旅行

2022年12月25日 (日)

久々の新潟 その(7)新潟の強みとクルマ社会の功罪

さて,このシリーズもどのように締めようかと思いながら,年末になってしまいました。

〈前回記事〉

 久々の新潟 その(6)高架化されたJR新潟駅 

 仙台市と新潟市,同じ東北電力管内の二大政令市で,ともに東京からの新幹線で最短約90分というところは共通ながらも,他の要素はあまり似たところがないのが面白いと思い,その点を中心に記事にしてきました。

両都市の比較表

  仙台市 新潟市
人口 109万人(旧市域約80万) 78万人(旧市域約50万)
地形 丘陵地と平野の境目 ほぼ平野
主要駅 在来線は地上のまま。新幹線ホームはメイン口側。駅ビルを含め,商業機能が集積。 在来線は今年高架化完成。新幹線ホームは裏口側。駅ビルなど商業機能は弱い。
鉄道(JR) JR4方向+東北新幹線 JR3方向+上越新幹線
鉄道(その他) 地下鉄南北線・東西線 ―(新潟交通軌道線廃止)
バス 市営バス中心,宮交等が補完 新潟交通(BRT含む)

道路(一般道)

都心部は戦災復興で片側3~4車線と街路水準が高いが,郊外方面は西道路以外ほぼ平面交差。都市計画道路も細切れ多し。 都心部は片側2車線が多いが,郊外は全長30km以上の新新バイパスを軸に,主要国道は立体交差処理。一方,それ以外の都市計画道路整備率は低い。

道路(高速道)

東京方面は東北道と常磐道。市の外縁部は環状化(東北道,仙台東部・南部・北部道,三陸道)。 東京方面には北陸道,福島方面には磐越道。市内でバイパスと並行する日本海東北道は存在感薄し。
空港 市外に立地。アクセス鉄道あり。 市内に立地。バスのみ。
スタジアム 野球もサッカー場も駅近 野球もサッカー場もIC近く
大規模SC 都心部のSCは駅ビル(エスパル)。(計画:イオンモール雨宮)。郊外は地下鉄駅前の長町のザ・モール,泉中央アリオ&セルバ。一方巨大イオンモールが市外2か所に立地 都心部に疑似巨大SCの万代シテイ。郊外の幹線道路沿いには数か所イオン・アピタなどのSCあるが,大規模なものはない。
百貨店 藤崎・三越(さくら野閉店) 伊勢丹(三越・大和閉店)
アーケード 仙台駅から一番町まで連続 古町に平行して複数
地下街 なし 古町に西堀ローサ
都市構造 仙台駅中心+一番町(アーケード) 万代シテイ中心+古町+新潟駅前
コンベンション施設 都心部に中規模(市:国際センター),郊外に大規模(県:夢メッセ)に分散。 都心部にホテル・会議場併設大規模展示場(朱鷺メッセ)
親水空間 仙台港は街中から10km。広瀬川も都心部外縁で,基本は内陸都市。 日本海が街中から近い。信濃川が都心部を二分し,水辺が身近
高等教育機関 学都。東北大,学院大の存在感強し。 全国屈指の専門学校進学率。
影響圏 東北一円 新潟県内のみ

新潟市の強み

 人口規模やブロックを統括する中枢機能,地下鉄などの都市機能全般については,当然ながら仙台に分がありますが,部分的には新潟市に強みがある分野も存在します。

①都心部の大規模商業施設

 都心部については,巨大疑似SCの万代シテイの存在が強みになっている点は記事にしましたが,旧来型のアーケードが衰退し,新潟駅前の商業機能が弱い一方,都心部にこれだけの商業機能が集積しているのは一点集中型の良さであり,バスターミナルを併設しているため,公共交通の利用促進の相乗効果も見込めます。

参考記事

久々の新潟 その(4)仙台の都心部の商業集積について考えさせられた

②都心部のコンベンション機能

 新幹線駅から徒歩圏に存在する朱鷺メッセは学会や大規模ライブで頻繁に活用され,来年はG7財務相会合の舞台になるなど,政令市移行前に新潟県が整備したコンベンション施設(展示ホール・会議棟・ホテル)が結果的に強みとなっています。

 また,大規模ライブの会場が都心部の朱鷺メッセ(最大キャパ約8千人)一択となっているのは,スタンド席がなくアリーナのみ平面で見にくいという欠点はあれども,立地は本当に羨ましい。

 仙台では最も大きいアリーナ施設である,県営体育館(セキスイハイムスーパーアリーナ)がよりによって隣町の駅から徒歩50分かつ仙台駅からシャトルバス1時間(最大キャパ7千人)というクソ立地であるため,キャパ重視の大物のライブには全く行く気になれず,東京方面からの遠征の方にとっては本当にお疲れ様というか申し訳ない。神会場のあすと長町のゼビオアリーナ(最大キャパ6千人)がもう少しキャパが大きければ良かったのですが。

 コンベンションでも,仙台は郊外に県運営の夢メッセ(展示場は朱鷺メッセに匹敵する7500平米だが,会議棟は小規模),都心部かつ東北大に隣接し地下鉄駅直結の市国際センター(1000人収容の大ホールを含め会議棟は充実しているが,展示棟が3000平米と小さい)と五十歩百歩で,ともにホテル併設ではなくワンストップではないところが,近年の会議誘致が伸び悩んでいる原因にもなっている印象です。

 放射光施設ナノテラス整備に絡めて誘致に成功した来年のG7科学技術相会合は秋保温泉の佐勘が選ばれたとか。警備の都合は分かるにしても,そのナノテラスに近い,せっかく展示棟を整備した国際センターが前回に続いて使われないという勿体なさ。まぁ,地下鉄東西線駅に隣接するため,警備に気を遣うということはあるのでしょうが。地下鉄を止める訳にもいかないし。

参考記事

国連防災会議開幕&国際会議誘致について

 (2015.03.14)

③圧倒的なバイパス網

 それに,新潟市といえば,何といってもバイパス道路整備水準の高さが特筆的。特に新発田市から新潟市西区まで約37kmを無信号の立体交差,片側2~3車線で結ぶ新新・新潟・新潟西バイパスの圧倒的な存在感。

 仙台近郊の4号バイパスで37㎞といったら,北部道路富谷IC入口交差点から,岩沼市の6号線との分岐交差点までの距離に匹敵します。その区間が無料の信号なし立体交差道路というのは頭がクラクラします。この区間が仮に無料バイパスだったら,誰も1000円払って北部・東部道路を通る気にならないよね。

 しかし,新潟ではこのバイパスに平行して日本海東北道というネクスコの有料高速道路が通っていますが,並行部分のうち約半分(豊栄SA以東)は暫定片側1車線という高速道路に誰が1,000円出して通るんだろう?

参考記事

仙台と新潟(道路編)(2006.12.13)

 それに紫竹山ICで接続する国道49号も一定区間は高規格な全区間立体交差化が進んでおり,新潟でバイパスといえば立体交差の無料幹線道路を意味します。

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(wikipedia:Hksn127 作成より引用)

 現在は,都心部方面の栗の木バイパスが工事中で,完成すると新潟バイパスから朱鷺メッセや古町付近まで高架道路で直結するとか,道路整備への投資は止まらないようです。

 大部分の都市では,国道バイパスは平面交差で費用節減で建設したものの,沿道へ業務・商業・サービス施設が張り付き,走行速度が低下し,渋滞が多発するようになってから,仙台の4号バイパス(箱堤交差点,鹿又交差点~名取大橋)のように長期間と費用をかけて一部立体交差化を図ったり,さらなるバイパスを建設するなど後手後手に回っていることが多いです。

 一方,新潟市では開発が進んでいない時期に新潟バイパスを自動車専用の完全立体交差で建設したため,当然ながら沿道にロードサイド商業が張り付くことはあり得ず,接続するIC周辺の幹線道路にロードサイド商業が留まり,バイパス自体の走行速度は比較的保たれています。ロードサイド商業の張り付きがないことから予定されていた6車線への拡幅も比較的スムーズに進み,ある意味先見の明がありました。

 その分浮いた費用を,接続する新新バイパス,国道116号新潟西バイパスと東西への延伸,更に南側に接続する国道49号の立体交差化に予算を付けることができ,今度は都心部方面の栗の木バイパスへと,ますます道路整備が進むという好循環となっているようです。

 一日の交通量が10万台程度と,横浜の首都高と横浜町田ICを結ぶ国道16号保土ヶ谷バイパスと匹敵する交通量は,驚愕するしかない。

新潟バイパス50周年記念【新潟国道事務所】 (mlit.go.jp)

新潟スタイル

 しかし,この圧倒的なバイパスが便利過ぎて,目的地へのアクセスがこのバイパスからの近さが基準になっています。

①集客施設がクルマアクセス最優先

 例えば,ワールドカップに向けてアルビレックス新潟のホームスタジアムとして整備された現在のデンカビッグスワンスタジアムも,バイパスICからほど近く高速道路の新潟中央IC至近の鳥屋野潟地区に整備されました。

