地域

2023年5月20日 (土)

札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープンニュースが入ってきたので、間が空きましたが、『札仙広福の人口密度比較 その1 福岡都心部編』に続き、次は、G7広島サミットが始まったばかりの広島市編を。

広島へは、18年前に訪問して以来なので、福岡とともに行きたい都市です。

 ロシアのウクライナ侵攻や中国の覇権主義への対抗など、世界平和がテーマとして重要な昨今でもあり、被爆都市である広島でサミットが開催されるというのは、首相のおひざ元というのとタイミングも良かったんでしょうね。まさかゼレンスキー大統領も訪日するとは。

 

 

 市街地から隣接する宇品島に位置するグランドプリンスホテル広島が警備上絶好な位置にあったり、近接して広島都市高速の高架道路(広島南道路)が通っており、都市高速の封鎖や様々な交通規制など市民生活に多大なる影響はあるものの、サミットを開催できる都市であることを対外的に証明することに。また、サミットはいつも東京でということではなく、東京以外での開催が続いているのはガス抜きの面があれども対外的に都市をアピールできるので良いことだと思います。

宮城県では、有力な首相候補がいないどころか、いろいろ物議を醸しだす代議士さんばかり。

大物で期待できるのは、元防衛相の方位でしょうか。仙台は開催可能な警備が容易な施設が限られ、G7の閣僚会合では秋保の温泉旅館を使わざるを得ないという面でも、コンベンションインフラは弱いところが。

まずは、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

Centralsendai

人口密度の高い広島デルタ地帯

 都心部の紙屋町・八丁堀付近は広島城や県庁・中央公園などがある他、商業・業務機能が集積しているので、すっぽり人口密度が低いエリアですが、外側に隣接して赤色(1.6万/㎢以上)のエリアが離れ小島状に広がっている他、より高密度の紫色(2.4万人/㎢以上)の一角も点在しています。

 傾向として、高密度な市街地が広電の路面電車沿いに広がる傾向があるというのは、前回訪問した時も感じていましたが、面的に広がるデルタ地帯がほぼオレンジ(8,000人/㎢以上)で埋め尽くされており、基本的に路面電車やバスサービスの水準が高いというのも理由でしょう。

 逆もまた然りで、人口密度が高いので路面電車やバスの運行効率が良いのかと。

Centralhiroshima

 また、その路面電車沿いでの交通拠点である、JR乗換駅の横川駅、新白島駅、西広島駅をはじめ、距離的には多少離れた広島港との乗換拠点の宇品も高密度な市街地が分布しています。

 広島は地形的な制約で平地が限られていることから、デルタ地帯とその周辺に人口が集中し、その部分だけでも40万人程度を収容している(中区・南区・西区の一部)というのは凄い。最盛期と比較して減少気味で近年盛り返していますが、これら3区の人口密度は5,000人/㎢以上。

仙台では、同じような定義の都心部と城下町、主に市電沿線の旧市街地(仙山線以南、陸前原ノ町以西、広瀬川以北等のエリア)では町丁目別で足し合わせても20万にも届かない(青葉区約11万、宮城野区約4万、若林区約3万)

 広島でも周辺の丘陵地へのにじみだし開発が続き、現在市域人口の半分以上は郊外部となっていながらも、市域人口の3割以上がいわゆる旧市街に集まっているといのは強い。路面電車だけでなく、バスが複数社ひしめき運行しているという面も。

広島市中心部における均一運賃の設定に係る共同経営計画

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 前回訪問した18年前の時点では路面電車の運賃は150円均一で破格と感じたものでした。バスよりも安くデルタの大部分をカバーし、遅い(一部古い電車も)という宿命的な問題は抱えていながらも、路面電車を大切に守ってきたご褒美的な料金と感じていました。

 しかし、2014年の消費税8%時に160円、2017年に180円、2019年に190円と小刻みに値上げが続き、昨年とうとう220円となりましたが、それと同時にコロナ禍の苦境を逆手に、エリア内の路面電車やバスの共通運賃制度を導入しました。

 従来からこのエリアのバスは190円均一と220円均一エリアに分かれており、路面電車も190円均一だったところをバスの高い方の220円に値上げしたということになりますが、電車でもバスのどちらにのっても同一料金という分かりやすさをアピールとのことでしょうか。

Areamap

 仙台では一部の120円均一区間を除くと都心部のバスは160円or170円から、地下鉄は210円が初乗りということを考えると、以前の運賃と比較しても一見広島の初乗りが220円だと一見高いように思えますが、東西及び南北それぞれ約7kmの範囲が路面電車でもバスでも220円で移動できるということで、外からの利用者でも分かりやすい制度です。

 ただ、短距離のチョイノリには割高感は否めません。JR線からの紙屋町・八丁堀への乗り継ぎとしては、アストラムの新白島からだと本通まで190円で乗車時間はたった4分であり、横川や広島駅乗換と比較し路面電車の優位性が低下してしまうのではと。どこからJRを使うかによってトータルの運賃や所要時間は変わるとはいえ。

 なお、仙台の都心部地下鉄の210円均一で移動できる範囲は仙台駅から概ね半径3㎞以内(ほぼ旧市街をカバー)というのと比較すると、広島の方が一回り大きな均一エリアです。(対象エリアの写真は消費税改定前の200円均一時代のもの)

 この210円均一エリアを、乗換なしであれば両端の駅を10分以内、仙台駅での乗換ありでも15分程度の乗車時間で移動できるというのは定時制が保たれる地下鉄ならではの面もあります。

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ハード面の改善

 前回訪問時のレポートです

過去記事(一部記事内にリンク切れがあります)

 交通機関については一部アップデートされています。上述の共通運賃の導入の他、

〇 新白島駅開業

 JRとアストラムラインの交点に新白島駅が開業し、JRからの乗換手段として、広電路面電車以外の手段が生まれたこと(路面電車が各駅から都心部の紙屋町・八丁堀まで10~15分に対し、アストラムラインで5分程度と劇的に短縮)。

〇 JRの新型車両導入

 国鉄型車両が長く残っていた広島エリアですが、2015年頃から、順次レッドウィングと称される新型電車が投入され、電化区間の車両は新型車両に統一されたようです。一方、ダイヤ面では快速の減少をはじめ、当時と比較し減便が行われているとか。

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 その他、今後の話ですが、広電広島駅高架乗り入れ(2025年)や、アストラムラインの広域公園前ー西広島駅開業(2030年代)があり、特に広電の広島駅舎内への乗り入れは、富山駅内への路面電車乗り入れや小倉駅舎へのモノレール乗り入れに匹敵するインパクトとなります。

路面電車高速化は道半ば

 広島の交通・開発情報については、いつも参考にさせてもらっている、

AND BUILD HIROSHIMA(アンドビルド広島) (ab-hiroshima.com)

さんの充実した記事をご覧いただければと思います。

 広島に対する基本的な印象は訪問時と比較して、いい意味でも悪い意味でもそれほど変わっていません。

 雑感として、地下鉄が地盤や建設費の問題で当時の運輸省から建設が認められなかった反面、デルタ地帯に面的に残った路面電車をうまく活用しているとは思います。

 西広島駅や横川駅のように乗換駅のリニューアルも進んでいる他、車両面のアップデートは進み、長編成の低床型電車がかなり導入され、輸送能力はアップしながらも、ただ、120万都市の基幹交通機関としてはいかんせん”遅い、遅すぎる”という面に対する解決が進んでいないようです。

 今回のJR広島駅高架乗り入れ工事に合わせて、駅前の線路を短絡し数分は所要時間が短縮されそうですが、バスよりも遅いという問題は解決が難しい。乗降車時間の短縮のための、「信用乗車方式」もICカード限定で徐々に進んでいるようですが、外の住人から見る限りでは、宮島線方面へのバイパス線(西観音町ー白神社付近)を平和大通りに建設すれば都心部の紙屋町・八丁堀を経由できるし、比較的低コストで、5分以上の短縮効果があるのではと思いますが、路面電車を通すためには一部橋の架け替えが必要になるということで、中々進んでいないとのこと。

 ただ、費用対効果が絶望的なアストラムの都心部延伸の代わりとしてであれば、橋の架け替えしても十分に安価で改善効果が見込めるのではと思いますが、市の財政状況と事業者の思惑もあり、難しいようですね。

その後の仙台の軌道系交通機関の進化

 前回の広島訪問時は、「広島便利過ぎ!仙台ボロ負け」と感じた理由としては、広島の軌道系交通機関はフリクエンシーが確保され、10分以上待つことがほぼ皆無だったことと、仙台の交通機関が不便過ぎたのが理由ですが、その後仙台の軌道系交通機関は

 2007年 空港アクセス線の開業と東北本線(仙台ー名取間)の大幅増便

  同   新型車両E721系の導入

 2015年 仙石東北ラインの開業と仙石線各駅停車へ統一

  同   地下鉄東西線の開業で地下鉄が2路線となり、市内を面的にカバー

 2020年 東北本線仙台以南のパターンダイヤ化(5~10分間隔に)

 など、今後はあり得ないであろう新規路線の開業が2路線(+α:仙石東北ライン)もあり、ハード的にも大きく改善されました。

 また、待ち時間が約10分以下という条件を満たすのは地下鉄南北線、東西線、東北本線仙台ー名取間、仙石線の昼間以外と、この20年でだいぶ利用しやすくなった印象で、たまたま仙台での交通機関の進化が進んだ時期だったので、都市規模で上回る広島市の改善の動きが相対的に遅く感じられた印象です。とはいえ、

  JR   広島>仙台

  JR以外 仙台(地下鉄)>>広島(広電・アストラム)

