産業振興(セントラル自動車誘致他)
支店経済の代名詞の地方都市であり、第3次産業に偏っている仙台市。宮城県全体でも2次産業はあまり集積しているわけではない。前知事の偏った県政運営により、借金まみれになった上、その福祉・医療面でもよくなったとはいえないことが分かりつつある最近。(力を入れたのは、自分の身内に関係する福祉分野だけって。。。)。なので、彼の業績を完全否定する気はないが、結果的に村井知事になって良かったと最近は考えています。全国的なアピールはあまりなくとも、一応やることはやっているような印象はあります。
その知事が力を入れているのが、産業振興。
3月ごろの東京エレクトロン(の子会社)に続いて、トヨタ系のセントラル自動車の有力候補地になっているという報道が9月にあり、本日毎日新聞やNHKにて、大衡村の第二北部工業団地内で最終調整しているという最新ニュースがありました。就任して2年近くになるけど、自動車産業を中心に様々な誘致活動を行っていて、その成果が実りつつあるのかなと思う。確かに前知事の時代はバブル崩壊以降の不況が続いたとはいえ、口を開けば「福祉」「福祉」で、目だった企業誘致もなく、努力しているということもなかった。政権末期に県職員の給料カットにより財源を生み出した再生戦略をぶち上げましたが、成果はコールセンターの集積による雇用増をアピール?不安定雇用いくら増やしてもどうにもならないでしょうに。ないよりはマシだが。結果的にタナボタで楽天イーグルスが政権末期にやってきたことが大きかった位。
その村井知事が頑張った?誘致企業ですが、結果的に両方大和町・大衡村になりそう。大規模投資を受け入れるような広大な工業団地は黒川郡にしかないとのことで、確かに仙台市内では、仙台港も小・中規模工場・物流向けだし、意外に受け皿はありません。この2つの企業誘致を合わせて1000人~1500人程度の雇用が発生しそうで、家族を含めると3~4000人程度を養うことになる。特にセントラル自動車は神奈川・相模原の橋本駅からほど近い、市街地のど真ん中に旧工場があり、新宿から1時間圏内。もし第二北部団地に移転なんてことになったら、社員は移ってくるのだろうか?教育考えても、生活考えても、大和町には住まず、泉区もしくは富谷町あたりに住んで車で通うのだろうが、4号を渋滞の中通うことになり、電車も走っておらず、あまりの不便さに下見に来たらショック受けそうな場所。まぁ自動車工場なんだし、車の所有率は高いから従業員本人の通勤は問題ないといっても、家族は大変だろう。
東京エレクトロンは、現在山梨県の韮崎に工場があるとのことで、環境的にはあまり差がないのかもしれないが、それでも大和リサーチパークで大和町でも泉区にほど近い場所(パークタウンや宮城大学の北側)なので、北部工業団地よりはまだまし。
とにかく従業員の生活環境を考えれば、北部工業団地周辺はちょっと厳しいと思う。仙台までの鉄道がないのは今更いっても仕方ないが、バスも路線バス+地下鉄乗り継ぎで仙台駅まで1時間以上。高速バスは10月から大衡まで1日6本走り始めただけで、新幹線の新駅運動も最近は聞かず。高速道路はあるが、公共の高速交通機関は殆ど存在しない。
以前2月に取り上げたように、北部団地と第二団地の間を走る東北道上に高速バス停を新設することが効果的だろうとは思うが。団地直結のスマートICなんか新設するよりは。北部工業団地を目的地とする新路線は需要が限られるし難しいだろうから。せいぜい新設された大衡までの高速バスを北部団地経由にすることが現実的か。
従業員や家族の通勤通学だけでなく、北部団地への出張者の足を確保する意味でも、対策は急務だと思う。
理想の立地条件
本来であれば、このような産業は仙台市内でなくとも、仙台近郊かつ鉄道が通る小都市の郊外に立地する方が従業員の生活環境からすると良いのだが。基本的に生活機能はその小都市に依存しながらも、母都市である仙台への移動として鉄道が使える場所。
例えば、岩沼や柴田、大河原、白石、古川近郊など。また、仮に名取のりんくうタウン付近であれば空港線の利用者増にも貢献するだろうし。大衡に立地というのでは生活面では立地が中途半端過ぎで、隣県福島の相馬に立地したIHIの航空エンジン工場付近と仙台への公共交通での所要時間はあまり変わらないって。
もちろん、近隣に立地済のトヨタ東北の存在が大きかったのだろう。完成車工場同士で直接の行き来はないだろうが、岩手県北上市の関東自動車の工場とも高速で1時間程度の距離というのも、部品工場の新規立地を考えると、連携が可能な立地でもあるか。
県内の工業団地については、在来線(東北本線)沿いの小都市群と、30年前に開通した東北道とがあまりリンクしておらず、高速IC近くの大規模工業団地が北部団地(大和・大衡)と村田など、生活面では不便な町に存在していることが多かったのが残念なところ。
企業立地の奨励金について
まぁ、今回の誘致成功した企業については、従来型の単なる町工場レベルのものではなく、下請け企業集積や、東北大理系の人材が地元に残る選択肢を増やす効果もあるし、この調子で、企業誘致を進めて欲しい。県議会で話題になっている発展税についても、企業誘致促進の奨励金に使うとのことで、多少は足しになるのでしょう。
このような奨励金については、自分は半信半疑です。その他の様々な要素(自社の他工場との連携、人材確保、災害リスク、大消費地や高速交通機関との距離)が優先された上で、最終的な判断要素として重視されるか?という位。アメリカでの奨励金積み増し合戦を批判するレポートを見たことがあるが、奨励金は要素としては5番目以降というアンケート結果だった。日本でも同じような流れになっていて、企業にとってはニンマリかもしれないが、自治体は「チキンレースに乗り遅れるな」という焦りで、オークションに参加して理性をなくしているような状況。三重県のシャープ誘致で一躍脚光を浴びた企業誘致奨励金ですが、シャープにとっては既存事業所との関係を考えると規模を確保できるのが亀山しかなかったとの話だし、奨励金ありきではない。近年企業誘致で全国上位の実績を残している茨城県や群馬県などは奨励金は殆ど設けていなかったはず。首都圏との距離で優位性があるというのが理由なんだろうが。
仙台及び宮城については、100万都市を母都市にできる生活環境面、東北大他人材確保のし易さ、高速交通機関の発達など、優位に立てる要素があるのだから、それをもう少し前面に出すことはできないのかなとも思います。
そういえば
最後に、ふと、ウメこと某市長のことを思い出したんだが、奴はもう就任2年を過ぎて、ナニを成果として残したんだろうな。反対してぶっ潰すこと以外で。種まき、種まきってアピールしてるが、芽が出なかったら意味がない。目標が2010年APEC誘致って、ウメもう居ないじゃん!(任期は2009年まで)。奴が再選できるわけないし。あ~あ、仙台にとって空白の4年間かよ。
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