県政

2023年10月28日 (土)

大型半導体工場が仙台近郊進出へ 場所はどこに?

 昨日の午後から、界隈はこのニュースで持ち切りになっていますが、宮城県内へ大型半導体工場が進出とのこと。

 第二地方銀行の連携を推進するSBIホールディングスが資金源となり、台湾では3位の力晶(PSMC)と組んでとのことですが、突然のニュースで驚いています。

台湾半導体、宮城に工場建設へ SBIと、地銀の資金調達

台湾の半導体受託生産大手の力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスが共同で、半導体工場を宮城県に建設する方針を固めたことが27日、分かった。事業規模は8千億~9千億円とみられる。SBIが「第4のメガバンク構想」を掲げて提携してきた地方銀行からの資金調達を検討する。

 PSMCは半導体の受注生産に特化した世界有数の企業だ。両社は日本国内に工場を新設すると7月に表明。全国25カ所を候補地とし、現地視察などを通して絞り込みを進めていた。

 PSMCと同業の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は熊本県菊陽町に第1工場を建設中で、同県内に第2工場の建設も検討している

(10/27共同通信)。

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TSMCで先鞭をつけた熊本

 国内では、コロナ禍でのパワー半導体不足による製造業への多大な影響が生じたこと、また台湾有事を見越して、熊本県の熊本市郊外である菊陽町へTSMCを誘致し立て続けに2棟の巨大工場を進出させることで、熊本は菊陽町の周辺自治体を含めて従業員の住居や関連工場の用地確保に向けた争奪戦が起こり、土地価格の2桁上昇が当たり前という局地的な土地バブルが生じています。

 経産省が支援するのであれば、熊本だけでなく国内でのリスクやチャンス分散も図って欲しいと思っていながら、同じ会社であれば近接した場所での操業が効率的なのでしょうが、熊本だけに兆単位の支援は不公平だなぁと感じていました。

 もちろん、かつて”シリコンロード”と言われた東北に対し、九州は”シリコンアイランド”として、半導体工場が多く立地していたという背景があり、今回の菊陽町のTSMCの建設地に隣接して、ユーザーとなるソニーの半導体工場が立地しているということ、地下水などの水源が豊富であること、そして原発が稼働し、電気料金も安定していることなど、誘致にあたってのメリットが大きいところがあります。

 また、現在は長く続く少子化により、若年層の労働力人口が激減しており、昔の企業誘致感覚で数多いる”労働力”を地元に留まらせるというよりは、一定の”技術者”を集めてこなければならず、、何もない田舎に集めてくることは厳しい状況。

 なので、街中も元気で都市的な要素が残っている熊本市は70万人といえども政令指定都市であり、菊陽町はその熊本市の近郊で九州新幹線熊本駅から接続する豊肥本線で30分ほどの人口4万人を超えるベッドタウンの街。菊陽町は羽田、そして台北とを結ぶ「阿蘇くまもと空港」に近接し、九州道や八代港という高速交通インフラも比較的近く、地元だけでなく、熊本市や他都市からも技術者を呼んできやすい、そして家族で生活するのにも支障がない都市機能を持っています。

全国に半導体工場進出が拡大

 TSMCの第2期も熊本と、不公平感を感じていたところでしたが、従来から立地していた東広島市の米半導体大手マイクロンへの経産省の支援に続き、オールジャパンでの国策会社ラピタスが北海道千歳市への進出が約半年前の2月末に決まりました。

 千歳も、熊本と条件が似ているところがあり、200万都市札幌から30分圏で通勤も可能、当然ながら国内だけでなく、国際線も多数就航する北日本最大の新千歳空港に近接、苫小牧港も車で30分、道央道ICも近く。そして水資源も豊富、なにより広大な土地が格安で拡張の余地が大きいというメリットも。電気についても東北電力や東京電力管内よりは余裕があり(非常時の本州からの融通が難しいのがデメリットですが)。

 このラピダスの進出先選定の際に宮城県内も候補に残っていたとのことで、残念に思っていたところでしたが、結果的に、今回のSBIと力晶(PSMC)のコラボでの大規模半導体工場の立地として選定されたため、熊本県、広島県、北海道、そして宮城県と、結果的に中核地方都市を擁する4地方にバランスよく立地させ、経産省の支援を受けることになり、良かったと思っています。

 なお、”札仙広福”の中で「福岡」の代わりに「熊本」という構図となりましたが、福岡はもともと水資源がネックで、工業は北九州に任せ商業都市に特化した経緯もあり、九州の中のバランスを考えてもベストだったのでは。

 仙台近郊の強みとしては、研究開発と人材供給の面で東北大の存在が一番ながらも、世界的な半導体製造設備メーカーのグループである「東京エレクトロン宮城」も大きいでしょうね。また、女川原発の再稼働に目途がつき、少なくとも操業時には管内の電力事情が安定しているという目算も。

仙台近郊のどこに?

 今回のファクターとして、報道では「仙台市近辺の工業団地などが候補地」とあり、さらに「仙台」ではなく「宮城」に進出とあるので、仙台市外であることは確実です。

 本来、求められる要素としては、熊本の菊陽町や東広島市、千歳市の立地のように、都市近郊の鉄道沿線が望ましい(東広島市は市内に新幹線駅と在来線駅がありながら工業団地は多少駅から離れていますが)ところで、県内の工業団地の分布については、16年前のセントラル自動車(現 トヨタ自動車東日本)の誘致決定時とほとんど変わっていないのが残念なところ。よっぽど、キオクシア(旧 東芝メモリ)が巨大工場を建設している隣県北上市の方が母都市の生活環境が良いというのが。

  過去記事: 産業振興(セントラル自動車誘致他 (2007.10.11)

立地場所として理想は、

  • 母都市の生活機能が充実
  • 大都市(仙台)からの通勤も可能
  • 空港近く
  • 高速道路近く
  • 港が近く

 

 となると、熊本県菊陽町も千歳市も空港の近くなので、それに類するJR東北本線館腰駅周辺の名取市から岩沼市にかけての一帯が立地場所としては全ての要素を満たす最高の立地となります。

 ただ、既存の仙台空港南の工業団地に空きがなく、これから迅速な拡張は周りが農地とはいえ農振農用地の解除と地盤沈下対策、アクセス道路の整備などを考えると、2026年には到底間に合わない。そもそもJR東北本線の東側であれば津波浸水地域であり、それをどう評価するか。

 立地場所を抜きにして、工場自体に求められる要素は、

1 2026年に稼働可能

2 一般的に20ha以上の敷地が必要

3 第二期の拡張も視野

4 東京エレクトロン宮城に近い方が望ましい

 

との必要とされる要素から、現実的な候補地は限られています。

 

【対抗】 愛島台<1◎、2〇、3△、4△>

 名取市であれば、空いているのは、愛島台(愛島西部第2期)で20ha程度はありますが、第二期を見越すと新たな造成が必要で土地に余裕はありません。それにどん詰まりの一時期は開発が放棄された住宅団地に、1000名以上?の通勤者が生じることを考えると厳しい面はあります。

 ただし仙台方面からのクルマ以外での通勤者の足としては、JR館腰駅まで20分程度でそこから送迎バスを設定すれば20分と及第点。

 なにより、アクセス道路は高規格で、空港にもインターにも時間距離は近いという面が。あと水の確保がネックでもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Medeshima

 

【本命】第二仙台北部中核工業団地<1◎、2〇、3△、4〇>

 トヨタ自動車東日本大衡工場のすぐ近くで、東北道大衡ICにも程近いこの松の平3丁目の区画は20ha以上はありそうです。説明文にも令和7年4月分譲開始に向けて造成中とのことで、ユーザーになり得るトヨタ東日本の各工場にも程近くです。

 最も大きいのは、供給能力に余裕がある県の工業用水が団地内に整備され、既に配管が来ていること。あと東京エレクトロンも同じ黒川郡内で、クルマで30分と遠くはないということ。なお、仙台空港や仙台港には多少距離があるといっても、高速道路(東北道ー北部道路ー東部道路)で一直線で結ばれており、それほどネックにはならなそうです。

 生活環境については、トヨタ東日本も受け入れた実績があるし、大衡村には何もないとはいえ、富谷市・大和町には一定の郊外型商業施設・住宅団地があり、クルマがあれば普通に生活は可能です。ただ、仙台市方面からの通勤は泉区からが限界であり、トヨタ系に加えての大規模半導体工場立地となると、追加の交通渋滞対策が必要となる点がやはり気になります。現在でも、ラッシュ時には双方向の激しい渋滞が発生していますし、

 そうなると、これも以前から主張していることですが、隣接する東北道大衡ICに高速バス停留所を設けて、そこからマイクロバスなどで各工業団地の企業にフィーダー輸送ができないものかと。既に通過している古川・栗原・登米市方面の高速バスを停車させるだけだし、特に宮交の古川線は北隣の三本木で客扱いしているので、小さい投資で利便性が確保されることになるのではと。

 北部工業団地のIC設置構想 (結果的にETC専用ICではなくフルICとして整備されました)

 現在でも大衡村役場までは平日10往復の高速バスが発着していますが、通勤には使えない時間帯の運行である一方、東北道の北行きバスは既に古川や栗原、登米市方面への通勤用で仙台朝7時頃発の便が設定されているので、このような交通対策が講じられると良いのかなとは思うところ。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

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【穴】松島イノベーションヒルズ<1〇、2◎、3△、4△>

 面積が27haと意外にあります。三陸道の松島大郷や松島北ICからすぐで、仙台港や仙台空港へも高速道路で20~30分圏、そして、JR東北本線の愛宕駅から1kmと、比較的広域からの通勤が可能である立地です。ただ母都市である松島町は観光都市で、ベッドタウンとしての生活機能が弱いところがあり、その点大崎市鹿島台や塩釜市、利府町など周辺都市に依存することになります。

 また現在でも利府街道や国道45号など一般道の整備水準が弱いことから、インフラ面で不安はあります。

 そもそも、造成が間に合うのかと思って居ましたが、一応説明文には令和6年供用開始を目指しとあるので、現在進行形で進んでいるのかもしれません。

 沈滞気味の松島町や塩釜市、鹿島台方面への東北本線沿いへ好影響が想定され、また仙台市内からの鉄道通勤も可能な距離であることから、人材確保にはプラスと考えられます。県のバランス良い発展のためには、黒川地区に誘致企業を集積させるのではなく、開発規制が強すぎてこれまで産業面で日の当たらなかったこの地区を推しています。なお、松島北IC付近には東京エレクトロン系列の事業所が大和のテクノヒルズ進出以前から存在していることも、あり得ないことではないと思った理由でもあります。

詳しくはこちら⇒(宮城県企業立地ガイド)

Matsushima

 

【番外編】成田二期北(富谷市)

 最初、100ha以上あり拡張し放題のここが本命では?と思いながらも、調べてみると、区画整理でまだ環境アセス中。造成はこれからだし、南は北部道路、西は東北道に面し、幹線道路から全てこれから整備となると、10年後だったらともかく、ここは無理と感じました。とはいえ、工場拡張の際に土地がなければ、第二期開発には間に合うかもしれません。

 その他、東京エレクトロン宮城が立地する大和町のテクノヒルズも土地があれば大本命になるところ、既に空き区画は東京エレクトロン宮城が抑えており全て完売済であることから、ここもないだろうなと(拡張用地として東エレ取得済の土地を譲渡することはないでしょうし、そもそも11haしかない)。

 仙台圏以外で、高速交通網が整備されているところであれば、白石市にも新IC近接で造成中の「仙台南部工業団地」もあるし、母都市となる白石市への好影響もあり、仙台からの通勤も可能と、良い立地ではありますが、「仙台近郊の工業団地」という表現から、厳しいかなとは思いました。

 

やはり、第二仙台北部中核工業団地か?

