地下鉄200円均一区間の導入(2)
この前の続きです。
地下鉄東西線開業と同時に導入するという、地下鉄200円均一区間ですが、
1)分かりやすさの重視
2)「都心部の優遇」を積極的にアピール
3)遠回りになる区間が多いことへの対応
4)バスから地下鉄への転換を進めるため(特に薬師堂駅バス乗継対応)
まず、1)については、
仙台駅から3駅近郊間の移動は、全て200円というのは、気分的に分かりやすい。仙台駅から3駅までと分かりやすさを重視したためか、なぜか仙台駅から200円区間に含まれる4駅目の川内駅がこの均一区間に入らないのは、東北大関係者を含む川内駅利用(予定)者は不満でしょう。「仙台駅から200円区間」で均一運賃区間とした方が良かったのではと思います。
2)都心部の優遇
この範囲に住めば、基本的に都心内主要部への移動は、200円で済むということで、この範囲内に人口を集積させるためのインセンティブを図ることも目的かと。
また、バス運賃と比較すると、この範囲内のバスは100円パッ区区間はとびぬけて安いですが、170円とか180円で移動出来る区間も多い。一方地下鉄は初乗りが200円で、ちょっと遠くなると240円(4月からは250円)区間になり、都心部については、割高感が強いように感じます。
自分も、都心部内の移動は、よほど急いでいる時でなければ、100円バスを中心にバスもしくは、歩いたほうが早いことも多いし、現在の南北線のみだと地下鉄を利用するメリットがあまりないのですが、東西線の開業によりある程度、都心部を面的にカバーすることになり、結構都心部内(特に200円均一区間)の駅から徒歩10分圏で大部分の主要・著名施設をカバーします。
例えば、南北線だと
北四番丁駅:東北大学病院、東北大農学部(将来的跡地再開発)
勾当台公園駅:国分町、三越他一番町、メディアテーク、県庁、市役所、青葉区役所等
広瀬通駅:一番町、公済病院
五橋駅:福祉プラザ、東北大(片平)、学院大(土樋)、トラストシティ、SS30
愛宕橋:学院大(土樋)
河原町:県第二総合運動場、市急患センター
東西線だと、
薬師堂駅:コボスタ、聖和学園、若林区役所、ウルスラ学院
連坊駅:仙台一高、メルパルク
宮城野通駅:ヨドバシ・アンパンマンミュージアム他仙台駅東口商業施設
青葉通一番町駅:藤崎他一番町、東北大(片平)
大町西公園駅:西公園、公済病院
国際センター駅:国際センター、市博物館、東北大(川内南)、仙台二高、県美術館
などは、駅から徒歩10分圏で、この区間で概ねの用が足ります。さらに中心駅の何でもある仙台駅まで200円というのはこれまでと同じだし、それを考えると、これからの住居選択にあたり、じわじわとメリットが感じられることになるのではと。
逆に、均一区間から外れた駅では割高感を感じるところもありそうです。
例えば、薬師堂駅からだと、河原町まで200円なのに、次の長町一丁目までがいきなり300円になる計算だし、それは北四番丁まで200円で、北仙台まで300円という北側も同じ。ここは極端な例にしても、均一区間が安くなると、その外側への移動の際に急激に運賃が上がるように感じるかな。
なお、バスは100円パッ区区間を中心に安いですが、それも直通がある区間のみ。乗継を前提としていないので、直通できない区間は割高になるし時間もかかるので、「歩いたほうが」と思ってしまいます。西公園⇔三越付近とか、結構仙台駅で分断というのも多いので、仙台駅一極集中のこの仙台のバス体系がなんとかならんのかとも思います。
一方、今回発表の地下鉄200円均一区間は、当然南北線⇔東西線の乗り換えも対象になるので、それで200円というのは、時短メリットと分かりやすさを両立させることになるので、かなりお得感が出てくるのではと思います。
3)遠回りになる区間が多いことへの対応
については、都心部の地下鉄路線図(予定)を再掲しますが、
東西線の西側⇔南北線の南側
東西線の東側⇔南北線の北側
との相互の乗り換えの場合は、遠回りにはならないですが、
東西線の西側⇔南北線の北側
東西線の東側⇔南北線の南側
の乗継は、直線で移動するよりもかなり遠回りになります。
極端な例ですが、連坊駅から五橋駅という距離はバスであれば1km位しかない距離を仙台駅経由で遠回りして3kmほどの乗車距離になりますし、国際センターや大町西公園駅から勾当台公園駅とかも同様。遠回りに感じる区間が多く、結果的に運賃が200円区間で収まらないとなると、相対的な割高感を感じることを避けるためにということもあるのかなと感じました。
4)バスから地下鉄への転換を進めるため(特に薬師堂駅バス乗継対応)
現在のバスだと、若林区役所など区の主要部へは、仙台駅から180円区間で収まります。
市役所前からでも190円。それも時間はかかるにせよ直通で行けます。それが、地下鉄になると、仙台駅で乗り換えが必須となる上に、これまでの運賃計算だと勾当台公園から薬師堂駅までは確実に2区の250円に。プラス、バス乗継区間だと400円位になり、利用者への負担が大き過ぎ、地下鉄への転移が進まないことが予想されました。
なので、その負担増を小さくし、地下鉄の利便性を踏まえた多少の運賃UPが認めてもらえる範囲内に収めたともいえます。
薬師堂駅までは200円。プラス駅から1.5km圏内は100円バスの導入とのことなので、仮に乗継割引(現在の40円引き)が適用になると260円と、まぁ許せる範囲になります。
100円区間の新設については、地下鉄200円均一区間からは外れますが、八木山動物公園駅から1.5km区間の100円バスの導入についても、バスからの利用者転移を図るための大胆な(というか、背水の陣の)取組といえるでしょう。
八木山については、仙台駅から現在は動物公園前まで250円(消費税増税後260円)が、地下鉄だと300円になります。青葉山を遠回りするとはいえ、ただでさえ高くなるのに、バス乗継区間は確実に400円台になってしまうことを避けるためかと。