  バス      広島>>仙台   

と、仙台は地下鉄2路線の強みはありながらも、JRはまだ広島の方が利便性が高いです。

郊外開発の傾向の違い

 広島では、可部線とアストラムラインが並行する北部方面だけでなく、広電宮島線と山陽本線が並行する佐伯区・廿日市市方面の鉄道沿線を中心に利便性の高い郊外住宅地が広がっています。住宅地開発には急峻すぎる地形もあり、郊外の開発は基本的にはJRやアストラムライン沿線を中心に行われています。郊外でも鉄道沿線にオレンジ色(8,000人/㎢以上)のエリアが広く広がっています。

 一部急峻な山を造成しての新興住宅地はあれども、面的にではない印象。

(広域の人口密度マップ)

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郊外に拡散した仙台

 一方、仙台は近年こそ利便性の高まった近年こそ鉄道沿線が好まれるようになりましたが、地下鉄開業以前の国鉄時代は比較的利便性の高いのは仙石線のみで東北本線は特急優先の都市間交通機関で使い物にならず。その後地下鉄南北線が開業するも、沿線の地価高騰で地下鉄駅近の戸建ては夢となり、クルマ依存型の郊外住宅地に住宅を求めざるを得ない状況となりました。

 急速に拡大した人口を収容するためとはいえ、仙石線や東北本線沿いの田んぼの開発が難しかったため、北西部の鉄道駅圏外のエリアを中心にダラダラと丘陵地開発が行われ、もはや取り返しがつかない状況です。一度拡大した市街地を閉じることは難しい。

Sendaiwide

 その地下鉄南北線も都市内の交通機関という性格は北仙台~富沢間で、北仙台以北は泉中央周辺ニュータウンへの郊外電車という性格が強く、実際この地下鉄南北線開業を見越して、泉中央駅からバス20~30分圏の富谷市を含む住宅地造成が急激に進み、更なる郊外化を促進した負の側面もあります。そのため、泉中央駅は仙台駅に続く2番目の25,000人/日 を超える乗車客を誇り、今は苦戦していますが、駅前型SCが成り立つ条件が整っていました。

 泉中央のアリオ 存続なるか?(4/24)

Izumiwide

 特に、富谷市の国道4号線に沿って北に伸びている新富谷ガーデンシティ、パルタウン大富などは地下鉄が泉中央駅まで整備され、仙台市中心部までの時間距離が短縮される前提で計画された郊外住宅地です。地価の安さから引っ越してきた住民に「地下鉄延伸」という夢物語をぶら下げて当選した市長もいますが、市中心部の人口密度が他の中枢都市と比較して低い仙台。都市圏の総人口が増えない中、これ以上既存鉄道沿線以外に市街地を拡散させる愚は犯すべきではない。

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 なお、東京からの急激な地方分散政策が行われて、受け皿としての住宅需要が高まるのであれば別ですが、首都東京中心に動いているこの国で、首都圏の不動産価値が下がるような政策が行われるわけはない。逆にそのようなことがあれば、東日本大震災後の数万人の受け入れでさえ、地価やマンション価格が高騰し、郊外の負の遺産の住宅団地(愛島台、利府葉山)でさえ売れてしまった過去があるので、急激な状況の変化があってもあまり望ましいことにはならなそうです。

まとめ

 広島については、地形や地質の制約から市街地の拡大や軌道系交通機関の整備にも制約が生じてしまっている上、大阪と福岡という両大都市に挟まれ、岡山の影響を受けるなど、悪条件の中でも中四国一の120万都市として、産業面でも製造業とサービス業がバランスの取れた発展を遂げていると思っています。

 プロスポーツについても、野球、サッカー、バスケと全て仙台の上を言っており、スタジアムもマツダスタジアムに続いて念願のサッカー専用スタジアムも都心部に3万人収容で来春供用開始であるなど、時間をかけてでも粘り強く実現していく土壌があり羨ましい。

 仙台にとっては、まだまだいろんな意味で格上の都市。参考にすべきところは数多くあり、久しぶりに訪問してみたい!

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2023年5月 7日 (日)

激化するSC戦争その3 イオンモール名取へ

 仙台圏南部で存在感を増すイオンモール名取。

 2007年2月末に仙台空港アクセス線杜せきのした駅前にダイヤモンドシティ名取エアリとしてオープンし、その後イオングループの再編で現在の店名へ。もう17年目になるんですね。

過去記事

試行錯誤が続く

 オープン時は、ジャスコと三越名取店を両端に配する2核1モール形式ながらも、早々に三越名取店が売り上げ不振で2009年に撤退した後に、1階にワールドのフラクサス、2階にコジマ、3階にダイソーとピュアキッズと、百貨店と比べた後継テナントの落差の大きさを感じ、その後も一時期はテナントの撤退と入替が続き順風満帆という訳ではなく試行錯誤していましたが、その現状を打開するために2019年に敷地北東側の杜せきのした駅とのデッキが繋がっていた駅隣接部分に約2万平米の商業床を増床し、現在の約8万平米に。ザ・モール長町&ララガーデンと比較し、一回り大きい規模に。

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過去記事

 仙台圏南部でオープン以来ザ・モール長町とララガーデン長町の牙城を崩し続けていながらも、実際に長町の両施設に異変が生じたのは、2019年の名取増床と2020年の新利府オープン後と感じます。もちろん両イオンモールの影響だけでなく、シネコンについては駅前のパルコ2へTOHOシネマズが2016年にオープンしたことも影響としては大きいにしても、イオンモール名取で名取市以南、新利府で宮城野区や若林区西部からの集客が落ちた印象が。

関連記事

空港アクセス線杜せきのした駅直結!

 駅を出て、右に曲がるとすぐ入口が見えます。徒歩30秒程度で入ることができ、増床前と比較するとかなり近くなっています。

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 なお、このアクセス線は2021年3月のダイヤ改正で昼間時間帯がきれいに20分間隔となり、杜せきのした駅を通過する快速1往復以外は、仙台方面が20分間隔の等間隔ダイヤとなり帰りの時刻が分かりやすくなったことも、来店者に対する割合は多くはないとはいえ、アクセス線の利用促進にもつながっているものと感じています。

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 これは夕方の時間帯でしたが、17時台からは約30分間隔となり、次の電車時刻を意識していないと厳しくはなります。

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 イオンモール名取については都心部や長町モールへの影響などの問題点はありながらも、評価できる面も多いと感じています。

名取市のイメージアップに

 仙台圏北部と比較してかつては仙南方面地縁者でなければ住居選択で選ばれ辛かった名取市方面。

 理由として、かつては、

  •  車両も古くランダムダイヤかつしょっちゅう遅れるJR線沿線
  •  名取市内でニュータウン的な街が駅遠の高館方面(ゆりが丘、那智が丘等)、愛島方面(愛の杜等)のみ
  •  大型SCが長町モールしかなく、名取市以南の商業環境はロードサイド型店舗のみ。
  •  高校の南北学区制のため、避けられがちの南学区(選択肢が狭く、教育環境が良くなかった)

それが、2007年以降は、

  •  アクセス線の開業による名取以北の増便かつ新型車両の導入で、使いづらいイメージを払拭
  •  これまで仙台圏ではあまりなかった駅近ニュータウン(名取りんくうタウン)が誕生
  •  仙台圏最大の大型モールオープン
  •  高校の学区制撤廃及び共学化で選択肢の拡大(二高も選べるように)

 ということで、震災の影響もありながらも、その後も名取りんくうタウンは仙台駅まで電車で直通20分前後という、泉や富谷のニュータウンと比較しての利便性の高さから、ほぼ新規分譲の余地がないほどの人気となっており、名取市の人口も8万人に迫る勢いです。

 それに、採算性が危ぶまれながらも県が何とか開業にこぎつけた仙台空港アクセス鉄道は、空港利用客だけでは成り立たず、途中駅開発を当てにして事業化にこぎつけたという背景があり、そのアクセス鉄道の利用者も空港利用者の増加とりんくうタウン居住者の増加、そしてこのイオンモール名取への従業員や来店者の利用が相まって、震災前になんとか当初目標の1日1万人に乗り、昼間の2両編成での混雑が問題になり4両編成への増結が行われる位になりました。

 単独では難しかった空港への鉄道アクセスの整備・利用客の確保に貢献しているという点も、社会的意義は大きいと感じるところ。

 なので、某町の無駄に巨大なSC(近くの人は便利かもしれないが、仙台都市圏として害が大きすぎる)と異なり一定の評価はしています。

回遊性の高いショッピングモール

 増床前の当初から、イオンスタイル側の核(西側)とユニクロ・コジマ側の核(東側)を3層で幅の広い吹き抜けの専門店街で結び、この吹き抜けを通じて特に意識をしなくとも吹き抜けを挟んだ上下階を含めた店舗を認識しやすいというのがメリットで、来場者及び出店しているテナントからすると死角となる店舗が少ないことが、回遊性の弱い長町モール&ララガーデンと比較しての強みと感じます。

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 なお、増床部分は吹き抜けなしのクローズドモールになっていますが、特筆すべきは曲線を描いている幅の広い通路で、ゆったり歩くことができるほか、通路の先の店舗も把握しやすくなっています(写真は増床時のもの)。また休憩できるスペースの多さも感じます。

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専門店の構成(長町モール&ララガーデンとの比較)

 イオンモール名取と長町モール&ララガーデンの専門店については、両方に展開しているところが多いですが、気づいたところを。

 ユニクロとGUは、旧三越名取店食料品売り場(その後ワールドが運営するフラクサス)だった1階の広大な売り場を分け合って店舗を展開しています。

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一方、長町モール及びララガーデンにはこのユニクロ・GUの両ブランドはありますが、ユニクロはララガーデン1階、GUはパート2の1階と、わざとなのか回遊しにくい商業施設群の両端に位置しています。

