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2015年9月13日 (日)

仙台空港民営化 東急グループに決定(2)

さて、仙台空港民営化、事業者決定の続きですが、

1)公共交通アクセス改善

①JR次第のアクセス鉄道

昨日の台風18号の大雨では、宮城県内でも県北内陸部を中心に大きな被害がでました。無傷の最強地下鉄南北線、JRのドル箱新幹線はいつも通り通常運行しながらも、在来線は午前中全滅で、空港アクセス線もその巻き添えをくらってしまいました。

いつも思うのは、仙石線の地下区間を含む小鶴新田~あおば通とか、アクセス線の名取~空港の高架区間とか、雨には強いはずの区間も一律に運休になるのは、JRの姿勢を表している(アクセス線は巻き添えをくらっている)と感じます。

今回はアクセス線は名取駅、仙石線では小鶴新田駅で冠水被害があったとのことで、やむを得ないにしても、特にアクセス線は空港への公共交通を独占している責任もありながら、JRに依存している(東北本線部分の影響を受けてしまう)というのは、脆弱すぎると思います。

仙台空港自体は雨の影響による運休便がほとんどなかっただけに。

JRにとってみたら、アクセス線を無理に運行させない方が、東北新幹線経由で名古屋や大阪に向かってもらえるし、会社負担のビジネス客はその手段を使うでしょうから、漁夫の利というか、利益相反関係にあるということ。

まぁ、雨や地震での運休はやむを得ないにしても、JRのさじ加減ひとつに左右される鉄道アクセス以外で、バスによるアクセス手段は確保した方が良いのではないかと思ってました。

その鉄道とバスぞれぞれのアクセス向上を提案しているとのことで、これは大歓迎。

②アクセス鉄道の改善策

鉄道にしても、いつも言っているとおり、劇的な改善まで必要ないんで、

○運行間隔がバラバラで毎時2~3本

 →少なくとも毎時3本(20分毎)に統一

  (現在40往復→50往復に。なお、当初は45往復の予定だった)

○昼間の運行は2両編成で本線(名取~仙台)区間でギュウギュウ詰め

 →4両編成にするか、2両編成の場合は、長町・太子堂・南仙台を快速通過。

(本線内快速の場合は、少なくともアクセス線以外の東北本線・常磐線として、各駅に停車する電車を毎時最低3本は確保して、名取駅で接続可能にする。地下鉄乗換駅の長町駅は将来的には快速が停車しても

○1日2往復しかない意味不明な快速(全線17分)

→廃止し、空港線内は全駅停車。その代わり、上述のようにある程度本線内区間快速として、全線20分程度で結ぶ(空港線内10分、本線内10分)。

○単線なのに、行き違い可能なのは名取と美田園のみ

→交換可能駅として、杜せきのしたの改良工事を実施

であれば、車両の4両程度の増備(現在JR8両、SAT6両で計14両)で十分対応可能。というか、将来400~600万人の年間空港利用客を見込み、さらにターミナルビルの魅力UPによる集客を目指すのであれば、いずれは必要な投資。

理想は、新千歳並みの15分間隔ですが、空港の規模や利用者数が段違いなので、まず目指すのは20分間隔。これであれば、ターミナルビルの魅力UPで時間つぶしができる場所が増えることを考えると、及第点になります。

現在のように、30分間隔の時間帯が存在するのは、利用者のことを考えるとありえない。

○他地方都市の空港アクセス

 福岡空港:地下鉄乗り入れ(3~10分間隔)

 那覇空港:ゆいレール(新交通)乗り入れ(概ね10分間隔)

 新千歳空港:JR乗り入れ(概ね15分間隔)

 神戸空港:ポートライナー乗り入れ(2~10分間隔)

 宮崎空港:JR乗り入れ(毎時1~3本)

地下鉄が乗り入れている福岡空港は、利用客数を見ても別格ですが、新千歳は2千万人の利用者(仙台の6倍)で、6両編成の快速エアポートが毎時4本なのは、札幌からの遠さ(快速でも36分で片道1000円以上かかる)、様々なリムジンバスなど他の交通手段もあるため。

