市政

2024年2月25日 (日)

宮交バスも10月から適用!「せんだいバスFREE+」

せんだいバスFREE+10月誕生

 学都仙台フリーパスとして、市交通局の地下鉄とバスを対象に乗り放題のフリーパスが発行されていながら、泉区の住吉台・南光台以外の大部分や太白区の国道286号方面など、宮交バスオンリーのエリアも広く、不公平感は否めませんでした。特に泉パークタウン方面や、太白区でも八木山エリアの西の平経由など市バスから宮交へ移管されたエリアを利用する学生は釈然としないでしょう。泉パークタウン方面は運賃も高く感じ、負担感が大きかったところ、先日、仙台市から宮交バスも利用対象となる「せんだいバスFREE+」が発表されました。

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過去記事

 

価格は月8000円

 既報の通り宮交のみのフリーパスは設定されず、市バスと宮交バスの両方に乗車できて中学生以上は月8000円と思ったより抑え目の金額にしてきました。8千円〜1万円の間と予想していただけに、市バスのみだと5940円なので、プラス2000円で宮交バスにも乗れるというのは、十分に恩恵を感じることができる価格です。

販売価格
有効期間 大人(中学生以上) 小児(小学生以下) 福祉割引
1カ月 8,000円 4,000円 5,600円
3カ月 24,000円 12,000円 16,800円
6ヶ月 48,000円 24,000円 33,600円

 概ね250円区間で定期代が8000円を超えるので、宮交区間だけ乗車する場合でも安くなるだけでなく、市バスにも乗車できることで、実際定期代を負担する親にとってだけでなく、学生にとっても、バス沿線には行き放題で行動範囲が劇的に広がりますし、自転車だと可能性の高い事故も無くなるし、寒い時や暑い時も快適に移動できることから、万々歳でしょう。

新たな学生フリーパス制度の内容
項目 内容
券の名称 せんだいバスFREE+(フリープラス)
券の仕様

学生・生徒・児童が路線バスを乗り放題とする定期乗車券

(IC乗車券イクスカで発行)

対象事業者 宮城交通及び仙台市交通局
対象区間
  • 宮城交通の仙台市に関わる路線(乗車停留所又は下車停留所が仙台市内であれば、乗り放題対象)
  • 市バス全路線
 ※高速バス、観光シティループバス、楽天シャトルバスを除きます
対象者 対象学校等に通学する学生・生徒・児童(一部専門学校等も含む)
 ※仙台市外にお住まいの方も購入が可能です

 特に、宮交区間は300円以上の遠距離区間も多く、仙台駅から宮城学院でも390円、虹ヶ丘の生活文化学園高・大は350円、宮城大学の太白キャンパスは510円、大和キャンパスまでは700円を超えるなど、沿線の高校・大学への通学負担が軽減されるとともに、当然沿線から仙台駅などを経由して地下鉄沿線の学校への利用にも利用可能であり、宮交沿線学生及び親としては助かります。

仙台市外への利用も対象に!

 それに、特筆すべきなのは、仙台市内の区間に限らず、始発着地が市内であれば、周辺市町のバス停まででも使えること。例えば名取市の尚絅学院大までの利用も対象になるし(仙台駅、南仙台駅西口や長町駅、長町南駅からも)、富谷市や大和町の学生が泉中央駅まで乗車する際も利用できるようです。何と大盤振る舞いなことか!最も恩恵を受けるのは、大和町の吉岡から泉中央駅まで利用する学生か。

 なお、気になるのは、市バスのフリーパスにはある地下鉄とのセット割引。

 現在の制度では、市バスのみで5940円で、地下鉄(南北線or東西線)を加えると8300円と2360円追加で乗れますが、今回のせんだいバスFREE+に地下鉄セットというのは発売されないようです。必要であれば、従来の地下鉄のみのパスと、今回のせんだいバスFREE+を両方購入ということになりそう。

項目 内容
イクスカ1枚で発券可能となるもの せんだいバスFREE+と、地下鉄通学定期や宮城交通高速バス通学定期等が1枚で発券可能
 ※仙台市交通局の学都仙台・地下鉄フリーパスやJR通学定期は、組み合わせできません
利用開始時期(予定) 令和6年10月1日

 実際、宮交のパス購入者は追加料金を要する地下鉄乗り継ぎを避けて仙台都心部までバスで行く傾向が強くなるでしょう。特に宮城大学の大和・太白の両キャンパスは。そうなると市交通局にとってもマイナスになるので、追加料金設定で地下鉄にも乗ってもらえる選択肢を設ける方が良いと感じます。

 都心直通便が比較的多く、泉中央駅行きも多く出ている大和キャンパスはともかく、都心直通が限られ長町駅行きが多くを占める太白キャンパスは特に、強制的に地下鉄乗り換えになってしまう。

行政としての宮交バス支援の側面

 色々書いていてふと思ったこととして、仙台市としてバス路線維持のための補助金代わりの施策という面もあるのではと。利用率が低いバス路線にじゃぶじゃぶ補助金を出しても、バス会社にとっては麻薬的なものとなり、乗車率を高めるインセンティブも働かず、行政にとっても補助金垂れ流しになってしまう。

 その点、この学都フリーバスへの宮交追加については、

  • 学生のバス利用促進という面で乗車率も上昇
  • 利用者が増えれば、パス売り上げの分配金で宮交にも収入が入る
  • 仙台市としても単なる赤字補填の補助金垂れ流しにもならず路線維持にも寄与
  • 市地下鉄や市バス沿線と比較し宮交バス沿線が冷遇されているという批判への対応
  • 学生やその親にとっても、通学範囲や交通費負担が小さくなる
  • (自転車やバイクからの代替であれば)交通事故のリスク減少

と、よく考えられた案なのではないでしょうか。

公共交通の利用促進効果

 もちろん、宮交にとって、遠距離利用者から得られていた定期代が上限月8000円のうちの分配金のみにはなるため、利用者が増えても宮交にとって減収にならないような補填金という形になり、劇的な増収にはならないにせよ、若いうちから公共交通を利用する習慣付けがなされ、特に最近は車を持たない or 持っていてもうまく使い分けをしている若手世代が増えているということを職場でも実感しています。車の維持費を嫌ってというか、ほとんど車庫に置きっぱなしにしているのに単純にコスパが悪い、使う時にレンタカーやカーシェアを借りた方が良いと。生活に余裕がないということもあるのでしょうが。

 車の保有自体がステータスという時代は過ぎ去り、目的に応じた用途を購入するか、単に通勤・買い物手段として割り切る(コンパクトカー、軽自動車)と、二極分化しているように感じます。

 我が家も車の購入費(10年乗る仮定)や維持費だけで、ガソリン代を除いても年間50万程度かかるのは必要経費と割り切るしかないと思いながら、改めて考えると高いなぁと思ってしまうし、世の中には複数台所有している家庭も多く、正直すごいなぁと思います。通勤での利用や、子育て世代では突発的な対応での送迎の必要性などで、手放せないケースが多いにせよ、少しでも公共交通が利用の選択肢に入る方が増えて行く方が、社会全体として健全と感じます。

 

 

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2024年1月20日 (土)

激変 泉区の商業環境(その2)間もなく閉店アリオ&泉中央の行方

新年初めての記事となります。

 新年早々、能登半島に大地震と津波という大災害が発生し、それに加えて羽田空港での航空機事故。直接被害を受けている訳でなくとも、色々と気持ちが掻き乱され気持ち的に滅入ってしまいそうになります。今回の能登の震災は、地形的に隔絶した半島という過疎地域で起こったことで、支援も入りづらいという厳しい状況かつ度重なる強い余震が続き、東日本大震災よりも被災範囲は狭いにせよ、ある意味では厳しい状況に置かれている地区も多いように感じます。

 冬の寒さが厳しい北国で発生した大災害。3月に発生した東日本大震災を思い出しますが、避難所の過酷な環境を耐えしのばなければならないうえ、被災した住宅の片付けなど、何重もの苦しみを感じることに。自分にできることは限られますが、募金を含め少しでも力になれればと思います。

 自分事でいろいろとあり中々筆が進まず、2週間越しの記事となります。

1月末で閉店 アリオ仙台泉
 先日泉の蔦屋書店とイオンタウン仙台泉大沢に行った帰りに、泉中央に寄りました。

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 昨年4月にも記事にしていますが、アリオ仙台泉は、1月末閉店に向けて店によってはセールが始まっていました。

泉中央のアリオ 存続なるか? 2023.04.24

 入り口部分には、閉店および感謝を表す掲示がありましたが、間もなく閉店してしまうことに、実感が湧きません。

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食品スーパーのヨーカドーについては、いつものように周近隣の住民、そして周辺の住宅団地の方にとってはバスに乗る前に,買い物ができる非常に使い勝手が良いスーパーとして30年ちょっと当たり前のように存在してきました。

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 仙台一号店として話題になったバーガーキングも閉店で、移転先は泉区とはいえ青葉区との境目のブランチ仙台とのこと。

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 隣のセルバ食彩館もデパ地下風の専門店の集まりで賑わっていますが、あくまでもスーパーのヨーカドーを補完する役割であり、ここだけで用が済むわけではない。なので、早めにグループのヨークベニマルが継承するなど、スーパー機能は再開して欲しいところ。まぁヨークベニマルは泉中央駅周辺だけでも、市名坂、将監、八乙女真美沢、野村、上谷刈とドミナント展開していることから、この立地を継承することに障害はないでしょう。まぁ、他の面白い展開としては、ロピアがヨドバシ第二ビルに続いて出店することがあれば話題性に富むし、集客マグネットとしては効果的だなぁとは思ったりもします。

 博多ヨドバシに出店したロピアも、続いて福岡市周辺に4店舗出店するとの話ですし、物流上飛地出店のデメリットを解消するために、仙台近郊への出店は考慮しているはずなので、根拠がある訳ではないですが、このくらいの話題性のあるテナントが出店すると良いなぁと。

一方上層階は。。。

 専門店が集まる4階。ロフトが閉店セールしていましたが,泉周辺への再出店はないとの話で、仙台は駅前の大型店仙台ロフトとララガーデンの小型店長町ロフトの2店舗体制になるようです。その他のテナントも、タワーレコードもこのCD不況のご時世で再出店するとは思えず、くまざわ書店も、連絡通路で繋がるセルバに八文字屋書店があることから、あえて再出店は考えづらい。

 そもそも、セルバ側も順調という訳ではなく、アリオほどではないにせよ多少空きスペースがあり、全てフロアが埋まっているわけではない。GUの大型店でフロアを埋めていたり。

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 仙台の郊外駅前で唯一と言って良い首都圏郊外のような複数の商業施設が集積するこの泉中央にしても,同じ北部エリアで北環状線沿い、パークタウンの寺岡(タピオ・プレミアムアウトレット),富谷(イオンモール)と泉大沢(イオンタウン・ムサシ・家電店),市名坂(ヨークタウン)や4号バイパス沿い、そして新利府のイオンモールと競争が激しい中で、泉中央のカバーする範囲が徐々に削られてきたこの30年間。

 かつては泉中央エリアに、敵なしと言われたダイエー泉店がありましたが、泉中央のヨーカドー・セルバ、富谷のイオンモールなどの出店で包囲され、2005年に閉店し、その後は西友が出店したもののジリ貧で建物ごと閉鎖となり、その跡地はカインズホームと三井不動産が運営するスポーツ施設のFANTEとなりました。ダイエー別棟時代からのスケートリンクである現アイスリンク仙台はなんとか残っていますが、泉区エリアの新規住宅地開発もパークタウン朝日地区以外は止まり、高齢化が進み購買力も衰えつつある状況のなか、車を使用しない住民の拠り所として、泉区の中心である泉中央の果たすべき役割は大きい。

ダイエー泉店閉鎖へ 2005.02.02

泉ダイエー後は西友に 2005.12.03

 

泉中央はオワコンなの?