 その点、両方をはしごして見比べる気はおきず、その点イオンモール名取の方が利用しやすく感じます。

 一方、皮肉にも長町モール本館3階から撤退したFrancfrancの跡に入った3COINS+plusが、皮肉にもイオンモール名取では上下階に展開しています。

 なお、3coins+plusの規模としては、HPによると長町モール(超大型店)>イオンモール名取(大型店)とのこと。

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その他、両方のSCに展開している全国展開の専門店・テナントは多いです。

両方に出店: 
 雑貨 無印良品、3coins+plus,GLOBAL WORK、ダイソー、studioCLIP、yogibo
 ファッション ライトオン、ユニクロ、GU、タカキュー、ハニーズ、ORIHICA
 スポーツ・シューズ ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート
 その他 島村楽器

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一方、

片方のみ出店
 長町モール&ララガーデン ロフト、H&M、トイザらス、アカチャンホンポ、セリア、ディズニーストア、212KITCHEN STORE など
 イオンモール名取 Francfranc、ニトリデコホーム、コジマ&ビックカメラ、ビレッジヴァンガード、スポーツオーソリティ、STANDARD PRODUCTS など

 なお、ブランドが異なる同業種の専門店については、シネコン(ムービックス、イオンシネマ)、書店(紀伊国屋書店、未来屋書店)などがそれぞれ出店しています。

 飲食店・食品系については割愛しましたが、各SCの色が出ていますね。意外に長町モール&ララガーデンのみに出店している専門店が多い一方、イオンモールの方が駐車場無料ということで滞在時間が長く買い回り品に強みがある印象で、家電店やスポーツ用品はイオンモール名取に強みがあります。

 ただし、それぞれのSC内になくとも、近隣に単独ロードサイド店として存在する場合もあるので、あくまでもワンストップで買い物ができる参考として見て下さい(トイザらス&ベビザらスは、イオンモール名取東側のアクロスプラザ内にあり、逆に長町モール近隣のあすと長町にゼビオとヤマダデンキがあるなど)

空きテナント状況

 勢いがあるように見えて、増床棟2階において空きスペースもありました。

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 フロアマップを見る限りでは、1階は空きスペース無しですが、2階と3階に計6区画あり、特に最上階3階のピュアキッズ側(東側)に4区画が集中しているなど、まんべんなく人の流れがあるようで一部弱いエリアがあるようです。

イオンモール名取|フロアガイド (natori-aeonmall.com)

 長町モールでも人の流れが弱いアウトドアスポーツ館の状況は厳しいですが、基本的に平日と週末の落差が小さい長町モール&ララガーデンと比較し、イオンモール名取は平日の弱さ故に週末頼みという、周辺人口や立地条件の差もあり、テナント料の高さから期待される売り上げのハードルは高いのかと。まぁ、一定程度の空きテナントは商業施設の新陳代謝のためには必要ではあります。

今後の両SCの行方

 仙台圏においては、今後イオンモール名取や長町モール&ララガーデンのような巨大SCが新規立地する余地はなさそうです。

 というのも、雨宮のイオンモールや、東西線六丁の目駅近くの仙台工業団地跡に出店が見込まれているららぽーとも、敷地面積の制約から、せいぜい長町モール本館クラスの規模(店舗面積4~5万平米)に留まるためです。

 

 もちろん、郊外だけではなく、郊外に対する都心部の商業機能も充実していって欲しいところですが、1か月程度延期となっているヨドバシ第一ビルオープンが控えているにせよ、それ以外の都心部の構想中の再開発(旧さくら野、藤崎、フォーラス、イオン仙台店等)は大分先の話となってしまうことから、他の地方政令市での札幌駅や福岡の博多駅ビル、新潟市の万代シティのように都心部のワンストップで買い物ができる都心部のSC機能が弱い面がある以上、郊外でのファミリー向けの買い物需要を満たすSCはある程度は必要なので。

 そうすると、両者が郊外型かつ駅前SCとして切磋琢磨しながら共存していくことが望ましいと考えています。

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2022年8月15日 (月)

陸羽東線と快速ゆけむり号

 昨日の記事の続編です。

JR東日本 ローカル線の行方(8/13)

 当日は,小さな旅フリー切符を利用し,東北本線福島駅経由で,山形線米沢,山形駅などを経由し,新庄から陸羽東線に乗車しました。

立派過ぎる新庄駅

ガラス張りで,交流スペースや観光案内機能も含めた複合的な巨大な駅。とても人口4万人弱の地方都市の駅とは思えない。

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人口が倍以上多い県南部置賜の拠点米沢駅のレトロさと比べると,いくら始発駅とはいえ雲泥の差。 

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 山形新幹線の新庄延長時には,何をトチ狂ったことしているんだ?と思いましたが,沿線には天童市,東根市,村山市,尾花沢市,新庄市と,概ね5万人以下の規模の小都市がバランスよく並び,これらの都市から1~2時間に1本東京直通の新幹線に乗れるという状況を目の当たりにすると,県としては一応成功なのだろうな。

新庄駅は,山形新幹線(山形線),奥羽本線(秋田方面),陸羽東線,陸羽西線と,鉄道のジャンクション機能を持ちながらも,山形・東京方面以外の3路線は,輸送密度が200人前後の路線で,陸羽西線は並行する高規格道路の工事のため2年間休止バス代行と前代未聞の対応。新庄まで山形新幹線で来ても,在来線に乗り換えてという方はかなり少ないのかと。そもそもコロナ禍で山形新幹線を含めても,新庄駅の一日利用者は千人未満にまで落ち込んでいる(約20年前の山形新幹線新庄延伸時は約2000人/日)とのことで,この利用者数で9往復/日 の7両編成のミニ新幹線を維持できるものかと新幹線の方も心配になりました。

 奥羽本線の秋田方面は切りにくいでしょうが輸送密度は,陸羽東線・西線と変わらない。貨物輸送もない。どの路線も存続が厳しいことには変わらず。

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新幹線用に,自動改札がある他,全路線に電光掲示板と豪華仕様。

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奥羽本線としてのこの駅を跨いだ直通は,軌間が異なることから不可能であり,そのため,奥側のホームとを平面で移動できるようにしています。

ある意味バリアフリーな対応。

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快速ゆけむり号

 通常車両と思っていたら,外観はラッピングされ,観光列車っぽいデザインになっており,気分が一瞬上がりました。

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この新庄からの区間は,以前も2回ほど乗ったことがありますが,前回リゾートみのりで新庄から仙台まで乗りとおした際は,半分程度の乗車率で,それなりに賑わっていた記憶があります。

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車内の質感も良く,これに指定席料金をプラスするだけで乗車できるというのは,非常にお得感がありました。

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観光列車で,アテンダントも乗車しており,記念品がもらえたり,車内販売もあったりで,華やかは雰囲気は,流石東北新幹線と山形新幹線を結ぶ役割を持つ観光路線ならではと思ったり。なので,それほど古びている感はなかったにせよ,引退となり残念な思いが。

 

そのリゾートみのりの後継車両として,キハ110の改造車両というのは,格落ち感があり,これまではそれほど魅力を感じませんでしたが,新庄から仙台までリクライニングシートでビールを飲みながら乗り換えなしで帰れるという魅力から,指定席をえきねっとで確保しようとしたところ,前日で席選び放題。。。2両1編成で15席程度しか埋まっておらず,当日は結局空席のままの席もあり,新庄発車時点で10人程度。鳴子温泉での途中乗車客2名を含めても,15人にも行かない乗り具合でした。

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車内は指定席だけあって,リクライニングシートで,当然乗り心地は良かったです。ただし,質感は以前乗車したリゾートみのりと比べると雲泥の差。でも文句は言えまい。

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 意外だったのは,アテンダントが乗車し,今どき新幹線でも廃止された車販がまだ残っていたとは!

車販がある訳ない思いこみ,新庄駅のNEWDAYSで食料とビールを買い乗車したのですが,もし車販の存在を知っていたらコンビニで買わなかったのに。。。と思える位,10人少々の乗客に対しての車内販売が売れる訳ない。自分も事前購入していたので,申し訳ないと思いながら利用せず。車両は変わったけれど,観光列車としての最低限のサービスは残していたようでした。

 乗車した際には,乗車記念の切符のようなものや,子供向けの工作?を配っていました。途中駅から乗車した人にも配付してたり。

 当日は,32度を超える暑い日で,ビールをのみながら,2時間40分のちょうど良い時間を楽しみました。

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乗客の気配もほとんど感じず,手持無沙汰なアテンダントの方がやけに気になってしまったり。

途中で,紅葉シーズンには絶景であろう鳴子峡を通過する際に徐行する旨のアナウンスがありました。

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以前乗車した際は,運行の区切りでもあり,沿線の中心観光地である鳴子温泉駅で10人近く乗車してきたものでしたが,今回は2人のみで寂しいもの。朝の仙台からの便に乗れば,5時間以上は鳴子温泉街を楽しめるなど,全線乗り通さずとも日帰り利用にも適した観光列車であるものの,コロナの影響も大きいことを感じました。

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古川駅で新幹線乗り継ぎと思われる降車が多少あり。

最後は,松島付近の海を眺めながら,うとうとしながら,仙台駅へ到着。

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陸羽東線のおかれている状況

 今回JR東日本から発表された,県内を通る利用の少ない路線の中で,観光面及び通学に大きな役割を果たしており,地元大崎市が存続に熱意を持っている陸羽東線。

 しかし,鳴子温泉ー最上という県境の流動が少ない区間は,列車本数も少なく1日7本。朝晩は1~2時間おきながらも,昼間は3時間おき(週末の臨時列車を除く)という状況。

