市政

2023年9月12日 (火)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その2(開業の効果と課題)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その1の続きです。

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ライトラインの課題

 開業後、多くのYouTuberが動画をUPしているため、行かずとも現地の雰囲気を味わうことができる良い時代になりました。

 今年開業した、福岡の七隈線博多延伸、東急相鉄新横浜線は地下路線であり、動画としても絵になり辛い、撮影し辛いところがあったのでしょうが、それに対し、このライトラインはほぼ路面を走る交通機関、かつ車内運賃収受のためホームへは自由に入れ撮影しやすいこと、東京から近いことで話題性も大きいこともあるのかな。

「百聞は一見に如かず」でどういうものかは数多くUPされている動画を見て頂く方が分かりやすいですが、感じたことを何点か。

優れている点

① ICカードでの全扉乗降

 連接車両においては広島電鉄でも開始されていましたが、乗降時間短縮のためには効果的です。現金収受の手間が省けストレスなく乗降車できるので、まさしく”水平エレベーター”的に気軽に使うことができます。

  現在、週末を中心に現金客に起因した大幅遅延が発生していますが、それもICカード利用率が上がること、乗客が慣れてくることで徐々に解消されていくことでしょう。ただ、一定の不正乗車が生じかねないため、対策として国が率先して制度改正し、欧州のように抜き打ち検札での大幅な罰金導入などを図る必要性を感じます。JR九州の無人駅の状況のように、”払った者負け”みたいな風潮が生じて欲しくない。

② 新設軌道で、乗り心地が良さそう

 かつて乗車したことのある、札幌、函館、広島の路面電車は、車両が新しい場合でも、線路が敷設から長期間経過しているためか、ガタガタでバス並みに揺れ、信号でしょっちゅう止まることなどお世辞にも乗り心地が良いとは言えませんでしたが、この宇都宮ライトレールは、軌道も車両も新しいため、その点路面電車のイメージを変えることになりそうです。

③ 双方向に需要あり

 宇都宮駅方面への通常のラッシュに加え、反対方向の複数の大規模工業団地や高校・大学への通勤通学需要があり、片輸送にならないバランスの良さを感じました。これまで完全なクルマ社会で需要が見込める施設が”点在しているなか、多少遠回りになってもうまく線で結んだものだなぁと。

④ バスとの乗り継ぎ、パークアンドライド拠点の整備

 始発停留所の宇都宮駅東口を含め、5か所の停留所でトランジットセンターが整備されました。

 バス乗り継ぎは抵抗があるものですが、路面電車と路線バスがほぼ平面で乗り継ぎができること、乗継割引が大きいこと(100円)、パークアンドライド駐車場も停留所近くにあり、無料で使えるところもあること。この点については、上下移動が必須の地下鉄と比較し乗り継ぎ抵抗が小さいことがメリット。

 一般鉄道も近年は橋上駅や高架化が進むことで、上下移動はエレベーターなどのバリアフリー設備が導入される一方、徒歩での平面移動距離が増え、足腰が弱っている高齢者にとってはキツイということもありますが、LRTとの乗り継ぎは基本スロープを含め平面であること、乗り継ぎ先の車両が目の前に見えることなどで、視覚的に把握しやすく安心ということもありそうです。

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今後の課題

 感じた以下の課題は、将来的に解決が見込めるものであり、少しずつでも実現していって欲しいと思います。

① 速度向上と電車優先信号の導入

 ライトレールの総延長は14.7㎞と、仙台市地下鉄南北線の14.8㎞とほぼ同じです。ただ、全線の所要時間は南北線が28分に対し、宇都宮ライトレールは開業時で48分、来春の快速運転開始後でも37分(各停44分)の予定で、速達性はやや劣ります。

 現在は軌道法の制約で40km/h に抑えられている最高速度が、特例が認められれば70㎞/h(仙台市東西線の最高速度と同じ)まで上げることができ、その場合は快速で33分まで短縮することができるとのことで、早期の速度向上が望ましいところ。

 また、路面電車の特徴ではありますが、交差点での信号待ちの時間が遅さを感じるところであり、開業時には見送られた電車優先信号が導入され、さらに所要時間が短縮されることが、クルマとの対抗上望ましいと考えます。


② 工業団地輸送の速達性確保(遠近分離)

 ホンダやキヤノンなどの工業団地通勤者による大渋滞対策も兼ねて整備されたライトレールであり、クルマからの転移は10%程度でも渋滞対策に効果はありますが、もともと宇都宮駅東口との間で運行されていた着席前提の企業通勤バス利用者が、座れなくなって不評との話が聞こえています。特にホンダは9月から通勤バスを全廃し1000人以上の通勤者がライトレールに移行することになりました。

 新幹線や在来線からの乗換利用者を中心に宇都宮駅周辺居住者が利用していたのであれば、クルマなどLRT以外への流出は限定的でしょうが、「これまで必ず座れ、事業所目の前に30~40分で到着」から、「立ちっぱなしかもしれないライトレールで48分(遅れると1時間近く)、そして広大な事業所内を歩く必要」を考えると確かに不満を感じるのは分かります。

 そのためには、やはり予定通り快速が導入され、宇都宮駅から30分台で到着できるようになれば、途中駅での乗降による車内の動きが少ないことも含め、気分的に速さを感じることができますし、LRTへの転移がスムーズに進むのではと感じます。

③ 西側市街地への延伸

 ただ、このLRT。本来であればバスがひっきりなしに走っており高い需要が見込める『JR宇都宮駅から東武駅までの都心部』から整備するのが自然に感じますが、宇都宮市の特性として、上述の通り「工業団地に集積した大企業工場への通勤負荷の高さ」の解決が必要であることと、西側が先行整備の場合には東北道方面に車庫を確保する必要があったため、東側に車庫を確保しての先行整備となったのでしょう。

 工業団地や作新学院大などへの通勤通学については、宇都宮駅東口発着でも問題ないでしょうが、官公庁などオフィス街はJR宇都宮駅西側に広がっているため、芳賀町やゆいの杜方面からの都心部通勤通学にあたっては、JR宇都宮駅からバスに乗り継ぎ、または徒歩で向かう必要があり、使い勝手が良くはありません。

 それが、2030年代初頭を目標とされている、JR宇都宮駅を高架で超えての西側市街地への延伸が実現すれば、東武宇都宮線方面との乗り継ぎも可能となる他、西側延伸の終点と目されている桜通り付近には高校も点在しており、中心駅を挟んで東西をスムーズに移動できるようになれば、革命的な変化が起こるのは、仙台市東西線(卸町から東北大まで15~20分!) でも実感できた次第。

 開業から2週間経ってもこれだけ注目され、需要予測よりも多い乗客であふれている宇都宮ライトレールに対し、「宇都宮はバスの街」という訳の分からない反対のための主張を繰り返すK産党系には呆れます。仙台でも東西線反対派(K産党系オンブズマン)が、当時「地下鉄反対!LRTが良い」と主張していましたが、宇都宮では同じK産党系が「LRT反対!バスで十分」と、同じ党でも矛盾したことを主張しています。結局与党系が進めていることに対して反対できれば良いのでしょう。ある意味「反対のために手段を選ばない」という一貫性を感じるところ。

 なお、仙台の当時の東西線反対派の残党と思われる方が、Xで「宇都宮のLRTの開業で、仙台の東西軸でLRTが導入されなかった理由の嘘が明らかに」という趣旨でつぶやいていましたが、さすがにLRTで現在の東西線の利用者(8万人/日)は運べんし、青葉山の連続する坂は登れんし、仙台駅の東西をどのようにLRTで超えるのか。共にトンネル掘ったら地下鉄並みに工事費がかかり、LRTのメリットが相殺されるし。

都市間競争に勝ち抜くツール

 このライトレールの開業に向けて、沿線へのマンション林立と地価上昇、工業団地進出企業の莫大な追加投資(キヤノン、中外製薬)と、建設費こそ当初計画の1.5倍と大幅に超過しましたが、それでもこのLRTが整備されるからこその莫大な経済効果。

 そして、これまでは、同じ東北新幹線の沿線の中都市である郡山市と都市規模が変わらない印象もありましたが、その郡山からゼビオの本社移転がなされるなど、熾烈な都市間競争の中、都市の格でも明らかに宇都宮が上になりました。

 そもそも、10年前にゼビオアリーナ仙台に30億投資し整備してくれるなど、仙台重視の姿勢から本社移転が噂された時期もありましたが、89ersの本拠地化にも紆余曲折があり、またライブ活用にしても稼働率の低さに苦しんでいる印象があります。 正直アリーナ整備以降の仙台市の協力が十分だったのかは疑問で、それがもう少し協力的であれば、本社移転の可能性もあったのでしょうが、まぁ関東圏である宇都宮の方が、店舗展開や運営上メリットはあるでしょうしね。なお、持ち株会社は引き続き郡山市に本社を置くようです。

 このような、軌道系公共交通機関の整備に覚悟を決めて、莫大な整備費を出すことが、その都市がその沿線を重視していく宣言になります。

 それは、地下鉄を整備した仙台市が南北線と東西線沿線を中心とした沿線開発、施設誘致を進めているように。1000億もの累積赤字を返済していかなければならず、 利用者増と税収増を図っていかなければならないため、その分地下鉄と一蓮托生でであることは事実ですが。 市がその沿線を見捨てることはなく、安心感はあります。

他都市への波及

 これまで、完全なる新設事例がなかったLRTが宇都宮での導入により、知名度もまちづくり上の有効性も一気に上がりました。

 とはいえ、宇都宮でも30年かけて600億円以上かけてようやく実現した次第であり、これに続く都市が現れるかというと、厳しいものがあります。

 数百億を出して自前の軌道系交通機関を整備できるのは、基本的に政令市以上の都市であり、人口約50万人の宇都宮市が実現できたのは、誘致企業からの税収が豊富で、指数が0.99とほぼ自主財源で賄っている財政力の高さの故でしょうか。国の補助制度拡充の影響もあります。

 LRT網として先行している人口約40万人の富山市は、新設した区間は極一部(環状線、富山駅南北接続部等)であり、大部分は既存の富山地鉄の市内電車とJR西日本から引き継いだ旧富山港線を転換した富山ライトレールをうまく接続させ、最小限の費用でLRTを活用したコンパクトシティ政策を進めています。

コンパクトシティへの取り組みについて(3) ~富山市での取り組みその1 2015.05.05
コンパクトシティへの取り組みについて(4) ~富山市での取り組みその2 2015.09.27