デンカビッグスワンスタジアム (denka-bigswan.com)

4万人収容で行き帰りの交通アクセスを考えると駅近に整備するのが常識ながらも,幹線道路からのアクセスを重視し,2本のバイパスと2本の高速道路が集まり,一か所のICに集中しないようにクルマを処理することができる立地で,大規模駐車場を併設したアメリカタイプが,県内一円からのアクセスの容易さとうまくはまって,人気がピークの一時期は毎試合満員の観客をこの道路網でさばけてしまっていましたのはある意味凄い。

なお,わが県でもW杯スタジアムは新潟よりも酷い場所に整備したため,2つの高速道路が集まる場所に整備した割には,山の上かつ住宅地の中なので大規模イベントでは駐車場ありませんとか,よっぽど運用が酷い状況だったためか,結果的に数年に一度の代表戦とコロナ禍の東京オリンピック以外ではほぼ使われないスタンド部分が宝の持ち腐れになっているという黒歴史なので,新潟県のことをとやかく言うことはできません。。。交通至便なサッカー専用のユアスタの存在がなかったらと考えると恐ろしくなります。

 更に,隣接地に野球場のハードオフエコスタ(3万人収容)を,ビッグスワンの隣接地に2009年にオープン。せいぜい週1開催のJリーグだったらともかく,この立地で週6試合開催もあり得るプロ野球の本拠地誘致を打ち出しているのは,ビジター客も行きづらいし,ビールが飲めない野球場はスタジアムの収益面でも厳しいと思うのですが,ある意味割り切り方が凄い。でも12球団から16球団への拡張が行われれば十分可能性がありそうだったりします。

HARD OFF ECOスタジアム新潟 (hardoff-eco-stadium.jp)

 市民病院も,2007年に同じエリアに移転オープンと,クルマの便は良いにしても,公共交通がバスのみのエリアにここまで集客施設を集めてしまっています。

②公共交通への市民の理解不足

 それで,新潟バイパスを基準として,東側の新新バイパス,西側の新潟西バイパス,南側の亀田バイパスに続き,北側都心方面の栗の木バイパスと,バイパスを延ばすことには市民の理解は得られながらも,自動車交通分担率70%という驚異的な高さから,公共交通の改善には理解が得られないという悲しい状況となっています。

 80万政令市としてはJRは比較的利便性が高いですが,JR以外の交通機関としては,2015年9月に運行が開始された,将来のLRT化を見据えた都心部のBRT(バス輸送システム)についても,連接バスの導入が議会でケチが付き,予定の半分しか導入できなかったことや,専用レーン化も進まず,将来のLRT化はもちろん,BRTとしてもこれ以上の改善は絶望的な状況です。

参考記事

 久々に新潟へ その(2)BRT初乗車(2022.08.03)

 新潟のBRT雑感とバス相互の乗り継ぎ (2015.09.14)

 仙台と新潟(公共交通機関) (2006.12.16)

 これは,実際乗車して,感じたところでもありますが,バス停や案内を便利にしたことは評価できるとしても,結局ただのバスでしかなく,輸送力もなく,連接バスの導入が限定的であることからシンボル性も感じることができず,中途半端な存在に陥っていました。

 将来を見据えたバスの効率的な運行のために,都心部と郊外路線の分離と乗り継ぎを進めるという理念は良かったものの,ここまで市民の理解が得られないのでは,進められるはずもない。

 その一方,新潟空港への鉄道アクセスに新幹線という話が再浮上しているようですが,これは茨城県でTX(つくばエクスプレス)を茨城空港や水戸に延伸する構想と共通している点が,捕らぬ狸の皮算用で首都圏方面からの利用者に期待して,夢物語の延伸を打ち出している点。ともに現在の空港利用者数は到底アクセス鉄道が成り立つ水準でない上,大クルマ社会で決して自県民の利用は限定的でしょうに。そもそも,両県とも,県庁を駅から遠い郊外に移転させたり,突然夢物語の話が出てくるというのが共通点を感じたり。

高規格な道路整備の功罪

 とはいえ,新潟市民や県民の大部分は全くこのクルマ社会に疑問を感じておらず,行政も企業もこの高規格な道路網を前提として各種集客施設を配置し,全体的にクルマ社会に満足しているように見えるので,これもありなのかもしれません。人口80万の政令市としての都市機能がそこそこ集積していながら,クルマで自由に動け,JR等の最低限の公共交通機関が整備されているという絶妙なバランスを感じました。

 一方,新潟市の高規格バイパス網がまちづくりと都市機能の分布にもたらしたことを考えると,道路整備がそれ以上のクルマ依存を生んでしまったり,クルマ依存の商業地や住宅地の広がりを招いてしまうなど,近視眼的には便利になりながらも,持続的な都市運営を考えると,功罪を感じます。観光や会議,サッカー,ライブなどで他都市から多くの新幹線などでの来訪者がありますが,分かりやすい公共交通機関が少なく,クルマを持たない他都市からの学生にとっても住みにくさを感じてしまい,卒業後の人口流出を招いている一因ともなっているようです。

 新潟市では先週からの大雪で,自慢のバイパスを含め,都心部の道路の麻痺状態が続いています。当然ながら公共交通もJRが運休し,バスも数時間の遅れという状態で,平年はめったに大雪にならないという新潟市は大変な状況。

 その点は同じく大雪はめったに降らない仙台市では2014年2月に過去最高の積雪35センチを記録し1か月位雪が残って難儀しましたが,その時も地下鉄は平常どおりに運行し,頼もしかった記憶があります。その点クルマが使えなくとも選択肢があるのは精神的に楽です。

 仙台では,都心部は戦災復興で都市計画道路が整備されていましたが,高度成長期以降の急速な人口流入の受け皿として道路整備のあてがないまま北部丘陵地を中心に進められた民間の大規模ニュータウン整備を受け入れざるを得ませんでした。それらの市北部のニュータウンとの間の道路が未整備で,限られた幹線道路である県道仙台泉線(旧4号)などが毎日大渋滞を引き起こしていたことが,その当時の60万都市としては無謀と思われた地下鉄整備のきっかけとなりました。

 その後予算が限られながらも細々と都市計画道路の整備を進めていますが,国道4号や286号バイパスもだらだらと平面交差が続くなど,決して充実した整備状況ではなく,渋滞も多発しています。よって,クルマ依存にも限界がある状況から,既存のJR線も沿線への新駅設置,空港アクセス線,JR仙石線の地下化などの整備が進み,渋滞対策で建設された地下鉄など,バス利用者は減少していますが,鉄道を中心とする公共交通機関の利便性は格段に高まりました。この仙台駅を中心とする8方向への鉄道路線の存在が,都心部への集積と沿線への集客施設の配置を進めるきっかけとなり,近年は東西線も開業するなど沿線にてメリハリのある市街地整備を進めることができています。 

 仙台の郊外の道路整備が遅れたことで,結果的に地下鉄などが整備され,ある程度公共交通が使える都市として今に至るという面もあるのかなと感じました。

都市の個性

 仙台市と新潟市。それぞれ置かれた条件は異なるところはあり,都市の個性が違うと,興味深く観察してしまいます。

 他都市を観察すると,ついついないものねだりになりがちですが,自都市を見つめなおすきっかけにもなりますね。来年こそは,もう少し旅行で遠い都市に行ってみたいと思っています。特に15年以上行っていない福岡や広島,高松などの西日本の都市に。

【久々の新潟編 了】

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2022年9月10日 (土)

久々の新潟 その(6)高架化されたJR新潟駅

新潟シリーズも終盤です。

今年の6月に高架化工事が完成したJR新潟駅。1階部分はまだ剥き出しで,地上には旧駅舎を解体した広い空き地が広がっています。

2018年に現2~5番線部分が暫定的に一部供用されており,今回は1番線供用により,完全に地上ホームが廃止され,高架ホームへ移行したとのこと。

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懐かしのバスターミナル

 以前の万代口は,THE昭和!というような,国鉄時代からの古びた駅舎で,バスがバックを強いられるバスターミナルも含め,懐かしい雰囲気だった記憶がありますが,その駅舎があった部分は更地で駅前広場用地となり,新高架駅舎は南側の新幹線高架に沿って整備されました。

 その懐かしいバスターミナルは,新ターミナルが整備されるまでは現役です。

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 これまで,南北の通り抜けが阻害されていたところ,高架駅舎の1階部分に南北のバスターミナルが集約され,また,駅の南北をスルーするバスも運行される予定とのことで,現在新潟駅まで運行されているBRTと称するバス輸送機関が駅南側のデンカビッグスワンスタジアム付近まで延長されるのかな。

