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2013年4月14日 (日)

仙台空港民営化について 他

めでたく12日に東北初のLCCピーチが就航しました。この件に関して、宮城県の動きとして、以前より知事が肝いりで熱望していた空港民営化について、こんな記事が。

LCC仙台就航 空港民営化に弾み 知事「新たな需要生む」

 格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションが12日、仙台空港に乗り入れたことに、県関係者からは「空港民営化に弾みがつく」と歓迎の声が上がった。利用客が増えれば施設の資産価値が高まり、民間企業参入の道が広がる。県は2014年度中の民営化実現に向けた準備を加速させる方針だ。

 県は30年後の目標に利用者600万人を掲げる。村井嘉浩知事は談話で「ビジネスや観光はもちろん、新たな航空需要を生み出す。目標達成に大きな弾みがつく」とLCC効果に期待した。

 政府が民営化関連法案を5日に閣議決定するなど、実現に向けた環境は整いつつある。民営化の具体的方策を研究する民間団体「日本PFI・PPP協会」(東京)の植田和男理事長も「LCC就航は民営化の大きな推進力になる」とみる。

 民間経営で着陸料を値下げできれば、新たな路線を呼び込む好循環が生まれる。県幹部の一人は「利便性向上で利用客を伸ばすのはもちろん、東日本大震災で被災した周辺全体を活性化させたい」と話す。

 仙台空港は津波で被災し、11年の利用者は約172万人とピーク時の約半分に減った。今も震災前水準には戻っていない。県は関連法が成立する6月にも官民の「サポーター会議」を設け民営化を後押しする考えだ。

 LCCではエアアジアも仙台線開設に意欲を示す。県内の観光業者の一人は「仙台は東北の空の玄関口。波及効果は6県全体に広がるだろう」と展望した(4/13河北)。

 

 4月5日に、空港民営化の法案閣議決定がなされました。この法案は民主党政権時代での成立がなされませんでしたが、成立に向けて見通しがついた段階に入りました。

 空港民営化にて、空港経営の自由度を高め、路線や利用者拡大を図るということについては、異論はありません。ただ、これもよくわからないのは、民営化→着陸料値下げと簡単に行くのか?ということ。

 今回の民営化で想定されているのは、県の空港関係三セク(ビル、鉄道、エアカーゴ)の統合したうえで、、三セク事業の運営権と国の持つ空港運営権を同じ会社へ売却(数十年?)なのでしょうが、その運営権を獲得した会社としては、利益の最大化のために逆に着陸料を上げるという選択肢もありえる。特に札幌・大阪線などは、鉄道との競合がほとんどなく、航空側が独占している路線ですし。運営権売却の際にはいろいろと縛りをかけることは必要でしょう。

 

 また、今回ピーチがLCCとして初めて仙台空港に就航しましたが、ピーチの就航発表前にエアアジアのトップが知事訪問して、将来の就航を約束していました。LCCが就航するとしたら、それなりにパイが大きいことと、観光を中心とする潜在的な乗客獲得の可能性がある路線というのが条件となりますが、仙台からだと、基本的には大阪(関空)線と札幌線位しか見込めない。エアアジアの拠点である成田便というのも可能性はありながらも、関空線はLCC同士で競合する可能性高し。もちろん茨城空港の上海線のような、対海外へという可能性はあるにしても、どうなのでしょう。

 仮にLCCの誘致が進んでも、例えば今回のピーチは空港ビルのカウンターを設置せずに、ANAのカウンターを借りる形で、この点では空港ビルの収入増はない。もちろん、空港利用客が増えることで、売店やレストラン収入のUPという点での効果を期待するところですが。なお、20日から就航するスカイマークは、独立系ということもあり、さすがにカウンターを設置するようです。

 

 なお、この民営化により、現在の倍の年間600万人の利用客を目指すとのことですが、この600万人って、アクセス鉄道を整備する際のお手盛り満点の将来予測空港利用者数だったような。そうすると、アクセス鉄道の採算性改善という観点から持ってきた目標利用者数なんじゃないかな。もちろん、

 空港利用者数の増→鉄道利用者数の増→鉄道本数増

につながって欲しいところです。 ただ、民営化しても増発には乗り入れ先のJRとの調整が難しいというのは変わらないでしょうが。

 そのアクセス鉄道ですが、昨年11月の記事で取り上げた、空港到着最終便への接続の悪さ が改善されるという情報が。

 

