震災

2023年5月20日 (土)

札仙広福の人口密度比較 その2 サミット開催中!広島編

 ヨドバシ仙台第1ビルオープンニュースが入ってきたので、間が空きましたが、『札仙広福の人口密度比較 その1 福岡都心部編』に続き、次は、G7広島サミットが始まったばかりの広島市編を。

広島へは、18年前に訪問して以来なので、福岡とともに行きたい都市です。

 ロシアのウクライナ侵攻や中国の覇権主義への対抗など、世界平和がテーマとして重要な昨今でもあり、被爆都市である広島でサミットが開催されるというのは、首相のおひざ元というのとタイミングも良かったんでしょうね。まさかゼレンスキー大統領も訪日するとは。

 

 

 市街地から隣接する宇品島に位置するグランドプリンスホテル広島が警備上絶好な位置にあったり、近接して広島都市高速の高架道路(広島南道路)が通っており、都市高速の封鎖や様々な交通規制など市民生活に多大なる影響はあるものの、サミットを開催できる都市であることを対外的に証明することに。また、サミットはいつも東京でということではなく、東京以外での開催が続いているのはガス抜きの面があれども対外的に都市をアピールできるので良いことだと思います。

宮城県では、有力な首相候補がいないどころか、いろいろ物議を醸しだす代議士さんばかり。

大物で期待できるのは、元防衛相の方位でしょうか。仙台は開催可能な警備が容易な施設が限られ、G7の閣僚会合では秋保の温泉旅館を使わざるを得ないという面でも、コンベンションインフラは弱いところが。

まずは、比較用に仙台都心部の人口密度分布図を

今回も、にゃんこそば氏(@shinagawajp )の「人口密度 等高線マップ」から引用させて頂いています。

Centralsendai

人口密度の高い広島デルタ地帯

 都心部の紙屋町・八丁堀付近は広島城や県庁・中央公園などがある他、商業・業務機能が集積しているので、すっぽり人口密度が低いエリアですが、外側に隣接して赤色(1.6万/㎢以上)のエリアが離れ小島状に広がっている他、より高密度の紫色(2.4万人/㎢以上)の一角も点在しています。

 傾向として、高密度な市街地が広電の路面電車沿いに広がる傾向があるというのは、前回訪問した時も感じていましたが、面的に広がるデルタ地帯がほぼオレンジ(8,000人/㎢以上)で埋め尽くされており、基本的に路面電車やバスサービスの水準が高いというのも理由でしょう。

 逆もまた然りで、人口密度が高いので路面電車やバスの運行効率が良いのかと。

Centralhiroshima

 また、その路面電車沿いでの交通拠点である、JR乗換駅の横川駅、新白島駅、西広島駅をはじめ、距離的には多少離れた広島港との乗換拠点の宇品も高密度な市街地が分布しています。

 広島は地形的な制約で平地が限られていることから、デルタ地帯とその周辺に人口が集中し、その部分だけでも40万人程度を収容している(中区・南区・西区の一部)というのは凄い。最盛期と比較して減少気味で近年盛り返していますが、これら3区の人口密度は5,000人/㎢以上。

仙台では、同じような定義の都心部と城下町、主に市電沿線の旧市街地(仙山線以南、陸前原ノ町以西、広瀬川以北等のエリア)では町丁目別で足し合わせても20万にも届かない(青葉区約11万、宮城野区約4万、若林区約3万)

 広島でも周辺の丘陵地へのにじみだし開発が続き、現在市域人口の半分以上は郊外部となっていながらも、市域人口の3割以上がいわゆる旧市街に集まっているといのは強い。路面電車だけでなく、バスが複数社ひしめき運行しているという面も。

広島市中心部における均一運賃の設定に係る共同経営計画

Kyoudou

 前回訪問した18年前の時点では路面電車の運賃は150円均一で破格と感じたものでした。バスよりも安くデルタの大部分をカバーし、遅い(一部古い電車も)という宿命的な問題は抱えていながらも、路面電車を大切に守ってきたご褒美的な料金と感じていました。

 しかし、2014年の消費税8%時に160円、2017年に180円、2019年に190円と小刻みに値上げが続き、昨年とうとう220円となりましたが、それと同時にコロナ禍の苦境を逆手に、エリア内の路面電車やバスの共通運賃制度を導入しました。

 従来からこのエリアのバスは190円均一と220円均一エリアに分かれており、路面電車も190円均一だったところをバスの高い方の220円に値上げしたということになりますが、電車でもバスのどちらにのっても同一料金という分かりやすさをアピールとのことでしょうか。

Areamap

 仙台では一部の120円均一区間を除くと都心部のバスは160円or170円から、地下鉄は210円が初乗りということを考えると、以前の運賃と比較しても一見広島の初乗りが220円だと一見高いように思えますが、東西及び南北それぞれ約7kmの範囲が路面電車でもバスでも220円で移動できるということで、外からの利用者でも分かりやすい制度です。

 ただ、短距離のチョイノリには割高感は否めません。JR線からの紙屋町・八丁堀への乗り継ぎとしては、アストラムの新白島からだと本通まで190円で乗車時間はたった4分であり、横川や広島駅乗換と比較し路面電車の優位性が低下してしまうのではと。どこからJRを使うかによってトータルの運賃や所要時間は変わるとはいえ。

 なお、仙台の都心部地下鉄の210円均一で移動できる範囲は仙台駅から概ね半径3㎞以内(ほぼ旧市街をカバー)というのと比較すると、広島の方が一回り大きな均一エリアです。(対象エリアの写真は消費税改定前の200円均一時代のもの)

 この210円均一エリアを、乗換なしであれば両端の駅を10分以内、仙台駅での乗換ありでも15分程度の乗車時間で移動できるというのは定時制が保たれる地下鉄ならではの面もあります。

Page03p01

ハード面の改善

 前回訪問時のレポートです

過去記事(一部記事内にリンク切れがあります)

 交通機関については一部アップデートされています。上述の共通運賃の導入の他、

〇 新白島駅開業

 JRとアストラムラインの交点に新白島駅が開業し、JRからの乗換手段として、広電路面電車以外の手段が生まれたこと(路面電車が各駅から都心部の紙屋町・八丁堀まで10~15分に対し、アストラムラインで5分程度と劇的に短縮)。

〇 JRの新型車両導入

 国鉄型車両が長く残っていた広島エリアですが、2015年頃から、順次レッドウィングと称される新型電車が投入され、電化区間の車両は新型車両に統一されたようです。一方、ダイヤ面では快速の減少をはじめ、当時と比較し減便が行われているとか。

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 その他、今後の話ですが、広電広島駅高架乗り入れ(2025年)や、アストラムラインの広域公園前ー西広島駅開業(2030年代)があり、特に広電の広島駅舎内への乗り入れは、富山駅内への路面電車乗り入れや小倉駅舎へのモノレール乗り入れに匹敵するインパクトとなります。

路面電車高速化は道半ば

 広島の交通・開発情報については、いつも参考にさせてもらっている、

AND BUILD HIROSHIMA(アンドビルド広島) (ab-hiroshima.com)