在来線ホーム

 在来線ホームを覆う大屋根です。シンプルながら快適な空間です。入ってくる電車が特急を除くとE129系のみで非常に統一感がありました。

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新幹線⇔在来線 乗換がスムーズ

 また,在来線の駅自体の規模はホームの集約化により,7番線までから5番線までに縮小されましたが,在来線と新幹線のホーム高さを合わせたことから,その新幹線ホームに接する5番線は,乗換改札を経由して,向かい側の新幹線にすぐに乗り継ぐことができ,特に酒田・鶴岡方面からの特急いなほとの乗り継ぎ抵抗を減らす効果を発揮していました。JRとしては,すぐに乗り換えられてしまうと,お土産や食事などを買ってもらえなくなり痛し痒しの面もあるのかなとは思いながらも,単純に乗り換える乗客としたら,本当に便利です。ホーム上に東西2か所の乗換改札があり,それほど移動せずに新幹線⇔在来線を乗換えできます。

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2階在来線改札

 東西に2か所設置されています。在来線高架化自体は6月に終了したけれど,まだ2階レベルは工事中で,至るところに白壁があり,まだ完成形までは当分かかりそう。

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新潟駅を通る3路線(信越本線・白新線・越後線)毎に,見やすい発車時刻表示モニターが設置されています。

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在来線東改札付近の商業施設は,コンビニNewDaysとベーカリーのみで整備途上。

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新潟駅の平面図

西改札付近には,駅ビルCoCoLoの西+があります。他に駅ビルはCoCoLo
の本館,中央,西館,東館,南館とかなり分散していてちょっと分かりにくい印象です。9月25日には,再整備のために本館,中央,東館が一旦閉鎖されるとのこと。

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現在のCoCoLoについては,駅ビルとはいえ新たに整備したビックカメラが入る南館以外は駅の余剰スペースの活用が大部分で,細切れの駅利用者向けの雑多な専門店(飲食店・お土産屋等)の寄せ集めで,現状では市民がわざわざ買い物に来るような施設ではないという印象を持ちましたが,間もなく閉店するフロアの再整備も含め,段階的に2024年まで順次オープンするようで,特に高架下の大部分を活用した新たな商業施設が目玉になるよう。

CoCoLoとしての総店舗面積が1.3万平米で,仙台駅東の再開発で生まれたエスパル東館の店舗面積に匹敵します(エスパル全体としては3万平米超)。

これまでほぼ存在感がなかった新潟駅の商業機能の拡充は拠点性の高まりにプラスになりそうです。

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JR東日本プレスリリースより引用)

広々とした南口

 駅裏にあった操車場跡を再開発した新幹線口という性格を持つ南口。昨年訪れた水戸駅南口と似た雰囲気を感じます。

 広々とした広場が広がる先に,上越新幹線開業後の1985年に再開発事業にて整備された,複合商業施設プラーカ1~3がありますが,駅からの回遊性に難があり集客が減り一度破綻したという理由が分かるほど,間に挟む広場が広すぎて,回遊しようとは思えない距離。現在はホテル,商業・業務機能が入っているとのこと。あまりに暑く,駅から見るだけで入りませんでした。

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COCOLO南館には,ビックカメラが出店。新潟はヨドバシカメラが万代口に,ビックが南口とバランス良く出店しています。立体駐車場が大部分で,ビックカメラはワンフロアで,多層階のヨドバシの方が売り場面積は広い。カメラ系で競争があるのは良いなぁと。右側のビルはプラーカ1(ホテル)。

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新潟都市圏のJR運行水準

 以前に何度も言及していますが,もともとの50万都市で政令市になるために合併し80万都市になった都市にしては,在来線の運行水準が高い印象です。

仙台と新潟(公共交通機関)(2006/12/16)

 基本的に,新潟駅を発着する信越本線(新津方面),白新線(豊栄方面),越後線(内野方面)の昼間の普通列車は約20分間隔のダイヤを長年続けています。完全パターン化という訳ではないにせよ,近距離部分の新潟駅から15~20分圏は概ね都市近郊ダイヤとしては最低限の20分間隔なので,安心して使える印象です。ラッシュ時も本数多少増える程度にせよ,昼間に準じた不便を感じない本数を確保しています。

 ただし,その20分間隔が保たれた区間を過ぎると毎時1本になるのは極端とはいえ,需要が見込める区間にきめ細かく対応しており,実態に合っている印象です。

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 仙台では,今でこそ,東北本線上り方面(仙台ー名取)は昼間で10分間隔の分かりやすいパターンダイヤとなりましたが,以前は総本数はほぼ変わらなくとも,5分間隔がある一方快速がある時間帯の通過駅は30分以上待つ時間帯もあったりで,本当にもったいない組み方をしていましたが,今は下り方面の12時台の27分待ち(南仙台~長町駅)以外はほぼ解消されました。ただし,パターンダイヤが導入されて崩されの歴史が続いており,今のダイヤがいつまで続くかが気がかりな面もある一方,新潟都市圏では長年大きく変わらない運用をしています。

 仙山線    毎時2~3本(基本20分間隔ながらも不等間隔)

 仙石線昼間  毎時3~4本(基本20分毎等間隔+2時間おきに多賀城発着区間便)

 本線下り昼間 毎時2本程度(不等間隔)

ということを考えると,その新潟都市圏と比較すると,東北本線上り以外の昼間のサービス水準はあまり変わらないということに。

特に東北本線下り(東仙台と岩切駅)が不憫に感じます。

仙台近郊では,空港線の昼間2両編成で混雑が問題になった位で,さすがに2両編成では運びきれず基本4両編成のため輸送力自体は新潟よりは大きいですが,逆に2両編成を活用して頻発させるという選択肢が取りづらい。2両編成を運行させるとしたら,本線下りで昼間に運行されている岩切ー利府の2両編成区間便を仙台駅まで延長して,仙台ー岩切間を昼間毎時3本にする位かと。

改札内コンコース

 落ち着いた,統一されたデザインです。ホームに向かう階段部分にもLCD出発時刻モニターが設置され,先発だけでなく,次発・次々発まで表示されています。

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なお,新潟駅では3方面の発車に使用するホームは路線ごとに決まっておらずランダムなので,路線ごとの出発時刻モニターもあり分かりやすい。

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越後線に乗車

越後線で青山駅に向かいました。

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単線での運行ながらも,きめ細やかに交換駅が設置され,ほぼ20分間隔で運行しているのは凄い。内野方面は新潟大学がある他,駅間も短く住宅地が連担し,新潟交通のバスも頻発しているエリアです。

同じ単線路線の仙山線は交換駅が限られており,不等間隔が前提で昼間で30分以上空く時間帯もあるのが残念。

車内の光景ですが,E129系に初めて乗車して知ったのが,車両の後ろ半分はロングシート,前半分はクロスシートなんですね。これだとラッシュ時にも詰め込みが効きそうだし,利用者も選ぶことができるので,合理的な設計に感じました。

 仙台だとクロスシート車とロングシート車を併結している場合が多いけれど,どっちにクロスシートが来るかというのがいまいち分かり辛く,選ぶのは難しいところがあるので。

越後線と白新線・信越本線それぞれ主に2~4両で稀に6両での運用があり。昼間の短距離区間便(内野・豊栄・新津まで)は2両編成が多い印象。

乗車した越後線吉田行の2両編成の車内は,程よい利用率。

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青山駅で下車

 新潟駅から3駅目の青山駅で,昼間の15時頃ですが約20人が下車しました。JRになってから開業した請願駅ながら,多少古びた駅舎です。ホームは1面1線で,南側に駅舎があります。

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運行本数は終日ほぼ双方向毎時3本程度。周りは住宅地に囲まれ利用は旺盛です。

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新潟近郊区間なので,当然ながらスイカ対応の自動改札機が設置されています。

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この駅から,南に徒歩5分程度の場所に,BRTの乗り継ぎターミナルがあるイオン青山店があるなど,公共交通の利便性が高いエリアになっています。

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2022年9月 4日 (日)

久々の新潟 その(5)新潟日報メディアシップ展望台より

新潟シリーズはまだ続きます。

 以前記事にした,新潟都心部随一の商業集積である万代シテイの交差点向かいに建つ,地元紙新潟日報の本社ビル兼複合施設である,「新潟日報メディアシップ」。開業した2013年から約10年を迎えます。

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 宮城(仙台)で例えると,地元紙河北新報の本社兼複合商業施設ということになります。

 実際は河北新報の本社は単独社屋で再開発の予定もありませんし,地元バス会社の宮城交通も虎の子の車庫の土地は赤字補填でマンション用地に売却したり(北仙台ターミナル・長町ターミナル)と,置かれている状況は異なるにしても,新潟は,地元バス会社の新潟交通が万代シテイを運営していたり,地元企業がまちづくりに積極的に関わっているように思えます。

 地上20階,高さ105mと,仙台駅前では,アエルの交差点向かいに建つアジュール仙台位の規模感です。

 「メディアシップ」という名前の通り,建物の曲線が帆を描いており,絵になるデザインのビルです。

フロア構成

 低層部に各種サービス施設,高層階にオフィスという構成。最上階は無料の展望スペースです。

新潟では,近隣の朱鷺メッセのホテル日航最上階にも無料展望スペースがありますが,ともに海を眺めることができて,解放感があります。

1~2階   イベント広場,新潟日報ホール,飲食店

3~4階   クリニック・健康・ライフスタイルショップ

5階     記念館(新潟文化の記憶館 等)

