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2005年2月 4日 (金)

高速バス共同運行 独禁法違反なし




高速バスの仙台―山形、福島両線で、共同運行しているバス事業者が運賃や便数を共同で決定し、競争業者に対抗するのは、独占禁止法違反の疑いがある―として審査していた公正取引委員会は3日、違反事実は認められなかったと発表した。当事者から今後、疑いを持たれないよう改善する意思が伝えられたとし、審査を終了する方針を明らかにした(2/4河北)。



 共同運行って独禁法上はあいまいな位置づけですが、実際の利便性を考えると、完全に禁止されたら逆に利用者にとっては不便になります。新規参入への障害という面もあるが、富士交通が投げかけた功罪を考えると、共同運航は問題とは言い切れないです。



 規制緩和って、バラ色の未来をイメージさせるところがあります。新規参入で競争が起こり、価格が下がって、消費者の利便性が高まる。。。



 しかし、これは業界によって異なります。


 通信業界のように、まったく別のインフラを構築して、全国規模で競争し合う場合は、価格やサービスのメリットは大きいでしょうね(ただし、携帯電話は、周波数帯の割り当てで、今問題になっていますが)。低価格化と利便性の向上で誘発需要が掘り起こされ、長距離電話の通信料は15年で1/10になり、携帯電話は売切り制の導入と新規参入の許可により、5年程度で爆発的に普及したのはご存知の通り。



 高速バス(運輸業界)の場合は、富士交通がもたらした新規参入により、仙台-福島・郡山・山形 線の運賃は回数券ベースだと参入前の半分強にまで下落しました。


無策で殿様商売のJRからかなり客を奪うとともに、バスの利用者数は激増し、運行本数の増加とともに消費者にも大きなメリットがありました。



 しかし、高速バス業界での規制緩和は、複雑問題を浮き彫りにしました。


まず、通信業界では低価格競争が行き過ぎても、通信の質の低下はありえても、人命に関わるような問題は起こりません。通信の質については、競争で改善されてきました。


 一方運輸業界では、客単価の減少と運行本数の増加により、各社はかなり無理をしており、一番運転手へしわ寄せが来ているようです。休憩時間も短く、多くの客を乗せて各都市間を往復しており、あまり報道されていませんが、富士交通では、新規参入後東北道上で2件の追突事故を起こしています(幸いにも、けがは軽症だったようです)。



 これは会社としての姿勢の問題でしょうが、競争が激しく、需要の増加が踊り場に差し掛かると、どこかに無理が生じます。


もし、大事故にまきこまれたりすると、業界全体のイメージダウンになります(高速バス業界では、JRバス関東の飲酒運転事件がありましたね。また過去では日航機事故も一時的に飛行機離れを引き起こしました)。



 また、富士交通は、既存各社が育てた便の横取りをもくろみ、既存各社のバス停の隣に、自社バス停を設置し、既存社の数分前発車というダイヤを組み、コバンザメ商法を露骨に行ったため、既存社と対決状態になり、運賃は下がったものの、消費者にとって分かりにくい面もありました。


このような行いをし、結局は会社更生法まで追い込まれたのにもかかわらず、


 



 菊地保社長は「審査結果は不満。今後は福島、郡山両線で、既存3社の共同運行に加われるよう、3社に働き掛けたい」と話す。宮城交通の岩田一雄専務は「公取委の指摘に従い、競争原理が働くような共同運行を心掛けたい」と話している。



 富士交通社長は、共同運航に加わりたいと言ってますが、自分で信頼関係を壊したのに何かちょっとムシがいいですね。既存3社のように高速バスの共同運航は、双方のバス車庫の確保を考えると、効率的なシステムであり、ダイヤも分かりやすいように調整するのはあたりまえで、独禁法にひっかかるような問題ではないと感じます。


 それに、富士交通も、白河の桜交通と2社共同運行をしているではないですか。



 独禁法違反というのは、5年前に仙台⇔青森線が就航した航空会社に対抗して、JRが飛行機潰しのための格安往復切符を出し、それで航空路線が短時間で撤退に追い込まれ、その後JRは格安切符をすぐに発売中止にしたようなことが非難されるべき。



 よって、山形線は富士交通撤退後も、運賃は据え置いて本数も増やしていますので、独禁法違反と文句言われる筋合いはないのでは。


高速バスでは独占でも、ほかにJRとも競争しています。



 ところで、宮交・山交主導で増便攻勢を行い、非常に便利な山形線と比較して、


まだ、競争が続く福島線ですが、既存各社と富士交通連合のバスダイヤをあわせてみました。



平日仙台発福島行(無印は既存3社。富は桜交通も含む)

06:00富
07:00富 20
08:10富 15     45
09:00富 15     40富 50 
10:   20  30富 40
11:00富 20        50富 55
12:   25     45富
13:10     40富 45
14:   20     50
15:10  20富 25  40富 52
16:   15     40  55富
17:00  15     40富 53
18:   13  30富 40  50富
19:00  15        50
20:10富    30
21:10     35
22:00富


 山形線と比較して本数が少ないのは、新幹線との競合もあるから仕方ないとして、


以前よりかなり本数が増えた割には使いにくいダイヤです。まるで、仙台近郊のJR線のよう。5分間隔の後に30分待ちとか。


 こういう大手と新規参入業者の競争だと、価格競争と、小手先のダイヤ設定になってしまうのは止むをえないものの、時刻の調整とかなんとかならないものでしょうか(そうすると、富士交通が望む、既存3社+新規参入2社での5社共同運航しかないですが、まずありえないでしょうし。)



 富士交通のおかげで、既存各社の刺激になり、価格の低下、本数の増加など、消費者にとって選択肢が広がり、この点は評価しなければなりません。


 ただ、大手と真っ向から戦わずとも、経由地を工夫したり、最終を延長したりと、キラリと光る個性を出していければというのは甘いのでしょうか?


特に最終延長は、楽天効果を考えても、ナイター後の需要などが生まれてくると思います。例えば、仙台23:30分発山形・福島行、ただし運賃は倍の深夜バスとか。



 現時点で全国有数のドル箱バス路線である、東京⇔つくばセンター線は、今年8月のTX開業による乗客減を見越し、これまでの終バス23時から一気に1時間半も延長し、東京24時半発の深夜便の運行を始めました。運賃は通常の倍近いですが、こういう競争もあるのではと思います。
http://www.kantetsu.co.jp/bus/highway/center/center_jikoku.html


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