さんの充実した記事をご覧いただければと思います。

 広島に対する基本的な印象は訪問時と比較して、いい意味でも悪い意味でもそれほど変わっていません。

 雑感として、地下鉄が地盤や建設費の問題で当時の運輸省から建設が認められなかった反面、デルタ地帯に面的に残った路面電車をうまく活用しているとは思います。

 西広島駅や横川駅のように乗換駅のリニューアルも進んでいる他、車両面のアップデートは進み、長編成の低床型電車がかなり導入され、輸送能力はアップしながらも、ただ、120万都市の基幹交通機関としてはいかんせん”遅い、遅すぎる”という面に対する解決が進んでいないようです。

 今回のJR広島駅高架乗り入れ工事に合わせて、駅前の線路を短絡し数分は所要時間が短縮されそうですが、バスよりも遅いという問題は解決が難しい。乗降車時間の短縮のための、「信用乗車方式」もICカード限定で徐々に進んでいるようですが、外の住人から見る限りでは、宮島線方面へのバイパス線(西観音町ー白神社付近)を平和大通りに建設すれば都心部の紙屋町・八丁堀を経由できるし、比較的低コストで、5分以上の短縮効果があるのではと思いますが、路面電車を通すためには一部橋の架け替えが必要になるということで、中々進んでいないとのこと。

 ただ、費用対効果が絶望的なアストラムの都心部延伸の代わりとしてであれば、橋の架け替えしても十分に安価で改善効果が見込めるのではと思いますが、市の財政状況と事業者の思惑もあり、難しいようですね。

その後の仙台の軌道系交通機関の進化

 前回の広島訪問時は、「広島便利過ぎ!仙台ボロ負け」と感じた理由としては、広島の軌道系交通機関はフリクエンシーが確保され、10分以上待つことがほぼ皆無だったことと、仙台の交通機関が不便過ぎたのが理由ですが、その後仙台の軌道系交通機関は

 2007年 空港アクセス線の開業と東北本線(仙台ー名取間)の大幅増便

  同   新型車両E721系の導入

 2015年 仙石東北ラインの開業と仙石線各駅停車へ統一

  同   地下鉄東西線の開業で地下鉄が2路線となり、市内を面的にカバー

 2020年 東北本線仙台以南のパターンダイヤ化(5~10分間隔に)

 など、今後はあり得ないであろう新規路線の開業が2路線(+α:仙石東北ライン)もあり、ハード的にも大きく改善されました。

 また、待ち時間が約10分以下という条件を満たすのは地下鉄南北線、東西線、東北本線仙台ー名取間、仙石線の昼間以外と、この20年でだいぶ利用しやすくなった印象で、たまたま仙台での交通機関の進化が進んだ時期だったので、都市規模で上回る広島市の改善の動きが相対的に遅く感じられた印象です。とはいえ、

  JR   広島>仙台

  JR以外 仙台(地下鉄)>>広島(広電・アストラム)

  バス      広島>>仙台   

と、仙台は地下鉄2路線の強みはありながらも、JRはまだ広島の方が利便性が高いです。

郊外開発の傾向の違い

 広島では、可部線とアストラムラインが並行する北部方面だけでなく、広電宮島線と山陽本線が並行する佐伯区・廿日市市方面の鉄道沿線を中心に利便性の高い郊外住宅地が広がっています。住宅地開発には急峻すぎる地形もあり、郊外の開発は基本的にはJRやアストラムライン沿線を中心に行われています。郊外でも鉄道沿線にオレンジ色(8,000人/㎢以上)のエリアが広く広がっています。

 一部急峻な山を造成しての新興住宅地はあれども、面的にではない印象。

(広域の人口密度マップ)

Hiroshimawide

郊外に拡散した仙台

 一方、仙台は近年こそ利便性の高まった近年こそ鉄道沿線が好まれるようになりましたが、地下鉄開業以前の国鉄時代は比較的利便性の高いのは仙石線のみで東北本線は特急優先の都市間交通機関で使い物にならず。その後地下鉄南北線が開業するも、沿線の地価高騰で地下鉄駅近の戸建ては夢となり、クルマ依存型の郊外住宅地に住宅を求めざるを得ない状況となりました。

 急速に拡大した人口を収容するためとはいえ、仙石線や東北本線沿いの田んぼの開発が難しかったため、北西部の鉄道駅圏外のエリアを中心にダラダラと丘陵地開発が行われ、もはや取り返しがつかない状況です。一度拡大した市街地を閉じることは難しい。

Sendaiwide

 その地下鉄南北線も都市内の交通機関という性格は北仙台~富沢間で、北仙台以北は泉中央周辺ニュータウンへの郊外電車という性格が強く、実際この地下鉄南北線開業を見越して、泉中央駅からバス20~30分圏の富谷市を含む住宅地造成が急激に進み、更なる郊外化を促進した負の側面もあります。そのため、泉中央駅は仙台駅に続く2番目の25,000人/日 を超える乗車客を誇り、今は苦戦していますが、駅前型SCが成り立つ条件が整っていました。

 泉中央のアリオ 存続なるか?(4/24)

Izumiwide

 特に、富谷市の国道4号線に沿って北に伸びている新富谷ガーデンシティ、パルタウン大富などは地下鉄が泉中央駅まで整備され、仙台市中心部までの時間距離が短縮される前提で計画された郊外住宅地です。地価の安さから引っ越してきた住民に「地下鉄延伸」という夢物語をぶら下げて当選した市長もいますが、市中心部の人口密度が他の中枢都市と比較して低い仙台。都市圏の総人口が増えない中、これ以上既存鉄道沿線以外に市街地を拡散させる愚は犯すべきではない。

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 なお、東京からの急激な地方分散政策が行われて、受け皿としての住宅需要が高まるのであれば別ですが、首都東京中心に動いているこの国で、首都圏の不動産価値が下がるような政策が行われるわけはない。逆にそのようなことがあれば、東日本大震災後の数万人の受け入れでさえ、地価やマンション価格が高騰し、郊外の負の遺産の住宅団地(愛島台、利府葉山)でさえ売れてしまった過去があるので、急激な状況の変化があってもあまり望ましいことにはならなそうです。

まとめ

 広島については、地形や地質の制約から市街地の拡大や軌道系交通機関の整備にも制約が生じてしまっている上、大阪と福岡という両大都市に挟まれ、岡山の影響を受けるなど、悪条件の中でも中四国一の120万都市として、産業面でも製造業とサービス業がバランスの取れた発展を遂げていると思っています。

 プロスポーツについても、野球、サッカー、バスケと全て仙台の上を言っており、スタジアムもマツダスタジアムに続いて念願のサッカー専用スタジアムも都心部に3万人収容で来春供用開始であるなど、時間をかけてでも粘り強く実現していく土壌があり羨ましい。

 仙台にとっては、まだまだいろんな意味で格上の都市。参考にすべきところは数多くあり、久しぶりに訪問してみたい!

