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2015年2月16日 (月)

コンパクトシティへの取り組みについて(2) ~仙台市では~

仙台市の取り組み

 仙台も、コンパクトシティとして、中心部と、2本の地下鉄沿いの泉中央・長町の両拠点を中心として、JR沿いも含めた鉄軌道沿いになるべく人口を集め、また鉄道沿い以外の住宅地からは最寄りの鉄道駅までをつなぐバスでの接続により、都心まで公共交通で30分以内で行けるような取り組み「アクセス30分構想」が進められています。

 

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 よって、既存住宅地の都心までの公共交通アクセス改善を図るとともに、新規の開発については、その圏内、特に鉄道駅2km圏(概ね徒歩20分以内)に誘導するということ。

 バブル期までに、青葉区北部と泉区の北環状線内の造成しやすい丘陵地はほとんど面的に住宅地化されました。40年前の航空写真を見たときにはほとんどが緑に覆われており、信じられない気分でしたが、今も緑が残っているのは、台原森林公園と水の森公園、葛岡近辺位です。

 その住宅地化により、当時は泉方面に1本しかなかった幹線道路県道仙台泉線にバス・自家用車が集中し、完全にパンク状態でした。当時は上下で3車線しかなかったとか(現在は計5車線)。

 その交通問題を解決するために、地下鉄南北線を泉市との合併とのバーターとして当時の八乙女(最終的に副都心整備された泉中央)まで開通させましたが、いかんせん1本の鉄道を敷くのみでは、カバーされる範囲は狭くかったものの、バス乗継で都心部までの所要時間は軒並み短縮されました。

 とはいえ、仙台市としてもこれ以上郊外への造成が行われると、特に市街地が不連続の北西部の団地群をはじめ、市にとっても新たな学校整備もあり、負担が大きくなってきます。人口の伸びが小さくなり近い将来減少に向かうことが確実であった2000年ころに、将来の行政コストの伸びを抑えるため、その計画は始まりました。

 新規の開発が荒井しか見込めない東西線を整備したのは、東北大や卸町などの学術産業の振興がありながらも、都心近くながらも沈滞化していた若林区・太白区八木山の既成市街地の再整備と活性化、再整備を図ることも目的としてありました。都心部から近くであれば、将来にわたり優位性は残りますが、郊外の団地はそういう訳にはいかない。

 あの良好な基盤整備が行われ、都心から30分圏内の鶴ケ谷でも、なかなか代替わりが進まず、高齢化が進む一方。泉や青葉区北西部のNTでは今は良くても、将来を考えたら鶴ケ谷の二の舞、三の舞に。 

 実際学校の統廃合の対象になっている松陵や向陽台もその気配が出ているし、これ以上の負のストック候補群を生み出すのは避けたいし、そもそもそういった郊外住宅地の需要が急減しているのだから、遅きに失した感はあれども当然の判断であったでしょう。

 その観点からすると、前の記事で述べた泉パークタウンの第6期(最終期)開発については、完全にその開発を認めるエリアから外れているともいえます。でもいろいろあって止められない。

駅を拠点とした街づくりの進展

 JR駅も含めて、ほぼ各駅に駅前広場が整備され、例えば南仙台駅の東口駅前広場整備により、これまで地下鉄長町駅乗り継ぎだった、四郎丸方面などは、JR南仙台駅でJRへの乗り継ぎが可能となり、運賃の低減化とともに、大分時間短縮が図れました。

 陸前高砂や中野栄でも既存バスが駅前広場に乗り入れるなど、これまで消極的だったJRとバスとの結節が進んでいます。

 近年新駅ができた、小鶴新田、東北福祉大前でもバスとの結節が行われ、有機的な連携が進みつつあります。

 JRは地下鉄と比べて運賃が安い(市内だと仙台駅から概ね190円~230円区間が多い)ので、乗り継いでも通しの運賃が安くなるところも多いです。

 その集大成の取り組みが、東西線の開業、及び開業に伴うバス路線改編ですが、乗り換えが増える分の駅結節バスの頻度が従来より低下し、地下鉄の運賃の高さから乗り継ぎの運賃も上がる一方、住民にとって朝夕を除いて時間短縮効果も限られ、バス再編では様々な反対意見が出たことは記憶に新しい。

 公共交通面では、着実に動きがありますが、交通面の整備は「手段」で「目的」ではない。

 一方、その「目的」である、メリハリのつけた街づくりを進めるうえで、人口集積を図るべき中心部拠点鉄道沿線への商業、サービス機能の集積については、まだまだ途上のところです。