 コロナ前の2017年度でもこの区間の通過は100人/日 程度,2020年度はコロナによりさらに減少し,何と41人/日

 JRに移行した1987年時点でも輸送密度は500人を割っており,その時点からの比較では91%減と凄まじい減少率です。

 2020年度は,JR東日本の営業区域の中でもワースト営業係数である22149円(支出に占める収入は何と0.5%)で,収入は年間200万円なので,一日たった5~6千円ということに。

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Rikuueast2

 国鉄民営化時に廃止された路線群の中でも北海道の美幸線などは営業係数が3000円程度で全国ワーストとなっていましたが,さすがにこの営業係数には驚きました。そして,国有企業由来とはいえ,株式上場をしている民間企業が負担すべきものなのか,これまでの新幹線や首都圏での莫大な黒字を上げていればこそで,コロナ後であっても会社全体の収益性は戻ることはない中,情緒的に存続すべきとは軽々しくも言えない重みをもつ数値を突きつけられました。

 この区間は定期利用も僅少でしょうが,観光や日常の移動で通常運賃利用者が10人もいれば達成してしまうような金額。

 もちろん,この区間のみの利用ということではなく,観光などでの通過の利用者が多いのでしょうが,そういう利用者はフリー切符や区間外の駅発着の切符を購入して乗車するのでしょうから,この5千円/日 という収入自体,それらの通過利用者分の運賃収入がどの程度カウントされているかは懐疑的ながらも,通過人員は正確でしょうから,仮にこの区間の420円の片道運賃に41人を掛けたとしても,せいぜい1万7千円で焼け石に水の収入金額。せめて,週末運行のゆけむり号のような指定席料金(片道530円)の収入は多少でもカウントされていると思いたいが。

 年間赤字額がこの区間だけで5億円,そして陸羽東線のうち乗客が少ない古川ー新庄の区間で22億超円の赤字。。。

 一応,東北新幹線古川駅と山形新幹線新庄駅の両駅を結ぶ新幹線フィーダー路線で,観光の周遊ルートを構築するための利用価値があるはずの路線とはいえ,これだけの負担をJR東日本が続けるのは厳しい。この区間の唯一の存在意義ともいえる観光列車でさえ惨憺たる乗車率で,後継の専用車両を新造してということは絶望的だろうなぁと。

 途中の瀬見温泉などの温泉最寄駅であっても観光列車での鉄道アクセスの利用はわずかでしょうし,利用最閑散区間の最上駅ー鳴子温泉駅は,県境で学生利用も見込めず,フリー切符などで乗りとおす通過客のみであれば収支改善の見通しは立ちようがないと。

 もちろん,地元が負担を負えるかというと,実質的には,県と大崎市がメインになるでしょうし,第三セクターでの存続も山形と宮城にまたがることから厳しい(三セクで存続する場合でも県境で運営会社を分けるケースがほとんどで,2県で運営する事例は阿武隈急行位)

 仮に,宮城県側の鳴子温泉以東を三セクで存続させる場合でも,通学定期も値上げ,そして新幹線経由での鳴子温泉への観光客は新幹線との通し運賃あってこそであり,古川ー鳴子温泉で現在の680円の1.5倍になれば片道千円を超えることから,陸羽東線部分を別途支払うことを考えると負担感が大きく,鉄道離れがさらに進んでしまう。そうすると,上下分離で鉄道施設部分を自治体に譲渡し,メンテナンスや修繕費用を地元負担とし,運行はJRにということが地元として受け入れられるギリギリになるのかと。さすがに大崎市として古川駅から在来線をなくす選択肢は取れないだろうし。

 それを地元が支えるという意識から,市役所職員の通勤利用の促進などをしっかりとやるにしても,並行する国道47号が整備されている故に,
明るい未来は思い浮かびませんでした。鉄道のみで行ける温泉地として鳴子温泉郷は貴重な存在ですが,それだけでは存続できないという現実に悲しい気持ちになりました。今後,各路線とも地元との協議が順次始まるでしょうが,県の姿勢からはあまり期待できないでしょうから,最悪の事態も想定しながら,見守らざるを得ないという気持ちです。

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2022年8月13日 (土)

JR東日本 ローカル線の行方

JR東日本からの衝撃的な発表

 7月28日に,コロナによる減収に苦しむJR東日本から,「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」とのタイトルで,輸送密度2000人未満の線区発表がありました。今後存続の可否について協議対象とされるのは,このうち輸送密度1000未満で,特急や貨物列車の運行がないような路線を中心になりそうですが,ある程度分かっていながらも,改めて数字として突きつけられると,かなり衝撃的なものでした。

 大会社のJRの運営なのだからと,見て見ぬふりをしていた沿線自治体にとっても,衝撃的で,今後の存廃について協議入りを求められるとなると,真剣に向き合わなければいけない状況です。

 このようなローカル線の経営状態の公表は,コロナ前から恒常的な経営難に苦しむJR北海道が先んじ,コロナ禍による経営状態の悪化により,JR四国・九州・そして西日本からの発表が行われ,最後に赤字額が莫大となったJR東日本からの発表となりました(JR東海は発表を行わず)。

 そもそも国鉄民営化から早35年。自分は国鉄時代の記憶は辛うじてという位で,長い月日が経過しています。

 コロナ前時点であれば,東京一極集中により東京通勤圏では輸送量は大幅に伸び,湘南新宿ライン・上野東京ラインをはじめとした輸送体系の改善や輸送力の増強が行われていましたが,コロナ禍でのテレワーク推進やイベントや観光などの不要不急の移動の自粛により,これまで増強し続けた輸送力が遊んでしまうほどの需要激減に襲われました。(以下の輸送人員の推移は,JR東日本ホームページから引用)

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 地方都市圏でも,仙台や新潟をはじめ,宇都宮や高崎,水戸,盛岡近郊では,輸送改善の効果で概ね増加した時期はありましたが,既にコロナ前の時点で少子化での学生の減少や団塊の世代のリタイヤなどで,概ね微増か横ばいにとどまっていました(激増の仙山線を除く)。

 そして,首都圏ほどではないにせよ,コロナの影響で概ね2~3割減の需要となってしまいました。

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 それ以外の県庁所在地近郊や首都圏郊外輸送レベルでは,学生の減少とそれ以上のクルマ社会化で大人の利用者の激減,一部高速バスとの競合に敗れた等の理由で,JR化後の30年間で輸送密度が半減している区間もあるなど厳しい状況で,コロナの影響は相対的に小さいにせよ,それなりにダメージを受けました。

ローカル線区の将来

 そして,都市圏や都市間輸送以外のいわゆるローカル線については,これまで輸送量の激減で,JR東日本としてもワンマン化,減便,減車などの合理化を図りながらも,新幹線や首都圏輸送,子会社による商業部門の利益(ホテル・駅ビル等)もあり,メンテナンス費用の合理化を目的とした新車投入が行われるなど前向きな動きもあり,被災路線以外はなんとか維持していくような方向性だったのが,コロナ禍によるJR東日本として年間数千億に上る赤字計上で,突如それどころではない状況となってしまいました。

 JR化から30年を過ぎ,輸送密度半減は当たり前。7~9割減という線区もゴロゴロあるような状況で,これでよく運営してきたという感想を持たざるを得ないところがあります。

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 その中で,東北地方では,本線級でも厳しいところはあるにせよ,山越えの県境を越える路線を中心に,壊滅的な輸送密度と営業係数が明らかになりました。

 北から,大湊線,花輪線,山田線,北上線,大船渡線,陸羽東線,陸羽西線,米坂線,磐越東線など予想された線区の他にも,磐越西線の新潟県境の一部区間なども対象になるなど,ほとんどの山越え路線が対象になってしまいました。他にも観光列車の「リゾートしらかみ」が運行されており,遠方からの新幹線経由での誘客効果が大きく,存続の方向性であろう五能線も輸送密度からすると協議対象になってしまいます。

自治体の反応はまちまち

 案の定というか,宮城県の村井知事はJRと自治体の協議入りに前向きな姿勢を示しました。

 震災後に,三陸鉄道としての復旧に拘った岩手県と異なり,これまで気仙沼線や大船渡線のBRT化に対し特に反対もせず,さらに令和元年に阿武急が台風被災した際にも県境部分の鉄道復旧に拘らないという姿勢を示しているなど,都市部以外の鉄道としての効果が発揮できない区間について,頑張って残すという意向は示さないようです(阿武急は車両基地を持つ福島県側の存続意向も大きかったのでしょう)。

 基礎自治体としても,気仙沼市は大船渡線の残存区間の存続については,一関市次第という発言をしており,気仙沼線(柳津ー気仙沼),大船渡線(気仙沼ー盛)がBRT化され,利便性が向上したことから,費用負担してまで鉄道に拘るという姿勢は示していません。三陸道経由で仙台まで2時間強の高速バスが運行されていること,新幹線アクセスとして,大船渡線よりも284号経由のバスの方が本数も運賃面でも優位であることもあるでしょう。

 また,気仙沼線の残る区間(柳津ー前谷地)については,既に一部BRT路線の延長区間として運用されていることから,廃線と完全BRT化は避けられないでしょう。志津川まで鉄道復旧しなかった時点で鉄道として残す意義は薄かった路線なので。

 一方,石巻線は貨物輸送があること,せっかく復旧させた末端の女川駅を含む区間があり,当面は存廃論議の対象外になりそうであり,加えてこの石巻線に小牛田で接続する陸羽東線が市域を貫く陸羽東線について,大崎市長は存続に向けて協議を行いたいとの姿勢を示しました。観光地である鳴子温泉への分かりやすいアクセスを失いたくないとの意向もあるのでしょう。新幹線のフィーダー路線としての位置付けもありますし。

