商業

2023年6月 7日 (水)

札仙広福の人口密度比較 その3 北の200万都市!札幌編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープン騒ぎの週末も終わったので、『札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編に続き、北海道の富を独り占めする200万都市札幌編です。

 札幌へは、4年前に18年ぶりに訪問しました。その間北海道に行くことは3回ありながら行き先が函館のみだったり、新千歳空港からレンタカーで富良野などの目的地に直行したりして、札幌の優先順位が低くなってしまったのは、北海道の広さと観光名所の多さ故。

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 やはりその直近の訪問時でも、札幌への滞在は初日の夜から早朝までと最終日の午後のみで駆け足での滞在となったことから、札幌オンリーでまた行きたくなっています。エスコンフィールドもオープンしたし。

 まずは前回同様、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

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まんべんなく高密度の都心部

  仙台と比べると、とても同じ縮尺とは思えないほど、地下鉄駅や市電環状線内を中心として真っ赤な高密度エリアが固まっており、その周辺に面的に8000人/㎢以上のオレンジのエリアが覆いつくしています。仙台で目立つ黄緑色は一部にとどまっているほど、平均的に高密度な市街地が広がっているのが分かります。また、仙台にはほぼない紫色の超高密度のエリアも、市電環状線内や地下鉄東西線の琴似駅、円山公園駅周辺に分布しています。

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 なお、都心部の市街地内に一部真っ白のエリアがありまあすが、札幌駅や桑園駅の北側は言わずと知れた北海道大学のキャンパスや札幌競馬場、札幌駅の南側は道庁をはじめとしたオフィス街と北大植物園で、街中であっても広大な緑豊かな空間が広がっています。また、大通公園も街のど真ん中に横たわっているほか、円山公園駅の西側は北海道神宮や円山公園などの憩いのエリアです。また市電エリアの南西には展望台で有名な藻岩山があり、都心部の程近くに緑あふれる空間が広がっています。

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信じられない人口激増

 札幌市の発展の象徴としては、昭和47年の札幌オリンピックを機に開発が進んだという印象ですが、それだけでなくその前後コンスタントに人口が激増してきました。

 昭和30年頃では当時の市域人口42万人と仙台市とほぼ同規模でしたが、そこから隣接した豊平町の合併の他北海道内から札幌への物凄い人口の一極集中が進み、昭和40年には10年間で何と2倍の80万人に、昭和45年には100万人の大台を突破し、オリンピック開催年の昭和47年に、福岡市や川崎市と同時に政令指定都市になっています。仙台では100万人へ到達するのに45年かかったのに、札幌はわずか15年と信じられないスピード。

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札幌市HPより引用】

 理由として、道内都市の跡継ぎでない次男三男が札幌を目指したこともありますが、産炭地の急速な衰退・閉山で夕張・空知などから流出した人口が札幌に向かい、人口ダム機能を果たした面があり。これは筑豊炭田の閉山での福岡市も似たような面があります。震災での人口流入はせいぜい数万人の仙台市と比較しても桁違いの人口流入が生じていました。

 また、東京に近く陸続きである東北は、仙台を経由せずに直接東京に移ることの抵抗は小さいのと比較し、北海道内で札幌に留める力は大きなものだったのでしょう。それは九州における福岡も同様。

 現在の市域人口だと、昭和35年の約60万人から昭和55年の140万人までの20年間で80万人増と信じられない激増ぶり。5年毎に平均20万人以上ペースで人口が増え続けています。

 さらに、そこから現在までの40年間で人口増のペースは落ちながらもそれでも更に50万人増加し、200万人に迫っています。

地下鉄の存在感の強さ

 札幌の地下鉄建設の際に、「熊でも乗せるのか?」という嫌味な大蔵省の役人が言い放ったという逸話がありますが、その時で100万人近い人口だった札幌に対して、何を言っていたのかという感想。確かに3大都市圏に続く地下鉄建設構想だったとはいえ、東京目線の見下す視点は気持ち良くない。

 その札幌の地下鉄が認められていなかったら、そのさらに後発で人口規模も小さい仙台市の地下鉄建設が認められる訳がなく、またはかなり遅れてしまっていたでしょうから、札幌には感謝しないと。

 札幌冬季オリンピックの前年に、第1期として整備された南北線の真駒内ー北24条を皮切りに、2000年までに南北線、東西線に続き、3本目の路線として東豊線までの48kmが30年弱で整備されながら、先行の南北・東西線は良い時期の建設だったのに対し、バブル期の高金利時期に建設した東豊線の債務や利子負担の大きさと、その後の南北・東西線の乗客が伸び悩んだことで、借入金を返済するのに精いっぱいとなり、構想にあった東豊線南進での清田区延長は現在まで着手に至っていません。最後の延伸が1999年の東西線琴似ー宮の沢間で、そこから24年間路線が変わっていません。少なくとも人口は15万人以上伸びているのに、既存の地下鉄やJR沿線で吸収しているために、沿線の人口密度が高まり続けた印象。また近年は都心部のタワーマンションが恐ろしいペースで建設され、裕福層を中心に都心回帰の様相も。

 地下鉄の利用者数も多く、コロナ前の乗車人員では計60万人超で、コロナ禍でのR3年度では計50万人を割っていますが、それでも仙台乗車人員の2倍を優に超える乗車人員で、その沿線は稠密な市街地が広がっています。

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Wikipedia 札幌市営地下鉄 より引用】

 特に人口密度が高いエリアとしては、大通から南東部の東西線と東豊線、南北線が密に3本平行している地区。

 札幌ですごいと思うのは、その高度成長期をはじめ近年を含めた激増した100万人以上の人口を、可能な限り旧市街地に近いところから順次進めた開発地で収容しようとしたところ。それは開拓地北海道ならではなのでしょうが、それらの住宅地は結果的に同時並行的に順次延伸整備された地下鉄沿線3路線6方面や、JR化前後に設置された10駅以上の新駅周辺を中心に開発しています。

 いわゆる駅から離れた住宅地群は、東豊線延伸が待ち望まれながら長年凍結されている清田区のエリアや、札幌駅から北東部の函館本線以北の鉄道空白地帯位で、そういった鉄道空白地帯や駅から多少離れたエリアもバスでカバーされ、最寄りの駅に接続している印象です。札幌市は、特に地下鉄ーバス乗り継ぎ割引が充実しているということも。

 地形が基本的に平坦で、開発可能地が広がっていたためとはいえ、それでも住宅地の地価水準が仙台よりも平均で安いというのは、交通の利便性や都市規模を考えると驚き。昔の話ですが、北大に行った知り合いから、札幌駅近くで家賃3万円が普通と聞いて驚いたことがありました。最近は上がっているにしても、冬季の暖房費を含めても住居費に関しては恵まれています。

 また、ホットなエリアとして、JR苗穂駅の駅舎移転にあわせた駅南北へのマンション林立も進んでいます。

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仙台のスプロール住宅地展開

 仙台市でも高度成長期の東北各地からの人口激増がありましたが、政令市化の時点で市域人口の約半分を占める40~50万人規模を鉄道駅から離れた丘陵部のニュータウン開発で収容せざるを得ず、地下鉄開業前では、市内の鉄道沿線の計画的な住宅地開発は限られました

 JR仙石線沿いは、昭和50年代新設の中野栄駅北側のエリア、JR東北本線は南仙台駅西側の西中田・柳生のエリア付近に留まり、その他鉄道駅付近での区画整理は行われませんでした。地下鉄開業を見据えてのものは、南端の長町南駅と富沢駅の間、そして北端の泉中央駅と八乙女駅付近で区画整理が実施された位で、このエリアは現在でも良好な都市基盤が残り、マンション適地の住宅地として人気を集めています。

 そしてJR仙山線の国見・北山駅付近は駅ができる前からの乱開発が進み、JR化を見据えた都市内交通重視の流れから新駅開設と増発が行われましたが、基本的にニュータウン型の住宅地は軒並み駅勢圏外で、特に仙台市北部は北環状線の内側がそういった開発で埋め尽くされました。

 当時は市北部方面とを結ぶ幹線道路が現在の仙台泉線で双方向で3車線しかなく、数珠繋ぎのバスで交通麻痺がおこっていたことから、都市規模に比して贅沢と思われた地下鉄南北線が国から認められましたが、それでも面的に広がったニュータウンや乱開発住宅地を1本の地下鉄でカバーできる訳がなく、南北線の北部は、泉中央と都心部を結ぶ郊外電車となり、さらに富谷などの遠方の開発を促進する皮肉な側面もありました。

 仮に昭和40年頃に進められ破談となった仙塩大合併による政令市化がもしも失敗していなければ、当時の重要都市であった塩釜市との間で開発余地があった、東北本線と仙石線の間などの開発が進んでいたのかもしれませんが、東部の田園地帯は耕地整理も進んでいた故に農地法の転用制約があったため、当時はより開発に関する制約が小さい仙台北西部や北部の丘陵地が地権者自ら進んで、もしくはデベロッパーで取り合いとなり、その『ニュータウン内』としては整った住宅地であっても、『ニュータウン同士』及び『都心部との交通』が何も考えられていない全体としての乱開発を止められず、そのツケが現在に続いているという状況です。せめて仙台駅からバスで30分圏の北環状線まではやむを得ないにしても、東北自動車道(以下地図の左上の黄緑線)に及ぶ開発は止めて欲しかった。また、真っ白なエリアの未開発の田園や山の先に開発された泉パークタウンや利府のニュータウン群などの非効率さも残念です。

 下に並べたのは、より広域の両都市の人口分布図ですが、鉄道沿線であってもオレンジ色の分布が限られ、郊外部の赤色は長町駅や河原町駅、卸町駅付近に限られている仙台。

 改めて驚いたのは、人口が集積していると勝手に思っていた北の副都心の泉中央がオレンジ色にとどまっていること。長町のようなタワマンはないにせよ、現在進められている泉区役所再開発で賃貸住宅が併設されるとのことですが、 もう少し人気の泉中央に居住人口を集めるべきではと。

【仙台市広域図】

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 一方札幌は、地下鉄を中心とする鉄道沿線の駅付近は軒並みオレンジ色に塗られ、さらにより高密度な赤色が南北線と東西線を中心に広く分布していることから、人口規模が2倍近い都市であるとはいえ、雪国であることからの地下鉄沿線に集約するコンパクトシティの考え方が50年前から自然に実現してきたと言えるでしょう。

