他都市比較

2024年5月 7日 (火)

アオーレ長岡へ

 現在、議会棟と低層棟の取り壊し工事が進められ、15階建ての新庁舎建設に向けて着々と進んでいる仙台市役所。

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 かなり前の新庁舎検討段階に、市役所と集客施設の複合事例として新潟県長岡市のアオーレ長岡を取り上げていました。

過去記事

仙台市役所建て替え本格検討再開(2016.02.21)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その4(ゆったり観察 復路編)(2024/4/8)

 市役所とアリーナ機能、屋根付き広場機能を上越新幹線が停車する長岡駅前に整備した先進的な事例で、ぜひ行ってみたいと思っていながら、前回の新潟行きの際には新潟市から先に行くハードルが高く、行く機会が作れませんでしたが、先日のきゅん❤パス期間に寄ることができました。

東北新幹線⇒上越新幹線へ乗り継ぎ

 宇都宮はライトライン往復のみでの駆け足となり、滞在時間はぴったり2時間でした。

 9時19分のやまびこに乗車し、大宮までは30分弱であっと言う間。

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 そこから上越・北陸新幹線ホームへ移動すると大行列があり、ちょっと焦りましたがその行列は前後に発車する北陸新幹線のかがやき・はくたかのもの。上越新幹線の9時52分発「とき」自由席は数人しか並んでおらず、楽勝で座席を確保できました。

 そもそも宇都宮駅9時19分発に乗れないと長岡行きはあきらめるつもりでしたが、復路のライトラインが遅れずに済んだので、無事長岡に寄ることができました。

 上越新幹線に乗ったのは、出張で富山に行った際以来でちょうど10年ぶり。その時は北陸新幹線延伸前で越後湯沢乗り継ぎ。越後湯沢以北に乗るのはこれも新潟市への出張以来で15年ぶり。

 その後、熊谷⇒高崎⇒越後湯沢と停車し、1時間10分ほどで長岡駅へ到着。

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新潟県第二の都市 長岡へ

 流石、細長い新潟県の中央部である中越地方にある新潟県第二の都市で、本来であれば県庁があってもおかしくないような地理条件。そのために田中角栄が長岡ニュータウンや幹線国道整備しまくって夢を見たのでしょうが、それが市街地のスプロール化に繋がり、駅前は駅ビル以外は厳しい状態のようでした。

 駅自体には、COCOLO長岡というそこそこ充実した駅ビルもあり、ファッション系は弱いものの、ロフトや無印良品、スタバ・タリーズなどのカフェ、新潟市まで行かなくとも地元の若者を多少は引き留めることができるラインナップを揃えていました。

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 駅前あるあるですが、イトーヨーカドー丸大長岡店が撤退した跡にDiaPlaza長岡というテナントビルがあり、そこまで寄る時間はないながらも、スーパー機能やツルハ、学習塾などが入居しているようです。しかし半分以上は空きフロアで、限られた高感度のテナントは駅ビルに集まり、その他の書店などは東口の旧ダイエーが撤退したという越後交通が経営するE ・PLAZAにそこそこ集まっている模様。

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 滞在時間が正味1時間だったため、アオーレ長岡見学と昼食のみで、その周辺をゆっくりすることはできませんでしたが、 以前は賑わっていたのでしょう。郊外のモールに勝ち目がない。というのは中都市あるあるで、正直街中の商業施設が勝負になるのは40~50万人規模以上の都市に限られる。

街中の再開発が進行中

 このように、商業に関しては厳しい状況で、再開発ビルで商業機能を入れようとしてもテナントが集まる訳はない。

そうはいっても、合併時に30万人近くいた人口が25万人強に減少しているとはいえ、新幹線が通り、県の中央部に位置する拠点都市で条件としては恵まれています。宮城県では第二・三の都市が合併しても12~14万人の石巻市や大崎市であることから、仙台市一極集中の色が強いのに対し、新潟県は長岡市、上越市と広い県土でバランスよく拠点都市が点在しています。

 よって、この立地条件を生かし、行政機能や集客施設機能を街中に再度集める取り組みを図っていると見聞きしていました。

 今回見に行けなかった「米百俵プレイスミライエ長岡」という、銀行オフィス、図書コーナーなどの情報スペース、交流スペースが集まった再開発ビルがオープンしており、隣接して分譲マンションやクリニック・駐車場ビルも整備されました。

 令和8年度には東館として、長岡市商工会議所や長岡市の産業部門も入居するとのことで、再開発ビルとしての成否は不明ですが、中心市街地に人を集める努力を続けています。

市役所とアリーナの複合施設アオーレ長岡

長岡駅からは、屋根付きペデストリアンデッキというか空中回廊がアオーレ長岡まで直結しているのには驚きました。

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 長岡駅前でほぼ隣接しています。市役所アオーレの本庁舎の他、近隣にも大手通庁舎と市民センター庁舎に分散しているようですが、基本的にこの大手通り沿いに集めています。合併特例債を活用して中心市街地へ移転を行ったとのこと。

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 空中回廊の先には、2階のシンボル的なこの空間が。

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 一階に降りてみましたが、広大な屋根付きの土間的なイベント空間が広がっていました。当日は平日で、市役所の職員向けのお弁当などの販売があった位で、賑やかさは感じることができませんでしたが、2階には市役所の執務スペースがガラス張りで、オープンなつくりになっていることが分かります。

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アリーナ部分は、もともと存在した厚生年金会館の機能代替の意味も持たせているようで、Bリーグ2部の新潟アルビレックスBBの本拠地として活用されています。

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 新潟アルビレックスは県名を名乗っているので、サッカーと野球の本拠地は新潟市ですが、バスケの本拠地は長岡市と結果的にうまくバランスを取っていますね。

 当日はアリーナ部分を見学したかったのですが、アルビレックスBBの非公開練習を行っていて覗くことも叶わず。

 Bリーグプレミア参入を目指し、5000人規模のキャパシティーでとのこと。見た目ではゼビアリの方が大きく感じましたが、アオーレ長岡の方が若干キャパが大きいようです。なお、ライブ会場としては長岡規模の都市としては大きすぎるからか、年数回程度のよう。アリーナ部分は体育館やイベント会場としての活用が中心なのでしょうね。

仙台市役所新庁舎の広場機能

 なお、仙台市役所新庁舎では高層棟の1~2階部分は市民利用・情報発信機能を設けており、屋根付きのスペースのようながらも、アオーレ長岡のようなダイナミックな屋内空間という訳ではなさそう。

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 新潟県ほどではないにせよ、冬の気候が厳しい仙台市。稼働率の高い市民広場は11月中旬~3月までは光のページェントなどを除きほとんどイベント活用がされないことから、冬の賑わいづくりのためにより広々とした空間があると良いなと思っていますが、通路部分を屋根付き空間として活用できるというイメージのようです。

 まぁ、春から秋の約8か月間は屋外の市民広場でのイベントが開催されており、春や秋のように屋外でも良い気候の時期もあるので、屋根付き広場は必須という訳ではなく、プラスアルファとして冬に少しでも活用されれば御の字なのかな。

 なお、南北線の勾当台公園の地下コンコースから、一応地下通路で新庁舎の東端に繋がる地下通路が設置され、エレベーターで1・2階に接続される模様です。一般の来庁者や職員は従来の市役所口である長いエスカレーター出口から地上の大屋根下通路で新庁舎に結ばれる模様。さすがに高層棟まで地下通路を直結するには距離が長すぎるためか。なお、南北線開業時にも市役所地下直結を検討しながらも、「市職員のための通路は反対」と文句を言う方々がおり取りやめになったとか。大体想像つきますが。今回はバリアフリー名目で整備できるのかな。その地下通路整備のため、市民広場の一部が工事スペースとなり、イベント利用に大幅な制約が生じてしまう模様で、勾当台通向かいの勾当台公園いこいの広場をつぶして暫定的にイベントスペースにするとか。

慌ただしく新潟駅へ

 アオーレ長岡は20分少々の駆け足の見学で、その後近くのラーメン屋で昼食を20分少々でとり、雁木風の古いアーケードが張り巡らされた通りを経由して、長岡駅に戻りました。

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 12時10分発の新潟行に乗らないと次は72分後で新潟市での滞在時間が極端に減ってしまうので、泣く泣く新潟市に向かいました。

なお、12時10分の前は11時55分発もありながら、基本的には昼間毎時1本と、宮城県内であれば古川駅や白石蔵王駅並みの本数というのは同じJR東日本なのでやむを得ないながらも、理想は30分に1本程度あると便利だなぁと。

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 一方、在来線も、朝晩は本数が多くなりながらも、昼間は新幹線と同じ程度の本数。在来線の所要時間は新潟駅まで75分程度と、感覚的には福島駅と仙台駅との時間距離と同等です。そうすると、在来線で乗り通しよりは新幹線、そして高速バスの方が新潟県庁・古町・万代シテイなどの途中バス停をこまめに経由するため競争力を持ちそうな区間に感じました(高速バスだと1000円で90分)。

 

 

 新幹線では、新潟駅まで20分少々と、途中駅の燕三条に停車しながらもあっという間。新装なった新潟駅に到着しました。

 

 

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2024年4月 8日 (月)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その4(ゆったり観察 復路編)

 宇都宮にLRT ライトライン開業 その3(ようやく初乗車!往路編)の続きです。

芳賀・高根沢工業団地到着

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 終点の「芳賀・高根沢工業団地」は、本田技研の研究所やテストコースに隣接というか、それしかない場所。

 奥の歩道橋を右側に行くと業務棟などが点在しています(左側は広大な駐車場)。

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だったら、停留所名を「本田技研前」にして、ネーミングライツ料をホンダからもらった方が分かりやすく収入もあるしで良いのではと思いましたが、公共交通の駅名なので、特定の民間施設名を避けたのでしょうね。同じように、清陵高校前でなくよりネームバリューのある「作新学院大学前」とか、宇大陽東キャンパスでなく「ベルモール前」の方が分かりやすいにせよ。移転や撤退したら駅名も変えなければとなるのを避ける意味合いもあるのか。私鉄ですが、都立大や学芸大という駅名を頑なに変えない(変えれない)東急電鉄の例もあり。その駅名になっている清陵高校も、2027年度に全日制課程の募集を終了するとか。校名変更は分かりませんが、施設名を付すると、分かりやすさの反面後で悩ましいケースも。

 仙台の東西線でも、副駅名はともかく、正式な駅名では国際センターという公共施設以外は名称に使用するのを避けています。川内や青葉山などは東北大の名前を冠した方が分かりやすいところもありますが。

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昼間の時刻表はほぼ12分間隔で毎時5本。4月のダイヤ改正でも変わっていないようです。

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復路は貸し切り状態

 なお、終点に到着後、「向かい側のホームに停まっている8時16分発に乗れれば、宇都宮駅9時19分発の東京行きやまびこに間に合う!ただ、もう少し観察したい」と思っていたら、電車が動く気配なし。そしたら、前の電車が車両故障で出発が遅れるとのこと。旅程崩壊がちらつく中、すぐに発車しないのであればと開き直り、駅ホームや車内の観察を。

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現金客向けの整理券発行機が先頭車両近くにありました。

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 帰りは、予想通りこのようなガラガラな状況なので、後ろの車両まで行ってみました。行きは混んでいて全く見通せなかったのですが、結構長さを感じますね。天井からぶら下がるビジョンが新鮮。分かりやすい案内でした。

 先頭部分以外のドアは互い違いになっています。3両編成で片側4か所の出入口というのは不思議な配置。停留所によってはホームが左右どちらにあるかまちまちで、ドアの近くと思っていたら開かず焦るということもありそう。

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 バスのような運賃支払い機。運転手がいない場合でもICカードへのチャージができるとか。

 天井からぶら下がっているLCDの他、ドア上にも案内が完備されています。

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 さて、幸いにも前の電車の車両故障が解決したのか、不安になりながらも4分程度の遅れで発車。始発時点で乗客は自分を含め3名。工場ではなく研究所なので、深夜勤務明けの方が乗ってくるということもなく、往路と打って変わってゆったり乗車することができ、観察し放題。