 その点、8年前に将来的なLRT導入も見据えて、BRTを導入した80万政令市である新潟市は、現在JR以外の軌道系交通機関を持たない唯一の政令市であり、玄関口のJR新潟駅と大型商業施設が集まる万代シテイ、古くからの繁華街である古町など都市機能が線状に位置していることから、かつて最もLRTの導入可能性が高い都市ではありましたが、第一弾のBRT導入時点で盛大に躓き、地元マスコミが非協力的という点で、すっかりBRT自体の整備が止まってしまい、専用レーンの整備も実現されていません。

 なおさら、LRTへの移行など夢のまた夢で、自動車の分担率が7割と宇都宮と同等レベルで、公共交通機関の分担率も5~6%とこれも宇都宮と同レベル。その宇都宮がライトレールの導入を実現させたことを考えると、都心部だけでなく、高架化された新潟駅を貫き、駅南方面のイオンモール新潟南、鳥屋野潟のビッグスワン方面への延伸は十分可能性があると思えるのですが、縦横無尽に高規格バイパスが整備され、更なる整備も進んでいる新潟市においては、「バイパスサイコー」「クルマ社会サイコー」という市民の理解を得るのが困難なんでしょう。宇都宮のように、クルマ社会の限界を味わうことがないと、市民が支持しない政策は打ち出せない。

 宇都宮は、ライトレールの運営会社に地元大手の関東バスが入って、バスとの乗り継ぎなども図っていることから、新潟市で実現させるのであれば、新潟交通を取り込むのが必須でしょうが、もうそんな機運が消え失せているのが悲しい。

久々に新潟へ その(2)BRT初乗車 2022.08.03
新潟のBRT雑感とバス相互の乗り継ぎ 2015.09.14

 完全新設でなければ、新潟と同じ新興政令市の岡山市のJR吉備線の約20kmのLRT転換計画は生きているようです。郊外鉄道区間をJRTにしたところで、富山港線(旧 富山ライトレール)のように市内路線に乗り入れなければ、単なる増発と路面電車化に過ぎないように思えますが、それでもJRの路線を地元が引き取り、利便性の高い交通機関として再生させるストーリーは応援したいところ。

 そもそも、地下鉄もですが、LRTはクルマに頼り過ぎない、クルマなしでも生活できるコンパクトシティを進める手段としてのもの。LRTを整備したからといってすべてがうまくいく訳ではなく、このような政策を進めるにあたり、富山市の森前市長や、宇都宮市の佐藤市長など、理念を持ったトップが他にも生まれ、このような動きが続いていけば良いなぁと思います。

 

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2023年9月11日 (月)

宇都宮にLRT ライトライン開業 その1

開業について

 令和5年8月26日に、宇都宮市と隣接する芳賀町にかけて、芳賀・宇都宮LRT(通称:ライトライン)が開業しました。

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 東京以北では函館と札幌にしか残っておらず、東日本は路面電車空白地帯となっていましたが、北関東一の都市である宇都宮市に、30年かけてようやくゼロから作り上げた最新式のLRTが開業することに。 路線延長ではなく、国内での全く新規からの路面電車の開業は75年ぶりとか。

廃止された仙台市電

 仙台では約50年近く前の1976年に全線廃止された市電(路面電車)。

 地下鉄南北線が開業した1987年までの約10年以上も都市内軌道系交通機関の空白期間となったことから、もう少し存続しても良かったのではと思いながらも、その当時は全国的に路面電車は時代遅れでモータリゼーションの面で邪魔者扱いだったのだから、軌道敷に自動車を入れてしまったことで定時制が失われ、乗客減で苦しんだとのことで、仕方がなかったのでしょう。

 また、路線網が旧市街に限られ、仙山線北側や泉方面に拡大した住宅団地の輸送にはまったく役に立たない面もあり、今の仙台の都市構造では生き残るのが難しかった面があります。  北仙台~長町間は地下鉄南北線に発展的解消し、原ノ町線は仙石線も並行、一番町や西公園付近も地下鉄東西線駅が設置され、結果的に大学病院などがある八幡町線沿線が取り残された形ですが、バス路線は充実しているし。

 地下鉄東西線着工前には、当時の市民オンブズマンを中心とする反対派が東西交通軸をLRTで整備することを主張しながら、全く具体性がない提案であったため、動きは広がりませんでしたが、東西交通軸は、地下鉄南北線を補完する役割として、「相互に乗り換えが可能」で「運賃通算が可能」かつ「定時性が確保」できる同じモードの交通機関である必要があったので、2路線目の地下鉄路線として整備されたのは必然。

 ただし、仮に南北線がなく相互の乗換を考慮する必要がなければ、仙台駅以東は卸商団地を含む産業エリアでもあり、住宅地も広がっていること、他の方面と比べると比較的幹線道路が整備されているエリアでもあり、宇都宮ライトレールが整備されたエリアに似た雰囲気があるため、ここだけであればLRTも”あり”だったのかもしれません(輸送力不足ですが)。

 ただし八木山方面はどう考えても厳しいところが。高低差がある中で新たな幹線道路を整備しなければならず、整備凍結された川内旗立線を活用する場合でもほぼトンネルで 東北大青葉山キャンパスをスルーするため、キャンパスを経由するにはルート取りも難しい。そもそもバスに比べての時間的な優位性が限られるのに、直通できなくなるバスから乗換するメリットがない。今ある程度八木山動物公園からの利用者がいるのは、仙台駅まで13分という速達性からパークアンドライドにメリットがあるからであり、LRTで20~30分かかるのであれば自家用車からの転移は限定的だったでしょうね。

宇都宮ライトレール概要

路線:宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地(芳賀町)

整備費:684億(当初計画の約1.5倍)

路線延長:14.6km

駅数:19駅 (平均駅間 約800m)

運行頻度:ラッシュ時8分間隔、昼間12分間隔(当面、全て各停のみ)

所要時間:全線48分(習熟運転終了後は44分)

最高速度:時速40km/h

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その2に続きます

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2023年6月18日 (日)

未来の杜せんだい2023閉幕&仙臺緑彩館

4月26日から約50日間の会期で開催されていた、都市緑化フェア「未来の杜せんだい2023」。

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 開幕は雨のスタートでしたが、閉幕の週末2日間は30度を超える好天に恵まれ、大賑わいの中あっと言う間に本日閉幕となりました。

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 追廻地区という戦後の負の遺産を清算し、青葉山公園として生まれ変わるにあたってのオープニングイベントとして開催されたこの緑化フェア。

 主会場として青葉山公園と西公園で対になっており、青葉山公園は都心部に新たに生まれた大規模公園として、国際センター、仙台市博物館、そして仙台城跡を結ぶ要のような位置に整備されました。

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 七北田公園や農業園芸センターなど、市内各地でサブ会場が設定されていましたが、それらには行けませんでした。

盛り上がった前回に対し。。。

 仙台では、34年ぶり2回目の開催で、前回の1989年に開催されたグリーンフェア仙台も、七北田公園や泉中央副都心のPRイベントのような性格もあり、当時は八乙女駅まで開通した南北線とシャトルバスでのアクセスでしたが、政令指定都市移行や3年後の南北線泉中央延伸に向けて子どもながらもワクワクした雰囲気を感じたものでした。

 前回は87年開催で大成功を収めた未来の東北博に続く通常の博覧会的な位置づけだったような覚えがありましたが、仙台緑彩館に展示されていた前回開催のポスターには大人1200円という記載が。それでも100万人集めたというのは、当時のバブル期で政令市になった上昇ムードという社会的な雰囲気故なのでしょう。

 今回は無料入場で、目標入場者である100万人を先週突破したとのこと。しかし、どうやってカウントしたのでしょうね。

 何となく始まって、何となく終わったような。

 まぁ、今回のフェアの目的としては、都心部側のアクセスの良い西公園と川向かいで遠いイメージのあった旧追廻地区である青葉山公園付近を心理的に近づける効果があったのではと思います。

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青葉山公園メイン会場

 川向いの大手町にはライオンズタワーやレーベンのマンションが目立っているとおり、市街地から大橋を渡ったすぐ先の会場です。

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 フォトスポットガーデン。入れ替わり立ち替わり来場者が写真を撮っていました。

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 広大かつ見事な大花壇群でした。ただ、会期末、そして猛暑ということもあり、花々はちょっと元気がないように思えました。

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 広瀬川を挟んで向い側の花壇自動車学校が見える位置です。

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 正直、青葉山公園の会場は、せっかくなので行きましたが、暑くてさらっと回っただけでした。

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 大橋を挟んでメイン会場の青葉山公園から徒歩5分ほどの場所に位置しています。

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 今回のメインの目的はこっち。 子ども連れにはこっちの方が。

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 木陰が気持ちよく、またアスレチック体験などの催事が行われていました。

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 東西線に乗車する時、この地上区間でついつい外を眺めてしまいますが、地上から地下鉄の地上区間を眺めるのは不思議な気持ちに。

たまたま、マスコットキャラクターの「フォレッピ」が会場を一周していました。

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 10~11時台の仙台駅から八木山方面は、車内に立ち客がちらほらいる位で、乗車率でいうと40%位でした。

自分が仙台駅から乗ったのは午前中増発の6分半間隔の時間帯でしたが、概ね同じ位で半分以下の乗車率でした。閉幕前の最後の週末にしては寂しい乗車率に感じました。

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 国際センター駅の「青葉の風テラス」はすぐそこ。大町西公園駅との駅間は本当に短いことが分かります。

 動物とのふれあいの催しも開催中でした。

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仙臺緑彩館の今後の活用は

 このフェアに合わせて整備された恒久施設であるこの仙台緑彩館。

正直、行くまでは良くわからないハコものだと思っていましたが、このエリアのビジターセンター的な役割を果たす施設なんですね。

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 館内は、カフェ、お祭り広場的な情報ラウンジ、ライブラリー、展示ホール、そしてトイレなどで構成されています。

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 観光の目玉としては、青葉まつりの山鉾や七夕飾りの通年展示でしょうか。

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 ライブラリースペースは、真夏日の休憩スペースとして活用されていました。

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 このフェア開催中は良いですが、フェア終了後に本来の目的である青葉山公園及び仙台城址方面へのビジターセンターとしてうまく活用されるのか。

 フェア期間中のGWと土日は、メイン会場から、フェア会場の大花壇を一望できる仙台城址までの無料シャトルバスが運行されており、立ち寄り拠点ともなっていましたが、本日でシャトルバスの運行は終了し、仙台駅発着で観光シーズンは常に激混みの「るーぷる仙台」頼みのアクセスとなりますが、現在は下図の赤点線ルートが通れないので、東北大青葉山キャンパス経由で遠回りのアクセスとなっています。

 又は、国際センター駅から、今回のフェア会場を横目に登り坂の青線ルートを20分。これからの夏の時期にこの登り坂ルートは厳しい。

 史跡である仙台城址アクセスのために、リフトなどの人工物の設置はハードルが高いのでしょうが、青葉山公園を有効に活用するためには、ここが仙台城址への中継点となるような手段を検討する必要があるのではと。

 夜間帯も、夜景を楽しめるスポットとして有名になることも夢ではないように思えます。

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帰りの東西線は混雑!