 あと、札幌で素晴らしと思えるところは、地下鉄が整備された時期が大店法時代ということもあるのでしょうが、各駅毎に当時のダイエーを中心としてそこそこの規模の商業施設やバスターミナルが併設されているところが多いこと。現在でさえ、ダイエーの破綻でイオンに引き継がれたり、さらに郊外の商業施設との競争で厳しくなっているところがあるとはいえ、地下鉄駅前にしっかりした商業施設が残っているのは、駅周辺人口の多さもあるのではと思います。

【札幌市広域図】

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再開発が進む札幌 

 1972年の冬季オリンピックとそれに合わせた都市開発ラッシュで成長した札幌は、前回の建設ラッシュから50年が経過し、建て替え時期に入っていることもありますが、東京五輪の汚職事件で誘致の機運が下火にはなっていながらも、都市開発の面では起爆剤として期待されている2034年の冬季オリンピック及び北海道新幹線延伸を目標とした札幌駅や大通駅周辺の再開発ラッシュに沸いています。

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 写真は現在北海道一の高さのJRタワーですが、これを超える関東以北最高高さとなる250m級のJR再開発ビルや、仙台に続くヨドバシカメラの複合商業施設が入る再開発ビルが札幌駅前に計画されており、大通地区でも至るところで高層ビルによる再開発が進行しているのは驚愕もの。

再開発の出足が遅い仙台

 まぁ、仙台の建築ラッシュは東北新幹線開業の1982年から地下鉄開業の87年、政令市化の89年に至る約10年間なので、札幌と比較して10年間はピークが遅いことから、まだ建物が新しく再開発が切実な問題になっていない面があります。

 とはいえ、その建築ラッシュの前に建てられた電力ビルや市役所は築60年で現在建替え・再開発が始まっていますし、駅前のイービーンズもそれに電力ビルに近い築年数であったり、リニューアルで延命するもの限界に近づいています。

 結局このような再開発は、何やら言いながら先に着手したもの勝ちのところがあり、特に商業テナントやホテルなどの誘致に関しては先に手を挙げたほうが先行者利益を得ることとなり、また昨今建築費の増大が進行中であり、チキンレースとなりながらも、徐々に電力ビル再開発に触発され、藤崎周辺やさくらの、読売仙台ビルなどに波及していくと思っています。

札幌にも迫る人口減

 このように北海道中から人口を集めて200万人に迫るまで成長してきた札幌ですが、200万人に届くか微妙な状況で、特に深刻なのは高齢化率の高さからの自然減の増加ぶり。札幌は高齢化率の高さとボリュームの厚みから、近い将来始まる急激な人口減少時代をどう切り抜けていくかがテーマとなります。札幌市の予測では37年後の2060年度に143万人と現在よりも50万人以上も減少することに!

 令和3年末現在の高齢化率は仙台の24.8%(政令市のうち下から4番目)に対し、札幌が28%(同 上から8番目)と高いのは、旧産炭地からの人口流入の後遺症や札幌に出た子供達が親を呼び寄せ、また高い医療サービスを求めての自主的な流入などによるようです。

 利便性の高い鉄道沿線の住宅地には穴埋めで流入する動きもあり、基本的に人口減は周辺の不便な住宅地から始まるものと考えられますが、人口減時代にどのように住宅地をたたんでいくかという観点は、仙台よりも一足早くダイナミックに人口が減少する札幌をお手本として、注視していきたいと考えます。

過去記事

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2023年6月 3日 (土)

ヨドバシ第1ビルオープン 今後の展開は?

 昨日、仙台駅東口目の前に待ちに待ったオープンとなった「ヨドバシカメラ仙台第1ビル」。

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仙台での30年余の歴史

 仙台での支持が半端ないのは皆実感されているでしょう。オープンから30年以上支持され、またライバルの家電店を次々と蹴散らし、その需要を飲み込みその都度店舗がパワーアップされてきた歴史です。

 西口イービーンズのさくらや、東口のラオックス(現Bivi)、クリスロードのソフマップという外様勢はあえなく数年で退散し、そして約15年前に西口の旧十字屋ビルに鳴り物入りでオープンしたヤマダLabiの状況は知っての通り。

 1991年に初代店舗が現在の西口プレイビルにオープンしてから、間もない東口への移転、全国に先駆けた1997年マルチメディア仙台のオープン、2012年の仮店舗とは思えない第2ビルへの売り場倍増移転、そして今回の大本命第1ビルへの移転オープンとなりました。

 自分のゴールドポイントカードは、初代店舗で作ったもので、店名一覧に「仙台駅前店」と記載されているもの。その時は、仙台で10店舗目で、首都圏以外への初進出が仙台でした。その後、郡山、新潟、札幌、博多、梅田と全国展開して行ったそのきっかけが仙台というからに、ヨドバシにとって重要拠点であり続けています。

 なお、初代店舗オープンからマルチメディア仙台のオープンまでの6年間が最も目まぐるしかったのでは。その後東口店をオープンさせ、駅前店から改称した西口店と2店舗体制になり、その後仙台を離れていた時期なので鮮明には覚えていないものの、マルチメディア仙台に旧西口・東口店が統合されました。

 なお、今回のヨドバシバスターミナルに移転し閉鎖されたさくら観光バスターミナルの場所が数年間の短命だった旧東口店でした。
 旧東口店の跡地がさくら観光バスターミナルとして使用されたこと、またその発着高速バスが新バスターミナルに今回移転したことなどを考えると、絶妙な縁を感じます。

ヨドバシ新ビル開業 東北の玄関口に新たな顔 仙台経済界、活性化に期待

仙台市宮城野区のJR仙台駅東口に2日に開業した複合商業ビル「ヨドバシ仙台第1ビル」は、東北の玄関口の新たなランドマークとして注目を集め、オープン初日から大勢の買い物客らでにぎわった。まちづくりに携わる経済関係者からは、交流人口の拡大による仙台駅東口の活性化を期待する声が上がった。

 ヨドバシホールディングス(HD、東京)が運営する核店舗「ヨドバシカメラマルチメディア仙台」の入り口には開店前、約600人が並んだ。オープンと同時に勢いよく入店し、目当ての商品を買い求めた。

 前夜の1日午後9時から並び「一番乗り」となった青葉区の大学2年佐々木結人さん(19)は「駅からのアクセスが抜群。1回の買い物で、家電や服などいろいろ見られて便利」と喜んだ。モバイルバッテリーを買った30代男性は「売り場が広く商品も充実している。商品を眺めるだけで楽しい」と満足そうだった。

 マルチメディア仙台はヨドバシ仙台第2第ビル時代の約1・5倍に増床し、売り場は「家電量販店として東北最大級」(ヨドバシHD)。炊飯器やトースターなどの使い勝手を体験できるのも特徴で、原雄一店長は「体験コーナーで他店と差別化を図った。地元密着の運営を心がけ、仙台駅周辺の活性化につなげたい」と意気込んだ。

 第1ビル1階の高速バスターミナルも2日に利用が始まった。バス4台が停車でき、東京や大阪、名古屋などと仙台を結ぶ1日29便が発着する。東京行きに乗車した青葉区の大学生沢田拓哉さん(24)は「乗り場近くに店が多く、待合室もきれい」と話した。

 ヨドバシHDは、マルチメディア仙台が5月まで入居した第2ビルの新たなテナントを募集している。市内の経済関係者によると、薬局や診療所が入る医療モールを設ける構想が浮上しているという。

 仙台駅東まちづくり協議会の松坂卓夫理事長は「第1ビルに行くだけで、さまざまな買い物が完結するなど(ヨドバシHDは)地域に大きく貢献してくれた。7月の飲食店フロア開業後は、さらに買い物客が増えるのではないか」と駅東口の発展に期待を寄せた。(6/3 河北)

 自分は諸事情で、この週末には店舗に行けそうにないですが、各種メディアやtwitterなどでオープンの空気感は十二分に感じることができているし、レポートはそれらに任せることとします。

 なお、並んだのが約600名というのは、あすとヤマダオープン時の4~5千人と比較すると、思ったより少なく思いましたが、オープン日が平日かつ雨天の寒空、新規ではなく移転オープンという状況の違いもあるか。まぁ、そもそもこのヨドバシ第1ビルのオープンで完成形ではないのが凄いところ。週末の今はものすごい人出になっているでしょう。

今後の動き

  1.  7月末 1階と6階の飲食店街オープン
  2.  秋まで ヨドバシ第2ビルのリニューアルオープン
  3.  未定  ヨドバシ第1ビルB棟計画(ホテル?)

1.飲食店街の見通し

 ヨドバシのホームページのフロアマップですが、飲食店の予定エリアがマップ上に示されています。 

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1階は、バスターミナル側の3/5程度の予定範囲が示されており、

出店予定の飲食店のジャンルとしては、「カフェ・飲食店」「肉」「魚介」「寿司」「酒」「和食」「アジア」

6階は駐車場を除くフロアの約半分ですが、「丼」「魚介」「和食」「アジア」ジャンルの出店が。

1階と6階を合わせて、延べワンフロアのボリュームがあります。

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 従来型のテナントビルの飲食店街は最上階に設けることが定説で、例えば仙台パルコ本館はパルコとしての最上階である9階にレストラン街を設けていますが、眺望を楽しめるというウリとシャワー効果故。なので、第1ビル6階レストラン街は定石と思ったら、建物の構造によると窓際の眺めを楽しめる構造ではなく残念。

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その後にオープンしたパルコ2は、上層階にシネコンが入居ということもあり、各階の仙台駅側に飲食店が並んでいる他、朝市に繋がる1階は「パルイチ」として、10店舗以上が並んでいます。

パルイチショップ一覧 | 仙台PARCO-パルコ-

 仙台駅前はペデストリアンデッキが2階レベルに張り巡らされているためか、2階がメイン入口になっている建物は1階が必ずしも一等地ではないという現状があります。例えば、ロフトビルの1階は某パチ屋ですし、ヤマダLabiの1階は完全に空きフロア、パルコ本館も1階は駅前広場に面し、排ガスまみれの裏口の雰囲気があるなど、1階の活用は難しい。

