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2013年12月 8日 (日)

プロ野球とJリーグが両立できる都市を目指して(1)

 昨日は、ベガルタの最終戦を受けて、楽天と比較したベガルタの置かれている立場にコメントしましたが、この両チーム。これまで仙台では、ベガルタは熱狂的なサポーターに支えられ、J2時代でも楽天と双璧の人気を誇ってきました。

仙台の宝ベガルタとユアスタ

 2010年からは、J1というトップリーグに復帰し、2011年の震災による影響を乗り越え、チーム一丸となり2年連続の好成績を残し、今年は初のACL出場を果たすなど、仙台を代表するプロスポーツチームとして、何より中規模スタジアムとしては日本一と絶賛されてきた宝物のようなユアスタを本拠地としていることも大きいところ。

 もうユアスタ(当時仙スタ)オープンから早17シーズン。


「球技専用の見やすさ」、

「ほぼ屋根付きで、雨の心配なし」、

「地下鉄でのアクセス最高」

「駐車場も多数」

「副都心にあり商業施設や飲み屋も充実」


 と、他の陸上競技場を本拠地とするチームから見ると、垂涎の的のようなスタジアムに我々は慣れきってしまっているところがあります。

 当初は、スタジアムの魅力にはまり、サポーターになる人も多く、当初のJ1昇格時には平日ナイターでさえ大入り満員、チケット入手困難状態で、その状態を誇りに思っていましたが、J2に転落し、「J1に上がりさえすれば。。。」と言いながらも6シーズンが経過し、その間に、タナボタでプロ野球楽天が誕生し、入れ替え戦の苦杯をなめようやく2010年にJ1に上がりながらも昇格の「達成感」もあり、観客動員はそれほど伸びませんでした。

 また、トップリーグのプロスポーツとしては、プロ野球の楽天もあるので、好成績を達成しながらも観客動員は劇的に増加するわけでもなく、震災もありスポーツどころでない雰囲気もありましたが、今年は平均14,000人台と、成績のせいもありながらも一気に減少し、フロントもサポも危機感を感じているところ。

日本一の楽天は
 一方、楽天については、論じるまでもないですが、実績をもつ有名監督2人の起用で、アピール度も全国区になった面もあり、今年の日本一で、一気に仙台そして東北での盛り上がり、サポート体制も充実した感があります。やはり、野球の持つ裾野の広さを再認識したところで、若者から高齢者までバランスよく支持を受けています。

 来年の観客動員の増加を見越し、仮設スタンドを再度設置し、来季は25,000人規模のスタジアムで勝負するようです。さらに知事は将来的な簡易ドーム化の可能性にもコメントしており、仙台の気候と都市規模を考えると、現実的な目標かなと。ドーム化は防災拠点との絡みもあるんでしょうね。ただし、特にバックネット裏は老朽化が進んでいるので、屋根をかけるだけといっても、抜本的な改修は必要だと思いますが。

 多少野球が優勢な状況ながらも、スタジアムの規模や魅力は拮抗し、比較的両者のバランスは取れており、切磋琢磨していけることを望んでいます。

プロ野球チームとJリーグチーム

 もちろん、両チームは、仙台市民に根付いており、他の89ersや女子バレー等が苦戦している中、仙台のプロスポーツチームの両輪として頑張っていますが、プロ野球チームとJリーグチームとの共存というのは、得てして難しいもの。

 野球チームが優勝してしまうと、一気に野球チーム側が優勢になってしまうのは、一番分かりやすいのは、コンサドーレと日ハムを擁する札幌。


日ハム>>>コンサドーレ(札幌)


 コンサは、10年前までは今の仙台を超えるような「北海道初のプロスポーツチーム」としての支持を集めており、J1とJ2を行き来するエレベーターチームながらも、2万人収容の厚別陸上競技場時代でも地方チームのモデル的な存在であり、2001年に開場した札幌ドームはサッカー野球兼用ながも、本来は当然W杯用としてサッカーメインで作られたこともあり、当初は4万人収容のスタジアムでかなりの観客を集めていました。