ロードサイドにLRT

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 ゆいの杜付近は、ロードサイド店舗が立ち並ぶ光景で幹線道路のど真ん中を路面電車が走るという光景は珍しそう。昔ながらの路面電車では商店街など小規模店舗が立ち並ぶ狭い道路沿いということはあっても、カインズやヤマダデンキ、ダイソー、そして富沢西にあるような新しい飲食店を中心とした郊外型店舗の集積が新鮮。良く取り上げられるスタバも、ドライブスルー店舗ながらライトラインでも行くことができる立地。

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 ゆいの杜を過ぎた野高谷交差点。ライトライン側も高架線で交差点を豪快にオーバーパスして左折していますが、幹線道路側も立体交差が進行中。この整備中の道路は常磐道の谷和原ICと東北道の矢板ICを結ぶ国道294号(408号?)と気づきましたが、若い時に帰省ルートとしてたまに通っていたころの面影はなく、ところどころ高規格化されており、栃木県の道路整備への力の入れようを感じたところ。この辺は工業団地なので、産業道路的な位置づけなのでしょうが。

遅ればせながら、スタジアム近接停留所誕生

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 J2栃木SCのホームスタジアムの一つである、グリーンスタジアム近くに新設された停留所。駅の案内にもスタジアム写真が。

 ライトライン開業後に昨季も数試合開催し、今季も秋に2試合が予定されているようですが、東武宇都宮線の西川田駅徒歩圏に国体用のカンセキスタジアムがオープンし、本拠地は屋根付き陸上競技場のカンセキに移っていることから、せっかくのサッカースタジアムのアクセスが改善しても使われないのはもったいない。

 まぁ、収容人員とか屋根の有無などで、総合的にはカンセキスタの方が観戦環境は良いかもしれませんが。なお、ベガルタの試合もカンセキで開催予定。この駅は、快速運転時の緩急接続にも使える2面4線の設備があります。

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課題となる学生の通学需要獲得(スクールバスとの共存)

 清陵高校前は、副駅名になっている作新学院大学・短大のPRも。

 ライトライン開業前は宇都宮駅から無料のスクールバス頼みの学生輸送でしたが、ライトライン開業により、どの程度転移したのか。新年度は朝夕のピーク時には毎時最大4本のスクールバス運行ですが、ピーク時以外は毎時0~1本の時間もあり、学校的にこの立地条件であれば完全にライトラインに移行させたいと思っていそう。企業と異なり自らの通学定期代の負担はないし。逆に、学生からするとライトラインはバスの時間に縛られることない反面、定期代負担が大きく、その兼ね合いでの様子見なのかな。

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 途中の飛山城跡か平石か忘れましたが、停留所横にパークアンドライド駐車場が大盛況でした。どの駅も駐車場不足で増設の動きとのことですが、無料にできる程度の地価としても、P&R駐車場は100台分でもかなりの面積確保が必要で、ライトライン誘導にしても駐車場有料化は図って需要と供給のバランスを取っていかないと、いざという時に停められないということがありそう。北陸新幹線の越前たけふ駅でもそのような事態が開業早々起こっているとか。まぁ、有料にすると、街中の駐車場に停めた方が安くなるというジレンマも出てくることと、料金徴収のコストを考えると、ライトライン利用促進のために割り切った対応か。

延伸区間の要 ベルモール

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 復路はしとしとと雨が降ってきて、良い写真が撮れていませんが、往路は反対側でよく見れなかったベルモールを。時間があれば寄ってみたかったのですが、いかんせん9時前だし先もあるので、車窓から規模感を把握。

 今、首都圏や関西などの3大都市圏以外から撤退戦真っ最中のイトーヨーカドーですが、栃木県は残す模様。ここは仮にヨーカドーが撤退したとしても、五所川原エルムのように競争力があるSCなので、後釜もすんなり決まるでしょうが。SCの運営デべ自体は地元企業で、市街地の工場跡地に開発されたというのも、東北特殊鋼の跡地に開発され西友が入っているSCである長町モールに似ています。

 ヨーカドーの他シネコンのTOHOシネマズ、ケースデンキ、スーパー銭湯等が出店しており、市街地近くでそこそこの規模感。5000台収容の駐車場と支持を集めているのが分かります。

 ライトライン開業により、宇都宮駅東口から10分150円でベルモールに行くことができるようになったことで、郊外の商業施設から、中心市街地を担う商業施設的な位置づけに多少シフトしたのかな。バスではなく鉄道でSCの目の前に行くことができるのは、分かりやすさから他のSCと比べて強みが。

 それに、平日はホンダ方面への通勤客で1.3万人程度を見込んでおり、ほぼ予定通りの利用状況ですが、週末はその需要がなくなるため当初は硬めに3000人台の利用者しか見込んでいなかったとしても、ベルモールやJリーグ、イベントなどの需要が加わればコンスタントに1万人を超えているのは凄いとしか。とはいえ、これがなかったら週末はほぼ空気輸送だったでしょうし、定期外客の利用促進の意味でも、大規模SC近くにルート設定し駅を設置した効果が大きいことを感じました。

 なお、長町モール最寄の南北線長町南駅でも、夕方は仙台駅方面に1電車概ね50人以上が程度がコンスタントに乗っていきますが、地下鉄でも南北線直結のワンストップ型のSCがこの「ザ・モール仙台長町+ララガーデン長町」しかないことから根強い需要を感じ、週末の利用促進に貢献しています。来秋に北四番丁駅徒歩圏にできるイオンモール雨宮の影響がどの程度になるかが気がかり。売り場面積は長町モール勢の半分とはいえ。

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 なお、宇都宮駅東口に到着するまで乗客は10人とおらず、ラッシュ時を過ぎたとはいえガラガラ状態でちょっと心配でしたが、理由としては車両故障で遅れていた前の電車がつっかえて、乗客を根こそぎ乗せて行ったためと思われます。よく団子状態のバスであるパターン。

 おかげで、当方の乗っていた電車は乗降がほとんどなかったため、後れを多少取り戻す勢いで9時過ぎに宇都宮駅東口へ到着する直前に前の電車が見えていたので気付いた次第。新幹線乗換に15分程度余裕が生まれ、宇都宮スクエアなど東口、そして西口付近を眺める時間が取れました。

西口延伸への期待

 2030年代前半と目される西口延伸の際には、この大通の真ん中にライトラインが通ることに。そのころまでに西口方面の繁華街が持ちこたえていれば。期待感で延伸に向けて再開発が浮上しているようなので、少なくとも居住者は増えそうで、中心部にとっては間違いなくプラス要素。

 まとまった需要が期待でき、鬼怒川以東への渋滞解消という長年の課題解消効果のあった東口部分の整備に続き、本来であれば路線バスが数珠つなぎとなるほどの需要が見込める西口への延伸はもう少し早くても。

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 高校が集まっている教育会館までの5㎞ほどの延伸ルートは決定し、その先東北道を越えて大谷石で有名な大家観光地までは延伸検討区間とのこと。また将来を見据えることのできないクルマ脳のかなり年配の方々が「バスの街にはLRT不要」と反対運動を続けているようですが、開業前は疑心暗鬼だった市民のコンセンサスは推進の方向に変わっており、あとは高騰する事業費や工期を踏まえ、どのように進めて行くかというところ。

 なお、この動きに乗っていくのは良いこととはいえ、隣接の鹿沼市議有志が、西口延伸区間の見通しがつかない段階で、「わが市へライトライン延伸を」と言い始めましたが、その前に、JR日光線という既に通っている宇都宮駅に直結するインフラ活用を考えた方がと思いました。距離がわずかだった芳賀町でも立地企業で財政が豊かだったから出せたという事情があり、鹿沼市域分の距離から言っても200億以上の負担は必要。日光線と共倒れの可能性も高いし。仮に実現しても20年後というのがどう判断されるか。

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次の目的地へ

 宇都宮での滞在時間はちょうど2時間ジャストでしたが、ライトライン初乗車という密度の濃い時間を過ごせました。

東京行きのやまびこながら、こまち型車両併結だったので、そちらを選んだところ、やはり2人掛けを1人で使える程度の混み具合でした。

 乗換の大宮駅までは25分程度で、あっと言う間。仙台駅と福島駅もしくはくりこま高原駅間の時間距離。ホンダの社員が大宮付近に多く住んでいるというのも分かる。両方遠いとはいえ、芳賀も寄居も両方通えるという意味で。

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次は、上越新幹線に乗り換えて先を目指しました。

 

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2024年4月 7日 (日)

 宇都宮にLRT ライトライン開業 その3(ようやく初乗車!往路編)

昨年8月下旬に宇都宮に開業したライトライン(芳賀・宇都宮LRT)

開業直後に記事にしていましたが、開業から半年を経てようやく念願の初乗車を果たしました。

過去記事

 宇都宮にLRT ライトライン開業 その1(2023/09/11)

 宇都宮にLRT ライトライン開業 その2(開業の効果と課題) (2023/09/12)

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きゅん❤パス さまさま

 それも、JR東日本が閑散期対策で発売したきゅんパスをフルに活用し、東日本各地を周ることができたから故。

 コロナ禍もあり前回乗った時期が思い出せない位新幹線は久々でしたが、やはり新幹線は偉大!

 始発の6時7分発新幹線やまびこで出発し、仙台駅から白石蔵王を含めほぼ各駅に停車するのに、約1時間10分後にはあっと言う間に宇都宮駅に到着。普段だったら出勤前の時間に宇都宮にいるという不思議な気分。

 きゅんパス狂騒曲で「指定取った方が良いかな?」と思いながらも、自由席も多いので大丈夫と判断しながら多少不安でしたが、始発やまびこは宇都宮まで自由席の2人席を1人で座れる程度の混み具合。流石に宇都宮からは通勤者がどっと乗ってくるところをライトライン目当てに名残惜しく下車しました。

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久々の宇都宮駅へ

 宇都宮駅は新幹線で何度も通り過ぎていたり、近郊を車で通ったりというのはありながらも、駅自体で乗り降りするのは学生時代の友達の結婚式以来で20年以上振りかも。宇都宮西口の光景はほぼ変わらないにしても、ロビンソン百貨店が撤退し、三井不動産が運営するララスクエア(訂正:今は日本エスコン運営のトナリエ宇都宮)になり、ヨドバシカメラが入っているという大きな変化が。

 さらに、オリオン通りの方は109やパルコが撤退し、残る大型店は東武百貨店のみとか。上野百貨店は遠い昔に廃業し、福田屋は中心部に見切りをつけて郊外展開で生き残っているなど、宇都宮市街地の商業集積は50万人規模にしては壊滅的。30万都市の郡山と変わらないレベルに思えるのは、新4号や宮環を含めた幹線道路網の発達ぶりと郊外の大規模商業施設の展開故でしょう。これでもイオンモールがないのが意外ですが、インターパーク周辺の福田屋他の巨大集積はイオンモール新利府のよう。ライトライン沿線のベルモール(のヨーカドーが核店舗)は長町モールのような位置づけかな。

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 ライトライン歓迎のフラッグが旗めく東口への立派な自由通路への変貌に戸惑いながら、ライトライン始発の宇都宮駅東口に向かいました。

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 以前の東口は昔の仙台駅裏を彷彿させる駐車場など閑散とした空間が広がっており餃子店位しかなかった印象でしたが、ライトラインの始発駅とともに再開発された「宇都宮テラス」がオープンするなど、全く昔の面影を感じさせない。

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 テナント構成は飲食店中心で、物販はヨークベニマルと地元企業のコジマ×ビックカメラ、ダイソー位という商業施設ですが、大型店を誘致ということができる都市規模ではなく、テナントリーシングがコロナ禍の最中ということを考えると、3階にはまだ空きテナントはありますが、
ライトラインの期待感から何とかここまで集めたというべきか。

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何よりも、この階段状の広場。開業後、路面電車サミットなど様々なイベントを実施していますが、ライトラインを見下ろすような階段のデザインは何とも象徴的な空間です。

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ライトライン初乗車

 せっかく平日に来たので、本田技研への通勤客の流動を体験したいと。JR宇都宮駅に7時19分着で、7時26分発のライトラインに乗らないと後の旅程が崩壊するので、停留所での状況観察や座りたい衝動を我慢し、立ち客満載のライトラインに乗り込みました。