 ヨドバシ第1ビルは、3階がメイン入口で、その上下各1層(2~4階)がヨドバシカメラ本体の売り場であり、1階はバスターミナルに隣接しているにしても、当初計画ではスーパーと物流センターを入れるとの話を聞いた時には、1階の使い方として思い切ったものを感じたものでした。

 結果的に、スーパーは後述のとおり第2ビルへ、物流センター機能は不明ですが、ECサイト購入での受け取り機能は3階入り口付近に設置とのことなので、大幅に1階の使い方を変更したうえで、必ずしも一等地ではないとの認識で6階に加えて1階にも飲食店を増やしています。

 ただ、高速バスの利用者は一人使いが多いことと、若者が多いので、コンビニやファーストフードでさっさと済ませてしまうイメージがあり、どちらかと言えば、半田屋やマックが入るBiviがその需要を吸収してきたところ。レストラン系と相性が良いとはいえない。

 どちらかというと、混雑しがちかつ価格帯が高めのエスパル東館から流れてくる飲食需要がメインとなるか。

 6階と1階に分散する位だったら、1階ワンフロアに飲食店街を集約した方がスケールメリットとして良かったのではと、1階の仙台駅側の活用が不明なだけに。

2.第2ビルのテナントについて

 決定しているのは、1階に石井スポーツとアートスポーツが(4階から移転)、神奈川由来の激安スーパーロピアの出店が決まっている他は聞こえてきているものははありません。

 ロピアはスーパーなだけに1階の東八番丁通側でしょうね。博多のように複数店舗展開を視野に乗り込んでくるのであれば、他の出店場所も気になるところ。

【6/4 追記】Twitter での求人情報によると、ロピアは第2ビル3階とのこと。第1ビルや仙台駅側からの集客に期待しているのかもしれませんが、ターゲットは近隣住民なので、あえて1階を避けた理由が分かりません。東七番丁通に新設のエスカレータで3階まで上がって入店というのも。。。1階の東八番丁通側であれば、駐輪場も近く立体駐車場も近いので使い勝手が良かったのではと。まぁ、何らかの考えがあってのことでしょうから。。。

 上記河北記事で、新たな情報として「第2ビルの新たなテナントを募集している。市内の経済関係者によると、薬局や診療所が入る医療モールを設ける構想が浮上」とのこと。正直う~んという情報ですが、現時点で1階さえ埋めきれない状況からすると、医療モールというのもありかなとは。

 第1ビルの5階テナントについても、ヨドバシが梅田や秋葉原、博多などの複合店舗で入居されている”お付き合い”のある店舗ばかりで、新たな斬新な店舗の入居は見込めないとは思っていました。

リンクス梅田と仙台ヨドバシの共通テナント

THE SUIT CAMPANY、ユニクロ、GU,ABCマート、Right on、coca、スキッズガーデン、モーリーファンタジー、JINS

それにしても、リンクス梅田に入居している大型専門店の中で、期待できる業種がないかなと思いながらも、

リンクス梅田の残る大型テナント

  • wework    ⇒(仙台)JRイーストゲートビルに入居
  • ニトリ    ⇒(仙台)西口ロフトビルに入居
  • ゼビオスポーツ⇒(仙台)あすと長町に大型店舗

 と、出店が期待できるものはなし。そもそもゼビオは梅田で石井スポーツと同じフロアに入居と、相乗効果というよりは喰い合いしそうな無理筋の選定。

 可能性がありそうな小型テナントとしては、「3COINS(名掛丁にあるが。。。)」,「GLOBALWORK(近年パルコなどの店舗を閉店、縮小気味)」、「DAISO(十分あり得るが目新しさ皆無。。。)」。まぁ小型テナントではまだほかにもあるかもしれません。

 そうなると、ユニクロやGUの大型店舗として第2ビルに移転であれば、併せて3階のワンフロアを埋めることは出来そうですが、それ以上、特に中途半端な2階は新たな店舗を開拓してこないと厳しい。将来を見越すとロフトビルやイービーンズビル建替え時のテナントの移転先として活用できそうですが、そもそもテナント料高そうですし、大型テナント入居させる場合は賃料の相談に応じないと厳しいと思われる。

3.B棟計画の行方

 現在平面駐車場となっている、第1ビルとP3立体駐車場の間の空間。

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Map

 明らかに見送りとなったB棟増築の可能性を残すつくりとなっています。

 そもそも、P3の立体駐車場を有効活用するのであればこのB棟でつなげることは必須であり、見送られたZEPPや中クラスのシティホテル(東急エクセルホテル)などは期待しても良いかと。ただ、ヨドバシとして肝入りで進めてきたこのプロジェクト。第2ビルだけをみても上層部のオフィステナントはオープン11年経っても空きスペースが残り、今回の第1ビルオフィスも不透明。第2ビルの店舗部分もどうなるかというところで、事業全体の採算性からするとちょっと不安があります。

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 もちろん、そごう・西武店舗への出店をもくろむほどのヨドバシカメラの財務の健全さからすると、心配は要らないとは思いたいです。

 落ち着いたころに、ぜひ自分の目で見に行きたいと考えています。

 

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2023年5月26日 (金)

仙台ヨドバシ新ビル オープンまで1週間!

3週間前の時点で本当に間に合うのか?と思われた工事進捗状況だったヨドバシ仙台第1ビル。

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 オープンの6月2日(金)の1週間前となる今日、ふらっと夕方に寄ってみました。

 東口ペデストリアンデッキより、新ビルと第2ビルを写してみました。

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このエスパル東館とヨドバシ新ビルの角の部分が、東口を代表する空間になりそうです。エスパルの飲食店が位置するこの2~4階のガラス張りの空間は映えますね。4階のスタバは絶好のアピールできる位置を抑えています。

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 5/14時点で店舗前のタイル工事真っ最中でしたが、その部分はほぼ仕上がっていました。

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ただし、第2ビルとを結ぶ通路部分は最後の仕上げの状況。

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これは通路内部。雨風の影響を受けずに第2ビルや新エスカレータを経由して東七番丁方面に向かうことができます。

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 新店舗内は、什器の搬入・設置が行われ、慌ただしい雰囲気を感じました。

 なお、第2ビルの現店舗は、ところどころ棚が空っぽの箇所があり、新店舗への移動真っ最中ということを感じました。

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 移転オープン前の2日間(5月31日~6月1日)は、さすがに休業して、移転作業に専念するようですね。

 南東側の壁面に回ってみたところ、東口正面入り口側にはなかった垂れ幕が下がっていました。

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 これが、ヨドバシ本体での取り扱い商品なのでしょうか。現在の第2ビルでの取扱商品とあまり変わらないような気がしますが、当然ながら品揃えは格段に充実するでしょうね。1階でのヨドバシ・ドット・コムの商品受け取りも格段に利便性が高まることに。

 営業時間は9時半から22時までと、現在と変わりません。駐車場は1600台とのことで、現在のかなり台数が850台と少ない状態からすると、倍増しますが、それでもオープンからしばらくは満車になりそうで、それ以前に周辺道路が麻痺するかと。郊外のあすとヤマダのオープン時でも駐車場は屋上まで満車にならなかったのに。

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バスターミナルも完成

 デッキやエレベーター、エスカレータと合わせて、総計21億円分を企業版ふるさと納税により仙台市に現物寄付したという太っ腹なヨドバシ。バスターミナルの全景を第2ビルとの通路から。舗装工事も完了し、デジタルサイネージが綺麗に並んでいるのが分かります。

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バスパースも3台が余裕で並ぶことができるスペースが確保されています。広瀬通宮交ターミナルはあれだけの本数を2台分でさばいていることを考えると、余裕がありますね。バス停の番号としては80番が付与されるようです。

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ただ、現時点で判明しているさくら観光とJAMJAMライナーで計12往復の発着のみ。

それも、格安高速バスは夜行の方が多いので、昼間はこのターミナルが宝の持ち腐れとなりそう。その分を昼行高速バスで有効活用されるのか。

従来の東口高速バスターミナル

 使用休止していたヨドバシ新ビル側の73番と74番バス停が5月16日から使用再開していました。なお一番東側の75番はまだ使用再開されていない模様。

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 ただ、コロナ禍での乗客減による休止便の発生、そして乗務員不足よりその休止便の再開の歩みは遅くなっています。

よって、高速バスターミナルが不足すると思われて、せっかく整備されたヨドバシ高速バスターミナルですが、そもそも東口の従来の高速バス乗り場に余裕がある状況です。なので、追加乗り入れの発表が待たれるところ。

 既存の東口71番には、盛岡便のうちJR担当便のみ乗入れていましたが、岩手県北バス担当便も6月1日より新規に乗り入れることになっています。盛岡便は基本は西口40番の宮交ターミナルからの発着ですが、このようにJR持ち以外での東口と西口ダブルでの乗降車ができる便が増えればと思います。

1階のデッキ下

 見違えるように、きれいに完成していました。

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 地下道入り口のこのあたりも、内装工事は途中ながらも、外観は完成です。

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変化なしの第2ビル地下道

 先日はシートで覆われていた地下道入り口が元通りになっていたので入ってみましたが、中に変化はありません。

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 第2ビルの店舗へは階段又はエレベーターで入ることは変わらず。第2ビルへは3階への連絡デッキにより仙台駅から直接入ることができるようになったことを考えると、駅前広場から最短での第2ビルへの動線とはなりますが、ますますこの地下通路の中途半端感が高まった印象。

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オープン間近

 満を持しての新店舗オープンセールは、金曜日とはいえ初売りを超える長蛇の列が発生するか。

なお、オープンの週末は楽天はホーム試合ではないので良かったですが、6月6日からは、ホームで何と阪神3連戦。ここは東口がカオスになりそうです。

 楽しみながらも、待ちくたびれて、買おうとしていた大型家電も購入してしまったので、特に買いたいものはないにしても、巨大な新ヨドバシと併設の専門店街により、駅前で1か所で見て回れる巨大商業施設は貴重。

 飲食店街の完全オープンもまだ先で、第2ビルのリニューアルも控えているので、まだまだ楽しめそうです。

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2023年5月20日 (土)