仙台中心部は

 中心部は、仙台駅前・東口でこそ、JR・ヨドバシの再開発が進んでいますが、仙台に足りない都心部での複合型SC的な施設の整備はありません。

 東口再開発は、中途半端な規模に終わったため、期待していた集客の目玉となり、既存店に対しても刺激となる百貨店等の複合施設がなくなり、単なる専門店街(エスパル3?)になってしまう見込み。それも当然期待はしていますが、ヨドバシを含めて規模は大きいながらも、店舗概要等が発表されていないので、何とも言い難いところがあり。

 街中の交通の便の良いところで、暑さ寒さを気にせずに1か所で用が済むような施設(百貨店他専門店の集合体で)は他の大都市にはあります。


  • 福岡:博多駅ビル(阪急・東急ハンズ・専門店街)、キャナルシティ
  • 札幌:札幌駅ビル(大丸・ステラ・札幌駅地下街)
  • 新潟:万代シティ(伊勢丹・ラブラ万代・ビルボードプレイス他)

 新潟は逆に万代しかない1点集中型ですが、新潟交通の跡地再開発で新潟駅近くに広大な土地があったこと、既存のアーケード街古町の弱さ故といっても、あの集積は古びていながらも現在も新陳代謝が行われており、すごいの一言。

 仙台では町全体の集積では当然上回っており、街全体の回遊性という強味はありながらも、仙台と新潟は都心部の商業に関しては、両極端というか。

仙台の郊外拠点の状況

 拠点については、成熟した泉中央、発展途上の長町と、双方それなりの商業面での集積があります。

 特に泉中央はユアスタの存在や、区役所や図書館、商業施設(アリオ、セルバ)が1か所に集まっていることなど、それに地下鉄の終着駅のポジションの強みから、逆に土地不足が言われているような集積具合。

 

 長町エリアは駅が多くあるため、各機能が分散しているのが弱みでもあり、懐の広さという強味でもある。モールや区役所のある長町南が中心で、今後はあすと長町次第ですが、市立病院、IKEAで注目されている流れが続いており、副都心として整備が始まったのにスーパーやドラッグストアばかりという負の面もありながら、20年スパンで建て替えによる有効活用が進んでいくでしょうから、長い目で見ていくしかない。

それ以外の鉄道沿線は

一方、それ以外の鉄道沿線の駅周辺開発が、低調なのが気になります。

 各駅前とも周辺にスーパーやドラッグストアやコンビニがあれば、帰りに用が足せるという面で大分違います。また、周辺のマンションや戸建て住宅の分譲・賃貸物件の選択の際にもやはりセールスポイントになる。商業施設も駐車場の確保が重要なため、駅近くへの新規進出が進んでいるとはいえません。

 乗降客5~8000人程度というのが境目、また幹線道路の近接条件によって、より利用客が少ない駅でもスーパー等が近くにある場合もあります。

1)JR沿線

 スーパー等の商業施設が駅徒歩5分圏にない駅は、JRだと、中野栄(南口)、福田町、宮城野原、東照宮、北山、東北福祉大前、国見、葛岡、東仙台、南仙台(東口)。

 やはり利用客が少なく、かつ新設駅が多い仙山線は厳しい。駅前もまともな道路がなかったりするところも多いし。

 沿線への人口・商業集積という面で、成功といえるのは、小鶴新田のような新規開発の区画整理地。10年前に新駅が開設されてから、マンションが林立しました。当時は駅から5分圏内で4LDKなのに2500万円からという、現在だったら3LDKも買えないような価格帯で非常にオトクだったこと、ヨークタウンや生協を含め普段使いには十分な商業施設もでき、人気の街となっています。

 

 

2)地下鉄南北線沿線

 地下鉄南北線は、ほとんどの駅近くにスーパー等の商業施設があり、ないのは台原(ちょと離れて南側に生協はあり)と、利用客の違いなのか、恵まれています。

 現在ホットなのは富沢駅。駅の東西で区画整理が進行中で、特に大野田区画整理では、注目されている店の進出が続き(スタバのドライブスルー1号店、コメダ珈琲)マンション等の建築も進んでいます。西側も広南病院の移転先の駅西区画整理が始まったところ。スーパーも駅西側に生協があります。最近は居酒屋が増えてきています。

 

 河原町は、先日記事にしたイガストゲート河原町のような小規模再開発が行われるなど、スーパー(ワコー)を含め最低限の日常の用は足せる状況ながらも、それにとどまり、元気があるというまでは言えない状況。

 

 

 同様、旭ヶ丘も鶴ケ谷南光台方面へのバス結節駅ながらも、旭ヶ丘の商店街は風前のともしびで、8年くらい前に市の主導でできた駅前のモリヤの存在は大きいけど、周辺団地の高齢化で駅利用者数は右肩下がり。地形が厳しく造成が古いことから、建て替えや住人の入れ替えは低調のよう。