 2004年から、ドームの活用対策で、日ハムが移転してきました。

 巨人ファンが多い土地柄で、12球団中一番地味な日ハムが移ってきても成功するかはかなり懐疑的と言われながらも、新庄効果や2006年の優勝、その後のダルビッシュの活躍とコンスタントに好成績を収め、経営難もありほぼJ2に定着してしまったコンサからファン層を根こそぎ奪い、いつの間にかに札幌ドームは日ハムのホームという認識が定着するほど、コンサの存在感はなくなっています。

 裏話としては、日ハムは共存戦略など頭になく、コンサからスポンサーを根こそぎ奪いったとの話も有名です。コンサは札幌ドームの利用についても、日ハム優先でたまに使わせてもらっているような状況ですし(野球の日程決定が早いということもありながらも)、新しいもの好きでこだわりが薄い北海道民の気質もあるんでしょうが。本当に気の毒な状況です。


ソフトバンク>>>>>>>>アビスパ(福岡)


 もっと悲惨なのは福岡のアビスパ。もともと西鉄時代から野球が盛んな土地柄で、ダイエーが福岡に移転し、当時の福岡ドームのオープンもアビスパより早く、当初からJリーグが劣勢ながらも、比較的早くJ昇格を果たし、しぶとくJ1にしがみつき、博多の森球技場(現 レベル5スタジアム)という2万人以上収容の球技専用スタジアムをホームとし、一時期は平均観客数1万5千人を超えるそれなりの支持を集めていた時期もありました。

 その後、J2に降格してからは、悪名高いサポーター集団の存在もあり、ほとんどマスコミからも市民からも相手にされず、今年はチーム存続の危機ということでも、存続運動が盛り上がらない中、某明太子メーカーの支援表明で一息ついたような状況でしたが、そもそも福岡と言う都市や市民の気質を言い当てているような出来事でした。

 ソフトバンクという金満チームからすると、ただでさえアビスパは魅力を感じないというのは分かるが、そもそも福岡は背伸びし続けてきたプライドの高い都市。J1チームだったら存在価値があるけど、J2チームなんて要らないというスタンスを非常に感じてきました。今年は鳥栖と大分という周辺県のチームがJ1に在籍していたことで、なおさらその屈辱感もあり。J2では、北九州、熊本、長崎と同じカテゴリーというのも。

 そうでなければ、当初からチーム存続に向けての盛り上がりがあったはず。大相撲や劇団四季などと同じような「都市の格」を保つツールとしてしか、存在意義を認めてもらえなかった気の毒なチームと思っています。


カーブ≧サンフレッチェ(広島)


 一方、今シーズン連覇という偉業を達成したサンフレッチェを擁する広島は、全く違う理想的な状況です。今年は、カープも初のCS進出で盛り上がりました。

 仙台は、広島を手本に、両者の共存を図っていければと切に感じています。楽天進出当時にも同じことを思っていましたが、本当に良いお手本です。

過去記事:広島のアイデンティティ(2005/1/31)

長くなったので、続きはまた次回で

 

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コメント

仰る通り。

球団売上高(営業収入)で比べても、各都市の野球とサッカーの差が現れてます。


札幌 : 野球パ (103億円)  J2 (13.5億円)
仙台 : 野球パ (*82億円)  J1 (23.0億円)
広島 : 野球セ (*98億円)  J1 (31.8億円)
福岡 : 野球パ (247億円)  J2 (*8.5億円)

http://livedoor.blogimg.jp/yakiusoku/imgs/6/c/6cd043a1.jpg
http://footballgeist.com/j_keiei

投稿: Tom | 2013年12月12日 (木) 08時41分

>>Tom さん
こんにちは。コメントありがとうございます。

福岡の両者の差は圧倒的ですね。
野球については、他の3都市は大きな差がないのに対し、
流石ソフトバンクの資金力がずば抜けていることを再認識しました。
まぁサッカーについては、基本的にJ1に居続けることが大事なのでしょうが、
J2に落ちても応援してくれる土壌があるかどうかも。

投稿: S-Watcher! | 2013年12月17日 (火) 05時54分

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