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2022年8月13日 (土)

JR東日本 ローカル線の行方

JR東日本からの衝撃的な発表

 7月28日に,コロナによる減収に苦しむJR東日本から,「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」とのタイトルで,輸送密度2000人未満の線区発表がありました。今後存続の可否について協議対象とされるのは,このうち輸送密度1000未満で,特急や貨物列車の運行がないような路線を中心になりそうですが,ある程度分かっていながらも,改めて数字として突きつけられると,かなり衝撃的なものでした。

 大会社のJRの運営なのだからと,見て見ぬふりをしていた沿線自治体にとっても,衝撃的で,今後の存廃について協議入りを求められるとなると,真剣に向き合わなければいけない状況です。

 このようなローカル線の経営状態の公表は,コロナ前から恒常的な経営難に苦しむJR北海道が先んじ,コロナ禍による経営状態の悪化により,JR四国・九州・そして西日本からの発表が行われ,最後に赤字額が莫大となったJR東日本からの発表となりました(JR東海は発表を行わず)。

 そもそも国鉄民営化から早35年。自分は国鉄時代の記憶は辛うじてという位で,長い月日が経過しています。

 コロナ前時点であれば,東京一極集中により東京通勤圏では輸送量は大幅に伸び,湘南新宿ライン・上野東京ラインをはじめとした輸送体系の改善や輸送力の増強が行われていましたが,コロナ禍でのテレワーク推進やイベントや観光などの不要不急の移動の自粛により,これまで増強し続けた輸送力が遊んでしまうほどの需要激減に襲われました。(以下の輸送人員の推移は,JR東日本ホームページから引用)

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 地方都市圏でも,仙台や新潟をはじめ,宇都宮や高崎,水戸,盛岡近郊では,輸送改善の効果で概ね増加した時期はありましたが,既にコロナ前の時点で少子化での学生の減少や団塊の世代のリタイヤなどで,概ね微増か横ばいにとどまっていました(激増の仙山線を除く)。

 そして,首都圏ほどではないにせよ,コロナの影響で概ね2~3割減の需要となってしまいました。

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 それ以外の県庁所在地近郊や首都圏郊外輸送レベルでは,学生の減少とそれ以上のクルマ社会化で大人の利用者の激減,一部高速バスとの競合に敗れた等の理由で,JR化後の30年間で輸送密度が半減している区間もあるなど厳しい状況で,コロナの影響は相対的に小さいにせよ,それなりにダメージを受けました。

ローカル線区の将来

 そして,都市圏や都市間輸送以外のいわゆるローカル線については,これまで輸送量の激減で,JR東日本としてもワンマン化,減便,減車などの合理化を図りながらも,新幹線や首都圏輸送,子会社による商業部門の利益(ホテル・駅ビル等)もあり,メンテナンス費用の合理化を目的とした新車投入が行われるなど前向きな動きもあり,被災路線以外はなんとか維持していくような方向性だったのが,コロナ禍によるJR東日本として年間数千億に上る赤字計上で,突如それどころではない状況となってしまいました。

 JR化から30年を過ぎ,輸送密度半減は当たり前。7~9割減という線区もゴロゴロあるような状況で,これでよく運営してきたという感想を持たざるを得ないところがあります。

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 その中で,東北地方では,本線級でも厳しいところはあるにせよ,山越えの県境を越える路線を中心に,壊滅的な輸送密度と営業係数が明らかになりました。

 北から,大湊線,花輪線,山田線,北上線,大船渡線,陸羽東線,陸羽西線,米坂線,磐越東線など予想された線区の他にも,磐越西線の新潟県境の一部区間なども対象になるなど,ほとんどの山越え路線が対象になってしまいました。他にも観光列車の「リゾートしらかみ」が運行されており,遠方からの新幹線経由での誘客効果が大きく,存続の方向性であろう五能線も輸送密度からすると協議対象になってしまいます。

自治体の反応はまちまち

 案の定というか,宮城県の村井知事はJRと自治体の協議入りに前向きな姿勢を示しました。

 震災後に,三陸鉄道としての復旧に拘った岩手県と異なり,これまで気仙沼線や大船渡線のBRT化に対し特に反対もせず,さらに令和元年に阿武急が台風被災した際にも県境部分の鉄道復旧に拘らないという姿勢を示しているなど,都市部以外の鉄道としての効果が発揮できない区間について,頑張って残すという意向は示さないようです(阿武急は車両基地を持つ福島県側の存続意向も大きかったのでしょう)。

 基礎自治体としても,気仙沼市は大船渡線の残存区間の存続については,一関市次第という発言をしており,気仙沼線(柳津ー気仙沼),大船渡線(気仙沼ー盛)がBRT化され,利便性が向上したことから,費用負担してまで鉄道に拘るという姿勢は示していません。三陸道経由で仙台まで2時間強の高速バスが運行されていること,新幹線アクセスとして,大船渡線よりも284号経由のバスの方が本数も運賃面でも優位であることもあるでしょう。

 また,気仙沼線の残る区間(柳津ー前谷地)については,既に一部BRT路線の延長区間として運用されていることから,廃線と完全BRT化は避けられないでしょう。志津川まで鉄道復旧しなかった時点で鉄道として残す意義は薄かった路線なので。

 一方,石巻線は貨物輸送があること,せっかく復旧させた末端の女川駅を含む区間があり,当面は存廃論議の対象外になりそうであり,加えてこの石巻線に小牛田で接続する陸羽東線が市域を貫く陸羽東線について,大崎市長は存続に向けて協議を行いたいとの姿勢を示しました。観光地である鳴子温泉への分かりやすいアクセスを失いたくないとの意向もあるのでしょう。新幹線のフィーダー路線としての位置付けもありますし。

 その衝撃的な発表があった直後の週末に,「小さな旅ホリデー・パス(南東北フリーエリア)」を購入し,その陸羽東線に乗ってきました。
そのレポは続編に続きます。

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2022年4月20日 (水)

アクアイグニス仙台 4/21オープンを前に

現時点で明日となる4月21日オープンする,被災沿岸部である仙台市若林区藤塚に建設された,食・農・温泉の複合施設 「アクアイグニス仙台」。

 過去記事

先週末に,オープンを前にして,施設が完成した状況を見に行きました。

 アクアイグニス仙台公式ホームページ

全体の配置はこのような並び。

Img_4760

北側(手前側)に温浴施設の本館,猿田彦珈琲,ベーカリー,マルシェ。

南側(奥側)に,スイーツ系とイタリアンレストラン。温室が。

間の区画道路を挟んで配置されています。

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雲一つない晴天の中で,温泉に入りたい気分でしたが,残念ながらオープン前。

4月21日の11:30分にグランドオープンです。18日と19日は近隣住民向けのプレオープンだったようです。

近隣住民が羨ましい!

Img_4764

堂々とした温浴棟の本館です。以下の施設で構成されています。

●地下 1,000mの大深度から湧出する藤塚の湯」。

リラクゼーション ラクシス

笠庵

~宮城の食材を独自にアレンジした笠原将弘の和食を堪能頂けます~

ライブラリーカフェ

~コーヒー・ソフトドリンクの他、冷たいビールやハイボール、お子さまにもお召し上がりいただけるソフトアイスをご用意しております~

ライブラリー

アクアイグニス仙台の3シェフによる著書をはじめ、心やすらぐ風景写真集やお子様と一緒に楽しめる絵本など、17ジャンル520冊以上が並ぶライブラリーです~

ショップ

~3人のシェフがプロデュースする商品の数々を販売。それぞれのお菓子や調味料、アクアイグニスオリジナルの雑貨など、ほかでは手に入りにくい商品も取り揃えました。また、仙台・宮城にゆかりの品々も取り揃え、旅の思い出や大切な方へのプレゼントにも適したラインナップです~

 Img_4768

建物前の池も見事に整備されていました。

北側の敷地内には,本館の温浴棟の他,以下の施設が

猿田彦珈琲(右側)

マルシェリアン(真ん中)

野菜・果物・酒類・調味料・畜肉加工品・水産加工品・乾物・花類など。掲載商品のほかにも、地場産品を中心に数多くの新鮮な食材や加工食品などを取り揃えております~

マリアージュ ドゥ ファリーヌ(左側)