札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープンニュースが入ってきたので、間が空きましたが、『札仙広福の人口密度比較 その1 福岡都心部編』に続き、次は、G7広島サミットが始まったばかりの広島市編を。

広島へは、18年前に訪問して以来なので、福岡とともに行きたい都市です。

 ロシアのウクライナ侵攻や中国の覇権主義への対抗など、世界平和がテーマとして重要な昨今でもあり、被爆都市である広島でサミットが開催されるというのは、首相のおひざ元というのとタイミングも良かったんでしょうね。まさかゼレンスキー大統領も訪日するとは。

 

 

 市街地から隣接する宇品島に位置するグランドプリンスホテル広島が警備上絶好な位置にあったり、近接して広島都市高速の高架道路(広島南道路)が通っており、都市高速の封鎖や様々な交通規制など市民生活に多大なる影響はあるものの、サミットを開催できる都市であることを対外的に証明することに。また、サミットはいつも東京でということではなく、東京以外での開催が続いているのはガス抜きの面があれども対外的に都市をアピールできるので良いことだと思います。

宮城県では、有力な首相候補がいないどころか、いろいろ物議を醸しだす代議士さんばかり。

大物で期待できるのは、元防衛相の方位でしょうか。仙台は開催可能な警備が容易な施設が限られ、G7の閣僚会合では秋保の温泉旅館を使わざるを得ないという面でも、コンベンションインフラは弱いところが。

まずは、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

Centralsendai

人口密度の高い広島デルタ地帯

 都心部の紙屋町・八丁堀付近は広島城や県庁・中央公園などがある他、商業・業務機能が集積しているので、すっぽり人口密度が低いエリアですが、外側に隣接して赤色(1.6万/㎢以上)のエリアが離れ小島状に広がっている他、より高密度の紫色(2.4万人/㎢以上)の一角も点在しています。

 傾向として、高密度な市街地が広電の路面電車沿いに広がる傾向があるというのは、前回訪問した時も感じていましたが、面的に広がるデルタ地帯がほぼオレンジ(8,000人/㎢以上)で埋め尽くされており、基本的に路面電車やバスサービスの水準が高いというのも理由でしょう。

 逆もまた然りで、人口密度が高いので路面電車やバスの運行効率が良いのかと。

Centralhiroshima

 また、その路面電車沿いでの交通拠点である、JR乗換駅の横川駅、新白島駅、西広島駅をはじめ、距離的には多少離れた広島港との乗換拠点の宇品も高密度な市街地が分布しています。

 広島は地形的な制約で平地が限られていることから、デルタ地帯とその周辺に人口が集中し、その部分だけでも40万人程度を収容している(中区・南区・西区の一部)というのは凄い。最盛期と比較して減少気味で近年盛り返していますが、これら3区の人口密度は5,000人/㎢以上。

仙台では、同じような定義の都心部と城下町、主に市電沿線の旧市街地(仙山線以南、陸前原ノ町以西、広瀬川以北等のエリア)では町丁目別で足し合わせても20万にも届かない(青葉区約11万、宮城野区約4万、若林区約3万)

 広島でも周辺の丘陵地へのにじみだし開発が続き、現在市域人口の半分以上は郊外部となっていながらも、市域人口の3割以上がいわゆる旧市街に集まっているといのは強い。路面電車だけでなく、バスが複数社ひしめき運行しているという面も。

広島市中心部における均一運賃の設定に係る共同経営計画

Kyoudou

 前回訪問した18年前の時点では路面電車の運賃は150円均一で破格と感じたものでした。バスよりも安くデルタの大部分をカバーし、遅い(一部古い電車も)という宿命的な問題は抱えていながらも、路面電車を大切に守ってきたご褒美的な料金と感じていました。

 しかし、2014年の消費税8%時に160円、2017年に180円、2019年に190円と小刻みに値上げが続き、昨年とうとう220円となりましたが、それと同時にコロナ禍の苦境を逆手に、エリア内の路面電車やバスの共通運賃制度を導入しました。

 従来からこのエリアのバスは190円均一と220円均一エリアに分かれており、路面電車も190円均一だったところをバスの高い方の220円に値上げしたということになりますが、電車でもバスのどちらにのっても同一料金という分かりやすさをアピールとのことでしょうか。

Areamap

 仙台では一部の120円均一区間を除くと都心部のバスは160円or170円から、地下鉄は210円が初乗りということを考えると、以前の運賃と比較しても一見広島の初乗りが220円だと一見高いように思えますが、東西及び南北それぞれ約7kmの範囲が路面電車でもバスでも220円で移動できるということで、外からの利用者でも分かりやすい制度です。

 ただ、短距離のチョイノリには割高感は否めません。JR線からの紙屋町・八丁堀への乗り継ぎとしては、アストラムの新白島からだと本通まで190円で乗車時間はたった4分であり、横川や広島駅乗換と比較し路面電車の優位性が低下してしまうのではと。どこからJRを使うかによってトータルの運賃や所要時間は変わるとはいえ。

 なお、仙台の都心部地下鉄の210円均一で移動できる範囲は仙台駅から概ね半径3㎞以内(ほぼ旧市街をカバー)というのと比較すると、広島の方が一回り大きな均一エリアです。(対象エリアの写真は消費税改定前の200円均一時代のもの)

 この210円均一エリアを、乗換なしであれば両端の駅を10分以内、仙台駅での乗換ありでも15分程度の乗車時間で移動できるというのは定時制が保たれる地下鉄ならではの面もあります。

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ハード面の改善

 前回訪問時のレポートです

過去記事(一部記事内にリンク切れがあります)

 交通機関については一部アップデートされています。上述の共通運賃の導入の他、

〇 新白島駅開業

 JRとアストラムラインの交点に新白島駅が開業し、JRからの乗換手段として、広電路面電車以外の手段が生まれたこと(路面電車が各駅から都心部の紙屋町・八丁堀まで10~15分に対し、アストラムラインで5分程度と劇的に短縮)。

〇 JRの新型車両導入

 国鉄型車両が長く残っていた広島エリアですが、2015年頃から、順次レッドウィングと称される新型電車が投入され、電化区間の車両は新型車両に統一されたようです。一方、ダイヤ面では快速の減少をはじめ、当時と比較し減便が行われているとか。

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 その他、今後の話ですが、広電広島駅高架乗り入れ(2025年)や、アストラムラインの広域公園前ー西広島駅開業(2030年代)があり、特に広電の広島駅舎内への乗り入れは、富山駅内への路面電車乗り入れや小倉駅舎へのモノレール乗り入れに匹敵するインパクトとなります。

路面電車高速化は道半ば

 広島の交通・開発情報については、いつも参考にさせてもらっている、

AND BUILD HIROSHIMA(アンドビルド広島) (ab-hiroshima.com)

さんの充実した記事をご覧いただければと思います。

 広島に対する基本的な印象は訪問時と比較して、いい意味でも悪い意味でもそれほど変わっていません。

 雑感として、地下鉄が地盤や建設費の問題で当時の運輸省から建設が認められなかった反面、デルタ地帯に面的に残った路面電車をうまく活用しているとは思います。

 西広島駅や横川駅のように乗換駅のリニューアルも進んでいる他、車両面のアップデートは進み、長編成の低床型電車がかなり導入され、輸送能力はアップしながらも、ただ、120万都市の基幹交通機関としてはいかんせん”遅い、遅すぎる”という面に対する解決が進んでいないようです。

 今回のJR広島駅高架乗り入れ工事に合わせて、駅前の線路を短絡し数分は所要時間が短縮されそうですが、バスよりも遅いという問題は解決が難しい。乗降車時間の短縮のための、「信用乗車方式」もICカード限定で徐々に進んでいるようですが、外の住人から見る限りでは、宮島線方面へのバイパス線(西観音町ー白神社付近)を平和大通りに建設すれば都心部の紙屋町・八丁堀を経由できるし、比較的低コストで、5分以上の短縮効果があるのではと思いますが、路面電車を通すためには一部橋の架け替えが必要になるということで、中々進んでいないとのこと。

 ただ、費用対効果が絶望的なアストラムの都心部延伸の代わりとしてであれば、橋の架け替えしても十分に安価で改善効果が見込めるのではと思いますが、市の財政状況と事業者の思惑もあり、難しいようですね。

その後の仙台の軌道系交通機関の進化

 前回の広島訪問時は、「広島便利過ぎ!仙台ボロ負け」と感じた理由としては、広島の軌道系交通機関はフリクエンシーが確保され、10分以上待つことがほぼ皆無だったことと、仙台の交通機関が不便過ぎたのが理由ですが、その後仙台の軌道系交通機関は

 2007年 空港アクセス線の開業と東北本線(仙台ー名取間)の大幅増便

  同   新型車両E721系の導入

 2015年 仙石東北ラインの開業と仙石線各駅停車へ統一

  同   地下鉄東西線の開業で地下鉄が2路線となり、市内を面的にカバー

 2020年 東北本線仙台以南のパターンダイヤ化(5~10分間隔に)

 など、今後はあり得ないであろう新規路線の開業が2路線(+α:仙石東北ライン)もあり、ハード的にも大きく改善されました。

 また、待ち時間が約10分以下という条件を満たすのは地下鉄南北線、東西線、東北本線仙台ー名取間、仙石線の昼間以外と、この20年でだいぶ利用しやすくなった印象で、たまたま仙台での交通機関の進化が進んだ時期だったので、都市規模で上回る広島市の改善の動きが相対的に遅く感じられた印象です。とはいえ、

  JR   広島>仙台

  JR以外 仙台(地下鉄)>>広島(広電・アストラム)

  バス      広島>>仙台   

と、仙台は地下鉄2路線の強みはありながらも、JRはまだ広島の方が利便性が高いです。

郊外開発の傾向の違い

 広島では、可部線とアストラムラインが並行する北部方面だけでなく、広電宮島線と山陽本線が並行する佐伯区・廿日市市方面の鉄道沿線を中心に利便性の高い郊外住宅地が広がっています。住宅地開発には急峻すぎる地形もあり、郊外の開発は基本的にはJRやアストラムライン沿線を中心に行われています。郊外でも鉄道沿線にオレンジ色(8,000人/㎢以上)のエリアが広く広がっています。

 一部急峻な山を造成しての新興住宅地はあれども、面的にではない印象。

(広域の人口密度マップ)

