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2006年1月18日 (水)

仙台での鉄道利便性



 公共交通の利便性を求めると、ここまで住む場所の選択肢が狭い”大都市”もないだろうなと思う。


もちろん、物件の数は多いが何かを我慢しなければならないという意味で。


何かを我慢すれば、そこそこ快適なんだろうけど。


横浜の公共交通


 以前住んでいた横浜では、確かに家賃は高かったけど、どの路線でも電車の本数はストレス感じない位に最低限確保されていました。深夜近くになっても10~15分間隔程度。都心から遠くなってもそれなりに本数はあった。また、どの駅前でも最低限の買い物が出来た。コンビニは無い駅が無いくらい。スーパーや本屋も当たり前とか。駅の利用客の差なんだろうが。



 家賃の制約はあるにせよ、横浜駅から出ている10路線近くのうち、どの路線を選んでもあまりはずれの路線はなかった。ただJR>私鉄>地下鉄という人気度で、横浜の市営地下鉄が最低人気。この地下鉄も、仙台よりも若干安い運賃体系(初乗り200円⇒230円⇒260円)で、【200円⇒240円⇒290円】の仙台よりもまし。本数も仙台の方が多少多い位で同等(仙台は昼間7分おき、横浜は8分おき。ただし横浜は6両編成で、4両編成の仙台よりも1.5倍の輸送力でしたが。


仙台の公共交通


 何を言いたいかというと、横浜では最低ランクの市営地下鉄が、仙台では唯一の使える公共交通機関となっている点。JRが使いものにならないため。まぁ、仙台の地下鉄は主要スポットを網羅しているし、きれいだから、多少運賃が高いことを除けば別に不満はないですが。定期代は会社から支給されるし。最悪でも10分待ちという安心感は大きい。



 まぁ、地下鉄はいいとして、JRのレベルの低さのため、仙台駅起点で考えると、地下鉄の南北2方向の路線しか、選べないという点はあまりにも選択肢が少なすぎます。



■仙石線


 朝夕は使えるレベルではありますが、昼間とか夜遅くで30分程度待つ時間帯があるのは信じられず、自分は選択肢から外しました。


 地下鉄以外であれば、一番まともな路線。


■東北本線の南方面


 本線岩沼方面も同じ。以前は昼間でも仙台-岩沼間は15分間隔のダイヤをアピールしていて非常に使いやすい時代もありましたが、パターンダイヤはダイヤ改正(改悪?)の度にめちゃくちゃに崩れ、さらに高速バスとの競争から福島行きが各停から快速になり、長町・南仙台では30分待ちの最悪な時間帯が発生するなど、時刻表なしでは安心して使えないダイヤになってしまいました。


 仙石線と同様で、朝夕は使えるレベルではありますが、週に1回は遅れるから、安心して使えないところが痛い。



■東北本線北方面


 こっちも、以前は昼間完全20分おき(00分、20分、40分発)に統一した時代がありましたが、それが崩れて久しい現在。とはいえ、まだその名残はありますが。20分間隔って、ローカル線ではぎりぎり使える水準だと思う。


 こっちも、夜とか30分待ちがある時間帯があったり。東仙台とか乗ったら5分なのに、30分待つなんて考えられない。


■仙山線


 高速バスに負けて山形輸送を放棄したせいで、愛子までの近郊はなんとか使えるレベルになってきました。昔は快速停車駅以外は1時間に1本が当たり前だったのに、快速停車駅が1時間3本、北山とか東照宮が1時間2本とかなりましになった感があります。


 でも、単線のためダイヤの制約が大きく、それに1時間3本でも20分おきではなく、15分おきと30分おきが混在しているから、時刻表必須なところは変わらず。この沿線はバスも走っているから、この不便なダイヤでもなんとかなっているのかもしれませんが。


昨年末のダイヤ改正で、それまでのきれいな30分間隔の時間帯が早速崩れましたし、今後さらにぐちゃぐちゃになるでしょう。


 


 ここも、落ち葉とか雪とかでしょっちゅう遅れるから、覚悟が必要。



 JRでは全ての路線にも共通するんだが、JRのダイヤ改正はJAROに訴えたい位に嘘つきである。悪いところは隠して、良く見えるところだけアピールするから。


 だから、たとえ今が許せる利便性だと思っても、次のダイヤ改悪でどう不便になるかが分からないところが非常に不安だから、JR沿線は選びたくない。 


この選択肢の狭さから、地方都市にしては、地下鉄沿線の異様な家賃の高さ。JR沿線は安


いけど、不便さを覚悟しなければならないのが欠点です。


 駅前にはろくな店もないし、単なる通勤通学で通る場所ってだけになってしまっている。



 このJRの現状があるから、地下鉄東西線を整備して、少なくともまともな公共交通機関の選択肢を南北の2方向しかない現状から東西南北の4方向に広げることが必要とされる理由なのだと思う。東西南北になれば、ある程度は市域の多くの部分が面的にカバーされるから。だから、東西線については消極的賛成派なのはこの理由から。



 もちろん、JRがダイヤ改善して、信頼される交通機関になればこの莫大な東西線の投資はある程度不要になるんだろうけど、公共側の投資がなければ、ほとんど改善がみられないのが仙台圏のJR。


