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2019年8月25日 (日)

せんだい都心再構築プロジェクト(第1期) 施策発表!(その3)容積率が最大2倍に緩和

さて,続きです。


前回記事


2つ目の柱として,

B【高機能オフィスの整備に着目した容積率の緩和について】

制度が2つ並立しており,分かりにくいですが,

①目玉の容積率最大2倍までの緩和が適用

  •  〇対象エリア:赤枠内の都市再生緊急整備地域内(エリア拡大検討中)の0.5ha以上の土地
  •  〇条件:一定以上の広さなどの「高機能オフィス」整備,道路や広場の提供など

②もう一つは,

  •  〇対象エリア:都心商業地区(北仙台~愛宕橋,西公園通~榴岡公園付近)
  •  〇条件:総合設計制度を活用する場合,従来の「公開空地の導入」に加え高機能オフィスを整備すると,最大200%の容積率上乗せ

①は分かるのですが,②が①に加えてなのか,別個なのかがいまいち分かりづらい。

 緩和の程度が①>②なので,②は①の都市再生緊急整備地域の外側エリアのみを対象にしたものなのかもしれない。

B

気になること「範囲の広さ」

ちょっと感じるのは,「範囲が広すぎない?」ということ。

というのも,福岡市の「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」も,それぞれ中心駅付近から半径500m程度の範囲(各約80ha)に限定し,そのエリア限定の時限的緩和というのを打ち出し,地権者にとっての「今やらなければ」という気持ちをくすぐるものになっている。 


一方,この仙台市の案でのエリアは

  •   南北:北仙台から(一部勾当台通沿のみとはいえ),愛宕橋駅までの南北線駅7駅分
  •   東西:西公園通りから榴岡駅付近までの東西線・仙石線駅4つ分

とちょっと広すぎませんか?

 せいぜい,①の都市再生緊急整備地域に限定であればまだ特別感はあるけど,それも東口にも拡大しようとしている点。

 地元対策で,②が幅広の範囲になってしまったのは分からなくもないけれどちょっと総花的な印象。

「アセス」や「杜の都景観計画」との関係

 また,結局あの悪法のアセスや「杜の都景観計画」との絡みがこれだけでは分からないので,ケースタディをしてみました。

 地元の中小事業者の所有するビルの建て替え程度であれば,せいぜい高さ10階(30~40m)程度で,それほど問題にはならないだろうけど,前の記事で例示した,駅前の商業施設を核とした再開発だと,仮に0.5haの土地で都心商業地域D4のエリア(※) だと,必ずアセスに引っかかってくる。※ 80m高さ制限はあるが,緩和の場合無制限 

Saikaihatsu_20190823232701

 まぁ,駅前での開発で,仮に最大の容積率1600%への緩和が見込めるのであれば,

 


①の条件最低限のさくら野の0.5haを想定し,緩和容積率をフルに活用する場合,

  可能な総床面積:80000平米

  必要な空地率:35%(うち15%は緑化)

  建築面積:3250平米

  高さ:全て同じフロア面積にした場合,25階以上(100M超)。

     現実的には下層階のワンフロア床面積を確保して上層階を細めにするので30階以上にはなりそう。


 となり,総床面積も,高さもアセスの要件にばっちり入ってしまいます。

 自分は,他の拠点都市のようにアセス対象を  


 総床面積50000平米or高さ100m以上 ⇒ 総床面積50000平米and高さ100m以上


 に緩和すべきと思っていますが, 結局緩和したとしても①の開発要件である0.5ha以上の開発を行う限りは,いずれにせよ総床面積と高さの両方を超えてしまうので,今回の市が打ち出した大幅な容積率緩和を勝ち取るためには,アセスが前提となりそうです。

供給過剰の心配

 仮にさくら野跡地を商業・オフィス複合開発として,半分を商業・半分をオフィスとした場合,オフィス部分の総床面積の半分程度が賃貸用として供給されるとして,20000平米の供給となりますが,実質アエルのオフィスフロア程度の規模と想定されます。

 なお,トラストタワーのオフィス面積は約40000平米でアエルの倍規模で,再開発が1~2個立ち上がるだけで,仙台市内の空室率が一気に跳ね上がる規模なのではとも危惧します。

 もちろん,オフィスは現在のように空室率が史上空前の低さになったとしても,供給されるまで5年とかのスパンになること,あれだけ賃料が仙台にしては高いと言われたヨドバシ第二ビルのオフィスも概ね埋まりつつあることから,都市のストックとしては企業誘致分として当然余裕分を含めて確保しておきたいところでしょうが,事業者側として,それをどう判断するかですね。なので,早い者勝ちで最初に着手したところは先行者利益を上げそうですが,その後は市況とのにらめっこになるか。

 

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