Hiroshimawide

郊外に拡散した仙台

 一方、仙台は近年こそ利便性の高まった近年こそ鉄道沿線が好まれるようになりましたが、地下鉄開業以前の国鉄時代は比較的利便性の高いのは仙石線のみで東北本線は特急優先の都市間交通機関で使い物にならず。その後地下鉄南北線が開業するも、沿線の地価高騰で地下鉄駅近の戸建ては夢となり、クルマ依存型の郊外住宅地に住宅を求めざるを得ない状況となりました。

 急速に拡大した人口を収容するためとはいえ、仙石線や東北本線沿いの田んぼの開発が難しかったため、北西部の鉄道駅圏外のエリアを中心にダラダラと丘陵地開発が行われ、もはや取り返しがつかない状況です。一度拡大した市街地を閉じることは難しい。

Sendaiwide

 その地下鉄南北線も都市内の交通機関という性格は北仙台~富沢間で、北仙台以北は泉中央周辺ニュータウンへの郊外電車という性格が強く、実際この地下鉄南北線開業を見越して、泉中央駅からバス20~30分圏の富谷市を含む住宅地造成が急激に進み、更なる郊外化を促進した負の側面もあります。そのため、泉中央駅は仙台駅に続く2番目の25,000人/日 を超える乗車客を誇り、今は苦戦していますが、駅前型SCが成り立つ条件が整っていました。

 泉中央のアリオ 存続なるか?(4/24)

Izumiwide

 特に、富谷市の国道4号線に沿って北に伸びている新富谷ガーデンシティ、パルタウン大富などは地下鉄が泉中央駅まで整備され、仙台市中心部までの時間距離が短縮される前提で計画された郊外住宅地です。地価の安さから引っ越してきた住民に「地下鉄延伸」という夢物語をぶら下げて当選した市長もいますが、市中心部の人口密度が他の中枢都市と比較して低い仙台。都市圏の総人口が増えない中、これ以上既存鉄道沿線以外に市街地を拡散させる愚は犯すべきではない。

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 なお、東京からの急激な地方分散政策が行われて、受け皿としての住宅需要が高まるのであれば別ですが、首都東京中心に動いているこの国で、首都圏の不動産価値が下がるような政策が行われるわけはない。逆にそのようなことがあれば、東日本大震災後の数万人の受け入れでさえ、地価やマンション価格が高騰し、郊外の負の遺産の住宅団地(愛島台、利府葉山)でさえ売れてしまった過去があるので、急激な状況の変化があってもあまり望ましいことにはならなそうです。

まとめ

 広島については、地形や地質の制約から市街地の拡大や軌道系交通機関の整備にも制約が生じてしまっている上、大阪と福岡という両大都市に挟まれ、岡山の影響を受けるなど、悪条件の中でも中四国一の120万都市として、産業面でも製造業とサービス業がバランスの取れた発展を遂げていると思っています。

 プロスポーツについても、野球、サッカー、バスケと全て仙台の上を言っており、スタジアムもマツダスタジアムに続いて念願のサッカー専用スタジアムも都心部に3万人収容で来春供用開始であるなど、時間をかけてでも粘り強く実現していく土壌があり羨ましい。

 仙台にとっては、まだまだいろんな意味で格上の都市。参考にすべきところは数多くあり、久しぶりに訪問してみたい!

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2023年5月18日 (木)

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その3

さて、

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その2

の続きです。

Img_7343

改めてヨドバシカメラのプレスリリースを

ヨドバシ.com - ヨドバシ仙台第1ビル開業 「ヨドバシカメラ マルチメディア仙台」2023年6月2日(金)OPEN (yodobashi.com)

 

建築概要

施設名称  ヨドバシ仙台第1ビル
所在地   宮城県仙台市宮城野区榴岡1丁目3-1
開業日   2023年6月2日(金)
敷地面積   15,430㎡
延床面積   76,500㎡
構造・規模   鉄骨造地下1階地上12階建
駐車台数   約1,600台
フロア構成   1階       :飲食店、バス待合所、バスベイ
        2階~4階  :ヨドバシカメラ マルチメディア仙台
        5階   :物販、アミューズメント、サービス
        6階     :飲食店、自走式駐車場
        7階~9階  :自走式駐車場
        9階~12階 :オフィス(9,896㎡)
設計    鹿島建設 株式会社 一級建築士事務所
施工    鹿島建設 株式会社

Danmen

過去記事

ヨドバシ仙台第1ビル アセス変更後の計画が明らかに (2021/4/15)

とうとう決定! ヨドバシ仙台第1ビル開発計画始動(2021/2/13)

ヨドバシ複合施設「リンクス仙台」3年以内にオープンへ(2019.11.15)

とうとうヨドバシ再開発着工&ZEPP仙台再出店か!(2019.8.24)

仙台ヨドバシ第一ビル開発に動き ZEPP仙台再出店も? (2018/2/10)

ヨドバシ第二ビルにアフラックのコールセンター進出(2018/1/27)

仙台ヨドバシ再開発 H30年10月オープンに(2016/4/17)

新ヨドバシビルに音楽ホール&高速バス停設置(2014/12/30)

仙台ヨドバシ新ビルも16年春オープン!(2014/6/19)

ヨドバシ仙台店仮移転オープン(2012/4/26)

ヨドバシカメラ再開発(2012/2/10)

ヨドバシカメラは2~4階の3フロア

 仮店舗だった第2ビルの1~3階と同じく3フロアですが、売り場面積は何と22,000㎡!

各社の報道では、現在の店舗の1.5倍との表現で、疑問を感じていますが、現在の第2ビル仮店舗オープン時(2012年4月)の売り場面積は12,000㎡で発表されていますので、1.8倍なのではと。

 なお、震災1年後まで営業していた「旧 マルチメディア仙台」(2階建て暫定店舗)は6,500㎡だったので、12年で3.4倍の面積に拡大とは恐れ入ります。

 昨年11月にあすと長町にオープンしたヤマダデンキの店舗は14,876平米でワンフロアとしてもかなり広く感じていましたが、同じ3層でその1.5倍とは凄い。駅前のラビはさらに閑古鳥が鳴くでしょうが、ヨドバシの実質的なライバルはあすと長町店か。

関連記事

ヤマダ「テックライフセレクト」あすと長町にオープン その1(2022/11/7)

ヤマダ「テックライフセレクト」あすと長町にオープン その2(2022/11/11)

 ヨドバシカメラとしての直営売り場として、家電部門の品揃えが拡大するにしても、全ての品目を1.8倍にする訳にはいかないので、増える1万㎡をどう使うのか?

なお、キャンプ用品などは、系列の石井スポーツが第二ビル内で4階にあり、その後1階に移転予定なので、品揃えが被ることはしないでしょうし、一度現店舗からなくなった自転車は復活する可能性が高そう。また、人気のあるホビー関係は充実しそうです。

歩行者専用デッキネットワークが拡充

 仙台駅東口の既存ペデストリアンデッキと、第2ビルの連絡通路が直接連結され、仙台駅西口の広瀬通付近(ソララ、宮交高速バスターミナル)やイービーンズ付近から東西自由通路を経由して第2ビルの奥までの約800mの距離が段差なしでシームレスに移動できることになります。

Heimen

 東七番丁通からこの歩行者動線に繋がるエスカレーターも新設されたことから、楽天帰りの客もこの通路経由で仙台駅の東西自由通路に向かうことが想定されます。その1で触れたとおり、既存横断歩道の信号待ちが解消されることは大きいと思われます。

 惜しいのは、東口駅前広場から第2ビル地下に接続する地下道は相変わらず中途半端な活用になること。仙石線東西地下自由通路の東端出入口が40mと近くにあるのに、そこに接続されないのが惜しすぎます。

 また、1600台分の駐車場は、①第2ビルの立体駐車場、②第1ビル駐車場(地下連絡通路を経由)、③既存タイムズ立体駐車場と3か所に分かれることになりますが、当分の間はクルマでは近寄らない方が良さそうです。

高速バスターミナルのイメージ

Busterminal

 デジタルサイネージで、時刻表の表示ができるのは分かりやすいですね。バスベイは4か所あるとのことで、広瀬通の宮交ターミナルのバスベイが2か所であることと比較すると、4本の同時発着も可能な余裕を持ったつくりとなっています。

 このバスターミナルが、東京方面への格安高速バス会社だけでなく、既存の東北各地を結ぶ高速バスの発着にも活用されると良いなぁと改めて思います(しつこく何度も触れていますが)。

 ただ、宮交にとっては、ここに延伸すると、東口へチケット売り場の改めての設置が必要なこと、既存の西口広瀬通ターミナル利用者にとっては始終発ではなくなることがネックなのでしょうが、発車待ちのバスの路駐が周辺で渋滞を招いていることの解消につながるので、仙台市はうまく調整して欲しいと思います。

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新ヨドバシビルに音楽ホール&高速バス停設置(2005/1/4)

東西自由通路その4(バスプールの再編)(2012/1/29)

入居テナントはおなじみの顔ぶれ

 5階専門店街のテナントとして、ユニクロ、GU,ABCマート、JINS,モーリーファンタジー、ライトオンなど11店舗が発表されていますが、仙台駅周辺や郊外商業施設によくある定番のテナントであり、単独のでの集客というよりは、ヨドバシカメラとの相乗効果でついで買いなどをもくろむ構成なのでしょう。そもそも、既存のヨドバシカメラ併設商業施設(リンクスなど)でも定番であり、テナントとして呼んでくることができる顔ぶれが限られていることを感じます。ライトオンは仙台駅前など中心部にはなかったので、その点では初進出とはいえ、目新しさはない。

 ユニクロ・GUはそろっての出店とのことで、イオンモール名取のように隣り合わせであれば比較しての買い物が便利になります。

 なお、ユニクロ・GUとも仙台駅西口に出店済であり、この距離で共存できると考えているのか。アエルのユニクロは基幹店的な売り場面積で撤退は考えづらいですが、イービーンズのGUは建物の老朽化もあり、歩いて3分の距離で共存できるかが気になります。

 また、ABCマートはエスパル東館4階に小型店がありますが、さすがに近すぎるので、閉店して統合するのでは。

  仙台駅前 一番町エリア モール・ララガーデン アリオ&セルバ イオンモール名取
ユニクロ 〇(アエル) × 〇(ララガーデン) ×
GU 〇(イービーンズ) × 〇(モールパート2) 〇(セルバ)
ABCマート 〇(エスパル東館) 〇(ぶらんどーむ) 〇(ララガーデン) 〇(セルバ)
ライトオン × × 〇(モールパート2) ×

飲食店は?

