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2005年2月 6日 (日)

小中学校の小規模化について

 先日地元ニュースで、仙台市内の小中学校の児童・生徒数の急減が起こっていることの紹介、対策会議の開催について流れていました。

 噂には聞いていたものの、仙台でここまで急に児童・生徒の減少が進んでいるとはびっくりしました。半減しているところも多いんだ。

 わざわざ30人学級を導入しなくても、実質的にそうなっている学校がざっとみて半分程度あるのではないか。

(例えば、一学年42人だと、一クラスあたり21人×2クラス。一学年41~80人だと2クラス編成ですが、5,60人の学校が多いようです)。

 仙台市立小中学校の学校・学年別 児童・生徒数(クラス数)

http://www.city.sendai.jp/kyouiku/gakuji/index1.html

ニュータウンが抱える問題

 いくら少子化の時代とはいえ、住んでいる地域によって進行程度には違いがあり、特に戸建が立ち並ぶニュータウン(以下NT)のような地区は少子化+高齢化のダブルパンチでオールドタウン化しているようです。 NTのように子供持ちの家族が一度に入居し、年齢階層に極端な偏りが生じる地域は、なかなか入れ替わりがなく、また若い世代も2世帯同居を好まずに出て行ってしまうことから、一気に子供の数が減少してしまうのでしょう。

 さらに、そういう子供が少ないNTの学校では、きめ細かい少人数教育が行われる可能性が高い反面、友達づくりや競争意識などが育まれない恐れもあり、子供を持つ若い世代も避けてしまう面があるのかもしれません。


 特集されていた学校は泉区の松陵小で、全学年で100人程度。低学年では1桁の学年もあり、体育は合同で行っているとのこと。

 松陵NTって比較的新しいマンモスNTだと思っていましたが、開発から20年以上経っているんですね。

 同じ松陵NT内には、NTの東端に位置する松陵小と、西端に位置する新しい松陵西小があります。両方ともNTの東西の端にそれぞれ位置していますが、松陵小はNTの奥側で山に迫っている場所、松陵西小はNTの手前側で別のNTに隣接しているためか、まだ児童数は500人近くいるのと対照的です。

松陵NT地図⇒*



学校配置上の問題

 旧泉市では、全国的にも厳しさで有名になった独自の宅地開発指導要綱があり、小中学校用地の提供も盛り込まれていましたが、さすがに場所については指導はできなかったのか。子供達が通いやすいNTの中心付近に学校が位置しているのが理想ですが、無償提供が前提だと、NTの端っこになってしまうことが多い。。。


 当時は、ここまで急激な少子化は見込んでいなかったのかもしれませんが、国の学校設置基準により、機械的に大規模校の解消が求められたため(例えば児童生徒数がピークを迎えるのが10年間だけで、その間はプレハブなどでしのぐなどのやり方もあるでしょうが)分割・新設する際には補助金が出るなど、自治体の懐がさほど痛まないこと、住民の要望などで、多くのNTで学校の分割・新設(~西小、~東小)が行われてきたようです。

 

 結果的には、一つの学校でも十分な児童数にまで落ち込み、各学年2~3クラス程度が小学校では当たり前になっています。分割されなかった学校でも子供の数の減少はかなり深刻です。


 隣接して別のNTの造成が進めば、その児童減少した学校を活用することができます。児童減少対策と、新たなNTにとっても学校用地の確保が不要になるなどメリットも大きかったのだろうが。。。そういう立地にある学校は少数派のようです。


 これは、都市経営の観点からいうと、学校教育だけの問題ではなく、都市計画とも連携が必要な問題。ここまでの急激な少子化は見込んでいなかったとはいえ、人口構成の偏りは当初から分かり得たはず。「学校をどのように配置すれば無駄がないか」、「児童数減少が進んでいる学校を活用できるところに、新しいNTを認める」、「人口構成の偏りが想定される戸建中心の団地では、分譲時期をずらして一度に影響が出ないようにする(ex.泉PT)」などの取り組みを戦略的に行っていれば。