 泉中央エリアは、開発が始まってから40年、区画整理エリアの建物概成から20年程度経過し、新たな施設等を呼び込む空き地が限られています。駅西側の飲み屋街にはコインパーキングとして使われている貴重な未建築地は点在していますが、分譲マンションも数年に一棟というペースで、新たな住民層を呼び込むことができず、賃貸住民による入れ替わりはあるにせよ、成長余力のある長町エリアと比較して、泉中央は終わった街という見方もされてます。でも、その見方は一面的で、現在は成長の踊り場ではあるにせよ完成度の高いコンパクトなエリアであり、その点で長町はまだまだ及ばないと思っています。

南の副都心長町雑感 2013.10.01

泉中央にて 2013.09.29

 長町は駅4つ(長町、長町南、長町一丁目、太子堂)を擁している分、長町南駅には区役所とザ・モール、ララガーデン。長町駅エリアにはIKEA、やゼビオアリーナ、ヨークタウン。長町一丁目駅には市立病院。太子堂駅エリアにはヨークと生協、ヤマダデンキと核的な立地施設が分散し一箇所では用が済まず、歩きでの行き来には遠すぎ、バスもあすと長町側は利用し辛く、クルマや自転車での移動を強いられる点が欠点でもあり、一方密度が低く車社会に適した面的な展開となった点は、結果論としては今の社会にマッチしています。

 アリオ4階の空きフロアにて、これまでの泉中央そしてヨーカドー時代からアリオ転換、そして閉店までの写真展を開催していました。

展示物自体は写真撮影禁止とのことで、入り口の案内のみ。

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 田んぼの真ん中にポツンと位置していた旧泉市役所、区画整理が行われグリーンフェア仙台が開催された1989年、そして1992年の地下鉄泉中央駅延伸とヨーカドーオープン、1997年の仙台スタジアムオープン、99年のセルバオープン、2011年の東日本大震災の影響、2013年のアリオ転換によるリニューアル、2015年のセルバテラスオープン、そして今に至る40年以上の泉中央の変遷をじっくり味わうことができました。

 旧泉市が仙台市に合併された際にの合併建設計画に沿って、旧泉市時代からの役所とイズミティ21に加え、地下鉄延伸と駅ビル、図書館・子ども科学館(現在は閉館)、健康増進センター、警察署と公共施設を中心に駅周辺にコンパクトに集積し、そしてベガルタの本拠地となった仙台スタジアム(現ユアテックスタジアム)も整備されたことも泉中央の街にとって象徴的なものでした。

泉中央エリア再整備の芽

 今回のアリオ閉店は、ヨーカドーとしての開店から30年余ですが、30年は一世代に相当し生まれ変わる周期としては適切なタイミングではと。現在、建設から40年以上経過した泉区役所の建て替えと再整備が計画されています。

 計画では区役所の建物は西側に寄せ、泉中央駅とを結ぶ地下通路により直結させ、広場を挟んで東側には金融機関(東北労金)の本店オフィスや賃貸住宅を中心とした内容で三菱地所グループにより提案され、仙台市により採用されました。

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 泉中央の課題となっている分譲マンションの新規供給がなく高齢化が進んでいる点に対し、ここを分譲マンションにするのは一時的な対処療法であり、公共の敷地を活用することから、若い世代を対象とした住民の入れ替わりが行われる賃貸住宅の導入というのは着眼点が良いと感じます。

 また、東北労金の従業員(市の基本計画資料では数百人とあります)が新たに集まることにより、ラッシュとは反対方向の地下鉄南北線利用者にもプラスになりますし、周辺飲食店への昼食需要、そして夜の飲み需要の底上げにもつながります。

 なお、次点はセルバやアリオの大家である住友商事で、シネコンなどを含んだ計画提案だったようですが、落選となっています。

 泉中央といえば住友商事という存在ですが、特定の企業にあまりにも依存するのはリスクでもあり、街の多様性からも、泉パークタウンのデベロッパーである三菱地所の選定というのはバランスが良かったのではと感じます。長町南の市有地借地コンペでも、モールを運営する東特エステートのザ・モールPART3の提案が落選し、現在のララガーデン運営企業の三井不動産が選ばれたということに通じる仙台市のバランス感覚を感じるところ。

 住友商事としても、アリオの撤退から、泉中央駅前の3商業施設の再構築に注力せざるを得ない状況となったこともあり。そもそも区役所敷地に住商がシネコンを提案するのであれば、長年構想があったセルバテラスの場所に導入するべきだったし、ちょっとちぐはぐ感が否めないと感じました。結果的にアリオが撤退し空きビルとなることから商業床としてはセルバテラス分は過剰だったとも言え、結果論ですがちょっともったいない。アリオの上層階をシネコンに改造できればと思いましたが、まぁ構造上無理でしょうし。



 また、セルバ南側の駐車場となっている土地を購入したミヤギテレビは、2030年以降に日ノ出町からの本社移転を予定しており、就業者数はKHBが150人程度だったことを考えるとそれほどは見込めませんが、東北労金と併せて数百人の新たな就業人口の増加となること、そして目の前のペデストリアンデッキを活用したイベントや中継も行われ、泉中央の情報発信がコンスタントに行われることを考えると、このエリアを底上げする有形無形の効果は大きいのではと。

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 さらに、昨年10月末に明らかになった、大衡村第二中核工業団地内への台湾半導体ファウンドリーPSMCとSBIの合弁企業としてJSMCが2027年にも操業開始というスケジュールで進出することとなっています。国からの補助金もどうなるのか未確定で要望中という心配要素もありますが、県もこのチャンスを逃すまいと既定路線として進めている印象です。

・大型半導体工場が仙台近郊進出へ 場所はどこに?(2023.10.28)

 これはトヨタ東日本や東京エレクトロン宮城という進出企業が黒川郡内に立地していることもあり、現在でも泉区役所周辺に集まる送迎バスが一日120便とのことで、この送迎バスを再整備後の区役所敷地内で乗降させようという三菱地所グループからの提案もありますが、JSMCの進出後はこの台数がアップする可能性が高く、台湾からをはじめ、高いスキルを持つ技術者の住居としては、教育水準の高さや仙台駅とのアクセスの良さもあり、まずは泉中央の賃貸住宅が拠点となり、ここからバスで送迎という形になるのではと。

 そうなると、現時点でこそ、学院大泉キャンパスの閉鎖やアリオ閉店、そして周辺住宅地のオールドタウン化(泉区の人口減拡大)というマイナス要素が大きく意識されている状況ですが、このようなプラス要素も数多く存在しています。

セルバ・セルバテラスを含めてた一体化リニューアルを

 今回閉店するアリオについては、専門店ビルセルバとセルバテラスの2館に挟まれた建物であることから、セルバの延長としての専門店ビルとし、2階のペデストリアンデッキや1階の泉中央おへそ広場を介して3つの建物をより一体化したショッピングモールとして再生する方向で活用してもらえればと。ただ、今もですが、冬や夏の厳しい気候の時期、そして雨の日などは、相互の移動が厳しい。セルバと閉店するアリオ間は上層階の通路で結ばれているけれど、セルバテラスとの間はやはり行き来がしづらいのが難点であり、理想を言うとおへそ広場部分を3つの商業施設をつなぐリングとして屋内空間にできればと。ただしデッキ下のおへそ広場は公共空間ではあり、現時点では難しいでしょうが、泉区役所横に区民広場機能が設けられることから、このおへそ広場の機能を移すこともありかなと。

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 3施設合わせて商業床で3万5千㎡と、ザ・モール長町の本館に匹敵する規模の商業施設の集積であり、減少しているとはいえ一日2万人以上の乗降がある泉中央駅前の商業施設であることから、一体化して規模を確保した形での再生が望ましいところ。ただ アリオ(2万㎡)は、セルバとセルバテラスを合わせた床面積(1.5万㎡)よりも大きいことから、それを埋めなくてはならないため再生のハードルは高い。 また、駅前だからといえ地下鉄やバス利用者や周辺住民だけでは成り立つ規模ではなく、ある程度クルマで周辺住宅地からの集客も図る必要がある中で、駐車場の無料時間の設定に工夫が必要かと。現在は1時間無料で、2000円以上の買い物で最大3時間まで無料になります。長く滞在してもらうためには、長町モールのように3時間無料だと安心して買い物できますが、この駅前立地でここまではできない。それにベガルタの試合時に無料駐車場として使われてしまうのはまずい。よって基本的に無料時間を2時間に設定し(ベガルタ試合時は長町ゼビオアリーナ周辺のように特定日として無料時間を1時間に)一体の商業施設として今後周辺の競合商業施設(タピオ、イオンモール等)に対して戦っていくためには、クルマ客のハードルを下げることも必要になってくるのではと。ただでさえ常に渋滞が激しく混雑している泉中央エリアにクルマを集める施策はやりづらいところはあれども、ここまでしないと一体の商業施設としての再生は難しいという印象です。

