期待の今春オープン施設(その3)多賀城駅北再開発完成
武雄市から海老名市、小牧市に飛び火したTSUTAYA図書館問題。この多賀城市では、規定事実として着々を準備を進め、この3月21日に図書館を含む複合施設が開館し、多賀城駅の高架化とセットで進められてきた、周辺の区画整理と駅北の再開発事業が、これでようやく概成します。
仙台駅2階暫定コンコース供用開始&多賀城駅新駅舎(H26/8/28)
生まれ変わった多賀城駅&エキト多賀城(H27/1/15)
狭い市域内に6万人以上の人口が集まる多賀城市。その中心駅の多賀城駅周辺には、市役所や文化センター、東北学院大工学部など、人が集まるエリアではありながらも、日常的なスーパーは生協しかなく、駅前自体は、南側が砂押川でさえぎられ、その南側も津波被災エリアも広がり、よく市長が「へそがない街」と自嘲気味に言っていますが、その駅前がこんな感じに生まれ変わります。
まちのにぎわい創出図る 再開発ビル3棟完成
JR仙石線多賀城駅北地区に整備する再開発ビル3棟が完成し、宮城県多賀城市文化センターで18日、式典があった。市は東日本大震災からの復興のシンボルに位置付け、入居する21日開館の市立図書館を核にまちのにぎわい創出を図る。
再開発ビルはA~C棟の3棟で総事業費約68億円。A棟は鉄骨3階(地下1階)で延べ床面積約7000平方メートル。レンタル大手TSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者になる新図書館をはじめ書店、カフェ、レストランが入る。
B棟は4階で延べ床面積約4000平方メートル。子育てサポートセンター、保育園、デーサービスセンターなどが入居する。仙石線を挟んで駅南側にあるC棟は駐車場で鉄骨5階、延べ床面積7300平方メートル。351台を収容できる。
菊地健次郎市長は式典で、「市の40年来の悲願である中心市街地形成の大きな一歩だ。多くの人が集い、出会い、交流する場を目指す」と述べた。CCCの増田宗昭社長も出席した。
図書館の多様な選択肢
賛否両論ありますが、自分は肯定的にとらえています。
多賀城市では唯一の図書館ですが、JR仙石線沿線には5分北に行った本塩釜駅前に塩釜市図書館、西に15分行った陸前原ノ町駅前には仙台市宮城野区図書館と、従来型の公共図書館があり、仙台都市圏内では貸出の相互利用を行っているので、それらの図書館も利用できる中、新たな図書館の楽しみ方を提供してくれること。
それに、図書館は別としても、併設される蔦屋書店やカフェ、レストラン部分は、以前訪れた代官山蔦屋書店からしても、魅力的な空間であることは間違いない。詳しくは百聞は一見にしかずで、下の過去記事へ。まぁ、選書は地方都市バージョンに落とし込んでの出店でしょうが、泉のをみても、インテリア、食系のセレクションと雑貨とのコラボはかなりのものなので、それでも期待できます。
代官山蔦屋書店へ(H26/11/9)
街の多様性
単なるベッドタウンとみられがちな多賀城に仙台から足を向ける価値のあるエリアができるということは、エリアごとの多様性を生み、仙台都市圏全体の魅力を高めるうえで、必ずプラスになります。それに、駅前というのは大きい。電車通勤・通学者であれば通り道だし、誰でも(電車でもクルマでも)行くことができるエリアであり、場所も分かりやすい。
それに、駅近くに学院大の工学部があるというのが、そのような文化拠点に欠かせない学生の存在という意味で大きい。本当に学院のキャンパスで多賀城が残ることになってよかった。一時期は泉でなく多賀城の方が閉鎖対象と聞いていただけに。
泉大沢の蔦屋書店も好きですが、仙台南部住民としては、気合を入れてでないとなかなか行きにくいエリア。それにクルマ一択だし。なので、比較的本数が多い仙石線でも行ける蔦屋書店のオープンは嬉しい限りです。
多賀城駅前の変化
この図書館の集客力をあてにして、周りに飲食店や店舗を集めてくる効果は必ず出てきますし、そもそも、高架化で生まれ変わった多賀城駅高架下の商業施設もあるし、駅周辺の価値が高まることは都市にとっては必ずプラスになります。
塩竈市の中心、本塩釜駅前は、こっちも津波での被害が大きく、衰退は著しいながらも、塩釜神社やマリンゲートという観光拠点の入り口として認識されているし、有名寿司屋が集まり、一応イオンタウンのSCもあったり、人口減や駅の利用者減が著しい塩竃市ですが、街の雰囲気は多賀城を上回っています。
多賀城駅前は、長崎屋が産業道路沿いのイオンとの競合に負けて閉店したこと、地上を走る線路と砂押川で市街地を分断され、ソニーや宮内の工場地帯に向かうエリアに飲み屋や飲食店などは散在しながらも、多賀城市としては産業道路と45号線という自動車交通の利便性が高いエリアで、産業道路と45号線という自動車交通の利便性が高いイメージ。多賀城駅利用者は90年代は県内のJR駅で3位(1位仙台駅ー2位岩沼駅ー3位多賀城駅)の利用者数がありましたが、今は長崎屋も撤退、本線に国府多賀城駅の開設で駅乗車客数もピーク時からすると1日千人以上落ち込み、津波での人口減もあり、厳しい時期ではありましたが、桜木に続き、新田、鶴ケ谷の公営住宅(市最大)も完成し、仮設住宅もだいぶ縮小しています。被災からの守りの戦略と同時に攻めの街づくり戦略も進めることができたのは良かったと思います。
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