 飲食店の求人情報では当初4月20日オープンとありましたが、一部店舗は7月末とだいぶ遅れますね。1階と6階に入居のようです。

情報が出ているものもありますが、ここでは割愛します。

スーパーは見送り?

 1階のに東口待望のスーパーマーケットが入居するとの話があり、ヨドバシの京都や福岡で出店しているロピアが有力との情報でしたが、もともと飛び地に単独で出店するのは物流上無理があるのではと思っており、今回の発表には入っていません。

 とはいえ、出店する福岡では6月のヨドバシへの出店も含めて4店舗出店とのこと。なので、仙台出店の場合でも複数出店を模索しているのか、それとも流れたのかが興味深い。

第二ビルは秋に改装オープン

 上述の石井スポーツがアートスポーツ併設で1階に移転するとのことですが、核店舗的にフロアの半分程度使う場合はそれでも2000㎡とかなりの広さになります。さすがにフロア全体の活用は厳しいか。

 その部分を除いても、1万㎡程度の売り場面積を埋めなければならず、ヨドバシのリーシング力からこちらも目新しいテナントは期待薄ながらも、気長に待つこととします。

 第2ビル仮店舗がオープンしてから11年も待ったこのヨドバシ新店舗。あと半月はあっと言う間でしょうが、楽しみでしょうがない。

行けたらレポします。

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2023年5月17日 (水)

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その2

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その1

の続きです。

その1では、ほぼ完成している部分を中心に取り上げましたが、しかし5月中のオープンは無理と判断せざるを得ない、また6月2日よく間に合わせるよなぁという部分も多々あります(5月14日現在)。

第2ビル(現ヨドバシ)への建物内連絡通路

 1階を経由せずともエスパル東館2階⇔ヨドバシ3階レベルでスムーズに移動できるようになっていますが、今は店内の一部を通り疑似オープン体験をすることができます。

 Img_7363

しかし、ここからみても、正面の部分はタイル工事中。

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第1ビル前面部分に近づくと、通路付近も明らかに絶賛工事中の状況です。

Img_7360

ヨドバシ高速バスターミナル

Img_7324  

屋根は立派に完成していますが、以前歩道として使われていたバスが停車する部分は改めて舗装工事を行う必要がありますね。

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その1で触れた、JAMJAMライナーの他にも、さくら観光など、福祉大東口キャンパス周辺の高速バスが移転するようです。

今の広瀬通ターミナル周辺の発車待ちの路駐高速バスを一掃するために、このヨドバシ新バスターミナルを積極的に活用して欲しいところですが、西口宮交広瀬通ターミナル発着便の延長は今のところは明らかになっていません。

東口高速バスターミナルも元通り?

 これまで工事のため閉鎖されていた、ヨドバシ第1ビル側のバスベイが2か所復活するのかな。

判明している限りでは、宮古行きの発車バス停が73番に移動するのみで、この復活するバス停を活用する訳ではなさそう。

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14日までは、エスカレーターを降りた先が、バスターミナル内を横断できる歩道として使われていましたが、ここも使用終了でしょう。

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以前はヨドバシ第2ビル方面の動線として使われていた、ヨドバシ新ビル側のエスカレーターが、使用再開していました。

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ただし、振り返った第1ビルの1階部分はまだまだ工事中。地下道への入り口も覆われています。

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第1ビル駐車場への入り口

 まだ、ゲートなどの機器の土台が露わになっており、設置はこれからでした。

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既存の立駐より

 この立駐は、新店舗の位置にプレハブ2階建てのマルチメディア仙台が位置していた時から使用されており、かなり年期は入っていますが、引き続き使用されます。

Img_7355

着工が見送られた第1ビルのB棟部分の敷地になります。ここは第1ビルA棟と立駐の間で細長いながらも意外に広い敷地が残っています。

この土地を使うとすると、もともと計画されていた中層ホテルなどでしょうか。この部分が埋まると立駐とB棟が結ばれ、A棟にも行きやすくなるので、早めの着工が望まれます。

Img_7351

なお、立駐の屋上からは、仙台駅が一望です。

P5142551 

以上で、先週末の工事中レポートは終了です。この状態から半月で完成させオープンするとは信じられない。

次回は、ヨドバシ第1ビルの概要を取り上げます。

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その3

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2023年5月16日 (火)

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その1

 GW前オープンが計画されていながら、工事の遅れとテナント部分の入居遅れも含め、いろいろな噂が飛び交っているヨドバシ仙台第1ビルでしたが、本日ようやく6月2日オープンが発表されました。

ヨドバシ.com - ヨドバシ仙台第1ビル開業 「ヨドバシカメラ マルチメディア仙台」2023年6月2日(金)OPEN (yodobashi.com)

 週末に状況を確認に行った際には、『絶対5月中は無理』という状況でしたし、バスターミナルが6月2日早朝到着便と出発便から使用開始とのアナウンスが出ていたことと、アーケードからヨドバシ新ビルに移転する店舗のオープン日から、既定路線の6月2日で発表されました。

 なお、そうはいっても、もっと遅れるかもなぁという状況でしたので、まずはめでたい。 

迫力のある巨大施設群

これは東口の宮城野通からの写真ですが、エスパル東館とメトロポリタンイーストと並び東口の光景をいっぺんさせたヨドバシの巨大な建物。

 この光景を知らない人に見せたら、メイン口と勘違いしてもおかしくないような立派な東口となり、もう駅裏とは呼ぶ人もいなくなるでしょう。

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南東角も建物は完成し、テナントの看板パネルを入れるのみ。このアールがヨドバシらしさを表現しています。

Img_7327 

東口ペデストリアンデッキからの写真。現在の仮店舗である第2ビルも見えます。天気も良く、みんな思い思いに佇んでいました。

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第1ビルと第2ビルの間の東七番丁通。左側1階にはそのバスターミナルが供用されます。
判明しているのは、「ジャムジャムライナー」の東京方面行きの発着。

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既に仙台駅東西に設置されている案内板には、既にヨドバシカメラが表記されています。

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南側のタイムズ立駐より。南側全景。第1ビル駐車場の足元はまだ工事していますが、ほぼ完成しています。

P5142553

ヨドバシ第2ビル近くの連絡通路に接続する東七番丁通からのエスカレーターも完成しています。

このエスカレーター経由すると、宮城野通と東七番丁通の長い信号の横断歩道を待たずに仙台駅方面に行くことができるので、体感的にも便利になります。

Img_7345

本当に、これらの写真を見ると、オープンしていると勘違いしそうな状況ですが。。。

次回に続きます。

ヨドバシ仙台第1ビル 6月2日オープン決定! その2

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2023年5月 7日 (日)

激化するSC戦争その3 イオンモール名取へ

 仙台圏南部で存在感を増すイオンモール名取。

 2007年2月末に仙台空港アクセス線杜せきのした駅前にダイヤモンドシティ名取エアリとしてオープンし、その後イオングループの再編で現在の店名へ。もう17年目になるんですね。

過去記事

試行錯誤が続く

 オープン時は、ジャスコと三越名取店を両端に配する2核1モール形式ながらも、早々に三越名取店が売り上げ不振で2009年に撤退した後に、1階にワールドのフラクサス、2階にコジマ、3階にダイソーとピュアキッズと、百貨店と比べた後継テナントの落差の大きさを感じ、その後も一時期はテナントの撤退と入替が続き順風満帆という訳ではなく試行錯誤していましたが、その現状を打開するために2019年に敷地北東側の杜せきのした駅とのデッキが繋がっていた駅隣接部分に約2万平米の商業床を増床し、現在の約8万平米に。ザ・モール長町&ララガーデンと比較し、一回り大きい規模に。

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過去記事

 仙台圏南部でオープン以来ザ・モール長町とララガーデン長町の牙城を崩し続けていながらも、実際に長町の両施設に異変が生じたのは、2019年の名取増床と2020年の新利府オープン後と感じます。もちろん両イオンモールの影響だけでなく、シネコンについては駅前のパルコ2へTOHOシネマズが2016年にオープンしたことも影響としては大きいにしても、イオンモール名取で名取市以南、新利府で宮城野区や若林区西部からの集客が落ちた印象が。

関連記事

空港アクセス線杜せきのした駅直結!

 駅を出て、右に曲がるとすぐ入口が見えます。徒歩30秒程度で入ることができ、増床前と比較するとかなり近くなっています。

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 なお、このアクセス線は2021年3月のダイヤ改正で昼間時間帯がきれいに20分間隔となり、杜せきのした駅を通過する快速1往復以外は、仙台方面が20分間隔の等間隔ダイヤとなり帰りの時刻が分かりやすくなったことも、来店者に対する割合は多くはないとはいえ、アクセス線の利用促進にもつながっているものと感じています。

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 これは夕方の時間帯でしたが、17時台からは約30分間隔となり、次の電車時刻を意識していないと厳しくはなります。

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 イオンモール名取については都心部や長町モールへの影響などの問題点はありながらも、評価できる面も多いと感じています。

名取市のイメージアップに

 仙台圏北部と比較してかつては仙南方面地縁者でなければ住居選択で選ばれ辛かった名取市方面。

 理由として、かつては、

  •  車両も古くランダムダイヤかつしょっちゅう遅れるJR線沿線
  •  名取市内でニュータウン的な街が駅遠の高館方面(ゆりが丘、那智が丘等)、愛島方面(愛の杜等)のみ
  •  大型SCが長町モールしかなく、名取市以南の商業環境はロードサイド型店舗のみ。
  •  高校の南北学区制のため、避けられがちの南学区(選択肢が狭く、教育環境が良くなかった)

それが、2007年以降は、

  •  アクセス線の開業による名取以北の増便かつ新型車両の導入で、使いづらいイメージを払拭
  •  これまで仙台圏ではあまりなかった駅近ニュータウン(名取りんくうタウン)が誕生
  •  仙台圏最大の大型モールオープン
  •  高校の学区制撤廃及び共学化で選択肢の拡大(二高も選べるように)