6階     貸セミナールーム

7階     カルチャースクール

8~13階  貸オフィス

14~18階 新潟日報オフィス

19階    飲食店(叙々苑 等)

20階    展望フロア

展望フロアからの眺め

 展望フロアは,年配の方を含めた家族連れを中心に,そこそこにぎわっていました。

 写真は東側朱鷺メッセ方面です。当日は本当に暑い日で,気持ち良い青空でした。

日航ホテルは本当に折れそうなほどスレンダーなビルですね。朱鷺メッセは新潟県と民間が協力して約20年前に再開発事業で完成した施設群で,完成したころに佐渡汽船に乗る時に通ったなぁと。15年前に訪問した時には展望台に登り,眺めに感動した記憶があります。

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信濃川西側の古町地区方面です。川幅が広い信濃川が「古町」と「万代・新潟駅前」を二分していることは,街づくりを阻害する面もありながらも,都市のど真ん中に親水空間が存在することは,間違いなく都市としての誇るべき個性に感じます。

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 南側は,鳥屋野潟の先に,J2のライバルアルビレックス新潟のホームである「デンカビックスワンスタジアム」と隣の野球場「ハードオフエコスタ」が見えます。

訪問した7月の時期には首位を争っていた相手ですが,ベガルタは自滅の4連敗で順位を離され,J1自動昇格は絶望の位置になってしまいました。10月に残されたビックスワンでの直接対決が決戦とはなくなってしまい,本当に虚しい気持ちになります。

 しかしながら,都心部からも駅からも離れたこの位置に,高速道路や新潟バイパスからのアクセスを優先し巨大なスタジアム2つを並べて整備するという姿勢が新潟らしいというか。

 スタジアムは仙台の方がともに駅近で断然立地条件が良い(某宮スタは無視)反面,仙台のコンベンション施設は「夢メッセ(県)」と「国際センター(市)」「ウエスティンホテル(民間)」に中途半端に分かれており,上述のように新潟の方が立地条件も機能も優れているなど,両都市にそれぞれ違いが大きいところが面白味があります。

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ビルから見下ろす光景

 南東側の足元ですが,存在感のあるANAクラウンプラザ新潟をはじめとした中層ビルが立ち並ぶ一方,都心部にしては広大な平面駐車場も目立ちます。その先は,低層の街並みに変わります。

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西側の足元は,万代シテイ方面で,左は伊勢丹,右はビルボードプレイスです。2階レベルのデッキを通じて相互に連絡されているのが分かります。

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南側のJR新潟駅方面です。駅前に続く東大通が屈曲した部分に巨大なアパホテル&リゾート(新潟駅前大通)が立地しています。その付近にタワークレーンが見え,建設中のビルが集まっているようですね。

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 この後は,6月に駅の高架化がほぼ完成供用したばかりの新潟駅に向かいました。次回は新潟駅レポです。

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2022年8月15日 (月)

陸羽東線と快速ゆけむり号

 昨日の記事の続編です。

JR東日本 ローカル線の行方(8/13)

 当日は,小さな旅フリー切符を利用し,東北本線福島駅経由で,山形線米沢,山形駅などを経由し,新庄から陸羽東線に乗車しました。

立派過ぎる新庄駅

ガラス張りで,交流スペースや観光案内機能も含めた複合的な巨大な駅。とても人口4万人弱の地方都市の駅とは思えない。

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人口が倍以上多い県南部置賜の拠点米沢駅のレトロさと比べると,いくら始発駅とはいえ雲泥の差。 

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 山形新幹線の新庄延長時には,何をトチ狂ったことしているんだ?と思いましたが,沿線には天童市,東根市,村山市,尾花沢市,新庄市と,概ね5万人以下の規模の小都市がバランスよく並び,これらの都市から1~2時間に1本東京直通の新幹線に乗れるという状況を目の当たりにすると,県としては一応成功なのだろうな。

新庄駅は,山形新幹線(山形線),奥羽本線(秋田方面),陸羽東線,陸羽西線と,鉄道のジャンクション機能を持ちながらも,山形・東京方面以外の3路線は,輸送密度が200人前後の路線で,陸羽西線は並行する高規格道路の工事のため2年間休止バス代行と前代未聞の対応。新庄まで山形新幹線で来ても,在来線に乗り換えてという方はかなり少ないのかと。そもそもコロナ禍で山形新幹線を含めても,新庄駅の一日利用者は千人未満にまで落ち込んでいる(約20年前の山形新幹線新庄延伸時は約2000人/日)とのことで,この利用者数で9往復/日 の7両編成のミニ新幹線を維持できるものかと新幹線の方も心配になりました。

 奥羽本線の秋田方面は切りにくいでしょうが輸送密度は,陸羽東線・西線と変わらない。貨物輸送もない。どの路線も存続が厳しいことには変わらず。

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新幹線用に,自動改札がある他,全路線に電光掲示板と豪華仕様。

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奥羽本線としてのこの駅を跨いだ直通は,軌間が異なることから不可能であり,そのため,奥側のホームとを平面で移動できるようにしています。

ある意味バリアフリーな対応。

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快速ゆけむり号

 通常車両と思っていたら,外観はラッピングされ,観光列車っぽいデザインになっており,気分が一瞬上がりました。

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この新庄からの区間は,以前も2回ほど乗ったことがありますが,前回リゾートみのりで新庄から仙台まで乗りとおした際は,半分程度の乗車率で,それなりに賑わっていた記憶があります。

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車内の質感も良く,これに指定席料金をプラスするだけで乗車できるというのは,非常にお得感がありました。

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観光列車で,アテンダントも乗車しており,記念品がもらえたり,車内販売もあったりで,華やかは雰囲気は,流石東北新幹線と山形新幹線を結ぶ役割を持つ観光路線ならではと思ったり。なので,それほど古びている感はなかったにせよ,引退となり残念な思いが。

 

そのリゾートみのりの後継車両として,キハ110の改造車両というのは,格落ち感があり,これまではそれほど魅力を感じませんでしたが,新庄から仙台までリクライニングシートでビールを飲みながら乗り換えなしで帰れるという魅力から,指定席をえきねっとで確保しようとしたところ,前日で席選び放題。。。2両1編成で15席程度しか埋まっておらず,当日は結局空席のままの席もあり,新庄発車時点で10人程度。鳴子温泉での途中乗車客2名を含めても,15人にも行かない乗り具合でした。

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車内は指定席だけあって,リクライニングシートで,当然乗り心地は良かったです。ただし,質感は以前乗車したリゾートみのりと比べると雲泥の差。でも文句は言えまい。

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 意外だったのは,アテンダントが乗車し,今どき新幹線でも廃止された車販がまだ残っていたとは!

車販がある訳ない思いこみ,新庄駅のNEWDAYSで食料とビールを買い乗車したのですが,もし車販の存在を知っていたらコンビニで買わなかったのに。。。と思える位,10人少々の乗客に対しての車内販売が売れる訳ない。自分も事前購入していたので,申し訳ないと思いながら利用せず。車両は変わったけれど,観光列車としての最低限のサービスは残していたようでした。

 乗車した際には,乗車記念の切符のようなものや,子供向けの工作?を配っていました。途中駅から乗車した人にも配付してたり。

 当日は,32度を超える暑い日で,ビールをのみながら,2時間40分のちょうど良い時間を楽しみました。

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乗客の気配もほとんど感じず,手持無沙汰なアテンダントの方がやけに気になってしまったり。

途中で,紅葉シーズンには絶景であろう鳴子峡を通過する際に徐行する旨のアナウンスがありました。

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以前乗車した際は,運行の区切りでもあり,沿線の中心観光地である鳴子温泉駅で10人近く乗車してきたものでしたが,今回は2人のみで寂しいもの。朝の仙台からの便に乗れば,5時間以上は鳴子温泉街を楽しめるなど,全線乗り通さずとも日帰り利用にも適した観光列車であるものの,コロナの影響も大きいことを感じました。

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古川駅で新幹線乗り継ぎと思われる降車が多少あり。

最後は,松島付近の海を眺めながら,うとうとしながら,仙台駅へ到着。

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陸羽東線のおかれている状況

 今回JR東日本から発表された,県内を通る利用の少ない路線の中で,観光面及び通学に大きな役割を果たしており,地元大崎市が存続に熱意を持っている陸羽東線。

 しかし,鳴子温泉ー最上という県境の流動が少ない区間は,列車本数も少なく1日7本。朝晩は1~2時間おきながらも,昼間は3時間おき(週末の臨時列車を除く)という状況。

 コロナ前の2017年度でもこの区間の通過は100人/日 程度,2020年度はコロナによりさらに減少し,何と41人/日

 JRに移行した1987年時点でも輸送密度は500人を割っており,その時点からの比較では91%減と凄まじい減少率です。

 2020年度は,JR東日本の営業区域の中でもワースト営業係数である22149円(支出に占める収入は何と0.5%)で,収入は年間200万円なので,一日たった5~6千円ということに。