 なにより、造成済でトヨタと近接、東京エレクトロン宮城とも遠くない、そして県の工業用水がふんだんに使えるという要素が大きいかと思いました。全国の25か所から選定されたということであれば、ここが一番強みを持つことも納得できます。正式な発表を待つこととします。

 

(あとがき)

 なお、先日の県議選の争点でもあった、村井知事が進める富谷への病院移転の背景として、この巨大工場誘致もあるかもしれません。黒川エリアに総合病院を誘致し、黒川エリア一帯の生活環境を底上げし、居住エリアとしてのイメージアップを図るという理由で。

 先日の村井知事と郡市長との論争を聞いて、

「鉄道沿線外でクルマ依存型のこのエリアに大病院を整備しても患者も医師・スタッフが集まらず、そして将来的な高齢化と人口減は否めず、仙台ではなく富谷に移転した方が将来的に病院の経営が行き詰るのでは」

と感じたところでしたが、黒川エリアへのさらなる企業誘致で人口増をもくろんでいるのかもしれません。まぁ、移転先の市長と既に話がついているような移転の進め方については違和感を拭えませんが、移転する法人(病院)の判断もあり、ここまで反対運動が広がるとどうなるのでしょうね。

※ 細部の表現を修正、及び一部加筆しました(10/29)

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2023年5月 7日 (日)

激化するSC戦争その3 イオンモール名取へ

 仙台圏南部で存在感を増すイオンモール名取。

 2007年2月末に仙台空港アクセス線杜せきのした駅前にダイヤモンドシティ名取エアリとしてオープンし、その後イオングループの再編で現在の店名へ。もう17年目になるんですね。

過去記事

試行錯誤が続く

 オープン時は、ジャスコと三越名取店を両端に配する2核1モール形式ながらも、早々に三越名取店が売り上げ不振で2009年に撤退した後に、1階にワールドのフラクサス、2階にコジマ、3階にダイソーとピュアキッズと、百貨店と比べた後継テナントの落差の大きさを感じ、その後も一時期はテナントの撤退と入替が続き順風満帆という訳ではなく試行錯誤していましたが、その現状を打開するために2019年に敷地北東側の杜せきのした駅とのデッキが繋がっていた駅隣接部分に約2万平米の商業床を増床し、現在の約8万平米に。ザ・モール長町&ララガーデンと比較し、一回り大きい規模に。

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過去記事

 仙台圏南部でオープン以来ザ・モール長町とララガーデン長町の牙城を崩し続けていながらも、実際に長町の両施設に異変が生じたのは、2019年の名取増床と2020年の新利府オープン後と感じます。もちろん両イオンモールの影響だけでなく、シネコンについては駅前のパルコ2へTOHOシネマズが2016年にオープンしたことも影響としては大きいにしても、イオンモール名取で名取市以南、新利府で宮城野区や若林区西部からの集客が落ちた印象が。

関連記事

空港アクセス線杜せきのした駅直結!

 駅を出て、右に曲がるとすぐ入口が見えます。徒歩30秒程度で入ることができ、増床前と比較するとかなり近くなっています。

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 なお、このアクセス線は2021年3月のダイヤ改正で昼間時間帯がきれいに20分間隔となり、杜せきのした駅を通過する快速1往復以外は、仙台方面が20分間隔の等間隔ダイヤとなり帰りの時刻が分かりやすくなったことも、来店者に対する割合は多くはないとはいえ、アクセス線の利用促進にもつながっているものと感じています。

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 これは夕方の時間帯でしたが、17時台からは約30分間隔となり、次の電車時刻を意識していないと厳しくはなります。

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 イオンモール名取については都心部や長町モールへの影響などの問題点はありながらも、評価できる面も多いと感じています。

名取市のイメージアップに

 仙台圏北部と比較してかつては仙南方面地縁者でなければ住居選択で選ばれ辛かった名取市方面。

 理由として、かつては、

  •  車両も古くランダムダイヤかつしょっちゅう遅れるJR線沿線
  •  名取市内でニュータウン的な街が駅遠の高館方面(ゆりが丘、那智が丘等)、愛島方面(愛の杜等)のみ
  •  大型SCが長町モールしかなく、名取市以南の商業環境はロードサイド型店舗のみ。
  •  高校の南北学区制のため、避けられがちの南学区(選択肢が狭く、教育環境が良くなかった)

それが、2007年以降は、

  •  アクセス線の開業による名取以北の増便かつ新型車両の導入で、使いづらいイメージを払拭
  •  これまで仙台圏ではあまりなかった駅近ニュータウン(名取りんくうタウン)が誕生
  •  仙台圏最大の大型モールオープン
  •  高校の学区制撤廃及び共学化で選択肢の拡大(二高も選べるように)

 ということで、震災の影響もありながらも、その後も名取りんくうタウンは仙台駅まで電車で直通20分前後という、泉や富谷のニュータウンと比較しての利便性の高さから、ほぼ新規分譲の余地がないほどの人気となっており、名取市の人口も8万人に迫る勢いです。

 それに、採算性が危ぶまれながらも県が何とか開業にこぎつけた仙台空港アクセス鉄道は、空港利用客だけでは成り立たず、途中駅開発を当てにして事業化にこぎつけたという背景があり、そのアクセス鉄道の利用者も空港利用者の増加とりんくうタウン居住者の増加、そしてこのイオンモール名取への従業員や来店者の利用が相まって、震災前になんとか当初目標の1日1万人に乗り、昼間の2両編成での混雑が問題になり4両編成への増結が行われる位になりました。

 単独では難しかった空港への鉄道アクセスの整備・利用客の確保に貢献しているという点も、社会的意義は大きいと感じるところ。

 なので、某町の無駄に巨大なSC(近くの人は便利かもしれないが、仙台都市圏として害が大きすぎる)と異なり一定の評価はしています。

回遊性の高いショッピングモール

 増床前の当初から、イオンスタイル側の核(西側)とユニクロ・コジマ側の核(東側)を3層で幅の広い吹き抜けの専門店街で結び、この吹き抜けを通じて特に意識をしなくとも吹き抜けを挟んだ上下階を含めた店舗を認識しやすいというのがメリットで、来場者及び出店しているテナントからすると死角となる店舗が少ないことが、回遊性の弱い長町モール&ララガーデンと比較しての強みと感じます。

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 なお、増床部分は吹き抜けなしのクローズドモールになっていますが、特筆すべきは曲線を描いている幅の広い通路で、ゆったり歩くことができるほか、通路の先の店舗も把握しやすくなっています(写真は増床時のもの)。また休憩できるスペースの多さも感じます。

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専門店の構成(長町モール&ララガーデンとの比較)

 イオンモール名取と長町モール&ララガーデンの専門店については、両方に展開しているところが多いですが、気づいたところを。

 ユニクロとGUは、旧三越名取店食料品売り場(その後ワールドが運営するフラクサス)だった1階の広大な売り場を分け合って店舗を展開しています。

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一方、長町モール及びララガーデンにはこのユニクロ・GUの両ブランドはありますが、ユニクロはララガーデン1階、GUはパート2の1階と、わざとなのか回遊しにくい商業施設群の両端に位置しています。

 その点、両方をはしごして見比べる気はおきず、その点イオンモール名取の方が利用しやすく感じます。

 一方、皮肉にも長町モール本館3階から撤退したFrancfrancの跡に入った3COINS+plusが、皮肉にもイオンモール名取では上下階に展開しています。

 なお、3coins+plusの規模としては、HPによると長町モール(超大型店)>イオンモール名取(大型店)とのこと。

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その他、両方のSCに展開している全国展開の専門店・テナントは多いです。

両方に出店: 
 雑貨 無印良品、3coins+plus,GLOBAL WORK、ダイソー、studioCLIP、yogibo
 ファッション ライトオン、ユニクロ、GU、タカキュー、ハニーズ、ORIHICA
 スポーツ・シューズ ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート ムラサキスポーツ、ASbee、ABCマート
 その他 島村楽器

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一方、

片方のみ出店
 長町モール&ララガーデン ロフト、H&M、トイザらス、アカチャンホンポ、セリア、ディズニーストア、212KITCHEN STORE など
 イオンモール名取 Francfranc、ニトリデコホーム、コジマ&ビックカメラ、ビレッジヴァンガード、スポーツオーソリティ、STANDARD PRODUCTS など

 なお、ブランドが異なる同業種の専門店については、シネコン(ムービックス、イオンシネマ)、書店(紀伊国屋書店、未来屋書店)などがそれぞれ出店しています。

 飲食店・食品系については割愛しましたが、各SCの色が出ていますね。意外に長町モール&ララガーデンのみに出店している専門店が多い一方、イオンモールの方が駐車場無料ということで滞在時間が長く買い回り品に強みがある印象で、家電店やスポーツ用品はイオンモール名取に強みがあります。

 ただし、それぞれのSC内になくとも、近隣に単独ロードサイド店として存在する場合もあるので、あくまでもワンストップで買い物ができる参考として見て下さい(トイザらス&ベビザらスは、イオンモール名取東側のアクロスプラザ内にあり、逆に長町モール近隣のあすと長町にゼビオとヤマダデンキがあるなど)

空きテナント状況

 勢いがあるように見えて、増床棟2階において空きスペースもありました。

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 フロアマップを見る限りでは、1階は空きスペース無しですが、2階と3階に計6区画あり、特に最上階3階のピュアキッズ側(東側)に4区画が集中しているなど、まんべんなく人の流れがあるようで一部弱いエリアがあるようです。

イオンモール名取|フロアガイド (natori-aeonmall.com)

 長町モールでも人の流れが弱いアウトドアスポーツ館の状況は厳しいですが、基本的に平日と週末の落差が小さい長町モール&ララガーデンと比較し、イオンモール名取は平日の弱さ故に週末頼みという、周辺人口や立地条件の差もあり、テナント料の高さから期待される売り上げのハードルは高いのかと。まぁ、一定程度の空きテナントは商業施設の新陳代謝のためには必要ではあります。