辻󠄀口博啓シェフの大人気ベーカリー。国産小麦を使用し、こだわりのパンが毎日つくり上げられます。イートインでお召し上がりいただけます~

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南側には,スイーツ関係やイタリアンレストランが。

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コンフィチュール アッシュ(向かって右側)

ル ショコラ ドゥ アッシュ(7月オープン予定)

~素材を選び抜き、独自の製法で作り上げた、味のみならず視覚や香りなど総合的に考えられたケーキ、焼き菓子、コンフィチュールなどを楽しめます~

グリーチネ(向かって左側)

日本イタリア料理業界の時代を築き、次世代を牽引する日髙良実シェフ四季が生み出す、旬の素材が持つ最上級の美味しさをご堪能いただけます ~

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 窓際にぶら下がって並んでいるフライパンが何とも言えない期待感を感じさせます。

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名取川の堤防から,アクアイグニス仙台を一望です。目の前には太陽光パネル。

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同じ場所から,名取川の対岸となる閖上方面を。災害公営住宅やかわまちテラス閖上が一望で,やはり近い距離ですね。歩いて15分ほどでしょうか。オープン当初の運行は発表されていませんが,いずれ,閖上の集客施設やフルーツパーク荒浜方面とのシャトルバスが計画される模様です。

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海側から,アクアイグニス仙台を。遠くに仙台の街並みと山並みが一望ですが,周辺に広がる荒れ地とのコントラストが何とも。

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荒井駅とのシャトルバスも発表

 21日は運行されるようですが,詳細は不明。22日からは,荒井駅発7時から21時まで基本1時間毎(13時、20時を除く) に運行されるようです。帰りも基本同じようなサイクルでしょう。1台のバスで回すのであれば,施設が基本毎時30分発と予想。当初は混雑が予想されますね。

オープンが楽しみ!

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 新型コロナウイルスの第6波はまだまだ落ち着いていませんが,ウイズコロナという経済と両立・共存させながらという世の中の雰囲気になっていますので,ゴールデンウイークを前のオープンは結果的に悪くないタイミングだったのではと思います。

 週末やGWはかなりの混雑が予想され,700台の駐車場もすぐに一杯になってしまうのでは。行くのであれば平日に休みを取って行ってみたいとは思っています。昨年の工事中の時期に訪れた時には,何ともこの地にリゾート的な施設がオープンするというイメージが湧きませんでしたが,完成した施設群とホームページを見る限りは,期待でいっぱいです。

 

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2022年2月26日 (土)

アクアイグニス仙台 4月21日オープン

 寒い日が続いていましたが,春が近づいたのか急に気温が上がり10度を超える予報だったので,なまった体を動かしに出かけました。

その途中で,以前も取り上げた若林区藤塚に建設中のアクアイグニス仙台を通りました。

 閖上から対岸の風景としては毎月のように見ていましたが,名取川河口の北側を通ったのは数か月ぶり。

過去記事

 アクアイグニス仙台 順調に進む建設工事(2021/9/25)

 メインの建物(温浴棟)の外観はほぼ完成し,内装及び外構工事中でした。

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本館目の前の産直マルシェ(肉・魚・野菜・果物)等の建物もこのとおりで,ほぼ完成です。

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こちらは,南側の付属棟。パティスリー(スイーツ)などが入る予定。

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これはビニールハウス。

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 先日の河北にも,オープン時期や施設内容についての記事があったので,下記の通り引用します。

「アクアイグニス仙台」集団移転跡地に4月オープン 猿田彦珈琲など出店

東日本大震災で津波被害を受けた仙台市若林区藤塚に4月21日、農園、温泉、レストランの複合施設「アクアイグニス仙台」がオープンする。建設業の深松組(青葉区)が市の防災集団移転跡地利活用事業に応募し、整備を進めている。周辺施設と結ぶバスの運行も検討中で、観光誘客の相乗効果を期待している。

 アクアイグニス仙台は約3万4000平方メートルの敷地に温泉棟、レストラン棟など建物6棟と農業ハウス1棟が立ち並ぶ。建設工事はほぼ終わり、今月末に完成する予定。3月以降は建物内への備品搬入や芝生を張る作業などに取り掛かる。

 東北初出店となる「猿田彦珈琲(コーヒー)」のカフェのほか、東京のイタリア料理店「リストランテ アクアパッツァ」オーナーシェフの日高良実氏、人気和食店「賛否両論」店主の笠原将弘氏らが監修するレストランやベーカリーなどが入る。

 2階建ての温泉棟は海に面し、高さ15メートルの展望台を備える。津波発生時は最大520人を収容する避難場所に使う。「地中熱回収システム」を東北で初めて導入。地下に敷き詰めたコイルから回収した熱や温泉排水の熱を蓄え、利用する。

周辺に「かわまちてらす」「フルーツパーク」

 農業ハウスは一般開放せず、宮城県や東北大などがイチゴの研究栽培に使う。 敷地内には530台分の駐車場を確保する。市地下鉄東西線荒井駅(若林区)からは無料シャトルバスを運行。マイカーを使わなくても、公共交通機関だけで来訪できるようにする。

 名取川を挟んで約1キロ南に商業施設「かわまちてらす閖上」(名取市)、約4キロ北に体験型観光農園「JRフルーツパーク仙台あらはま」(若林区)がある。沿岸部の回遊性を高めるため、各施設を結ぶバスの運行も視野に入れる。

 深松組など3社は2019年8月に運営会社「仙台reborn」を設立。総事業費約36億円を投じ、20年10月に本格着工した。深松努社長は「被災地ににぎわいを取り戻し、沿岸部の他施設と回遊する仕組みを作り、エリア全体を盛り上げたい」と期待を寄せる。(2/24 河北新報朝刊より引用)

荒井駅から無料シャトルバス運行

 この立地条件では,当然クルマでの来場がメインとなるが,名取川河口北岸の藤塚は知名度が弱く,特に仙台市民以外では「どこにあるの?」という方も多いものと思われます。閖上のすぐ近くということで説明はしやすいにしても,閖上側の集客施設の充実度と比べると仙台市側はこれからという印象。

 よって,地下鉄東西線の終点という分かりやすい,かつ大震災の展示施設があり,震災遺構の旧荒浜小学校へのアクセス拠点である荒井駅から,無料のシャトルバスが運行されるというのは,車を持たない利用者を呼び込むのに大きな効果がありますね。

 荒井駅からであれば,県道10号のかさ上げ道路を避ければ,ほぼ渋滞とは無縁のアクセスルートを取ることができるし,時間も読める。

 あとは,過去記事でも必要性を言及しており,河北の記事中にもありますが,閖上や荒浜のフルーツパークとを結ぶ連絡バスの運行も検討されているとのことで,これは良かった。直線距離では近いけれど,大型車街道の閖上大橋経由となるため,歩くの距離ではない上クルマでの行き来も結構面倒だったりしますので。サイクルスポーツセンターやゆりあげ朝市もルートに入ると良いなぁ。

 なお,地図を見る限りでは距離からすると,長町駅や名取駅の方が近いような気もしますが,長町駅からは渋滞多発の鹿又交差点や4号バイパス千代大橋を通るので時間が読めない。名取駅からは基本一本道で県道10号を閖上大橋に左折するだけで時間は読めそうだけれど,仙台市内の施設なので,名取駅からのシャトルバスは設定し辛いのかと。なお,県南からの公共交通機関でのアクセスは,名取駅から閖上までは市民バスで200円台で来れるので,そこから連絡バスで行くことも出来ます。さすがに,仙台駅と荒井駅経由だと遠回り過ぎる。