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 国鉄民営化時に廃止された路線群の中でも北海道の美幸線などは営業係数が3000円程度で全国ワーストとなっていましたが,さすがにこの営業係数には驚きました。そして,国有企業由来とはいえ,株式上場をしている民間企業が負担すべきものなのか,これまでの新幹線や首都圏での莫大な黒字を上げていればこそで,コロナ後であっても会社全体の収益性は戻ることはない中,情緒的に存続すべきとは軽々しくも言えない重みをもつ数値を突きつけられました。

 この区間は定期利用も僅少でしょうが,観光や日常の移動で通常運賃利用者が10人もいれば達成してしまうような金額。

 もちろん,この区間のみの利用ということではなく,観光などでの通過の利用者が多いのでしょうが,そういう利用者はフリー切符や区間外の駅発着の切符を購入して乗車するのでしょうから,この5千円/日 という収入自体,それらの通過利用者分の運賃収入がどの程度カウントされているかは懐疑的ながらも,通過人員は正確でしょうから,仮にこの区間の420円の片道運賃に41人を掛けたとしても,せいぜい1万7千円で焼け石に水の収入金額。せめて,週末運行のゆけむり号のような指定席料金(片道530円)の収入は多少でもカウントされていると思いたいが。

 年間赤字額がこの区間だけで5億円,そして陸羽東線のうち乗客が少ない古川ー新庄の区間で22億超円の赤字。。。

 一応,東北新幹線古川駅と山形新幹線新庄駅の両駅を結ぶ新幹線フィーダー路線で,観光の周遊ルートを構築するための利用価値があるはずの路線とはいえ,これだけの負担をJR東日本が続けるのは厳しい。この区間の唯一の存在意義ともいえる観光列車でさえ惨憺たる乗車率で,後継の専用車両を新造してということは絶望的だろうなぁと。

 途中の瀬見温泉などの温泉最寄駅であっても観光列車での鉄道アクセスの利用はわずかでしょうし,利用最閑散区間の最上駅ー鳴子温泉駅は,県境で学生利用も見込めず,フリー切符などで乗りとおす通過客のみであれば収支改善の見通しは立ちようがないと。

 もちろん,地元が負担を負えるかというと,実質的には,県と大崎市がメインになるでしょうし,第三セクターでの存続も山形と宮城にまたがることから厳しい(三セクで存続する場合でも県境で運営会社を分けるケースがほとんどで,2県で運営する事例は阿武隈急行位)

 仮に,宮城県側の鳴子温泉以東を三セクで存続させる場合でも,通学定期も値上げ,そして新幹線経由での鳴子温泉への観光客は新幹線との通し運賃あってこそであり,古川ー鳴子温泉で現在の680円の1.5倍になれば片道千円を超えることから,陸羽東線部分を別途支払うことを考えると負担感が大きく,鉄道離れがさらに進んでしまう。そうすると,上下分離で鉄道施設部分を自治体に譲渡し,メンテナンスや修繕費用を地元負担とし,運行はJRにということが地元として受け入れられるギリギリになるのかと。さすがに大崎市として古川駅から在来線をなくす選択肢は取れないだろうし。

 それを地元が支えるという意識から,市役所職員の通勤利用の促進などをしっかりとやるにしても,並行する国道47号が整備されている故に,
明るい未来は思い浮かびませんでした。鉄道のみで行ける温泉地として鳴子温泉郷は貴重な存在ですが,それだけでは存続できないという現実に悲しい気持ちになりました。今後,各路線とも地元との協議が順次始まるでしょうが,県の姿勢からはあまり期待できないでしょうから,最悪の事態も想定しながら,見守らざるを得ないという気持ちです。

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2022年8月 8日 (月)

久々に新潟へ その(3)驚異の商業集積 万代シテイ

  
 万代シテイ には15年ぶりの訪問でしたが,レインボータワーの撤去とラブラ2以外は建物群としての大きな変化はないように思えましたが,相変わらずの圧倒される商業集積でした。

久々に新潟へ その(1)

久々に新潟へ その(2)BRT初乗車

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これは,旧ダイエーを三井不動産がリーシングしたラブラ万代で,前回訪問時にもありました。

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新潟交通のバスセンターの屋上は広大な広場として活用されています。

奥には今や新潟市唯一の百貨店となった新潟伊勢丹が。

 古町では,大和新潟店に続き,新潟三越も閉店しましたが,特に三越伊勢丹グループで新潟市中心部に2店舗を運営する余力はなかったのでしょう。優勢だった伊勢丹に一本化したということか。

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これは,向かい側の新潟日報メディアシップビルから。

手前中央から奥に,ラブラ万代,バスセンター,新潟伊勢丹の順番。

左側は,ラブラ2と奥に万代シルバーホテル。

ほか,伊勢丹の右側に接続して,若者向けファッションビルのビルボードプレイスとその2号館(BP2)が。上部には巨大な立体駐車場併設で,バスセンターながらも当然車社会の新潟に適応した全方位型の商業施設群です。

これらの商業施設群が2階レベルのペデストリアンデッキで相互に接続され,ストレスなく移動することができます。

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 万代シテイのマップですが,碁盤の目の区画に商業施設が集積し,新潟駅に続く街路では一部並木道に路面店を展開する一角もあるなど,どこかの某巨大モールのように建物内に囲い込むことなく,周辺と連携する形での展開は,地元最大手のバス会社が運営する商業施設として流石と思いました。当日はデッキを渡る多少の時間も体に堪える本当に暑い日で,同じように冬の寒さを考えるとマイナスポイントではありながらも,でも街区で各商業施設が分かれていることで,それぞれに色を付けやすく,また目的地としても分かりやすさを感じました。

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あらゆる大型専門店の集積,ラブラ万代&ラブラ2

 三井不動産リーシングということで,長町のララガーデンと似たような店舗も入っていますが,地下にイオンのスーパーが入っているのは,もともとの建物がイオングループに入った旧ダイエーという関係もあるのかなと。このバランスの良い商業施設群として,やはり食品スーパーは必要。

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新しくオープンしたラブラ2とは専門店ビル同士2階のデッキで連結しています。

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 中に入って気づいたのは,それぞれのテナントとして入っている専門店の店舗面積の大きさと品ぞろえの充実さ。

 ラブラ万代 フロアガイド

上階の2フロアに入っている「紀伊国屋書店」,「ロフト」がそれぞれ反対側の壁が見えない位広いワンフロアを全部使っていて,さらにかなりの集客を誇っていたこと。それぞれその下のフロアには「ユニクロ」と「GU」が隣り合わせで,ほぼワンフロアを使用するなど,集客力のある専門店をシャワー効果を見越した上階に配置。

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 ラブラ万代1階の「GAP」に加え,ラブラ2には「H&M」「ZARA」が出店するなど,ファストファッションの4大ブランドが全て集まっているのは,利用者側としても買い回りに効率が良く,店舗側にとっても競合以上に相乗効果が発揮できるテナント集積です。

 紀伊国屋書店は明らかに長町モールの店舗よりも広く,アエルの丸善よりも大きいのではと。

またロフトも多層階の大型店である仙台店よりは小さいにしても,エスパル東館のワンフロアに展開する東急ハンズ仙台店よりも広く感じる奥行であるなど,中々侮れない店舗集積でした。

 また,NGT48の劇場もラブラ2上階に入っているようでした。

ビルボードプレイス&BP2

 ファッションビルとして,SHIPS,ユナイテッドアローズをはじめとしたテナントが集積しているほか,BP2にはシネコンのTジョイ新潟万代,FM新潟のサテライトスタジオ,新潟マンガ・アニメ情報館というエンターテイメント系の施設も入居しています。

 このアニメ情報館では,今仙台駅東口の福祉大ビルで開催されている「東京リベンジャーズ展」が一足早く開催されており,かなりの行列ができていました。

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万代シルバーホテルビル

 もともと低層階には新潟三越が運営する「新潟アルタ」が数年前まで入っていたようですが,現在は巨大なフードコートに。アルタはビルボードプレイスとラブラの専門店ビルとの差別化が難しかったのかなと推測しますが,結果的には各商業施設の役割が整理されて分かりやすくなったように感じます。

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バスセンタービル

 高速バスターミナルと近郊向けのバスターミナルが集まっていますが,高速バス部分は運休便が多くちょっと寂しい状況。

とはいえ,名物?のカレーの一角など,かなりの混雑ぶり。猛暑の日で熱気とバスの排ガスが混ざり合った独特の空間にて,家族連れでテーブルにそして地べたに座りながら皆で熱々のカレーを掻き込んでいる姿には衝撃を感じました。新潟のソウルフードとは聞いていましたが,これほど愛されているものとは。

 ただ,体験してみようと思いながら,30度を超える日で暑さに参り涼しいところで食べたかったため,別のソウルフードと聞いていた「イタリアン」を食しました。普通のだとつまらないので,ホワイトイタリアンというものを。ホワイトソースと太目の麺との絡み具合が絶妙で,モヤシがはいっていたり何とも不思議な感覚ながら,あっという間に平らげました。大盛にすればよかったと後悔。確か470円でした。
 