 13時過ぎに、国際センター駅から帰途につきました。

 入ってきた車両は、座席が埋まるほどの乗り具合で、若い乗客が多かったので「東北大で何かあったのかな?」と思いながらも、八木山動物公園帰りの家族連れも多い。国際センター駅及び大町西公園駅からも、フェア帰りの乗車がそれなりにあり、大町西公園駅発車時点ではドア付近も座席前も肩が触れ合いそうな位で、1両でざっと100人は乗っており、7分半毎の時間帯でも乗車率100%程度と結構混みあっていました。

 行きが寂しい乗車率だったので、意外にも嬉しい混雑具合。

 その後青葉通一番町で乗車車両から2~30人程度が下車し、混雑区間は1駅で解消したにせよ、乗車率70~80%程度とそれなりの立ち客がいる状態で仙台駅へ到着しました。

 明日の平日からは、平日昼間と休日はほぼ7分半間隔に戻り、さらに7月1日からは平日昼間は8~10分間隔、休日は10分間隔に減便となってしまいますが、以前の記事でも触れているとおり、イベントなどで混雑が予想される際には臨機応変に増発を行って欲しいと思います。

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2023年6月 7日 (水)

札仙広福の人口密度比較 その3 北の200万都市!札幌編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープン騒ぎの週末も終わったので、『札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編に続き、北海道の富を独り占めする200万都市札幌編です。

 札幌へは、4年前に18年ぶりに訪問しました。その間北海道に行くことは3回ありながら行き先が函館のみだったり、新千歳空港からレンタカーで富良野などの目的地に直行したりして、札幌の優先順位が低くなってしまったのは、北海道の広さと観光名所の多さ故。

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 やはりその直近の訪問時でも、札幌への滞在は初日の夜から早朝までと最終日の午後のみで駆け足での滞在となったことから、札幌オンリーでまた行きたくなっています。エスコンフィールドもオープンしたし。

 まずは前回同様、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

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まんべんなく高密度の都心部

  仙台と比べると、とても同じ縮尺とは思えないほど、地下鉄駅や市電環状線内を中心として真っ赤な高密度エリアが固まっており、その周辺に面的に8000人/㎢以上のオレンジのエリアが覆いつくしています。仙台で目立つ黄緑色は一部にとどまっているほど、平均的に高密度な市街地が広がっているのが分かります。また、仙台にはほぼない紫色の超高密度のエリアも、市電環状線内や地下鉄東西線の琴似駅、円山公園駅周辺に分布しています。

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 なお、都心部の市街地内に一部真っ白のエリアがありまあすが、札幌駅や桑園駅の北側は言わずと知れた北海道大学のキャンパスや札幌競馬場、札幌駅の南側は道庁をはじめとしたオフィス街と北大植物園で、街中であっても広大な緑豊かな空間が広がっています。また、大通公園も街のど真ん中に横たわっているほか、円山公園駅の西側は北海道神宮や円山公園などの憩いのエリアです。また市電エリアの南西には展望台で有名な藻岩山があり、都心部の程近くに緑あふれる空間が広がっています。

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信じられない人口激増

 札幌市の発展の象徴としては、昭和47年の札幌オリンピックを機に開発が進んだという印象ですが、それだけでなくその前後コンスタントに人口が激増してきました。

 昭和30年頃では当時の市域人口42万人と仙台市とほぼ同規模でしたが、そこから隣接した豊平町の合併の他北海道内から札幌への物凄い人口の一極集中が進み、昭和40年には10年間で何と2倍の80万人に、昭和45年には100万人の大台を突破し、オリンピック開催年の昭和47年に、福岡市や川崎市と同時に政令指定都市になっています。仙台では100万人へ到達するのに45年かかったのに、札幌はわずか15年と信じられないスピード。

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札幌市HPより引用】

 理由として、道内都市の跡継ぎでない次男三男が札幌を目指したこともありますが、産炭地の急速な衰退・閉山で夕張・空知などから流出した人口が札幌に向かい、人口ダム機能を果たした面があり。これは筑豊炭田の閉山での福岡市も似たような面があります。震災での人口流入はせいぜい数万人の仙台市と比較しても桁違いの人口流入が生じていました。

 また、東京に近く陸続きである東北は、仙台を経由せずに直接東京に移ることの抵抗は小さいのと比較し、北海道内で札幌に留める力は大きなものだったのでしょう。それは九州における福岡も同様。

 現在の市域人口だと、昭和35年の約60万人から昭和55年の140万人までの20年間で80万人増と信じられない激増ぶり。5年毎に平均20万人以上ペースで人口が増え続けています。

 さらに、そこから現在までの40年間で人口増のペースは落ちながらもそれでも更に50万人増加し、200万人に迫っています。

地下鉄の存在感の強さ

 札幌の地下鉄建設の際に、「熊でも乗せるのか?」という嫌味な大蔵省の役人が言い放ったという逸話がありますが、その時で100万人近い人口だった札幌に対して、何を言っていたのかという感想。確かに3大都市圏に続く地下鉄建設構想だったとはいえ、東京目線の見下す視点は気持ち良くない。

 その札幌の地下鉄が認められていなかったら、そのさらに後発で人口規模も小さい仙台市の地下鉄建設が認められる訳がなく、またはかなり遅れてしまっていたでしょうから、札幌には感謝しないと。

 札幌冬季オリンピックの前年に、第1期として整備された南北線の真駒内ー北24条を皮切りに、2000年までに南北線、東西線に続き、3本目の路線として東豊線までの48kmが30年弱で整備されながら、先行の南北・東西線は良い時期の建設だったのに対し、バブル期の高金利時期に建設した東豊線の債務や利子負担の大きさと、その後の南北・東西線の乗客が伸び悩んだことで、借入金を返済するのに精いっぱいとなり、構想にあった東豊線南進での清田区延長は現在まで着手に至っていません。最後の延伸が1999年の東西線琴似ー宮の沢間で、そこから24年間路線が変わっていません。少なくとも人口は15万人以上伸びているのに、既存の地下鉄やJR沿線で吸収しているために、沿線の人口密度が高まり続けた印象。また近年は都心部のタワーマンションが恐ろしいペースで建設され、裕福層を中心に都心回帰の様相も。

 地下鉄の利用者数も多く、コロナ前の乗車人員では計60万人超で、コロナ禍でのR3年度では計50万人を割っていますが、それでも仙台乗車人員の2倍を優に超える乗車人員で、その沿線は稠密な市街地が広がっています。

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Wikipedia 札幌市営地下鉄 より引用】

 特に人口密度が高いエリアとしては、大通から南東部の東西線と東豊線、南北線が密に3本平行している地区。

 札幌ですごいと思うのは、その高度成長期をはじめ近年を含めた激増した100万人以上の人口を、可能な限り旧市街地に近いところから順次進めた開発地で収容しようとしたところ。それは開拓地北海道ならではなのでしょうが、それらの住宅地は結果的に同時並行的に順次延伸整備された地下鉄沿線3路線6方面や、JR化前後に設置された10駅以上の新駅周辺を中心に開発しています。

 いわゆる駅から離れた住宅地群は、東豊線延伸が待ち望まれながら長年凍結されている清田区のエリアや、札幌駅から北東部の函館本線以北の鉄道空白地帯位で、そういった鉄道空白地帯や駅から多少離れたエリアもバスでカバーされ、最寄りの駅に接続している印象です。札幌市は、特に地下鉄ーバス乗り継ぎ割引が充実しているということも。

 地形が基本的に平坦で、開発可能地が広がっていたためとはいえ、それでも住宅地の地価水準が仙台よりも平均で安いというのは、交通の利便性や都市規模を考えると驚き。昔の話ですが、北大に行った知り合いから、札幌駅近くで家賃3万円が普通と聞いて驚いたことがありました。最近は上がっているにしても、冬季の暖房費を含めても住居費に関しては恵まれています。

 また、ホットなエリアとして、JR苗穂駅の駅舎移転にあわせた駅南北へのマンション林立も進んでいます。

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仙台のスプロール住宅地展開

 仙台市でも高度成長期の東北各地からの人口激増がありましたが、政令市化の時点で市域人口の約半分を占める40~50万人規模を鉄道駅から離れた丘陵部のニュータウン開発で収容せざるを得ず、地下鉄開業前では、市内の鉄道沿線の計画的な住宅地開発は限られました

 JR仙石線沿いは、昭和50年代新設の中野栄駅北側のエリア、JR東北本線は南仙台駅西側の西中田・柳生のエリア付近に留まり、その他鉄道駅付近での区画整理は行われませんでした。地下鉄開業を見据えてのものは、南端の長町南駅と富沢駅の間、そして北端の泉中央駅と八乙女駅付近で区画整理が実施された位で、このエリアは現在でも良好な都市基盤が残り、マンション適地の住宅地として人気を集めています。

 そしてJR仙山線の国見・北山駅付近は駅ができる前からの乱開発が進み、JR化を見据えた都市内交通重視の流れから新駅開設と増発が行われましたが、基本的にニュータウン型の住宅地は軒並み駅勢圏外で、特に仙台市北部は北環状線の内側がそういった開発で埋め尽くされました。

 当時は市北部方面とを結ぶ幹線道路が現在の仙台泉線で双方向で3車線しかなく、数珠繋ぎのバスで交通麻痺がおこっていたことから、都市規模に比して贅沢と思われた地下鉄南北線が国から認められましたが、それでも面的に広がったニュータウンや乱開発住宅地を1本の地下鉄でカバーできる訳がなく、南北線の北部は、泉中央と都心部を結ぶ郊外電車となり、さらに富谷などの遠方の開発を促進する皮肉な側面もありました。