眺望に期待

 高さ15mとそれほど高い建物ではないにせよ,周りには眺望を妨げるものは何もないため,高層ビルが林立する中心部,そして雄大な太平洋の眺望を楽しむことができます。冬のこの時期は,雪を抱く泉ヶ岳などの山並みも。

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なお,海側は防風林が根こそぎ流された荒涼とした貞山運河の方面を感じることも。

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詳細はこれから

 利用料金を含めた詳細の発表はこれからですが,コロナの第6波が今ピークを迎えており,そろそろ落ち着き始めるでしょうから,GW前の良い時期のオープンになりそうです。

 自分もオープンしたら早速行ってみたいと思います。楽しみにしています。

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2022年1月30日 (日)

あすと長町の近況(R4.1)

 恒例のあすと長町の近況について。

 大きな動きはありませんが,あすと長町のまちびらきから15年の月日が経過し,一部機能更新の動きが出ています。

なお,記事中の写真は,1月中~下旬のもので,最新でないものもあります(あしからず)。

ヤマダ電機あすと長町店 立体駐車場の姿が!

 4階建て店舗と5階建て立体駐車場の2棟構成の配置が気になっていましたが,先行して形が見えていた北側の建物は店舗部分のみのようで,立体駐車場は別棟ということが分かりました。

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その店舗の南西側に立体駐車場の鉄骨組が始まっていました。

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 立体駐車場も,かなり存在感がありますね。残りのあすと長町大通沿い敷地は平面駐車場に。

 

(2月20日:追記)

 立体駐車場はだいぶ組みあがりが進み,店舗南側の部分を大部分覆っています。平面駐車場は大通側の限られたスペースのみのようです。

※ 南西角からの立体駐車場の写真です。

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※ 東側(大通り沿い)からの立体駐車場(左)と店舗(右)の写真です。

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※ 北東角(やまや交差点付近)からの店舗写真です。

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 店舗北側(パチンコ屋側)と,東側にも多少のスペースが確保されているので,南側立駐方面への通路と平面駐車場が多少確保されるのかもしれません。そうすると,一応北側区画道路から駐車場に入れることになります。早いもので,あと半年ちょっとで建物は完成です。

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 なお,最近ヤマダ電機が連結子会社の大塚家具を5月1日付で吸収合併し,大塚家具の法人格が消滅することが発表されました。

 ヤマダのあすと長町店はこれだけの規模の建物であり,閉店に追い込まれた仙台駅西口の大塚家具店舗の代わりとはいかずとも,インテリアのフロアには期待しています。IKEAとの相乗効果も発揮できるかと。

 

 あすと長町大通線は信号がある交差点間隔が長く,車にとっても自転車屋歩行者にとっても優しくない道路計画なのは何とかならないのか?

 

 また,立体駐車場の西側には,例のダイワ系の3階建て賃貸アパートが林立していますが,朝方の日照は完全に遮られそう。

 まぁ,この立体駐車場がなくとも南北の隣棟間隔が激狭で,もともと日照は期待できない物件ではあります。

 ヤマダ電機店舗部分の西側並びの「プレミストあすとテラス」との間隔も物凄いものがあり。

 近隣の災害公営住宅とは異なり,同じグループの分譲マンションと賃貸アパートなのになぁ。

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TSUTAYA長町店取り壊し

 震災後に戻ってきてから10年のタイミングで閉店となったTSUTAYA長町店の建物取り壊し工事が行われています。

 ここは,古くはアイエ書店長町南店時代から約30年の歴史がありました。かつては書店の北側にゲーセン,さらに北側にヨークベニマル長町店がありましたが,借地のため昔から地権者は変わっていないはずです。

 店舗駐車場と更に北側のコインパーキング敷地とともにフェンスで囲まれており,一体の敷地として再利用がなされるものと思われます。

 改めて土地賃借で店舗になるのか,それとも売却でマンションなどの敷地となるのか,それなりに広い敷地なので,再開発の行方が気になります。

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(2月20日追記)

 今日通りかかったら,完全に建物が解体され,アスファルト部分もはがされ,かなり大きな一帯の敷地が生まれていました。

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本当に条件の良い土地であり,近隣型商業施設(南北に店舗を配置し,中央部に駐車場)として活用できそうです。マンション敷地ではもったいない。マンションは近隣に新しい案件が2件も始まり,これは別記事にします。

 

アイフル展示場跡に葬祭会館

 こちらは,レクサス太白とライオンズ長町副都心レジデンスとの間で,アイフルホームの戸建て展示場として10年位使われてきた土地が更地化され,一時期月極駐車場になっていましたが,建設工事が始まったので,看板を見てみたら,なんと「葬祭会館」。。。あすと長町では,太子堂駅近くにつづき,2か所目です。

「(仮称)家族葬の仙和 あすと長町店」とのこと。家族葬用なので,近隣のマンション住民を対象としたものか。敷地は狭いけれど,駐車場もそれほど必要としないと思われます。

 しかし,ライオンズの低層階住民からすると,これまでは2階建てのモデルハウスが数棟建っていたのが平屋になるので,圧迫感は軽減されるにしても,ちょっと避けて欲しい用途だったかもしれません。今年の夏にオープン予定とのこと。

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(2/20:写真追加)

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アオキあすと長町店も閉店

 あすと長町開発で約15年前に先鞭を切って出店した,紳士服のアオキあすと長町店は,昨秋からずっと閉店セールを実施しており,今春に完全閉店となります。地区内に洋服の青山も出店した上に,コロナ禍で紳士服需要が急減したためか。

 宮城の萩大通店などが統合先とのこと。建物はまだ新しいので,そのまま居抜きとして活用されるものと思われます。ただ駐車場が狭いため,適した業種は限られるかな。

今後の機能更新の行方

 定期借地権で出店している郊外型店舗は概ね10~15年契約のところが多いと思われます。

 平成21年にオープンした「ヨークタウンあすと長町」は震災後に太子堂店オープンに合わせて撤退の噂がありながらも,安定した集客を保っており継続利用となるでしょうが,今後可能性が高いのは,平屋で屋上駐車場も設けていない暫定商業施設であるコーナンか。

 借地なのは間違いなく,長町駅より南側では貴重なまとまった土地となるためです。震災後に出店した関西企業であり,業者向けのコーナンPROは東IC店はまだ残っていますが,名取店を昨年5月末に閉店済です。地権者の意向次第にしても,いずれ閉店となり,敷地を高度利用する方向性となるでしょう。

 あすと長町で残るまとまった土地は

 長町駅東口のイオンタウン所有地(12街区・17街区)と歯科医院所有地(14街区)

のみ。仮設住宅跡地にヤマダ電機の建設が始まり,進出を希望する企業の受け皿は限られてきています。新しい街ではありながらも,もう15年が経過し,成熟に向けて生まれ変わる時期にあります。この状況を楽しみにしていきたいと思います。

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2021年12月27日 (月)

22年春JRダイヤ改正発表 その2〜仙石線昼間20分間隔へ

 先週の続きです。来春のJR東日本仙台支社のダイヤ改正において、最も驚きを以って伝えられたのがこの仙石線の白紙改正。

 東北新幹線の一部臨時列車化はある程度事前に予測されていましたが、仙石線の改正内容には驚きました。

 ただし、この内容を見る限りでは、今般の利用者減に合わせての効率化を図りながらも、非常にメリハリを意識した改正内容であり、今後の改善に向けた課題はあれども、やむを得ないと感じました。