このエリアでの主要施設である、仙台日赤病院へは、仙台駅からバスだと4月以降350円になりますが、東西線+バス(乗継割)だと360円になり、あまり変わりません。
持論というか、不思議なのは地下鉄からバスへの乗継割引が一部の乗継駅にしか適用にならず、さらに一番の乗継拠点である仙台駅での地下鉄⇔バスの乗継に適用されないこと。また、バス⇔バスの乗継割引がないこと(仙台駅経由の定期では適用される場合がありますが)。また、地下鉄からの乗継割引がたった40円では、よっぽど1割増しのジョイカードで普通に乗った方が安いという矛盾。全くお得感がないので、自分はこの乗継割引を使ったことがありません。
だから、今回の地下鉄東西線の開業に併せて、乗継割引の拡充(札幌のように100円引き)、仙台駅を含め、全駅を乗継対象駅にすること、バス⇔バスの乗継割引の導入など、名称で波紋を広げているICカード「イクスカ」の導入時に適用するのが、システム改修を考えても得策かと。
コボスタからのアクセス
先日、コボスタ増設にからむ、東西線薬師堂駅への利用者誘導について記事にしましたが、今回の200円均一料金制度の導入で、だいぶ状況が変わりました。
薬師堂⇔仙台駅 だと200円であっても、仙石線や100円バスと比べて競争力はないですが、例えば、同じ東西線沿線の「大町西公園」「青葉通一番町」駅周辺のマンション住人等にとっては、200円で一気に家の近くまで移動できるのであれば、利用価値はかなりUPします。
また、試合後国分町へ移動する場合も、勾当台公園駅まで200円で移動できるとなれば、こっちの方が混雑しないしお得です。また、河原町方面へも直線距離は近くても遠回りですが、200円であれば利用者が見込めるなど、仙台市としても利用者増が見込める要素をかなりシビアに検討した結果ではないかと思ってしまいます。
もちろん、薬師堂駅まで行きやすいのは、外野レフトや3塁側内野Bと今夏の増設内野スタンド等で、ネット裏や一塁側などからはかなり遠回りになるので、オールマイティな手段ではないですが、混雑緩和と分散にある程度は効果があるのではと思った次第。
何事も選択肢が豊富なのはうれしいところ。特にこのような集客力のある施設でのイベント時には威力を発揮します。これで刺激を受けて、JRも仙石線観客輸送に力を入れるなんてことがあればより利用者にとって良いことなのですが。。。
イクスカ
ポイント制の導入というのもさりげなく発表されていました。
おそらく、期間内に5000円乗るごとに500円ポイント進呈とか、ETCマイレージと同じ方式でしょう(無期限にはならない)。なので、それほど多頻度で乗らないと、ポイントの恩恵を受けることができないかも。
また、現在はバスカードだと5000円で5850円、地下鉄のJOYカードだと5000円で5500円利用可と、割引率が異なりますが、イクスカになるとカードは一枚だし、どのようなポイント付になるのかも興味深いです。
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コメント
様々な面から分析がなされていて、勉強になりました。
ありがとうございます。
仰られている通り、駅別の南北線の実測と東西線の予測を見てみると、南北線は泉中央や長町という副都心形成に寄与しましたが、東西線は沿線の副都心形成を企図していないことが分かります。
200円均一料金が、仙台の都心および周辺エリアのビジネス基盤として機能してくれることを期待します。
【地下鉄南北線】
1日あたり乗車人員(人/日)… 2010年度 実測
http://www.kotsu.city.sendai.jp/subway/pdf/jininichiran.pdf
22,199 : 泉中央
*7,297 : 八乙女
*3,574 : 黒松
*6,373 : 旭ヶ丘
*5,622 : 台原
*6,480 : 北仙台
-------------------------
*6,675 : 北四番丁
13,000 : 勾当台公園
*9,319 : 広瀬通
33,652 : 仙台
*5,654 : 五橋
*1,757 : 愛宕橋
*4,255 : 河原町
-------------------------
*2,807 : 長町一丁目
*5,639 : 長町
10,860 : 長町南
*5,247 : 富沢
15万0410 人/日 : 1日あたり乗車人員総数
【地下鉄東西線】
1日あたり乗車人員(人/日) … 2012年再評価時 予測
https://www.kotsu.city.sendai.jp/touzaisen/saihyouka/images/kanshi_2.pdf
*8,019 : 八木山動物公園
*7,188 : 青葉山
*1,265 : 川内
-------------------------
*1,389 : 国際センター
*2,385 : 大町西公園
*5,764 : 青葉通一番町
27,645 : 仙台
*3,948 : 宮城野通
*2,503 : 連坊
*5,017 : 薬師堂
-------------------------
*5,813 : 卸町
*4,272 : 六丁の目
*4,456 : 荒井
7万9664 人/日 : 1日あたり乗車人員総数
投稿: Tom | 2014年1月25日 (土) 15時58分
>>Tom様
いつもありがとうございます。
沿線住人が少ない反面、卸町や東北大という目的施設を持つ東西線。仰る通り路線の性質が南北線と異なります。
また、200円均一区間が導入されることについては、仙台市の進めるコンパクトシティの考え方から、これまでもっとも割を食っていた若林区など都心近郊住宅地の再整備が重要とのことと認識しています。
投稿: S-Watcher! | 2014年1月25日 (土) 20時56分