 仮に昭和40年頃に進められ破談となった仙塩大合併による政令市化がもしも失敗していなければ、当時の重要都市であった塩釜市との間で開発余地があった、東北本線と仙石線の間などの開発が進んでいたのかもしれませんが、東部の田園地帯は耕地整理も進んでいた故に農地法の転用制約があったため、当時はより開発に関する制約が小さい仙台北西部や北部の丘陵地が地権者自ら進んで、もしくはデベロッパーで取り合いとなり、その『ニュータウン内』としては整った住宅地であっても、『ニュータウン同士』及び『都心部との交通』が何も考えられていない全体としての乱開発を止められず、そのツケが現在に続いているという状況です。せめて仙台駅からバスで30分圏の北環状線まではやむを得ないにしても、東北自動車道(以下地図の左上の黄緑線)に及ぶ開発は止めて欲しかった。また、真っ白なエリアの未開発の田園や山の先に開発された泉パークタウンや利府のニュータウン群などの非効率さも残念です。

 下に並べたのは、より広域の両都市の人口分布図ですが、鉄道沿線であってもオレンジ色の分布が限られ、郊外部の赤色は長町駅や河原町駅、卸町駅付近に限られている仙台。

 改めて驚いたのは、人口が集積していると勝手に思っていた北の副都心の泉中央がオレンジ色にとどまっていること。長町のようなタワマンはないにせよ、現在進められている泉区役所再開発で賃貸住宅が併設されるとのことですが、 もう少し人気の泉中央に居住人口を集めるべきではと。

【仙台市広域図】

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 一方札幌は、地下鉄を中心とする鉄道沿線の駅付近は軒並みオレンジ色に塗られ、さらにより高密度な赤色が南北線と東西線を中心に広く分布していることから、人口規模が2倍近い都市であるとはいえ、雪国であることからの地下鉄沿線に集約するコンパクトシティの考え方が50年前から自然に実現してきたと言えるでしょう。

 あと、札幌で素晴らしと思えるところは、地下鉄が整備された時期が大店法時代ということもあるのでしょうが、各駅毎に当時のダイエーを中心としてそこそこの規模の商業施設やバスターミナルが併設されているところが多いこと。現在でさえ、ダイエーの破綻でイオンに引き継がれたり、さらに郊外の商業施設との競争で厳しくなっているところがあるとはいえ、地下鉄駅前にしっかりした商業施設が残っているのは、駅周辺人口の多さもあるのではと思います。

【札幌市広域図】

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再開発が進む札幌 

 1972年の冬季オリンピックとそれに合わせた都市開発ラッシュで成長した札幌は、前回の建設ラッシュから50年が経過し、建て替え時期に入っていることもありますが、東京五輪の汚職事件で誘致の機運が下火にはなっていながらも、都市開発の面では起爆剤として期待されている2034年の冬季オリンピック及び北海道新幹線延伸を目標とした札幌駅や大通駅周辺の再開発ラッシュに沸いています。

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 写真は現在北海道一の高さのJRタワーですが、これを超える関東以北最高高さとなる250m級のJR再開発ビルや、仙台に続くヨドバシカメラの複合商業施設が入る再開発ビルが札幌駅前に計画されており、大通地区でも至るところで高層ビルによる再開発が進行しているのは驚愕もの。

再開発の出足が遅い仙台

 まぁ、仙台の建築ラッシュは東北新幹線開業の1982年から地下鉄開業の87年、政令市化の89年に至る約10年間なので、札幌と比較して10年間はピークが遅いことから、まだ建物が新しく再開発が切実な問題になっていない面があります。

 とはいえ、その建築ラッシュの前に建てられた電力ビルや市役所は築60年で現在建替え・再開発が始まっていますし、駅前のイービーンズもそれに電力ビルに近い築年数であったり、リニューアルで延命するもの限界に近づいています。

 結局このような再開発は、何やら言いながら先に着手したもの勝ちのところがあり、特に商業テナントやホテルなどの誘致に関しては先に手を挙げたほうが先行者利益を得ることとなり、また昨今建築費の増大が進行中であり、チキンレースとなりながらも、徐々に電力ビル再開発に触発され、藤崎周辺やさくらの、読売仙台ビルなどに波及していくと思っています。

札幌にも迫る人口減

 このように北海道中から人口を集めて200万人に迫るまで成長してきた札幌ですが、200万人に届くか微妙な状況で、特に深刻なのは高齢化率の高さからの自然減の増加ぶり。札幌は高齢化率の高さとボリュームの厚みから、近い将来始まる急激な人口減少時代をどう切り抜けていくかがテーマとなります。札幌市の予測では37年後の2060年度に143万人と現在よりも50万人以上も減少することに!

 令和3年末現在の高齢化率は仙台の24.8%(政令市のうち下から4番目)に対し、札幌が28%(同 上から8番目)と高いのは、旧産炭地からの人口流入の後遺症や札幌に出た子供達が親を呼び寄せ、また高い医療サービスを求めての自主的な流入などによるようです。

 利便性の高い鉄道沿線の住宅地には穴埋めで流入する動きもあり、基本的に人口減は周辺の不便な住宅地から始まるものと考えられますが、人口減時代にどのように住宅地をたたんでいくかという観点は、仙台よりも一足早くダイナミックに人口が減少する札幌をお手本として、注視していきたいと考えます。

過去記事

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2023年6月 3日 (土)

ヨドバシ第1ビルオープン 今後の展開は?

 昨日、仙台駅東口目の前に待ちに待ったオープンとなった「ヨドバシカメラ仙台第1ビル」。

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仙台での30年余の歴史

 仙台での支持が半端ないのは皆実感されているでしょう。オープンから30年以上支持され、またライバルの家電店を次々と蹴散らし、その需要を飲み込みその都度店舗がパワーアップされてきた歴史です。

 西口イービーンズのさくらや、東口のラオックス(現Bivi)、クリスロードのソフマップという外様勢はあえなく数年で退散し、そして約15年前に西口の旧十字屋ビルに鳴り物入りでオープンしたヤマダLabiの状況は知っての通り。

 1991年に初代店舗が現在の西口プレイビルにオープンしてから、間もない東口への移転、全国に先駆けた1997年マルチメディア仙台のオープン、2012年の仮店舗とは思えない第2ビルへの売り場倍増移転、そして今回の大本命第1ビルへの移転オープンとなりました。

 自分のゴールドポイントカードは、初代店舗で作ったもので、店名一覧に「仙台駅前店」と記載されているもの。その時は、仙台で10店舗目で、首都圏以外への初進出が仙台でした。その後、郡山、新潟、札幌、博多、梅田と全国展開して行ったそのきっかけが仙台というからに、ヨドバシにとって重要拠点であり続けています。

 なお、初代店舗オープンからマルチメディア仙台のオープンまでの6年間が最も目まぐるしかったのでは。その後東口店をオープンさせ、駅前店から改称した西口店と2店舗体制になり、その後仙台を離れていた時期なので鮮明には覚えていないものの、マルチメディア仙台に旧西口・東口店が統合されました。

 なお、今回のヨドバシバスターミナルに移転し閉鎖されたさくら観光バスターミナルの場所が数年間の短命だった旧東口店でした。
 旧東口店の跡地がさくら観光バスターミナルとして使用されたこと、またその発着高速バスが新バスターミナルに今回移転したことなどを考えると、絶妙な縁を感じます。

ヨドバシ新ビル開業 東北の玄関口に新たな顔 仙台経済界、活性化に期待

仙台市宮城野区のJR仙台駅東口に2日に開業した複合商業ビル「ヨドバシ仙台第1ビル」は、東北の玄関口の新たなランドマークとして注目を集め、オープン初日から大勢の買い物客らでにぎわった。まちづくりに携わる経済関係者からは、交流人口の拡大による仙台駅東口の活性化を期待する声が上がった。

 ヨドバシホールディングス(HD、東京)が運営する核店舗「ヨドバシカメラマルチメディア仙台」の入り口には開店前、約600人が並んだ。オープンと同時に勢いよく入店し、目当ての商品を買い求めた。

 前夜の1日午後9時から並び「一番乗り」となった青葉区の大学2年佐々木結人さん(19)は「駅からのアクセスが抜群。1回の買い物で、家電や服などいろいろ見られて便利」と喜んだ。モバイルバッテリーを買った30代男性は「売り場が広く商品も充実している。商品を眺めるだけで楽しい」と満足そうだった。

 マルチメディア仙台はヨドバシ仙台第2第ビル時代の約1・5倍に増床し、売り場は「家電量販店として東北最大級」(ヨドバシHD)。炊飯器やトースターなどの使い勝手を体験できるのも特徴で、原雄一店長は「体験コーナーで他店と差別化を図った。地元密着の運営を心がけ、仙台駅周辺の活性化につなげたい」と意気込んだ。

 第1ビル1階の高速バスターミナルも2日に利用が始まった。バス4台が停車でき、東京や大阪、名古屋などと仙台を結ぶ1日29便が発着する。東京行きに乗車した青葉区の大学生沢田拓哉さん(24)は「乗り場近くに店が多く、待合室もきれい」と話した。

 ヨドバシHDは、マルチメディア仙台が5月まで入居した第2ビルの新たなテナントを募集している。市内の経済関係者によると、薬局や診療所が入る医療モールを設ける構想が浮上しているという。

 仙台駅東まちづくり協議会の松坂卓夫理事長は「第1ビルに行くだけで、さまざまな買い物が完結するなど(ヨドバシHDは)地域に大きく貢献してくれた。7月の飲食店フロア開業後は、さらに買い物客が増えるのではないか」と駅東口の発展に期待を寄せた。(6/3 河北)

 自分は諸事情で、この週末には店舗に行けそうにないですが、各種メディアやtwitterなどでオープンの空気感は十二分に感じることができているし、レポートはそれらに任せることとします。

 なお、並んだのが約600名というのは、あすとヤマダオープン時の4~5千人と比較すると、思ったより少なく思いましたが、オープン日が平日かつ雨天の寒空、新規ではなく移転オープンという状況の違いもあるか。まぁ、そもそもこのヨドバシ第1ビルのオープンで完成形ではないのが凄いところ。週末の今はものすごい人出になっているでしょう。

今後の動き

  1.  7月末 1階と6階の飲食店街オープン
  2.  秋まで ヨドバシ第2ビルのリニューアルオープン
  3.  未定  ヨドバシ第1ビルB棟計画(ホテル?)