セルバの駐車料金について

 仙台市として、都市の顔である都心部の活性化は当然必要ではある一方、南北の拠点であり、区の中心である泉中央と長町は、地下鉄で都心と短時間で結ばれており、都市機能を役割分担する意味でバランス良い機能集積と拠点機能の維持が必要です。

 そのため、アリオは閉店となりますが泉中央はここが踏ん張りどころで、ここを乗り切れば仙台の中でまた注目される存在になると思っています。

 

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2023年12月28日 (木)

ゼビオアリーナ仙台 アイスリンクへの改修に向けて(その2)

ゼビオアリーナ仙台 アイスリンクへの改修に向けての続編(その2)です。

前編

2.今回提案のスキームについて

(1)基本協定の概要(仙台市発表資料より引用)

 本市では、アフターコロナにおけるまちの活性化に向けて、地域における多様なスポーツ資源を生かした新たな魅力やにぎわいの創出に取り組んでおり、本年8月には「スポーツ振興を通じたまちの活性化に関する連携協定」をゼビオホールディングス株式会社と締結しました。

 この協定に基づき、ゼビオアリーナ仙台の改修および改修後の施設の寄付について同社から提案を受けたことから、基本協定を締結し、アイスリンク整備に向けた取り組みを進めてまいります。

 ① 協定名

  「ゼビオアリーナ仙台の改修及び管理運営に関する基本協定」

 ② 協定内容

 ゼビオホールディングス株式会社は、ゼビオアリーナ仙台を、30メートル×60メートルサイズの国際規格に適合した通年型のアイスリンクと、屋内競技等に対応したアリーナの併用型施設に改修した後、本市に条件付きで寄付する。

 寄付の条件は、寄付後の施設に係る指定管理をゼビオホールディングスが担うものとし、本市は必要な議決を経た上で指定管理者に指定する。

(2)ゼビオグループとしてのメリット

今回のゼビオグループからの提案は

① 30億円で整備されたゼビオアリーナの施設を、さらにアイスリンク仕様に改修した上で仙台市へ対価付きで寄付

② 仙台市からゼビオグループを指定管理者へ選定してもらい、推定で最大年間3.5億円×20年(最大70億)の指定管理料を得る

 これにより、ゼビオとしても、少なくとも運営費補助で赤字にはならない。

③仙台市への建物固定資産税支払い & UR都市機構への借地料支払いが不要に

 「仙台市広域集客型産業立地促進助成金は」2008年に制定され、ゼビオアリーナ立地が決定した2010年時点で対象となっていましたが、幾度かにわたり条件が変わっているようです。固定資産税の減免期間が複雑ですが、要綱を読む限りでは最大5年間の減免期間と読めます。

 そうすると、既に建物部分の減免期間は終了していることから、現在支払っていると思われる仙台市への建物固定資産税支払いがなくなるというのがメリットの一つ。

 そして、土地については、UR都市機構との定期借地権がまだ7年程度残っているのでしょうが、建物を仙台市に寄付するということは、底地の借地権についても原則仙台市に移転するものと思われます。

 

(3)仙台市としてのメリット

 仙台市では、先日の市議会にて、借地権の引き受けた上で、借地権満了後の土地買取も否定しないという認識を示していました。まだ築12年の建物で、まだ20〜30年程度は使用するでしょうから、約0.8haで路線価で25億と安くはないですが、 借地権終了後に土地を購入してしまった方がランニングコストは低減されるし、仙台市にとってもメリットが。

 土地については、既に区画整理事業の換地処分が終了していることから、都市再生機構(UR) としては仙台市にアリーナ部分の底地は購入して欲しいでしょうね。

 なお、スーパースポーツゼビオやぐりりスポーツパークの部分のうち、ゼビオの店舗部分はゼビオが購入し存続するでしょうが、ぐりりスポーツパーク部分は借地権終了により別の用途で活用される可能性が高いです。長町駅徒歩2分の画地であり、もはや暫定利用を続けられる土地ではない。

 また、同規模・同機能のアイスリンクを建設する場合、約10年前のゼビオアリーナはリーマン後かつ震災直後という時期のためか格安の建設費30億円でしたが、近年の5000人以上収容できるBリーグ向けアリーナの建設費事例は70~80億円規模がザラで、更にアイスリンク兼用となると、土地代を含めて100億は下らない事業費が必要になっています。

 このことを考えると、ゼビオグループに改修費用を出してもらい、指定管理権を対価負担とし運営費が20年間で最大70億といっても、市で建設した場合は建設費に加えてある程度かかるものであるし、土地代を含めても少ない投資で、立派な市営のアイスアリーナを手に入れることができます。

 これは、金メダルを2回も獲得し、世界的なプロスケーターである羽生君が仙台を拠点に生活・活動していることでの有形無形の「フィギュアスケートのメッカ」的なイメージを、今回の「アイスリンク・アリーナ整備」により強化することになるし、泉のアイスリンク仙台への補助を強化してもあくまでも練習場でしかないことから、”仙台市内”にアイスショーが実施できるアリーナという存在は大きい。羽生君の顔を立てることもできるし。

3.今後の施設活用の見通し

 今回のアイスリンク整備のモデルとなった、「フラット八戸」のように、現時点では市民利用向けとしては想定していないようですが、他のイベントでの利用率が低い平日を中心に選手達の練習場所としても活用できるでしょうし、Bリーグ・プレミア参入を目指す89ersホームアリーナとしての活用の障害にはならないし、ライブ利用についても公共施設化で利用料金をリーズナブルに設定できれば、県営のアクセスの悪いセキスイアリーナから、ある程度ライブを奪うことができるかもしれません。そこまでしないと、仙台市が協力する意味がないと思うところで、このメリットが大きいのではと。年間最大3.5億の運営費が仙台市から入るのであれば、ライブを含め、会場使用料の逓減化に寄与するものと思われます。

 課題としては、約1年程度と見込まれる工事期間。

 アイスリンクを含めた複合アリーナ化の工事のためには、早ければ来年度の2024年度から 1年間?使用できない期間が生じます。

① 89ersへの影響

 その間、特にBリーグプレミア参入を目指している89ersは、今シーズンこそほぼ臨場感が売りのこのゼビオアリーナでほぼ全試合を開催し、12試合経過時で平均観客数が優に4000人以上を超え、年間12万人の条件を達成する勢いでいます。

 しかし、工事期間中は市民体育館であるカメイアリーナで開催することとなり、ゼビオアリーナに魅了されたブースターにとっては、物足りなく思うでしょうし、カメイアリーナだったら行かないという方もいるでしょう。収容人員が多いことをメリットとして、企画チケットで動員をかけ、ファン層を広げるという手段を取るという方向性で行くしかないかな。

② ライブが開催できない

 もちろん、その間、ゼビオアリーナでのライブも開催できません。月1~3公演とはいえ、その分はセキスイアリーナかサンプラザなどで開催せざるを得なくなり、このあすと長町の賑わいにも悪影響ではあります。アリーナでのイベントがない分、杜の広場でイベントがコンスタントに開催できれば良いのですが、アリーナ改修工事のために広場の利用制約が最小限に留まって欲しいです。

③ 施設改修のプラスアルファは?

 仙台市として、この施設を最大限に活用していくために、収容人員の拡大も検討しているようです。とはいえ、屋内アリーナであり、箱の中での増席は限定的で、現時点でバスケットボール仕様で最大5000人(+1000人)にしたといっても、今シーズンの89ersの試合では満員御礼で最高でも4500人程度の入りで本当に5千人入るの?という状態であり、収容人員が拡大できる余地があるのかなと思いながらも、市議会の常任委員会で示された方針なので、期待したいところです。

 なお、名称は変更されるのかが気になります。

 ころころと施設名が変わるよりも、なによりも施設名が定着してるため「ゼビオアリーナ仙台」という名称が残る方が良い。施設自体は仙台市所有となりますが、寄付の対価として、ゼビオグループが指定管理を担う件、寄付の経緯から、命名権は引き続きゼビオグループに残るのかなと想像しています。

 現在のイベント情報からすると、入っている予定は4月末の89ersの試合まで。そうすると、5月以降から工事着工に向けた動きが見えてくるのかと。

 早ければ2025年度の再オープンとのことで、ニュー”ゼビアリ仙台”の誕生を心待ちにしています。

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2023年12月21日 (木)

ゼビオアリーナ仙台 アイスリンクへの改修に向けて(その1)

 ブログなどのトップ画像にしており、自分も応援している素晴らしい施設であるあすと長町のゼビオアリーナ仙台。2012年秋のオープンから11年が経過し、いろいろ紆余曲折ありながらも、Bリーグ仙台89ersの本拠地としての活用、ライブ会場としては”神会場”と崇められるような存在感で、必要とされる施設として仙台の貴重な財産となっています。また、杜の広場という太白区を代表するイベントスペースに隣接し、催事前の待機スペースとしての活用や、KHB本社とともにこの広場と一体となった様々なイベントが開催されるなど、仙台市にとっても貴重な空間となっています。

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 先月末飛び込んできた、仙台市とゼビオグル―プからのビッグニュース。これも記事にしようと思いながらも、全貌が見えていなかったところがあったので、静観していましたが、ある程度見えてきたこの段階でまとめてみました。

通年型のスケートリンク ゼビオアリーナ仙台に整備へ(11/28KHB)

 仙台市太白区のゼビオアリーナ仙台に、2025年度にも通年型のアイススケートリンクが整備されることになりました。フィギュアスケートの国際規格に対応することで、国際大会やアイスショーの会場としての活用が期待されます。

 仙台市役所で、郡仙台市長とゼビオホールディングスの諸橋友良代表取締役がスケートリンクの整備に向けた基本協定を結びました。

 スケートリンクはゼビオアリーナ仙台に整備され、縦30メートル横60メートルと宮城県で初めてフィギュアスケートの国際規格に対応した通年型のリンクです。

 氷の上に移動式フロアを置くことで、これまで通りバスケットボールの試合やコンサートなどもできるということです。

 施設はゼビオが改修して仙台市に寄付します。代わりに仙台市は、施設の指定管理者にゼビオを選び指定管理料を支払います。

 仙台市にある通年型のスケートリンクは、泉区のアイスリンク仙台だけで、新たな施設により国際大会での活用に加えスケートの競技環境が充実することへの期待も高まります。

 今回の決定を受け、プロフィギュアスケーターの羽生結弦さんがメッセージを寄せました。

 羽生結弦さん「自分と同じように、この街でフィギュアをやりたいと思う次の世代が1人でも多く生まれることを期待しております」

 郡仙台市長「日本フィギュアスケート発祥の地、仙台。そして五輪で金メダリスト2人を輩出している仙台です。五輪を目指す若いフィギュアスケーターの皆さんにも使っていただけることを期待している」