 ということで、震災の影響もありながらも、その後も名取りんくうタウンは仙台駅まで電車で直通20分前後という、泉や富谷のニュータウンと比較しての利便性の高さから、ほぼ新規分譲の余地がないほどの人気となっており、名取市の人口も8万人に迫る勢いです。

 それに、採算性が危ぶまれながらも県が何とか開業にこぎつけた仙台空港アクセス鉄道は、空港利用客だけでは成り立たず、途中駅開発を当てにして事業化にこぎつけたという背景があり、そのアクセス鉄道の利用者も空港利用者の増加とりんくうタウン居住者の増加、そしてこのイオンモール名取への従業員や来店者の利用が相まって、震災前になんとか当初目標の1日1万人に乗り、昼間の2両編成での混雑が問題になり4両編成への増結が行われる位になりました。

 単独では難しかった空港への鉄道アクセスの整備・利用客の確保に貢献しているという点も、社会的意義は大きいと感じるところ。

 なので、某町の無駄に巨大なSC(近くの人は便利かもしれないが、仙台都市圏として害が大きすぎる)と異なり一定の評価はしています。

回遊性の高いショッピングモール

 増床前の当初から、イオンスタイル側の核(西側)とユニクロ・コジマ側の核(東側)を3層で幅の広い吹き抜けの専門店街で結び、この吹き抜けを通じて特に意識をしなくとも吹き抜けを挟んだ上下階を含めた店舗を認識しやすいというのがメリットで、来場者及び出店しているテナントからすると死角となる店舗が少ないことが、回遊性の弱い長町モール&ララガーデンと比較しての強みと感じます。

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 なお、増床部分は吹き抜けなしのクローズドモールになっていますが、特筆すべきは曲線を描いている幅の広い通路で、ゆったり歩くことができるほか、通路の先の店舗も把握しやすくなっています(写真は増床時のもの)。また休憩できるスペースの多さも感じます。

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専門店の構成(長町モール&ララガーデンとの比較)

 イオンモール名取と長町モール&ララガーデンの専門店については、両方に展開しているところが多いですが、気づいたところを。

 ユニクロとGUは、旧三越名取店食料品売り場(その後ワールドが運営するフラクサス)だった1階の広大な売り場を分け合って店舗を展開しています。

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一方、長町モール及びララガーデンにはこのユニクロ・GUの両ブランドはありますが、ユニクロはララガーデン1階、GUはパート2の1階と、わざとなのか回遊しにくい商業施設群の両端に位置しています。

 その点、両方をはしごして見比べる気はおきず、その点イオンモール名取の方が利用しやすく感じます。

 一方、皮肉にも長町モール本館3階から撤退したFrancfrancの跡に入った3COINS+plusが、皮肉にもイオンモール名取では上下階に展開しています。

 なお、3coins+plusの規模としては、HPによると長町モール(超大型店)>イオンモール名取(大型店)とのこと。

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その他、両方のSCに展開している全国展開の専門店・テナントは多いです。

両方に出店: 
 雑貨 無印良品、3coins+plus,GLOBAL WORK、ダイソー、studioCLIP、yogibo
 ファッション ライトオン、ユニクロ、GU、タカキュー、ハニーズ、ORIHICA
 スポーツ・シューズ ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート
 その他 島村楽器

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一方、

片方のみ出店
 長町モール&ララガーデン ロフト、H&M、トイザらス、アカチャンホンポ、セリア、ディズニーストア、212KITCHEN STORE など
 イオンモール名取 Francfranc、ニトリデコホーム、コジマ&ビックカメラ、ビレッジヴァンガード、スポーツオーソリティ、STANDARD PRODUCTS など

 なお、ブランドが異なる同業種の専門店については、シネコン(ムービックス、イオンシネマ)、書店(紀伊国屋書店、未来屋書店)などがそれぞれ出店しています。

 飲食店・食品系については割愛しましたが、各SCの色が出ていますね。意外に長町モール&ララガーデンのみに出店している専門店が多い一方、イオンモールの方が駐車場無料ということで滞在時間が長く買い回り品に強みがある印象で、家電店やスポーツ用品はイオンモール名取に強みがあります。

 ただし、それぞれのSC内になくとも、近隣に単独ロードサイド店として存在する場合もあるので、あくまでもワンストップで買い物ができる参考として見て下さい(トイザらス&ベビザらスは、イオンモール名取東側のアクロスプラザ内にあり、逆に長町モール近隣のあすと長町にゼビオとヤマダデンキがあるなど)

空きテナント状況

 勢いがあるように見えて、増床棟2階において空きスペースもありました。

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 フロアマップを見る限りでは、1階は空きスペース無しですが、2階と3階に計6区画あり、特に最上階3階のピュアキッズ側(東側)に4区画が集中しているなど、まんべんなく人の流れがあるようで一部弱いエリアがあるようです。

イオンモール名取|フロアガイド (natori-aeonmall.com)

 長町モールでも人の流れが弱いアウトドアスポーツ館の状況は厳しいですが、基本的に平日と週末の落差が小さい長町モール&ララガーデンと比較し、イオンモール名取は平日の弱さ故に週末頼みという、周辺人口や立地条件の差もあり、テナント料の高さから期待される売り上げのハードルは高いのかと。まぁ、一定程度の空きテナントは商業施設の新陳代謝のためには必要ではあります。

今後の両SCの行方

 仙台圏においては、今後イオンモール名取や長町モール&ララガーデンのような巨大SCが新規立地する余地はなさそうです。

 というのも、雨宮のイオンモールや、東西線六丁の目駅近くの仙台工業団地跡に出店が見込まれているららぽーとも、敷地面積の制約から、せいぜい長町モール本館クラスの規模(店舗面積4~5万平米)に留まるためです。

 

 もちろん、郊外だけではなく、郊外に対する都心部の商業機能も充実していって欲しいところですが、1か月程度延期となっているヨドバシ第一ビルオープンが控えているにせよ、それ以外の都心部の構想中の再開発(旧さくら野、藤崎、フォーラス、イオン仙台店等)は大分先の話となってしまうことから、他の地方政令市での札幌駅や福岡の博多駅ビル、新潟市の万代シティのように都心部のワンストップで買い物ができる都心部のSC機能が弱い面がある以上、郊外でのファミリー向けの買い物需要を満たすSCはある程度は必要なので。

 そうすると、両者が郊外型かつ駅前SCとして切磋琢磨しながら共存していくことが望ましいと考えています。

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2023年5月 5日 (金)

激化するSC戦争その2 正念場のザ・モール仙台長町(2)

前回の続きです。

強みである地下鉄長町南駅直結

 毎日1万人以上の乗車客を誇る地下鉄南北線長町南駅に地下部分で直結しているというメリットは大きいところ。駅改札を出たところに、左はザ・モール、右はララガーデンと誘導案内があります。

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ザ・モールへの入り口は広々とした空間が広がっており、エスカレータも2人横並びが上下設置されています。

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一方、2009年のララガーデンオープン時に設置された地下鉄連絡通路。

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 ザ・モール口と比較するとこじんまりとした印象で、エスカレータも1人横並び用。でも、ララガーデンは定期借地活用なのに地下鉄直結動線まで整備したのは、コンペでの提案内容に含まれていたのでしょうが、ザ・モール側に対抗して地下鉄利用客を誘客するためには必要だったのかと。

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4館の位置関係について

ザ・モール本館とパート2及びアウトドアスポーツ館、そしてララガーデンの位置関係は以下の通り。

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 だいたいモール&ララガーデンに行くときは目的買いが多いので、個人的には全館をぶらぶら回るというのは少ないです。

そのため車で行くときは近い駐車場に停め、本館&ララガーデン、もしくは本館&パート2という感じ。

パート2とララガーデンのハシゴはよほどのことがない限りはしない。というのも混みあう本館3階を経由しての相互移動がだるすぎるため。

前回も触れていますが、まだ本館とララガーデンの移動は2階と3階に連絡通路がありますが、本館とパート2の移動は3階の連絡通路のみ。

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 そして2階レベルでは直接連絡されず、3階の連絡通路もしくは1階レベルで外を歩く必要があり、正直本館の2階は自然と避けてしまっています。これまで買い物をした覚えがほぼありません。本館の1階と3階はよく使うのですが。
 

 パート2の2階は無印やセリアなど良く行きますが、混みあった3階の連絡通路経由で行くのがだるく感じます。さらにパート2の1階はなおさら。

充実の専門店群

 このような建物の配置のため、動線が間延びし効率が良くないという点はありながらも、モール本館とパート2、そしてララガーデンを合わせると、日常生活に必要な機能がほぼ揃います。

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 ザ・モール側は、紀伊国屋書店、GU、トイザらス、H&M、ディズニーストア、無印良品、ライトオン、Asbee、ムラサキスポーツ、Seria等。

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 ララガーデン側には、Loft、アカチャンホンポ、ユニクロ、ABCマート、Vie FUJISAKI(藤崎の小型店)、ダイソー、また商業フロアではないですが、4~5階にはコナミスポーツクラブが入っている他、仙台市の子育て支援施設「のびすく長町南」も入居しているのは、小さな子供連れにはポイント高し。最近のSCに導入されているクリニックモールもあります。

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 ララガーデン部分については、明らかにザ・モール部分と比較するとテナントリーシングのノウハウの差なのか、グレードの高さを感じます。特に2階はロフトの小型店がある他、かつザ・モール側にはないようなファッションブランドが並んでいます。3階の飲食店街も、ザ・モール3階の飲食店よりは魅力的。1階も藤崎の小型店をはじめ食に関しちょっとした贅沢を楽しめるような店舗が並んでいるなど、全体的ザ・モール側と比べるとワクワク感を感じられるテナント構成になっています。絨毯の柄も落ち着いていて、シックな雰囲気が。泉パークタウンのタピオに通ずる雰囲気を感じます。

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20周年リニューアル後の現状

 ザ・モール仙台長町は、約5年前の2017年秋に20周年リニューアルと称し、本館3階の西友直営売り場縮小と専門店導入、2階へのH&M導入(旧さくら野百貨店からの移転)、1階フードコートの拡大などを行いました。ララガーデンも2016年に2階を中心とするテナント入れ替えを行っています。