1.飲食店街の見通し

 ヨドバシのホームページのフロアマップですが、飲食店の予定エリアがマップ上に示されています。 

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1階は、バスターミナル側の3/5程度の予定範囲が示されており、

出店予定の飲食店のジャンルとしては、「カフェ・飲食店」「肉」「魚介」「寿司」「酒」「和食」「アジア」

6階は駐車場を除くフロアの約半分ですが、「丼」「魚介」「和食」「アジア」ジャンルの出店が。

1階と6階を合わせて、延べワンフロアのボリュームがあります。

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 従来型のテナントビルの飲食店街は最上階に設けることが定説で、例えば仙台パルコ本館はパルコとしての最上階である9階にレストラン街を設けていますが、眺望を楽しめるというウリとシャワー効果故。なので、第1ビル6階レストラン街は定石と思ったら、建物の構造によると窓際の眺めを楽しめる構造ではなく残念。

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その後にオープンしたパルコ2は、上層階にシネコンが入居ということもあり、各階の仙台駅側に飲食店が並んでいる他、朝市に繋がる1階は「パルイチ」として、10店舗以上が並んでいます。

パルイチショップ一覧 | 仙台PARCO-パルコ-

 仙台駅前はペデストリアンデッキが2階レベルに張り巡らされているためか、2階がメイン入口になっている建物は1階が必ずしも一等地ではないという現状があります。例えば、ロフトビルの1階は某パチ屋ですし、ヤマダLabiの1階は完全に空きフロア、パルコ本館も1階は駅前広場に面し、排ガスまみれの裏口の雰囲気があるなど、1階の活用は難しい。

 ヨドバシ第1ビルは、3階がメイン入口で、その上下各1層(2~4階)がヨドバシカメラ本体の売り場であり、1階はバスターミナルに隣接しているにしても、当初計画ではスーパーと物流センターを入れるとの話を聞いた時には、1階の使い方として思い切ったものを感じたものでした。

 結果的に、スーパーは後述のとおり第2ビルへ、物流センター機能は不明ですが、ECサイト購入での受け取り機能は3階入り口付近に設置とのことなので、大幅に1階の使い方を変更したうえで、必ずしも一等地ではないとの認識で6階に加えて1階にも飲食店を増やしています。

 ただ、高速バスの利用者は一人使いが多いことと、若者が多いので、コンビニやファーストフードでさっさと済ませてしまうイメージがあり、どちらかと言えば、半田屋やマックが入るBiviがその需要を吸収してきたところ。レストラン系と相性が良いとはいえない。

 どちらかというと、混雑しがちかつ価格帯が高めのエスパル東館から流れてくる飲食需要がメインとなるか。

 6階と1階に分散する位だったら、1階ワンフロアに飲食店街を集約した方がスケールメリットとして良かったのではと、1階の仙台駅側の活用が不明なだけに。

2.第2ビルのテナントについて

 決定しているのは、1階に石井スポーツとアートスポーツが(4階から移転)、神奈川由来の激安スーパーロピアの出店が決まっている他は聞こえてきているものははありません。

 ロピアはスーパーなだけに1階の東八番丁通側でしょうね。博多のように複数店舗展開を視野に乗り込んでくるのであれば、他の出店場所も気になるところ。

【6/4 追記】Twitter での求人情報によると、ロピアは第2ビル3階とのこと。第1ビルや仙台駅側からの集客に期待しているのかもしれませんが、ターゲットは近隣住民なので、あえて1階を避けた理由が分かりません。東七番丁通に新設のエスカレータで3階まで上がって入店というのも。。。1階の東八番丁通側であれば、駐輪場も近く立体駐車場も近いので使い勝手が良かったのではと。まぁ、何らかの考えがあってのことでしょうから。。。

 上記河北記事で、新たな情報として「第2ビルの新たなテナントを募集している。市内の経済関係者によると、薬局や診療所が入る医療モールを設ける構想が浮上」とのこと。正直う~んという情報ですが、現時点で1階さえ埋めきれない状況からすると、医療モールというのもありかなとは。

 第1ビルの5階テナントについても、ヨドバシが梅田や秋葉原、博多などの複合店舗で入居されている”お付き合い”のある店舗ばかりで、新たな斬新な店舗の入居は見込めないとは思っていました。

リンクス梅田と仙台ヨドバシの共通テナント

THE SUIT CAMPANY、ユニクロ、GU,ABCマート、Right on、coca、スキッズガーデン、モーリーファンタジー、JINS

それにしても、リンクス梅田に入居している大型専門店の中で、期待できる業種がないかなと思いながらも、

リンクス梅田の残る大型テナント

  • wework    ⇒(仙台)JRイーストゲートビルに入居
  • ニトリ    ⇒(仙台)西口ロフトビルに入居
  • ゼビオスポーツ⇒(仙台)あすと長町に大型店舗

 と、出店が期待できるものはなし。そもそもゼビオは梅田で石井スポーツと同じフロアに入居と、相乗効果というよりは喰い合いしそうな無理筋の選定。

 可能性がありそうな小型テナントとしては、「3COINS(名掛丁にあるが。。。)」,「GLOBALWORK(近年パルコなどの店舗を閉店、縮小気味)」、「DAISO(十分あり得るが目新しさ皆無。。。)」。まぁ小型テナントではまだほかにもあるかもしれません。

 そうなると、ユニクロやGUの大型店舗として第2ビルに移転であれば、併せて3階のワンフロアを埋めることは出来そうですが、それ以上、特に中途半端な2階は新たな店舗を開拓してこないと厳しい。将来を見越すとロフトビルやイービーンズビル建替え時のテナントの移転先として活用できそうですが、そもそもテナント料高そうですし、大型テナント入居させる場合は賃料の相談に応じないと厳しいと思われる。

3.B棟計画の行方

 現在平面駐車場となっている、第1ビルとP3立体駐車場の間の空間。

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Map

 明らかに見送りとなったB棟増築の可能性を残すつくりとなっています。

 そもそも、P3の立体駐車場を有効活用するのであればこのB棟でつなげることは必須であり、見送られたZEPPや中クラスのシティホテル(東急エクセルホテル)などは期待しても良いかと。ただ、ヨドバシとして肝入りで進めてきたこのプロジェクト。第2ビルだけをみても上層部のオフィステナントはオープン11年経っても空きスペースが残り、今回の第1ビルオフィスも不透明。第2ビルの店舗部分もどうなるかというところで、事業全体の採算性からするとちょっと不安があります。

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 もちろん、そごう・西武店舗への出店をもくろむほどのヨドバシカメラの財務の健全さからすると、心配は要らないとは思いたいです。

 落ち着いたころに、ぜひ自分の目で見に行きたいと考えています。

 

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2023年5月29日 (月)

仙台市地下鉄 7月からの減便正式発表

昨秋に地元紙に取り上げられていたこのニュース。

過去記事

仙台市地下鉄 来夏に減便へ(2022/9/15)

本日配付の市政だよりと合わせて、交通局ホームページで、7月からの時刻が公表されました。

概ねの考えは、上記リンク先の過去記事で触れていますが、やはり東西線はともかく南北線の減便は正直残念です。

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脱コロナの時期の減便の是非

 5月8日に5類へ移行した後で、今月は青葉まつりが20・21日に従来の規模で開催され、先週末は街中で、勾当台公園市民広場の「横丁フェス」、錦町公園での「肉フェス」をはじめ、同時多発的かつ狂い咲いたように?飲食系のイベントが開催され、特に横丁フェスはキャパオーバーなほど賑わっていました。

 また、6月18日までは、青葉山公園と西公園を主会場として、「未来の杜せんだい2023」が開催され、東西線も休日の午前中は6分半間隔に増便しているのに、閉幕後は7分半間隔に戻るのもつかの間、半月も経たずに10分間隔になってしまうとは。

 スポーツ系のイベントも楽天は2万人、ベガルタもコンスタントに1万人以上の観客を集め、観客の移動手段としてもキャパが大きな地下鉄が威力を発揮するし、ライブなどのイベントもゼビオアリーナや大型ライブハウスのPIT、GIGSなどでコンスタントに開催され、他都市からの来客の輸送に力を発揮します。

 コロナで激減していた乗客数の時に減便せずに、乗客が戻ってきた今減便するというのはタイミングが悪すぎる。

 東京の銀座線など、一旦コロナで減便した路線が早速増便されるという事例も出始めており、その点減便の判断が遅すぎたという印象もあります(早めに判断していれば、傷も浅く、脱コロナの乗客増の局面で増便に転じることもできたと)

 このような状況で、平日昼間の一部時間帯及び休日のほぼ終日が南北線と東西線の両方とも10分間隔の運行となってしまします。

 まぁ、東西線については、開業時から昼間は10分間隔でもおかしくないほどの利用状況が言われており減便はやむを得ないとの立場ですが、仙台駅と泉中央、勾当台公園、長町という拠点を結び、他都市からのビジターも多く使う都市の基幹路線の南北線も巻き添えを喰らうのは悪平等というか弊害も多い。南北線は東西線の2.5倍の乗客数なのに閑散時間帯の本数はほぼ同じって。

イベント輸送での懸念点

 ベガルタの観客動員も今シーズンはほぼ1万人を超えていますが、現在のダイヤであれば休日の夕方は7分半間隔、ナイトゲームの時期であれば8分間隔での運行で、毎時8本とすると、定員輸送で概ね毎時5千人を運ぶことができます。

 それが、7月からは昼間もナイトゲーム後も10分間隔で毎時6本になると、毎時4千人程度に輸送力が▲1000人ダウン。昼間はある程度分散しますが、ナイトゲーム後は早く帰りたいので、乗客が集中する傾向にある中、運び切れるのかという懸念があります。

 幸いなことに、最近4試合負けなしかつホームでも約2か月間負けなしで、順位も一桁に上がり、昇格圏内の2位ベルディとも勝ち点差6に迫ってきました。春先で終戦ということはなくなりそうで安堵していますが、

 日曜はベガルタ観戦で泉中央帰り、ほぼ満員近い地下鉄に勾当台公園から街中でのイベント帰りの酔い客がどっと乗ってきてかなりの圧迫感がありビックリしました。これも7分半間隔の現在から10分間隔になることで、体感的な待ち時間が長くなることもありますが、最近増便を行っていない仙台七夕開催時、そしてジャズフェスやページェントなどのお祭り開催時など、せめて混雑すると思われる時間帯には臨機応変に増発を行って欲しいとは思います。

変更後の時刻表雑感

交通局のプレスはこちら

仙台市交通局 7月1日から地下鉄南北線・東西線のダイヤが変わります (city.sendai.jp)

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 以下は、仙台駅発南北線の両方向の時刻表です。

四角囲みの部分は、8~10分間隔へ減便の時間帯。

下線部は、夕ラッシュで意外な変更があった発車時刻です。

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  1. 夕方ラッシュ時は増便!?

