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2016年7月30日 (土)

地下鉄南北線 延伸へのラブコール

7/29の河北に、これまでこのブログで取り上げてきた、南北市町からの地下鉄延伸へのラブコール記事が載ってました。

過去記事


<仙台南北線>延伸ラブコール 市困惑
 宮城県名取市と同県富谷町の両首長が、隣接する仙台市の地下鉄南北線(泉中央-富沢、14.8キロ)の延伸に意欲を見せている。ともに南北線の延伸を掲げて首長に初当選し、実現しなければ公約違反のそしりを受けかねないが、現時点では夢物語に近い。当の仙台市は、あずかり知らぬところで進む延伸話に困惑している。
 南北線と名取市、富谷町との位置関係は地図の通り。名取市は富沢駅からの南進、富谷町は泉中央駅からの北進を目指している。
 「名取市内の西北部団地は生活圏が仙台市に入り込んでいる。交通の利便性を確保しなければならない」。山田司郎名取市長は25日の就任会見で、選挙戦でも訴えた南北線の南進に取り組む姿勢を改めて強調した。
 西北部団地とは、仙台市との境にあるゆりが丘、みどり台、那智が丘、相互台の各団地。新駅設置が想定される地域の東側は富沢駅から直線距離で2~3キロと近く、住民の期待も大きい。
 一方、若生裕俊富谷町長は南北線の北進を狙う。昨年2月の町長選では、泉中央駅から次世代型路面電車(LRT)による富谷延伸を主張した。
 当選後はコンサルタントに調査分析を依頼し、「LRT」「地下鉄延伸」「路線バス強化」の3案の費用対効果を比較。若生氏は「泉中央までのアクセス改善を望む住民の声が強い。本年度は3案を深掘りして検討を進め、いずれは仙台市や県、国と協議したい」と意気込む。
 2市町からラブコールを送られた形の仙台市は、対照的に冷淡だ。市交通政策課は「2市町からは相談もなく、どこまでの本気度なのか。将来の人口減少や社会情勢を考えると簡単にはいかない」といぶかる。
 仙台市など全国9自治体の直営地下鉄のうち、開業後に他自治体に延伸した例は表の通り。地下鉄事業者でつくる日本地下鉄協会(東京)は「収支的には30万規模の都市への延伸なら可能性はある」との見方を示す。人口約7万8000の名取市と約5万2000の富谷町はいずれも採算面がネックとなる。
 南北線の八乙女-富沢間の1キロ当たり建設費は163億円。地上のみの泉中央延伸(1.1キロ)も97億円を要した。本年度末見込みで約44億円の赤字と932億円の累積債務を抱える仙台市の地下鉄事業に、延伸に取り組む余裕があるかは疑問だ。
 奥山恵美子市長は27日の定例会見で「市域外の延伸には相当な制約があり、県の関わりも出てくる。(延伸計画は)市が示すべき性質のものではない」と突き放した(7/29河北から引用)。
仙台市側の反応は至極当然。大人の対応をしているけど、何を勝手にと内心腸が煮えくりかえっていてもおかしくない。


そもそも、仙台市が100万人を達成するために、名取市との合併を模索し、地下鉄延伸にまだ積極的だった時代に、当時の閖上出身の長期政権市長が、仙台との合併の話を蹴った時点で、あり得ない話になっていたのにねぇ。


そういえば、その石川元市長から佐々木前市長まで、36年間も閖上出身者が市制を司っていたのかと思うと、名取における閖上の力の強さというのも分かる気がします。


南進の想定先は
名取側の延伸は、高舘3団地方面の山のふもとを想定していたようですね。
富沢駅から直線距離で2~3kmとのことですが、仮に仙台市域の柳生のダイシンあたりの(仮)柳生駅であれば、富沢駅から約2km。車両基地までの線路から分岐した実質的な線路延伸部分は1.5km程度で、地下ではなく全線高架も可能。これだけを見ると、可能性はあるように見えるかもしれません。
この場合、(仮)柳生駅から那智が丘入り口まで約2km。みどり台やゆりが丘まで3~4km。バスで10分圏には収まってきます。始発駅で座れるという条件から、柳生や西中田からの通勤需要もある程度拾えるとは思いますが、いかんせん南仙台駅(仙台駅から200円)と比べて、片道330円というのは、通勤先がなかなか経路として認めてくれない(定期だとさらに格差が広がる)。
 なお、記事は市域外延伸という内容になっているので、そうすると、名取市の高舘側にもう少し寄せ、(仮)高舘駅 となると、富沢から直線距離3km。そうなっても団地内に直結するわけではなく、あまり(仮)柳生駅 と変わらず、途端に現実的ではなくなる印象が。
東西線みたいに、P&Rの拠点駐車場を設けて需要喚起ということはあるけど、結局家から歩いて地下鉄に乗れないのであれば、現在の長町南や南仙台駅へのバスに乗る手間とそれほど変わらない。


