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2004年12月 2日 (木)

楽天2軍本拠地



 ここ10日間ほど、連日のように「2軍の行方」が河北新報の紙面を賑わせています。


現時点の流れとしては、”2軍は山形”がほぼ決定しつつある流れのようです。


この件については、いろいろと賛否があります。


最近緊密化しているといわれる仙山圏を考えると、


『仙台だけがいいとこ取りをするのでなく、お互いが役割を分担して相互に行き来できるような都市圏が理想』ですので、


チーム名からみても、東北全体で支えるという姿勢が大切です。その点で、山形に決まれば支持層の広がりなど1軍にもメリットは生じてくるでしょうね。



仙台:野球(楽天1軍)、サッカー(J2ベガルタ)、バスケ(89ers)
山形:野球(楽天2軍)、サッカー(J2モンテ)、バレー(東北パイオニア)

 と、仙山圏は全国有数の(プロ)スポーツクラブが集積する圏域になり、


サッカーはダービーマッチでライバル意識を持つにしても、


野球やバスケ、バレーは、お互いに応援していける環境になればいいと思います。


パイオニアも仙台で試合するとかね。



ただ、楽天2軍の検討過程で不可解なこともあり「はい、そうですか」と単純には言えない気分です。


3つの点で疑問があります。




1.決定プロセス


2.山形で2軍運営面での課題


3.仙台側のスタンス




1.決定プロセス


時系列的に追ってみます。



これまでの流れは、3つの時期に分けることができます。



a.プロ野球機構への新規参入申請(10月)


b.楽天の参入決定後(11月前半)


c.最近(11月後半)



 楽天は、新規参入の申請時には、「1軍、2軍とも仙台本拠」としていました。


それに対し、ライブドアは「2軍は仙台にはこだわらず、秋田や岡山などの可能性も」とのことで、


地域密着の観点から楽天の方がポイントが高かったはずです。



 もちろん今回の新規参入決定には、2軍本拠地以外にも様々な要素を総合して決定されたものですが、


楽天が2軍も仙台に本拠を置くという前提で申請を認められたのに、それを変更するとなると問題ではないでしょうか。


申請ではうそを書いてもOKということになります。


それじゃ、落選したライブドアにとったら納得がいかないでしょう(別にライブドアを支持しているわけではないですが)。



 新規参入の申請時には、仙台に2軍本拠を置く前提として、「JT球場及び練習設備の利用」を前提としていたわけであり、


楽天は「賃貸で」という前提で想定していたようですが、JT側は最初から「野球場部分も含めた敷地全体の一括処分」を希望していたわけであり、


楽天側の見通しが甘かったといわざるを得ません。


また、それだったら当面の間賃貸、5年後に取得など、代替案などの提案はなかったのでしょうか?



 また参入決定後の、11月5日のパリーグ理事会では、「2軍も仙台本拠で」という方針が、他のイースタンリーグに所属する球団から攻撃され、


「移動費がかかるから仙台ではなく、関東にしてくれ」という方針があったにも関わらず、「仙台でお願いします」という話で了承を得たばかり。



 それが11月下旬に入り、JT及び宮城県内他球場との交渉が難航し、山形からの熱烈なラブコールがあり、



・仙台からの近接性(高速道路で1時間以内)


・球場周辺設備の改修、合宿所の建設など、設備面でもサポート



を売り出し、宮城・仙台側も自治体としては容認ムードで、このまま山形に落ち着きそうです。


ただ、楽天側としても、苦肉の策で迷走しているという雰囲気はあり、運営面を考えたら、仙台が優位なのは確かです。


確かに、最終的には楽天野球団側が決定することであり、山形県も球団に対して誘致活動をしていますが、


本来であれば、「球団・宮城・山形」がひとつのテーブルについて、お互いの役割や運営面での課題・連携面などを話し合って決めないと、将来に禍根が残る原因にもなりかねません。


球場の2軍は、工場誘致とは違うんですよ。



宮城の対応は、大人の対応という評価を得たがっているようですが、単に策が尽きただけの行き当たりばったり。


山形の対応は、球団誘致と工場誘致を一緒にしている面があり。ただ、改修費の負担を行うという覚悟は宮城側よりもえらいですが。



2.山形で2軍運営面での課題



 イ.首都圏・仙台との交通手段の貧弱さ


 ロ.気候の厳しさ


 ハ.選手の生活面


 ニ.1軍(仙台)との有機的な連携



 以上の課題を認識しているのでしょうか?