   平日昼間と休日のほぼ終日以外は運転間隔に変更はないとの記述ですが、実は18時台の1時間にわたり運転間隔が縮まり、増便されています。5分半間隔から5分間隔となり、コロナで混みあうようになった夕ラッシュの早い時間帯の混雑を緩和する目的のようです。

 泉中央行は17時54分から18時49分までの1時間が、1の位が4 or 9分発の5分間隔

 富沢行は、18時22分から19時17分までの1時間が、1の位の2 or 7分発の5分間隔で、ともに覚えやすくなりました。

 混雑緩和の目的で、夕ラッシュ時間帯の増便を実施するのであれば、プレスリリースでアピールしても良いように感じますが、「夕方増便する分を昼間の減便穴埋めに回せ」という批判が出ることを恐れたか?

 2.平日昼間の減便は最小限に

  昨年9月の記事である程度予想していたとおりで、10分間隔への減便時間帯は11~14時に留まりました。

  その前後の時間外は、ほぼ変わらない8分間隔なので、きれいなパターンダイヤは崩れてしまいましたが、まぁやむを得ないかなと。

 3.休日は覚えやすく

  平日は通勤通学で大いに使われている反面、休日はクルマ中心で郊外に買い物に行く割合が高く、各種イベント輸送以外は混雑はあまりな  いのが実態ではありますが、さすがに発表された時刻表を見ると「少ないなぁ」という感想です。特に、仙台から勾当台公園というような5分以内の移動には正直待ち時間が長くなってしまい、その不便なイメージから「だったら歩こうか」となったり、「120円バスでも変わらない」とならないことを祈っています。

 メリットとしては、毎時の発車時刻の1の位が泉中央行はきれいに0分発、富沢行は9分発に揃えられ、覚えやすくなるということは言えますね。また、降車客によるホーム上混雑緩和のために発車を1分ずらしているのかな。

 あとは、上述のとおり、混雑が見込まれるイベント時には臨機応変に増発してもらいたいもの。

 4.その他の時間帯

 その他の時間帯も朝ラッシュに微妙な時刻変更があるので、利用者は念のため確認した方が良いかもしれません。

仙台駅での相互の乗換は

 少なくとも10分間隔になる時間帯について、南北線は上述のとおりで、東西線は八木山方面が4分発に、荒井方面は5分発に揃えられ、

南北線と東西線の相互の乗換については各方面4~6分の乗換時間が確保されており、ゆっくり歩いても余裕で乗り換えられるようになっています

(例)八木山行き⇒富沢行は乗換5分、

        ⇒泉中央行は乗換6分。

 この乗換パターンを合わせるために、南北線も合わせて減便されたという印象です。

経営の状況

 そうはいっても、東西線開業後に南北線と合計の利用者数が掘り起こされ、累積赤字も減少傾向にあったところが、一気にコロナ禍で累積赤字が増える方向に行ってしまい、財務の悪化を少しでも食い止めるため、4月に実施されたイクスカ基本ポイント(最低でも5%)の廃止で毎年3億円の収支改善、加えてこの減便により年間約7千万円の電気代の節減とのことでした。

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(市交通局HPより)

 運賃値上げは避けて欲しいので、イクスカポイントの廃止で3億円分の収支改善については、これを機に自分のように定期を購入する人が増えると売り上げ増につながる他、せっかくだからと週末にも地下鉄を使うきっかけになったりするので、納得していましたが、正直減便で生み出される電気代が年間7千万円というのが、正直デメリットと比較して生み出される額が小さいと思ってしまっています。

 とはいえ、コロナでの乗客減で悪化した財務状況に目途が立たなければ安定運行はできない訳で、乗客数が再度増え、少なくとも南北線だけでも増便が図られるような状況になれば良いと思います。

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2023年5月26日 (金)

仙台ヨドバシ新ビル オープンまで1週間!

3週間前の時点で本当に間に合うのか?と思われた工事進捗状況だったヨドバシ仙台第1ビル。

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 オープンの6月2日(金)の1週間前となる今日、ふらっと夕方に寄ってみました。

 東口ペデストリアンデッキより、新ビルと第2ビルを写してみました。

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このエスパル東館とヨドバシ新ビルの角の部分が、東口を代表する空間になりそうです。エスパルの飲食店が位置するこの2~4階のガラス張りの空間は映えますね。4階のスタバは絶好のアピールできる位置を抑えています。

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 5/14時点で店舗前のタイル工事真っ最中でしたが、その部分はほぼ仕上がっていました。

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ただし、第2ビルとを結ぶ通路部分は最後の仕上げの状況。

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これは通路内部。雨風の影響を受けずに第2ビルや新エスカレータを経由して東七番丁方面に向かうことができます。

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 新店舗内は、什器の搬入・設置が行われ、慌ただしい雰囲気を感じました。

 なお、第2ビルの現店舗は、ところどころ棚が空っぽの箇所があり、新店舗への移動真っ最中ということを感じました。

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 移転オープン前の2日間(5月31日~6月1日)は、さすがに休業して、移転作業に専念するようですね。

 南東側の壁面に回ってみたところ、東口正面入り口側にはなかった垂れ幕が下がっていました。

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 これが、ヨドバシ本体での取り扱い商品なのでしょうか。現在の第2ビルでの取扱商品とあまり変わらないような気がしますが、当然ながら品揃えは格段に充実するでしょうね。1階でのヨドバシ・ドット・コムの商品受け取りも格段に利便性が高まることに。

 営業時間は9時半から22時までと、現在と変わりません。駐車場は1600台とのことで、現在のかなり台数が850台と少ない状態からすると、倍増しますが、それでもオープンからしばらくは満車になりそうで、それ以前に周辺道路が麻痺するかと。郊外のあすとヤマダのオープン時でも駐車場は屋上まで満車にならなかったのに。

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バスターミナルも完成

 デッキやエレベーター、エスカレータと合わせて、総計21億円分を企業版ふるさと納税により仙台市に現物寄付したという太っ腹なヨドバシ。バスターミナルの全景を第2ビルとの通路から。舗装工事も完了し、デジタルサイネージが綺麗に並んでいるのが分かります。

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バスパースも3台が余裕で並ぶことができるスペースが確保されています。広瀬通宮交ターミナルはあれだけの本数を2台分でさばいていることを考えると、余裕がありますね。バス停の番号としては80番が付与されるようです。

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ただ、現時点で判明しているさくら観光とJAMJAMライナーで計12往復の発着のみ。

それも、格安高速バスは夜行の方が多いので、昼間はこのターミナルが宝の持ち腐れとなりそう。その分を昼行高速バスで有効活用されるのか。

従来の東口高速バスターミナル

 使用休止していたヨドバシ新ビル側の73番と74番バス停が5月16日から使用再開していました。なお一番東側の75番はまだ使用再開されていない模様。

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 ただ、コロナ禍での乗客減による休止便の発生、そして乗務員不足よりその休止便の再開の歩みは遅くなっています。

よって、高速バスターミナルが不足すると思われて、せっかく整備されたヨドバシ高速バスターミナルですが、そもそも東口の従来の高速バス乗り場に余裕がある状況です。なので、追加乗り入れの発表が待たれるところ。

 既存の東口71番には、盛岡便のうちJR担当便のみ乗入れていましたが、岩手県北バス担当便も6月1日より新規に乗り入れることになっています。盛岡便は基本は西口40番の宮交ターミナルからの発着ですが、このようにJR持ち以外での東口と西口ダブルでの乗降車ができる便が増えればと思います。

1階のデッキ下

 見違えるように、きれいに完成していました。

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 地下道入り口のこのあたりも、内装工事は途中ながらも、外観は完成です。

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変化なしの第2ビル地下道

 先日はシートで覆われていた地下道入り口が元通りになっていたので入ってみましたが、中に変化はありません。

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 第2ビルの店舗へは階段又はエレベーターで入ることは変わらず。第2ビルへは3階への連絡デッキにより仙台駅から直接入ることができるようになったことを考えると、駅前広場から最短での第2ビルへの動線とはなりますが、ますますこの地下通路の中途半端感が高まった印象。

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オープン間近

 満を持しての新店舗オープンセールは、金曜日とはいえ初売りを超える長蛇の列が発生するか。

なお、オープンの週末は楽天はホーム試合ではないので良かったですが、6月6日からは、ホームで何と阪神3連戦。ここは東口がカオスになりそうです。

 楽しみながらも、待ちくたびれて、買おうとしていた大型家電も購入してしまったので、特に買いたいものはないにしても、巨大な新ヨドバシと併設の専門店街により、駅前で1か所で見て回れる巨大商業施設は貴重。

 飲食店街の完全オープンもまだ先で、第2ビルのリニューアルも控えているので、まだまだ楽しめそうです。

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2023年5月23日 (火)

「八木山ライン」誕生&「学都仙台フリーパス」拡充へ

 前回の、仙台駅西口バスターミナル記事と関連しますが、バスプール11番と12番からの八木山方面行きバス。 

 この春より、仙台駅前から八木山動物公園駅までを結ぶ路線が「八木山ライン」と名付けられ、市バスと宮交バスの発車時刻がある程度パターン化され、共存共栄路線を歩むことになりました。

【八木山ライン】バス停での待ち時間が短縮されます!|仙台市 (city.sendai.jp)

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 地下鉄東西線開業前は、霊屋橋経由と愛宕大橋経由を合わせて、昼間でも市バスだけで毎時10本以上、朝は毎時20本以上が運行される超過密路線で、八木山や緑ヶ丘方面から街中方面への通勤通学客はもちろん、沿線の大学・高校への逆向きの通学需要もあり、急峻な地形という要素もあるのか輸送需要が旺盛でした。

 ただし、地下鉄東西線の開業にあたって、当然ながらも動物公園以遠からの通過需要や東北工大需要は地下鉄に移行させるため一部の昼間の便を除いて動物公園駅止まりとなり、松波町や八木山神社前付近からの需要や沿線の2つの高校の通学需要が残りながらも、市バスの本数はいつの間にかに激減していました。

Busmap

 東西線開業前の地元説明会で高齢者の方々が「減便反対!」とアピールして市当局が折れ、減便が最小限にとどめられたと記憶していましたが、その後の利用状況から減便が図られたのでしょうか。市バスは毎時4本程度、宮交バスも毎時1~3本程度で合わせても毎時6本程度に減っていたとはびっくりしました。減便後でも恵まれている本数にしても、以前は2~3台続行で来ることもある位ほぼ待たずに乗れる沿線だっただけに。

 昼間は毎時6本程度といっても、両者がてんでバラバラに走らせていたら、利便性が損なわれることからと、仙台市の調整により9時台~15時台のパターンダイヤ化がなされました。

 とはいえ、等間隔というわけではなく、極力調整したとのことですがあくまでもパターン化して覚えやすくということで、2分差で続行という時間帯もあり、概ね10~15分間隔で運行されるようになっています。

八木山ライン発着の11・12番乗り場

<11番のりば:市バス時刻表>

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<12番のりば:宮交時刻表>

 

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 市バスと宮交バスは運賃も微妙に10円ほど異なり、共通定期券もないですが、基本的に昼間のヘビーユーザーは1割負担の敬老乗車証利用なのでどっちにも乗れるし運賃の違いは誤差(自己負担額1円差)みたいなものでしょう。通常の利用者にとっても、事業者毎に利用回数に応じて5~30%付与されていたイクスカのポイントが4月に廃止されたこともあり、導入にあたっての障害をなくしたタイミングでの「八木山ライン」実施となりました。

学都仙台フリーパス拡充の影響

 なお、この路線のヘビーユーザーは2つの高校生で、おそらく学都仙台フリーパス(市バス:約6,000円/月)の利用者ということであれば、宮交が使えないのには変わらない。

 朝夕の通勤通学時間帯はもう少し本数が増えるので、市バスだけでも十分な本数になるのかもしれませんが、先週日曜日の河北新報に載っていた「フリーパスの宮交適用」の予算化により、使いやすくなるのか?