 仙台市は2024年度に工事を始め、2025年度にスケートリンクの利用を開始したい考えです。


1.至った背景とこれまでのスキームの限界(今回記事:その1)

2.今回提案のスキームについて(次回記事予定:その2

3.今後の施設活用の見通し(次回記事予定:その2

 

 

1.至った背景とこれまでのスキームの限界

 ゼビオアリーナ仙台は、震災により着工が3ヶ月遅れたものの、平成24年10月にオープンしました。名称の通りゼビオグループが建物を整備・運営する形で、建設費30億円により、当時としては日本最先端の多目的アリーナを整備してくれました。

 89ersの専用アリーナ構想は、元々ザ・モール仙台長町横の仙台市有地(旧仙台市音楽堂構想地)の借地利用者公募にあたり、提案者は忘れましたが提案の中に入っていましたが、結果的には三井不動産のララガーデン長町が採択されました。その当時は、専用アリーナだけで収益を上げるのは厳しいでしょと思っていましたが、ゼビオグループが事業主体として協力し、複合型施設としてあすと長町にて事業化されることになりました。

 ゼビオアリーナの客席はアイスショーなどでは固定席2800席、バスケなどでは張出可動席を含め当初4000席(現在は最大5000席)、ライブの際は、アリーナ部分を含め最大6000人収容でき、上部の四面大画面ビジョンや外周のリボンビジョンによる演出など、様々な用途に活用できるアリーナです。

 コロナ禍でイベントが激減した際には、仙台市のワクチン接種会場としても利用されたほか、大学の卒業式、就職セミナーなどの利用も多いです。

 ゼビオグループは、杜の広場を取り囲む南側の街区を、 このアリーナだけでなく本業のスーパースポーツゼビオの旗艦店、SRCタカミヤと連携してフットサルやバスケ、テニスのドーム+テナント商業施設を加えたスポーツタウン(現 KHBぐりりスポーツパーク)として一体整備しました。

 土地は、区画整理事業の事業主体であるUR都市機構の保留地であり、当初は土地購入を前提に交渉していましたが、長町駅前の14街区(現歯科医院)、13街区(現パークタワー、ヤナセ等)、16街区(現IKEA)の分譲を行った国鉄清算事業本部の公募への応札が不調だったことから、ゼビオ側が初期投資軽減のためか、土地購入から20年の定期借地権への切り替えを交渉し、認められたと記憶しています。

 スポーツパーク部分は20年定借は妥当とはいえ、少なくともアリーナ部分は20年で取り壊して土地返却は現実的ではないので、この点は不安に感じていました。

 仙台市では、集客施設に対する支援制度を立ち上げ、仙台駅東口のアンパンマンミュージアムと並び建物部分の固定資産税減免支援対象としていましたが、土地の毎年の賃料、そして初期投資30億円分の回収とを想定すると、施設使用料は他の公営体育館と比較すると当然ながら高額です。

(1)89ers本拠地活用の誤算

 ゼビオアリーナ有限責任事業組合を設立し施設運営を行なっていますが、当初から大前提だった89ersの本拠地化に向けての利用料協議が整わず、初年度から89ersが青葉体育館を中心に利用せざるを得ないという状況に陥ってしまいました。

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 その後、B1参入を果たした際にも、ホームアリーナの収容人員が5000人以上とされたことから、最大約4,000人収容に留まるゼビオアリーナ本拠地化が叶わず、5700人収容の仙台市体育館をホームアリーナとして活用せざるを得なかったところ、B2だった2018シーズンは仙台市体育館の工事もありゼビオアリーナの試合数が6割の18試合とし、2019シーズンからは、本拠地要件の8割をほぼ満たす22試合を開催することとなりました。

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 それも、ゴール裏の仮設席1000席増席により、バスケ開催時の収容人員を5000人と増やすことで、B1のホームアリーナ条件を満たす前提とし、昨シーズンからは集客が見込める試合で仮設席の設置を開始し、今シーズンはゼビオアリーナ開催の全試合で仮設席を設置し、全試合満員御礼で最大4500人で全試合4000人以上の集客を図るなど、新B1への参入条件の今シーズン12万人集客クリアに向けて順調なスタートを切っており、本日までの10試合全て満員御礼と、バスケットでの活用については、ようやく軌道に乗ってきた感があります。

(2)ライブ会場としての誤算

 ライブ会場としては、上述のように、全国のアリーナツアーに組み込まれる際に、他県のアリーナは基本的に1万人以上収容のところが多いところ、最大でスタンディングでも6千人収容でコンパクトで立体的な造りであることから、アリーナ席はもちろん、後ろのスタンド席でもステージが近く、神会場として人気が高いアリーナとなっています。一方、その収容人員の少なさからチケットが取りづらいという欠点もあります。

 このあすと長町に立地していることから、遠方の新幹線や仙台空港経由の参加者は、JRや空港アクセス線を利用してJR長町駅から、そして市内の地下鉄沿線の方は南北線長町駅からともに徒歩5分。

 よって、仙台駅からは会場まで電車と徒歩で15分以内で、運賃も地下鉄でも250円。JRだと約190円と格安(そもそも新幹線経由だと概ね市内駅扱いなので途中下車しなければ追加料金ゼロ)。仙台駅からタクシーで乗りつける方々も見かけますが、それでもせいぜい1500円程度と、アクセスの良さは随一。

 そしてJR長町駅には高架下商業施設のtekute長町、そしてアリーナへの通り道には飲食店などが並ぶプロムナードで結ばれています。

 ゼビオアリーナ目の前の杜の広場は、列整理で使用できる広々とした空間である他、物販用のテントが立ち並び、ライブの度にちょっとしたお祭りの雰囲気です。

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とはいえ、オープン直後から気になっていましたのは、稼働率の低さ。特にライブは月に2〜3公演(2days含む)行うことがある一方、数ヶ月公演がないこともあり、歯痒く思っています。というのも収容人員についてはスタンディングの場合センターステージでも最大6000人で、あの利府のセキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ体育館)の最大7000人とそれほど変わらないと言っても、2daysだと2000人以上の差が。

 更に、通常の北側ステージ配置では、アリーナスタンディングで5500人、アリーナ椅子席で4500人程度とのことで、収容人員的にハンディはあります。

 あと、民営施設故の会場使用料の差が大きく、ゼビオアリーナは12時間基本料金が200万円以上で、それに設営・準備時間は半額とはいえ、2daysではそれなりにかかる。一方、セキスイは県立体育館ということもあり、本番時の基本料金は約20万円/時 で、設営・準備時間は半額なので、うまく組み合わせると2daysでもゼビオアリーナの半額程度で借りれそうで(付帯設備や光熱水費を除く)、使用料でもハンディがあります。

 加えて、シャトルバスの収入が大きいのではと。利府駅からの路線バスやタクシー、クルマでの来場者を除き半数がシャトルバスで来場すると仮定し3000円/往復・人とすると、3500人×2日×3000円=2100万円の収入。バスの貸切料金は5~8万円で2daysで70台×2=140台(50人乗り)とすると、せいぜい1千万円前後。プレイガイドへの手数料等を除外しても数百万円以上の収入がイベント主催者側に入ることも。

 ゼビオアリーナはアクセスの良さ故、ぼったくりシャトルバスの利用が不要なのは参戦者にとって嬉しいところ。無駄なシャトルバスやタクシー代、宿泊せずに新幹線で帰ることができれば、その浮いた費用を別の観光や飲食、お土産に費やすこともできる。何よりも行き帰りの時間が読めないストレスがなく、仙台駅前でアフターライブの余韻を楽しむこともできる。

 一方、イベント主催者からすると、収入はライブの入場料収入と物販のみ。会場使用料の高さ、入場者数が千人単位で少ない分の入場料収入のマイナス。そしてバスで仙台駅から1時間という最悪のアクセスを逆手に取ったシャトルバス収入の誘惑を考えると、ついついセキスイを活用してしまうのも分からない訳でもない。

 もちろん、セキスイハイムスーパーアリーナの主催者側としての大きな欠点は、その最悪のアクセスが故に、入場者数が読めず、ガラガラのライブが定期的に生じてしまうリスク。

 「立地条件はともかく、とにかく見に行きたい」という意欲を持つ所得の高い首都圏からの参戦者からすると、地方都市公演の中でもチケットが取りやすい面があり、夜の公演後に新幹線に間に合わない立地条件から、宿泊を含めた経済効果は大きい反面、地元民は悪評を知っているだけに行くのに躊躇してしまうというところが。

 以前、perfumeの金曜日開催のライブが収容率32%のガラガラぶりがX(旧Twitter)で拡散され、セキスイでのライブ開催は週末でないと厳しいという主催者サイドの声も聞こえてきたりしました。

 コロナ禍ではありましたが、ベテラン有名グループのライブがガラガラなのでタダ券を希望者に大々的に配った例も(自分はあの会場にはタダでも行きたくないので希望せず)。公演主催者としても、アーチスト本人としても、ガラガラでなくともチケット販売に苦労するようなライブは避けたいはずで、セキスイが多いにしてもゼビオアリーナでも試行的に開催したアーチスト(B‘zなど)もありますが、チケット売れ残りの心配のない旧ジャニや大御所(MISIA、サザン、ミスチル、福山、小田和正など)はセキスイを選ぶ傾向が多々あります。

(3)アイスショー会場としての活用も

 現在の施設でも、これまで羽生君のアイスショーが2014年に開催されている他、今年の6月には浅田真央のショーも開催されるなど、準備さえすればアイスリンクとしての活用も可能ではありますが、当然ながら特設リンクとなり、コストは通常のライブやスポーツ催事利用と比べても高いはず。

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 また、公式の60m×30mのリンクサイズで2800席で、収容人員は多くはありません。ただ、羽生君のアイスショーを開催した時は小さめのリンクにしたため、1階の可動席も使い、バスケットと同様の4000人収容だったようです。

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その2に続きます。
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2023年12月13日 (水)

続々と再開発のニュースが(その2)仙台第一生命ビル建て替え決定


仙台三越や一番町買い物公園方面から市役所や市民広場方面に鎮座する、建て替えが決まった仙台第一生命ビル。

定禅寺通の“黒ビル”建て替えへ 仙台市が連携協定締結(NHK仙台12/4)