 スカイマークが就航する前日の19日から、仙台空港20時54分発名取行の臨時列車運行とのこと。名取駅では21時11分発仙台行におそらく対面ホーム(2番線着→3番線発)乗り継げるので、仙台駅には21時25分着と、これまでより30分早く到着できることになります(所要時間31分)。自社線のみだから、JRとの調整があまりいらないし(名取駅の利用調整位)、4月から始まっているDC(ディスティネーションキャンペーン)との兼ね合いもあったのかな。散々各方面から苦情が入っていたのでしょうし、この決断はGJ!

 

 ただし、そのスカイマークは福岡線の到着時間が20時50分で、この臨時便の恩恵を受けることができるかは微妙ですが、その5分前到着のIBEXとANAの福岡線は辛うじて間に合いそう。

その他の便は、各方面とも鉄道接続の悪さと空港の門限21時を踏まえ、先日の改正で各社・各方面とも5~10分到着を遅らせていたのが仇となったようで、空港20時50分着では間に合うかは?。スカイマーク福岡線を含め、ANA伊丹と新千歳便の到着が20時50分で横並びなので、滑走路待ちなどで到着順は変わるだろうし、時の運かな。

 

 自分が昨年乗った時には、20時40分着で、45分到着ゲート通過だったから、その当時のダイヤであれば十分に恩恵があったのですが。

 現時点で、夏ダイヤまで出ているから、航空会社側のダイヤ変更はまだ先だろうし、うまく調整すればいいのにね。逆に臨時列車であれば、鉄道側の工夫で遅くすることはできないのか。

仙台空港ホームページ(到着時刻表)より引用(4月)。

JAL 2910 札幌 20:30着
IBX 87 福岡 20:45着
ANA 3187
SKY 886 福岡 20:50着
4/20~運航
ANA 739 大阪(伊丹) 20:50着
ANA 730 札幌 20:50着
JAL 2219 大阪(伊丹) 20:55着
ANA 369 名古屋 21:00着

贅沢をいえば、空港21時5分頃に発車であれば、より多くの利用者に恩恵がありますが、名取21時2分発空港行があるので、途中駅でのすれ違いの影響がないような時間での設定なのでしょうか。

 デメリットがあるとすれば、従来の21時32分発は20時40分頃に空港駅入線なので、少なくとも電車内でずっと待つことができましたが、今回の臨時はこの車両を使うしかないから、今回増発の20時54分発の臨時に乗れなかった方は、21時12分に到着する次の電車まで、空港内や駅で待つことになる点。おそらくこれが21時32分発になり、名取駅から戻ってくる臨時の折り返しが空港21時56分発になるのでしょう。

 民営化云々で便利になるのは嬉しいところですが、それが実現する前に、できることからやるという姿勢は嬉しい。空港自体でも中国便の再開などの話題や、新規国際路線の噂(ホノルル以外)も出ているし、震災での挫折を乗り越えて、もっと便利になって欲しいところ。

 

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コメント

震災により、仙台空港より海側は災害危険区域に指定されて住民がゼロになり、空港周辺地域では防災集団移転事業が進んでいるため、航空機騒音軽減対策の対象地区住民が激減しています。
このような復興の副産物により、仙台空港の運用時間はいずれ延長されるのではないでしょうか?
すると仙台空港は、東北・関越での空港運用時間の優位性が現状より増大します。
将来の仙台空港利用客数を600万人/年としているのには、このような将来予想も内々に織り込んであるのではないでしょうか?

なお、騒音対策の対象地区から外れている館腰地区住民が震災前から県に要望書を提出しているので、もし運用時間が延長されるのであれば、浮いた騒音対策予算をこのような対象外地区の騒音対策にあててもらいたいと思います。
http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/95307.pdf


◆ 東北・関越の空港の通常運用時間(滑走路長) http://jans.umin.ac.jp/news/110316_kotsu.pdf

投稿: Tom | 2013年4月15日 (月) 06時34分

>>Tomさん
 いろいろな情報ありがとうございます。仙台空港の運用時間は21時までだと勘違いしていましたが、21時半までなんですね。だったら、もうちょい到着時間が遅い便があっても良いような。30分は遅れを見越しての余裕時間として確保しているのでしょうか。