 その衝撃的な発表があった直後の週末に,「小さな旅ホリデー・パス(南東北フリーエリア)」を購入し,その陸羽東線に乗ってきました。
そのレポは続編に続きます。

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2021年10月 4日 (月)

名取市サイクルスポーツセンター&輪りんの宿 オープン1周年

今日も秋晴れで天気が良かったので,閖上方面へふらふらと自転車で。

名取川河口から見る,晴れた日の太平洋はお気に入り。この写真は仙台港方面。

ふと時間を忘れてたたずんでしまいます。

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仙台都心やあすと長町の高層マンション群も遠景で一望できます。

自転車,釣り,ヨット,サーフィンなど,皆思い思いの楽しみ方をしています。

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その後,ふらふらと何も考えずにサイクルスポーツセンターへ。

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昨年オープン直後に来た時はあまりの入場待ちの長蛇の列に入場をあきらめ,温泉に入って帰ったことがありました。

今回も子供連れ中心にかなりの列だったので,どうするか悩みながらも,結局入ってみました。

(この写真は帰り際のもの)

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入場料を払い,ここから入ります。ハチの割引券をもらったので,行こうとおもったけれど,結構並んでいたので断念。今月中が期限なので,またの機会に。

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中で様々な自転車のレンタルができます。子ども用はもちろん,大人用も選択肢が豊富のよう。ロード,クロス,MTBが施設内用で70台。

1時間500円,2時間800円とリーズナブルな料金で借りることができます。さすが指定管理とはいえ公営施設。

なお,入場料のみで何と大人200円と格安(子どもは100円)。自転車の持ち込みもOK。

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ふとレシートを見て気づいたのが,何と今日はオープン1周年!

1年前に震災後9年半の歳月を経て再建されたんですね。

それで混んでいるのか?蔓延防止が解除されたということもあるでしょうが,この週末は自粛解除で一気に人が出たことが体感でも分かります。

駐車場も満杯です。

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子ども連れで大にぎわい

ここにもあるふわふわドーム。子ども達はこれに弱い。

みちのく公園など,結構設置しているところはありますが,もれなく大繁盛ですね。

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一周4kmのサイクリングコース

勿論サイクルスポーツセンターメインの自転車全長4kmのコースへ。

4㎞のコースは短いという先入観がありましたが,松林の植林途上の中で解放感があるコースで,センター内のコースということを考えると,丁度よい長さでした。

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多少カーブが多いかなという感想ですが,直線だけだと単調になるからなのでしょうね。家族連れの方々を追い越すにも十分な幅があり,走りやすかったですが,家族連れ,そしてロード乗りの方とのスピード差が大きくなるので多少気を使いました。自分のショボいチャリではあっと言う間に抜かれてしまう。

いつまででも走ってられそうな気持よいコースでしたが,今回は2周で打ち止め。

いろいろと楽しめる施設

 他に,おもしろ自転車広場,3on3,スケボーのコースなど,様々な楽しみ方ができる施設です。

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一日楽しめる閖上のまち

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センターから広浦を挟んで対岸には,日祝オープンのゆりあげ港朝市会場があります。

帰りに店じまい中を冷やかしてみたところ,実はサンマ祭り開催で,焼きサンマ2000匹の配布日だったことに気づきました。だから一帯がこんなに混んでたのか!

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日曜や祝日は,朝市から,かわまちテラスやサイクルスポーツセンターへの流れが生まれ,閖上地区内だけでもいろいろと半日から丸一日楽しめます。かわまちテラスも昼過ぎの段階で駐車場が満杯で路上駐車が起きている状況。いつもはガラガラの震災復興伝承館の駐車場もそこそこ車が停まってました。
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 やけに賑やかだったのは,蔓延防止解除と自粛疲れで一気に人出が出たのもあるでしょうが,「仙台サイクルフェスタ」というハヤサカサイクル主催の一大イベントが行われていたという理由も。これも現地で知りました。軽く覗いてみましたが,高級自転車だらけで,マイ自転車10台分以上のプライス。。。恐れ多くてブースには入れませんでした。

閖上の集客力を広げたい

 先週の記事で紹介した,来春オープンの「アクアイグニス仙台」など,沿岸部に続々と誕生する集客施設にこの閖上の集客力を波及させることができればとの感想を改めて持ちました。

アクアイグニス仙台 順調に進む建設工事(9/25)

先週の記事の直後に,こんなニュースが流れていました。

仙台・名取 企業が連携し観光コンテンツ開発へ

東日本大震災からの復興が進む仙台市と名取市の沿岸部の魅力を高めていこうと、地元の企業が連携して観光コンテンツを開発し、10月から事業を進めていくことになりました。

この事業は、仙台市と名取市の観光施設を運営する会社や、食品加工会社など、あわせて20の企業や団体が連携して、10月から12月にかけて行うもので、27日、仙台市に関係者が集まり、発足式が開かれました。
計画では、去年、名取市にできたサイクリングスポーツを楽しむことのできる施設で、復興が進む海岸沿いを走行するおよそ8キロの区間にモデルコースを設定し、仙台市の観光農園をコースに盛り込んで、途中でぶどうなどのフルーツを収穫できる観光プランを始めます。
また、観光農園側は、この期間中に名取市の閖上港の海産物を使ったバーベキューの催しを開き、誘客を図ることにしています。

(以下略 NHKより引用)

 このような動きが進んでいることでホッとしました。実験的に10月から年末までの取り組みのようですが,このような連携が今後とも続けられ,枠組みを広げて行ければと。

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2021年9月25日 (土)

アクアイグニス仙台 順調に進む建設工事

来年の2022年4月に,仙台市若林区藤塚にオープン予定の『アクアイグニス仙台』

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 藤塚と言ってもピンとこない方が多いでしょうが,『朝市』や『かわまちテラス』で有名な名取市閖上から,名取川河口を挟んで北側の対岸のエリアです。太平洋に向かって,左側が藤塚の避難の丘です。周りには何も遮るものはなく,閖上側や仙台市街,太平洋を一望できます。今回は先客がいたのでスルー。

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 仙台市若林区の名取川河口から宮城野区の七北田川河口に挟まれたエリアも,ご承知のとおり,東日本大震災の大津波で甚大な被害を受け,災害危険区域として住居系の住宅再建が基本的に認められず,地下鉄東西線の東の終点駅荒井を中心とした内陸移転を余儀なくされました。

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 その移転跡地の活用プロジェクト「仙台市集団移転跡地利活用事業」 を仙台市が進めており,このエリアの最南端において公募で選ばれたのが,この『アクアイグニス仙台』のプロジェクト。

 地元建設業の深松組が中心となり,三重県他でアクアイグニス事業を進めている『アクアイグニス』社,株式会社岡田商会による3者の合弁企業『仙台reborn株式会社 』がこのプロジェクトのために設立されました。運営会社の想いを引用します。

かつては特徴的な「居久根/いぐね」のある集落として日本の原風景ともいえる美しい景色を見せていた仙台市若林区藤塚。その美しい場所に「治する/食する/育む」をコンセプトに誕生するのが、「アクアイグニス仙台」です。藤塚の新たな営みやこれまでの文化が再び風景として紡がれる場。アクアイグニス仙台は、そんな場所となることを目指しています。

順調に工事進行中

 この地に建設されることや,比較的規模の大きい温泉施設であることは承知していましたが,初夏に通った時にはまだそれほど工事が進んでおらず,規模感が中々つかみづらかったのですが,先週末に近くを通ったら結構工事が進んでおり,南側の堤防から見たところ,本館の建物のサイズに驚きました。

 敷き詰められている太陽光パネルとの対比で,サイズ感が麻痺してしまいます。
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 近づいてみると,地上2階地下1階の施設とは思えず,高さも16m強と意外にあります。

 このメインの建物は温浴棟とのこと。地下1,000mの深さから温泉をくみ上げるようです。

 雄大な太平洋や仙台市街地方面を眺めながら,露天風呂を楽しめそうですね。この写真のような快晴の日であればなおさら。ただし,この太陽光パネルがどうしても目に入ってしまいます。

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 あと1か月ほどの10月末に建物が完成する予定ですが,この感じだと多少遅れそう。

 温泉の他,物販,飲食店など,大きめの温浴施設に必要な要素が盛り込まれています。

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本館の他に,平屋建ての建物が並んでいますが,こっちは温泉以外の機能が盛り込まれています。

こちらは,本館目の前の産直マルシェ(肉・魚・野菜・果物)

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こちらは,本館敷地から道路を挟んで南側の敷地で,パティスリー(スイーツ)などが入るようです。

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計画概要

 立派なウエブサイトで,計画概要を紹介しています。

アクアイグニス仙台 

このサイトの中でにYouTubeでの紹介動画があり,イメージが伝わってきました。

施設概要は下記の通り。サイトから引用しました。

〇温泉施設 藤塚の湯

〇産直マルシェ

・フィッシュ&ミート
・産直フレッシュ(野菜&果物)

〇パティスリー

・コンフィチュール アッシュ
・ショコラ ドゥ アッシュ

〇ベーカリー

・マリアージュ ドゥ ファリーヌ

〇イタリアンレストラン

・(店舗名称検討中)

〇和食

・笠庵 賛否両論

〇農園

 温泉施設や産直マルシェはともかく,それ以外は横文字が多く高級感をアピールという感じでしょうか。

 基本的に,三重県での先例をモデルに施設を導入するようです。

高級路線の行く末が心配

 高級感のある日帰り温泉複合リゾートで,ここに来たら一日楽しめそうです。

 ただし,料金次第ですが,レストランなどはウエスティン併設並みに入るのに覚悟が要りそう。ランチ3千円でディナー1万円位だと厳しい。この高級感故,当初は良いですが,話題づくりの工夫を継続し,コンスタントに広範囲から集客を図る必要がありますね。