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 感想として、

 ①とにかく静か

 宇都宮駅東口停留所を発車し、試運転中に脱線したカーブ付近かなと思いながら再開発ビルを左手に進みましたが、本当に滑るように静か。自分が知っている路面電車ではない!本当に別格の乗り心地でした。
 よって、終点までずっと立ちっぱなしでしたが、ドアに寄りかかることができたこと、初乗車の興奮もありましたが、それほど疲れを感じることがなく、ほぼ50分間乗車することができました。

 ②沿線のマンションラッシュ

 ライトライン沿道にアピールするように、「宇都宮駅東口」から「宇都宮大学陽東キャンパス」の区間では建設中のマンションが複数確認できました。分譲済も含め、風格のある大通が出来上がっています。

 仙台のような地下鉄開業の際にも駅予定地周辺にマンションが林立することはままあり、バブル期で仙台の人口が激増していた時期の南北線沿線ではマンションラッシュはありましたが、少なくとも2015年の東西線開業時には林立ということはなく、大町西公園駅以東で各駅1件程度で様子見ながらぽつぽつと建っていった印象があります。

 このライトライン、路面電車ということもあり停留所近くでなくとも車内からアピールすることができるし、特に店舗などはランドマーク性の高さでアピールできますね。このような効果はバスでもあるけれど、路面電車は「路線変更・廃止がほぼない」という安心感が大きい。ここに買っておけば間違いないと思わせるものがありますね。これが多額の事業費を支出して整備する都市としての覚悟に対し評価されるもの。

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 ③ほどほどの混み具合

 混雑している車内の乗り込んだものの、ライトラインは3両編成とはいえ、1編成の長さが短く、ドアも片側1~2か所/両 で、それほど詰め込みが効くとは思えない。つり革が埋まっていないのでおそらく定員の135名までは乗っておらず、せいぜい100名超程度かなと。

 当該電車は8時半が始業時間としたら余裕で間に合う時間で、車内でも移動は厳しい状況ですが、隣に立っている乗客に触れることはなく、手すりや壁、ドアに各自寄りかかり、スマホを余裕で見ることができる程度で、もう少し混みあうと思っていたのですが、それほどでもありませんでした。

 それも、最混雑時間帯という始発下りやまびこからの乗り継ぎ客は宇都宮駅東口を7時過ぎに乗車しているからでしょう。

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 なお、途中乗車客はぱらぱらといましたが8割はほとんどは宇都宮駅東口から乗りっぱなしで終点か1つ手前の芳賀台で下車。途中降車客は清陵高校前位で、あとはグリーンスタジアムなど清原工業団地内と、芳賀町の工業団地内に集中していました。ゆいの杜での動きはほぼなし。

 4月1日より朝に快速が2便(下りのみ)運行開始され、片道42分と3月までの各停と比べて6分短縮されましたが、正直この時間帯は2本に1本は快速にしても良いのではと感じました。最短6分間隔であれば、快速12分間隔、各停12分間隔であり、各停のみの駅でも十分な運転間隔に。

 対向ですれ違う上り宇都宮駅方面の電車は、席は埋まっていてぱらぱら立ち客がいる程度。乗車していた下り電車より明らかに混雑していません。それも、宇都宮駅周辺への利用客は良いけれど、東武宇都宮駅周辺などの西口方面にはさらにバスで乗り継ぎが必要となり、最初から西口方面直通バスを利用するか自家用車通勤が根強いのかと。これはライトラインの宇都宮駅西口方面への延伸が待ち望まれるのも分かります。そうしないと本田技研やキヤノン方面への通勤電車に留まってしまう。

 ④ICカードで全扉乗降

 交通系ICカードのリーダーがドアの左右両脇についています。通勤時でもあり、見る限りほぼ全員がICカード利用で、皆慣れたもの。紙式の一日乗車券利用者は見当たらず。

 下の緑色は乗車、上のオレンジ色は降車と区別されており、混雑している時でも主に乗車のみor降車のみの駅は混乱せずに対応できますが、たまに乗車客と降車客が入り乱れる際には、譲り合いとなり、お互いに戸惑いが感じられる状況でした。また譲らない人の際にはぶつかりそうになっている状況も見受けられるなど。


 なお、盲点として感じたことは、入り口近くでずっと立っており、アップルウォッチ内臓SUICAだったため、気を付けないと勝手にリーダーに触れて降車処理されてしまいかねないと落ち着かず。

 あと、終点で降車しようと思ったrエラーが生じ、何度かタッチしても正常に引き落としがされず、それなのに降車客が次々とやってくるので、焦ってしまったり。後ほど、降車客が落ち着いた際にタッチしたら、何事もなく引き落としされており良かったのですが、通常の改札やバスとは異なり係員がいないので、途中停留所でのトラブルだったりすると、後の精算処理が面倒かなと思った次第。

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定刻より1分遅れで8時15分に終点の芳賀・高根沢工業団地へ到着しました。ほぼ50分間の道のりで、仙台からJRだと白石や小牛田までに匹敵するかなりの所要時間ながらも、立ちっぱなしでも全く飽きることがなく、往路を堪能しました。

 終点の芳賀・高根沢工業団地停留所と復路については、次回記事で。

 

 

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2024年3月17日 (日)

仙台市敬老乗車証見直しについて雑感

 前記事とセットで書いていた記事でしたが、別の記事としてUPしようと思っていたら、あっという間に3月になってしまってました。取り上げたいネタはたくさんありながらも、最近月刊化しているので、徐々に手をつけていこうと思っています。

敬老乗車証見直しは高齢者いじめなの?

 前回取り上げたように、学生向けのフリーパスが拡充されるというのは、子供を持つ親としても嬉しい話ですが、一方仙台市で進められている敬老乗車証の見直し。制度維持のために10%から25%へ負担率を高める改定方針が出され、パブリックコメントでも現役世代を含めて賛否半々という結果を元に、仙台市としても今秋の実施に向けて進めているところながら、2月議会で何でも反対の某党だけでなく、高齢者を主な読者とする地元紙もバイアスがかかった意見を頻繁に取り上げており、何だかなぁと感じているところでした。

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 因みに高齢乗車証は年間12万円まで使えるのに対し1割負担だったので、何と年間で最大1万2千円!月で割るとたった千円!最大10万8千円分の割引を受けることができるのが、負担が25%になると最大月2500円になり、それでも最大割引額が9万円。利用状況にはかなりの偏りがあり、JR沿線でバスがない場所は当然恩恵を受けることができず、一部の高齢者がフルに使っているような状況で、公金を支出する事業として、公平性にも疑問が生じる制度となっています。

敬老乗車証HP

仙台市敬老乗車証の見直し状況について

 一方、従来の「学都仙台フリーパス」や10月から開始される「せんだいバスFREE+」では、月5,940円~12,230円/人 なので年間7万円~15万円弱/人 の支払いとなり、敬老乗車証の変更後の負担額は、学生の親が負担する水準のたった1/3以下でしかない。

 社会参加の促進とか、都心部への買い物とか、高齢運転者の免許返上対策とか、様々な効能・効果はあり、制度自体は必要なものと思っていますが、本来運賃とのバランス、そして学生向けのフリーパスで、今回の月8千円というのが破格に感じてしまう水準なのに、一部の高齢者は月2500円でも文句を言うのかと、そしてそのような意見を高齢者の代表のように嬉々として取り上げる地元紙。本当に悲しくなります。

 現在の制度を続けていたら、自分が対象になるころにはとうに破綻しているでしょう。制度を持続させるための見直しなのに、現在の受益者の意見だけを垂れ流すのはそもそも割引率や年間の割引額などが正規料金や他都市と比較して適正なものなのかということも踏まえて報道し、社会の公器としての役割を果たして欲しいものです。

全国大都市の制度運用状況

なお、このような敬老乗車証の見直しは全国的な流れですが、そもそも仙台でもJR線は対象になっていないように、大盤振る舞いの制度は基本的に公営交通を保有している都市に限るものです。

(1)新潟市の事例

 例えば、公営交通がない新潟市は、新潟交通が発行するフリーパスが年齢により4~7千円程度/月 の負担であり、運賃補助も「シニア半わり」として基本的には50%割引で、割引率は子供と同じ。

(2)福岡市の事例

 かつて廃止された路面電車は西鉄が経営し、公営交通は市営地下鉄導入時からと歴史が浅い福岡市は、新潟市と似ておりやはり民間の西鉄バスのフリーパスが年齢により5~6千円/月負担 で購入可能。これとは別に福岡市の事業としては介護保険料の所得段階によって受益額を設定しており、負担金なしで年間1.8万~2.7万円まで高齢者乗車券を交付しています。これは市営地下鉄だけでなく、JRや西鉄電車、バスの利用のためのICカードへの入金も可ですが、公共交通機関の代わりにタクシー券の交付を選べることができるなど、フレキシブルな制度となっています。それ以上の利用の場合は当然ながら全額自己負担となります。

(3)京都市の事例

 他の都市でも、見直しが進められていますが、仙台市の事業の問題点として、利用状況や所得に関わらず一律割合の負担であること。最近負担額の増大から見直しを行った京都市はフリーパス方式を維持しているものの,所得額に応じて負担金額を変えています(0~4.5万円)。京都市も一部の利用者が使い倒していることへの問題が指摘されています。

(4)札幌市の事例

 札幌市は年度内のチャージ額により、1000円入金⇒1万円利用 から、1.7万円チャージ⇒7万円利用 まで、段階的に負担率を変えています。札幌市は最大5.3万円分の補助となり、多く利用する方の割引率を下げるなどの仕組みを導入しています。それでも負担が大きく、制度の刷新を見据えて素案を公表しました。自己負担金をなくす代わりに、日頃の健康活動(ウォーキング)や社会参加などの度合いに応じてポイントを付与し、その分を公共交通機関の利用運賃に充てることができるという斬新な制度ですが、利用可能額が減ってしまいそうなこと、活動状況によって付与されるポイントがどの程度が予想できず不安が生じているとのこと。御多分に漏れず大反対が起こっているようで、既得権を失う高齢者、そしてその方々を支持層とする政党の利害が一致し、制度見直しを阻もうとしているように感じます。

バランス良い制度にするために

持続可能な制度にするための見直しが各都市で試行錯誤しながら実施されている中、仙台市の見直しはまだ恵まれている方だと感じるところです。

 今回は負担率を基本10%から25%に高める方針ですが、負担率は小学生と同じ50%というのが着地点になるように思えます。この負担率であれば逆に上限を設けなくとも良いかもしれません。一方、市の負担を低くするためには、負担率を上げない代わりに上限利用金額の大幅引き下げという選択肢もアリだったのでは。

 一部の利用者に利用が偏っている反面、JR沿線の高齢者が中々使いづらく、不公平が生じているという課題もある中、福岡市のように負担金なしで介護保険料の所得段階による区分をして、上限利用額を設定する一方、JRやタクシーの利用を可能にするなどの方向性がバランス取れていると感じました。

 そもそも、車社会の恩恵を最大限に受け、公共交通を使用しない流れを作った団塊世代の方々のために青色吐息の公共交通となっているという面もあり、車の維持費に嬉々として年間数十万円を平気で出していた方々が大部分。それから考えると年間2万5千円/人 で文句を言う人たちが多いとは思えない。そりゃ負担増になれば反対したくなるだろうけれど、アンケートの結果から「少しの負担増も許せない」という一部の声の大きい人達の意見を、殊更に大きく取り上げる某政党,マスコミの存在意義って何だろうなと思ってしまいます。少数派の意見を尊重と言いながら、その少数派が本当に困っている方なのか、世代間で比較すると全く不公平な現状となっていることをしっかりと見極めて欲しいし、一方的に高齢者を弱いものとして弱いものいじめみたいなレッテルを貼り、負担を少しでも次の世代に押し付けても構わないというようなことを平気で支援している勢力に違和感を感じています。

 自分のような中間世代も社会保険料に苦しめられ、わずかに給与が増えても手取りは増えず、子供関係を含め様々負担増に苦しんでいる中で、若い世代は尚更でしょうね。回りの若者世代は、車の保有や持ち家には執着していないという傾向が増していると感じています。これもそれにお金を回す余裕がないので,取捨選択して効率的に使途を選択しているということ。また、過度に頑張ってもしょうがないというか、自分の時間を大事にし、無駄なことはしないという傾向を感じます。こんな社会になってしまったことの責任の一端を感じつつも、自然体の生き方が認められることに羨やましさを感じたり。見栄張って横並びを目指していた時代からそれぞれの考え方を重視する時代になってきたことは喜ばしいことかもと。