 なお、震災で空港周辺住民が被災し、集団移転の対象になっていることについては承知していましたが、美田園周辺の住宅地化と集団移転先となっていることから、運用時間の延長を打ち出すと反発を招くのかなと思っていました。
 せめて、7-22時位まで拡大すれば、特に少ない機材でやりくりするLCCにとってはメリット大ですね。ただ、それだけで需要が拡大するわけではないので、年間600万人へ倍増させるには弱いかとも思います。

※申し訳ないですが、コメント欄ということを考慮し、データやリンク等を削除させて頂きました。

投稿: S-Watcher! | 2013年4月15日 (月) 22時14分

こんにちは。

貴重な情報をありがとうございます。

ところで、仙台空港の利用者の二割前後が山形県を目的地とする人達であったというようなデータを見掛けた事があります。

概して道路事情を把握している人は仙台空港インターを利用せず、仙台南インターを降りて一般道で仙台空港へとアクセスするのですが、それでも距離的には遠回りである感は拭えません。要はR4を突っ切って菅生サーキットの裏側を通る山道を拡幅して村田インターに直結する道路が出来れば大変にありがたいのです。

村田JCTから東北道に合流する度に『(距離的には)ここから仙台空港が最短ルートなんだけどな~。』と、恨めしく思います(笑)。

この道路、拡幅する計画というのは無いものなのでしょうか?、村田インターから途中までは凄く立派に整備されていたように思うのですが、途中から一気に山奥の林道みたいな道路に為っているんですよね…。

投稿: 庄内人 | 2013年4月16日 (火) 12時49分

>>庄内人さん
 お気持ちは分かります。 
山形道を延長し東部道路へ接続する予定路線はあり、現在の名取市愛島から空港に向かう県道のだだっ広い分離帯部分が、その予定路線を整備する余地を残しているとか。
 ただ、肝心の村田からの山越え部分はまったく事業化のめどが立たないので、無理でしょうね。


 山形からの東北道→南部道路→東部道路→空港ICというのは、遠回り過ぎですし有料道路で割高感がありますが、仙台南ICで降りるのも時間がかかり、結構微妙ですよね。村田ICで降りて柴田町の山側(県道52号)→4号バイパスを通るのとあまり変わらないかも。

投稿: S-Watcher! | 2013年4月18日 (木) 22時27分

>>庄内人さん

村田JCTから仙台空港ICまで(直線距離:約14km)を結ぶ高規格道路の構想としては「宮城県横断自動車道」が以前からありますが、宮城県庁の土木部長が昨秋の県議会で答弁した内容によると、建設には約1千億円必要であり、建設の目処は立っていないとのこと。

その代わり、県道25号岩沼蔵王線の村田~岩沼間にある峠に、60億円ほどかけてトンネルを掘ると答弁しています。

突然、このような予算措置がなされたのは、津波被災地のかさ上げにトンネル掘削で出た土砂を使用するためだと「県道岩沼蔵王線整備促進期成同盟会」が公言しています。

岩沼蔵王線は村田IC付近を通って峠を越え、岩沼市街方面に向かう県道ですが、峠区間以外は片側1車線で既に拡幅整備されており、峠区間にトンネル(1100m)が整備されれば、山形あるいは福島から仙台空港へのショートカットとして使用出来る、と、土木部長は答弁してました。

土木部長が言う、ショートカットの経路図(峠区間未整備)
 ↓↓↓
http://goo.gl/maps/gjyfO
(「3D」 をクリックするとGoogle Earth ツアーが始まります)

投稿: Tom | 2013年4月19日 (金) 19時07分

なお、話題に上がっている愛島バイパスは、菅生PAと仙台空港ICとを結ぶ直線(約11km)の東側1/3と重なっているため、この直線の西側2/3にも県道が新設され、菅生PAをスマートIC化して東北道と接続するのではないかと個人的には予想しています。

現在、1980年代のテクノポリス法によって建設された仙台北部中核工業団地群(泉区&黒川郡)にトヨタや東京エレクトロンを初めとする工場がやっと集積してきましたが、将来、工場用の土地が不足する可能性があるので、この直線上に工業団地を造成して、その接続道路名目で菅生PA~仙台空港ICを結ぶのではないかと。