 というのも,複合リゾートとしては近隣での競合は少ないですが,高級路線について行けるマーケットの小ささがあるため。

 先例の三重県は,京阪神と名古屋に挟まれた立地条件から,商圏人口は2000万人を優に超え,またコロナが落ち着けば関空やセントレアからのインバウンドでの誘客も見込める立地に対し,広域仙台都市圏の人口は,周辺県を含めてもせいぜい300万人程度。インバウンドも誤差の範囲でそれほど見込めない。

競合よりは連携での集客を

 海を身近に感じることができる複合施設としては,七ヶ浜町のシチノリゾート(カフェ・レストラン・ホテル・うみの駅七のや)があります。

 なお,日帰り温泉については,南側の閖上サイクルスポーツセンター内に,ホテル佐勘グループが運営受託している「りんりんの宿」が,沿岸部で範囲を広げると,さらに南側にはりんりんの宿と同じく佐勘グループ運営受託の『わたり温泉鳥の海』,北側には松島の温泉ホテル群があります。

 また,産直市場でいうと,南側の閖上に言わずと知れた『ゆりあげ港朝市』が日祝限定ながらあり,安さや賑わいという点では追随を許さない存在。

 震災前は,仙台湾沿岸南部エリアは海を身近に楽しめる施設は海水浴場を除くと名取市閖上と亘理町鳥の海だけで,近くて遠い印象がありました。

 このエリアは,震災で甚大な被害を受けた反面,跡地利用や震災復興を旗印に様々な集客施設ができつつあり,住民の目も向いてきています。

 よって,近隣の施設をライバルとしてお客を取り合うよりも,この『名取川河口エリア』として,さらに,北側のJR関連会社のフルーツ農園などの震災復興に向けたプロジェクトと連携し,回遊性を向上させて,ここに来れば何か楽しめるという方向性を打ち立てていければ。

 実際,ゆりあげ港朝市とかわまちテラスは運営者が実質同じということもあり,朝市からかわまちテラスという流れを作り出し,いつも賑わっています。

 複数市町村にまたがるエリアになると,縦割りになりがちなので,この場合県の仙台圏域の出先機関が調整役を果たすなどの方向性を打ち立てることができればと感じました。

まとめ

 大きなプロジェクト故に心配になってしまいましたが,このエリアに賑わいが生まれるのは歓迎すべきもの。

 来年4月まで約半年。その時までにコロナとの共存が図られ,GWには賑わいを感じることができればと期待しています。

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2020年9月11日 (金)

宮城県内3病院統合構想 名取市も誘致に名乗り

 突如,富谷市が名乗りを挙げた,県立がんセンター,仙台赤十字病院,東北労災病院の統合新病院の誘致。

統合3病院の移転地に富谷市が名乗り?(9/9)

当初から病院残留への努力を表明していた名取市が,負けじと誘致を表明しました。

宮城3病院連携・統合 名取市も誘致表明

宮城県立がんセンター(宮城県名取市)と東北労災病院(仙台市青葉区)、仙台赤十字病院(太白区)の連携、統合に向けた協議に関し、名取市の山田司郎市長は10日、病院の統合移転を想定し、市内に誘致する意向を表明した。今後、県に要望書を提出する方針。
 山田市長は市議会9月定例会一般質問で「県立がんセンター機能を含む連携統合病院の市内への誘致に向け、速やかに要望活動を行いたい」と答弁。用地確保については「全面的に協力したい」との考えを示した。
 山田市長は「間もなく8万都市になろうとする名取市には総合病院、地域医療支援病院がない」と現状を説明。病院誘致は「市民の安心安全と仙南の地域医療に大きく貢献する」と強調した。
 3病院の連携、統合を巡っては、富谷市が既に誘致に名乗りを上げている。(9/11河北)

ライバル意識が強い両市

 仙台を挟んで南北でそれぞれ市制施行している名取市と富谷市。

 名取市が市制施行して65年が経つのに対し,まだ市制施行から4年弱の若い富谷市。

 人口は8万弱の名取市に対し,富谷市は5万2千人と名取市がリード。ただし,富谷市は泉区に続く大規模団地の造成の流れにより,名取市が市制施行した時期にはわずか人口5000人強だったのが,この65年で10倍という急激な人口増加を果たしました。

 この両市の現市長は,揃って2期目を迎えていますが,前々回の初めての選挙で仙台市地下鉄南北線の延伸を唱え当選した(のちに名取市の山田市長はこの構想を市議会の反対により撤回)という浅からぬ因縁もあります。

地下鉄南北線 延伸へのラブコール(2016/7/30)

富谷町長選に思う(2015/2/11) 

 今回の統合病院誘致についても,現在がんセンターが立地する名取市が誘致することを見越して,富谷市が先手を打って県庁訪問をしてアピールしたところ,名取市も当然ながら「うちが優先でしょ」とジャブを打った構図。

 これに続く動きはあるでしょう。ただ前回記事で言及した多賀城市の東北学院工学部が五橋に移転した跡地活用については,当然ながら学院大学の意向もあるし多賀城市と跡地活用計画がまとまらないと,立候補できないので,両市に遅れをとることにはなります。

 また,普通に考えれば,合併前の旧仙台市内の方が強みがあるので,医師会の意向を考えると,みすみす市外には渡さないという動きもある。

 まぁ,これまで全国的にあった県立病院と市立病院の一本化(釜石・酒田・高知等)とは異なり,独立行政法人や日赤という公的性格を持ちながらも,別個の経営母体である病院との統合の事例は,あまり聞きません。なので,決定までも4~5年位はかかるのではと思います。

名取市内の候補地

 当然,ファーストチョイスは現在のがんセンター敷地と隣接する山林を造成しての拡張でしょうが,今回の統合話はがんセンターの立地条件が必ずしも良くないことも一因でもあり,名取市としてもこの案は積極的に推しづらい。

 そうなると,駅徒歩圏に統合病院の敷地を確保ということになりながら,JRとアクセス線が通り,地下鉄に匹敵する髄一の便利さを持つ名取駅徒歩圏というと,土地がないのがネック。徒歩15分圏に広げれば,現在進められている増田西土地区画整理事業地に確保する選択肢もあり,そうすれば高台のがんセンターと異なり駅から平地なので,スタッフは良いけれど,患者さんが歩いて通うのは厳しい。コミバスのなとりん号を頻繁に設定してカバーするしかない。理想は徒歩10分圏で,例えば駅隣接のサッポロビールに遊休地があれば良いけれど。。。という感じ。

 

 それ以外だと,アクセス線の杜せきのした・美田園駅近くの田園をつぶして移転地を確保することも,次善の策としてありえます。

 ただ,空港利用と同様で,仙台方面からは直通ながらも毎時2~3本で利便性は劣る。岩沼方面からは乗換が必須。それでも県としてはアクセス鉄道の利用促進で悪い顔はしないかも。これも,県医師会がどう考えるか。

 これでも,富谷市よりはアクセスは悪くないので,名取市が出てこれば,富谷市として勝ち目はないかな。

 ふと思ったのが,仙台赤十字病院の南側の電磁研の跡地が100戸規模の戸建て住宅地として分譲されていますが,もうすこしタイミングがよければ,この土地が病院拡張用地になりえたのかなと。もともと赤十字単独で想定していた病院建て替え用地は川内旗立線の向かいなので,道路を挟んで別の病棟を作るのは効率が悪い。

 その建替え用地の周りにはまだ緑が広がっているので,拡張も可能かと思いましたが,八木山はこれ以上の開発は制限がかかっていて厳しい印象があり,どうなるか。

 まぁ,名取市の立候補で面白くなりそうです。

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2020年9月 9日 (水)

統合3病院の移転地に富谷市が名乗り?

 先日,突然明らかになった,県立(地方独立行政法人)のがんセンター(名取市),仙台赤十字病院(太白区八木山南),仙台労災病院(青葉区台原)という,宮城県の医療界で存在感を発揮する3つの病院の統合の動き。

宮城県立がんセンターなど3病院が連携、統合協議へ 高度な医療提供を目指す

宮城県立がんセンター(名取市、383床)と東北労災病院(仙台市青葉区、548床)、仙台赤十字病院(太白区、389床)について、県と各設置者が連携、統合に向けた協議の開始に合意したことが3日、分かった。増加傾向にある合併症への対応など、より高度な医療が提供できる体制の構築を目指す。近く協議を開始し、年内に具体的な方向性を判断する考え(以下略)。(8/4河北より引用)

 何故?と驚きましたが,理由として

 〇仙台労災病院を筆頭に,病院の建替えサイクルと言われる30年を過ぎている,又は過ぎつつあること

 〇がんは複合的な病気であることから病状により総合病院との連携が必須となり,がん専門病院での治療に限界があること

が挙げられるようです。

 とはいえ,3病院の経営母体は全く異なり,もともとの県立病院から経営が切り離され独法化されたがんセンター,東北労災病院は独立行政法人労働者健康安全機構,仙台赤十字病院は日本赤十字社と,いずれも公的な性格を持つ組織でありながらも,うまく統合できるのかと疑問はあります。「完全統合」と「各病院を残した上での連携」との選択肢があるようですが,病院の建替えが必至という状況であれば,統合ありきの構想に思えます。

 仮に,3病院の病床数を合わせると,1220床と東北大学病院に匹敵する数。効率化を考えると全ての病床枠を活用はしないだろうけれど,多少縮小しても1000床規模にはなるのではと。