 高齢者にとってせっかくの誇るべき敬老乗車証制度を与えてもらっていたことに感謝しながら,長続きさせるためにはということを少しでも広く考えることができる人が増えれば良いし,マスコミも本質をしっかりと理解して,公平に報じて欲しいと感じるところです。

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2023年12月21日 (木)

ゼビオアリーナ仙台 アイスリンクへの改修に向けて(その1)

 ブログなどのトップ画像にしており、自分も応援している素晴らしい施設であるあすと長町のゼビオアリーナ仙台。2012年秋のオープンから11年が経過し、いろいろ紆余曲折ありながらも、Bリーグ仙台89ersの本拠地としての活用、ライブ会場としては”神会場”と崇められるような存在感で、必要とされる施設として仙台の貴重な財産となっています。また、杜の広場という太白区を代表するイベントスペースに隣接し、催事前の待機スペースとしての活用や、KHB本社とともにこの広場と一体となった様々なイベントが開催されるなど、仙台市にとっても貴重な空間となっています。

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 先月末飛び込んできた、仙台市とゼビオグル―プからのビッグニュース。これも記事にしようと思いながらも、全貌が見えていなかったところがあったので、静観していましたが、ある程度見えてきたこの段階でまとめてみました。

通年型のスケートリンク ゼビオアリーナ仙台に整備へ(11/28KHB)

 仙台市太白区のゼビオアリーナ仙台に、2025年度にも通年型のアイススケートリンクが整備されることになりました。フィギュアスケートの国際規格に対応することで、国際大会やアイスショーの会場としての活用が期待されます。

 仙台市役所で、郡仙台市長とゼビオホールディングスの諸橋友良代表取締役がスケートリンクの整備に向けた基本協定を結びました。

 スケートリンクはゼビオアリーナ仙台に整備され、縦30メートル横60メートルと宮城県で初めてフィギュアスケートの国際規格に対応した通年型のリンクです。

 氷の上に移動式フロアを置くことで、これまで通りバスケットボールの試合やコンサートなどもできるということです。

 施設はゼビオが改修して仙台市に寄付します。代わりに仙台市は、施設の指定管理者にゼビオを選び指定管理料を支払います。

 仙台市にある通年型のスケートリンクは、泉区のアイスリンク仙台だけで、新たな施設により国際大会での活用に加えスケートの競技環境が充実することへの期待も高まります。

 今回の決定を受け、プロフィギュアスケーターの羽生結弦さんがメッセージを寄せました。

 羽生結弦さん「自分と同じように、この街でフィギュアをやりたいと思う次の世代が1人でも多く生まれることを期待しております」

 郡仙台市長「日本フィギュアスケート発祥の地、仙台。そして五輪で金メダリスト2人を輩出している仙台です。五輪を目指す若いフィギュアスケーターの皆さんにも使っていただけることを期待している」

 仙台市は2024年度に工事を始め、2025年度にスケートリンクの利用を開始したい考えです。


1.至った背景とこれまでのスキームの限界(今回記事:その1)

2.今回提案のスキームについて(次回記事予定:その2

3.今後の施設活用の見通し(次回記事予定:その2

 

 

1.至った背景とこれまでのスキームの限界

 ゼビオアリーナ仙台は、震災により着工が3ヶ月遅れたものの、平成24年10月にオープンしました。名称の通りゼビオグループが建物を整備・運営する形で、建設費30億円により、当時としては日本最先端の多目的アリーナを整備してくれました。

 89ersの専用アリーナ構想は、元々ザ・モール仙台長町横の仙台市有地(旧仙台市音楽堂構想地)の借地利用者公募にあたり、提案者は忘れましたが提案の中に入っていましたが、結果的には三井不動産のララガーデン長町が採択されました。その当時は、専用アリーナだけで収益を上げるのは厳しいでしょと思っていましたが、ゼビオグループが事業主体として協力し、複合型施設としてあすと長町にて事業化されることになりました。

 ゼビオアリーナの客席はアイスショーなどでは固定席2800席、バスケなどでは張出可動席を含め当初4000席(現在は最大5000席)、ライブの際は、アリーナ部分を含め最大6000人収容でき、上部の四面大画面ビジョンや外周のリボンビジョンによる演出など、様々な用途に活用できるアリーナです。

 コロナ禍でイベントが激減した際には、仙台市のワクチン接種会場としても利用されたほか、大学の卒業式、就職セミナーなどの利用も多いです。

 ゼビオグループは、杜の広場を取り囲む南側の街区を、 このアリーナだけでなく本業のスーパースポーツゼビオの旗艦店、SRCタカミヤと連携してフットサルやバスケ、テニスのドーム+テナント商業施設を加えたスポーツタウン(現 KHBぐりりスポーツパーク)として一体整備しました。

 土地は、区画整理事業の事業主体であるUR都市機構の保留地であり、当初は土地購入を前提に交渉していましたが、長町駅前の14街区(現歯科医院)、13街区(現パークタワー、ヤナセ等)、16街区(現IKEA)の分譲を行った国鉄清算事業本部の公募への応札が不調だったことから、ゼビオ側が初期投資軽減のためか、土地購入から20年の定期借地権への切り替えを交渉し、認められたと記憶しています。

 スポーツパーク部分は20年定借は妥当とはいえ、少なくともアリーナ部分は20年で取り壊して土地返却は現実的ではないので、この点は不安に感じていました。

 仙台市では、集客施設に対する支援制度を立ち上げ、仙台駅東口のアンパンマンミュージアムと並び建物部分の固定資産税減免支援対象としていましたが、土地の毎年の賃料、そして初期投資30億円分の回収とを想定すると、施設使用料は他の公営体育館と比較すると当然ながら高額です。

(1)89ers本拠地活用の誤算

 ゼビオアリーナ有限責任事業組合を設立し施設運営を行なっていますが、当初から大前提だった89ersの本拠地化に向けての利用料協議が整わず、初年度から89ersが青葉体育館を中心に利用せざるを得ないという状況に陥ってしまいました。

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 その後、B1参入を果たした際にも、ホームアリーナの収容人員が5000人以上とされたことから、最大約4,000人収容に留まるゼビオアリーナ本拠地化が叶わず、5700人収容の仙台市体育館をホームアリーナとして活用せざるを得なかったところ、B2だった2018シーズンは仙台市体育館の工事もありゼビオアリーナの試合数が6割の18試合とし、2019シーズンからは、本拠地要件の8割をほぼ満たす22試合を開催することとなりました。

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 それも、ゴール裏の仮設席1000席増席により、バスケ開催時の収容人員を5000人と増やすことで、B1のホームアリーナ条件を満たす前提とし、昨シーズンからは集客が見込める試合で仮設席の設置を開始し、今シーズンはゼビオアリーナ開催の全試合で仮設席を設置し、全試合満員御礼で最大4500人で全試合4000人以上の集客を図るなど、新B1への参入条件の今シーズン12万人集客クリアに向けて順調なスタートを切っており、本日までの10試合全て満員御礼と、バスケットでの活用については、ようやく軌道に乗ってきた感があります。

(2)ライブ会場としての誤算

 ライブ会場としては、上述のように、全国のアリーナツアーに組み込まれる際に、他県のアリーナは基本的に1万人以上収容のところが多いところ、最大でスタンディングでも6千人収容でコンパクトで立体的な造りであることから、アリーナ席はもちろん、後ろのスタンド席でもステージが近く、神会場として人気が高いアリーナとなっています。一方、その収容人員の少なさからチケットが取りづらいという欠点もあります。

 このあすと長町に立地していることから、遠方の新幹線や仙台空港経由の参加者は、JRや空港アクセス線を利用してJR長町駅から、そして市内の地下鉄沿線の方は南北線長町駅からともに徒歩5分。

 よって、仙台駅からは会場まで電車と徒歩で15分以内で、運賃も地下鉄でも250円。JRだと約190円と格安(そもそも新幹線経由だと概ね市内駅扱いなので途中下車しなければ追加料金ゼロ)。仙台駅からタクシーで乗りつける方々も見かけますが、それでもせいぜい1500円程度と、アクセスの良さは随一。

 そしてJR長町駅には高架下商業施設のtekute長町、そしてアリーナへの通り道には飲食店などが並ぶプロムナードで結ばれています。

 ゼビオアリーナ目の前の杜の広場は、列整理で使用できる広々とした空間である他、物販用のテントが立ち並び、ライブの度にちょっとしたお祭りの雰囲気です。

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とはいえ、オープン直後から気になっていましたのは、稼働率の低さ。特にライブは月に2〜3公演(2days含む)行うことがある一方、数ヶ月公演がないこともあり、歯痒く思っています。というのも収容人員についてはスタンディングの場合センターステージでも最大6000人で、あの利府のセキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ体育館)の最大7000人とそれほど変わらないと言っても、2daysだと2000人以上の差が。

 更に、通常の北側ステージ配置では、アリーナスタンディングで5500人、アリーナ椅子席で4500人程度とのことで、収容人員的にハンディはあります。

 あと、民営施設故の会場使用料の差が大きく、ゼビオアリーナは12時間基本料金が200万円以上で、それに設営・準備時間は半額とはいえ、2daysではそれなりにかかる。一方、セキスイは県立体育館ということもあり、本番時の基本料金は約20万円/時 で、設営・準備時間は半額なので、うまく組み合わせると2daysでもゼビオアリーナの半額程度で借りれそうで(付帯設備や光熱水費を除く)、使用料でもハンディがあります。

 加えて、シャトルバスの収入が大きいのではと。利府駅からの路線バスやタクシー、クルマでの来場者を除き半数がシャトルバスで来場すると仮定し3000円/往復・人とすると、3500人×2日×3000円=2100万円の収入。バスの貸切料金は5~8万円で2daysで70台×2=140台(50人乗り)とすると、せいぜい1千万円前後。プレイガイドへの手数料等を除外しても数百万円以上の収入がイベント主催者側に入ることも。

 ゼビオアリーナはアクセスの良さ故、ぼったくりシャトルバスの利用が不要なのは参戦者にとって嬉しいところ。無駄なシャトルバスやタクシー代、宿泊せずに新幹線で帰ることができれば、その浮いた費用を別の観光や飲食、お土産に費やすこともできる。何よりも行き帰りの時間が読めないストレスがなく、仙台駅前でアフターライブの余韻を楽しむこともできる。

 一方、イベント主催者からすると、収入はライブの入場料収入と物販のみ。会場使用料の高さ、入場者数が千人単位で少ない分の入場料収入のマイナス。そしてバスで仙台駅から1時間という最悪のアクセスを逆手に取ったシャトルバス収入の誘惑を考えると、ついついセキスイを活用してしまうのも分からない訳でもない。

 もちろん、セキスイハイムスーパーアリーナの主催者側としての大きな欠点は、その最悪のアクセスが故に、入場者数が読めず、ガラガラのライブが定期的に生じてしまうリスク。

 「立地条件はともかく、とにかく見に行きたい」という意欲を持つ所得の高い首都圏からの参戦者からすると、地方都市公演の中でもチケットが取りやすい面があり、夜の公演後に新幹線に間に合わない立地条件から、宿泊を含めた経済効果は大きい反面、地元民は悪評を知っているだけに行くのに躊躇してしまうというところが。

 以前、perfumeの金曜日開催のライブが収容率32%のガラガラぶりがX(旧Twitter)で拡散され、セキスイでのライブ開催は週末でないと厳しいという主催者サイドの声も聞こえてきたりしました。

 コロナ禍ではありましたが、ベテラン有名グループのライブがガラガラなのでタダ券を希望者に大々的に配った例も(自分はあの会場にはタダでも行きたくないので希望せず)。公演主催者としても、アーチスト本人としても、ガラガラでなくともチケット販売に苦労するようなライブは避けたいはずで、セキスイが多いにしてもゼビオアリーナでも試行的に開催したアーチスト(B‘zなど)もありますが、チケット売れ残りの心配のない旧ジャニや大御所(MISIA、サザン、ミスチル、福山、小田和正など)はセキスイを選ぶ傾向が多々あります。