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 何だか,普段着で力の抜けた感じの方々が集まる,新潟市のオアシス的な場所なんだなーと。

恐るべし万代シテイ

 新潟の方々にとっては,街のど真ん中にこのような一か所で何でも揃うメガ商業集積があるというのは,やっぱり大きいと感じました。

それに,

 〇車でも,都心部に4千台以上の提携駐車場で,駐車料金無料サービスもあり。

 〇公共交通機関でも,バスターミナル併設で市内各所からのアクセスも良好。JR新潟駅からも徒歩7分と苦にならない距離。

 〇百貨店,専門店ビル,ファッションビル,映画館などのレジャー機能がコンパクトに集まる何でもある安心感。

 〇新潟市の規模だったら出店が難しいようなテナントが,この一帯の集客力を評価し出店している。

 こりゃ,古町が同じ土俵で勝てるわけがない。

 新潟駅前も商業機能が弱く,万代一強かつ一極集中ですが,新潟の都市としては,間違いなくプラスになっています。これがなかったら,郊外型モールに駆逐され,古町を含めた街中自体がさらにさびれてしまっていたはず。

 新興政令市の中では,イオンモールが駅前に出店して四国までも商圏に含んでいる岡山市のように,旧来のアーケード街が劣勢ながらも,中心部の大型店商業集積により,都心部として広範囲な集客を確保している事例ですが,これが政令市になる前の50万都市であった40年前からあるのが凄い。

 ただ,基本的に15年前に来た時と良い意味でも万代シテイ自体は悪い意味でも変わっておらず,施設全体の老朽化は否めませんが,ハードが古びてきても,入居店舗というソフトが充実しており,エリア全体で疑似SCとして機能しており,集客力を保っていることから,テナントの入れ替えもスムーズにいっている印象です。

 万代シテイが集客力を保っている分,古町は大型店の撤退が続いており,割を食っているようですが,郊外にイオンやアピタなどの郊外型店が立地しているのは,新潟市近郊も御多分に漏れず。

 新潟市は郊外型店に対しての規制は行おうとしていないので,今後,イオンがあの無謀な「イオンモール新利府」のような計画を進めないとも限らず,そうなると,万代シテイVS郊外イオンモールのような消耗戦が起こらないことを祈りたいです。

にいがた2km

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 新潟市の都心部の最後の砦の万代シテイ。新潟市が新潟駅から古町までの都心軸を「にいがた2km」として集客力を高めようとしていますが,鶏が先か卵がさきかというように,この2kmを重視するのであれば,都心部の交通軸として単なる従来のバス(BRTは見掛け倒し)ではなく,シンボリックな分かりやすい手段が必要。都市規模から非現実的な地下鉄や新交通は無理といても,まだ視野に入るLRT,BRTの進化系として連接バスの大量投入やバス専用レーンの設置などで,本気でこの都心部に投資を呼び込むという姿勢を市として示さないと,駅の高架化と再整備が進む新潟駅,新潟市民のオアシス万代シテイは良いとしても,古くからの新潟市の中心地古町を含む新潟島の求心力を保つことには繋がらず,どれだけ衰退を抑えるかということになってしまうような気がします。

 新潟市と同じような,超クルマ社会の50万都市宇都宮市で進められているLRTプロジェクトのように,自治体としてクルマ社会からの方向転換をアピールする施策は時代の変化を感じさせるもので,そのくらいのインパクトがないと,新潟2KMは成功しないのではと感じました。

 個人的には,15年越しの万代シテイ記事となりましたが,新潟は仙台が持っていないアピールポイントを持つなど,面白い都市だと思います。

このシリーズはまだ続きます。

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2022年8月 3日 (水)

久々に新潟へ その(2)BRT初乗車

仙台市では,市営地下鉄東西線という新しい基幹公共交通機関が2015年に開業しました。

一方,今回訪問した新潟市でも,2015年9月に従来のバスを発展させた,BRTという将来のLRTなどへの展開も視野に入れた新たな公共交通機関が誕生しています。

新潟のBRT雑感とバス相互の乗り継ぎ(2015/9/14)

 記事を書いてから,7年近く経ちましたが,ようやく初乗車することができました。

イオン青山SCに併設されたバスターミナルから。

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屋根はあるとはいえ,普通のバス停。。。 そして連接バスを期待したけれど,全く普通のバス。運行開始当時で4台しか導入していないのであれば,当たる確率は宝くじの末等当選並みで当然か。

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 連接バスの運行は大分先なので,仕方なく乗り込みながらも残念。

土日は10分おきの運行で時刻表要らずなのは良いところですが,それでも休日昼間の11時台の便で乗客は,座席の半数程度が埋まる位。

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 平日は朝晩を中心に本数が多くなりますが,昼間は完全に10分毎という訳でもなく,ランダムな時間帯も多い。

 土日は,快速が入り多少イレギュラーな時間帯を除き概ね10分間隔と分かりやすいですが,結局普通の50人乗り路線バスに乗せられることを考えると微妙。10分毎に集約するのであれば,連接バスまたは,LRTのようなシンボル性・キャパシティや速達性でアピールできる手段でないと。

 青山以遠の支線からの乗り継ぎ客がいるのであれば,10分おきなのだからもう少し多くの乗客を期待したいところですが,ちょっと拍子抜けでした。ただし,たまたま乗ったバスが快速だったので,多少は速達効果があったかも。とはいえ,万代シテイまで20分ほど(新潟駅までは定刻で26分)。快速では各駅停車と比べて3分短縮されるのみ。各バス停に止まるわずらわしさはないけれど,やっぱり中途半端は否めない。

 なお,白山駅を通過する便だったので,駅前ロータリーに入れずちょっと残念。JR越後線からの乗り継ぎ流動を確認したかったのですが。

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厳しい古町

 バスは,古町を経由。大和跡地でイベントをやっていたようで,降りたい衝動にかられましたが,とにかく暑すぎて,目的地である新潟駅方面まで行くことを考えると,今回はスルーしました。西堀の交差点に集まっていた百貨店の「大和」と「ラフォーレ原宿新潟」に続き「三越」も閉店となり,ヨーカドー丸大以外の大型店が皆無となった古町。残るはアーケードと謎の地下街である西堀ローサのみという状況。西堀ローサは3つの大型店を繋ぐ役割も果たしていたのでしょうが,今後どうするのでしょうか。

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 白山神社近くのアーケード街上古町(通称”カミフル”)では場末の商店街として面白い取り組みをしているのはかつて訪問した時に感じていましたが,やはり,全体として核店舗が失われると見た目としても厳しい印象を感じました。

 専門学校と若者を集めてという方向性はありだとは思いますが,いかんせん購買力がなく,それも近くの万代シティに吸い取られれば厳しいのに変わりはないだろうなぁと感じながら,万代シティでバス(もはやBRTに乗ったという実感はなし)を降りました。

 次は,賑わう万代シティ編です。

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2021年12月19日 (日)

22年春JRダイヤ改正発表 その1~アクセス線 まさかの増発で昼間20分間隔化~

 新型コロナウイルスが発生してから間もなく丸2年。

 秋になりデルタ株による第5波がようやく落ち着き,空港や新幹線を利用した旅行需要も回復基調にありながら,オミクロン株の流入により,感染再拡大に向けて予断を許さない状況。

 JR東日本では,首都圏の通勤通学需要がコロナ前比較で2割減,新幹線利用4割減という状況で,22年3月期決算は1600億円の赤字予想では,運行本数にも大ナタを振るわざるを得ず,今回の22年春のダイヤ改正発表を戦々恐々と待っていました。

 特に,今年の3月ダイヤ改正により画期的なパターンダイヤが導入され,非常に分かりやすくなった仙台駅以南の東北本線・常磐線・仙台空港アクセス線を含む区間のダイヤがどうなるかというのが個人的には最も心配でした。早速減便により昼間と夜間帯の10分間隔,夕ラッシュ時の5~10分間隔が崩れてしまうのではと。

 過去記事



 

仙台駅以南はほぼ現状維持

 発表内容を見ると,東北新幹線の大減便と臨時列車化は想定通りながらも,インパクトは大きいものでした。
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 他,驚きの内容としては,仙石線の白紙改正で,昼間毎時3本化と引き換えに改築された松島海岸駅アクセスの改善がありましたが,個人的には最寄り駅を通る仙台駅以南が気になっていたところ。

何と,仙台空港アクセス線が1往復増

 仙台駅発上り方面は,ほぼ現状維持とのことでホッとしました。減便は朝ラッシュ時の岩沼⇔仙台区間便3本が土休日運休になることが最も大きい位。

 一方,仙台空港アクセス線は,まさかの1往復増便と,まさに改正となりました。

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 仙台駅上り方面の昼間のダイヤは,今年3月に概ね10分おきときれいなパターンダイヤに大変身しており,

  東北本線  毎時2本:00分 20分

  アクセス線 毎時3本:10分 30分 50分

  常磐線   毎時1本:40分

と,非常に分かりやすくなっていましたが,唯一14時台のみアクセス線が毎時2本の20分と50分発で,その穴を岩沼行が埋める形になっていました。

 それが,14時台にアクセス線が1往復増発となり,11時~16時台は完全に毎時3本かつ20分おきと,ラストピースが埋まった感じです。その分その穴を埋めていた岩沼行が減便になりましたが,影響は小さいかと。

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昼間毎時3往復化の完成!