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昼間は松島海岸まで20分間隔化

 今回の改正は減便はあれども、増発は考えられない雰囲気の中、何と松島海岸駅まで昼間20分間隔化が図られます。

 仙台駅発は09分、29分、49分発で非常にわかりやすく、観光客にとっては利用しやすいダイヤになります。

 今秋に新駅舎が完成し、観光客誘致に力をいれるタイミングでのこの増発。仙石東北ライン開業後は、仙台駅からの松島海岸経由快速がなくなったため、所要時間が約30分から約40分となり、不便になった印象があったところでしたが、仙台駅から向かう場合も、仙台駅に戻る場合も20分待てば乗れるという安心感があれば、乗る前の買い物や食事も焦らずに済ませることができ、特に松島海岸駅周辺の飲食店などにも好影響が。

 コロナ禍で集客に苦しんだ松島観光業界ですが、ようやくコロナ前の7割程度にまで戻ってきた状況であり、反転攻勢をかけるにあたり、強力な援軍となります。

多賀城以西も昼間減便へ

 ただし、運転上の区切りである東塩釜駅止まりの1本が松島海岸に延長される一方、多賀城止まりが多少減便され、昼間は毎時3本の時間帯が誕生します(11・13時台)。

 その他の時間帯(10・12・14時台),は、多賀城始発着便を加え多賀城以西従来どおり毎時4本になりますが、基本は20分間隔で、不等間隔にはなれど10or20分間隔なので,以前の15分間隔とそれほど変わらない。

 それに,15分間隔だったのは下りのみで,上りはもともと10~20分間隔だったのが,来春の改正で,上り下りともほぼ約10or20分間隔になります。

 よって,体感的にはそれほど変わらず,きれいに20分間隔で覚えやすいというメリットもあるので、分かりやすさを重視して、近距離を犠牲にしながら、その分を松島観光客の利便性を高め、松島海岸駅まで基本20分間隔での運行ということは理解できます。

 とはいえ、1時間に1本でも十分な利府町の陸前浜田駅と、仙台駅近くの駅間の短いバス代わりに使われている10〜12分間隔が望ましいような榴ヶ岡〜小鶴新田が、同じ20分間隔が基本ということについては違和感が。

 故障が頻発している現在の205系の運用数を減らし、省力化を図る一時的な措置の可能性もあり、この形が最終形ではないのではと。昼間の仙台近郊区間の混雑具合を観察し、噂されている新型電車E131系への置き換えに併せ、今後の展開を検討していくのかと思っています。

石巻への各駅停車が昼間2時間おきへ

 仙石東北ライン開業後、石巻方面への快速が東北本線経由に移り、全線仙石線経由での石巻行は所要時間が増え、各駅停車で90分かかる列車も現れました。とはいえ、従来からの沿線としての繋がりが大きく、毎時1本の石巻発着全線各駅停車は減らせなかったところ、とうとうメスを入れてきた感が。

 仙石東北ライン開業時にも予想していた内容でしたが、多賀城や本塩釜から石巻方面は高城町駅で仙石東北ライン快速に接続すれば良いし、手樽や陸前富山などの一日の乗客数が2桁の駅をはじめ、聖域にはできない状況に。

 震災後に復旧した仙石線、常磐線、石巻線いずれも、全線復旧時には、震災前の普通列車の本数は確保しましたが、令和3年春のダイヤ改正で、常磐線は昼間の本数を毎時1本化し、2〜3往復程度の減便を図りました。それに続き、仙石線でも昼間の各駅停車から減便を図ることに。

 この区間も、色々と課題は残り、住宅地の高台移転に併せて復旧させた東名駅、同様に周辺に集団移転地や災害公営住宅が立地する東矢本駅、石巻あゆみ野駅など、利便性を確保しなければならない快速通過駅に影響が大きいため、この形が最終形ではなく、「仙石東北ラインの矢本以遠各駅停車化」「新型電車E131系導入に併せ、石巻方は2両編成での運行」など、極端に利便性を落とさない形での折衷案を探っていくものと。

 そう考えると、野蒜付近の移設に併せて、野蒜駅と東名駅の前向きな駅統合に踏み切れなかったことが悔やまれます。移設により距離が短縮になったことから、移転地の中央部に地区を代表する駅を設置するべきだったかと。

 集団移転住宅地のうち、駅勢圏の狭い野蒜駅が快速停車駅となり、駅勢圏の広い東名が各駅停車のみという矛盾もあり、東名駅の利便性は簡単に落とせない。せめて、野蒜駅の駅勢圏のほうが広ければ良かったのですが。実際は、東名駅が近くとも、野蒜駅に車送迎で快速利用というケースも多いでしょうし。

土休日ダイヤの導入

 前回改正から,朝のみ土休日運休列車を導入していましたが,朝夕を中心に根本的に土休日ダイヤを導入してきました。

 一部列車が土休日運休だと,運休列車の前後が多少間隔が空くため,ほぼ等間隔で使いやすくなります。

 朝は7時台は仙台駅時点上りで平日比▲2本/時 ,8時台は平日比▲1本/時,9時台は何と平日比▲3本/時です。

 夕方の下りは,平日比で▲1本/時 程度 の減便となります。

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 気になるのは,宮城野原駅でのプロ野球観客輸送ですが,ナイター時間帯は試合開始前で多少土休日の減便の影響はありますが,試合終了後の21時台は時間4本で平日も土休日も変わりがありません。まぁ,コロナの影響が過ぎて人数制限が解除されても,もとのように満員の観客で試合できるようになるかは不透明なところ。

JR東日本の狙い

 今回の改正内容としては、多賀城以西の昼間の利便性低下は、今後リカバリーがされると思っていますが,JR東日本として,20分間隔というのは郊外輸送区間での最適解と思っているのではと。

 今回の改正で,首都圏でも常磐線取手駅以北の中電区間が特別快速▲1本減便で昼間毎時3本になります。川越線,相模線は従来から昼間毎時3本,新潟近郊でも信越本線,白新線,越後線は長年昼間毎時3本(約20分間隔)を守っています。

 仙台近郊でも,東北本線の北方面の毎時3本が崩れたのは残念ですが,仙山線は単線での線路容量限界があれども昼間はほぼ毎時3本で,今回アクセス線が完全に昼間毎時3本化(20分毎)されるなど,30分間隔だと気軽に乗れないローカル線になってしまうところ,都市郊外の利用では毎時3本(20分間隔)はギリギリのところなのかと。

 次回は, 東北本線(仙台以南)との比較を含めて,もうちょっと分析してみようかと思います。

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2021年10月30日 (土)

常磐線ひたちで仙台へ (その3 のんびり3時間の旅)

 このシリーズ3回目です。ようやく念願の特急ひたちに乗車し,全通した被災区間を通過しました。

常磐線ひたちで仙台へ (その1)

常磐線ひたちで仙台へ (その2 水戸駅周辺レポ)

 ようやく約1時間遅れで水戸駅のホームに滑り込んできました。当たり前ながら,仙台駅の6番ホームで見る車両と長さも含め同じということが,不思議な感じがしました。震災前は長大11両編成のうち仙台には4両編成の付属編成しか行かなかったのが,10両そのままいわき以北に乗り入れするということも,乗車率のことを考えると複雑。