(3)アイスショー会場としての活用も

 現在の施設でも、これまで羽生君のアイスショーが2014年に開催されている他、今年の6月には浅田真央のショーも開催されるなど、準備さえすればアイスリンクとしての活用も可能ではありますが、当然ながら特設リンクとなり、コストは通常のライブやスポーツ催事利用と比べても高いはず。

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 また、公式の60m×30mのリンクサイズで2800席で、収容人員は多くはありません。ただ、羽生君のアイスショーを開催した時は小さめのリンクにしたため、1階の可動席も使い、バスケットと同様の4000人収容だったようです。

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その2に続きます。
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2023年12月 5日 (火)

イオンモール仙台雨宮 ようやく始動

東北大学農学部跡地に進出が予定されていたイオンモール仙台雨宮(仮称)。2013年に東北大から跡地を220億円で購入することが決定し、2019年に引き渡しを受けながらも、コロナなどを理由にして野晒しの状況でした。その間にイオンモールの進出を売りに分譲された敷地北側マンション部分の野村不動産、住友不動産の2棟が先行し、すでに約400世帯が生活を始めており、さらに西側の仙台厚生病院も来年5月には広瀬町から移転することとなります。この件にについては、過去にも記事にしているので、そちらも参照下さい。

過去記事


急がないイオングループ

 このように、イオンが絡む土地取得については、住友不動産とイオンタウンが組んだあすと長町も同様に、マンション部分入居開始後5年以上経つのに野晒し(月極駐車場)ですが、イオングループはすでに仙台圏の主要な立地を抑えており、新たなライバルも三井不動産のららぽーと位であることから、新規出店については決して急ぐことがなく、グループ内で優先順位をつけながら進めている印象です。よって、土地取得後に10年も放置というのも珍しくなく、新利府の案件も県の都市計画審議会で扱われてからオープンまで5年以上。卸町だけは例外的にスピーディーなオープンでしたが、その後は名取増床→新利府南館→雨宮→あすと長町 の順番なのでしょう。

 雨宮もようやく着工という状況で、あすと長町は当分先になるのか。

 イオングループの中でも会社は異なるとはいえ、入るテナントのことを考えると近年は無茶はしない。一時期はイオンモール富谷とイオンタウン泉大沢のように、直線1kmでバッティングするような大型SCの出店をして、ともに勢いを失っている状況。これに懲りて、近距離でバッティングするよりは、隣接させてスケールメリットを発揮させた方がと、新利府のアイディアに繋がったのか。

“ミニ“イオンモール 

 先日、大店立地法の説明会に参加しましたが、着工時期も早くて来春、オープン時期は決まっていないとのことで、正直肩透かしでした。立地法の説明会って、もう少し、専門店の構成や建物平面図、イメージパースなどが示されると思っていたので。

 説明会に参加された方の中で、周辺町内会などの方が当然ながら多く、発言もされていました。大規模SCへの期待感というよりは、幹線道路の渋滞だけでなく、下記丁などの生活道路への車の流入を心配する声など、農学部の良好な自然環境が失われたことに対する不満と心配が大きく感じられました。

 仮に2万平米程度の、この売場面積であれば、都心部と共存でき、かつ都心部を補完するワンストップショッピングができる丁度良い規模で、周辺の近年分譲された約750戸のマンション群の住人の期待に応えることができる規模ではと。ここに競争力のある大型モールが出店してしまえば、北方面からの都心部に入る需要を手前で根こそぎ奪ってしまい、中心市街地の息の根を止めてしまいかねず、これから計画されている都心部の再開発にも致命的な悪影響を与えてしまう。

 せめて、札幌や福岡並の都心部の商業集積が既にあれば、都心周辺部の巨大なSC(福岡はららぽーと、札幌はアリオやサッポロファクトリー)があっても共存できていますが、それぞれ百貨店や専門店街・シネコンを含む中心駅ビルが巨大SCとして競争力を保っているから故。仙台の場合はエスパルはあくまでも専門店街で単独での競争力はそれほど強くない。より競争力の強い大規模SCが都心部にできるに越したことはないけれど、期待できるのは藤崎を中心とする大町再開発まで待たなければという状況。実現性は半々でしょうが。

大規模病院とマンション群

 都心隣接の大規模再開発ということで、目玉となるのはイオンモールと並んで仙台厚生病院となりました。循環器、呼吸器、消化器の3分野に特化した上ガン治療に強みを持つ、宮城県だけでない存在感を持つ病院です。

今の立地はバス停も目の前で本数も多く、大学病院も近接し、悪い立地条件ではないにしても、10年ほど前の地元大学と組んだ医学部新設の競争に敗れ、方向性が迷走した印象。建物はまだ使えそうながらも、移転を前提にオリックスに土地・建物を売却していました。最近その土地建物をニトリホールディングスが取得したと話題になっています。

 新たな立地は地下鉄南北線北四番丁駅から徒歩5分圏で、北六番丁通を経由するバスも目の前に停まり、勾当台通と愛宕上杉通に挟まれる立地条件が従来と比べて格段にアップします。

 農学部キャンパスの自然環境が失われたのは残念ではありますが、全体のイメージが見えてきた今、それほど悪くはない開発に思えてきました。

 先んじて、勝山館跡地のヨークベニマルがオープンしていますが、来年の5月に仙台厚生病院が移転開院し、同時期に工事が始まるイオンモールがR7年中にオープンすることで、この近辺の魅力がアップし、仙台にとってプラスになる開発になると思います。

 

 

 

 

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2023年10月28日 (土)

大型半導体工場が仙台近郊進出へ 場所はどこに?

 昨日の午後から、界隈はこのニュースで持ち切りになっていますが、宮城県内へ大型半導体工場が進出とのこと。

 第二地方銀行の連携を推進するSBIホールディングスが資金源となり、台湾では3位の力晶(PSMC)と組んでとのことですが、突然のニュースで驚いています。

台湾半導体、宮城に工場建設へ SBIと、地銀の資金調達

台湾の半導体受託生産大手の力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスが共同で、半導体工場を宮城県に建設する方針を固めたことが27日、分かった。事業規模は8千億~9千億円とみられる。SBIが「第4のメガバンク構想」を掲げて提携してきた地方銀行からの資金調達を検討する。

 PSMCは半導体の受注生産に特化した世界有数の企業だ。両社は日本国内に工場を新設すると7月に表明。全国25カ所を候補地とし、現地視察などを通して絞り込みを進めていた。

 PSMCと同業の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は熊本県菊陽町に第1工場を建設中で、同県内に第2工場の建設も検討している

(10/27共同通信)。

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TSMCで先鞭をつけた熊本

 国内では、コロナ禍でのパワー半導体不足による製造業への多大な影響が生じたこと、また台湾有事を見越して、熊本県の熊本市郊外である菊陽町へTSMCを誘致し立て続けに2棟の巨大工場を進出させることで、熊本は菊陽町の周辺自治体を含めて従業員の住居や関連工場の用地確保に向けた争奪戦が起こり、土地価格の2桁上昇が当たり前という局地的な土地バブルが生じています。

 経産省が支援するのであれば、熊本だけでなく国内でのリスクやチャンス分散も図って欲しいと思っていながら、同じ会社であれば近接した場所での操業が効率的なのでしょうが、熊本だけに兆単位の支援は不公平だなぁと感じていました。

 もちろん、かつて”シリコンロード”と言われた東北に対し、九州は”シリコンアイランド”として、半導体工場が多く立地していたという背景があり、今回の菊陽町のTSMCの建設地に隣接して、ユーザーとなるソニーの半導体工場が立地しているということ、地下水などの水源が豊富であること、そして原発が稼働し、電気料金も安定していることなど、誘致にあたってのメリットが大きいところがあります。

 また、現在は長く続く少子化により、若年層の労働力人口が激減しており、昔の企業誘致感覚で数多いる”労働力”を地元に留まらせるというよりは、一定の”技術者”を集めてこなければならず、、何もない田舎に集めてくることは厳しい状況。

 なので、街中も元気で都市的な要素が残っている熊本市は70万人といえども政令指定都市であり、菊陽町はその熊本市の近郊で九州新幹線熊本駅から接続する豊肥本線で30分ほどの人口4万人を超えるベッドタウンの街。菊陽町は羽田、そして台北とを結ぶ「阿蘇くまもと空港」に近接し、九州道や八代港という高速交通インフラも比較的近く、地元だけでなく、熊本市や他都市からも技術者を呼んできやすい、そして家族で生活するのにも支障がない都市機能を持っています。

全国に半導体工場進出が拡大

 TSMCの第2期も熊本と、不公平感を感じていたところでしたが、従来から立地していた東広島市の米半導体大手マイクロンへの経産省の支援に続き、オールジャパンでの国策会社ラピタスが北海道千歳市への進出が約半年前の2月末に決まりました。

 千歳も、熊本と条件が似ているところがあり、200万都市札幌から30分圏で通勤も可能、当然ながら国内だけでなく、国際線も多数就航する北日本最大の新千歳空港に近接、苫小牧港も車で30分、道央道ICも近く。そして水資源も豊富、なにより広大な土地が格安で拡張の余地が大きいというメリットも。電気についても東北電力や東京電力管内よりは余裕があり(非常時の本州からの融通が難しいのがデメリットですが)。

 このラピダスの進出先選定の際に宮城県内も候補に残っていたとのことで、残念に思っていたところでしたが、結果的に、今回のSBIと力晶(PSMC)のコラボでの大規模半導体工場の立地として選定されたため、熊本県、広島県、北海道、そして宮城県と、結果的に中核地方都市を擁する4地方にバランスよく立地させ、経産省の支援を受けることになり、良かったと思っています。

 なお、”札仙広福”の中で「福岡」の代わりに「熊本」という構図となりましたが、福岡はもともと水資源がネックで、工業は北九州に任せ商業都市に特化した経緯もあり、九州の中のバランスを考えてもベストだったのでは。

 仙台近郊の強みとしては、研究開発と人材供給の面で東北大の存在が一番ながらも、世界的な半導体製造設備メーカーのグループである「東京エレクトロン宮城」も大きいでしょうね。また、女川原発の再稼働に目途がつき、少なくとも操業時には管内の電力事情が安定しているという目算も。

仙台近郊のどこに?

 今回のファクターとして、報道では「仙台市近辺の工業団地などが候補地」とあり、さらに「仙台」ではなく「宮城」に進出とあるので、仙台市外であることは確実です。

 本来、求められる要素としては、熊本の菊陽町や東広島市、千歳市の立地のように、都市近郊の鉄道沿線が望ましい(東広島市は市内に新幹線駅と在来線駅がありながら工業団地は多少駅から離れていますが)ところで、県内の工業団地の分布については、16年前のセントラル自動車(現 トヨタ自動車東日本)の誘致決定時とほとんど変わっていないのが残念なところ。よっぽど、キオクシア(旧 東芝メモリ)が巨大工場を建設している隣県北上市の方が母都市の生活環境が良いというのが。

  過去記事: 産業振興(セントラル自動車誘致他 (2007.10.11)

立地場所として理想は、

  • 母都市の生活機能が充実
  • 大都市(仙台)からの通勤も可能
  • 空港近く
  • 高速道路近く
  • 港が近く

 

 となると、熊本県菊陽町も千歳市も空港の近くなので、それに類するJR東北本線館腰駅周辺の名取市から岩沼市にかけての一帯が立地場所としては全ての要素を満たす最高の立地となります。

 ただ、既存の仙台空港南の工業団地に空きがなく、これから迅速な拡張は周りが農地とはいえ農振農用地の解除と地盤沈下対策、アクセス道路の整備などを考えると、2026年には到底間に合わない。そもそもJR東北本線の東側であれば津波浸水地域であり、それをどう評価するか。

 立地場所を抜きにして、工場自体に求められる要素は、

1 2026年に稼働可能

2 一般的に20ha以上の敷地が必要

3 第二期の拡張も視野

4 東京エレクトロン宮城に近い方が望ましい

 

との必要とされる要素から、現実的な候補地は限られています。

 

【対抗】 愛島台<1◎、2〇、3△、4△>

 名取市であれば、空いているのは、愛島台(愛島西部第2期)で20ha程度はありますが、第二期を見越すと新たな造成が必要で土地に余裕はありません。それにどん詰まりの一時期は開発が放棄された住宅団地に、1000名以上?の通勤者が生じることを考えると厳しい面はあります。

