また4時間の旅なので寝たり本を読みながら乗っていた記憶がありましたが,今回はガラガラで海側の席だったので,ぼーとしながら車窓を楽しみました。天気が良かったし。
日立のあたりや北茨城,そして四ツ倉の辺りなど,全体に占める時間は短いながらも海沿いを走る区間もそれなりにあります。
しかし,途中駅での乗り降りは多くなく,勝田から1名乗ってきた位で,あとはほとんどぽつりぽつりと降りる一方。いわきからの乗車もなかったような。まぁ,乗ったのが先頭に近い9号車だったので,途中駅からの乗客はもう少し真ん中の号車にはいたのかもしれません。
結果的に仙台まで乗ったのは自分を含めて5名。座席が50席程度なので,9号車の乗車率は10~20%というところでした。全体でもそれほど変わらないでしょう。
再開区間にて
広野駅の周辺は早い段階から常磐線の復旧が進み,原発事故対応の前線基地のような役割を一時果たしていた記憶がありますが,新しいホテルなどの建物が見られ,東側は以前と全く違う光景になっていました。
その後,車窓右側には,原発事故直後の奮闘で有名になった高野病院の建物が。
その後楢葉町に入りますが,特に駅間で荒れ果てた建物が目立ち始めます。とはいえ,一見被災していない地域とあまり変わらない光景というのは意外に感じました。富岡駅や大野駅,双葉駅という特急停車駅周辺でも,新しいこじんまりとした,車が普通に数台止まっているような住宅がそれなりに見受けられ,ある程度人も戻ってきていることを感じました。
各駅とも住宅などの建物が広く建ち並んでいる様子は車窓から見え,震災前はそれぞれ数千人以上が住んでいた町の規模感を感じることができましたが,そのうち近くで見れば無人となった建物も多いのでしょう。この3駅での乗降は9号車からは確認できませんでしたが,停車してすぐ発車したので,全車両でもほぼ皆無だったのかと。でも,東京や仙台と特急でつながっているという安心感は,帰還促進にあたっても大きなものなのでしょう。
途中でおやっと思ったのが,線路と並行する道路。過去に部分的に複線区間だった部分が単線化され,保線用の道路化されているようでした。
復旧させるにしても,震災前と比較すると本数も2/3程度になり,当面貨物列車も走らないとなれば,最低限の設備での復旧を判断したのかと。
仙台ひたちの所要時間が震災前よりも伸びているのは,このような単線区間での行き違い設備が簡略化されたのも理由のようです。
一時間発車が遅れたためか,明るいうちに仙台に着けるはずが,途中で徐々に暗くなり始めました。車窓からはこのような巨大な鉄塔及び送電線が見られましたが,原発を結ぶ送電線で,かつては首都圏方面に電気を送電していたものが,現在では原子炉の冷却のための電気が送られているのかと思うと,この地域がかつて望んで誘致した原発という側面があるとはいえ,東京電力の発電所が福島という営業区域外にあるべきだったのかと,考えされられました。
原ノ町あたりからは,すっかり暗くなり,仙台駅に到着したのは18時20分位でした。約55分遅れで,多少は後れを回復したのかな。
電車での旅行は本当に久しぶりで,特急で約3時間の旅というのは,2年前の北海道で札幌から釧路の区間を乗って以来。
新幹線に慣れてしまうと,逆に特急の旅というのは贅沢な時間の使い方なのかもと感じます。
仙台駅では6番線に到着し,ホーム向かい側の阿武急の新型車両(丸森行)がちょうど止まっており,余韻を感じる暇なく間一髪乗り継ぐことができ,18時半前には約10分前にひたちで通過した長町駅に到着しました。
長町駅の出口床面には,新しいKHBの案内表示が。
今,新型コロナウイルスの感染が落ち着いていますが,この凪の状態が少しでも長く続いて,普通に旅行に行けるような生活を取り戻すことができればと。今度は仙台から品川までの全区間を乗ってみたいな。
スポンサーリンク
| 固定リンク
「旅行」カテゴリの記事
- 九州旅行編(その2) 元気な九州の魅力(2024.08.25)
- 九州旅行編(その3) 街中の驚異的な賑わい 政令市熊本(2024.09.16)
- 九州旅行編(その1) 久々の仙台空港&アクセス鉄道(2024.08.19)
- 新潟駅に誕生 新商業施設とバスターミナル(2024.07.21)
- 複合施設アオーレ長岡と仙台市役所新庁舎(2024.05.07)
「東北」カテゴリの記事
- 九州旅行編(その2) 元気な九州の魅力(2024.08.25)
- 札仙広福の人口密度比較 その3 北の200万都市!札幌編(2023.06.07)
- 久々の新潟 その(7)新潟の強みとクルマ社会の功罪(2022.12.25)
- 陸羽東線と快速ゆけむり号(2022.08.15)
- JR東日本 ローカル線の行方(2022.08.13)
「交通」カテゴリの記事
- 身の丈再開発『みなてらす河原町』(2024.09.18)
- 九州旅行編(その2) 元気な九州の魅力(2024.08.25)
- 九州旅行編(その3) 街中の驚異的な賑わい 政令市熊本(2024.09.16)
- 九州旅行編(その1) 久々の仙台空港&アクセス鉄道(2024.08.19)
- 続 新潟編 厳しい古町の現状(2024.08.03)
「震災」カテゴリの記事
- 九州旅行編(その3) 街中の驚異的な賑わい 政令市熊本(2024.09.16)
- 続々と再開発のニュースが(その1)オリックス再開発始動か?(2023.12.12)
- 札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編(2023.05.20)
- JR東日本 ローカル線の行方(2022.08.13)
- アクアイグニス仙台 4/21オープンを前に(2022.04.20)
コメント