今後の両SCの行方

 仙台圏においては、今後イオンモール名取や長町モール&ララガーデンのような巨大SCが新規立地する余地はなさそうです。

 というのも、雨宮のイオンモールや、東西線六丁の目駅近くの仙台工業団地跡に出店が見込まれているららぽーとも、敷地面積の制約から、せいぜい長町モール本館クラスの規模(店舗面積4~5万平米)に留まるためです。

 

 もちろん、郊外だけではなく、郊外に対する都心部の商業機能も充実していって欲しいところですが、1か月程度延期となっているヨドバシ第一ビルオープンが控えているにせよ、それ以外の都心部の構想中の再開発(旧さくら野、藤崎、フォーラス、イオン仙台店等)は大分先の話となってしまうことから、他の地方政令市での札幌駅や福岡の博多駅ビル、新潟市の万代シティのように都心部のワンストップで買い物ができる都心部のSC機能が弱い面がある以上、郊外でのファミリー向けの買い物需要を満たすSCはある程度は必要なので。

 そうすると、両者が郊外型かつ駅前SCとして切磋琢磨しながら共存していくことが望ましいと考えています。

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2023年4月27日 (木)

未来の杜せんだい2023開幕&賑わう国際センター駅

さて,前回記事の続きです。

JR長町駅東口駅前広場再整備&バスで八木山動物公園駅へ

 八木山動物公園駅を発車し,乗客が疎らな車内を過ごしながら,青葉山で5名程度,川内駅でも10名程度と,車内の雰囲気は変わらずと思っていたら,国際センター駅で多くの乗客が乗ってきたと同時に,対向列車からも多くの人が降りてきました。

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 なお,青葉通一番町駅と国際センター駅は,基本上下線の電車が同時発車する駅(豆知識)。

集客力抜群の写真展

 「何かやっているのかな」と興味本位で下車し,改札をくぐったところには長蛇の列。。。それも女性だらけ💧

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 これでした。なお,3月12日の出来事です。「羽生結弦 写真とポスター展2023」が開催中でした。

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 3.11前後に羽生君のアイスショーは,利府の山の中でやっていることは知っていましたが,

基本的にあそこでやっているイベントには嫌悪感(と仕方なく行かれる方への同情)しか感じない。

でも,他都市からやってきた多くの参加者が,東西線に乗って,この関連イベントであるポスター展を訪れていることを目の当たりにして,「羽生くん様様」と感じました。

羽生結弦君のこの写真展には期間中で1万人以上は来ていたでしょうから,この方々が全て仙台駅から東西線を往復乗車したとすると,500万円近い収入となり,普段からガラガラと言われ,通勤通学利用が落ち込む週末において,イベント乗客の利用比重が高くなる東西線にとっては大きい。

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 会場の2階,青葉の風のテラスに向かう階段は大行列。並んでいる方はみんな楽しそう。

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 なお,行列は,国際センター駅舎内では収まらず,外の階段まで続いていました。

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 駅舎の外のサインパネルコーナーも,楽しそうに写真を撮る方々で人だかりが。

 ふと国際センター展示場を見ると,何か別のイベントが開催されているようで,防災関係の国際会議でした。

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 国際センター駅の賑わいと比較すると,あまり人の出入りはなかったですが,国際センター駅から徒歩1分の絶好の位置にある展示場。来場者にとっても仙台駅から乗車したら10分以内で到着することができる,来場者にやさしい施設です。

 仙台駅方面の電車には多くの帰りの乗客が乗ってきましたが,それでも座席が埋まって多少の立ち客が出る程度というのは,ミニサイズであっても4両編成の地下鉄ならではの輸送力。一編成の定員388名と考えると,これでも乗車率3割程度。

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 東西線もこのくらいの利用状況だと,安心します。

未来の杜せんだい2023開幕

 この国際センター駅近くの旧追廻,青葉山公園から西公園にかけてをメイン会場とし,4月26日より都市緑化フェアの「未来の杜せんだい2023」が開幕しました。6月18日までの約2か月弱の開催です。

 過去記事

  仙台で都市緑化フェア再び!? 2020.01.15

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大橋側には,シンボル的なインフォメーション施設の仙臺緑彩館・もりの庭園が恒久施設として整備されています。

初日の今日はあいにくの冷たい雨となりましたが,これからは仙台の気持ち良い新緑の季節で,都心部近くで開催される入場料不要のイベント,そして青葉山公園のオープニングイベントなので,目玉的なイベントが見えづらい気がしながらも,それなりの集客を集めそうです。

未来の杜せんだい2023ホームページ

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会場間を結ぶのは東西線

 街中会場の青葉通,定禅寺通はもちろん,東部会場の荒井駅上のメモリアル交流館,農業園芸センターや旧荒浜小学校と,各会場は東西線沿線沿いに集まっています。

 そのために,仙台MaaSを用いた1日パスが販売されます。

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1 名称 緑化フェア周遊パス
2 対象路線 【地下鉄】南北線・東西線
       【市バス】荒井駅~農業園芸センター前~震災遺構仙台市立荒浜小学校前
3 利用可能期間 4月26日~6月18日
         ※利用日の9日前から購入可能、1日間乗り放題
4 販売価格 【平日券】大人:1,000円
       【土・日・休日券】大人:800円
       ※大人1人につき、最大で小児(1才~小学生)5人まで無料
        (小児のみのご利用はできません)

 販売価格は,通常の一日乗車券に荒井駅からのバスが利用できる分として180円プラスされた金額。

正直通常の一日乗車券と比べてお得感は薄いですが,メリットとしては大人1人あたり子ども5人まで無料という点。

有人改札を通過する必要があるのはちょっと面倒に感じますが,フェア期間中は東西線がにぎわいそうですね。

普段からガラガラのイメージが強い東西線ですが,実は3月に博多駅まで延伸開業した福岡市の地下鉄七隈線(開業18年目)と延伸開業前時点の利用客数がそれほど変わらない。ミニ地下鉄かつ距離もほぼ同じなので,開業から8年目の東西線は意外に健闘しているかも。

土日祝日の10時台は6分半間隔に増発

 この緑化フェアの開催期間に合わせて,期間中の土日祝日の9時半頃から10時台の東西線が増発されます(仙台駅基準)

 会場方面の八木山動物公園駅行は通常の昼間時間帯は7分半間隔のところを,2往復増発し6分半間隔と,南北線よりも頻発運行となります。

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平日や土日休日の前後のダイヤと比較すると分かりますが,毎時8本⇒10本となります。

この時間帯は,毎時揃っている時刻のパターンがずれるので,普段お使いの方はやや注意が必要です。

車両が小さいことから会場に向かう方が集中すると混雑しがち(定員が南北線の約2/3)ですが,仙台駅から国際センター駅までは5分程度なので,混雑していてもあっというまに到着する距離ではありますが,おもてなしとして増発はありがたいです。

 なお,帰りの午後の時間帯の増発はなし。既存ダイヤで十分に運べると思われます

荒井行も9~10時台増発で,荒井駅付近の東部会場に向かう方にはやや便利になりますね。

間もなく改装 宮城県美術館

 この近隣の集客施設としては,宮城野原の県民会館への移転統合構想が撤回となり,無事現地存続の運びとなった宮城県美術館。

 リニューアルは統合騒ぎの前の計画よりも縮小されながらも,老朽化対策を中心にこの緑化フェア終了と同時に,6月19日より約2年間の休館に入ります。2年後のリニューアルオープンに期待。

基本設計のポイント
1.老朽化対策
 ① 空調・熱源等の各種設備更新 
 ② 外構・屋上防水等の劣化箇所修繕
2.社会状況やニーズの変化への対応
 ① 現講堂をキッズ・スタジオ(仮称),新県民ギャラリーへ用途変更します
 ② 現図書室,現映像室を情報・交流ラウンジ(仮称)へ用途変更します
 ③ 現県民ギャラリーを新展示室,新収蔵庫へ用途変更し,「見える収蔵庫」を設置します
 ④ レストラン,ミュージアムショップの拡充,トイレ設備更新,授乳室新設等を実施します
詳細はこちら(PDF)

 

 美術館へは,昨秋のフェルメール展の時に訪問しました。

 移転統合騒ぎが収まってから初めて訪れましたが,やはりこの中庭の空間はおちつきました。

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カフェモーツアルト・フィガロのテラスにて,家族とランチをしました。

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フェルメール展は以前も来た事がありましたが,この絵にこんなエピソードがあったとは。

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移転統合の場合,建物の取り壊しや譲渡が条件だったので,このアリスの庭が失われてしまった世界線を考えると,撤回となって良かったと感じます。例の4病院問題ももやもやします。

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仙台は得てして古くて価値があるものを惜しげもなく壊してしまうことが多いので,この空間が今後50年と残るために,しっかりリニューアルして欲しいです。新しい美術館を楽しみにしています。

 東西線沿線のこのエリアは観光地もあり緑化フェアも含めた様々なイベントが開催され,楽しみが多いですね。これからの気候の良い季節。もっと訪れたいと思います。

 

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2022年12月25日 (日)

久々の新潟 その(7)新潟の強みとクルマ社会の功罪

さて,このシリーズもどのように締めようかと思いながら,年末になってしまいました。

〈前回記事〉

 久々の新潟 その(6)高架化されたJR新潟駅 

 仙台市と新潟市,同じ東北電力管内の二大政令市で,ともに東京からの新幹線で最短約90分というところは共通ながらも,他の要素はあまり似たところがないのが面白いと思い,その点を中心に記事にしてきました。

両都市の比較表

  仙台市 新潟市
人口 109万人(旧市域約80万) 78万人(旧市域約50万)
地形 丘陵地と平野の境目 ほぼ平野
主要駅 在来線は地上のまま。新幹線ホームはメイン口側。駅ビルを含め,商業機能が集積。 在来線は今年高架化完成。新幹線ホームは裏口側。駅ビルなど商業機能は弱い。
鉄道(JR) JR4方向+東北新幹線 JR3方向+上越新幹線
鉄道(その他) 地下鉄南北線・東西線 ―(新潟交通軌道線廃止)
バス 市営バス中心,宮交等が補完 新潟交通(BRT含む)

道路(一般道)

都心部は戦災復興で片側3~4車線と街路水準が高いが,郊外方面は西道路以外ほぼ平面交差。都市計画道路も細切れ多し。 都心部は片側2車線が多いが,郊外は全長30km以上の新新バイパスを軸に,主要国道は立体交差処理。一方,それ以外の都市計画道路整備率は低い。

道路(高速道)