 ただし仙台方面からのクルマ以外での通勤者の足としては、JR館腰駅まで20分程度でそこから送迎バスを設定すれば20分と及第点。

 なにより、アクセス道路は高規格で、空港にもインターにも時間距離は近いという面が。あと水の確保がネックでもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Medeshima

 

【本命】第二仙台北部中核工業団地<1◎、2〇、3△、4〇>

 トヨタ自動車東日本大衡工場のすぐ近くで、東北道大衡ICにも程近いこの松の平3丁目の区画は20ha以上はありそうです。説明文にも令和7年4月分譲開始に向けて造成中とのことで、ユーザーになり得るトヨタ東日本の各工場にも程近くです。

     (12/13追記)結果的に決まったのはトヨタ東日本本社工場南側の中央平の敷地でした。分譲ガイドの区画図から敷地はもっと狭いとみていましたが17haとのことで、区画道路の廃止や隣接地を含め最大限使える土地をかき集めたのか。想定していた20haは満たしていないですが、スピード感優先で、より広い松の平は造成中なので造成済の中央平を使うことにしたようですね。

 最も大きいのは、供給能力に余裕がある県の工業用水が団地内に整備され、既に配管が来ていること。あと東京エレクトロンも同じ黒川郡内で、クルマで30分と遠くはないということ。なお、仙台空港や仙台港には多少距離があるといっても、高速道路(東北道ー北部道路ー東部道路)で一直線で結ばれており、それほどネックにはならなそうです。

 生活環境については、トヨタ東日本も受け入れた実績があるし、大衡村には何もないとはいえ、富谷市・大和町には一定の郊外型商業施設・住宅団地があり、クルマがあれば普通に生活は可能です。ただ、仙台市方面からの通勤は泉区からが限界であり、トヨタ系に加えての大規模半導体工場立地となると、追加の交通渋滞対策が必要となる点がやはり気になります。現在でも、ラッシュ時には双方向の激しい渋滞が発生していますし、

 そうなると、これも以前から主張していることですが、隣接する東北道大衡ICに高速バス停留所を設けて、そこからマイクロバスなどで各工業団地の企業にフィーダー輸送ができないものかと。既に通過している古川・栗原・登米市方面の高速バスを停車させるだけだし、特に宮交の古川線は北隣の三本木で客扱いしているので、小さい投資で利便性が確保されることになるのではと。

 北部工業団地のIC設置構想 (結果的にETC専用ICではなくフルICとして整備されました)

 現在でも大衡村役場までは平日10往復の高速バスが発着していますが、通勤には使えない時間帯の運行である一方、東北道の北行きバスは既に古川や栗原、登米市方面への通勤用で仙台朝7時頃発の便が設定されているので、このような交通対策が講じられると良いのかなとは思うところ。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Hokubu

 

【穴】松島イノベーションヒルズ<1〇、2◎、3△、4△>

 面積が27haと意外にあります。三陸道の松島大郷や松島北ICからすぐで、仙台港や仙台空港へも高速道路で20~30分圏、そして、JR東北本線の愛宕駅から1kmと、比較的広域からの通勤が可能である立地です。ただ母都市である松島町は観光都市で、ベッドタウンとしての生活機能が弱いところがあり、その点大崎市鹿島台や塩釜市、利府町など周辺都市に依存することになります。

 また現在でも利府街道や国道45号など一般道の整備水準が弱いことから、インフラ面で不安はあります。

 そもそも、造成が間に合うのかと思って居ましたが、一応説明文には令和6年供用開始を目指しとあるので、現在進行形で進んでいるのかもしれません。

 沈滞気味の松島町や塩釜市、鹿島台方面への東北本線沿いへ好影響が想定され、また仙台市内からの鉄道通勤も可能な距離であることから、人材確保にはプラスと考えられます。県のバランス良い発展のためには、黒川地区に誘致企業を集積させるのではなく、開発規制が強すぎてこれまで産業面で日の当たらなかったこの地区を推しています。なお、松島北IC付近には東京エレクトロン系列の事業所が大和のテクノヒルズ進出以前から存在していることも、あり得ないことではないと思った理由でもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Matsushima

 

【番外編】成田二期北(富谷市)

 最初、100ha以上あり拡張し放題のここが本命では?と思いながらも、調べてみると、区画整理でまだ環境アセス中。造成はこれからだし、南は北部道路、西は東北道に面し、幹線道路から全てこれから整備となると、10年後だったらともかく、ここは無理と感じました。とはいえ、工場拡張の際に土地がなければ、第二期開発には間に合うかもしれません。

 その他、東京エレクトロン宮城が立地する大和町のテクノヒルズも土地があれば大本命になるところ、既に空き区画は東京エレクトロン宮城が抑えており全て完売済であることから、ここもないだろうなと(拡張用地として東エレ取得済の土地を譲渡することはないでしょうし、そもそも11haしかない)。

 仙台圏以外で、高速交通網が整備されているところであれば、白石市にも新IC近接で造成中の「仙台南部工業団地」もあるし、母都市となる白石市への好影響もあり、仙台からの通勤も可能と、良い立地ではありますが、「仙台近郊の工業団地」という表現から、厳しいかなとは思いました。

 

やはり、第二仙台北部中核工業団地か?

 なにより、造成済でトヨタと近接、東京エレクトロン宮城とも遠くない、そして県の工業用水がふんだんに使えるという要素が大きいかと思いました。全国の25か所から選定されたということであれば、ここが一番強みを持つことも納得できます。正式な発表を待つこととします。

 

(あとがき)

 なお、先日の県議選の争点でもあった、村井知事が進める富谷への病院移転の背景として、この巨大工場誘致もあるかもしれません。黒川エリアに総合病院を誘致し、黒川エリア一帯の生活環境を底上げし、居住エリアとしてのイメージアップを図るという理由で。

 先日の村井知事と郡市長との論争を聞いて、

「鉄道沿線外でクルマ依存型のこのエリアに大病院を整備しても患者も医師・スタッフが集まらず、そして将来的な高齢化と人口減は否めず、仙台ではなく富谷に移転した方が将来的に病院の経営が行き詰るのでは」

と感じたところでしたが、黒川エリアへのさらなる企業誘致で人口増をもくろんでいるのかもしれません。まぁ、移転先の市長と既に話がついているような移転の進め方については違和感を拭えませんが、移転する法人(病院)の判断もあり、ここまで反対運動が広がるとどうなるのでしょうね。

※ 細部の表現を修正、及び一部加筆しました(10/29)

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2023年9月12日 (火)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その2(開業の効果と課題)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その1の続きです。

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ライトラインの課題

 開業後、多くのYouTuberが動画をUPしているため、行かずとも現地の雰囲気を味わうことができる良い時代になりました。

 今年開業した、福岡の七隈線博多延伸、東急相鉄新横浜線は地下路線であり、動画としても絵になり辛い、撮影し辛いところがあったのでしょうが、それに対し、このライトラインはほぼ路面を走る交通機関、かつ車内運賃収受のためホームへは自由に入れ撮影しやすいこと、東京から近いことで話題性も大きいこともあるのかな。

「百聞は一見に如かず」でどういうものかは数多くUPされている動画を見て頂く方が分かりやすいですが、感じたことを何点か。

優れている点

① ICカードでの全扉乗降

 連接車両においては広島電鉄でも開始されていましたが、乗降時間短縮のためには効果的です。現金収受の手間が省けストレスなく乗降車できるので、まさしく”水平エレベーター”的に気軽に使うことができます。

  現在、週末を中心に現金客に起因した大幅遅延が発生していますが、それもICカード利用率が上がること、乗客が慣れてくることで徐々に解消されていくことでしょう。ただ、一定の不正乗車が生じかねないため、対策として国が率先して制度改正し、欧州のように抜き打ち検札での大幅な罰金導入などを図る必要性を感じます。JR九州の無人駅の状況のように、”払った者負け”みたいな風潮が生じて欲しくない。

② 新設軌道で、乗り心地が良さそう

 かつて乗車したことのある、札幌、函館、広島の路面電車は、車両が新しい場合でも、線路が敷設から長期間経過しているためか、ガタガタでバス並みに揺れ、信号でしょっちゅう止まることなどお世辞にも乗り心地が良いとは言えませんでしたが、この宇都宮ライトレールは、軌道も車両も新しいため、その点路面電車のイメージを変えることになりそうです。

③ 双方向に需要あり

 宇都宮駅方面への通常のラッシュに加え、反対方向の複数の大規模工業団地や高校・大学への通勤通学需要があり、片輸送にならないバランスの良さを感じました。これまで完全なクルマ社会で需要が見込める施設が”点在しているなか、多少遠回りになってもうまく線で結んだものだなぁと。

④ バスとの乗り継ぎ、パークアンドライド拠点の整備

 始発停留所の宇都宮駅東口を含め、5か所の停留所でトランジットセンターが整備されました。

 バス乗り継ぎは抵抗があるものですが、路面電車と路線バスがほぼ平面で乗り継ぎができること、乗継割引が大きいこと(100円)、パークアンドライド駐車場も停留所近くにあり、無料で使えるところもあること。この点については、上下移動が必須の地下鉄と比較し乗り継ぎ抵抗が小さいことがメリット。

 一般鉄道も近年は橋上駅や高架化が進むことで、上下移動はエレベーターなどのバリアフリー設備が導入される一方、徒歩での平面移動距離が増え、足腰が弱っている高齢者にとってはキツイということもありますが、LRTとの乗り継ぎは基本スロープを含め平面であること、乗り継ぎ先の車両が目の前に見えることなどで、視覚的に把握しやすく安心ということもありそうです。

Lrt_route

今後の課題

 感じた以下の課題は、将来的に解決が見込めるものであり、少しずつでも実現していって欲しいと思います。

① 速度向上と電車優先信号の導入

 ライトレールの総延長は14.7㎞と、仙台市地下鉄南北線の14.8㎞とほぼ同じです。ただ、全線の所要時間は南北線が28分に対し、宇都宮ライトレールは開業時で48分、来春の快速運転開始後でも37分(各停44分)の予定で、速達性はやや劣ります。

 現在は軌道法の制約で40km/h に抑えられている最高速度が、特例が認められれば70㎞/h(仙台市東西線の最高速度と同じ)まで上げることができ、その場合は快速で33分まで短縮することができるとのことで、早期の速度向上が望ましいところ。

 また、路面電車の特徴ではありますが、交差点での信号待ちの時間が遅さを感じるところであり、開業時には見送られた電車優先信号が導入され、さらに所要時間が短縮されることが、クルマとの対抗上望ましいと考えます。


② 工業団地輸送の速達性確保(遠近分離)

 ホンダやキヤノンなどの工業団地通勤者による大渋滞対策も兼ねて整備されたライトレールであり、クルマからの転移は10%程度でも渋滞対策に効果はありますが、もともと宇都宮駅東口との間で運行されていた着席前提の企業通勤バス利用者が、座れなくなって不評との話が聞こえています。特にホンダは9月から通勤バスを全廃し1000人以上の通勤者がライトレールに移行することになりました。

 新幹線や在来線からの乗換利用者を中心に宇都宮駅周辺居住者が利用していたのであれば、クルマなどLRT以外への流出は限定的でしょうが、「これまで必ず座れ、事業所目の前に30~40分で到着」から、「立ちっぱなしかもしれないライトレールで48分(遅れると1時間近く)、そして広大な事業所内を歩く必要」を考えると確かに不満を感じるのは分かります。

 そのためには、やはり予定通り快速が導入され、宇都宮駅から30分台で到着できるようになれば、途中駅での乗降による車内の動きが少ないことも含め、気分的に速さを感じることができますし、LRTへの転移がスムーズに進むのではと感じます。

③ 西側市街地への延伸

 ただ、このLRT。本来であればバスがひっきりなしに走っており高い需要が見込める『JR宇都宮駅から東武駅までの都心部』から整備するのが自然に感じますが、宇都宮市の特性として、上述の通り「工業団地に集積した大企業工場への通勤負荷の高さ」の解決が必要であることと、西側が先行整備の場合には東北道方面に車庫を確保する必要があったため、東側に車庫を確保しての先行整備となったのでしょう。