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 入ってきたひたち13号ですが,東京との流動があるはずの水戸駅時点であっても,乗車率は芳しいものではありませんでした。

自分が乗車した9号車には,他に2人乗車しましたが,その時点で10名程度。

 今のE657系から全席指定になり,指定済の席は緑ランプが点灯するようになっていました。指定なしで乗車する場合は,赤ランプのところに乗車できるみたい。また,途中駅から指定されている座席は黄色ランプに変わる模様。

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 殆ど赤ランプで,指定席をとる時点で,同一号車内で5~6席しか指定されていないことは分かっており,間隔を空けて予約したということはあれど,ほとんど人の気配を感じず,不思議な”ほぼ”貸し切り気分を味わえました。

 昔の震災前のスーパーひたち時代は付属編成の4両編成のうち指定席が2両,自由席が2両で,ほとんど満席で水戸時点では立ち客もおり,水戸での乗降も多くかった印象。付属編成はほとんどがいわき以北に直通する乗客で,原ノ町・相馬で半分が降りながらも仙台までもそこそこ乗っていましたが,10両とはいえ,この乗車率というのは,ちょと寂しい思いでした。

 ただ,長町駅北側の広瀬川堤防で昨年春に通過したひたち号を眺めた時には,全10両で10人位しか確認できなかったので,その時点と比較すると,多少は乗客が増えている状況ではあります。

海を眺めながらのんびり旅

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 昔乗った時は夕方から夜にかけての,上野16時発(確か仙台20時12分頃着)に乗ることが多かったからか,あまり車窓を気にせず,また4時間の旅なので寝たり本を読みながら乗っていた記憶がありましたが,今回はガラガラで海側の席だったので,ぼーとしながら車窓を楽しみました。天気が良かったし。

 日立のあたりや北茨城,そして四ツ倉の辺りなど,全体に占める時間は短いながらも海沿いを走る区間もそれなりにあります。

 しかし,途中駅での乗り降りは多くなく,勝田から1名乗ってきた位で,あとはほとんどぽつりぽつりと降りる一方。いわきからの乗車もなかったような。まぁ,乗ったのが先頭に近い9号車だったので,途中駅からの乗客はもう少し真ん中の号車にはいたのかもしれません。

 結果的に仙台まで乗ったのは自分を含めて5名。座席が50席程度なので,9号車の乗車率は10~20%というところでした。全体でもそれほど変わらないでしょう。

再開区間にて

 広野駅の周辺は早い段階から常磐線の復旧が進み,原発事故対応の前線基地のような役割を一時果たしていた記憶がありますが,新しいホテルなどの建物が見られ,東側は以前と全く違う光景になっていました。

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 その後,車窓右側には,原発事故直後の奮闘で有名になった高野病院の建物が。

 その後楢葉町に入りますが,特に駅間で荒れ果てた建物が目立ち始めます。とはいえ,一見被災していない地域とあまり変わらない光景というのは意外に感じました。富岡駅や大野駅,双葉駅という特急停車駅周辺でも,新しいこじんまりとした,車が普通に数台止まっているような住宅がそれなりに見受けられ,ある程度人も戻ってきていることを感じました。

 各駅とも住宅などの建物が広く建ち並んでいる様子は車窓から見え,震災前はそれぞれ数千人以上が住んでいた町の規模感を感じることができましたが,そのうち近くで見れば無人となった建物も多いのでしょう。この3駅での乗降は9号車からは確認できませんでしたが,停車してすぐ発車したので,全車両でもほぼ皆無だったのかと。でも,東京や仙台と特急でつながっているという安心感は,帰還促進にあたっても大きなものなのでしょう。

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途中でおやっと思ったのが,線路と並行する道路。過去に部分的に複線区間だった部分が単線化され,保線用の道路化されているようでした。

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復旧させるにしても,震災前と比較すると本数も2/3程度になり,当面貨物列車も走らないとなれば,最低限の設備での復旧を判断したのかと。

仙台ひたちの所要時間が震災前よりも伸びているのは,このような単線区間での行き違い設備が簡略化されたのも理由のようです。

 一時間発車が遅れたためか,明るいうちに仙台に着けるはずが,途中で徐々に暗くなり始めました。車窓からはこのような巨大な鉄塔及び送電線が見られましたが,原発を結ぶ送電線で,かつては首都圏方面に電気を送電していたものが,現在では原子炉の冷却のための電気が送られているのかと思うと,この地域がかつて望んで誘致した原発という側面があるとはいえ,東京電力の発電所が福島という営業区域外にあるべきだったのかと,考えされられました。

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 原ノ町あたりからは,すっかり暗くなり,仙台駅に到着したのは18時20分位でした。約55分遅れで,多少は後れを回復したのかな。

 電車での旅行は本当に久しぶりで,特急で約3時間の旅というのは,2年前の北海道で札幌から釧路の区間を乗って以来。

 新幹線に慣れてしまうと,逆に特急の旅というのは贅沢な時間の使い方なのかもと感じます。

 仙台駅では6番線に到着し,ホーム向かい側の阿武急の新型車両(丸森行)がちょうど止まっており,余韻を感じる暇なく間一髪乗り継ぐことができ,18時半前には約10分前にひたちで通過した長町駅に到着しました。

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長町駅の出口床面には,新しいKHBの案内表示が。

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 今,新型コロナウイルスの感染が落ち着いていますが,この凪の状態が少しでも長く続いて,普通に旅行に行けるような生活を取り戻すことができればと。今度は仙台から品川までの全区間を乗ってみたいな。

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2021年10月17日 (日)

常磐線ひたちで仙台へ (その1)

 令和2年3月14日に震災から約10年ぶりに全線復旧した常磐線の福島県区間。

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 同日に,特急ひたちも仙台まで1日3往復で運行を開始し,乗りに行きたいと思っていながら,新型コロナウイルスの感染拡大で不要不急の外出がはばかられる時期が長く続きましたが,ようやくワクチン接種の進展と感染第5波が終息したタイミングで,先週茨城県方面に行く用事ができたので,その帰りに特急ひたちに乗車し,常磐線復旧区間を通過しました。

 理想としては品川から仙台までの全区間を4時間半かけて乗ってみたい気持ちもありましたが,茨城への用事なので水戸から仙台まで3時間10分の旅。それでも,新幹線での東京仙台間が1時間半であることを考えるとその倍以上の所要時間で,久々の旅の気分を味わえました。

 購入時期によっては50%引きで品川ー仙台間を4千円台で乗ることができるようですが,流石に直前まで予定が確定できなかったので,切符は前日にえきねっとで確保したところ,トクだ値10%が復活しており,多少はお得に。

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早速アクシデント発生

 ひたち13号が発着する水戸駅まで向かう電車の中で,ふと乗換案内を確認したところ,”常磐線 遅れ”とのこと。

 その1本前のときわ61号は定刻で水戸に到着したようだったので,??と思ったら,これが原因でした。

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 最初は上野駅付近との情報でしたが,例の蕨駅付近の変電所爆発の影響をひたち13号が上野駅を出る直前に喰らってしまったようでした。

結果的に水戸への1時間近く到着が遅れることが分かったので,水戸駅の改札を出て,駅の周辺をうろつく時間が出来て,良かったと。

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水戸駅周辺は大変身!

