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2012年5月24日 (木)

鉄道の内陸移設(1)

震災以来、宮城県内を中心とした沿岸部のJR在来線のうち、津波被害にあった気仙沼線の柳津以北、石巻線の渡波以東、仙石線の陸前小野―高城町間、常磐線の亘理―相馬間のが相変わらず再開できずにいます。

相思相愛(?)の気仙沼線

 気仙沼線は、JRが持ち出してきたBRT(バス高速輸送システム?)による仮復旧を気仙沼市も承諾することになり、待ってましたとJRは線路を引きはがしにかかりました。

 ここはJRが鉄道で復旧させるわけがない。JR的にはうまく鉄道から撤退できる方便を認めてもらったようなもの。気仙沼市のホンネは、東北新幹線乗り換えでの大船渡線ルートが生きているため、対東京の交通機関は影響ないし、対仙台でも震災前から片道たった2往復しかないし、往復5千円もかかる快速南三陸よりも、安くて本数の多い高速バスに流れていた状況だったし、三陸道の全通が確約された今、どうせ復旧してもやる気のないJRに期待するよりも、三陸道経由の高速バスで仙台まで2時間半であれば無理に鉄道復旧に血眼上げる必要はないだろうな。

 もちろん市民に対する建前としては、「鉄道での復旧を確約させた」と言ってますが、気仙沼市長の震災当初のホンネからすると、したたかに進めていると感じます。

 もっとも、鉄道が復旧せずに快速南三陸がなくなる影響が大きいのは途中駅であって、同じ気仙沼市内でも階上や本吉、南三陸町の歌津・志津川など。

 ただ、途中駅を抱える自治体でも三陸道の延長と高速バスの利便性アップの恩恵には預かれるためか、南三陸町や登米市はBRT化の仮復旧に比較的早くから賛成していました。BRTは実際には使えない代物になるのは前に書いた通りで、気になるのは、鉄道で復旧済の柳津―前谷地間の扱い。JR的には一緒に廃線→バス化を図りたいだろうが、区間が中途半端。個人的には、志津川まで鉄道を復旧させて、あとはBRT化というのが、コスト的にも生き残った部分を生かす意味でもいいかなと思う。

 仮に、今まで全く話は出ていませんが、第三セクターでの受け入れ→三陸鉄道と同様に国費で復旧というウルトラCにした場合でも、三セクであれば気仙沼線部分の運賃が1.5倍になり、対仙台での高速バスに対する競争力が全くなく、早々に経営困難に陥いることが予想されるので、誰もこういう声を上げないんだろうね。国は初期投資には補助してくれてもランニングコストまでは面倒見てくれない。

 せっかく100年の悲願が叶い、30年前に全通した気仙沼線。自分も一時期沿線に住んだことがあり、このまま廃止というのは悲しい気分ですが、止むを得ないのだろうなぁ。

なぜか復旧される石巻線

 今回の震災で人口が半減するかもしれない女川町。幸いにも石巻線で津波被災した部分は末端の浦宿と終点の女川間のみ。橋梁などの被災もなく、復興都市計画さえ決まれば復旧は比較的簡単と思われますが、女川町は震災当初、女川駅の移設+終点部分の1駅延長を含めた計画を公表しており、「誰が金出すの?」と思いました。

 現在その計画は生きているのかは分かりませんが、JRは一応新女川駅までは復旧させる方向で進めているようです。でも、震災前から鉄道で残す意味があるのか?という利用状況だったので、残してもらうだけましって感じなんでしょうか。

仙石線・常磐線については次回に

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コメント

気仙沼線のBRT化にともなって快速の再開は無いのではないかということですが、参考意見。ま、元気仙沼住人の戯言(たわごと)ですが。
気仙沼市南部~南三陸町の気仙沼線沿線にも仙台直行需要は有って、震災前は気仙沼から津山まで45号線を南下し桃生津山インターから三陸道で仙台まで直通した高速バスが運行されていた(しかも当初1往復だったのが3往復に増便されていた)ほど。
気仙沼・津山間は主要駅のみ停車し、津山駅ホーム出発後、一般道で桃生津山インターから三陸道で仙台へ直行させるBRT快速の運行をJRに検討してほしい。これなら実質上45号線ルートの高速バスの復活にもなり、専用線走行による速達化も期待できる。
延伸される三陸道を走行させる高速バスも予想されるが三陸道は南三陸町の北寄りのルートのうえ、三陸道が延伸されればされるほどバス停などの乗降ポイントは気仙沼寄りに限定されてしまう(三陸道本線上にバスストップを作られれば多少状況は変わるが)ので利用ニーズは違ってくると思われる。
仙台発着の高速バスの欠点は仙台市内の西道路や一般道が混雑することと仙台宮城インター前後の東北道が急勾配・狭隘なことである。仙台・車両基地間の新幹線高架橋下部を利用したBRT専用路を新設し、三陸道を南進してきたBRT快速が利府塩釜インターから一般道を経由して仙台車両基地構内・新幹線高架橋BRT専用線を走行して仙台駅2階北側専用ホーム(これも新設)発着とすれば、一般的な高速バスに対して優位性が増す。ま、JRがそこまではしないと思いますが。

投稿: Mr.Peki-chan | 2012年6月18日 (月) 13時53分

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