 工業団地や作新学院大などへの通勤通学については、宇都宮駅東口発着でも問題ないでしょうが、官公庁などオフィス街はJR宇都宮駅西側に広がっているため、芳賀町やゆいの杜方面からの都心部通勤通学にあたっては、JR宇都宮駅からバスに乗り継ぎ、または徒歩で向かう必要があり、使い勝手が良くはありません。

 それが、2030年代初頭を目標とされている、JR宇都宮駅を高架で超えての西側市街地への延伸が実現すれば、東武宇都宮線方面との乗り継ぎも可能となる他、西側延伸の終点と目されている桜通り付近には高校も点在しており、中心駅を挟んで東西をスムーズに移動できるようになれば、革命的な変化が起こるのは、仙台市東西線(卸町から東北大まで15~20分!) でも実感できた次第。

 開業から2週間経ってもこれだけ注目され、需要予測よりも多い乗客であふれている宇都宮ライトレールに対し、「宇都宮はバスの街」という訳の分からない反対のための主張を繰り返すK産党系には呆れます。仙台でも東西線反対派(K産党系オンブズマン)が、当時「地下鉄反対!LRTが良い」と主張していましたが、宇都宮では同じK産党系が「LRT反対!バスで十分」と、同じ党でも矛盾したことを主張しています。結局与党系が進めていることに対して反対できれば良いのでしょう。ある意味「反対のために手段を選ばない」という一貫性を感じるところ。

 なお、仙台の当時の東西線反対派の残党と思われる方が、Xで「宇都宮のLRTの開業で、仙台の東西軸でLRTが導入されなかった理由の嘘が明らかに」という趣旨でつぶやいていましたが、さすがにLRTで現在の東西線の利用者(8万人/日)は運べんし、青葉山の連続する坂は登れんし、仙台駅の東西をどのようにLRTで超えるのか。共にトンネル掘ったら地下鉄並みに工事費がかかり、LRTのメリットが相殺されるし。

都市間競争に勝ち抜くツール

 このライトレールの開業に向けて、沿線へのマンション林立と地価上昇、工業団地進出企業の莫大な追加投資(キヤノン、中外製薬)と、建設費こそ当初計画の1.5倍と大幅に超過しましたが、それでもこのLRTが整備されるからこその莫大な経済効果。

 そして、これまでは、同じ東北新幹線の沿線の中都市である郡山市と都市規模が変わらない印象もありましたが、その郡山からゼビオの本社移転がなされるなど、熾烈な都市間競争の中、都市の格でも明らかに宇都宮が上になりました。

 そもそも、10年前にゼビオアリーナ仙台に30億投資し整備してくれるなど、仙台重視の姿勢から本社移転が噂された時期もありましたが、89ersの本拠地化にも紆余曲折があり、またライブ活用にしても稼働率の低さに苦しんでいる印象があります。 正直アリーナ整備以降の仙台市の協力が十分だったのかは疑問で、それがもう少し協力的であれば、本社移転の可能性もあったのでしょうが、まぁ関東圏である宇都宮の方が、店舗展開や運営上メリットはあるでしょうしね。なお、持ち株会社は引き続き郡山市に本社を置くようです。

 このような、軌道系公共交通機関の整備に覚悟を決めて、莫大な整備費を出すことが、その都市がその沿線を重視していく宣言になります。

 それは、地下鉄を整備した仙台市が南北線と東西線沿線を中心とした沿線開発、施設誘致を進めているように。1000億もの累積赤字を返済していかなければならず、 利用者増と税収増を図っていかなければならないため、その分地下鉄と一蓮托生でであることは事実ですが。 市がその沿線を見捨てることはなく、安心感はあります。

他都市への波及

 これまで、完全なる新設事例がなかったLRTが宇都宮での導入により、知名度もまちづくり上の有効性も一気に上がりました。

 とはいえ、宇都宮でも30年かけて600億円以上かけてようやく実現した次第であり、これに続く都市が現れるかというと、厳しいものがあります。

 数百億を出して自前の軌道系交通機関を整備できるのは、基本的に政令市以上の都市であり、人口約50万人の宇都宮市が実現できたのは、誘致企業からの税収が豊富で、指数が0.99とほぼ自主財源で賄っている財政力の高さの故でしょうか。国の補助制度拡充の影響もあります。

 LRT網として先行している人口約40万人の富山市は、新設した区間は極一部(環状線、富山駅南北接続部等)であり、大部分は既存の富山地鉄の市内電車とJR西日本から引き継いだ旧富山港線を転換した富山ライトレールをうまく接続させ、最小限の費用でLRTを活用したコンパクトシティ政策を進めています。

コンパクトシティへの取り組みについて(3) ~富山市での取り組みその1 2015.05.05
コンパクトシティへの取り組みについて(4) ~富山市での取り組みその2 2015.09.27

 その点、8年前に将来的なLRT導入も見据えて、BRTを導入した80万政令市である新潟市は、現在JR以外の軌道系交通機関を持たない唯一の政令市であり、玄関口のJR新潟駅と大型商業施設が集まる万代シテイ、古くからの繁華街である古町など都市機能が線状に位置していることから、かつて最もLRTの導入可能性が高い都市ではありましたが、第一弾のBRT導入時点で盛大に躓き、地元マスコミが非協力的という点で、すっかりBRT自体の整備が止まってしまい、専用レーンの整備も実現されていません。

 なおさら、LRTへの移行など夢のまた夢で、自動車の分担率が7割と宇都宮と同等レベルで、公共交通機関の分担率も5~6%とこれも宇都宮と同レベル。その宇都宮がライトレールの導入を実現させたことを考えると、都心部だけでなく、高架化された新潟駅を貫き、駅南方面のイオンモール新潟南、鳥屋野潟のビッグスワン方面への延伸は十分可能性があると思えるのですが、縦横無尽に高規格バイパスが整備され、更なる整備も進んでいる新潟市においては、「バイパスサイコー」「クルマ社会サイコー」という市民の理解を得るのが困難なんでしょう。宇都宮のように、クルマ社会の限界を味わうことがないと、市民が支持しない政策は打ち出せない。

 宇都宮は、ライトレールの運営会社に地元大手の関東バスが入って、バスとの乗り継ぎなども図っていることから、新潟市で実現させるのであれば、新潟交通を取り込むのが必須でしょうが、もうそんな機運が消え失せているのが悲しい。

久々に新潟へ その(2)BRT初乗車 2022.08.03
新潟のBRT雑感とバス相互の乗り継ぎ 2015.09.14

 完全新設でなければ、新潟と同じ新興政令市の岡山市のJR吉備線の約20kmのLRT転換計画は生きているようです。郊外鉄道区間をJRTにしたところで、富山港線(旧 富山ライトレール)のように市内路線に乗り入れなければ、単なる増発と路面電車化に過ぎないように思えますが、それでもJRの路線を地元が引き取り、利便性の高い交通機関として再生させるストーリーは応援したいところ。

 そもそも、地下鉄もですが、LRTはクルマに頼り過ぎない、クルマなしでも生活できるコンパクトシティを進める手段としてのもの。LRTを整備したからといってすべてがうまくいく訳ではなく、このような政策を進めるにあたり、富山市の森前市長や、宇都宮市の佐藤市長など、理念を持ったトップが他にも生まれ、このような動きが続いていけば良いなぁと思います。

 

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2023年9月11日 (月)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その1

開業について

 令和5年8月26日に、宇都宮市と隣接する芳賀町にかけて、芳賀・宇都宮LRT(通称:ライトライン)が開業しました。

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 東京以北では函館と札幌にしか残っておらず、東日本は路面電車空白地帯となっていましたが、北関東一の都市である宇都宮市に、30年かけてようやくゼロから作り上げた最新式のLRTが開業することに。 路線延長ではなく、国内での全く新規からの路面電車の開業は75年ぶりとか。

廃止された仙台市電

 仙台では約50年近く前の1976年に全線廃止された市電(路面電車)。

 地下鉄南北線が開業した1987年までの約10年以上も都市内軌道系交通機関の空白期間となったことから、もう少し存続しても良かったのではと思いながらも、その当時は全国的に路面電車は時代遅れでモータリゼーションの面で邪魔者扱いだったのだから、軌道敷に自動車を入れてしまったことで定時制が失われ、乗客減で苦しんだとのことで、仕方がなかったのでしょう。

 また、路線網が旧市街に限られ、仙山線北側や泉方面に拡大した住宅団地の輸送にはまったく役に立たない面もあり、今の仙台の都市構造では生き残るのが難しかった面があります。  北仙台~長町間は地下鉄南北線に発展的解消し、原ノ町線は仙石線も並行、一番町や西公園付近も地下鉄東西線駅が設置され、結果的に大学病院などがある八幡町線沿線が取り残された形ですが、バス路線は充実しているし。

 地下鉄東西線着工前には、当時の市民オンブズマンを中心とする反対派が東西交通軸をLRTで整備することを主張しながら、全く具体性がない提案であったため、動きは広がりませんでしたが、東西交通軸は、地下鉄南北線を補完する役割として、「相互に乗り換えが可能」で「運賃通算が可能」かつ「定時性が確保」できる同じモードの交通機関である必要があったので、2路線目の地下鉄路線として整備されたのは必然。

 ただし、仮に南北線がなく相互の乗換を考慮する必要がなければ、仙台駅以東は卸商団地を含む産業エリアでもあり、住宅地も広がっていること、他の方面と比べると比較的幹線道路が整備されているエリアでもあり、宇都宮ライトレールが整備されたエリアに似た雰囲気があるため、ここだけであればLRTも”あり”だったのかもしれません(輸送力不足ですが)。

 ただし八木山方面はどう考えても厳しいところが。高低差がある中で新たな幹線道路を整備しなければならず、整備凍結された川内旗立線を活用する場合でもほぼトンネルで 東北大青葉山キャンパスをスルーするため、キャンパスを経由するにはルート取りも難しい。そもそもバスに比べての時間的な優位性が限られるのに、直通できなくなるバスから乗換するメリットがない。今ある程度八木山動物公園からの利用者がいるのは、仙台駅まで13分という速達性からパークアンドライドにメリットがあるからであり、LRTで20~30分かかるのであれば自家用車からの転移は限定的だったでしょうね。

宇都宮ライトレール概要

路線:宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地(芳賀町)

整備費:684億(当初計画の約1.5倍)

路線延長:14.6km

駅数:19駅 (平均駅間 約800m)

運行頻度:ラッシュ時8分間隔、昼間12分間隔(当面、全て各停のみ)

所要時間:全線48分(習熟運転終了後は44分)

最高速度:時速40km/h

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その2に続きます

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2023年6月 7日 (水)

札仙広福の人口密度比較 その3 北の200万都市!札幌編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープン騒ぎの週末も終わったので、『札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編に続き、北海道の富を独り占めする200万都市札幌編です。

 札幌へは、4年前に18年ぶりに訪問しました。その間北海道に行くことは3回ありながら行き先が函館のみだったり、新千歳空港からレンタカーで富良野などの目的地に直行したりして、札幌の優先順位が低くなってしまったのは、北海道の広さと観光名所の多さ故。

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 やはりその直近の訪問時でも、札幌への滞在は初日の夜から早朝までと最終日の午後のみで駆け足での滞在となったことから、札幌オンリーでまた行きたくなっています。エスコンフィールドもオープンしたし。

 まずは前回同様、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

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まんべんなく高密度の都心部

  仙台と比べると、とても同じ縮尺とは思えないほど、地下鉄駅や市電環状線内を中心として真っ赤な高密度エリアが固まっており、その周辺に面的に8000人/㎢以上のオレンジのエリアが覆いつくしています。仙台で目立つ黄緑色は一部にとどまっているほど、平均的に高密度な市街地が広がっているのが分かります。また、仙台にはほぼない紫色の超高密度のエリアも、市電環状線内や地下鉄東西線の琴似駅、円山公園駅周辺に分布しています。