東京方面は東北道と常磐道。市の外縁部は環状化(東北道,仙台東部・南部・北部道,三陸道)。 東京方面には北陸道,福島方面には磐越道。市内でバイパスと並行する日本海東北道は存在感薄し。
空港 市外に立地。アクセス鉄道あり。 市内に立地。バスのみ。
スタジアム 野球もサッカー場も駅近 野球もサッカー場もIC近く
大規模SC 都心部のSCは駅ビル(エスパル)。(計画:イオンモール雨宮)。郊外は地下鉄駅前の長町のザ・モール,泉中央アリオ&セルバ。一方巨大イオンモールが市外2か所に立地 都心部に疑似巨大SCの万代シテイ。郊外の幹線道路沿いには数か所イオン・アピタなどのSCあるが,大規模なものはない。
百貨店 藤崎・三越(さくら野閉店) 伊勢丹(三越・大和閉店)
アーケード 仙台駅から一番町まで連続 古町に平行して複数
地下街 なし 古町に西堀ローサ
都市構造 仙台駅中心+一番町(アーケード) 万代シテイ中心+古町+新潟駅前
コンベンション施設 都心部に中規模(市:国際センター),郊外に大規模(県:夢メッセ)に分散。 都心部にホテル・会議場併設大規模展示場(朱鷺メッセ)
親水空間 仙台港は街中から10km。広瀬川も都心部外縁で,基本は内陸都市。 日本海が街中から近い。信濃川が都心部を二分し,水辺が身近
高等教育機関 学都。東北大,学院大の存在感強し。 全国屈指の専門学校進学率。
影響圏 東北一円 新潟県内のみ

新潟市の強み

 人口規模やブロックを統括する中枢機能,地下鉄などの都市機能全般については,当然ながら仙台に分がありますが,部分的には新潟市に強みがある分野も存在します。

①都心部の大規模商業施設

 都心部については,巨大疑似SCの万代シテイの存在が強みになっている点は記事にしましたが,旧来型のアーケードが衰退し,新潟駅前の商業機能が弱い一方,都心部にこれだけの商業機能が集積しているのは一点集中型の良さであり,バスターミナルを併設しているため,公共交通の利用促進の相乗効果も見込めます。

参考記事

久々の新潟 その(4)仙台の都心部の商業集積について考えさせられた

②都心部のコンベンション機能

 新幹線駅から徒歩圏に存在する朱鷺メッセは学会や大規模ライブで頻繁に活用され,来年はG7財務相会合の舞台になるなど,政令市移行前に新潟県が整備したコンベンション施設(展示ホール・会議棟・ホテル)が結果的に強みとなっています。

 また,大規模ライブの会場が都心部の朱鷺メッセ(最大キャパ約8千人)一択となっているのは,スタンド席がなくアリーナのみ平面で見にくいという欠点はあれども,立地は本当に羨ましい。

 仙台では最も大きいアリーナ施設である,県営体育館(セキスイハイムスーパーアリーナ)がよりによって隣町の駅から徒歩50分かつ仙台駅からシャトルバス1時間(最大キャパ7千人)というクソ立地であるため,キャパ重視の大物のライブには全く行く気になれず,東京方面からの遠征の方にとっては本当にお疲れ様というか申し訳ない。神会場のあすと長町のゼビオアリーナ(最大キャパ6千人)がもう少しキャパが大きければ良かったのですが。

 コンベンションでも,仙台は郊外に県運営の夢メッセ(展示場は朱鷺メッセに匹敵する7500平米だが,会議棟は小規模),都心部かつ東北大に隣接し地下鉄駅直結の市国際センター(1000人収容の大ホールを含め会議棟は充実しているが,展示棟が3000平米と小さい)と五十歩百歩で,ともにホテル併設ではなくワンストップではないところが,近年の会議誘致が伸び悩んでいる原因にもなっている印象です。

 放射光施設ナノテラス整備に絡めて誘致に成功した来年のG7科学技術相会合は秋保温泉の佐勘が選ばれたとか。警備の都合は分かるにしても,そのナノテラスに近い,せっかく展示棟を整備した国際センターが前回に続いて使われないという勿体なさ。まぁ,地下鉄東西線駅に隣接するため,警備に気を遣うということはあるのでしょうが。地下鉄を止める訳にもいかないし。

参考記事

国連防災会議開幕&国際会議誘致について

 (2015.03.14)

③圧倒的なバイパス網

 それに,新潟市といえば,何といってもバイパス道路整備水準の高さが特筆的。特に新発田市から新潟市西区まで約37kmを無信号の立体交差,片側2~3車線で結ぶ新新・新潟・新潟西バイパスの圧倒的な存在感。

 仙台近郊の4号バイパスで37㎞といったら,北部道路富谷IC入口交差点から,岩沼市の6号線との分岐交差点までの距離に匹敵します。その区間が無料の信号なし立体交差道路というのは頭がクラクラします。この区間が仮に無料バイパスだったら,誰も1000円払って北部・東部道路を通る気にならないよね。

 しかし,新潟ではこのバイパスに平行して日本海東北道というネクスコの有料高速道路が通っていますが,並行部分のうち約半分(豊栄SA以東)は暫定片側1車線という高速道路に誰が1,000円出して通るんだろう?

参考記事

仙台と新潟(道路編)(2006.12.13)

 それに紫竹山ICで接続する国道49号も一定区間は高規格な全区間立体交差化が進んでおり,新潟でバイパスといえば立体交差の無料幹線道路を意味します。

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(wikipedia:Hksn127 作成より引用)

 現在は,都心部方面の栗の木バイパスが工事中で,完成すると新潟バイパスから朱鷺メッセや古町付近まで高架道路で直結するとか,道路整備への投資は止まらないようです。

 大部分の都市では,国道バイパスは平面交差で費用節減で建設したものの,沿道へ業務・商業・サービス施設が張り付き,走行速度が低下し,渋滞が多発するようになってから,仙台の4号バイパス(箱堤交差点,鹿又交差点~名取大橋)のように長期間と費用をかけて一部立体交差化を図ったり,さらなるバイパスを建設するなど後手後手に回っていることが多いです。

 一方,新潟市では開発が進んでいない時期に新潟バイパスを自動車専用の完全立体交差で建設したため,当然ながら沿道にロードサイド商業が張り付くことはあり得ず,接続するIC周辺の幹線道路にロードサイド商業が留まり,バイパス自体の走行速度は比較的保たれています。ロードサイド商業の張り付きがないことから予定されていた6車線への拡幅も比較的スムーズに進み,ある意味先見の明がありました。

 その分浮いた費用を,接続する新新バイパス,国道116号新潟西バイパスと東西への延伸,更に南側に接続する国道49号の立体交差化に予算を付けることができ,今度は都心部方面の栗の木バイパスへと,ますます道路整備が進むという好循環となっているようです。

 一日の交通量が10万台程度と,横浜の首都高と横浜町田ICを結ぶ国道16号保土ヶ谷バイパスと匹敵する交通量は,驚愕するしかない。

新潟バイパス50周年記念【新潟国道事務所】 (mlit.go.jp)

新潟スタイル

 しかし,この圧倒的なバイパスが便利過ぎて,目的地へのアクセスがこのバイパスからの近さが基準になっています。

①集客施設がクルマアクセス最優先

 例えば,ワールドカップに向けてアルビレックス新潟のホームスタジアムとして整備された現在のデンカビッグスワンスタジアムも,バイパスICからほど近く高速道路の新潟中央IC至近の鳥屋野潟地区に整備されました。

デンカビッグスワンスタジアム (denka-bigswan.com)

4万人収容で行き帰りの交通アクセスを考えると駅近に整備するのが常識ながらも,幹線道路からのアクセスを重視し,2本のバイパスと2本の高速道路が集まり,一か所のICに集中しないようにクルマを処理することができる立地で,大規模駐車場を併設したアメリカタイプが,県内一円からのアクセスの容易さとうまくはまって,人気がピークの一時期は毎試合満員の観客をこの道路網でさばけてしまっていましたのはある意味凄い。

なお,わが県でもW杯スタジアムは新潟よりも酷い場所に整備したため,2つの高速道路が集まる場所に整備した割には,山の上かつ住宅地の中なので大規模イベントでは駐車場ありませんとか,よっぽど運用が酷い状況だったためか,結果的に数年に一度の代表戦とコロナ禍の東京オリンピック以外ではほぼ使われないスタンド部分が宝の持ち腐れになっているという黒歴史なので,新潟県のことをとやかく言うことはできません。。。交通至便なサッカー専用のユアスタの存在がなかったらと考えると恐ろしくなります。

 更に,隣接地に野球場のハードオフエコスタ(3万人収容)を,ビッグスワンの隣接地に2009年にオープン。せいぜい週1開催のJリーグだったらともかく,この立地で週6試合開催もあり得るプロ野球の本拠地誘致を打ち出しているのは,ビジター客も行きづらいし,ビールが飲めない野球場はスタジアムの収益面でも厳しいと思うのですが,ある意味割り切り方が凄い。でも12球団から16球団への拡張が行われれば十分可能性がありそうだったりします。

HARD OFF ECOスタジアム新潟 (hardoff-eco-stadium.jp)

 市民病院も,2007年に同じエリアに移転オープンと,クルマの便は良いにしても,公共交通がバスのみのエリアにここまで集客施設を集めてしまっています。

②公共交通への市民の理解不足

 それで,新潟バイパスを基準として,東側の新新バイパス,西側の新潟西バイパス,南側の亀田バイパスに続き,北側都心方面の栗の木バイパスと,バイパスを延ばすことには市民の理解は得られながらも,自動車交通分担率70%という驚異的な高さから,公共交通の改善には理解が得られないという悲しい状況となっています。

 80万政令市としてはJRは比較的利便性が高いですが,JR以外の交通機関としては,2015年9月に運行が開始された,将来のLRT化を見据えた都心部のBRT(バス輸送システム)についても,連接バスの導入が議会でケチが付き,予定の半分しか導入できなかったことや,専用レーン化も進まず,将来のLRT化はもちろん,BRTとしてもこれ以上の改善は絶望的な状況です。

参考記事

 久々に新潟へ その(2)BRT初乗車(2022.08.03)

 新潟のBRT雑感とバス相互の乗り継ぎ (2015.09.14)

 仙台と新潟(公共交通機関) (2006.12.16)

 これは,実際乗車して,感じたところでもありますが,バス停や案内を便利にしたことは評価できるとしても,結局ただのバスでしかなく,輸送力もなく,連接バスの導入が限定的であることからシンボル性も感じることができず,中途半端な存在に陥っていました。

 将来を見据えたバスの効率的な運行のために,都心部と郊外路線の分離と乗り継ぎを進めるという理念は良かったものの,ここまで市民の理解が得られないのでは,進められるはずもない。

 その一方,新潟空港への鉄道アクセスに新幹線という話が再浮上しているようですが,これは茨城県でTX(つくばエクスプレス)を茨城空港や水戸に延伸する構想と共通している点が,捕らぬ狸の皮算用で首都圏方面からの利用者に期待して,夢物語の延伸を打ち出している点。ともに現在の空港利用者数は到底アクセス鉄道が成り立つ水準でない上,大クルマ社会で決して自県民の利用は限定的でしょうに。そもそも,両県とも,県庁を駅から遠い郊外に移転させたり,突然夢物語の話が出てくるというのが共通点を感じたり。