 

 やはり、仙台で住む場所を選ぶのであれば、南北線沿いが間違いないところであれど、家賃の高さと結局生活に車が必要であることから、なかなか選択が難しいところがあります。

 

3)東西線沿線

 東西線は。。。ちょっと厳しいですね。西公園以西の5駅はには皆無。西の終点の動物公園駅でさえ、近くにスーパーがないというのが、厳しい。

 東側も、卸町駅周辺はスーパーが充実していますが、他は六丁の目駅南側にモリヤのスーパービッグがある位。これからに期待になりそうです。

 

 荒井は、完全に郊外型の街づくりになっており、荒井駅前の整備については、現在ダイワハウス系がテナントリーシング中ながらも、まだ見えてこない。藤崎小型店が入る西濃運輸跡地(フレスポ)は、ヨークやマツキヨ、ユニクロが進出するようですが、駅からは離れた場所。惜しい!

 スーパーは最低限の指標で、コンビニはほとんどの駅前でありますが、仙台の郊外各駅前では、それ以外のカフェや飲食店などの立地が薄いというのも感じます。それも駅利用者数が少ないというのが理由かと。

 市当局としても、再開発なども含め、いろいろと都心部を含めた沿線の賑わいを形成しようと努力をしているのを感じますが、特に店舗立地は企業判断に負うところが大きいので、実質的に市が引っ張ってきたのは旭ヶ丘のモリヤ位で難しいところはあり。間接的に駅周辺の人口を増やすということについては、復興公営住宅の整備をできるだけ鉄道沿線にという形で、将来的に市営住宅化しても十分に活用できるように配慮しているので、こういった市の姿勢が事業者を引き寄せることになればと。

 結局コンパクトシティでの取り組みは、こういった行政の姿勢を地道に啓蒙し、居住者を増やす、店を増やすという地道な取り組みで、10~20年スパンの話になってしまうので、実際その効果が現れずらいところはあります。

 引き続き、仙台での、このコンパクトシティ政策について、考察して行こうかと思います。

 実際住民にとっては良かったのか?特に既存の郊外住民にとって。また、周辺自治体との関係など、難しいところがあります。

 そのあとは、昨年訪れた富山市についても興味があります。地方中枢都市と位置づけられる100万都市仙台では地下鉄中心で何とかそういった街づくりを進めているところですが、一県庁所在地である40万都市の富山にて、LRT化が進められている路面電車や私鉄を中心として活性化を図っている興味深い取り組みについて、記事にする予定です。

 最近ネット上で富山の取り組みについていろいろ取り上げられており、それについても含めて、いろいろ考えさせられました。実際に訪れての感想を交えて記事にできればと思っています(ちょっと空くかと思いますが)。

 

 

 

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コメント

はじめまして。
広島からです。
コンパクトシティの取り組みは国の方針もあって注目されていますね。
行政コストの削減が主眼のようですが。
広島でもLRTの取り組みが加速しつつあります。
110万人都市の広島市は仙台市と同じ地下鉄整備の声も多かったの
ですが、路面電車の見直し→LRT化という流れになりました。
広島駅南口に路面電車が高架で乗り入れることとなりました。
また、一部で走る新交通システムの延伸計画は大幅に縮小されていま
す。
広島市と仙台市、ほぼ同じ規模の街でもあり、注目していきたいです。
地方のプロ野球・球団も、どちらも盛んですね。

投稿: しゅん | 2015年2月18日 (水) 01時13分

>>しゅんさん
広島から、コメントありがとうございます。

自分も広島に10年前に行ったことがありますが、完全に挌上の都市だと感じました。
この10年間で差は縮まっているのでしょうか。
交通面では、仙台が紆余曲折ありながらも2本目の地下鉄の開業にこぎつけますが、
広島では、路面電車の活用によるLRT化と広島駅への高架乗り入れ、アストラムと山陽線の乗換駅新設など、できるところから地道に改良している感がありますね。
それにマツダスタジアム効果が大きい広島駅周辺の再開発も、これまで開発が遅れていたエリアだけに、一気に遅れを取り戻すかのように、開発が進むのは羨ましい限り。

広島は、地形的な制約から、基本的に平野部、軌道・鉄道沿線を中心に開発が進んでいたので、コンパクトシティとしての要素はすでにありますね。そこが山の開発だらけだった仙台との違いを感じます。

仙台、広島ともに、J1に居続けて切磋琢磨していきたいですね。また野球では日本シリーズで戦うのが夢です。楽天は今年は無理でしょうが、広島は黒田効果で盛り上がってますね。
引き続きよろしくお願いします。

投稿: S-Watcher! | 2015年2月18日 (水) 22時57分

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