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 なお、都心部の市街地内に一部真っ白のエリアがありまあすが、札幌駅や桑園駅の北側は言わずと知れた北海道大学のキャンパスや札幌競馬場、札幌駅の南側は道庁をはじめとしたオフィス街と北大植物園で、街中であっても広大な緑豊かな空間が広がっています。また、大通公園も街のど真ん中に横たわっているほか、円山公園駅の西側は北海道神宮や円山公園などの憩いのエリアです。また市電エリアの南西には展望台で有名な藻岩山があり、都心部の程近くに緑あふれる空間が広がっています。

Centralsapporo 

信じられない人口激増

 札幌市の発展の象徴としては、昭和47年の札幌オリンピックを機に開発が進んだという印象ですが、それだけでなくその前後コンスタントに人口が激増してきました。

 昭和30年頃では当時の市域人口42万人と仙台市とほぼ同規模でしたが、そこから隣接した豊平町の合併の他北海道内から札幌への物凄い人口の一極集中が進み、昭和40年には10年間で何と2倍の80万人に、昭和45年には100万人の大台を突破し、オリンピック開催年の昭和47年に、福岡市や川崎市と同時に政令指定都市になっています。仙台では100万人へ到達するのに45年かかったのに、札幌はわずか15年と信じられないスピード。

Sapporopopulation

札幌市HPより引用】

 理由として、道内都市の跡継ぎでない次男三男が札幌を目指したこともありますが、産炭地の急速な衰退・閉山で夕張・空知などから流出した人口が札幌に向かい、人口ダム機能を果たした面があり。これは筑豊炭田の閉山での福岡市も似たような面があります。震災での人口流入はせいぜい数万人の仙台市と比較しても桁違いの人口流入が生じていました。

 また、東京に近く陸続きである東北は、仙台を経由せずに直接東京に移ることの抵抗は小さいのと比較し、北海道内で札幌に留める力は大きなものだったのでしょう。それは九州における福岡も同様。

 現在の市域人口だと、昭和35年の約60万人から昭和55年の140万人までの20年間で80万人増と信じられない激増ぶり。5年毎に平均20万人以上ペースで人口が増え続けています。

 さらに、そこから現在までの40年間で人口増のペースは落ちながらもそれでも更に50万人増加し、200万人に迫っています。

地下鉄の存在感の強さ

 札幌の地下鉄建設の際に、「熊でも乗せるのか?」という嫌味な大蔵省の役人が言い放ったという逸話がありますが、その時で100万人近い人口だった札幌に対して、何を言っていたのかという感想。確かに3大都市圏に続く地下鉄建設構想だったとはいえ、東京目線の見下す視点は気持ち良くない。

 その札幌の地下鉄が認められていなかったら、そのさらに後発で人口規模も小さい仙台市の地下鉄建設が認められる訳がなく、またはかなり遅れてしまっていたでしょうから、札幌には感謝しないと。

 札幌冬季オリンピックの前年に、第1期として整備された南北線の真駒内ー北24条を皮切りに、2000年までに南北線、東西線に続き、3本目の路線として東豊線までの48kmが30年弱で整備されながら、先行の南北・東西線は良い時期の建設だったのに対し、バブル期の高金利時期に建設した東豊線の債務や利子負担の大きさと、その後の南北・東西線の乗客が伸び悩んだことで、借入金を返済するのに精いっぱいとなり、構想にあった東豊線南進での清田区延長は現在まで着手に至っていません。最後の延伸が1999年の東西線琴似ー宮の沢間で、そこから24年間路線が変わっていません。少なくとも人口は15万人以上伸びているのに、既存の地下鉄やJR沿線で吸収しているために、沿線の人口密度が高まり続けた印象。また近年は都心部のタワーマンションが恐ろしいペースで建設され、裕福層を中心に都心回帰の様相も。

 地下鉄の利用者数も多く、コロナ前の乗車人員では計60万人超で、コロナ禍でのR3年度では計50万人を割っていますが、それでも仙台乗車人員の2倍を優に超える乗車人員で、その沿線は稠密な市街地が広がっています。

Sapporo_subway_map

Wikipedia 札幌市営地下鉄 より引用】

 特に人口密度が高いエリアとしては、大通から南東部の東西線と東豊線、南北線が密に3本平行している地区。

 札幌ですごいと思うのは、その高度成長期をはじめ近年を含めた激増した100万人以上の人口を、可能な限り旧市街地に近いところから順次進めた開発地で収容しようとしたところ。それは開拓地北海道ならではなのでしょうが、それらの住宅地は結果的に同時並行的に順次延伸整備された地下鉄沿線3路線6方面や、JR化前後に設置された10駅以上の新駅周辺を中心に開発しています。

 いわゆる駅から離れた住宅地群は、東豊線延伸が待ち望まれながら長年凍結されている清田区のエリアや、札幌駅から北東部の函館本線以北の鉄道空白地帯位で、そういった鉄道空白地帯や駅から多少離れたエリアもバスでカバーされ、最寄りの駅に接続している印象です。札幌市は、特に地下鉄ーバス乗り継ぎ割引が充実しているということも。

 地形が基本的に平坦で、開発可能地が広がっていたためとはいえ、それでも住宅地の地価水準が仙台よりも平均で安いというのは、交通の利便性や都市規模を考えると驚き。昔の話ですが、北大に行った知り合いから、札幌駅近くで家賃3万円が普通と聞いて驚いたことがありました。最近は上がっているにしても、冬季の暖房費を含めても住居費に関しては恵まれています。

 また、ホットなエリアとして、JR苗穂駅の駅舎移転にあわせた駅南北へのマンション林立も進んでいます。

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仙台のスプロール住宅地展開

 仙台市でも高度成長期の東北各地からの人口激増がありましたが、政令市化の時点で市域人口の約半分を占める40~50万人規模を鉄道駅から離れた丘陵部のニュータウン開発で収容せざるを得ず、地下鉄開業前では、市内の鉄道沿線の計画的な住宅地開発は限られました

 JR仙石線沿いは、昭和50年代新設の中野栄駅北側のエリア、JR東北本線は南仙台駅西側の西中田・柳生のエリア付近に留まり、その他鉄道駅付近での区画整理は行われませんでした。地下鉄開業を見据えてのものは、南端の長町南駅と富沢駅の間、そして北端の泉中央駅と八乙女駅付近で区画整理が実施された位で、このエリアは現在でも良好な都市基盤が残り、マンション適地の住宅地として人気を集めています。

 そしてJR仙山線の国見・北山駅付近は駅ができる前からの乱開発が進み、JR化を見据えた都市内交通重視の流れから新駅開設と増発が行われましたが、基本的にニュータウン型の住宅地は軒並み駅勢圏外で、特に仙台市北部は北環状線の内側がそういった開発で埋め尽くされました。

 当時は市北部方面とを結ぶ幹線道路が現在の仙台泉線で双方向で3車線しかなく、数珠繋ぎのバスで交通麻痺がおこっていたことから、都市規模に比して贅沢と思われた地下鉄南北線が国から認められましたが、それでも面的に広がったニュータウンや乱開発住宅地を1本の地下鉄でカバーできる訳がなく、南北線の北部は、泉中央と都心部を結ぶ郊外電車となり、さらに富谷などの遠方の開発を促進する皮肉な側面もありました。

 仮に昭和40年頃に進められ破談となった仙塩大合併による政令市化がもしも失敗していなければ、当時の重要都市であった塩釜市との間で開発余地があった、東北本線と仙石線の間などの開発が進んでいたのかもしれませんが、東部の田園地帯は耕地整理も進んでいた故に農地法の転用制約があったため、当時はより開発に関する制約が小さい仙台北西部や北部の丘陵地が地権者自ら進んで、もしくはデベロッパーで取り合いとなり、その『ニュータウン内』としては整った住宅地であっても、『ニュータウン同士』及び『都心部との交通』が何も考えられていない全体としての乱開発を止められず、そのツケが現在に続いているという状況です。せめて仙台駅からバスで30分圏の北環状線まではやむを得ないにしても、東北自動車道(以下地図の左上の黄緑線)に及ぶ開発は止めて欲しかった。また、真っ白なエリアの未開発の田園や山の先に開発された泉パークタウンや利府のニュータウン群などの非効率さも残念です。

 下に並べたのは、より広域の両都市の人口分布図ですが、鉄道沿線であってもオレンジ色の分布が限られ、郊外部の赤色は長町駅や河原町駅、卸町駅付近に限られている仙台。

 改めて驚いたのは、人口が集積していると勝手に思っていた北の副都心の泉中央がオレンジ色にとどまっていること。長町のようなタワマンはないにせよ、現在進められている泉区役所再開発で賃貸住宅が併設されるとのことですが、 もう少し人気の泉中央に居住人口を集めるべきではと。

【仙台市広域図】

Sendaiwide

 一方札幌は、地下鉄を中心とする鉄道沿線の駅付近は軒並みオレンジ色に塗られ、さらにより高密度な赤色が南北線と東西線を中心に広く分布していることから、人口規模が2倍近い都市であるとはいえ、雪国であることからの地下鉄沿線に集約するコンパクトシティの考え方が50年前から自然に実現してきたと言えるでしょう。

 あと、札幌で素晴らしと思えるところは、地下鉄が整備された時期が大店法時代ということもあるのでしょうが、各駅毎に当時のダイエーを中心としてそこそこの規模の商業施設やバスターミナルが併設されているところが多いこと。現在でさえ、ダイエーの破綻でイオンに引き継がれたり、さらに郊外の商業施設との競争で厳しくなっているところがあるとはいえ、地下鉄駅前にしっかりした商業施設が残っているのは、駅周辺人口の多さもあるのではと思います。

【札幌市広域図】

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再開発が進む札幌 

 1972年の冬季オリンピックとそれに合わせた都市開発ラッシュで成長した札幌は、前回の建設ラッシュから50年が経過し、建て替え時期に入っていることもありますが、東京五輪の汚職事件で誘致の機運が下火にはなっていながらも、都市開発の面では起爆剤として期待されている2034年の冬季オリンピック及び北海道新幹線延伸を目標とした札幌駅や大通駅周辺の再開発ラッシュに沸いています。

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 写真は現在北海道一の高さのJRタワーですが、これを超える関東以北最高高さとなる250m級のJR再開発ビルや、仙台に続くヨドバシカメラの複合商業施設が入る再開発ビルが札幌駅前に計画されており、大通地区でも至るところで高層ビルによる再開発が進行しているのは驚愕もの。

再開発の出足が遅い仙台

 まぁ、仙台の建築ラッシュは東北新幹線開業の1982年から地下鉄開業の87年、政令市化の89年に至る約10年間なので、札幌と比較して10年間はピークが遅いことから、まだ建物が新しく再開発が切実な問題になっていない面があります。

 とはいえ、その建築ラッシュの前に建てられた電力ビルや市役所は築60年で現在建替え・再開発が始まっていますし、駅前のイービーンズもそれに電力ビルに近い築年数であったり、リニューアルで延命するもの限界に近づいています。

 結局このような再開発は、何やら言いながら先に着手したもの勝ちのところがあり、特に商業テナントやホテルなどの誘致に関しては先に手を挙げたほうが先行者利益を得ることとなり、また昨今建築費の増大が進行中であり、チキンレースとなりながらも、徐々に電力ビル再開発に触発され、藤崎周辺やさくらの、読売仙台ビルなどに波及していくと思っています。

札幌にも迫る人口減

 このように北海道中から人口を集めて200万人に迫るまで成長してきた札幌ですが、200万人に届くか微妙な状況で、特に深刻なのは高齢化率の高さからの自然減の増加ぶり。札幌は高齢化率の高さとボリュームの厚みから、近い将来始まる急激な人口減少時代をどう切り抜けていくかがテーマとなります。札幌市の予測では37年後の2060年度に143万人と現在よりも50万人以上も減少することに!

 令和3年末現在の高齢化率は仙台の24.8%(政令市のうち下から4番目)に対し、札幌が28%(同 上から8番目)と高いのは、旧産炭地からの人口流入の後遺症や札幌に出た子供達が親を呼び寄せ、また高い医療サービスを求めての自主的な流入などによるようです。

 利便性の高い鉄道沿線の住宅地には穴埋めで流入する動きもあり、基本的に人口減は周辺の不便な住宅地から始まるものと考えられますが、人口減時代にどのように住宅地をたたんでいくかという観点は、仙台よりも一足早くダイナミックに人口が減少する札幌をお手本として、注視していきたいと考えます。

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