半世紀あまりにわたり、「黒ビル」の愛称で親しまれている仙台市中心部の「仙台第一生命ビル」が老朽化によって建て替えられることになり、市は、周辺の再整備にあわせてまちづくりを進めるため、ビルを所有する会社と協定を結びました。

「黒ビル」の愛称で親しまれている「仙台第一生命ビル」は仙台市青葉区の定禅寺通に面した地上10階、地下1階のビルで、黒い外壁が特徴です。
1970年に建てられて老朽化が進んだため、建て替えられることになりました。
隣接する市役所の建て替えや勾当台公園の再整備などがすでに計画されていることから、仙台市は、周辺で一体的にまちづくりをすることでにぎわいを生み出そうと、ビルを所有する第一生命と連携協定を結びました。
第一生命によりますと、新しいビルは地上13階、地下1階建てで、外壁は、今とは一変して白が基調となり、高さは5メートルほど高くなっておよそ60メートルになります。
1階と2階には飲食店などが入るほか、2階にはテラスも設けて地域の人たちが交流できるスペースを作り、3階以上はオフィスになるということで、完成は市役所の新しい本庁舎と同じ2028年度を目指しています。
郡市長は「このエリアは50年から100年に1度の大きな変化の時期にある。『仙台第一生命ビル』建て替えが加わり、周辺一体のにぎわいは一層大きくなる」と話していました。
また、第一生命の隅野俊亮社長は「完成後のまちの姿を想像して、わくわくしている。しっかりと役割を果たして地域活性化に取り組みたい」と話していました。



 現建物は黒色で10階建ての存在感があり、建物の色から通称“黒ビル“と呼ばれていると報道では伝えられていますが、そんなにメジャーな呼び方だったかなぁと。

 当然街に溶け込むような存在で昔から認識していましたが、自分は4年位前に河北新報が『市議会議員や市民から“邪魔だ“と言われている』という論調で一面に取り上げた際に初めて“黒ビル“と呼ばれていることを知りました。

 その時は、確かに移転すればスッキリするかもしれないけれど、昔から位置している街に貢献しているビルに、邪魔とか移転しろという論調もどうかなと思っており、仙台市当局も第一生命ビル側も困ったようなコメントをしていた覚えがあります。

 自分は子供の頃だったのであまり覚えていませんが、そもそも東二番丁通と勾当台通はクランク状になっており、それを地下鉄南北線工事に合わせて現在のように直線化されました。よって、以前はこの仙台第一生命ビルは定禅寺通りと旧勾当台通の交差点角に存在しており、道路と公園の付け替えで市民広場に囲まれたような今の状態となった経緯からすると、第一生命側としたら、「何を好き勝手に」と怒っても良いところ、仙台市の粘り強い働きかけで、定禅寺通の賑わいづくりに協力的な第一生命が協力し、市道部分の付け替えを伴うビル建替えと、1〜2階部分が市民利用可能な施設配置になるようです。

 生命保険会社は不動産を含めた資産運用が生命線であり、自社オフィス分もあるものの、このテナントビルの建て替えが、今後にわたり収益を生むという判断がなされなければ、あえて再投資はされないはず。車線減少と歩行空間の拡充などヒト中心の空間づくりが予定されている定禅寺通沿い、そして建て替えられる市役所と再整備される勾当台公園という周辺環境の魅力UPが評価されたということだし、また、市のせんだい都心再構築プロジェクトでの固定資産税減免や建て替え期間中の賃料補助などの支援策も功を奏したのでしょう。

 現在は仙台パークビルが市民広場を望むような良好な立地条件ですが、それに加えてこの仙台第一生命ビルと新市役所が市民広場を取り囲み、一体の雰囲気はガラッと変化します。

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公式発表プレス

 https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2023_041.pdf

2階テラスの魅力

 これがこの再開発の目玉的な魅力と感じます。

 緑豊かな定禅寺通、勾当台公園を一望することができるとともに、春から秋にかけて日常的にさまざまなイベントがひっきりなしに実施されている市民広場を見下ろすことができる、この2階デッキ。

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 これまでは、単なるオフィスビルなので当然ですが市民が入れないビルであり、市民広場と定禅寺通を遮断するような存在にもなっていたことに対し、2階のテラス部分に加え、1階も通り抜けできる自由通路を設けるとのことですし、ともに飲食店を配置するということであれば、市民広場や定禅寺通と一体化して親しみやすいビルになりますね。現在は市民広場にハミングバードが経営している「route227」がオープンカフェも併設し広場に溶け込んだ魅力的なレストランとして存在感を発揮していますが、このような飲食店が複数入居するようなイメージになるのでしょう。

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 恥ずかしながら、つなぎ横丁という名称は今年の11月に実施されていたイベントに絡み、初めて聴きましたが、ここは勾当台公園地下駐車場につながっている市道ながらも、ほぼ市民広場で行き止まりのような性格なので、歩行者専用空間になるといいなぁと思っていました。

 この市道も拡幅され、通年歩行者専用にはならないにせよ、ビル側の歩道部分が5m拡幅されるとのことで、市民広場側と定禅寺通を繋ぐ存在感が高まりそうです。

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 階高が5m増えるのに対し、これまでの10階建てから13階建てと3フロアも増えるのは、ワンフロアの高さが低くなり、延べ床面積を確保する形に。特に1〜2階の市民利用部分の飲食店の階高を抑えることになるのかと。そうするとオフィス部分はそれほど増やさないようですが、新規需要を誘発しやすい交通の要衝の仙台駅前とは異なり、勾当台公園駅周辺は地元向けの企業が中心であることから、容積率UPされるにしてもあまり冒険はしないようで、敷地面積が元々広くないので、これが最大限ということなのかもしれませんが、現実的な計画と感じます。

 そして、この建て替えで、一時的に他のテナントビルに仮移転需要が発生することも、プラスの話ではと。ところてん式に他のビルの建て替えにつながっていけばと。

 なお、ビルには地下1階も設置されるとのことですが、勾当台公園駅コンコースの深さ(地下3階相当)ということもあり、レベル差が大きく新市役所のように地下鉄直結とはならないようです。まぁ、公園2口がビル目の前に設置されており、5m程度ビル位置が東側に移動するとのことなので、1階レベルでこれまでよりも地下鉄出入口が近くなり、ほぼ直結と言って良いような立地条件にはなります。

2028年度には勾当台エリアが大変身!

 完成は2028年度と新市役所と同時期となり、勾当台公園の再整備や定禅寺通の歩行空間拡大と併せて、このエリアのイメージが大変化することとなり、楽しみです。

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2023年12月12日 (火)

続々と再開発のニュースが(その1)オリックス再開発始動か?

最近、続々と再開発絡みを含めて、良いニュースが続いています。

まずは、仙台駅前の仙台ホテル跡暫定利用商業施設のEDENが来年1月末に閉鎖されるというニュース。発表から半月以上経ちましたが、記録として整理します。

EDEN2024年1月にも閉店へ 

 JR仙台駅西口の商業施設EDENについて、運営会社が2024年1月にもテナント契約を終える方向で店側と交渉していることが分かりました。テナント契約終了後は閉店するとみられ、仙台駅西口の再開発が進んでいく可能性があります。

 21日、仙台市の郡市長が定例会見で明らかにしました。郡市長は、閉店後の計画については「決まっていない」と聞いたとし、次のように述べました。
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2023年12月 5日 (火)

イオンモール仙台雨宮 ようやく始動

東北大学農学部跡地に進出が予定されていたイオンモール仙台雨宮(仮称)。2013年に東北大から跡地を220億円で購入することが決定し、2019年に引き渡しを受けながらも、コロナなどを理由にして野晒しの状況でした。その間にイオンモールの進出を売りに分譲された敷地北側マンション部分の野村不動産、住友不動産の2棟が先行し、すでに約400世帯が生活を始めており、さらに西側の仙台厚生病院も来年5月には広瀬町から移転することとなります。この件にについては、過去にも記事にしているので、そちらも参照下さい。

過去記事


急がないイオングループ

 このように、イオンが絡む土地取得については、住友不動産とイオンタウンが組んだあすと長町も同様に、マンション部分入居開始後5年以上経つのに野晒し(月極駐車場)ですが、イオングループはすでに仙台圏の主要な立地を抑えており、新たなライバルも三井不動産のららぽーと位であることから、新規出店については決して急ぐことがなく、グループ内で優先順位をつけながら進めている印象です。よって、土地取得後に10年も放置というのも珍しくなく、新利府の案件も県の都市計画審議会で扱われてからオープンまで5年以上。卸町だけは例外的にスピーディーなオープンでしたが、その後は名取増床→新利府南館→雨宮→あすと長町 の順番なのでしょう。

 雨宮もようやく着工という状況で、あすと長町は当分先になるのか。

 イオングループの中でも会社は異なるとはいえ、入るテナントのことを考えると近年は無茶はしない。一時期はイオンモール富谷とイオンタウン泉大沢のように、直線1kmでバッティングするような大型SCの出店をして、ともに勢いを失っている状況。これに懲りて、近距離でバッティングするよりは、隣接させてスケールメリットを発揮させた方がと、新利府のアイディアに繋がったのか。

“ミニ“イオンモール 

 先日、大店立地法の説明会に参加しましたが、着工時期も早くて来春、オープン時期は決まっていないとのことで、正直肩透かしでした。立地法の説明会って、もう少し、専門店の構成や建物平面図、イメージパースなどが示されると思っていたので。

 説明会に参加された方の中で、周辺町内会などの方が当然ながら多く、発言もされていました。大規模SCへの期待感というよりは、幹線道路の渋滞だけでなく、下記丁などの生活道路への車の流入を心配する声など、農学部の良好な自然環境が失われたことに対する不満と心配が大きく感じられました。

 仮に2万平米程度の、この売場面積であれば、都心部と共存でき、かつ都心部を補完するワンストップショッピングができる丁度良い規模で、周辺の近年分譲された約750戸のマンション群の住人の期待に応えることができる規模ではと。ここに競争力のある大型モールが出店してしまえば、北方面からの都心部に入る需要を手前で根こそぎ奪ってしまい、中心市街地の息の根を止めてしまいかねず、これから計画されている都心部の再開発にも致命的な悪影響を与えてしまう。