 そうすると,多くの患者・家族だけでなく,医療スタッフの通勤を考えると,なるべく便利な場所,少なくとも鉄道駅から徒歩圏の場所が望ましいのではと思います。

 いずれにせよ,これだけの規模の大病院の統合には,10年スパンの検討・整備期間が必要でしょうね。

立地条件の良い3病院

 がんセンターこそ名取駅から多少距離はありますがそれでも名取市のコミュニティバス「なとりん号」で10分150円。最低限の本数はあり,決して不便ではありません。クルマでも仙台市中心部から30分程度。長町モールにつながる県道仙台館腰線からほど近く,特に仙南方面からは非常に行きやすい,名取市を代表する病院です。

 

 残りの2つの病院は,地下鉄駅から徒歩圏。

 仙台労災病院は街中からほど近く,北仙台と台原駅のちょうど間で両駅から徒歩圏だし,県道仙台泉線近くで車でも行きやすい。この幹線道路を経由する多くのバスも利用可能。

 仙台赤十字病院は5年前に開通した東西線の八木山動物公園駅のおかげで,急坂ながらも何とか駅徒歩圏に。また,バスでも動物公園駅から5分かからず到着可能(100円均一区間)だし,長町方面からも直通バスが毎時2本程度あります。

 車でも,郡山折立線と長町八木山線という2本の都市計画道路の整備により国道286号からのアクセスが劇的に良くなりました。

 統合という話になっても,いずれの病院も不便な場所ではないというところ。

 名取のがんセンターこそ駅からバス・タクシー必須ですが,県内一円からのアクセスとしては別に悪くはない。

 なので,基本的に敷地に余裕のあるがんセンター,もともと道路向かいへの建替えが想定されていた仙台赤十字病院を核に進めるのが良いのではと。仙台労災病院は市街地過ぎて拡張余地がないし,土地を売却することで,移転原資を生み出せそう。

 新たな場所に統合病院を作るにしても,既存の大病院とある程度離れたところが,医療機関の立地バランスからも望ましいとなると,結構限られると思っていました。

富谷市が移転先に名乗り!?

 その統合の話から約1か月,このタイミングで富谷市が統合新病院の移転先として名乗りを上げました。

 今朝の河北朝刊1面でデカデカと。Web版にはUPされていなかったので,紙面を引用させてもらいます。

Img_2162  

感想としては,

〇黒川郡には大病院がなく,バランスとしては悪くはない。土地のあてもあるとは,若生市長の嗅覚は鋭い。

〇県内一円を考えても,車でのアクセスは悪くはない。

〇とはいっても,これだけの大病院を”鉄道駅がない”富谷市内に立地させるのは,医療人材の地域バランスを崩し,スタッフの通勤,患者・家族の通院を考えると問題が多い。

医療人材のバランスを崩すことに

 以前,県が栗原市への医学部誘致を図った際にも,人口6万人の栗原市に600床の大病院を作ると,地域の医療人材のバランスを崩すことになると危惧したものでしたが,人口5万人の富谷市に1000床規模の大病院というのは,医療スタッフの確保の面でも厳しい。

 なによりも,現在の3病院から,看護師・薬剤師をはじめとした医療スタッフがスムーズに移ってこれるのか?

 10年後であれば,当然スタッフは大きく入れ替わるだろうけれど,富谷市移転であれば,一定数の方が見切りをつけて,他の病院に移ってしまうのでは。

 結局統合病院ということであれば,これまでの個別の医療機関とは何から何まで変わってしまうし,実質的に全く新たな病院に勤務するようなもので,どの病院のやり方を残すのかを考えるだけでも,気が遠くなる話。混乱必至なので,医療スタッフとしても残るメリットは小さい。

 仮に,泉区・青葉区・宮城野区北部から労災病院に通勤していた医療スタッフは何とか富谷に通うことができるかもしれないが,赤十字やましてがんセンターに通っていたスタッフの通勤は厳しいと思われます。一人暮らしだったら引っ越しすれば良いけれど,家族持ちでは引っ越しは難しい。当然スタッフは女性が多いので,子育てと両立させようとすると,これまでより遠距離通勤になるのは厳しい。

 看護師や薬剤師ももちろん大変ですが,この規模の病院は医師だけでも200人を超えることとなり,スムーズに旧病院から移ってくれないと,医師確保も大変。そうなると,アルバイト的な応援医師でしのぐのも難しい立地となるのでは。

仙台圏北部の大病院は

 現在としては,泉中央駅西側に徳洲会病院があり,現在西友泉店跡地への移転が進められています。

その他に,富谷市と接する泉パークタウンには,台原からJCHO仙台病院が移転のため病院建設中である他,泉中央に仙台循環器病センターがあるなど,富谷市域には病院はなくとも,隣接する泉区にはそれなりに揃っています。

戦略的な病院誘致?

 基本的に生活機能を仙台市に依存している富谷市であり,医療に関しての仙台市依存度を下げるべく,企業誘致感覚で手を挙げたのかもしれません。

 〇これだけの大病院を誘致すれば,1000人以上の就業者が手に入り,来院者を含めても経済効果が大きい。

 〇将来的には病院近くに多くの方が住んでくれるはず。

 〇市民も大病院が来て安心。

 〇泉中央駅からのバス利用者が激増し,念願の地下鉄延伸やBRT運行に向けた需要の底上げにより,実現性を高める手段となる。

という,富谷市としては安くて広い土地を提供するだけで,これだけのメリットが生じるので,移転の過程で生じる上記のような問題は些細なことにはなるでしょう。若生市長は結構したたかだと感じています。先に手を挙げるメリットは大きい。

移転先はどこに?

 まぁ,当然移転先については,3病院の経営主体が結論を出すことで,その過程で職員の意向も反映されるでしょうが,問題は望ましいアクセスの良い,広い土地が確保でき,他の大病院とエリアが被らないところは限られていること。

 そもそも,現在病院が立地している名取市や八木山地区から大病院が消えてしまうのは,地域バランスを考えてもどうなのか?

 富谷に移転するのであれば,よっぽど名取市の現在のがんセンターや八木山の赤十字病院を核として集約した方が便利ではないでしょうか。

 記事中では,座長である東北大八重樫医学部長が,立地場所を「アクセスの良い場所に」と指摘しているようで,当然ながらこのような統合大病院を成功させるには,立地条件が第一であるでしょうね。

 この富谷市の動きを発端として,仙台市及び仙台市周辺自治体で誘致の動きが出てくればと思います。

 個人的には名取市を推したいのですが,穴場の土地としては,多賀城市の東北学院大学工学部が撤退する跡地などは,「駅から徒歩圏」「まとまった土地」,「多賀城市としても,大学撤退のダメージを補って余りある効果」と思います。時期も丁度良い。

 他,仙台市内では,荒井駅北口の農地も面白い。東部道路の仙台東ICも近く,県内全域からのアクセスも良い。

 あと,愛子地区は東北道での県内からのアクセス,仙山線が使えること,土地確保の容易さもありますが,ちょっと西に寄り過ぎの感が。

 まだ先の話とはいえ,東北医科薬科大学病院を病床数ではるかにしのぐ,東北大学病院に次ぐ規模の大病院が誕生するとなれば,失敗は許されない。統合が実現するかどうかも未知数ではありますが,この動きは注視していきます。

 

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2020年5月30日 (土)

阿武隈急行 10月全線復旧へ&新型車両仙台駅乗入れ

 昨年10月の台風19号で大きな被害を受け,県境区間が未だ不通のまま,また車両基地がない宮城県側は朝晩の運行のみとなっている阿武隈急行。

 当初は村井知事の必ずしも鉄道での復旧に拘らないという発言にビクビクしていましたが,上下分離を前提とした復旧費のほぼ国費負担の制度ができ,ひとまず今夏までに不通区間の回送運転により,宮城側の昼間の運行が再開との話がありました。

 阿武隈急行 全線復旧なるか? (R1/11/28)

 この話が出たら,車両基地への回送運転だけに留まるわけはないとは思っていましたが,台風被害で不通になって約1年の10月をめどに全線復旧を目指すという話が出て,ホッとしました。

福島市と宮城県柴田町を結ぶ第3セクターの阿武隈急行は、去年の台風19号の影響で不通となっている区間について、ことし10月をめどに運転再開を目指すことになりました。

福島県と宮城県や沿線の自治体などが出資する、第3セクターの阿武隈急行の取締役会は26日、福島県伊達市で開かれました。
阿武隈急行は、台風19号の影響で、現在、伊達市の富野駅と宮城県の丸森駅の間の15.4キロで不通となっています。
26日の取締役会では、復旧作業が続くこの区間について、ことし10月をめどに運転再開を目指すことが報告されました。
また26日は、ことし3月までの1年間の決算が発表されました。
それによりますと、本業の鉄道事業営業収益は5億8800万円で、前の年度に比べて9000万円、率にして13%減りました。
台風の被害や新型コロナウイルスにより、乗客数が、前の年度に比べ12%減って、216万人あまりになったことが影響しています。
そして台風19号などによる被害の損失が9億1500万円にのぼり、最終的な損益は10億4000万円の赤字となりました。

この赤字額は過去最大です。

26日はこのほか、千葉宇京社長の後任に、仙台空港鉄道の菅原久吉社長が就任する人事案も発表されました。(NHK 5/26

コロナによる公共交通機関への影響

 コロナの影響で,主要客の高校生や大学生の利用が皆無になっていました。福島側には福島学院大駅もあるし,福島大学への通学も。

宮城県側でも仙台市内の大学へ通う需要も消えてしまい,ようやく高校が再開する6月から乗客数も回復に向かうでしょうが,この数か月の乗客減のダメージは大きく,運営資金も厳しい中運行を続けなければなりません。