工場がある程度張り付いたら、県道の中央分離帯上に「宮城県横断自動車道」が造られるのではないかと。

当分、これは妄想の範囲内ですが、仙台空港の旅客600万人、貨物5万トンを実現しようと県が本気になっているなら、こういう段階的な開発構想が内々にあるのではないかと思います。

投稿: Tom | 2013年4月19日 (金) 19時14分

>>Tomさん
 いろいろと参考になりました。あそこの峠にトンネルを掘るとは初耳です。できれば便利になりますね。

投稿: S-Watcher! | 2013年4月20日 (土) 00時14分

こんにちは。
11月12日の河北新報の記事に、宮城県が仙台空港の「24時間化へ調査費3000万円」とありました。
空港民営化のシンポジウム等の際に、知事が運用時間の延長の話題を出していましたが、本気でやるようですね。

2015年度の空港別乗降客数(国内+国際)でみると、仙台空港は全国11位ですが、仙台より上位で24時間運用をしていないのは鹿児島と熊本、逆に、仙台より下位で24時間運用をしているのは25位の北九州(海上空港)のみ。
ただし、利用時間でみると、24時間運用とされている空港であっても、24時間利用できていない例がチラホラと…

河北新報の記事では「運用時間」の24時間化としか書かれていませんが、「利用時間」も24時間化されないと意味がないので、周辺住民の理解が充分得られる前に法的に24時間運用化してしまったために、反対派住民が左翼団体と繋がって反対運動を展開し、お金をかけても24時間利用が出来ないまま何十年も経った、なんて成田みたいなことにならないようにして欲しいです。


順位 国内+国際乗降客数 (運用時間 / 利用時間)
*1位 7598万7728人/年度 (24時間 / 0:00-24:00) 東京国際
*2位 3535万5986人/年度 (24時間 / 6:00-23:00) 成田国際
*3位 2397万2519人/年度 (24時間 / 0:00-24:00) 関西国際
*4位 2136万7726人/年度 (24時間 / 7:00-22:00) 福岡
*5位 2083万9064人/年度 (24時間 / 0:00-24:00) 新千歳
*6位 1854万4404人/年度 (24時間 / 0:00-24:00) 那覇
*7位 1462万6733人/年度 (14時間 / 7:00-21:00) 大阪国際
*8位 1041万0906人/年度 (24時間 / 0:00-24:00) 中部国際
*9位 *523万4657人/年度 (14時間 / 7:30-21:30) 鹿児島
10位 *323万4044人/年度 (14時間 / 7:30-21:30) 熊本
11位 *311万4248人/年度 (14時間 / 7:30-21:30) 仙台
12位 *310万7036人/年度 (15時間 / 7:00-22:00) 長崎
13位 *302万7684人/年度 (14時間 / 7:30-21:30) 宮崎
14位 *288万0651人/年度 (14時間 / 7:30-21:30) 松山
15位 *266万7998人/年度 (14時間 / 7:30-21:30) 広島
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20位 *179万4134人/年度 (13.0時間 / 7:30-20:30) 函館
25位 *131万7542人/年度 (24.0時間 / 0:00-24:00) 北九州
26位 *124万4332人/年度 (14.5時間 / 7:00-21:30) 秋田
28位 *102万0518人/年度 (14.0時間 / 7:30-21:30) 青森
30位 **98万0750人/年度 (13.0時間 / 7:30-20:30) 新潟
43位 **39万9426人/年度 (11.5時間 / 8:00-19:30) 花巻
45位 **36万7844人/年度 (15.0時間 / 7:00-22:00) 庄内
47位 **25万5134人/年度 (11.5時間 / 8:30-20:00) 三沢
48位 **24万7706人/年度 (11.5時間 / 8:30-20:00) 福島
51位 **23万0402人/年度 (11.5時間 / 8:00-19:30) 山形
61位 **12万7951人/年度 (11.5時間 / 8:00-19:30) 大館能代

投稿: Tom | 2016年11月13日 (日) 16時14分

>>Tomさん

コメントありがとうございます。

仙台空港の24時間化に向けての動きがようやく始まりましたね。運用時間と利用時間の違いは始めて知りました。ありがとうございます。利用時間も24時間化は必要かどうかはわからないけど、6時~24時までは延長されればと思っています。

投稿: S-Watcher! | 2016年11月26日 (土) 23時13分

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