 せめて、札幌や福岡並の都心部の商業集積が既にあれば、都心周辺部の巨大なSC(福岡はららぽーと、札幌はアリオやサッポロファクトリー)があっても共存できていますが、それぞれ百貨店や専門店街・シネコンを含む中心駅ビルが巨大SCとして競争力を保っているから故。仙台の場合はエスパルはあくまでも専門店街で単独での競争力はそれほど強くない。より競争力の強い大規模SCが都心部にできるに越したことはないけれど、期待できるのは藤崎を中心とする大町再開発まで待たなければという状況。実現性は半々でしょうが。

大規模病院とマンション群

 都心隣接の大規模再開発ということで、目玉となるのはイオンモールと並んで仙台厚生病院となりました。循環器、呼吸器、消化器の3分野に特化した上ガン治療に強みを持つ、宮城県だけでない存在感を持つ病院です。

今の立地はバス停も目の前で本数も多く、大学病院も近接し、悪い立地条件ではないにしても、10年ほど前の地元大学と組んだ医学部新設の競争に敗れ、方向性が迷走した印象。建物はまだ使えそうながらも、移転を前提にオリックスに土地・建物を売却していました。最近その土地建物をニトリホールディングスが取得したと話題になっています。

 新たな立地は地下鉄南北線北四番丁駅から徒歩5分圏で、北六番丁通を経由するバスも目の前に停まり、勾当台通と愛宕上杉通に挟まれる立地条件が従来と比べて格段にアップします。

 農学部キャンパスの自然環境が失われたのは残念ではありますが、全体のイメージが見えてきた今、それほど悪くはない開発に思えてきました。

 先んじて、勝山館跡地のヨークベニマルがオープンしていますが、来年の5月に仙台厚生病院が移転開院し、同時期に工事が始まるイオンモールがR7年中にオープンすることで、この近辺の魅力がアップし、仙台にとってプラスになる開発になると思います。

 

 

 

 

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2023年10月28日 (土)

大型半導体工場が仙台近郊進出へ 場所はどこに?

 昨日の午後から、界隈はこのニュースで持ち切りになっていますが、宮城県内へ大型半導体工場が進出とのこと。

 第二地方銀行の連携を推進するSBIホールディングスが資金源となり、台湾では3位の力晶(PSMC)と組んでとのことですが、突然のニュースで驚いています。

台湾半導体、宮城に工場建設へ SBIと、地銀の資金調達

台湾の半導体受託生産大手の力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスが共同で、半導体工場を宮城県に建設する方針を固めたことが27日、分かった。事業規模は8千億~9千億円とみられる。SBIが「第4のメガバンク構想」を掲げて提携してきた地方銀行からの資金調達を検討する。

 PSMCは半導体の受注生産に特化した世界有数の企業だ。両社は日本国内に工場を新設すると7月に表明。全国25カ所を候補地とし、現地視察などを通して絞り込みを進めていた。

 PSMCと同業の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は熊本県菊陽町に第1工場を建設中で、同県内に第2工場の建設も検討している

(10/27共同通信)。

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TSMCで先鞭をつけた熊本

 国内では、コロナ禍でのパワー半導体不足による製造業への多大な影響が生じたこと、また台湾有事を見越して、熊本県の熊本市郊外である菊陽町へTSMCを誘致し立て続けに2棟の巨大工場を進出させることで、熊本は菊陽町の周辺自治体を含めて従業員の住居や関連工場の用地確保に向けた争奪戦が起こり、土地価格の2桁上昇が当たり前という局地的な土地バブルが生じています。

 経産省が支援するのであれば、熊本だけでなく国内でのリスクやチャンス分散も図って欲しいと思っていながら、同じ会社であれば近接した場所での操業が効率的なのでしょうが、熊本だけに兆単位の支援は不公平だなぁと感じていました。

 もちろん、かつて”シリコンロード”と言われた東北に対し、九州は”シリコンアイランド”として、半導体工場が多く立地していたという背景があり、今回の菊陽町のTSMCの建設地に隣接して、ユーザーとなるソニーの半導体工場が立地しているということ、地下水などの水源が豊富であること、そして原発が稼働し、電気料金も安定していることなど、誘致にあたってのメリットが大きいところがあります。

 また、現在は長く続く少子化により、若年層の労働力人口が激減しており、昔の企業誘致感覚で数多いる”労働力”を地元に留まらせるというよりは、一定の”技術者”を集めてこなければならず、、何もない田舎に集めてくることは厳しい状況。

 なので、街中も元気で都市的な要素が残っている熊本市は70万人といえども政令指定都市であり、菊陽町はその熊本市の近郊で九州新幹線熊本駅から接続する豊肥本線で30分ほどの人口4万人を超えるベッドタウンの街。菊陽町は羽田、そして台北とを結ぶ「阿蘇くまもと空港」に近接し、九州道や八代港という高速交通インフラも比較的近く、地元だけでなく、熊本市や他都市からも技術者を呼んできやすい、そして家族で生活するのにも支障がない都市機能を持っています。

全国に半導体工場進出が拡大

 TSMCの第2期も熊本と、不公平感を感じていたところでしたが、従来から立地していた東広島市の米半導体大手マイクロンへの経産省の支援に続き、オールジャパンでの国策会社ラピタスが北海道千歳市への進出が約半年前の2月末に決まりました。

 千歳も、熊本と条件が似ているところがあり、200万都市札幌から30分圏で通勤も可能、当然ながら国内だけでなく、国際線も多数就航する北日本最大の新千歳空港に近接、苫小牧港も車で30分、道央道ICも近く。そして水資源も豊富、なにより広大な土地が格安で拡張の余地が大きいというメリットも。電気についても東北電力や東京電力管内よりは余裕があり(非常時の本州からの融通が難しいのがデメリットですが)。

 このラピダスの進出先選定の際に宮城県内も候補に残っていたとのことで、残念に思っていたところでしたが、結果的に、今回のSBIと力晶(PSMC)のコラボでの大規模半導体工場の立地として選定されたため、熊本県、広島県、北海道、そして宮城県と、結果的に中核地方都市を擁する4地方にバランスよく立地させ、経産省の支援を受けることになり、良かったと思っています。

 なお、”札仙広福”の中で「福岡」の代わりに「熊本」という構図となりましたが、福岡はもともと水資源がネックで、工業は北九州に任せ商業都市に特化した経緯もあり、九州の中のバランスを考えてもベストだったのでは。

 仙台近郊の強みとしては、研究開発と人材供給の面で東北大の存在が一番ながらも、世界的な半導体製造設備メーカーのグループである「東京エレクトロン宮城」も大きいでしょうね。また、女川原発の再稼働に目途がつき、少なくとも操業時には管内の電力事情が安定しているという目算も。

仙台近郊のどこに?

 今回のファクターとして、報道では「仙台市近辺の工業団地などが候補地」とあり、さらに「仙台」ではなく「宮城」に進出とあるので、仙台市外であることは確実です。

 本来、求められる要素としては、熊本の菊陽町や東広島市、千歳市の立地のように、都市近郊の鉄道沿線が望ましい(東広島市は市内に新幹線駅と在来線駅がありながら工業団地は多少駅から離れていますが)ところで、県内の工業団地の分布については、16年前のセントラル自動車(現 トヨタ自動車東日本)の誘致決定時とほとんど変わっていないのが残念なところ。よっぽど、キオクシア(旧 東芝メモリ)が巨大工場を建設している隣県北上市の方が母都市の生活環境が良いというのが。

  過去記事: 産業振興(セントラル自動車誘致他 (2007.10.11)

立地場所として理想は、

  • 母都市の生活機能が充実
  • 大都市(仙台)からの通勤も可能
  • 空港近く
  • 高速道路近く
  • 港が近く

 

 となると、熊本県菊陽町も千歳市も空港の近くなので、それに類するJR東北本線館腰駅周辺の名取市から岩沼市にかけての一帯が立地場所としては全ての要素を満たす最高の立地となります。

 ただ、既存の仙台空港南の工業団地に空きがなく、これから迅速な拡張は周りが農地とはいえ農振農用地の解除と地盤沈下対策、アクセス道路の整備などを考えると、2026年には到底間に合わない。そもそもJR東北本線の東側であれば津波浸水地域であり、それをどう評価するか。

 立地場所を抜きにして、工場自体に求められる要素は、

1 2026年に稼働可能

2 一般的に20ha以上の敷地が必要

3 第二期の拡張も視野

4 東京エレクトロン宮城に近い方が望ましい

 

との必要とされる要素から、現実的な候補地は限られています。

 

【対抗】 愛島台<1◎、2〇、3△、4△>

 名取市であれば、空いているのは、愛島台(愛島西部第2期)で20ha程度はありますが、第二期を見越すと新たな造成が必要で土地に余裕はありません。それにどん詰まりの一時期は開発が放棄された住宅団地に、1000名以上?の通勤者が生じることを考えると厳しい面はあります。

 ただし仙台方面からのクルマ以外での通勤者の足としては、JR館腰駅まで20分程度でそこから送迎バスを設定すれば20分と及第点。

 なにより、アクセス道路は高規格で、空港にもインターにも時間距離は近いという面が。あと水の確保がネックでもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Medeshima

 

【本命】第二仙台北部中核工業団地<1◎、2〇、3△、4〇>

 トヨタ自動車東日本大衡工場のすぐ近くで、東北道大衡ICにも程近いこの松の平3丁目の区画は20ha以上はありそうです。説明文にも令和7年4月分譲開始に向けて造成中とのことで、ユーザーになり得るトヨタ東日本の各工場にも程近くです。

     (12/13追記)結果的に決まったのはトヨタ東日本本社工場南側の中央平の敷地でした。分譲ガイドの区画図から敷地はもっと狭いとみていましたが17haとのことで、区画道路の廃止や隣接地を含め最大限使える土地をかき集めたのか。想定していた20haは満たしていないですが、スピード感優先で、より広い松の平は造成中なので造成済の中央平を使うことにしたようですね。

 最も大きいのは、供給能力に余裕がある県の工業用水が団地内に整備され、既に配管が来ていること。あと東京エレクトロンも同じ黒川郡内で、クルマで30分と遠くはないということ。なお、仙台空港や仙台港には多少距離があるといっても、高速道路(東北道ー北部道路ー東部道路)で一直線で結ばれており、それほどネックにはならなそうです。

 生活環境については、トヨタ東日本も受け入れた実績があるし、大衡村には何もないとはいえ、富谷市・大和町には一定の郊外型商業施設・住宅団地があり、クルマがあれば普通に生活は可能です。ただ、仙台市方面からの通勤は泉区からが限界であり、トヨタ系に加えての大規模半導体工場立地となると、追加の交通渋滞対策が必要となる点がやはり気になります。現在でも、ラッシュ時には双方向の激しい渋滞が発生していますし、