高規格な道路整備の功罪

 とはいえ,新潟市民や県民の大部分は全くこのクルマ社会に疑問を感じておらず,行政も企業もこの高規格な道路網を前提として各種集客施設を配置し,全体的にクルマ社会に満足しているように見えるので,これもありなのかもしれません。人口80万の政令市としての都市機能がそこそこ集積していながら,クルマで自由に動け,JR等の最低限の公共交通機関が整備されているという絶妙なバランスを感じました。

 一方,新潟市の高規格バイパス網がまちづくりと都市機能の分布にもたらしたことを考えると,道路整備がそれ以上のクルマ依存を生んでしまったり,クルマ依存の商業地や住宅地の広がりを招いてしまうなど,近視眼的には便利になりながらも,持続的な都市運営を考えると,功罪を感じます。観光や会議,サッカー,ライブなどで他都市から多くの新幹線などでの来訪者がありますが,分かりやすい公共交通機関が少なく,クルマを持たない他都市からの学生にとっても住みにくさを感じてしまい,卒業後の人口流出を招いている一因ともなっているようです。

 新潟市では先週からの大雪で,自慢のバイパスを含め,都心部の道路の麻痺状態が続いています。当然ながら公共交通もJRが運休し,バスも数時間の遅れという状態で,平年はめったに大雪にならないという新潟市は大変な状況。

 その点は同じく大雪はめったに降らない仙台市では2014年2月に過去最高の積雪35センチを記録し1か月位雪が残って難儀しましたが,その時も地下鉄は平常どおりに運行し,頼もしかった記憶があります。その点クルマが使えなくとも選択肢があるのは精神的に楽です。

 仙台では,都心部は戦災復興で都市計画道路が整備されていましたが,高度成長期以降の急速な人口流入の受け皿として道路整備のあてがないまま北部丘陵地を中心に進められた民間の大規模ニュータウン整備を受け入れざるを得ませんでした。それらの市北部のニュータウンとの間の道路が未整備で,限られた幹線道路である県道仙台泉線(旧4号)などが毎日大渋滞を引き起こしていたことが,その当時の60万都市としては無謀と思われた地下鉄整備のきっかけとなりました。

 その後予算が限られながらも細々と都市計画道路の整備を進めていますが,国道4号や286号バイパスもだらだらと平面交差が続くなど,決して充実した整備状況ではなく,渋滞も多発しています。よって,クルマ依存にも限界がある状況から,既存のJR線も沿線への新駅設置,空港アクセス線,JR仙石線の地下化などの整備が進み,渋滞対策で建設された地下鉄など,バス利用者は減少していますが,鉄道を中心とする公共交通機関の利便性は格段に高まりました。この仙台駅を中心とする8方向への鉄道路線の存在が,都心部への集積と沿線への集客施設の配置を進めるきっかけとなり,近年は東西線も開業するなど沿線にてメリハリのある市街地整備を進めることができています。 

 仙台の郊外の道路整備が遅れたことで,結果的に地下鉄などが整備され,ある程度公共交通が使える都市として今に至るという面もあるのかなと感じました。

都市の個性

 仙台市と新潟市。それぞれ置かれた条件は異なるところはあり,都市の個性が違うと,興味深く観察してしまいます。

 他都市を観察すると,ついついないものねだりになりがちですが,自都市を見つめなおすきっかけにもなりますね。来年こそは,もう少し旅行で遠い都市に行ってみたいと思っています。特に15年以上行っていない福岡や広島,高松などの西日本の都市に。

【久々の新潟編 了】

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2022年8月13日 (土)

JR東日本 ローカル線の行方

JR東日本からの衝撃的な発表

 7月28日に,コロナによる減収に苦しむJR東日本から,「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」とのタイトルで,輸送密度2000人未満の線区発表がありました。今後存続の可否について協議対象とされるのは,このうち輸送密度1000未満で,特急や貨物列車の運行がないような路線を中心になりそうですが,ある程度分かっていながらも,改めて数字として突きつけられると,かなり衝撃的なものでした。

 大会社のJRの運営なのだからと,見て見ぬふりをしていた沿線自治体にとっても,衝撃的で,今後の存廃について協議入りを求められるとなると,真剣に向き合わなければいけない状況です。

 このようなローカル線の経営状態の公表は,コロナ前から恒常的な経営難に苦しむJR北海道が先んじ,コロナ禍による経営状態の悪化により,JR四国・九州・そして西日本からの発表が行われ,最後に赤字額が莫大となったJR東日本からの発表となりました(JR東海は発表を行わず)。

 そもそも国鉄民営化から早35年。自分は国鉄時代の記憶は辛うじてという位で,長い月日が経過しています。

 コロナ前時点であれば,東京一極集中により東京通勤圏では輸送量は大幅に伸び,湘南新宿ライン・上野東京ラインをはじめとした輸送体系の改善や輸送力の増強が行われていましたが,コロナ禍でのテレワーク推進やイベントや観光などの不要不急の移動の自粛により,これまで増強し続けた輸送力が遊んでしまうほどの需要激減に襲われました。(以下の輸送人員の推移は,JR東日本ホームページから引用)

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 地方都市圏でも,仙台や新潟をはじめ,宇都宮や高崎,水戸,盛岡近郊では,輸送改善の効果で概ね増加した時期はありましたが,既にコロナ前の時点で少子化での学生の減少や団塊の世代のリタイヤなどで,概ね微増か横ばいにとどまっていました(激増の仙山線を除く)。

 そして,首都圏ほどではないにせよ,コロナの影響で概ね2~3割減の需要となってしまいました。

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 それ以外の県庁所在地近郊や首都圏郊外輸送レベルでは,学生の減少とそれ以上のクルマ社会化で大人の利用者の激減,一部高速バスとの競合に敗れた等の理由で,JR化後の30年間で輸送密度が半減している区間もあるなど厳しい状況で,コロナの影響は相対的に小さいにせよ,それなりにダメージを受けました。

ローカル線区の将来

 そして,都市圏や都市間輸送以外のいわゆるローカル線については,これまで輸送量の激減で,JR東日本としてもワンマン化,減便,減車などの合理化を図りながらも,新幹線や首都圏輸送,子会社による商業部門の利益(ホテル・駅ビル等)もあり,メンテナンス費用の合理化を目的とした新車投入が行われるなど前向きな動きもあり,被災路線以外はなんとか維持していくような方向性だったのが,コロナ禍によるJR東日本として年間数千億に上る赤字計上で,突如それどころではない状況となってしまいました。

 JR化から30年を過ぎ,輸送密度半減は当たり前。7~9割減という線区もゴロゴロあるような状況で,これでよく運営してきたという感想を持たざるを得ないところがあります。

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 その中で,東北地方では,本線級でも厳しいところはあるにせよ,山越えの県境を越える路線を中心に,壊滅的な輸送密度と営業係数が明らかになりました。

 北から,大湊線,花輪線,山田線,北上線,大船渡線,陸羽東線,陸羽西線,米坂線,磐越東線など予想された線区の他にも,磐越西線の新潟県境の一部区間なども対象になるなど,ほとんどの山越え路線が対象になってしまいました。他にも観光列車の「リゾートしらかみ」が運行されており,遠方からの新幹線経由での誘客効果が大きく,存続の方向性であろう五能線も輸送密度からすると協議対象になってしまいます。

自治体の反応はまちまち

 案の定というか,宮城県の村井知事はJRと自治体の協議入りに前向きな姿勢を示しました。

 震災後に,三陸鉄道としての復旧に拘った岩手県と異なり,これまで気仙沼線や大船渡線のBRT化に対し特に反対もせず,さらに令和元年に阿武急が台風被災した際にも県境部分の鉄道復旧に拘らないという姿勢を示しているなど,都市部以外の鉄道としての効果が発揮できない区間について,頑張って残すという意向は示さないようです(阿武急は車両基地を持つ福島県側の存続意向も大きかったのでしょう)。

 基礎自治体としても,気仙沼市は大船渡線の残存区間の存続については,一関市次第という発言をしており,気仙沼線(柳津ー気仙沼),大船渡線(気仙沼ー盛)がBRT化され,利便性が向上したことから,費用負担してまで鉄道に拘るという姿勢は示していません。三陸道経由で仙台まで2時間強の高速バスが運行されていること,新幹線アクセスとして,大船渡線よりも284号経由のバスの方が本数も運賃面でも優位であることもあるでしょう。

 また,気仙沼線の残る区間(柳津ー前谷地)については,既に一部BRT路線の延長区間として運用されていることから,廃線と完全BRT化は避けられないでしょう。志津川まで鉄道復旧しなかった時点で鉄道として残す意義は薄かった路線なので。

 一方,石巻線は貨物輸送があること,せっかく復旧させた末端の女川駅を含む区間があり,当面は存廃論議の対象外になりそうであり,加えてこの石巻線に小牛田で接続する陸羽東線が市域を貫く陸羽東線について,大崎市長は存続に向けて協議を行いたいとの姿勢を示しました。観光地である鳴子温泉への分かりやすいアクセスを失いたくないとの意向もあるのでしょう。新幹線のフィーダー路線としての位置付けもありますし。

 その衝撃的な発表があった直後の週末に,「小さな旅ホリデー・パス(南東北フリーエリア)」を購入し,その陸羽東線に乗ってきました。
そのレポは続編に続きます。

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2021年12月19日 (日)

22年春JRダイヤ改正発表 その1~アクセス線 まさかの増発で昼間20分間隔化~

 新型コロナウイルスが発生してから間もなく丸2年。

 秋になりデルタ株による第5波がようやく落ち着き,空港や新幹線を利用した旅行需要も回復基調にありながら,オミクロン株の流入により,感染再拡大に向けて予断を許さない状況。

 JR東日本では,首都圏の通勤通学需要がコロナ前比較で2割減,新幹線利用4割減という状況で,22年3月期決算は1600億円の赤字予想では,運行本数にも大ナタを振るわざるを得ず,今回の22年春のダイヤ改正発表を戦々恐々と待っていました。

 特に,今年の3月ダイヤ改正により画期的なパターンダイヤが導入され,非常に分かりやすくなった仙台駅以南の東北本線・常磐線・仙台空港アクセス線を含む区間のダイヤがどうなるかというのが個人的には最も心配でした。早速減便により昼間と夜間帯の10分間隔,夕ラッシュ時の5~10分間隔が崩れてしまうのではと。

 過去記事



 

仙台駅以南はほぼ現状維持

 発表内容を見ると,東北新幹線の大減便と臨時列車化は想定通りながらも,インパクトは大きいものでした。
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 他,驚きの内容としては,仙石線の白紙改正で,昼間毎時3本化と引き換えに改築された松島海岸駅アクセスの改善がありましたが,個人的には最寄り駅を通る仙台駅以南が気になっていたところ。

何と,仙台空港アクセス線が1往復増

 仙台駅発上り方面は,ほぼ現状維持とのことでホッとしました。減便は朝ラッシュ時の岩沼⇔仙台区間便3本が土休日運休になることが最も大きい位。

 一方,仙台空港アクセス線は,まさかの1往復増便と,まさに改正となりました。

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 仙台駅上り方面の昼間のダイヤは,今年3月に概ね10分おきときれいなパターンダイヤに大変身しており,

  東北本線  毎時2本:00分 20分

  アクセス線 毎時3本:10分 30分 50分

  常磐線   毎時1本:40分

と,非常に分かりやすくなっていましたが,唯一14時台のみアクセス線が毎時2本の20分と50分発で,その穴を岩沼行が埋める形になっていました。

 それが,14時台にアクセス線が1往復増発となり,11時~16時台は完全に毎時3本かつ20分おきと,ラストピースが埋まった感じです。その分その穴を埋めていた岩沼行が減便になりましたが,影響は小さいかと。

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昼間毎時3往復化の完成!