イ.交通の貧弱さ


 『山形は、仙台から車で一時間!』というアピール。


周辺県は、仙台をどんどん利用すべきだと思うので、


こういう姿勢はいいと思うのですが。。。



 すべての移動は車が前提になりますね。


1,2軍の入れ替えや、1軍スタッフの2軍視察も。


首都圏を考えれば、普段は渋滞はないも同然なので、あまり支障はないと思いますが、


車で一時間っていっても、間に奥羽山脈をはさんでいるので、天候も違うし、


道路は、国道48号と、山形道の実質2本しかないので、通行止めもあります。


道路が少ないことから、観光シーズンは週末を中心に大渋滞がありますし、そのリスクをどう考えるか。。。



 公共交通機関も、対仙台では貧弱すぎます。


新幹線や特急があれば、一般客ともあまり交わることなく移動できますが、


選手が一時間に一本の仙山線快速に乗るとは考えられない。


高速バスも本数は多いものの、選手が乗るような交通手段ではない。


それに、練習場も球場も山形駅から離れているから、車で山形駅まで行くしかない。


そうすると、車で仙台までということになるでしょうね。



 また、首都圏との移動についても、山形新幹線はありますが、


本数も1時間に1~2本と少なく、また編成が短いことから恒常的に混雑しています。


練習場が予定されている天童駅ではさらに少なく2時間に一本程度。


急な出発となると、指定席が取れないことが多いなど、仙台と比べるとかなりの制約が発生してきます。


それに、在来線区間が悪天候に弱く、よく遅れます。


(仙台であれば、1時間に3~4本新幹線が出ており、混雑時でも仙台始発であれば確実に座れるなど、


首都圏との移動にストレスは感じないのと比較すると厳しい面はあります)


 イースタンの他球団の選手の移動面でも、指定席の確保面で困難が生じる可能性があります。


仙台まで新幹線で、そこから貸切バスで移動という形でしょうか?



 また、来年のメンバーは関西方面出身が多く、関西・九州方面との飛行機での行き来が多くなりそうですが、


その選手たちにしてみると、山形空港は貧弱で、仙台空港を使わざるをえない。


その点で、仙台に二軍がある場合と比較して、空港が遠く感じます。



ロ.気候の厳しさ


 車の一時間の距離とはいえ、気候は大分違います。


冬なんて、仙台は快晴、山形は吹雪なんて日があるくらい。


山形は、夏は暑く、冬は寒いという盆地型気候。夏は日本最高気温を記録したことがある。


冬は、日本海側であり、雪の量もかなりのもの。


仙台は、暑さは大分ましで、数年に一度やませ等の影響で極端な冷夏になることもある。


冬は、確かに寒いものの、雪はあまり降らず、積もっても通常は10cm程度。



 基本的に、選手たちは冬は実家帰省や春季キャンプなどで不在にしていることが多いので、


影響は少ないのかなとも思いますが。



ハ.選手の生活面


 2軍は若手、及び独身者中心で、選手寮への居住が中心になるでしょう。


とはいえ、家族持ちのベテランもいるでしょうし、彼らはどこに住むことになるのでしょうか?


他球団時代は、大都市に住んでいたわけですから、仙台でも不安なのに、山形の可能性がある時点で奥さんが嫌がったりして。


1、2軍を行ったりきたりの選手は特に(日ハムとかはどうなっているのでしょうか?)。


仙台、山形の中間ということであれば、愛子*


あたりが中間点になるのかもしれませんが、


あそこに野球選手が住むというのは想像できない。。。



 また、1,2軍関係なく若手向けの選手寮は必要であり、在京の他球団は1,2軍一緒に寮を設置し、


入寮を義務付けていることが多いようです。


楽天の場合は、仙台にも1軍向けの寮を設置することになるのでしょうか?