 そうなると、これも以前から主張していることですが、隣接する東北道大衡ICに高速バス停留所を設けて、そこからマイクロバスなどで各工業団地の企業にフィーダー輸送ができないものかと。既に通過している古川・栗原・登米市方面の高速バスを停車させるだけだし、特に宮交の古川線は北隣の三本木で客扱いしているので、小さい投資で利便性が確保されることになるのではと。

 北部工業団地のIC設置構想 (結果的にETC専用ICではなくフルICとして整備されました)

 現在でも大衡村役場までは平日10往復の高速バスが発着していますが、通勤には使えない時間帯の運行である一方、東北道の北行きバスは既に古川や栗原、登米市方面への通勤用で仙台朝7時頃発の便が設定されているので、このような交通対策が講じられると良いのかなとは思うところ。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Hokubu

 

【穴】松島イノベーションヒルズ<1〇、2◎、3△、4△>

 面積が27haと意外にあります。三陸道の松島大郷や松島北ICからすぐで、仙台港や仙台空港へも高速道路で20~30分圏、そして、JR東北本線の愛宕駅から1kmと、比較的広域からの通勤が可能である立地です。ただ母都市である松島町は観光都市で、ベッドタウンとしての生活機能が弱いところがあり、その点大崎市鹿島台や塩釜市、利府町など周辺都市に依存することになります。

 また現在でも利府街道や国道45号など一般道の整備水準が弱いことから、インフラ面で不安はあります。

 そもそも、造成が間に合うのかと思って居ましたが、一応説明文には令和6年供用開始を目指しとあるので、現在進行形で進んでいるのかもしれません。

 沈滞気味の松島町や塩釜市、鹿島台方面への東北本線沿いへ好影響が想定され、また仙台市内からの鉄道通勤も可能な距離であることから、人材確保にはプラスと考えられます。県のバランス良い発展のためには、黒川地区に誘致企業を集積させるのではなく、開発規制が強すぎてこれまで産業面で日の当たらなかったこの地区を推しています。なお、松島北IC付近には東京エレクトロン系列の事業所が大和のテクノヒルズ進出以前から存在していることも、あり得ないことではないと思った理由でもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Matsushima

 

【番外編】成田二期北(富谷市)

 最初、100ha以上あり拡張し放題のここが本命では?と思いながらも、調べてみると、区画整理でまだ環境アセス中。造成はこれからだし、南は北部道路、西は東北道に面し、幹線道路から全てこれから整備となると、10年後だったらともかく、ここは無理と感じました。とはいえ、工場拡張の際に土地がなければ、第二期開発には間に合うかもしれません。

 その他、東京エレクトロン宮城が立地する大和町のテクノヒルズも土地があれば大本命になるところ、既に空き区画は東京エレクトロン宮城が抑えており全て完売済であることから、ここもないだろうなと(拡張用地として東エレ取得済の土地を譲渡することはないでしょうし、そもそも11haしかない)。

 仙台圏以外で、高速交通網が整備されているところであれば、白石市にも新IC近接で造成中の「仙台南部工業団地」もあるし、母都市となる白石市への好影響もあり、仙台からの通勤も可能と、良い立地ではありますが、「仙台近郊の工業団地」という表現から、厳しいかなとは思いました。

 

やはり、第二仙台北部中核工業団地か?

 なにより、造成済でトヨタと近接、東京エレクトロン宮城とも遠くない、そして県の工業用水がふんだんに使えるという要素が大きいかと思いました。全国の25か所から選定されたということであれば、ここが一番強みを持つことも納得できます。正式な発表を待つこととします。

 

(あとがき)

 なお、先日の県議選の争点でもあった、村井知事が進める富谷への病院移転の背景として、この巨大工場誘致もあるかもしれません。黒川エリアに総合病院を誘致し、黒川エリア一帯の生活環境を底上げし、居住エリアとしてのイメージアップを図るという理由で。

 先日の村井知事と郡市長との論争を聞いて、

「鉄道沿線外でクルマ依存型のこのエリアに大病院を整備しても患者も医師・スタッフが集まらず、そして将来的な高齢化と人口減は否めず、仙台ではなく富谷に移転した方が将来的に病院の経営が行き詰るのでは」

と感じたところでしたが、黒川エリアへのさらなる企業誘致で人口増をもくろんでいるのかもしれません。まぁ、移転先の市長と既に話がついているような移転の進め方については違和感を拭えませんが、移転する法人(病院)の判断もあり、ここまで反対運動が広がるとどうなるのでしょうね。

※ 細部の表現を修正、及び一部加筆しました(10/29)

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2023年9月12日 (火)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その2(開業の効果と課題)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その1の続きです。

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ライトラインの課題

 開業後、多くのYouTuberが動画をUPしているため、行かずとも現地の雰囲気を味わうことができる良い時代になりました。

 今年開業した、福岡の七隈線博多延伸、東急相鉄新横浜線は地下路線であり、動画としても絵になり辛い、撮影し辛いところがあったのでしょうが、それに対し、このライトラインはほぼ路面を走る交通機関、かつ車内運賃収受のためホームへは自由に入れ撮影しやすいこと、東京から近いことで話題性も大きいこともあるのかな。

「百聞は一見に如かず」でどういうものかは数多くUPされている動画を見て頂く方が分かりやすいですが、感じたことを何点か。

優れている点

① ICカードでの全扉乗降

 連接車両においては広島電鉄でも開始されていましたが、乗降時間短縮のためには効果的です。現金収受の手間が省けストレスなく乗降車できるので、まさしく”水平エレベーター”的に気軽に使うことができます。

  現在、週末を中心に現金客に起因した大幅遅延が発生していますが、それもICカード利用率が上がること、乗客が慣れてくることで徐々に解消されていくことでしょう。ただ、一定の不正乗車が生じかねないため、対策として国が率先して制度改正し、欧州のように抜き打ち検札での大幅な罰金導入などを図る必要性を感じます。JR九州の無人駅の状況のように、”払った者負け”みたいな風潮が生じて欲しくない。

② 新設軌道で、乗り心地が良さそう

 かつて乗車したことのある、札幌、函館、広島の路面電車は、車両が新しい場合でも、線路が敷設から長期間経過しているためか、ガタガタでバス並みに揺れ、信号でしょっちゅう止まることなどお世辞にも乗り心地が良いとは言えませんでしたが、この宇都宮ライトレールは、軌道も車両も新しいため、その点路面電車のイメージを変えることになりそうです。

③ 双方向に需要あり

 宇都宮駅方面への通常のラッシュに加え、反対方向の複数の大規模工業団地や高校・大学への通勤通学需要があり、片輸送にならないバランスの良さを感じました。これまで完全なクルマ社会で需要が見込める施設が”点在しているなか、多少遠回りになってもうまく線で結んだものだなぁと。

④ バスとの乗り継ぎ、パークアンドライド拠点の整備

 始発停留所の宇都宮駅東口を含め、5か所の停留所でトランジットセンターが整備されました。

 バス乗り継ぎは抵抗があるものですが、路面電車と路線バスがほぼ平面で乗り継ぎができること、乗継割引が大きいこと(100円)、パークアンドライド駐車場も停留所近くにあり、無料で使えるところもあること。この点については、上下移動が必須の地下鉄と比較し乗り継ぎ抵抗が小さいことがメリット。

 一般鉄道も近年は橋上駅や高架化が進むことで、上下移動はエレベーターなどのバリアフリー設備が導入される一方、徒歩での平面移動距離が増え、足腰が弱っている高齢者にとってはキツイということもありますが、LRTとの乗り継ぎは基本スロープを含め平面であること、乗り継ぎ先の車両が目の前に見えることなどで、視覚的に把握しやすく安心ということもありそうです。

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今後の課題

 感じた以下の課題は、将来的に解決が見込めるものであり、少しずつでも実現していって欲しいと思います。

① 速度向上と電車優先信号の導入

 ライトレールの総延長は14.7㎞と、仙台市地下鉄南北線の14.8㎞とほぼ同じです。ただ、全線の所要時間は南北線が28分に対し、宇都宮ライトレールは開業時で48分、来春の快速運転開始後でも37分(各停44分)の予定で、速達性はやや劣ります。

 現在は軌道法の制約で40km/h に抑えられている最高速度が、特例が認められれば70㎞/h(仙台市東西線の最高速度と同じ)まで上げることができ、その場合は快速で33分まで短縮することができるとのことで、早期の速度向上が望ましいところ。

 また、路面電車の特徴ではありますが、交差点での信号待ちの時間が遅さを感じるところであり、開業時には見送られた電車優先信号が導入され、さらに所要時間が短縮されることが、クルマとの対抗上望ましいと考えます。


② 工業団地輸送の速達性確保(遠近分離)

 ホンダやキヤノンなどの工業団地通勤者による大渋滞対策も兼ねて整備されたライトレールであり、クルマからの転移は10%程度でも渋滞対策に効果はありますが、もともと宇都宮駅東口との間で運行されていた着席前提の企業通勤バス利用者が、座れなくなって不評との話が聞こえています。特にホンダは9月から通勤バスを全廃し1000人以上の通勤者がライトレールに移行することになりました。

 新幹線や在来線からの乗換利用者を中心に宇都宮駅周辺居住者が利用していたのであれば、クルマなどLRT以外への流出は限定的でしょうが、「これまで必ず座れ、事業所目の前に30~40分で到着」から、「立ちっぱなしかもしれないライトレールで48分(遅れると1時間近く)、そして広大な事業所内を歩く必要」を考えると確かに不満を感じるのは分かります。

 そのためには、やはり予定通り快速が導入され、宇都宮駅から30分台で到着できるようになれば、途中駅での乗降による車内の動きが少ないことも含め、気分的に速さを感じることができますし、LRTへの転移がスムーズに進むのではと感じます。

③ 西側市街地への延伸

 ただ、このLRT。本来であればバスがひっきりなしに走っており高い需要が見込める『JR宇都宮駅から東武駅までの都心部』から整備するのが自然に感じますが、宇都宮市の特性として、上述の通り「工業団地に集積した大企業工場への通勤負荷の高さ」の解決が必要であることと、西側が先行整備の場合には東北道方面に車庫を確保する必要があったため、東側に車庫を確保しての先行整備となったのでしょう。

