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2019年12月10日 (火)

ベガルタ 2019シーズン終了に思うこと その3 ~やはり。。。渡辺監督退任後のビジョンは?~

 今朝飛び込んできた(昨日早く寝たため。。。)渡辺監督退任のニュース。

 フロントと監督の考え方にズレがあるのは,ホーム最終戦後監督インタビューでの辛辣な問題提起で明らかになっていましたが,報道,特に河北のトーンをみるからには,”解任”に近い退任ということ。あえて,こんな失礼な表現を使うのは,河北がどっち寄りなのかが分かる。

 今回の監督の退任の味方については両面があり,

 〇渡辺監督の限界

 ◉フロントの怠慢

両方の見方ができるけど,この2つは連携していて

「フロントの怠慢」の状況が「渡辺監督の限界」を引き起こした

 ということなんだろうな。

◉フロントの怠慢

<漫然としたチケット販売>

 前回記事では,低迷する観客動員について取り上げましたが,新社長になって,今シーズンはJリーグチケット(スマホQRコードチケット発券)を用いた割引チケットを多用していました。勾当台公園などでチラシを配ったり,メールでの販促,団体単位というのもありました。

 まだこのような取り組みは始まったばかりなので,その結果を踏まえて来シーズンはどのように戦略を練り直すかがカギなのでしょうが,今シーズンは正直,バラマキ以外の何物でもなかったような。特に6月の3連戦はなりふり構わず,1000円チケットやルバン決勝T名古屋戦は無料チケット発券なんてことまでやっていましたが,それでもリーグ戦2試合は1.2万人程度。

 常連客が格安チケットを通常チケットの代わりにしては,単なる減収要因。

 ドリンクやフードとセットのチケットはあったかなと思うけど,ガラガラのSバック南側などを使った家族連れ向けの割引企画チケットとか,集客率が弱いエリアを埋める努力,飲食の売り上げを上げる努力など,感覚的ではなく,データ分析により攻め処・改善点はあるのでは。

 楽天イーグルスのようにデータを集めるためにガチガチキャッシュレス化するなど,営利主義でやり過ぎるのは反面教師ながらも,あまりにどんぶり勘定過ぎるのもね。

 そもそもホームゲームの間隔の不均等ぶり(2週連続がある反面1か月おきもある)はJリーグ当局に配慮を求めたいところです。

 また,大入り試合で勝てなかったというのが ,ホームで大きく勝ち越したのに印象が薄い原因なのでしょうね。

<スポンサー収入の低迷>

 J1初昇格時は入場料収入割合の高さが目立っていましたが,今は入場料収入も低迷しており,その分はDAZNマネーとスポンサー収入で何とかしなければという状況。DAZNマネーは各チームの資金力を基本は平等に底上げするものであり,あとはどれだけユニフォームスポンサーを中心に協賛金・広告料収入を集めるかというところ。

 ベガルタは,地域密着型チームとして,小口をたくさん集めるという手法を重視してきたのかもしれないが,やはり大口スポンサーを集めてナンボの世界。また現在の大口スポンサーの協力でもっと出してもらう。それを納得させるためには,魅力のある選手を集め,アピールできるサッカーのビジョンを示すなど,好循環を続けなければならない。

 しかし,ベガルタの経営主体は第3セクターで,関係者もとい役員がやたらめったら多く,「船頭多くして船山に上る」状態になっています。

 もちろん,多くの関係企業が少しずつ株や広告料を持ち合って,地域の共通の財産としてプロスポーツチームを成り立たせるというのは,立ち上げ時期としては理想的な体制だったかもしれませんが,各チームの経営規模が拡大していくなか,完全に取り残されている今,はっきり言って時代遅れの経営形態になりつつあります。

 そうはいっても,せめて,民間の”まっとうな”経営感覚を持っていた東北リコー出身,白幡社長級の人材が就任してくれるのであればいいのですが,地元マスコミでのたらい回し状態になってから,チームの停滞感が半端ない。河北の次はミヤテレ。。。せめて竹鼻さん(前,フロントに入っていましたが),三雲さんのような,サッカーに詳しい方を送り込んでくれよと。単なる天下りで務まるポジションではないんだから。

 チームの性格が異なるとはいえ,札幌や長崎,またJ1参入プレーオフで惜しくも敗れた山形の社長など,社長が目指すビジョンをしっかりと示しているチームは,成績もチームの経営規模も上向きなのは当然。

 ベガルタの現社長は,いったい何を考えて,どこを目指しているんでしょう?