 同じNTのようなところでも、市・県営住宅などが集積しているエリア(鶴ケ谷)では、賃貸のため住人の入れ替わりがあり、子供の数の急激な減少は抑えられているとのことです。ただし、県営住宅があっても、太白団地周辺のように立地条件的にも厳しいところもあります。


今後の対策

 このままでは、一層子供の数が減っていく一方です。

 県立高校でも、仙台圏では統廃合こそないものの、募集人数を減らす傾向にあります。県周辺部では、共学化ともあわせて、学校の統廃合が始まりました。


 小・中学校でも、統廃合はタブーではなくなりそうです。

 歴史がある学校については、やはり地域住民の反対があります。学校には、効率だけでなく、地域のシンボル的な役割もあります。子供達にとっても、「自分の母校がなくなる」ってことは寂しいもの。親にとっても、「自分の母校に子供を入れたい」とか。


 ただ、統廃合については、過疎化が進む郡部の中学校を中心に、以前から局所的に行われてきました(すぐに思い浮かぶ町だけでも田尻、河南、岩出山)。

 仙台圏のニュータウンでも、統廃合を受け入れざるをえない状況にきています。

人口の総数が増えない世の中ですので、これ以上郊外にNTが造成される状況ではなく、郊外から都心周辺への人口移動も静かに始まっています。すると一部の小中学校を除いて、子供の数は減る一方。

 

 そうすると、財政面・教育の効率面だけでなく、子供の教育環境を確保する意味でも、統廃合は止むをえない。県の郡部の学校では、3km以上の距離を自転車通学するのはけっこうあると思います。小学校はスクールバスという方法もある。聖域を設けずに見直しの議論をする必要がでてきている。学区変更ももうすこし柔軟に行うべき。


 その際に、一番おろかなのは、地域住民の世論に押され、例えばA小とC小を統合し、新たな学校をA、C小の中間点にB小として新設開校させるような場合。

吸収される学校を無くすという理由で、地域住民の心情的には受け入れやすいでしょうが、余計な建設費を使うことになるのでしょうから、財政効率化の観点からいうと逆効果です。加えて閉鎖される複数の学校の跡活用の問題もあるでしょうし。

 かなり前に、将監団地で小学校の統廃合問題が浮上したと聞いたことがあります。
確か、将監団地にある3つの小学校のうち、200mの距離で近接する将監西小、
将監中央小を統廃合するという話だったと思いますが、
片方に統合するのに地域住民が大反対し、新設統合(新たに建設)を
主張していたというような話だったはず(うろ覚え)。  今の資料を見ると、まだ3つの小学校が残っているようですが、
将監団地北側に県の住宅供給公社の将監NTが最近造成されたため、
結果的に各校とも児童数が増加し、統廃合は先送りにされたのか?
こういう既存の学校を活用するのって効率いいですね。
将監団地地図⇒*

 

 こういうのを考えると、地方分権・税源委譲の必要性を感じます。

 国の補助金で教育行政をがんじがらめに縛っている状況はもはや古い。

ほとんどが自分達が払った市民税で教育行政を行っているのであれば、既存の施設を利用するという結論になるのは当然。なのに、「国から補助金もらえる」となれば、住民が痛みを感じず「2つ潰して新しいのを建てろ」という意見が出てしまう。

 また、閉鎖した学校の跡利用についても、現在では、保育所ニーズや高齢者福祉施設ニーズに答えるため、これらの施設への転用が考えられるが、現時点の法律ではそれもかなり制約があるみたい。山形県の前知事時代の目玉施策『30人学級実現』についてもかなりすったもんだがありました。やっと、最近は地方独自の取り組みに対して、だんだんと風穴が開きつつあるとは感じますが、まだまだ足りない。


 義務教育の学校行政だけでも、色々な問題点が浮かんできます。

とりとめのない内容ですが。。。

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