 工業団地や作新学院大などへの通勤通学については、宇都宮駅東口発着でも問題ないでしょうが、官公庁などオフィス街はJR宇都宮駅西側に広がっているため、芳賀町やゆいの杜方面からの都心部通勤通学にあたっては、JR宇都宮駅からバスに乗り継ぎ、または徒歩で向かう必要があり、使い勝手が良くはありません。

 それが、2030年代初頭を目標とされている、JR宇都宮駅を高架で超えての西側市街地への延伸が実現すれば、東武宇都宮線方面との乗り継ぎも可能となる他、西側延伸の終点と目されている桜通り付近には高校も点在しており、中心駅を挟んで東西をスムーズに移動できるようになれば、革命的な変化が起こるのは、仙台市東西線(卸町から東北大まで15~20分!) でも実感できた次第。

 開業から2週間経ってもこれだけ注目され、需要予測よりも多い乗客であふれている宇都宮ライトレールに対し、「宇都宮はバスの街」という訳の分からない反対のための主張を繰り返すK産党系には呆れます。仙台でも東西線反対派(K産党系オンブズマン)が、当時「地下鉄反対!LRTが良い」と主張していましたが、宇都宮では同じK産党系が「LRT反対!バスで十分」と、同じ党でも矛盾したことを主張しています。結局与党系が進めていることに対して反対できれば良いのでしょう。ある意味「反対のために手段を選ばない」という一貫性を感じるところ。

 なお、仙台の当時の東西線反対派の残党と思われる方が、Xで「宇都宮のLRTの開業で、仙台の東西軸でLRTが導入されなかった理由の嘘が明らかに」という趣旨でつぶやいていましたが、さすがにLRTで現在の東西線の利用者(8万人/日)は運べんし、青葉山の連続する坂は登れんし、仙台駅の東西をどのようにLRTで超えるのか。共にトンネル掘ったら地下鉄並みに工事費がかかり、LRTのメリットが相殺されるし。

都市間競争に勝ち抜くツール

 このライトレールの開業に向けて、沿線へのマンション林立と地価上昇、工業団地進出企業の莫大な追加投資(キヤノン、中外製薬)と、建設費こそ当初計画の1.5倍と大幅に超過しましたが、それでもこのLRTが整備されるからこその莫大な経済効果。

 そして、これまでは、同じ東北新幹線の沿線の中都市である郡山市と都市規模が変わらない印象もありましたが、その郡山からゼビオの本社移転がなされるなど、熾烈な都市間競争の中、都市の格でも明らかに宇都宮が上になりました。

 そもそも、10年前にゼビオアリーナ仙台に30億投資し整備してくれるなど、仙台重視の姿勢から本社移転が噂された時期もありましたが、89ersの本拠地化にも紆余曲折があり、またライブ活用にしても稼働率の低さに苦しんでいる印象があります。 正直アリーナ整備以降の仙台市の協力が十分だったのかは疑問で、それがもう少し協力的であれば、本社移転の可能性もあったのでしょうが、まぁ関東圏である宇都宮の方が、店舗展開や運営上メリットはあるでしょうしね。なお、持ち株会社は引き続き郡山市に本社を置くようです。

 このような、軌道系公共交通機関の整備に覚悟を決めて、莫大な整備費を出すことが、その都市がその沿線を重視していく宣言になります。

 それは、地下鉄を整備した仙台市が南北線と東西線沿線を中心とした沿線開発、施設誘致を進めているように。1000億もの累積赤字を返済していかなければならず、 利用者増と税収増を図っていかなければならないため、その分地下鉄と一蓮托生でであることは事実ですが。 市がその沿線を見捨てることはなく、安心感はあります。

他都市への波及

 これまで、完全なる新設事例がなかったLRTが宇都宮での導入により、知名度もまちづくり上の有効性も一気に上がりました。

 とはいえ、宇都宮でも30年かけて600億円以上かけてようやく実現した次第であり、これに続く都市が現れるかというと、厳しいものがあります。

 数百億を出して自前の軌道系交通機関を整備できるのは、基本的に政令市以上の都市であり、人口約50万人の宇都宮市が実現できたのは、誘致企業からの税収が豊富で、指数が0.99とほぼ自主財源で賄っている財政力の高さの故でしょうか。国の補助制度拡充の影響もあります。

 LRT網として先行している人口約40万人の富山市は、新設した区間は極一部(環状線、富山駅南北接続部等)であり、大部分は既存の富山地鉄の市内電車とJR西日本から引き継いだ旧富山港線を転換した富山ライトレールをうまく接続させ、最小限の費用でLRTを活用したコンパクトシティ政策を進めています。

コンパクトシティへの取り組みについて(3) ~富山市での取り組みその1 2015.05.05
コンパクトシティへの取り組みについて(4) ~富山市での取り組みその2 2015.09.27

 その点、8年前に将来的なLRT導入も見据えて、BRTを導入した80万政令市である新潟市は、現在JR以外の軌道系交通機関を持たない唯一の政令市であり、玄関口のJR新潟駅と大型商業施設が集まる万代シテイ、古くからの繁華街である古町など都市機能が線状に位置していることから、かつて最もLRTの導入可能性が高い都市ではありましたが、第一弾のBRT導入時点で盛大に躓き、地元マスコミが非協力的という点で、すっかりBRT自体の整備が止まってしまい、専用レーンの整備も実現されていません。

 なおさら、LRTへの移行など夢のまた夢で、自動車の分担率が7割と宇都宮と同等レベルで、公共交通機関の分担率も5~6%とこれも宇都宮と同レベル。その宇都宮がライトレールの導入を実現させたことを考えると、都心部だけでなく、高架化された新潟駅を貫き、駅南方面のイオンモール新潟南、鳥屋野潟のビッグスワン方面への延伸は十分可能性があると思えるのですが、縦横無尽に高規格バイパスが整備され、更なる整備も進んでいる新潟市においては、「バイパスサイコー」「クルマ社会サイコー」という市民の理解を得るのが困難なんでしょう。宇都宮のように、クルマ社会の限界を味わうことがないと、市民が支持しない政策は打ち出せない。

 宇都宮は、ライトレールの運営会社に地元大手の関東バスが入って、バスとの乗り継ぎなども図っていることから、新潟市で実現させるのであれば、新潟交通を取り込むのが必須でしょうが、もうそんな機運が消え失せているのが悲しい。

久々に新潟へ その(2)BRT初乗車 2022.08.03
新潟のBRT雑感とバス相互の乗り継ぎ 2015.09.14

 完全新設でなければ、新潟と同じ新興政令市の岡山市のJR吉備線の約20kmのLRT転換計画は生きているようです。郊外鉄道区間をJRTにしたところで、富山港線(旧 富山ライトレール)のように市内路線に乗り入れなければ、単なる増発と路面電車化に過ぎないように思えますが、それでもJRの路線を地元が引き取り、利便性の高い交通機関として再生させるストーリーは応援したいところ。

 そもそも、地下鉄もですが、LRTはクルマに頼り過ぎない、クルマなしでも生活できるコンパクトシティを進める手段としてのもの。LRTを整備したからといってすべてがうまくいく訳ではなく、このような政策を進めるにあたり、富山市の森前市長や、宇都宮市の佐藤市長など、理念を持ったトップが他にも生まれ、このような動きが続いていけば良いなぁと思います。

 

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2023年9月11日 (月)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その1

開業について

 令和5年8月26日に、宇都宮市と隣接する芳賀町にかけて、芳賀・宇都宮LRT(通称:ライトライン)が開業しました。

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 東京以北では函館と札幌にしか残っておらず、東日本は路面電車空白地帯となっていましたが、北関東一の都市である宇都宮市に、30年かけてようやくゼロから作り上げた最新式のLRTが開業することに。 路線延長ではなく、国内での全く新規からの路面電車の開業は75年ぶりとか。

廃止された仙台市電

 仙台では約50年近く前の1976年に全線廃止された市電(路面電車)。

 地下鉄南北線が開業した1987年までの約10年以上も都市内軌道系交通機関の空白期間となったことから、もう少し存続しても良かったのではと思いながらも、その当時は全国的に路面電車は時代遅れでモータリゼーションの面で邪魔者扱いだったのだから、軌道敷に自動車を入れてしまったことで定時制が失われ、乗客減で苦しんだとのことで、仕方がなかったのでしょう。

 また、路線網が旧市街に限られ、仙山線北側や泉方面に拡大した住宅団地の輸送にはまったく役に立たない面もあり、今の仙台の都市構造では生き残るのが難しかった面があります。  北仙台~長町間は地下鉄南北線に発展的解消し、原ノ町線は仙石線も並行、一番町や西公園付近も地下鉄東西線駅が設置され、結果的に大学病院などがある八幡町線沿線が取り残された形ですが、バス路線は充実しているし。

 地下鉄東西線着工前には、当時の市民オンブズマンを中心とする反対派が東西交通軸をLRTで整備することを主張しながら、全く具体性がない提案であったため、動きは広がりませんでしたが、東西交通軸は、地下鉄南北線を補完する役割として、「相互に乗り換えが可能」で「運賃通算が可能」かつ「定時性が確保」できる同じモードの交通機関である必要があったので、2路線目の地下鉄路線として整備されたのは必然。

 ただし、仮に南北線がなく相互の乗換を考慮する必要がなければ、仙台駅以東は卸商団地を含む産業エリアでもあり、住宅地も広がっていること、他の方面と比べると比較的幹線道路が整備されているエリアでもあり、宇都宮ライトレールが整備されたエリアに似た雰囲気があるため、ここだけであればLRTも”あり”だったのかもしれません(輸送力不足ですが)。

 ただし八木山方面はどう考えても厳しいところが。高低差がある中で新たな幹線道路を整備しなければならず、整備凍結された川内旗立線を活用する場合でもほぼトンネルで 東北大青葉山キャンパスをスルーするため、キャンパスを経由するにはルート取りも難しい。そもそもバスに比べての時間的な優位性が限られるのに、直通できなくなるバスから乗換するメリットがない。今ある程度八木山動物公園からの利用者がいるのは、仙台駅まで13分という速達性からパークアンドライドにメリットがあるからであり、LRTで20~30分かかるのであれば自家用車からの転移は限定的だったでしょうね。

宇都宮ライトレール概要

路線:宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地(芳賀町)

整備費:684億(当初計画の約1.5倍)

路線延長:14.6km

駅数:19駅 (平均駅間 約800m)

運行頻度:ラッシュ時8分間隔、昼間12分間隔(当面、全て各停のみ)

所要時間:全線48分(習熟運転終了後は44分)

最高速度:時速40km/h

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その2に続きます

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