 事業者が同じ交通局の地下鉄でも、東西線料金と南北線料金が別建て(各 約7千円)で、両方乗る場合は8390円と多少高くなっているので、料金分配上、市バスと宮交が共通パスで両方乗れるようになるのは期待薄で、宮交フリーパス(6~8千円?)が別建てで導入され、両方乗りたければ2倍払わなければという今と変わらないことになるかも。そうであれば、イクスカチャージで来た方に乗った方が安いということのに。

 でも、宮城大学の太白・大和キャンパスや白百合学園女子大、宮城学院中・高・大、泉松陵高など、泉区方面を中心とする宮交バス沿線の学校の利用者はそれでも大分助かることになりそうです。特に仙台駅から片道600円を超える宮城大学大和キャンパスなどは、時間が読めないにしても、地下鉄経由よりも激安で通えてしまうことに。

 本来は、宮城大学大和キャンパスや近隣の仙台保健福祉専門学校への通学需要は、地下鉄から泉中央駅乗り継ぎを使って欲しいし、うまく地下鉄に誘導できないのかな。いずれにせよ、泉パークタウン内などはかつて市バスから宮交に譲渡されたエリアであり、そのため学都パスが使えないというのは住民にとっても気の毒であり、宮交も対象にするというのは望ましい方向性なのかと思います。

参考 現在の料金(1か月料金のみ)

大人(中学生以上) 利用可能路線 1ヶ月
市バスフリーパス 市バスのみ 5,970円
地下鉄フリーパス 南北線のみ 6,990円
東西線のみ 6,990円
南北線+東西線 8,390円
市バス・地下鉄フリーパス 市バス+南北線 11,140円
市バス+東西線 11,140円
市バス+南北線+東西線 12,330円

【5/23 21:00追記】

 今朝の河北新報県内版で、学都仙台フリーパスの宮交バス適用の概要が乗っていました。

 基本的に宮交バスのみのパスは適用されず、「市バス」のみ5970円か、「市バス&宮交」で5970円よりは高い額とのことですが、おそらく8000~10,000円の幅に収めてくるのではと。宮交の減収分は市が負担するとのことだと、宮城大学線のように長距離高額路線もある宮交の市内全路線をカバーさせるにはそこそこ追加料金を設定しないと厳しい。ただ、基本宮交しか使わない場合でも市バス分がセットとなるため、その5970円分は基本料金として市交通局に入ってくるので、その収入増を以って宮交への負担金に充てるのかな。

 よって、この「八木山ライン」沿線の高校生や大学生は、宮交付きのパスを選べば、市バスも宮交バスも乗車できるようになりあます。

 また地下鉄を併用する場合は、地下鉄フリーパスを追加する必要がありますが、バスと地下鉄のセット料金は14%程度割引があるので、宮交が追加されても同じような考え方になりそう。宮交エリアの郊外の大学・高校通学はもちろん、秋保、ひより台・太白団地などの太白区西部、鶴ケ丘、松陵などの泉区北部方面の遠距離通学者を中心に家計が助かることになりそうですね。

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2023年5月22日 (月)

仙台駅西口バスターミナル再整備完了

 バスプールに収まり切れず、かつては青葉通りにまで分散していた仙台駅西口のバス停留所。

地下鉄に移行する並行路線の削減によりバス本数が減少する東西線開業に合わせて、基本的に拡張後のバスプールに収容できるように、バスターミナルの再編を行っていましたが、東西線開業後丸7年余をかけて、今春ようやく再整備が完了しました。

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もともと、パスプールは2つの島に1~16番乗り場がありましたが、幅の狭い島が1つ増え1~19番乗り場まで収容されました。

この新設された17~19番の島(のりばC)には、階段とエレベーターが新設されました。

幅が狭いためエスカレーターはないですが、エレベーターで下ると、東西線開業時に新設された地下鉄仙台駅東改札の目の前です。

なお、向かい側のロフト1階もバスプールと対になる形でバス停が設置されています。

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また、西側(パルコ2側)を下ると、地下鉄南北線南改札に接続しますが、エスカレーターやエレベーターが整備されました。

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また、バスプールと地下鉄改札の間には、エスパル地下飲食店街に接続し3つの島をつなぐ地下通路「仙台駅西口南部地下歩道」も整備されています。レンガ調でシックなつくりとなっていますね。

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地下鉄仙台駅南改札を出て左に曲がると、バスプールやペデストリアンデッキへ上るエレベーターへの入り口があります。写真の右奥側が上の地下通路につながるエスカレーターと階段です。

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この写真は真ん中の島(のりばB)から、仙台駅方面のペデストリアンデッキに上がる方面ですが、従来は階段のみから、屋根付きの立派なエスカレーターが整備されました。

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この島の16番乗り場は、市内の観光地を結ぶ「るーぷる仙台」が発着することから、幅も広くゆったりしていますね。

下の写真はるーぷる待ちの方々で、この大人気ぶり。小型バスなのにそりゃ混雑で大変な訳だ。

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デッキ上から

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のりばC(17~19)から

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 なお、地下鉄東西線開業時に供用開始されたJR仙台駅横づけのバス降車場。本当に有能です。一等地を占めていたタクシープールや貸し切りバス待機場の再編により生み出されました。

【6月4日写真追加】

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ゆったりとしたつくりで、5台位が一気に入ってきても余裕で降車処理することができます。

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目の前の地下通路への入り口経由で、東西線開業時に新設された「地下鉄仙台駅東改札」や「JR仙台駅地下南口改札」にスムーズに入ることができます。

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それまでは、あおば通駅前に下ろされていたことを考えると。もうすっかり定着しましたね。

 今回のバスプール完全供用で一連の再整備は終了とのことですが、気になるのはヨドバシ関係記事でも触れた、高速バスターミナルの乗り場再編。広瀬通宮交バスターミナルと東口JRバスターミナル、そしてヨドバシバスターミナルでどのような役割分担となるのかが気になります。

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2023年5月20日 (土)

札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープンニュースが入ってきたので、間が空きましたが、『札仙広福の人口密度比較 その1 福岡都心部編』に続き、次は、G7広島サミットが始まったばかりの広島市編を。

広島へは、18年前に訪問して以来なので、福岡とともに行きたい都市です。

 ロシアのウクライナ侵攻や中国の覇権主義への対抗など、世界平和がテーマとして重要な昨今でもあり、被爆都市である広島でサミットが開催されるというのは、首相のおひざ元というのとタイミングも良かったんでしょうね。まさかゼレンスキー大統領も訪日するとは。

 

 

 市街地から隣接する宇品島に位置するグランドプリンスホテル広島が警備上絶好な位置にあったり、近接して広島都市高速の高架道路(広島南道路)が通っており、都市高速の封鎖や様々な交通規制など市民生活に多大なる影響はあるものの、サミットを開催できる都市であることを対外的に証明することに。また、サミットはいつも東京でということではなく、東京以外での開催が続いているのはガス抜きの面があれども対外的に都市をアピールできるので良いことだと思います。

宮城県では、有力な首相候補がいないどころか、いろいろ物議を醸しだす代議士さんばかり。

大物で期待できるのは、元防衛相の方位でしょうか。仙台は開催可能な警備が容易な施設が限られ、G7の閣僚会合では秋保の温泉旅館を使わざるを得ないという面でも、コンベンションインフラは弱いところが。

まずは、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

Centralsendai

人口密度の高い広島デルタ地帯

 都心部の紙屋町・八丁堀付近は広島城や県庁・中央公園などがある他、商業・業務機能が集積しているので、すっぽり人口密度が低いエリアですが、外側に隣接して赤色(1.6万/㎢以上)のエリアが離れ小島状に広がっている他、より高密度の紫色(2.4万人/㎢以上)の一角も点在しています。

 傾向として、高密度な市街地が広電の路面電車沿いに広がる傾向があるというのは、前回訪問した時も感じていましたが、面的に広がるデルタ地帯がほぼオレンジ(8,000人/㎢以上)で埋め尽くされており、基本的に路面電車やバスサービスの水準が高いというのも理由でしょう。

 逆もまた然りで、人口密度が高いので路面電車やバスの運行効率が良いのかと。

Centralhiroshima

 また、その路面電車沿いでの交通拠点である、JR乗換駅の横川駅、新白島駅、西広島駅をはじめ、距離的には多少離れた広島港との乗換拠点の宇品も高密度な市街地が分布しています。

 広島は地形的な制約で平地が限られていることから、デルタ地帯とその周辺に人口が集中し、その部分だけでも40万人程度を収容している(中区・南区・西区の一部)というのは凄い。最盛期と比較して減少気味で近年盛り返していますが、これら3区の人口密度は5,000人/㎢以上。

仙台では、同じような定義の都心部と城下町、主に市電沿線の旧市街地(仙山線以南、陸前原ノ町以西、広瀬川以北等のエリア)では町丁目別で足し合わせても20万にも届かない(青葉区約11万、宮城野区約4万、若林区約3万)