利用客数では仙台空港と同等の宮崎空港は、地方空港のアクセス鉄道整備の先駆けとなりましたが、本数でいうと1日30往復程度(仙台は40往復)。ただし、市街地から近いため、宮崎駅・南宮崎駅という中心部向けはバスがメインで、鉄道は遠距離利用者向けと役割分担がされています。

よって、鉄道のみしかなく40往復という仙台空港の不便さが際立つ形で、空港利用客を増やすためにも、空港からの2次交通の改善は図らなければならない。

3)リムジンバスの運行

 地元バス会社と協議しているとのことで、昨日のような鉄道が寸断された時に、5000円出して仙台駅からタクシー飛ばすしか選択肢がないのは、他都市からのビジネス客や観光客に対して失礼。口だけのもてなし。

ただし、中心部とのリムジンバスは、ただでさえ経営が厳しい鉄道と競合するし、過去には愛子観光と東日本急行が参入したにもかかわらず、無残な撤退を強いられた過去も。それに鉄道がまともに機能する(20分間隔)であれば、それほど必要性は薄いけど、利用客が400万人以上に増えれば、隙間ビジネスとして商機はある。

それまで、個人的に可能性があると思うのは、石巻や松島、塩釜、多賀城と空港を結ぶリムジンバスを、12月に開業する東西線荒井駅を経由させ、東西線沿線からの乗り継ぎも可能にすること。加えて、荒井駅発の便を設定し、併せて毎時2本程度設定できれば。

地下鉄はJRと異なり、地震にも大雨にも強いので、そういうサブルートはありかな。

仙台駅からでも、JRが止まると昨日みたいに市内の至る所で渋滞で機能しないので、地下鉄の長町駅⇔長町IC⇔空港というルートもあり。普段だとアクセス線があるため、バスは成り立たないですが、非常時としてはあり。

仙台東ICにほど近い荒井駅からだと、20分程度で空港には余裕で到着可能です。

また、非常時には、臨機応変に代行バスを出せるような体制を整えておくとか。現在の3セクの空港鉄道会社では対応が難しくとも、東急電鉄が参入すれば、そういったことは可能になるのではないかと期待しています。

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コメント

仙台空港民営化の事業者ですが、おっしゃる通り一番バランスが良く、かつ東北地方全体に大きな影響を与えられる候補に選定されて良かったなあと思っています。
他の候補だと仙台空港のみが民営化の恩恵を受けるに留まってしまい、交通アクセス面での改善が見込めず東北全体への相乗効果が乏しい気がしていました。

東急電鉄自体はJALの大株主でもあるので航空関係の理解もありますし、何より鉄道・バスを運営しているのは大きいです。
鉄道については、不動産事業の為に鉄道アクセスを利用するという考え方で動いているので、もしかしたら仙台空港線沿線の不動産開発をする気も有るのかもしれません。
法律上の問題がありますが、仙台から30分程度の立地ですから。

バスについては、東急沿線から成田・羽田空港への高速バスを運行しているので心強いです。
高速バスについてはお書きの通り、石巻方面発着にまず期待をします。
途中まで仙台東部道路を通るので、仙台駅に寄らなくて良い分他路線よりは時間のロスが少なくて済みます。

東急電鉄の取締役には昔からの慣例で東武鉄道社長が在任しているので、JRとの折衝もそれなりに期待出来ますし、ある意味黒船の様な立場で登場した東急グループが、変化の乏しかった東北地方の交通事情をどう変えていくのかが楽しみです。

投稿: デリン | 2015年9月21日 (月) 23時20分

>>デリンさん
いつもどーもです。
この空港民営化については、劇薬で全てバラ色にはならないとは思いますが、
JRまた新幹線が寡占状態の、この宮城、東北の公共交通網に風穴を開ける、良い意味での新しい取り組みに期待しています。

本当に、”街壊し”の企業ではなく。公共交通機関や都市開発に理解のある会社が選ばれて良かったです。
ただ、沿線の開発への参画に期待したいところですが、住宅地としては、開発の余地はもはやないですし、美田園駅前の未利用地の活用位でしょうか。また、鉄道事業への参画余地がどの程度あるのか次第かなぁと。

投稿: S-Watcher! | 2015年9月23日 (水) 00時57分

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