公共側のJRへの投資


 それで、JRは自前ではほとんど投資しないから、改善のためには公共側がある程度関わるしかない。


 


 その事例として、仙台近郊では



1)新駅設置


2)連続立体化


3)空港アクセス鉄道



の例があります。


1)の新駅設置ですが、JR東日本は新駅設置で殆どカネを出しません。小鶴新田でも国府多賀城でも立派な橋上駅舎はほとんどが自治体負担。もしくは区画整理組合?H19年春開業の、(仮称)南長町、東北福祉大駅も区画整理側や大学が負担です。1箇所あたり5億~10億かかりますが、東西線の2700億に比べれば、小さなものに感じます。



 こんな設置の仕方でも、そのエリアの利便性は上がるので、他の必要とされているところでもやるべきだと思うけど、他の場所との公平性を考えると、仙台市としても主体的に設置を図ることは難しいのは分かります。例えば地下鉄の新路線であれば、莫大なカネがかかるけど、運賃収入は仙台市交通局に入り、その収入を原資に借金返済に回すことができます(そのスキームが破綻しているとは言われていますが)。これが公営企業会計の前提。



 ただ、新駅設置では、1箇所10億といえども、カネを出すのは仙台市(と周辺住民?)、乗客が増えた分の収入はJRが全部頂くという浅ましいスキームになっているため、仙台市としてもなかなかやりづらいのではないでしょうか。



 もちろん、駅設置での周辺土地価格のアップから、固定資産税収入増という形で多少は仙台市にも恩恵が及びますが。



2)連続立体化といえば、やっぱり仙石線でしょう。JRの負担は600億以上のうちたった5%だけ。それで、設備の改善が図れたのですから。それであおば通駅まで延伸出来て、地下鉄への乗り換えも便利に。本当にJRにとってはウハウハでしょう。


 とはいえ、朝夕こそ電車の本数も多少増やしたけど、昼間は以前よりも本数は減っています。以前は確実に昼間でも1時間に4本は各駅停車があり、最悪20分待ちだったけど、今では1時間に3本で30分待ちが普通にあるというのは。。。



 また、長町で進められている高架化は今年の11月に完成ですが、区画整理と一緒にJRの長町駅が新しくなり、東側からも駅を利用可能になります。駅前広場も整備されて地下鉄駅とも近くなり、かなりJR側にメリットが生じます。これもJRはわずかな負担で、メリットをうけることができるのだから。


 この長町高架化だけでは、駅が使いやすくなるだけで、本数が増えることはありません。


ただ、この高架化とほぼ同時に、(仮称)南長町駅が開設されることはメリットなのでしょうが。


3)空港アクセス鉄道


 これは、非常に大きなことです。JRはアクセス鉄道の運行を断り、三セクへの多少の金額の出資を行うだけですが、このアクセス鉄道の開業により、仙台-名取間の利便性が大幅にアップするのですから、これは利用者にとって結構大きいです。JRだけではこのような利便性増加は絶対にありえない。



 現在では、本線の名取駅では、片道80~85本/日の運行ですが、アクセス鉄道は1時間に2~3本の運行のため、片道45本/日の本数増加が見込まれます(うち、快速は13本程度)。


 すると、名取駅では、片道130本/日 が利用可能で、今までの1.5倍以上の利便性となります。快速が通過する長町、(仮称)南長町、南仙台でも片道110本/日 程度が利用可能となり、かなり便利になることが確定しています。


 ちなみに、仙台近郊の他の路線と比較すると、地下鉄が片道170本/日、仙石線が100本/日、仙山線が50本/日程度なので、仙石線を超えて地下鉄に近い利便性を確保することになります。名取駅では昼間でも10分間隔があたりまえの状態となり、これまでと比較して格段の利便性アップです。それを見越して名取市では20年ちょっとしか使っていない駅舎を壊して東西両方向から使えるように橋上駅舎に改築し、駅前広場も両方整備しました。周辺には生協も出来、分譲マンションも次々に立っていますが、価格は駅前でもかなり安いレベルで、今後の利便性向上を考えると、結構買いなのかなと思ったりもします。近くにダイヤモンドシティも出来るし。名取市というのを我慢すれば、一応泉中央駅からよりも仙台駅には近いし(12分)。



 よって、将来的には、地下鉄の東西南北方向と、本線の仙台-名取間(及び仙石線の多賀城まで)は公共交通の利便性が高い沿線となり、選択肢が広がることが予想されます。そうすると住居選択の際の選択肢が6方向になり、格段改善されます。住居選択の際にも、他の大都市のように”どこに住んでもある程度便利”というようになってくるのでしょう。



 ちなみに、他の地方政令市では、利便性の基準を片道100本超/日 とすると、
都心部からの便利な路線の選択肢として


札幌、地下鉄:3路線×2方向=6方向、JR:東西2方向   計8方向
福岡 地下鉄:3路線で4方向、西鉄:1方向、JR:2方向  計7方向
広島 新交通:1方向、JR2方向、広電1方向+(市内路面電車) 4方向+α


 と現状では、どの都市も仙台よりも便利ですが、仙台も10年後には他の大都市に匹敵する面的な公共交通の利便性を手に入れることになりそうです。



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