いずれにしても、広大な名取川に橋をかけるのはネックだろうし、そもそも延伸をしたところで、少なくとも相互台には関係ないし、眺めはいいけどクルマがないと生きていけない那智が丘やゆりが丘の団地群に新しい住民が入ってくるとは思えない。地下鉄が一応直結した古い住宅地の八木山でさえ、再整備と新住民の流入効果は限定的。
記事中に延伸で採算がとれるのは30万規模の都市とあるけど、旧泉市は合併当時12万、現在の泉区が21万というのも納得。
名取市の場合、総人口が7万8千人とはいえ、ほとんどが本線やアクセス線の沿線人口であり、高舘の団地群は1万人規模。

だったら、仙台市としては北でも富谷ではなく、泉PT(2.5万人)に伸ばした方がよっぽどいいだろうしね。
富谷については、さらに問題外だし。考察は過去記事のとおり。

富谷町長選に思う(H27/2/11)

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コメント

個人的には市内で伸ばすとしたらやはり泉ヶ丘方面だと思うんですよね。
正直いって将監トンネルを一般車両フリー※にしたのは今となっては悪手だったとは思いますが、これによる泉中央の異常混雑を解消するには北側の泉ヶ丘に伸ばして一般車両を泉ヶ丘へ誘導する必要があるかと…。
PTに関してはぶっちゃけ北四番丁大衡線が結構いい道路だから別に伸ばさなくても…。

ちなみに泉ヶ丘に伸ばせば図らずとも富谷町の交通事情の改善にもなるかと…。

※:今からでも遅くないから朝ラッシュ時だけでも一般車両の通行禁止を行って欲しいような…。

投稿: hts | 2016年8月 1日 (月) 03時00分

富谷方面に地下鉄が延伸は距離が有るので事業費がネックですね。
富谷町に500億〜1000億円も出せませし、県や仙台市も借金が多すぎて新規大型の公共事業は躊躇するのではないかと。
事業費を運賃に転換し過ぎて東葉高速鉄道並みに高額になっては利用者が伸びず整備した意味が無くなってしまうなって事も。

投稿: | 2016年8月 6日 (土) 05時16分

>>htsさん

コメントありがとうございます。
泉が丘方面というのは、かつて仙台市が想定していた北部への延伸ルートですね。
ただ、現在ではメインの流れが東に移っている(泉大沢・明石台、成田)ことから、北方面からのバスの単純な乗り換えには無駄は小さい反面、場所が中途半端になっています。
さらに、駅やターミナルを整備する土地もない。
その先の延伸が具体化しているのならともかく、その先が具体案も何もないおねだり状態なんですから、市としても伸ばす理由は全くないわけで。

だったら、泉PTの寺岡のセンター地区までの方が駅導入空間も含めて現実的というところです。それでもあり得ないでしょうが。

将監トンネルは、一般車通行禁止は無理にしても、1車線をバス専用レーンにというのがまだ現実的でしょうね。一般車通行禁止は、(地下鉄アクセスだけでない)泉中央地区への様々な移動需要がある中で、流石に厳しいでしょうね。

投稿: S-Watcher! | 2016年8月 7日 (日) 14時21分

>>匿名さん

 コメントありがとうございます。
事業費としては、県の三セクが整備したアクセス鉄道も7.1kmで約400億円。田んぼの真ん中や区画整理で準備してもらった導入空間に単線高架のシンプルな構造でこの事業費ですから、距離もですが、富谷のどこを通しても中途半端という拡散した団地群を網羅することは無理ですね。そもそも三セクで別料金であれば、最低仙台駅まで片道5~600円という料金となり、確かに東葉高速や北総鉄道状態ですね。

投稿: S-Watcher! | 2016年8月 7日 (日) 14時30分

地下鉄の延伸に関する考察について。
名取の場合は、市街地にJRの駅が多くある。開かずの踏切は出来ても、その駅を活用するような街作り行っていない。かつて仙台が町場を都心といい、副都心を長町と北仙台(いずれ泉中央に置き換わる)宮城地区と仙台港地区として街づくりを行ったが、結果は泉中央のみの繁栄にとどまったようである。
地下鉄はその都市の顔であり、採算ベースを外しても、そのような都市には必要な都市施設と考えているので、10万未満の都市には不必要な施設である。渋滞緩和なら渋滞しないような道路ストックの構築で足りるはず。区画整理は町づくりの母であると言っていたが、しっかりした街づくりがあったうえでの都市計画である。
例えばA地点からB地点に地下鉄を通すことにより、多いに人流の変化に対応するとか、観光スポットに生まれ変わる等その都市により、都市計画に寄与するのであれば理解できる。
なんとなく市民からこの区間の渋滞を緩和しろというのであれば、やり方が違ってくる。
都市計画とはその街の顔であるので、街の品格に合ったようなものでなければならないと考えている。
その一つに地下鉄があるものと思っている。国は北海道の夕張のようにならないように調査を見舞っていると思っている。北部中核都市を県で構築した際、仙台市や仙台港。仙台空港等へのアクセスも土地利用に必要なことと思われる。

投稿: 近藤 まさのり | 2021年8月18日 (水) 15時41分

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