 よって,夏に宮城側の昼間の運行が再開し,秋以降に全線復旧したとしても,運行本数が台風前を維持できるかというと厳しい状況です。

 特に,県境の閑散区間でも毎時1本近くは確保してきたのが,昼間は2時間に1本程度になってもおかしくはない。宮城側である程度丸森折り返しを残すなど。

 県境区間は観光需要と,角田・丸森両駅と福島駅(そして新幹線乗継東京方面)の需要に支えられてきたのに,観光も東京方面への流れも,秋までどの程度回復するかが鍵。

 仮に多少減便になっても,需要から考えると十分だし,県境区間が再開するだけでも十分かなと思っています。

仙台直通に新型車両

 宮城側での明るい話題といえば,5月18日から仙台駅直通列車の置き換え運行が開始され,阿武急の新型列車AB900系が仙台駅に毎日顔を出すことになりました。

 JRのE721系の亜種であり,従来の2ドアと異なり普通列車が3ドアに統一できたことで,特に朝夕の混みあう時間の仙台乗り入れ列車に新型車両の効果はテキメン。従来の2ドア車両だと,うっかり押されて車両真ん中あたりまでは行ってしまうと,途中駅で降りるのが苦悶だったり,4両編成というのもあり,朝の下り,夜の上りは前後の電車と比べても体感的に混んでおり,避けられる存在でもありました。

 何といってもステンレスベースでピカピカ。斬新なデザインです。順次置き換え中で,年1編成ペースでは,ようやく2編成(4両)が投入されたところなのに,その2両とも宮城側で運行というのは,福島側にとっては複雑な気分でしょうね。この車両が能力を発揮するのは仙台側のラッシュであるのは間違いないにせよ。

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車内はJRやアクセス線とほぼ同じデザインながら,座席のモケットの色は特徴的。

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車内広告は当然独特で,福島側の広告が多く新鮮です。

この写真は発車10分前の先頭車両なので,まだガラガラでしたが,発車間際には次々と乗り込んできて,立ち客もパラパラでる位でした。

緊急事態宣言明けの週でもあり,学生はともかく通勤客は大分戻ってきつつありました。

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 これは,長町駅で下車した時の発車直前の状況。長町駅でかなり下車した後でも,席は埋まり,立ち客もいます。線路が分断され車両のやりくりが大変な状況の中,阿武急には宮城側に貴重な新型車両を回してくれて感謝です。

阿武急の今後

 阿武隈急行は,現在では珍しい2県に跨り運行する第三セクター鉄道で,車両基地や変電所を福島側に頼っている状況からは,いまさらそれぞれに分断するのは困難な路線です。国費を使って復旧したからにはあと長期的な運行を担保しなければならず,少なくとも20~30年は運行を確保することになりますが,このような珍しい状況だからこそ,片方の県の意向のみで決められないメリットがあったのかも。

 福島県としては輸送密度が極端に低い只見線を力技で復旧させて,阿武急を復旧断念というのはありえないので,宮城県が仮に阿武急県境部の廃線を希望しても福島県と合意する訳がない。

 コロナ後の観光需要がどの程度戻るかによるけれど,せっかく復旧させるこの区間。観光需要の掘り起こしなど両県協力しての活用を図らなければ。

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2020年1月13日 (月)

2020年 利府町が注目の年に!(五輪とイオンモール新棟)

 年末年始の9連休があっと言う間なのだから,3連休も終わるのが早いのは当然ですが,平日は更新できなさそうなので,今年の大きなトピックを整理してみます。と思ったら,利府町絡みで2大トピックがありました。

1.東京五輪サッカー競技開催

 2020年,今年のトピックや期待することといえば,まずは東京五輪。県内でも利府町の命名権が事実上返上された宮城スタジアムで開催です。男子が3試合,女子が7試合開催され,特に男子は「復興五輪」のアリバイづくりのようなものとはいえ,7月下旬は利府町と仙台駅周辺は賑わうことでしょう。

 また,聖火リレーも6月の3日間,県内沿岸部15市町+大衡村の16市町村で開催で,ホストタウンや事前合宿で関わる市町村もあり,県内全域で,五輪の機運が徐々に高まることに。

 サッカー競技については, AFC U-23選手権でのグループリーグ惨敗で,森保監督のクビも危なくなってきましたが,せっかく宮城で開催されるので,監督が代わるにせよ続投にせよ,いいムードで大会を迎えてほしいです。

2.イオンモール利府 新棟のオープン

 これも利府町関係ですが,五輪開催後の2020年末に,イオンモール利府の新棟が,現施設の利府街道向かいにオープン予定です。

7月に着工のプレスリリースがあり,着々と建設が進められているようです。

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 現在モールの2倍以上の規模の新棟を建設し,利府街道を超える歩行者専用ブリッジで接続。合計賃貸面積は,現棟の3.3万平米に加え,6.9万平米,合わせて10.2万平米という,イオンモール名取(旧エアリ)を上回る,イオンモールとしては3大都市圏外で最大の超巨大モールになります。

イオンレイクタウン

 歩行者ブリッジでの複数棟接続という点で,埼玉県越谷市のイオンレイクタウンのMoriKazeがイメージされ(レイクタウンは,さらにアウトレット棟が接続されている)ますが,レイクタウンはJR武蔵野線越谷レイクタウン駅直結のKazeと駅から遠いクルマで行きやすい郊外型施設的なMoriの2つのSCの集合体的な感じでした。10年位前に同時に完成しているので,2つの棟(+アウトレット棟)の棲み分けも意図しながら,新駅を中心とした区画整理地区の中心商業施設として,巨大すぎるとはいえ,商圏が広く,都心部駅前商業施設と棲み分けできる首都圏ならではのSCと感じました。なお,訪問したのは7年以上前です。

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 一方,利府のイオンモールは,新旧2棟で,明らかに規模もグレードも新棟>旧棟 であり,片方が駅前という訳でもなく,2つの棟の棲み分けは苦労しそうです。実質新棟のみに集客が集中し,利用者も新棟のみでことが足りるとなり,旧棟は早々に閉鎖されたり,業態転換されることもありそう。片側2車線+歩道という,広幅員の利府街道上空を跨ぐだけで,かなりの移動距離になるということも。

 というのも,イオンレイクタウンを訪問した際の感想として,KazeとMoriそれぞれの棟が巨大で,片方だけで事が足りる,両方回ると疲れすぎる印象だったためです。食品店舗も,片やイオン,片やマルエツとそれぞれの棟に入居しており,実質的に2つのモールが隣接している形で,巨大すぎるショッピングモールの功罪を感じさせられました。

旧棟の行方

 そのイオンレイクタウンにはイオングループ初のアウトレット棟が併設され,第2号店が広島に「ジ アウトレット ヒロシマ 」として2018年GWに開業したところですが,利府の旧棟は,ウルトラCとして,「アウトレット棟」として活用することも考えられるのではと。

 というのも,だいぶ前ですが,仙台市内某所で過去にイオンモールがSCとアウトレットの融合店舗を構想していたことがあると記憶しているからです。

 ただし,仙台市内ではアウトレット2強のプレミアムアウトレット仙台泉と三井アウトレット仙台港が同規模でしのぎをけずっており,新年早々三井側が増床(夢メッセ側の広大な平面駐車場部分?)を検討しているとの情報もありました。その2強に割って入るには,商圏規模が小さすぎることと,テナント誘致に苦しむのは明らかではありますが,旧棟の活用方法として,他の巨大専門店とのミックスで,アウトレットも含めながらの活用は可能性があるかも。

 いずれにせよ,この新棟の課題は交通問題です。JR利府線の活用には及び腰で,利府街道に頼りっきりの誘客になるのでは,目標とする集客が見込めるかというと厳しい気がします。

鉄道アクセスの改善を

 歩けば10分もかからない,新利府駅。ただし現施設が貧弱すぎること,基本的にJR職員向けの構造であることから,根本的な改造は必要ですが,東側の田んぼにホームを1面増設し,ロータリーを新設するだけで,新利府駅がこのモールのアクセス駅として活用できることになるのに,それをやると「塩釜や多賀城市民にしか恩恵がない」という狭い思考で新利府駅の改造を行わず,カネのかからない利府駅からのシャトルバスアクセスでお茶を濁そうとしていると聞きましたが,それが本当なのであればどうなんでしょう。設備については原因者のイオンモールと誘致した利府町とでしっかり解決すべき話。

 

 それに,鉄道が充実している塩釜市や多賀城市民が,わざわざ不便な新利府駅使う訳がないのでは。せめて車で乗り付けるのであれば岩切駅か利府駅を使うでしょう。やらないがための言い訳にしか聞こえないし,周辺自治体に迷惑をかけながらも,良いところ取りで巨大商業施設を誘致するのであれば,それ相応の責任をとって欲しいものです。

 結果的に,大混乱で泥縄的に新利府駅の改造を強いられることになるか,利府街道がキャパオーバーし避けられ,売り上げが想定に届かないとか,利府町民の日常の移動に支障が出ることも考えられます。

 利府町の交通改善のため,このイオンモール新棟の立地を機に,昼間の利府線の岩切止まり毎時1本を,アクセス線には及ばないまでも毎時2本程度とし仙台直通させることができれば,多少は分散でき,渋滞に左右されない来店手段も提供できることから,利府町民にも,岩切・東仙台を利用する仙台市民にもイオンにも恩恵が生じます。イオンモール,利府町とJRには,このような大所高所からの判断をして欲しかったですが,まだ間に合います。何とかして欲しいものです。

イオンモール利府 新棟計画について思うこと (2018/2/7)

 

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