 このブログでも長年訴えていた,仙台空港アクセス線の昼間毎時3本のパターンダイヤ化が,開業から15年を経てようやく実現することになり,感無量の気持ちです。

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 仙台駅発は,10時30分~16時台までの時間は,完全に20分間隔(10分,30分,50分発)の分かりやすいダイヤとなります。

あとは,30分間隔の時間から移行する9時台とひたちの発車時間と被る10時台に,20分間隔のパターンが崩れる部分がありますが,これは及第点かと。なお,同様にひたちの発車時間と被っていた16時台はひたちの発車時刻が11分から6分発に前倒しされ,アクセス線が10分発でパターン化されました。

 空港発も,9時台から16時台まで同様に,8分,28分,48分というほぼ20分おきの分かりやすいダイヤとなりますが,1日1往復の快速のために12時台の発車時刻が16分発にずれることと,9時台と10時台が29分発になっていますが,まぁ空港発は飛行機で到着する時間がずれる可能性も高いので,20分待てば乗れるという安心感があるだけでも大きいです。

 それにしても,開業時の40往復から4往復しか増えてないのに,これだけ分かりやすいダイヤにできるというのは,今まで何だったのかという思いもありますが,乗客数の増加への対応,空港民営化による空港運営会社サイドからの要望,JR東日本側の歩み寄りといろいろあったのだろうなと。

 空港での飲食・お土産などの物販機能が弱いだけに,仙台駅発が20分おきであれば,仙台駅で搭乗前の用を済ませて空港に向かうにも分かりやすいし,ほぼ各駅停車で25分なので,チェックイン30分前に到着するための時間も計算しやすいというメリットもあります。

仙台駅朝発,空港発夜間帯が課題

 昼間が20分おきの完成されたダイヤになった反面,仙台駅発の夜間帯はほぼ30分おきのパターンダイヤ化されているので,ラッシュ時でこれ以上の増発が難しい時間帯であり,これはやむを得ないと思っていますが,空港発では概ね30分おきながらも,不等間隔が残り40分以上空く時間帯があったりします。

 仙台駅発は夕ラッシュに被る時間帯で増発は難しいけれど,空港発は極力20分おきにできないものかと。それは,朝の仙台駅発も同様。

 朝夕ラッシュ時は4両編成での運行が必須の時間帯であり,せめて朝の仙台駅発7~8時台,夕方の空港駅発17~20時台も毎時3本にできれば利便性は上がりますが,ラッシュ方面の増発は無理なことと,車両確保が課題で,そのためだけに2両―2両に解結・4両に増結を繰り返すのは,手間を考えると現実的ではないし,その時間帯のカバーのために,毎時1往復,空港駅ー名取駅間の区間列車を設定する位しか思い浮かばない。

 まぁ,コロナ禍の乗客減の中で,ここまで改善されたのは喜ばしいこと。コロナウイルスもなかなかしぶとく,国内線は復調傾向ながらも,国際線の復活にはまだ時間が必要でしょうが,将来的に利用客数が回復する中で,完全20分間隔化を模索してもらえればと期待します。

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2020年9月19日 (土)

ベガルタ仙台 債務超過を回避するために

 レディースチームのマイナビへの譲渡決定ニュースの際に,さりげなく8億の赤字見込みとの情報を流していたので,愕然とするとともにある程度の覚悟はしていましたが,このタイミングで,前期4億の赤字に続き,今期7億の赤字見込みとのニュースが流れました。

ベガルタレディース マイナビへチーム譲渡発表(9/2)

 本当に,気持ちがザワザワします。正直,悲しいし,腹立たしい思いです。

ベガルタ、3億5000万円債務超過 20年度見込み コロナで収入大幅減

サッカーJ1仙台などを運営するベガルタ仙台(仙台市)が、2020年度決算で約3億5000万円の債務超過に陥る見込みであることが17日、分かった。新型コロナウイルスの影響で入場料収入とスポンサー収入が大幅に減少し、営業収益が前年度比9億円減の約18億円まで落ち込むため。経営改善策の一環として、サポーターらに近く運営資金の募金を呼び掛ける。

 河北新報社の質問に菊池秀逸社長が書面で明らかにした。入場料収入は予算比5億4000万円減の1億5000万円、スポンサー収入は同3億円減の9億8000万円にとどまると試算。最終赤字は現チーム名となった1999年以降最大の約7億円を見込み、純資産3億5600万円を上回る。
 Jリーグの規定では、債務超過に陥るとリーグ参加資格となるクラブライセンスをはく奪されるが、今期は新型コロナによる特例措置で適用されない。菊池社長は「来期も特例措置を継続するかはリーグが今、検討中」と説明した。
 今後は経営改善を進める。19年度に約13億円を計上したチーム人件費は「リーグで最低の水準にあり、J1で戦い続けるには最低でも現在の金額が必要」と来期も維持する方針。経費削減に向け、1日にはマイナビベガルタ仙台レディースの経営権譲渡を発表したが、他の支出項目も「聖域を設けずに予算を削減する」とした。
 収入面では、感染予防による試合の入場制限が続き入場料収入の回復は見通せない。19年度並みの営業収入を達成するには「少なくとも15億円のスポンサー収入が必要」と強調。新規協賛の獲得や既存分の増額に力を注ぐという。
 募金活動は今月下旬から始める予定。クラウドファンディングや口座振り込み、ホームのユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)などで協力を求める。
 菊池社長は「債務超過の解消が最大の課題。自助努力で赤字額の圧縮に努めていく」とした(9/18河北より引用)。

なぜ社長自らの呼びかけがないの?

 チーム及び社長が自ら発表という形ではなく,「河北新報社の質問に,社長が書面で明らかにした」という形で,こんな深刻な事態が明るみに出るのが,非常に不本意。

 今期はコロナのせいなので,だれが社長をしていても当然大変さは変わらないにしても,昨年の4億の赤字は今年の大量選手補強のための先行投資だったはず。それが,けが人続出というアクシデントが生じているとはいえ,監督交代の判断も現体制でのこと。

 渡邉監督をクビにして木山監督への交代,何が起こったのかという赤字覚悟での怒涛の補強にも関わらず,今シーズンの歯車が噛み合わず悪くなる一方の成績。何からなにまで,裏目に出ているのを何とかするのも,トップの大きな役割では。

 これまで,表にでず何も危機的な情報を自ら発信せず,「マスコミを通じての書面での回答」で,サポーターに対しての寄付の呼びかけというのは,ホンキとは思えない。まずは自分の口で状況を説明して,できることはやったけれど,これだけは協力して欲しいと呼びかけるのが筋ではないか。

入場制限3400人の継続に疑問

 本日9月19日から,イベントの観客数の制限が緩和され,会場のキャパシティに関わらず一律5000人という上限規制が撤廃され,スポーツに関しては収容人員の50%までは収容が可能となりました。プロ野球もJリーグも徐々に観客数を増やしていく方法で,本日の試合では1万人超に入場可能数を増やし,豊田スタジアムでのグランパスの試合では1.2万人弱の入場者がありました。

 比較的前のめりのプロ野球に対し,感染拡大防止ガイドラインに基づき慎重なJリーグという構図ではありますが,経営危機のベガルタ仙台が,早々に観客数の上限を3400人から増やさずに運用するという発表をしたことについては,びっくりしました。慎重すぎるというか,ことなかれ主義というか。まずは少しずつ増やして行くというメッセージを発するべきでは。

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ベガルタ仙台、観客数増やさず3400人上限に運用

 J1仙台は12日、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、本拠地のユアスタ仙台(仙台市)の観客数を増やさず、当面は現在の約3400人を上限に運用すると発表した。観客同士の間隔を一定距離空ける措置を継続するため。
 ユアスタ仙台の場合、Jリーグの感染拡大防止ガイドラインに基づいて1メートル以上の間隔を確保するには、現在の上限を維持する必要があるとしている。
 Jリーグは11日、政府のイベント制限緩和の決定を受け、19日から観客数を緩和すると発表。上限を会場収容数の50%とし、収容数が1万7000人以上のスタジアムは30%程度から段階的に引き上げる。従来は上限5000人だった(9/13河北より引用)。

 基本的に,1.7万人以上のスタジアムの観客数上限を30%にでき,徐々に引き上げられることになったのであれば,そんな寄付なんてものではなく,入場料収入として堂々とサポーターからチケットを買ってもらえば良いのではないか。3割であれば約5,500人と最大2000人程度増やすことができ,それだけで単純計算で1試合500~800万円の収入増が見込める。

 それに,このチーム成績面での苦境を打破するためには,手拍子だけかもしれないが,入場可能なサポーターを増やすことで後押しにもなると考えないのだろうか。

 更に,徐々に収容人員の50%(約9000人超)を目標に増やして行けば,その収入増も更に期待できる。

 県から出ているイベントの対応方針でも,スポーツに関して慎重な対応は求められておらず,こんな危機的な状況で,お行儀良く観客数を自己規制しながら,スポンサーやサポーターに協力して下さいというのは,とても本気で考えているとは思えない。

 より経営的に厳しい状態が明らかなサガン鳥栖の本日主催試合では,5000人まで増やしていたし,様々な解決策を見極めていくにあたり,入場料収入の落ち込みをなるべく減らすことが最も容易な手段。

 近日仙台市以外での感染拡大が気になる状況ではありますが,プロ野球と異なり基本的に試合中はビールも売っていない(アルコール持ち込みも禁止)なので,マスクを外すことはプロ野球と比較しても少ないのではと思います。

このチームを守りたい

 ブランメル時代から通っているこのチームがなくなることは勿論嫌。これまで多くの感動をもらったし,ベガルタ仙台を応援することは日常そのもの。よって,当然寄付はするつもり。ただ,それ以外でも債務超過を回避するためにどのような手段が取れうるのか。その情報を待つことにしたいと思います。

 ただ,今回を乗り切ったとしても,このままの経営体制では早かれ遅かれ行き詰るのは確実。市民クラブを標ぼうし,このままの船頭多くして船山に上るような体制は,大企業の少ない宮城・仙台という地でチーム運営していくためにはやむを得なかったとしても,例えば,長年胸スポとしてスポンサーして頂いているアイリスオーヤマは近年更に業績を上げており,このようなときにこそ経営面を含めて関与を強めてもらっても良い。また,全く新しい企業に参画してもらうこともあり。少なくとも,株主企業の持ち回りで天下り的に社長を回しているのはもう無理なのでは。

 中々気持ちの整理はつきませんが,もう少し状況を見たいと思います。

 経営面も当然ですが,チームの成績も大事。明日のFC東京戦。まずは選手の奮起を信じています。

 

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2020年9月 9日 (水)

統合3病院の移転地に富谷市が名乗り?

