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2012年6月 9日 (土)

水族館構想

県内で水族館といえば、当然松島水族館。日本三景松島の玄関口に位置し、アクセスもJR仙石線の松島海岸駅の目の前。また遊覧船乗り場にも近く、絶好のロケーションでしたが、老朽化及びさまざまな規制で拡張もできず、近隣の県有地(駐車場)への移転も出来ずに、数年前仙台港背後地への移転が発表されました。

 仙台市も応分の負担と支援を行うこととなり、市は10億円の出資を予定し、運営会社は11億円出資のための資金調達を行うはずが、あてにしていた土地が売れないとの理由で事業が立ち往生し、仙台市の出資も取りやめになったのは2年ちょっと前。その時点では事業は白紙となったと思ってました。

 その後、昨年の大震災で松島水族館は津波浸水と地震被害を受け、何とか復活はしていますが、老朽化はさらに進んだわけで、やはり手を打たなければということで、仙台港背後地への移転案が再浮上してきたようです。予定地は現在仙台港ICが建設中のすぐとなりの高砂中央公園計画地。ICすぐ横であり、一応高砂駅からは徒歩15分程度。同じ背後地の三井アウトレット仙台港からも徒歩10~15分(車では数分)の距離であり、連携も見込める立地です。

 仙台市としては再度協力するようで、実現すれば、「西の動物公園」、「東の水族館」と市街地を挟んで東西の端に学習系レジャーの両輪が立地することになります。

 動物園の方は、いろいろと賛否両論起こっていますが、「パンダ」導入が本決まりで、あとは時期がいつかということと、アクセスの確保を含めて様々な課題があります。まぁジャニーズが獣舎の整備費と5年分のエサ代を出してくれるということなので、様々な波及効果を考えると少なくとも仙台市としてはマイナスにはならないだろうし、好意に甘えていいと、個人的には思います。別にこれをやるからといって、被災者にしわよせが行くわけではないし。感情論での反対意見も多いようですが。

 ただし、一部反対派が言ってるように中国に対しては、策略に引っかからないように、ある程度慎重さは必要ですね。新潟みたいに、市中心部の一等地を中国に買われそうになっているのは論外にしても、最近の中国大使館員のスパイ行為のように油断はならない。

 まぁ、市にとっては、地下鉄東西線の収支改善にとっても非常に大きなプレゼントであり、あえて急いで実現させずとも、わざと地下鉄開業のH27年までゆっくり準備するということでいいと思うな。開業前にパンダが来てしまえば、駐車場や周辺道路がパンクするのは確定だし、逃げ道がないから恐ろしいことになる。「地下鉄を使って」と呼びかければ、渋滞対策の費用も追加ではあまりかからない。

 東西線については、東の荒井(被災者の移転先)にしても、西の動物公園(パンダ)にしても、震災で新たな役割を果たすことができ、需要も高まりそうで、仙台市当局はほっとしていることでしょう。災い転じて福となすというか。

塩釜水族館構想

 一方、塩釜市も、水族館導入を前提とした特区を申請しており、出資会社も仙台圏の大企業数社から協力を得る見込みがついたようです。

 一応、震災後の水族館構想としては、塩釜の話がでてから仙台の話が復活したという順番。塩釜の計画は松島の移転という位置づけなのかが不明だったけど、全く別の話だったということが改めて判明。

 だから、塩釜側の計画は仙台側の計画を踏まえてのものだったのかはわかりませんが、それなりに、どっちもどっちの規模のようで、本来であれば一本化できるに越したことはありません。こんな近い範囲に同時期に中途半端な規模のものが乱立するというのは、近年宮城ではよくありますね。一本化すればより立派なものができたかもしれないのに。商業施設はライバル関係もあり無理とはいっても、需要を食い合っている面あり。

仙台スタジアム(仙台市)と宮城スタジアム(宮城県)

三井アウトレット仙台港(三井不)とプレミアムアウトレット(チェルシー)

 個人的な意見としては、塩釜の方が水族館の立地としては適しているので応援したい気持ち。マリンゲートの隣接地であり、松島遊覧船観光との連携という面では、今の松島水族館と変わらない効果が見込めます。

 近年は水族館建設運営ノウハウの進化により、隅田水族館にしても内陸型の水族館が増えています。わざわざ以前のように海水を運ばなくてもよいような、水に溶かす魔法の粉が発明されたという内容をBSJAPAN「ガイアの夜明け」の水族館特集で見たことがあるけど、それと関係あるのかな。

 だけど、自分としては、水族館は海を感じられるところの方が好き。何でもかんでも仙台が独り占めというのもどうなのかなと思います。塩釜と仙台の予定地は5km程度しか離れていないし、この距離で競争してどうすんの?