 このブログでも長年訴えていた,仙台空港アクセス線の昼間毎時3本のパターンダイヤ化が,開業から15年を経てようやく実現することになり,感無量の気持ちです。

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 仙台駅発は,10時30分~16時台までの時間は,完全に20分間隔(10分,30分,50分発)の分かりやすいダイヤとなります。

あとは,30分間隔の時間から移行する9時台とひたちの発車時間と被る10時台に,20分間隔のパターンが崩れる部分がありますが,これは及第点かと。なお,同様にひたちの発車時間と被っていた16時台はひたちの発車時刻が11分から6分発に前倒しされ,アクセス線が10分発でパターン化されました。

 空港発も,9時台から16時台まで同様に,8分,28分,48分というほぼ20分おきの分かりやすいダイヤとなりますが,1日1往復の快速のために12時台の発車時刻が16分発にずれることと,9時台と10時台が29分発になっていますが,まぁ空港発は飛行機で到着する時間がずれる可能性も高いので,20分待てば乗れるという安心感があるだけでも大きいです。

 それにしても,開業時の40往復から4往復しか増えてないのに,これだけ分かりやすいダイヤにできるというのは,今まで何だったのかという思いもありますが,乗客数の増加への対応,空港民営化による空港運営会社サイドからの要望,JR東日本側の歩み寄りといろいろあったのだろうなと。

 空港での飲食・お土産などの物販機能が弱いだけに,仙台駅発が20分おきであれば,仙台駅で搭乗前の用を済ませて空港に向かうにも分かりやすいし,ほぼ各駅停車で25分なので,チェックイン30分前に到着するための時間も計算しやすいというメリットもあります。

仙台駅朝発,空港発夜間帯が課題

 昼間が20分おきの完成されたダイヤになった反面,仙台駅発の夜間帯はほぼ30分おきのパターンダイヤ化されているので,ラッシュ時でこれ以上の増発が難しい時間帯であり,これはやむを得ないと思っていますが,空港発では概ね30分おきながらも,不等間隔が残り40分以上空く時間帯があったりします。

 仙台駅発は夕ラッシュに被る時間帯で増発は難しいけれど,空港発は極力20分おきにできないものかと。それは,朝の仙台駅発も同様。

 朝夕ラッシュ時は4両編成での運行が必須の時間帯であり,せめて朝の仙台駅発7~8時台,夕方の空港駅発17~20時台も毎時3本にできれば利便性は上がりますが,ラッシュ方面の増発は無理なことと,車両確保が課題で,そのためだけに2両―2両に解結・4両に増結を繰り返すのは,手間を考えると現実的ではないし,その時間帯のカバーのために,毎時1往復,空港駅ー名取駅間の区間列車を設定する位しか思い浮かばない。

 まぁ,コロナ禍の乗客減の中で,ここまで改善されたのは喜ばしいこと。コロナウイルスもなかなかしぶとく,国内線は復調傾向ながらも,国際線の復活にはまだ時間が必要でしょうが,将来的に利用客数が回復する中で,完全20分間隔化を模索してもらえればと期待します。

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2021年10月30日 (土)

常磐線ひたちで仙台へ (その3 のんびり3時間の旅)

 このシリーズ3回目です。ようやく念願の特急ひたちに乗車し,全通した被災区間を通過しました。

常磐線ひたちで仙台へ (その1)

常磐線ひたちで仙台へ (その2 水戸駅周辺レポ)

 ようやく約1時間遅れで水戸駅のホームに滑り込んできました。当たり前ながら,仙台駅の6番ホームで見る車両と長さも含め同じということが,不思議な感じがしました。震災前は長大11両編成のうち仙台には4両編成の付属編成しか行かなかったのが,10両そのままいわき以北に乗り入れするということも,乗車率のことを考えると複雑。

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 入ってきたひたち13号ですが,東京との流動があるはずの水戸駅時点であっても,乗車率は芳しいものではありませんでした。

自分が乗車した9号車には,他に2人乗車しましたが,その時点で10名程度。

 今のE657系から全席指定になり,指定済の席は緑ランプが点灯するようになっていました。指定なしで乗車する場合は,赤ランプのところに乗車できるみたい。また,途中駅から指定されている座席は黄色ランプに変わる模様。

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 殆ど赤ランプで,指定席をとる時点で,同一号車内で5~6席しか指定されていないことは分かっており,間隔を空けて予約したということはあれど,ほとんど人の気配を感じず,不思議な”ほぼ”貸し切り気分を味わえました。

 昔の震災前のスーパーひたち時代は付属編成の4両編成のうち指定席が2両,自由席が2両で,ほとんど満席で水戸時点では立ち客もおり,水戸での乗降も多くかった印象。付属編成はほとんどがいわき以北に直通する乗客で,原ノ町・相馬で半分が降りながらも仙台までもそこそこ乗っていましたが,10両とはいえ,この乗車率というのは,ちょと寂しい思いでした。

 ただ,長町駅北側の広瀬川堤防で昨年春に通過したひたち号を眺めた時には,全10両で10人位しか確認できなかったので,その時点と比較すると,多少は乗客が増えている状況ではあります。

海を眺めながらのんびり旅

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 昔乗った時は夕方から夜にかけての,上野16時発(確か仙台20時12分頃着)に乗ることが多かったからか,あまり車窓を気にせず,また4時間の旅なので寝たり本を読みながら乗っていた記憶がありましたが,今回はガラガラで海側の席だったので,ぼーとしながら車窓を楽しみました。天気が良かったし。

 日立のあたりや北茨城,そして四ツ倉の辺りなど,全体に占める時間は短いながらも海沿いを走る区間もそれなりにあります。

 しかし,途中駅での乗り降りは多くなく,勝田から1名乗ってきた位で,あとはほとんどぽつりぽつりと降りる一方。いわきからの乗車もなかったような。まぁ,乗ったのが先頭に近い9号車だったので,途中駅からの乗客はもう少し真ん中の号車にはいたのかもしれません。

 結果的に仙台まで乗ったのは自分を含めて5名。座席が50席程度なので,9号車の乗車率は10~20%というところでした。全体でもそれほど変わらないでしょう。

再開区間にて

 広野駅の周辺は早い段階から常磐線の復旧が進み,原発事故対応の前線基地のような役割を一時果たしていた記憶がありますが,新しいホテルなどの建物が見られ,東側は以前と全く違う光景になっていました。

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 その後,車窓右側には,原発事故直後の奮闘で有名になった高野病院の建物が。

 その後楢葉町に入りますが,特に駅間で荒れ果てた建物が目立ち始めます。とはいえ,一見被災していない地域とあまり変わらない光景というのは意外に感じました。富岡駅や大野駅,双葉駅という特急停車駅周辺でも,新しいこじんまりとした,車が普通に数台止まっているような住宅がそれなりに見受けられ,ある程度人も戻ってきていることを感じました。

 各駅とも住宅などの建物が広く建ち並んでいる様子は車窓から見え,震災前はそれぞれ数千人以上が住んでいた町の規模感を感じることができましたが,そのうち近くで見れば無人となった建物も多いのでしょう。この3駅での乗降は9号車からは確認できませんでしたが,停車してすぐ発車したので,全車両でもほぼ皆無だったのかと。でも,東京や仙台と特急でつながっているという安心感は,帰還促進にあたっても大きなものなのでしょう。

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途中でおやっと思ったのが,線路と並行する道路。過去に部分的に複線区間だった部分が単線化され,保線用の道路化されているようでした。

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復旧させるにしても,震災前と比較すると本数も2/3程度になり,当面貨物列車も走らないとなれば,最低限の設備での復旧を判断したのかと。

仙台ひたちの所要時間が震災前よりも伸びているのは,このような単線区間での行き違い設備が簡略化されたのも理由のようです。

 一時間発車が遅れたためか,明るいうちに仙台に着けるはずが,途中で徐々に暗くなり始めました。車窓からはこのような巨大な鉄塔及び送電線が見られましたが,原発を結ぶ送電線で,かつては首都圏方面に電気を送電していたものが,現在では原子炉の冷却のための電気が送られているのかと思うと,この地域がかつて望んで誘致した原発という側面があるとはいえ,東京電力の発電所が福島という営業区域外にあるべきだったのかと,考えされられました。

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 原ノ町あたりからは,すっかり暗くなり,仙台駅に到着したのは18時20分位でした。約55分遅れで,多少は後れを回復したのかな。

 電車での旅行は本当に久しぶりで,特急で約3時間の旅というのは,2年前の北海道で札幌から釧路の区間を乗って以来。

 新幹線に慣れてしまうと,逆に特急の旅というのは贅沢な時間の使い方なのかもと感じます。

 仙台駅では6番線に到着し,ホーム向かい側の阿武急の新型車両(丸森行)がちょうど止まっており,余韻を感じる暇なく間一髪乗り継ぐことができ,18時半前には約10分前にひたちで通過した長町駅に到着しました。