 先日,突然明らかになった,県立(地方独立行政法人)のがんセンター(名取市),仙台赤十字病院(太白区八木山南),仙台労災病院(青葉区台原)という,宮城県の医療界で存在感を発揮する3つの病院の統合の動き。

宮城県立がんセンターなど3病院が連携、統合協議へ 高度な医療提供を目指す

宮城県立がんセンター(名取市、383床)と東北労災病院(仙台市青葉区、548床)、仙台赤十字病院(太白区、389床)について、県と各設置者が連携、統合に向けた協議の開始に合意したことが3日、分かった。増加傾向にある合併症への対応など、より高度な医療が提供できる体制の構築を目指す。近く協議を開始し、年内に具体的な方向性を判断する考え(以下略)。(8/4河北より引用)

 何故?と驚きましたが,理由として

 〇仙台労災病院を筆頭に,病院の建替えサイクルと言われる30年を過ぎている,又は過ぎつつあること

 〇がんは複合的な病気であることから病状により総合病院との連携が必須となり,がん専門病院での治療に限界があること

が挙げられるようです。

 とはいえ,3病院の経営母体は全く異なり,もともとの県立病院から経営が切り離され独法化されたがんセンター,東北労災病院は独立行政法人労働者健康安全機構,仙台赤十字病院は日本赤十字社と,いずれも公的な性格を持つ組織でありながらも,うまく統合できるのかと疑問はあります。「完全統合」と「各病院を残した上での連携」との選択肢があるようですが,病院の建替えが必至という状況であれば,統合ありきの構想に思えます。

 仮に,3病院の病床数を合わせると,1220床と東北大学病院に匹敵する数。効率化を考えると全ての病床枠を活用はしないだろうけれど,多少縮小しても1000床規模にはなるのではと。

 そうすると,多くの患者・家族だけでなく,医療スタッフの通勤を考えると,なるべく便利な場所,少なくとも鉄道駅から徒歩圏の場所が望ましいのではと思います。

 いずれにせよ,これだけの規模の大病院の統合には,10年スパンの検討・整備期間が必要でしょうね。

立地条件の良い3病院

 がんセンターこそ名取駅から多少距離はありますがそれでも名取市のコミュニティバス「なとりん号」で10分150円。最低限の本数はあり,決して不便ではありません。クルマでも仙台市中心部から30分程度。長町モールにつながる県道仙台館腰線からほど近く,特に仙南方面からは非常に行きやすい,名取市を代表する病院です。

 

 残りの2つの病院は,地下鉄駅から徒歩圏。

 仙台労災病院は街中からほど近く,北仙台と台原駅のちょうど間で両駅から徒歩圏だし,県道仙台泉線近くで車でも行きやすい。この幹線道路を経由する多くのバスも利用可能。

 仙台赤十字病院は5年前に開通した東西線の八木山動物公園駅のおかげで,急坂ながらも何とか駅徒歩圏に。また,バスでも動物公園駅から5分かからず到着可能(100円均一区間)だし,長町方面からも直通バスが毎時2本程度あります。

 車でも,郡山折立線と長町八木山線という2本の都市計画道路の整備により国道286号からのアクセスが劇的に良くなりました。

 統合という話になっても,いずれの病院も不便な場所ではないというところ。

 名取のがんセンターこそ駅からバス・タクシー必須ですが,県内一円からのアクセスとしては別に悪くはない。

 なので,基本的に敷地に余裕のあるがんセンター,もともと道路向かいへの建替えが想定されていた仙台赤十字病院を核に進めるのが良いのではと。仙台労災病院は市街地過ぎて拡張余地がないし,土地を売却することで,移転原資を生み出せそう。

 新たな場所に統合病院を作るにしても,既存の大病院とある程度離れたところが,医療機関の立地バランスからも望ましいとなると,結構限られると思っていました。

富谷市が移転先に名乗り!?

 その統合の話から約1か月,このタイミングで富谷市が統合新病院の移転先として名乗りを上げました。

 今朝の河北朝刊1面でデカデカと。Web版にはUPされていなかったので,紙面を引用させてもらいます。

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感想としては,

〇黒川郡には大病院がなく,バランスとしては悪くはない。土地のあてもあるとは,若生市長の嗅覚は鋭い。

〇県内一円を考えても,車でのアクセスは悪くはない。

〇とはいっても,これだけの大病院を”鉄道駅がない”富谷市内に立地させるのは,医療人材の地域バランスを崩し,スタッフの通勤,患者・家族の通院を考えると問題が多い。

医療人材のバランスを崩すことに

 以前,県が栗原市への医学部誘致を図った際にも,人口6万人の栗原市に600床の大病院を作ると,地域の医療人材のバランスを崩すことになると危惧したものでしたが,人口5万人の富谷市に1000床規模の大病院というのは,医療スタッフの確保の面でも厳しい。

 なによりも,現在の3病院から,看護師・薬剤師をはじめとした医療スタッフがスムーズに移ってこれるのか?

 10年後であれば,当然スタッフは大きく入れ替わるだろうけれど,富谷市移転であれば,一定数の方が見切りをつけて,他の病院に移ってしまうのでは。

 結局統合病院ということであれば,これまでの個別の医療機関とは何から何まで変わってしまうし,実質的に全く新たな病院に勤務するようなもので,どの病院のやり方を残すのかを考えるだけでも,気が遠くなる話。混乱必至なので,医療スタッフとしても残るメリットは小さい。

 仮に,泉区・青葉区・宮城野区北部から労災病院に通勤していた医療スタッフは何とか富谷に通うことができるかもしれないが,赤十字やましてがんセンターに通っていたスタッフの通勤は厳しいと思われます。一人暮らしだったら引っ越しすれば良いけれど,家族持ちでは引っ越しは難しい。当然スタッフは女性が多いので,子育てと両立させようとすると,これまでより遠距離通勤になるのは厳しい。

 看護師や薬剤師ももちろん大変ですが,この規模の病院は医師だけでも200人を超えることとなり,スムーズに旧病院から移ってくれないと,医師確保も大変。そうなると,アルバイト的な応援医師でしのぐのも難しい立地となるのでは。

仙台圏北部の大病院は

 現在としては,泉中央駅西側に徳洲会病院があり,現在西友泉店跡地への移転が進められています。

その他に,富谷市と接する泉パークタウンには,台原からJCHO仙台病院が移転のため病院建設中である他,泉中央に仙台循環器病センターがあるなど,富谷市域には病院はなくとも,隣接する泉区にはそれなりに揃っています。

戦略的な病院誘致?

 基本的に生活機能を仙台市に依存している富谷市であり,医療に関しての仙台市依存度を下げるべく,企業誘致感覚で手を挙げたのかもしれません。

 〇これだけの大病院を誘致すれば,1000人以上の就業者が手に入り,来院者を含めても経済効果が大きい。

 〇将来的には病院近くに多くの方が住んでくれるはず。

 〇市民も大病院が来て安心。

 〇泉中央駅からのバス利用者が激増し,念願の地下鉄延伸やBRT運行に向けた需要の底上げにより,実現性を高める手段となる。

という,富谷市としては安くて広い土地を提供するだけで,これだけのメリットが生じるので,移転の過程で生じる上記のような問題は些細なことにはなるでしょう。若生市長は結構したたかだと感じています。先に手を挙げるメリットは大きい。

移転先はどこに?

 まぁ,当然移転先については,3病院の経営主体が結論を出すことで,その過程で職員の意向も反映されるでしょうが,問題は望ましいアクセスの良い,広い土地が確保でき,他の大病院とエリアが被らないところは限られていること。

 そもそも,現在病院が立地している名取市や八木山地区から大病院が消えてしまうのは,地域バランスを考えてもどうなのか?

 富谷に移転するのであれば,よっぽど名取市の現在のがんセンターや八木山の赤十字病院を核として集約した方が便利ではないでしょうか。

 記事中では,座長である東北大八重樫医学部長が,立地場所を「アクセスの良い場所に」と指摘しているようで,当然ながらこのような統合大病院を成功させるには,立地条件が第一であるでしょうね。

 この富谷市の動きを発端として,仙台市及び仙台市周辺自治体で誘致の動きが出てくればと思います。

 個人的には名取市を推したいのですが,穴場の土地としては,多賀城市の東北学院大学工学部が撤退する跡地などは,「駅から徒歩圏」「まとまった土地」,「多賀城市としても,大学撤退のダメージを補って余りある効果」と思います。時期も丁度良い。

 他,仙台市内では,荒井駅北口の農地も面白い。東部道路の仙台東ICも近く,県内全域からのアクセスも良い。

 あと,愛子地区は東北道での県内からのアクセス,仙山線が使えること,土地確保の容易さもありますが,ちょっと西に寄り過ぎの感が。

 まだ先の話とはいえ,東北医科薬科大学病院を病床数ではるかにしのぐ,東北大学病院に次ぐ規模の大病院が誕生するとなれば,失敗は許されない。統合が実現するかどうかも未知数ではありますが,この動きは注視していきます。

 

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2020年5月30日 (土)

阿武隈急行 10月全線復旧へ&新型車両仙台駅乗入れ

 昨年10月の台風19号で大きな被害を受け,県境区間が未だ不通のまま,また車両基地がない宮城県側は朝晩の運行のみとなっている阿武隈急行。

 当初は村井知事の必ずしも鉄道での復旧に拘らないという発言にビクビクしていましたが,上下分離を前提とした復旧費のほぼ国費負担の制度ができ,ひとまず今夏までに不通区間の回送運転により,宮城側の昼間の運行が再開との話がありました。

 阿武隈急行 全線復旧なるか? (R1/11/28)

 この話が出たら,車両基地への回送運転だけに留まるわけはないとは思っていましたが,台風被害で不通になって約1年の10月をめどに全線復旧を目指すという話が出て,ホッとしました。

福島市と宮城県柴田町を結ぶ第3セクターの阿武隈急行は、去年の台風19号の影響で不通となっている区間について、ことし10月をめどに運転再開を目指すことになりました。

