仙石東北ライン開業(2)東北線仙台以北へのしわ寄せ
仙石東北ライン開業ブーム(?)の陰に隠れ、ひっそりと影響を被ったのが、仙石東北ラインが経由する東北本線の仙台以北(仙台~松島)です。
東北本線の仙台以北は、往年担っていた古川や登米・栗原、気仙沼線方面からの需要が軒並み高速バスや新幹線に移行し、流れが細くなっている沿線。
一時期は鹿島台や小牛田まで仙台通勤圏としての宅地需要も大きかったのですが、近年の団塊の世代の退職などで、通勤通学者の減が起こっており、極端な減便はないにせよ、短編成化が進んでいたところ。
また、沿線の多賀城市と塩釜市の主要駅が仙石線沿線に広がっており、東北本線沿いは存在感が薄い状況でした。
とはいえ、朝晩のラッシュ時も昼間も毎時3本(概ね20分毎)の運行本数を保っており、30分程度間隔が空くことがある他路線(仙石線、本線仙台以南、仙山線)と比べてもそれほど不便を感じることがなかったところです。
ただ、比較的混雑している小牛田行に対し、途中駅の松島駅行が空気輸送の面があり、今回の仙石東北ラインはこの松島行を石巻行に振り替えての合理化の面がありありでした。
朝晩のラッシュ時は、もともと小牛田行(一部石越、一関行)しかなかったので、仙石東北ラインを運行させるには、増発するしかないですが、昼間は毎時1~2本あった松島行を石巻行に振り替えると、それほど影響がないはずでした。
しかし、JRはその昼間の松島発着を単純に仙石東北ラインに振り替えるだけにとどまらず、それ以上の本数を減らしてきました。
結果的に、仙台駅発で
毎時3本(00分、20分、45分)というような概ね20分間隔だったのが、
毎時2本(14分、40分)というような時間帯も多く生じ、何とも言い難いランダムダイヤになってしまいました。最悪40分間隔と、仙石線の待ち時間が改善されたのに対し、とばっちりを一手に受けたような感があります。
時 | 仙台 [JR]東北本線 利府・小牛田方面(下り) | ||||
9 | 牛 | 利 | 利 | [特快]巻 | 牛 |
0 | 5 | 17 | 24 | 46 | |
10 | 利 | [快]巻 | 牛 | ||
5 | 14 | 40 | |||
11 | 牛 | 牛 | |||
13 | 50 | ||||
12 | [快]巻 | 牛 | |||
17 | 45 | ||||
13 | [快]巻 | 牛 | 牛 | ||
16 | 30 | 55 | |||
14 | [快]巻 | 牛 | |||
16 | 34 | ||||
15 | [快]巻 | 牛 | 牛 | ||
14 | 25 | 43 |
これまで直通で行けなかった、石巻方面に行けるようになったというメリットはありながらも、このように昼間は大分不便になりました。
松島駅は極端に存在感が薄くなりました。ただし、徒歩10分の高城町から仙石東北ラインも仙石線経由も乗車は可能というメリットはあります。なお、行と帰りで駅を使い分けしなければならない場合、車や自転車で駅まで行っている人は大変ですね。
東仙台や岩切は利府直通を使える時間帯はありながらも、仙台から5~10分の時間距離なのに、30分待ちが当たり前に。
塩釜は、仙台駅までノンストップ最短12分の仙石東北ラインが朝晩は毎時1本ずつ増発されたので、この沿線では唯一大勝利ですが、昼間は他の駅と同様に減便の影響を受けています。
結局、JRは良いことしか言いませんが、ちゃっかりこのような減便という合理化を図ってくるのはフェアではないよなぁ。東仙台駅近辺であれば、東仙台営業所発着の市バスや仙石線の苦竹駅も利用できますが、岩切は東北本線一択(市バスは毎時1本程度)。山王や国府多賀城近辺は仙石線も使えないことはないけど、徒歩20分以上。
通勤通学の方には平日は影響ありませんが、休日に仙台駅前に出かけるときなどにはかなり不便になります。JRに振り回され、沿線の方が本当に気の毒です。
気になる落とし穴
また、仙石東北ラインの開業により、落とし穴があることに気づきました。