 まぁ、実現性はそれぞれ100%ではないでしょうし、共倒れだけは避けてほしいですね。

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コメント

仙台港後背地への水族館構想は、三井アウトレットの集客力低下を補うのが目的だと推測される。さすが
政商三井だ。交通網が余りよくない場所に、仙台市に補助金まで出させるとは・・・恐らく絡んでる商社は三井物産でしょう。仙台市さん、よーく地元のご意見に耳を傾けた方がよろしいのでは?

投稿: ぶしのなさけ | 2012年12月 7日 (金) 14時30分

京都駅近くの京都水族館、東京スカイツリーの足元のすみだ水族館が相次いで開館しました。両館とも、連日盛況とのことです。都市型のほうがアクセスもよく、気軽に立ち寄る感覚で行けるので賑わうのもうなずけます。アクセスが良いということは当然交通網利用頻度の向上にも繋がりますから、地下鉄の収支改善にも寄与するということになりましょう。若者の”車離れ”が加速する傾向にある時に、IC近くの水族館はむしろ時代逆行だ思いますよー。

投稿: 赤面恥雄 | 2012年12月 8日 (土) 15時47分

コメントありがとうございます。

ぶしのなさけ さん
仙台港背後地の方の水族館計画が具体化しつつあり、新聞記事にもなっていましたが、絡んでる商社は三井系なんですか?確かに三井アウトレットの近くだし、三井と仙台市は仲良しなようですね。
個人的には、塩釜の計画をイチオシしたいところです。松島観光との繋がりを断ち切りたくないというのと、何でも仙台というのではなく、役割分担も必要だと思うので。

赤面恥雄 さん
都市型水族館は最近のトレンドですね。仙台市が協力するのであれば、名掛丁の都市型水族館構想の方がふさわしいと思います。こっちも後発の構想ですが、郊外水族館計画同士で無駄に張り合うよりは良いと。仙台市は街中重視の都市計画を進めていますし。仮に塩釜が実現したとしても棲み分けできそう。

投稿: S-Watcher! | 2012年12月15日 (土) 00時19分

仙台港後背地への水族館移転構想は今に始まったものではありません。当構想は平成21年10月に仙台市が発表して以来、実現に向けて様々な紆余曲折があったようですが、今年3月には、 この計画は白紙に戻されました。東北大震災という状況の変化があり、仙台市としては当移転予定地を震災で被害を受けた方々の移転先の候補として優先的に考えるとしたためです。ところが仙台市は突如として、はっきりとした理由がないままで、集団移転先の候補地とはしないと結論つけました。そして今回の河北新報の新聞発表です。こつこつと市県民税を払ってきた被災者は受け入れないが、大企業は受け入れるというのでは筋が通りません。

投稿: 仮屋住男 | 2012年12月16日 (日) 16時01分

仮屋住男さん
 永い仮設住宅生活おつかれさまです。仙台市が東北大震災で被災した方々の集団移転候補地として検討すると言明しておきながら、抜打ち的に水族館候補地に鞍替えするとする新聞発表には何か政治的ないとが見え隠れして釈然としません。この点ついてその後市議会では議論ないし追及等はなされたのでしょうかね。senndai watcherさん何か情報はありませんか?

赤面恥雄さん
 観光というものの経済的効果を考慮するならば、観光事業は「面」で捉えるべきだと思います。松島観光との相乗効果を考えれば、塩釜市に水族館を建設した方がいいでしょう。塩釜市の海辺水族館と仙台市内の街中水族館であれば、各々棲み分けもできるでしょうね。、

投稿: native senndai | 2013年1月 1日 (火) 14時57分

native senndaiさん
仙台港背後地が水族館計画地として復活した経緯について、情報は持ち合わせていません。塩釜の計画を潰すようなタイミングで疑問ですね。
高砂中央公園を集団移転候補地として検討するという市の表明もあまり記憶がないのですが、背後地のうち東部道路より海側はそもそも都市計画で住居禁止の地区計画が決まっていたし、大きな実際津波被害を受けた土地を移転候補地には出来ないという判断では。同じ背後地でも東部道路より内側はもともと住居可の区域ですから、地区計画との整合性を踏まえ、現在の集団移転候補地を決めたのだと認識してます。仙石線の駅も近いしもとからの住民も周りにいるから、被災者にとっても生活しやすいと。

投稿: S-Watcher! | 2013年1月 6日 (日) 12時07分

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