 広島でも周辺の丘陵地へのにじみだし開発が続き、現在市域人口の半分以上は郊外部となっていながらも、市域人口の3割以上がいわゆる旧市街に集まっているといのは強い。路面電車だけでなく、バスが複数社ひしめき運行しているという面も。

広島市中心部における均一運賃の設定に係る共同経営計画

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 前回訪問した18年前の時点では路面電車の運賃は150円均一で破格と感じたものでした。バスよりも安くデルタの大部分をカバーし、遅い(一部古い電車も)という宿命的な問題は抱えていながらも、路面電車を大切に守ってきたご褒美的な料金と感じていました。

 しかし、2014年の消費税8%時に160円、2017年に180円、2019年に190円と小刻みに値上げが続き、昨年とうとう220円となりましたが、それと同時にコロナ禍の苦境を逆手に、エリア内の路面電車やバスの共通運賃制度を導入しました。

 従来からこのエリアのバスは190円均一と220円均一エリアに分かれており、路面電車も190円均一だったところをバスの高い方の220円に値上げしたということになりますが、電車でもバスのどちらにのっても同一料金という分かりやすさをアピールとのことでしょうか。

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 仙台では一部の120円均一区間を除くと都心部のバスは160円or170円から、地下鉄は210円が初乗りということを考えると、以前の運賃と比較しても一見広島の初乗りが220円だと一見高いように思えますが、東西及び南北それぞれ約7kmの範囲が路面電車でもバスでも220円で移動できるということで、外からの利用者でも分かりやすい制度です。

 ただ、短距離のチョイノリには割高感は否めません。JR線からの紙屋町・八丁堀への乗り継ぎとしては、アストラムの新白島からだと本通まで190円で乗車時間はたった4分であり、横川や広島駅乗換と比較し路面電車の優位性が低下してしまうのではと。どこからJRを使うかによってトータルの運賃や所要時間は変わるとはいえ。

 なお、仙台の都心部地下鉄の210円均一で移動できる範囲は仙台駅から概ね半径3㎞以内(ほぼ旧市街をカバー)というのと比較すると、広島の方が一回り大きな均一エリアです。(対象エリアの写真は消費税改定前の200円均一時代のもの)

 この210円均一エリアを、乗換なしであれば両端の駅を10分以内、仙台駅での乗換ありでも15分程度の乗車時間で移動できるというのは定時制が保たれる地下鉄ならではの面もあります。

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ハード面の改善

 前回訪問時のレポートです

過去記事(一部記事内にリンク切れがあります)

 交通機関については一部アップデートされています。上述の共通運賃の導入の他、

〇 新白島駅開業

 JRとアストラムラインの交点に新白島駅が開業し、JRからの乗換手段として、広電路面電車以外の手段が生まれたこと(路面電車が各駅から都心部の紙屋町・八丁堀まで10~15分に対し、アストラムラインで5分程度と劇的に短縮)。

〇 JRの新型車両導入

 国鉄型車両が長く残っていた広島エリアですが、2015年頃から、順次レッドウィングと称される新型電車が投入され、電化区間の車両は新型車両に統一されたようです。一方、ダイヤ面では快速の減少をはじめ、当時と比較し減便が行われているとか。

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 その他、今後の話ですが、広電広島駅高架乗り入れ(2025年)や、アストラムラインの広域公園前ー西広島駅開業(2030年代)があり、特に広電の広島駅舎内への乗り入れは、富山駅内への路面電車乗り入れや小倉駅舎へのモノレール乗り入れに匹敵するインパクトとなります。

路面電車高速化は道半ば

 広島の交通・開発情報については、いつも参考にさせてもらっている、

AND BUILD HIROSHIMA(アンドビルド広島) (ab-hiroshima.com)

さんの充実した記事をご覧いただければと思います。

 広島に対する基本的な印象は訪問時と比較して、いい意味でも悪い意味でもそれほど変わっていません。

 雑感として、地下鉄が地盤や建設費の問題で当時の運輸省から建設が認められなかった反面、デルタ地帯に面的に残った路面電車をうまく活用しているとは思います。

 西広島駅や横川駅のように乗換駅のリニューアルも進んでいる他、車両面のアップデートは進み、長編成の低床型電車がかなり導入され、輸送能力はアップしながらも、ただ、120万都市の基幹交通機関としてはいかんせん”遅い、遅すぎる”という面に対する解決が進んでいないようです。

 今回のJR広島駅高架乗り入れ工事に合わせて、駅前の線路を短絡し数分は所要時間が短縮されそうですが、バスよりも遅いという問題は解決が難しい。乗降車時間の短縮のための、「信用乗車方式」もICカード限定で徐々に進んでいるようですが、外の住人から見る限りでは、宮島線方面へのバイパス線(西観音町ー白神社付近)を平和大通りに建設すれば都心部の紙屋町・八丁堀を経由できるし、比較的低コストで、5分以上の短縮効果があるのではと思いますが、路面電車を通すためには一部橋の架け替えが必要になるということで、中々進んでいないとのこと。

 ただ、費用対効果が絶望的なアストラムの都心部延伸の代わりとしてであれば、橋の架け替えしても十分に安価で改善効果が見込めるのではと思いますが、市の財政状況と事業者の思惑もあり、難しいようですね。

その後の仙台の軌道系交通機関の進化

 前回の広島訪問時は、「広島便利過ぎ!仙台ボロ負け」と感じた理由としては、広島の軌道系交通機関はフリクエンシーが確保され、10分以上待つことがほぼ皆無だったことと、仙台の交通機関が不便過ぎたのが理由ですが、その後仙台の軌道系交通機関は

 2007年 空港アクセス線の開業と東北本線(仙台ー名取間)の大幅増便

  同   新型車両E721系の導入

 2015年 仙石東北ラインの開業と仙石線各駅停車へ統一

  同   地下鉄東西線の開業で地下鉄が2路線となり、市内を面的にカバー

 2020年 東北本線仙台以南のパターンダイヤ化(5~10分間隔に)

 など、今後はあり得ないであろう新規路線の開業が2路線(+α:仙石東北ライン)もあり、ハード的にも大きく改善されました。

 また、待ち時間が約10分以下という条件を満たすのは地下鉄南北線、東西線、東北本線仙台ー名取間、仙石線の昼間以外と、この20年でだいぶ利用しやすくなった印象で、たまたま仙台での交通機関の進化が進んだ時期だったので、都市規模で上回る広島市の改善の動きが相対的に遅く感じられた印象です。とはいえ、

  JR   広島>仙台

  JR以外 仙台(地下鉄)>>広島(広電・アストラム)

  バス      広島>>仙台   

と、仙台は地下鉄2路線の強みはありながらも、JRはまだ広島の方が利便性が高いです。

郊外開発の傾向の違い

 広島では、可部線とアストラムラインが並行する北部方面だけでなく、広電宮島線と山陽本線が並行する佐伯区・廿日市市方面の鉄道沿線を中心に利便性の高い郊外住宅地が広がっています。住宅地開発には急峻すぎる地形もあり、郊外の開発は基本的にはJRやアストラムライン沿線を中心に行われています。郊外でも鉄道沿線にオレンジ色(8,000人/㎢以上)のエリアが広く広がっています。

 一部急峻な山を造成しての新興住宅地はあれども、面的にではない印象。

(広域の人口密度マップ)

Hiroshimawide

郊外に拡散した仙台

 一方、仙台は近年こそ利便性の高まった近年こそ鉄道沿線が好まれるようになりましたが、地下鉄開業以前の国鉄時代は比較的利便性の高いのは仙石線のみで東北本線は特急優先の都市間交通機関で使い物にならず。その後地下鉄南北線が開業するも、沿線の地価高騰で地下鉄駅近の戸建ては夢となり、クルマ依存型の郊外住宅地に住宅を求めざるを得ない状況となりました。

 急速に拡大した人口を収容するためとはいえ、仙石線や東北本線沿いの田んぼの開発が難しかったため、北西部の鉄道駅圏外のエリアを中心にダラダラと丘陵地開発が行われ、もはや取り返しがつかない状況です。一度拡大した市街地を閉じることは難しい。

Sendaiwide

 その地下鉄南北線も都市内の交通機関という性格は北仙台~富沢間で、北仙台以北は泉中央周辺ニュータウンへの郊外電車という性格が強く、実際この地下鉄南北線開業を見越して、泉中央駅からバス20~30分圏の富谷市を含む住宅地造成が急激に進み、更なる郊外化を促進した負の側面もあります。そのため、泉中央駅は仙台駅に続く2番目の25,000人/日 を超える乗車客を誇り、今は苦戦していますが、駅前型SCが成り立つ条件が整っていました。

 泉中央のアリオ 存続なるか?(4/24)

Izumiwide

 特に、富谷市の国道4号線に沿って北に伸びている新富谷ガーデンシティ、パルタウン大富などは地下鉄が泉中央駅まで整備され、仙台市中心部までの時間距離が短縮される前提で計画された郊外住宅地です。地価の安さから引っ越してきた住民に「地下鉄延伸」という夢物語をぶら下げて当選した市長もいますが、市中心部の人口密度が他の中枢都市と比較して低い仙台。都市圏の総人口が増えない中、これ以上既存鉄道沿線以外に市街地を拡散させる愚は犯すべきではない。

 関連記事

 なお、東京からの急激な地方分散政策が行われて、受け皿としての住宅需要が高まるのであれば別ですが、首都東京中心に動いているこの国で、首都圏の不動産価値が下がるような政策が行われるわけはない。逆にそのようなことがあれば、東日本大震災後の数万人の受け入れでさえ、地価やマンション価格が高騰し、郊外の負の遺産の住宅団地(愛島台、利府葉山)でさえ売れてしまった過去があるので、急激な状況の変化があってもあまり望ましいことにはならなそうです。

まとめ

 広島については、地形や地質の制約から市街地の拡大や軌道系交通機関の整備にも制約が生じてしまっている上、大阪と福岡という両大都市に挟まれ、岡山の影響を受けるなど、悪条件の中でも中四国一の120万都市として、産業面でも製造業とサービス業がバランスの取れた発展を遂げていると思っています。

 プロスポーツについても、野球、サッカー、バスケと全て仙台の上を言っており、スタジアムもマツダスタジアムに続いて念願のサッカー専用スタジアムも都心部に3万人収容で来春供用開始であるなど、時間をかけてでも粘り強く実現していく土壌があり羨ましい。

 仙台にとっては、まだまだいろんな意味で格上の都市。参考にすべきところは数多くあり、久しぶりに訪問してみたい!

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