 鳥栖のように地元出身の成功経営者にアプローチしてスポンサーになってもらうというのは,撤退された時の反動は大きかったですが,その間のチーム及びスタジアムに対する投資が行われたり,トーレスというビックネームを獲得して,チームの知名度を上げるなど,チームとして一回り大きくなるための資産は十分に残せたのでしょう。

 あと,ベガルタの聖域は,現胸スポ?ここに遠慮してなのか,大口スポンサーの獲得ができない状況というのもあるのでしょう。本当に感謝はしていますが,チームのことを考えるのであれば,ここに競争原理を導入して,新規参入が可能なようなシステムにしないと。

 経営規模の拡大がないと,毎年のように育てた選手をあっという間にさらわれてしまう。さらわれないような給料払い,複数年契約を結ぶためには,資金力がモノをいうのであって,観客動員も経営規模や選手人件費もワースト3。毎年残留争い。フロントのビジョンは見えない。”東北のために”という大義名分も薄れ,繋ぎとめることができなくなってからの流出度合いがものすごい。もちろん,他のチームが経営規模を拡大し積極補強に転じているということで,相対的にボロ負けしている状況。

〇渡辺監督の限界

 2014年開幕直後の今年並みの逆噴射スタートで,前監督のアーノルドが解任され,火中の栗を拾わされたことから始まり,ほぼ丸6シーズン采配を振るったわけですが,上記のようなフロントの状況があり, 監督のビジョンはあっても,中心選手が毎年引き抜かれ,旬を過ぎた安い選手を獲得してきて再生しての繰り返し,本当に頑張ったと思いますが,無力感を感じますね。

 以下,ホーム最終戦後の渡辺監督の率直なコメント。本当に,チームのことを誰よりも考えているのが分かります。

 ゲームの方は、大方予想の範囲内というか、大分さんにボールを持たせて、我々がカウンターで出ていくという構図が90分間続いていたのかな、と思います。勝負に徹して、非常にハードワークして、タフにやり切ってくれた選手たちは、本当に素晴らしいです。本当に、素晴らしい。

 でも、私の個人的な感情を言わせてもらうと、何かまた、仙台のサッカーが、元に戻ってしまったというか、これまでに積み上げてきたものが、なかなか今年発揮させることができなくて、複雑な感情です。


 25周年という素晴らしい記念の年に、花を添えるような成績を残すことはできなかったのですが、次の25周年を迎えるにあたって、ベガルタ仙台はどのような道を進むのか、というものは本気でみんなが考えると、また1年1年、同じことを繰り返して時が流れていくだけなのかなと思います。

 

 J1残留ということを、シーズンの途中で我々の最低限のミッションにしなければいけなかったというものは、非常に残念なシーズンでした。でも、我々みたいなクラブが10年間J1にい続けられるというのは、見方を変えれば素晴らしいことだと。でもその方法論として、どうやってJ1に残っていきますか、ではどうやってこれからJ1の上位を目指していきますか、そういうものを考えたときには、私の中では、何か時計の針が戻ってしまった感覚が、すごくあります

 いろいろな見方があると思いますけれども、私も長くこのクラブに携わらせてもらっているので、やはりいろいろなことを考えるのです。そう考えたときには、毎年毎年、こうやって1年1年、切った張ったでやっていく中で、残留し続けることが、本当にこのクラブにとっていいことなのか、そういうものは本当にみんなで考えなければいけないと思います。

 監督としても,志半ばでの退任は無念でしょうが,このフロントの元で来年続けても同じことの繰り返しになれば良しで,無念にも降格になり解任されることも十分あり得るので,この段階でのお別れは監督とサポーターそれぞれにとって良かったのかなと。

渡辺監督頼みからの脱却

 当然,監督交代は劇薬です。現時点で,後任が決まっていないというのは,来シーズン目指すサッカーを選手にもサポーターにも提示できないこととなり,選手との残留交渉,選手獲得にも後れを取ることになるので,早めに決めてもらわないといけませんが,これまで低予算で何とかやりくりしていたのは,渡辺監督が居たからだということに改めて気づくでしょうし,J2に6年も沈みながら,その後J1に10年も残り続けることの大変さも。そこからフロントも変わらなければならない。遅かれ早かれこの時期は必要だったと思うしかない。 

 この低予算,このフロントの中で引き受けるこのチームを「劇的に変えることのできる監督」がいるのかどうか半信半疑ですし,下手したら,「都並」のような新人を押し付けられたり,行き当たりばったりで 他のチームをクビになった監督の中からオファーを出したりということがありえそうで,決してフロントを信頼はしていませんが,20年以上応援し続けているこのチームを見捨てられません。

 ひとまず,シマオとスウォビィクが残留となったので,あとは引き抜かれる可能性があるのは永戸位でしょうし,あとはこの動向を見守ります。 ドキドキしっぱなしでしょうが。

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