福島県と宮城県や沿線の自治体などが出資する、第3セクターの阿武隈急行の取締役会は26日、福島県伊達市で開かれました。
阿武隈急行は、台風19号の影響で、現在、伊達市の富野駅と宮城県の丸森駅の間の15.4キロで不通となっています。
26日の取締役会では、復旧作業が続くこの区間について、ことし10月をめどに運転再開を目指すことが報告されました。
また26日は、ことし3月までの1年間の決算が発表されました。
それによりますと、本業の鉄道事業営業収益は5億8800万円で、前の年度に比べて9000万円、率にして13%減りました。
台風の被害や新型コロナウイルスにより、乗客数が、前の年度に比べ12%減って、216万人あまりになったことが影響しています。
そして台風19号などによる被害の損失が9億1500万円にのぼり、最終的な損益は10億4000万円の赤字となりました。

この赤字額は過去最大です。

26日はこのほか、千葉宇京社長の後任に、仙台空港鉄道の菅原久吉社長が就任する人事案も発表されました。(NHK 5/26

コロナによる公共交通機関への影響

 コロナの影響で,主要客の高校生や大学生の利用が皆無になっていました。福島側には福島学院大駅もあるし,福島大学への通学も。

宮城県側でも仙台市内の大学へ通う需要も消えてしまい,ようやく高校が再開する6月から乗客数も回復に向かうでしょうが,この数か月の乗客減のダメージは大きく,運営資金も厳しい中運行を続けなければなりません。

 よって,夏に宮城側の昼間の運行が再開し,秋以降に全線復旧したとしても,運行本数が台風前を維持できるかというと厳しい状況です。

 特に,県境の閑散区間でも毎時1本近くは確保してきたのが,昼間は2時間に1本程度になってもおかしくはない。宮城側である程度丸森折り返しを残すなど。

 県境区間は観光需要と,角田・丸森両駅と福島駅(そして新幹線乗継東京方面)の需要に支えられてきたのに,観光も東京方面への流れも,秋までどの程度回復するかが鍵。

 仮に多少減便になっても,需要から考えると十分だし,県境区間が再開するだけでも十分かなと思っています。

仙台直通に新型車両

 宮城側での明るい話題といえば,5月18日から仙台駅直通列車の置き換え運行が開始され,阿武急の新型列車AB900系が仙台駅に毎日顔を出すことになりました。

 JRのE721系の亜種であり,従来の2ドアと異なり普通列車が3ドアに統一できたことで,特に朝夕の混みあう時間の仙台乗り入れ列車に新型車両の効果はテキメン。従来の2ドア車両だと,うっかり押されて車両真ん中あたりまでは行ってしまうと,途中駅で降りるのが苦悶だったり,4両編成というのもあり,朝の下り,夜の上りは前後の電車と比べても体感的に混んでおり,避けられる存在でもありました。

 何といってもステンレスベースでピカピカ。斬新なデザインです。順次置き換え中で,年1編成ペースでは,ようやく2編成(4両)が投入されたところなのに,その2両とも宮城側で運行というのは,福島側にとっては複雑な気分でしょうね。この車両が能力を発揮するのは仙台側のラッシュであるのは間違いないにせよ。

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車内はJRやアクセス線とほぼ同じデザインながら,座席のモケットの色は特徴的。

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車内広告は当然独特で,福島側の広告が多く新鮮です。

この写真は発車10分前の先頭車両なので,まだガラガラでしたが,発車間際には次々と乗り込んできて,立ち客もパラパラでる位でした。

緊急事態宣言明けの週でもあり,学生はともかく通勤客は大分戻ってきつつありました。

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 これは,長町駅で下車した時の発車直前の状況。長町駅でかなり下車した後でも,席は埋まり,立ち客もいます。線路が分断され車両のやりくりが大変な状況の中,阿武急には宮城側に貴重な新型車両を回してくれて感謝です。

阿武急の今後

 阿武隈急行は,現在では珍しい2県に跨り運行する第三セクター鉄道で,車両基地や変電所を福島側に頼っている状況からは,いまさらそれぞれに分断するのは困難な路線です。国費を使って復旧したからにはあと長期的な運行を担保しなければならず,少なくとも20~30年は運行を確保することになりますが,このような珍しい状況だからこそ,片方の県の意向のみで決められないメリットがあったのかも。

 福島県としては輸送密度が極端に低い只見線を力技で復旧させて,阿武急を復旧断念というのはありえないので,宮城県が仮に阿武急県境部の廃線を希望しても福島県と合意する訳がない。

 コロナ後の観光需要がどの程度戻るかによるけれど,せっかく復旧させるこの区間。観光需要の掘り起こしなど両県協力しての活用を図らなければ。

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2020年3月29日 (日)

苦境の仙台空港 商業機能増設に着手

 新型コロナウイルスが全世界的に蔓延し,日本では北海道や愛知県,関西に続き,大本命の東京圏での感染急拡大により,一気に危機感が高まっている今週の動き。

 この宮城県では,木曜日に2例目の感染者が確認されました。

 基本的に東北各県ではインバウンドの少なさが幸いしたのか,感染者数がほぼ皆無で推移してきたものの,「貰い事故」のように,クルーズ船乗客(宮城・秋田),海外旅行帰り(青森),東京や北海道からの感染疑い者の無理な移動(青森や秋田。宮城の事例は東京の感染確認者との接触感染)で徐々に感染者が確認されており,隠れ感染者も入ってきている危惧を感じます。今,感染者が発見されていない岩手や山形も,他県と同様に貰い事故での感染が確認されるのも時間の問題でしょう。

 感染が急拡大している東京からの地方への感染拡大を止めるための措置が必要なんでしょうが,新幹線などはガラガラのままの通常運行を強いられており,そもそもクルマ移動などは止めようがなく,物流への影響もあるので,対応策が手ぬるいと感じ始めてきました。

仙台空港の影響

 そのような状況で,仙台”国際”空港は,まさしく名前だけの国際空港となり,国際線の運行は完全にストップしています。これは中部のセントレアでさえもで,国際線の運行は東京・大阪のみに絞られている状況なので,需要低下と感染拡大防止のためにはやむを得ない措置。

 国内線も,搭乗率にシビアなLCCは,まずもともと苦しんでいた中部(セントレア)便をはじめ,好調だった関西と新千歳便も軒並み一部運休で,その他のレガシー路線も減便が相次いでいます。

 本来であれば,春休みの書き入れ時のシーズンなのに,様々な意味で民営化された仙台空港の運営会社としては想定以上のリスクが生じ,厳しい状況です。そのような状況の中,予定されていた改装工事に着手するニュースは驚きでした。

 仙台空港2、3階の改修着工 21年度完成、買い物や飲食充実

 仙台空港を運営する仙台国際空港(宮城県名取市)は26日、旅客ターミナルビルの大規模リニューアル工事に着手した。事業費は約50億円。2044年度の目標旅客数550万人を見据え、搭乗手続きの時間を短縮し、搭乗直前まで買い物や飲食を楽しめるようにする。21年度下期の工事完了を見込む。
 リニューアルは2、3階が中心。国内・国際線の保安検査場を拡張するとともに、国内線の検査場通過後のエリアを広げ、飲食店や土産店などを充実させる。
 改修面積は全体の5分の1に当たる9848平方メートル。商業店舗の床面積は22.5%増の2804平方メートルとなり、うち検査通過後のエリアは現状の10倍以上の2013平方メートルに広がる。増築は1683平方メートルで、国内線のチェックインエリアを拡張する。
 同社は16年7月の民営化当初から今回のリニューアルを計画してきた。今後は旅客以外の見送り客なども保安検査を経て店舗や屋上展望デッキを利用できる仕組みを目指し、航空各社と協議を進める(3/17河北より引用)。

当初提案通りの改修を実施

 前向きに考えると,国際線の運行がしばらく見込めず,国内線の旅客も減少するこの時期だからこそ,改修工事がやりやすいという見方もできるのかもしれません。 

 県で空港民営化を検討していた時に,村井知事が参考にしたオーストラリアの空港での民営化事例に習った改修計画と記憶しています。

 空港運営から上がる収益を極大化するために,”キモ”になる施策だとか。

 これから2021年度下半期まで,断続的に約1年半の間工事が続きます。

この改修のメリット

 この改修内容は,仙台空港の商業機能の選択肢の無さを多少は解消することになる嬉しい改修工事です。

Sdfmarketimage(以下の図は,全て仙台国際空港プレス発表資料より引用)

 昨年北海道に飛んだ時も,以前沖縄に飛んだ時にも実感しましたが,混雑を恐れて早めにチェックインしようとしても,中にまともな飲食施設がなく,スナックスタンドレベルで落胆します。分かっていて空弁をチェックイン前に購入したこともありましたが,選択肢が少なく旅行のワクワク感が減退したり。

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 そもそも,空港の商業施設や飲食施設は,主に搭乗前の旅客が対象なので,チェックイン後の「エアサイド」にあった方が合理的というのは分かります。

この改修による懸念

 とはいえ,お見送りの家族と一緒に食事とか,到着後の本数の少ない高速バス等の交通機関待ちで食事とか,「まずは牛たん」という利用客もいるので,これまでのように気軽に「ランドサイド」で使えないのはちょっと不便。そのあたりのバランスはどうするのでしょうか。なお,1階は改修なしのようなので,プロントやコンビニその辺はそのまま「ランドサイド」で搭乗前,到着後に利用できる機能です。 

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 その懸念に対するアイディアとして,搭乗客以外も,「エアサイド」ゾーンに入ることができるような規制緩和を国に要望しており,そのために保安検査場を拡張するとの対策も講じるようです。

 でも,身代わり搭乗など意図的に悪さを企てる輩はいるだろうし,現在のテロ対策強化の流れに反するような懸念が。それにチェックイン後に安心して飲食店で注文し,注文した料理が出てこなかったり,話に夢中になって乗り遅れそうになるということもあるだろうな。そういう利用者への対応も必要になる。

 そういった,懸念を飲み込んで実現化することができるのかと気になります。

将来に向けて

 日本の空港の中で先鞭をつけたこの仙台空港民営化も,第2弾の新千歳空港を始めとした道内空港民営化(北海道エアポート),福岡空港など,国内主要空港にも導入され,民営化第1号というインパクトを保ち,民営化ならではの施策を着実に導入していかないと,埋没してしまうという危機感はあると思います。

 今年は,東日本大震災の年並みの利用客の減少となるでしょうが,その反動でのコロナ後の利用客増を信じながら,機能改善や路線再開,新規就航の取り組みを続けて行かないと,民営化の意味がなくなってしまう。

 3月末で,民営化開始以来陣頭指揮を執っていた東急出身の岩井卓也社長が退任し,4月からは同じく東急出身の鳥羽明門氏が就任するようです。岩井社長はこれまで前例のない民営空港運営会社のトップとして手探りながら成果を上げてきていたのに,最後にコロナ騒ぎでこれまでの実績がガラガラと崩れてしまう無念を感じているでしょうが,今回の改修工事終了後は,コロナの影響も落ち着き,さらに多くの利用者を集める便利な空港として発展することを祈っています。 

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