例えば、石巻方面から塩釜駅近辺に直通で通勤可能になりましたが、毎時1本しかなく、夜も20時台が最終です。
21時台以降は塩釜駅から石巻駅方面まで帰れる列車はありません。そうすると仙石線の駅(塩釜→西塩釜、下馬)まで歩き、石巻行各停に乗るしかないですが、このパターンだと石巻⇔(本線)塩釜 の【仙石東北ライン経由】定期券が使用できないのではと。
そうすると、松島駅まで本線で行って、高城町駅まで歩いて、仙石線各停に乗って帰るということを強いられることになります(待ち時間はたんまりありそう)。
それが嫌であれば、最初から石巻⇔下馬 の仙石線経由定期を購入し、そのルートで往復通勤するしかない。
さらに岩切など仙石線が使えないところは、その代替手段さえもありません。
トリッキーな手段を使って、本線と仙石線を接続線経由で結んだのは良いものの、
○時間帯を区切った運行
○接続線のみで、乗り換え不可
であれば、こういった不便が生じてしまう。
仙台⇔高城町以遠 であれば定期での本線と仙石線の選択乗車の制度はありますが、定期のルート以外では途中下車はできない
仙石線5月30日に全線再開!(3)(H27/1/31)
そうすると、将来的に今回設置した連絡線付近で松島駅と高城町駅とを統合するなど、乗り換え可能にすれば、そういった問題は小さくなるのですが、JRがこれ以上の投資を行うかは疑問。直通快速の運行で良しとしている感じです。一方、接続線付近での減速一時停車を解消するための投資は、2~3年のうちに行うようで(知事記者会見)、これは数分の時間短縮効果になるので良い話ではあります。
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コメント
ツイッターを見る限り、東北本線の利府以北は、朝ラッシュ時に減便かつ一部列車で減車したそうです。
ダイヤ改正前より激しい混雑で乗車率も急激に上がるでしょうから、苦情は殺到している気がします。
仙石線が近くを走っていない駅では、不便になった東北本線を使う手段しかないという状況ですから。
仙石東北ラインについても、運行間隔が不均一・運行時間帯が短い・高城町での仙石線との接続が良くないので使いにくい面がありますね。
燃料の補給が必要な気動車であることと、両線で貨物が走っている為に調整しにくいことは分かりますが、もうちょっと何とかならなかったのかなと思います。
昼間j時間帯は2両の列車もあり、土休日は積み残ししている様ですし。
女川直通の件で車両増備がされ、仙石東北ラインが6~23時台まで毎時1本・4両で運転されるようになればいいなと思います。
同時に、所要時間の短縮・高城町での接続が改善されることで、石巻都市圏の活性化に繋がれば…。
投稿: デリン | 2015年6月14日 (日) 00時21分
先日岩切駅の時刻表を見ましたが、田尻以北石越以南の最終の石越行きが、8両→6両になってました。
投稿: 猫間商事名取支社 | 2015年6月22日 (月) 16時22分
>デリンさん、猫間商事名取支社さん
コメント遅くなりました。まとめてコメントさせて頂きます。
また、いろいろと情報ありがとうございます。
本当に何とかならなかったのかとは思いますが、
石巻行の車両が新造され、本線側の車両に余裕が出てくる中での、
朝夕の減車、昼間の意図的な減便など、何とかする気はないんでしょうね。
まぁ、復旧費用などの支出も大きく、コスト削減を強いられるという面も、
あるんでしょうが。
仙石東北ラインについては、突っ込みどころ満載だし、
先日の本線での人身事故が広域に影響してしまうところとか、
負の影響も大きくなっていますね。
尚、個人的には女川延長は?です。
それ以前に、石巻駅での仙石線⇔石巻線の接続を
人道的にするのが先かなと。輸送需要などは桁違いなので。
石巻⇔仙台間の2両をなくすとか、快速の運行時間帯の拡大は
全く同意です。以前は快速が遅い時間まであったので、
それに戻さないと、JRは口だけの”震災復興”です。
投稿: S-Watcher! | 2015年6月27日 (土) 01時30分