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長町駅の出口床面には,新しいKHBの案内表示が。

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 今,新型コロナウイルスの感染が落ち着いていますが,この凪の状態が少しでも長く続いて,普通に旅行に行けるような生活を取り戻すことができればと。今度は仙台から品川までの全区間を乗ってみたいな。

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2021年10月17日 (日)

常磐線ひたちで仙台へ (その1)

 令和2年3月14日に震災から約10年ぶりに全線復旧した常磐線の福島県区間。

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 同日に,特急ひたちも仙台まで1日3往復で運行を開始し,乗りに行きたいと思っていながら,新型コロナウイルスの感染拡大で不要不急の外出がはばかられる時期が長く続きましたが,ようやくワクチン接種の進展と感染第5波が終息したタイミングで,先週茨城県方面に行く用事ができたので,その帰りに特急ひたちに乗車し,常磐線復旧区間を通過しました。

 理想としては品川から仙台までの全区間を4時間半かけて乗ってみたい気持ちもありましたが,茨城への用事なので水戸から仙台まで3時間10分の旅。それでも,新幹線での東京仙台間が1時間半であることを考えるとその倍以上の所要時間で,久々の旅の気分を味わえました。

 購入時期によっては50%引きで品川ー仙台間を4千円台で乗ることができるようですが,流石に直前まで予定が確定できなかったので,切符は前日にえきねっとで確保したところ,トクだ値10%が復活しており,多少はお得に。

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早速アクシデント発生

 ひたち13号が発着する水戸駅まで向かう電車の中で,ふと乗換案内を確認したところ,”常磐線 遅れ”とのこと。

 その1本前のときわ61号は定刻で水戸に到着したようだったので,??と思ったら,これが原因でした。

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 最初は上野駅付近との情報でしたが,例の蕨駅付近の変電所爆発の影響をひたち13号が上野駅を出る直前に喰らってしまったようでした。

結果的に水戸への1時間近く到着が遅れることが分かったので,水戸駅の改札を出て,駅の周辺をうろつく時間が出来て,良かったと。

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水戸駅周辺は大変身!

4~5年前に常磐線で水戸駅を通過した記憶はあれど,今世紀に入り改札から出た記憶はないため,メイン北口の記憶はうっすらとあれど南口は初めて。

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駅の南北ともいい意味でも悪い意味でも大きな変化を遂げていて,びっくりしました。

(次回に続きます)

 

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2020年3月29日 (日)

苦境の仙台空港 商業機能増設に着手

 新型コロナウイルスが全世界的に蔓延し,日本では北海道や愛知県,関西に続き,大本命の東京圏での感染急拡大により,一気に危機感が高まっている今週の動き。

 この宮城県では,木曜日に2例目の感染者が確認されました。

 基本的に東北各県ではインバウンドの少なさが幸いしたのか,感染者数がほぼ皆無で推移してきたものの,「貰い事故」のように,クルーズ船乗客(宮城・秋田),海外旅行帰り(青森),東京や北海道からの感染疑い者の無理な移動(青森や秋田。宮城の事例は東京の感染確認者との接触感染)で徐々に感染者が確認されており,隠れ感染者も入ってきている危惧を感じます。今,感染者が発見されていない岩手や山形も,他県と同様に貰い事故での感染が確認されるのも時間の問題でしょう。

 感染が急拡大している東京からの地方への感染拡大を止めるための措置が必要なんでしょうが,新幹線などはガラガラのままの通常運行を強いられており,そもそもクルマ移動などは止めようがなく,物流への影響もあるので,対応策が手ぬるいと感じ始めてきました。

仙台空港の影響

 そのような状況で,仙台”国際”空港は,まさしく名前だけの国際空港となり,国際線の運行は完全にストップしています。これは中部のセントレアでさえもで,国際線の運行は東京・大阪のみに絞られている状況なので,需要低下と感染拡大防止のためにはやむを得ない措置。

 国内線も,搭乗率にシビアなLCCは,まずもともと苦しんでいた中部(セントレア)便をはじめ,好調だった関西と新千歳便も軒並み一部運休で,その他のレガシー路線も減便が相次いでいます。

 本来であれば,春休みの書き入れ時のシーズンなのに,様々な意味で民営化された仙台空港の運営会社としては想定以上のリスクが生じ,厳しい状況です。そのような状況の中,予定されていた改装工事に着手するニュースは驚きでした。

 仙台空港2、3階の改修着工 21年度完成、買い物や飲食充実

 仙台空港を運営する仙台国際空港(宮城県名取市)は26日、旅客ターミナルビルの大規模リニューアル工事に着手した。事業費は約50億円。2044年度の目標旅客数550万人を見据え、搭乗手続きの時間を短縮し、搭乗直前まで買い物や飲食を楽しめるようにする。21年度下期の工事完了を見込む。
 リニューアルは2、3階が中心。国内・国際線の保安検査場を拡張するとともに、国内線の検査場通過後のエリアを広げ、飲食店や土産店などを充実させる。
 改修面積は全体の5分の1に当たる9848平方メートル。商業店舗の床面積は22.5%増の2804平方メートルとなり、うち検査通過後のエリアは現状の10倍以上の2013平方メートルに広がる。増築は1683平方メートルで、国内線のチェックインエリアを拡張する。
 同社は16年7月の民営化当初から今回のリニューアルを計画してきた。今後は旅客以外の見送り客なども保安検査を経て店舗や屋上展望デッキを利用できる仕組みを目指し、航空各社と協議を進める(3/17河北より引用)。

当初提案通りの改修を実施

 前向きに考えると,国際線の運行がしばらく見込めず,国内線の旅客も減少するこの時期だからこそ,改修工事がやりやすいという見方もできるのかもしれません。 

 県で空港民営化を検討していた時に,村井知事が参考にしたオーストラリアの空港での民営化事例に習った改修計画と記憶しています。

 空港運営から上がる収益を極大化するために,”キモ”になる施策だとか。

 これから2021年度下半期まで,断続的に約1年半の間工事が続きます。

この改修のメリット

 この改修内容は,仙台空港の商業機能の選択肢の無さを多少は解消することになる嬉しい改修工事です。

Sdfmarketimage(以下の図は,全て仙台国際空港プレス発表資料より引用)

 昨年北海道に飛んだ時も,以前沖縄に飛んだ時にも実感しましたが,混雑を恐れて早めにチェックインしようとしても,中にまともな飲食施設がなく,スナックスタンドレベルで落胆します。分かっていて空弁をチェックイン前に購入したこともありましたが,選択肢が少なく旅行のワクワク感が減退したり。

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 そもそも,空港の商業施設や飲食施設は,主に搭乗前の旅客が対象なので,チェックイン後の「エアサイド」にあった方が合理的というのは分かります。

この改修による懸念

 とはいえ,お見送りの家族と一緒に食事とか,到着後の本数の少ない高速バス等の交通機関待ちで食事とか,「まずは牛たん」という利用客もいるので,これまでのように気軽に「ランドサイド」で使えないのはちょっと不便。そのあたりのバランスはどうするのでしょうか。なお,1階は改修なしのようなので,プロントやコンビニその辺はそのまま「ランドサイド」で搭乗前,到着後に利用できる機能です。 

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 その懸念に対するアイディアとして,搭乗客以外も,「エアサイド」ゾーンに入ることができるような規制緩和を国に要望しており,そのために保安検査場を拡張するとの対策も講じるようです。

 でも,身代わり搭乗など意図的に悪さを企てる輩はいるだろうし,現在のテロ対策強化の流れに反するような懸念が。それにチェックイン後に安心して飲食店で注文し,注文した料理が出てこなかったり,話に夢中になって乗り遅れそうになるということもあるだろうな。そういう利用者への対応も必要になる。

 そういった,懸念を飲み込んで実現化することができるのかと気になります。

将来に向けて

 日本の空港の中で先鞭をつけたこの仙台空港民営化も,第2弾の新千歳空港を始めとした道内空港民営化(北海道エアポート),福岡空港など,国内主要空港にも導入され,民営化第1号というインパクトを保ち,民営化ならではの施策を着実に導入していかないと,埋没してしまうという危機感はあると思います。

 今年は,東日本大震災の年並みの利用客の減少となるでしょうが,その反動でのコロナ後の利用客増を信じながら,機能改善や路線再開,新規就航の取り組みを続けて行かないと,民営化の意味がなくなってしまう。

 3月末で,民営化開始以来陣頭指揮を執っていた東急出身の岩井卓也社長が退任し,4月からは同じく東急出身の鳥羽明門氏が就任するようです。岩井社長はこれまで前例のない民営空港運営会社のトップとして手探りながら成果を上げてきていたのに,最後にコロナ騒ぎでこれまでの実績がガラガラと崩れてしまう無念を感じているでしょうが,今回の改修工事終了後は,コロナの影響も落ち着き,さらに多くの利用者を集める便利な空港として発展することを祈っています。 

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