防潮堤整備と地方分権の矛盾
震災から1年ちょっと経過してるけど、現時点で仙台はもちろん県の内陸部で日常生活を送っている限りでは震災のことはそれほど意識せずに生活できている現状がありますが、たまに沿岸部(閖上とか空港の方)を通ると、突如震災の爪痕が現れて「ハッとして」現実に戻されます。
県も知事も、復興に向けて復興交付金を中心とした予算を分捕り、一生懸命頑張っています。そのためには、ある程度決め打ちというか、細かいところには目をつぶって、目標に向かってまい進しなければという面があるのはわかりますが、最近気になるニュースが2つほど。
唐桑の話
1つは、気仙沼市唐桑町の舞根(もうね)地区に計画されていた、津波から集落を守る防波堤について、地元から不要論が出て気仙沼市もこの方針を認めたのに、県側が杓子定規に防波堤の建設を押し付けようとしていること。
この集落は、高台移転が決定し、集落跡には守るものはないこと、海と共生しながら生きてきたこの地区にそぐわないこと、巨大な防波堤を作れば、仮にまた津波が来た時にすぐに気付かずに被害にあってしまう可能性があることなど、この地区特有の事情があり、それであれば、わざわざ貴重な復興予算を使わずとも、他の用途に回せばと思うのですが、県は頑なです。
普段は、国の押し付けに文句言っていて、「地方分権」を掲げている知事なのに、この件に関しては、全く正反対。国のことを文句言えません。理由はわかりませんが、例外を認めず一律の整備基準を掲げ、防波堤の建設にかかる予算をなるべく確保しようという戦略なのか、まんべんなく防波堤を整備し、なるべく来る津波に備えて被害軽減を図ろうとしているという面はありながらも、それに固執するのはどうなのか。
現在、県内は復旧・復興に向けての建設需要が集中し、工事業者・資材の取り合い、建設費の高騰に各方面で悩まされています。このような状況であれば、少なくとも地元が望まないような”ムダ”な事業に金と貴重な人工・資材を投入する必要はあるのか?と疑問に感じます。津波対策といっても、場所や集落によって地形も成り立ちも異なるのだから。
千年希望の丘
一方、岩沼市の海岸部を中心に提唱されている「千年希望の丘」。こっちは地元が望んでいる防波堤代わりになる丘で、幅広い種類の広葉樹を植えて根を張らせて、津波が内陸部に及ぶのを防ぐ役割を期待しています。
これらの構想地は、集団移転の跡地の有効活用と、県内で発生した大量の震災廃棄物の活用という面もあり、誰が反対するの?という構想に思えましたが、県はこの構想にも難色を示しています。県議は賛成のようですが、かみ合わないようで。
他都道府県に処理を依頼しなければ、2、3年以内には処理できないといわれる膨大な震災廃棄物。全国各地で、受け入れ派と反対派がドンパチやっていながら、少しずつ受け入れに向けて進んでいるところですが、個人的には、「関東や中部位まではわかるけど、なんでわざわざ北九州まで輸送費かけて持ってくの?」と思うところあり。わずかな試験焼却用の廃棄物を運搬するだけで1000万円以上かかったとか。それはアホでしょ。儲かるのは運送業者のみだよ。反対派の視野の狭い横暴ぶりには怒りを覚えるだけですが、なるべく近いところで処理する方が合理的という考えからは、この自然の防潮堤の整備に少しでも活用した方がいいと思う。
もちろん、廃棄物処理法によれば、ガスが発生したり自然発火するものは当然埋め立て不可で、焼却処分を基本とせざるを得ないですが、木材系やコンクリートがれきなど使用できるものもあるので、地元の考えを生かす方向で検討できないものかなぁと。
今回の震災のメモリアルパーク的な役割を果たすだろうし、少なくともコンクリートの防潮堤のように100年持つの?と心配することもない。何とかならんのかねぇ。
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