まさか、基本的に2軍山形の寮に入り、1軍の試合には山形から毎試合車で通う形になるのか?



 まぁ、2軍が山形の方が、1軍にあがるというモチベーションがあがるのは間違いない!


山形は遊ぶところはないし、野球に打ち込めるかも(国分町に溺れることもなし)?


ただ、最初は山形生活が前提となると、入団を避ける新人選手が現れたりして。。。


 


ニ.1軍との連携


 交通面や生活面での課題とオーバーラップしますが、


新球団で、フロントや現場のコーチ等が選手のことを把握し切れていない段階だと思うので、


なるべく、1,2軍は近くに居たほうがいい気がします。



 1軍との入れ替えが機動的にやりにくくなります。


それに、1,2軍がまったく別なところで活動していると、


例えば「2軍の若手が1軍コーチの目に留まる」ということがあまりないのかなと



 これは、試行錯誤でやっていくしかないのでしょうが。


日ハムもなんとかやっているようだし。



3.仙台のスタンス


 確かに、「東北の中心都市としての自覚から、東北の他県への配慮を」というスタンスを実行した形です。


もちろん、山形からの宮城球場への集客は確実に増えるでしょう


(ただ、11/20の仙スタでのみちのくダービー。山形は昇格がかかっている状況なのに、たった1000人程度しか来なかったというのにはびっくり。それを考えるとあんまり集客増は見込めないのかも)


ただ、もろもろの条件を検討尽くして、2軍は山形でというのであれば納得できますが、ろくな交渉もせずに、「金もないし、1軍さえあればいいや」というように感じるのが引っかかります。


「愛島が遠い」とのことですが、山形よりは近いはず。


今回交渉したJT,愛島、パークタウンのほかにも、あまり使われていない名取のNTT球場や、利府の野球場など、代替案はあったはずで、JTにしても、すぐに交渉をあきらめるのは疑問。


せっかくの立派な施設を生かすことができずに、取り壊されてしまうのは、JT側としても不本意でしょう。



 それに、どちらにしても、1軍の練習場は必要なのではないでしょうか?


仮に宮城球場で練習するにしても、雨天練習場は必要だし、そう考えると、JT球場に1,2軍の練習場を設けるという選択肢がベストに思える。


宮城球場もアマの試合もあるし、練習でそんなに使えない。そうすると、1軍の練習場はどこに確保するの?



 実際に、球団が成功するためには、球団自体の魅力を高めることが必要です。


1,2軍が仙台にあることで、市民にとっては普段の練習を見学することで、若手選手への愛着を高め、


その若手が1軍に上がるというプロセスを楽しむことができます。


その可能性を放棄したことへの、市民への説明がないように感じます。


まだ、藤井市長の説明は努力をしたという誠意が感じられましたが、いつものように、浅野知事の説明は言葉が軽いというか、


「民間の選択に、公共は口を出せない。だから、楽天さん勝手に決めて」という、投げやりな感じでした。


「楽天が勝手に来た」というスタンスかもしれませんが、県のそういう態度が続けば、球団側も愛想を尽かしかねません。


 


 都市間競争が激しくなる時代に、このような態度をとることは、非常に疑問を感じます。


また、二軍とはいえ高年棒の野球選手たちが宮城県内、仙台市内に住めば、その分所得税や住民税が自治体に入ってきます。


(例えば、宮里藍は賞金やCM出演料にかかる所得税や住民税を仙台市に納めるのでしょうし。・・・後日追記:納税者ランキングより、宮里藍は沖縄の出身の村に納めたようです。仙台の地下鉄沿線に住んでるのに、なぜだ?。)


選手の住居選択にしても、球団の運営にしても、仙台に1,2軍があるのが理想のはずで、


イースタンの他球団にしても、それを望んでいたはずです。



 とにかく、決まったのならば、仙台・山形連携して、東北の球団としてがんばってほしいと思いますが。


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