  ザ・モール部分については、5年前のリニューアルで本館3階に出店した目玉的なミニテーマパーク「ひつじのショーン」及び館内移動した「Francfranc」がともに撤退という状況。同時期に旧西友直営部分にオープンした「トイザらス」と「ASBee」は残っていますが、正直こんなに見切りが早いとはという感想でした。

 パート2に集めていた雑貨をばらけさせたのが裏目に出たような。Francfrancは一番町平和ビルとイオンモール名取が最寄店舗に。Francfrancは価格帯が高目ですが、かつては雑貨店の代名詞のようなブランドだったので、寂しい限り。ただ、100均や300円均一などのコスパが高いプチプラ商品に対しての競争力が弱くなっていたところで、そのFrancfranc跡には、4月28日に「3COINS+plus」が超大型店として出店。ある意味トレンドに沿ったテナント入れ替えで、オープン後訪れた際には賑わっていましたが、向かい側に既存の300円ショップ「illusie300」があるので、相乗効果になるか、共喰いになるかは正直未知数。

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ひつじのショーンの跡は、キッズコーナーに。ターゲットは同じにしても、広いスペースを持て余しているような印象です。
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 出店時は市内唯一だったH&Mも今はパルコ2に出店しているし、ファストファッションとしては、ユニクロとGUという両ブランドがSC内に出店している中で、本館2階の南端という目立たない場所というのもあるけれどちょっと集客が弱いかなと。

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苦戦するアウトドアスポーツ館

 本館に2階部分で接続しているアウトドアスポーツ館ですが、LLビーン及びゴルフ練習場のみで寂しかった1階に続き、2階のオープン当初から入居していた核テナントの一つであるスーパースポーツゼビオが1月下旬に撤退しました。

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 スーパースポーツゼビオ自体は、震災1年後に現在のあすと長町店をオープンさせた時点から、1㎞程度しか離れていないモール店は閉店させるのではと予想していましたが、そこから11年もこの至近距離で併存させてきたのが意外ながらも、両店舗が併存可能な状況ではなくなり、契約期間を踏まえ効率化を図ってきたのかと。なお、あすと長町店も定期借地で20年なので、もう契約期間の半分を超えていますが、ゼビオアリーナ敷地を含め契約延長を見越しているのかな。

過去記事

 なので、この閉店自体には驚きはないものの、アウトドアスポーツ館2階の全部を占めていたゼビオのスペースはどうするのだろうか。

 ここも、ただでさえ存在感が薄い本館西友直営売り場に隣接した2階の西端と回遊性に難がある場所なので、よほど目的買いを期待できる強力な核テナントを誘致するか、賃料を下げてでも中山イオン別館に1年前にオープンしたジョイポリスのような広いスペースを埋めることができるテナントを呼んでくるか。

 アウトドアスポーツ館という名称に拘ると、テナント誘致に制約が大きく厳しいので、館自体の名称を変更してでも、幅広い業態で検討した方が良いのではと。

吹き抜けモール空間について

 イオンモールではスタンダードなこの3層吹き抜け空間。25年前のザ・モールオープン時としては斬新で驚いた覚えが。

 ただ、今となってみると、吹き抜けの幅が狭く上下階のテナントを(イオンモールのように)一望し認識できるわけではないこと、商店街的な小規模テナントが多く、構成としては雑多な印象を持ちます。

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 3階建てというのは泉中央のアリオやセルバのような5~6層多層階店舗と比較すると位置関係を把握しやすく、郊外型モールの王道的なフロア構成ですが、この吹き抜け部分以外の専門店街には分かりやすいメイン動線がないことが、回遊性についてのウイークポイントになっているような気がします。また、専門店配置について、繰り返しとなりますが、

  •  パート2の2階に集めていた雑貨売り場を本館3階に分散させた上に、ロフトはララガーデンにあるなど、回りづらくなったこと。
  •  ユニクロはララガーデン1階、GUはパート2の1階と両端に位置していること。
  •  建物間の連絡通路が狭く、常に混雑していること。

 など、西友側と三井側で連携しているとはいえ、別々の商業施設で建物も分かれていることからの限界も。

イオングループの侵攻に防戦一方

 地元に支持されている来店頻度が高い巨大モールではありますが、買回り品というよりは最寄り品(日常的な生活必需品)の購入先として選ばれている印象があります。

 郊外型SCにおける買回り品需要が、名取以南、中田・柳生・四郎丸⇒イオンモール名取、宮城野区・若林区東部⇒イオンモール新利府に奪われ、商圏が太白区と青葉区南部・若林区西部(都心周辺)に縮小してしまったが故に、最盛期と比較すると厳しい状況で、買い物の場としての華やかさが失われつつある印象が。

 イオングループの戦略として、イオンモール名取を仙台圏南部での一番店としての地位を強固なものにするために、仙台周辺への包囲網的な出店によりかつては仙台で敵なしと言われたザ・モール(&ララガーデン)の商圏と売り上げを徐々に削り、次に雨宮の東北大農学部跡地への出店で都心周辺からのワンストップショッピング需要を奪い、最終的にグループ会社であるイオンタウンを1km離れたあすと長町に出店させ、ザ・モールのお膝下である太白区からの売り上げを少しでも奪うことで、とどめを刺そうとしているように感じています(以前はザ・モール&ララガーデンに対し敷地面積1.5ha(北側12街区)+0.6ha(南側17街区)と規模が劣り勝ち目がないため、出店を急がないのかと思っていましたが)。

過去記事

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 このシリーズの続編としては、そのザ・モールのライバルであるイオンモール名取について改めて考察したいと思います。駅前立地かつ回遊しやすい3層吹き抜け形態という、数年前の増床により完成した大型モールの理想形というのを改めて感じた次第。

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2023年5月 4日 (木)

激化するSC戦争その1 正念場のザ・モール仙台長町(1)

 来月コロナの感染症法上の分類が5類に移行することが正式に発表され,世間はGWということもあり,すっかりコロナ明けムードです。

 街中の飲み屋も,買い物客もコロナ前とはいかないまでも体感的に8~9割まで戻ってきている状況で,どの事業者もコロナ禍でのダメージを取り返そうと必死のところ。

 その中で,仙台近郊のSC業界は名取,新利府,富谷と,イオンモールによる包囲網が完成しつつあり,とどめとして東北大雨宮キャンパス跡地への進出計画はあれども,土地を取得してからたな晒しというお得意のイオン戦法で,虎視眈々と着工のタイミングを狙っています。

オープンから25年。ザ・モール仙台長町

 そのイオンモールに対抗するSCとして,仙台市内で名前が挙がるのが,長町南のザ・モール仙台長町とララガーデン長町。

 当時の東北特殊鋼が村田町に移転した南北線長町南駅に隣接したまとまった一等地に1997年オープンしてから早25年。売場部分は地上3階建てで、主に北側半分を西友直営売り場、南側半分を専門店街とするなど、GMSを核店舗としながら仙台初出店の紀伊国屋書店をはじめ専門店部分も充実させた、当時の仙台ではなかった店舗構成と店舗面積でした。

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 その後2000年にパート2を増床し、本館で不足していた集客力のある専門店と当時としては先駆け的にシネコン(MOVIX)を導入し,仙台圏SCとしての一番店の地位を不動のものとしました。

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陳腐化しているザ・モール形態

 当時の西友のショッピングモール形態として、全国各地に展開したこのザ・モール。

 しかし、ザ・モール形態は各地で陳腐化し、東京都下の瑞穂、愛知県の春日井、北九州市の小倉など全てこの業態としては残っておらず、仙台の他Livinが核店舗の郡山に展開しているのみで東北にしか残っておらず、結果的には成功したとはいえない形です。西友のウォルマート化で、安売りを前面に押し出した形となりながら、SC展開のノウハウは失われたような印象。

 その中でも、仙台長町店は全国のGMSを核としたSCとして売り上げが全国一となったこともあり、周辺の稠密な人口、幹線道路が交差し地下鉄駅が直結する交通条件、仙台都心部にワンストップで買い物ができるSCが存在しないことなどから、当初は敵なしで商圏が山形や福島に及ぶと言われていましたが、2007年2月末にダイヤモンドシティ名取エアリ(現 イオンモール名取)が仙台空港アクセス線杜せきのした駅前にオープン後、福島県や仙南に及んでいた商圏がごっそり削られました。

ララガーデン長町のオープン

 その後、ザ・モール仙台長町の建物を所有する東特エステートが隣接の仙台市有地(旧音楽堂予定地)の土地活用コンペに応募してパート3としての拡張をもくろむも,結果的に三井不動産が選定され,その土地には2009年にララガーデン長町が出店したことで、ザ・モールに不足していた高感度の専門店が加わり、結果的にモールのパート3としてオープンさせるよりも、ララガーデンとして三井不動産のリーシング力がプラスになり、イオンモール名取に対抗できていた印象でした。

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 両SCは連絡通路を通して一体の商業施設として運用されています。

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 本館とパート2の通路が3階部分のみであるのと比較し、本館とララガーデンは2階と3階の2フロアで接続しているので、建物間の回遊性は却ってこっちの方が上だったりします。

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 2016年からザ・モールのSCのマネジメントはJLLに委託され,2017年には20周年リニューアルで,本館3階を中心にミニテーマパーク「ひつじのショーン」やトイザらスなどを導入しました。

過去記事

 

 ザ・モールとララガーデンの延べ店舗面積 計 約64,000平米(内訳:約46,000平米【ザ・モール】+約18,000平米【ララガーデン】)とかなりの規模であり、先日記事にした,泉副都心のアリオ・セルバ・セルバテラスの商業集積の延べ店舗面積 計 約35,000平米(内訳:20,000平米【アリオ】+約10,000平米【セルバ】+約5,000平米【セルバテラス】)と比較すると、規模の強みと都心部を含めた周辺人口の稠密さ、駐車場が3時間まで無料という行きやすさという優位性があり、何とかイオンモール名取に対して対抗してきたところですが、近年、特にコロナ禍においてテナントの撤退が相次ぎ、新陳代謝がうまく行っていない印象となっています。

過去記事


 ザ・モール仙台長町の考察については、次回に続きます。

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