4~5年前に常磐線で水戸駅を通過した記憶はあれど,今世紀に入り改札から出た記憶はないため,メイン北口の記憶はうっすらとあれど南口は初めて。

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駅の南北ともいい意味でも悪い意味でも大きな変化を遂げていて,びっくりしました。

(次回に続きます)

 

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2021年10月 4日 (月)

名取市サイクルスポーツセンター&輪りんの宿 オープン1周年

今日も秋晴れで天気が良かったので,閖上方面へふらふらと自転車で。

名取川河口から見る,晴れた日の太平洋はお気に入り。この写真は仙台港方面。

ふと時間を忘れてたたずんでしまいます。

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仙台都心やあすと長町の高層マンション群も遠景で一望できます。

自転車,釣り,ヨット,サーフィンなど,皆思い思いの楽しみ方をしています。

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その後,ふらふらと何も考えずにサイクルスポーツセンターへ。

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昨年オープン直後に来た時はあまりの入場待ちの長蛇の列に入場をあきらめ,温泉に入って帰ったことがありました。

今回も子供連れ中心にかなりの列だったので,どうするか悩みながらも,結局入ってみました。

(この写真は帰り際のもの)

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入場料を払い,ここから入ります。ハチの割引券をもらったので,行こうとおもったけれど,結構並んでいたので断念。今月中が期限なので,またの機会に。

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中で様々な自転車のレンタルができます。子ども用はもちろん,大人用も選択肢が豊富のよう。ロード,クロス,MTBが施設内用で70台。

1時間500円,2時間800円とリーズナブルな料金で借りることができます。さすが指定管理とはいえ公営施設。

なお,入場料のみで何と大人200円と格安(子どもは100円)。自転車の持ち込みもOK。

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ふとレシートを見て気づいたのが,何と今日はオープン1周年!

1年前に震災後9年半の歳月を経て再建されたんですね。

それで混んでいるのか?蔓延防止が解除されたということもあるでしょうが,この週末は自粛解除で一気に人が出たことが体感でも分かります。

駐車場も満杯です。

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子ども連れで大にぎわい

ここにもあるふわふわドーム。子ども達はこれに弱い。

みちのく公園など,結構設置しているところはありますが,もれなく大繁盛ですね。

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一周4kmのサイクリングコース

勿論サイクルスポーツセンターメインの自転車全長4kmのコースへ。

4㎞のコースは短いという先入観がありましたが,松林の植林途上の中で解放感があるコースで,センター内のコースということを考えると,丁度よい長さでした。

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多少カーブが多いかなという感想ですが,直線だけだと単調になるからなのでしょうね。家族連れの方々を追い越すにも十分な幅があり,走りやすかったですが,家族連れ,そしてロード乗りの方とのスピード差が大きくなるので多少気を使いました。自分のショボいチャリではあっと言う間に抜かれてしまう。

いつまででも走ってられそうな気持よいコースでしたが,今回は2周で打ち止め。

いろいろと楽しめる施設

 他に,おもしろ自転車広場,3on3,スケボーのコースなど,様々な楽しみ方ができる施設です。

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一日楽しめる閖上のまち

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センターから広浦を挟んで対岸には,日祝オープンのゆりあげ港朝市会場があります。

帰りに店じまい中を冷やかしてみたところ,実はサンマ祭り開催で,焼きサンマ2000匹の配布日だったことに気づきました。だから一帯がこんなに混んでたのか!

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日曜や祝日は,朝市から,かわまちテラスやサイクルスポーツセンターへの流れが生まれ,閖上地区内だけでもいろいろと半日から丸一日楽しめます。かわまちテラスも昼過ぎの段階で駐車場が満杯で路上駐車が起きている状況。いつもはガラガラの震災復興伝承館の駐車場もそこそこ車が停まってました。
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 やけに賑やかだったのは,蔓延防止解除と自粛疲れで一気に人出が出たのもあるでしょうが,「仙台サイクルフェスタ」というハヤサカサイクル主催の一大イベントが行われていたという理由も。これも現地で知りました。軽く覗いてみましたが,高級自転車だらけで,マイ自転車10台分以上のプライス。。。恐れ多くてブースには入れませんでした。

閖上の集客力を広げたい

 先週の記事で紹介した,来春オープンの「アクアイグニス仙台」など,沿岸部に続々と誕生する集客施設にこの閖上の集客力を波及させることができればとの感想を改めて持ちました。

アクアイグニス仙台 順調に進む建設工事(9/25)

先週の記事の直後に,こんなニュースが流れていました。

仙台・名取 企業が連携し観光コンテンツ開発へ

東日本大震災からの復興が進む仙台市と名取市の沿岸部の魅力を高めていこうと、地元の企業が連携して観光コンテンツを開発し、10月から事業を進めていくことになりました。

この事業は、仙台市と名取市の観光施設を運営する会社や、食品加工会社など、あわせて20の企業や団体が連携して、10月から12月にかけて行うもので、27日、仙台市に関係者が集まり、発足式が開かれました。
計画では、去年、名取市にできたサイクリングスポーツを楽しむことのできる施設で、復興が進む海岸沿いを走行するおよそ8キロの区間にモデルコースを設定し、仙台市の観光農園をコースに盛り込んで、途中でぶどうなどのフルーツを収穫できる観光プランを始めます。
また、観光農園側は、この期間中に名取市の閖上港の海産物を使ったバーベキューの催しを開き、誘客を図ることにしています。

(以下略 NHKより引用)

 このような動きが進んでいることでホッとしました。実験的に10月から年末までの取り組みのようですが,このような連携が今後とも続けられ,枠組みを広げて行ければと。

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2021年9月25日 (土)

アクアイグニス仙台 順調に進む建設工事

来年の2022年4月に,仙台市若林区藤塚にオープン予定の『アクアイグニス仙台』

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 藤塚と言ってもピンとこない方が多いでしょうが,『朝市』や『かわまちテラス』で有名な名取市閖上から,名取川河口を挟んで北側の対岸のエリアです。太平洋に向かって,左側が藤塚の避難の丘です。周りには何も遮るものはなく,閖上側や仙台市街,太平洋を一望できます。今回は先客がいたのでスルー。

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 仙台市若林区の名取川河口から宮城野区の七北田川河口に挟まれたエリアも,ご承知のとおり,東日本大震災の大津波で甚大な被害を受け,災害危険区域として住居系の住宅再建が基本的に認められず,地下鉄東西線の東の終点駅荒井を中心とした内陸移転を余儀なくされました。

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 その移転跡地の活用プロジェクト「仙台市集団移転跡地利活用事業」 を仙台市が進めており,このエリアの最南端において公募で選ばれたのが,この『アクアイグニス仙台』のプロジェクト。

 地元建設業の深松組が中心となり,三重県他でアクアイグニス事業を進めている『アクアイグニス』社,株式会社岡田商会による3者の合弁企業『仙台reborn株式会社 』がこのプロジェクトのために設立されました。運営会社の想いを引用します。

かつては特徴的な「居久根/いぐね」のある集落として日本の原風景ともいえる美しい景色を見せていた仙台市若林区藤塚。その美しい場所に「治する/食する/育む」をコンセプトに誕生するのが、「アクアイグニス仙台」です。藤塚の新たな営みやこれまでの文化が再び風景として紡がれる場。アクアイグニス仙台は、そんな場所となることを目指しています。

順調に工事進行中

 この地に建設されることや,比較的規模の大きい温泉施設であることは承知していましたが,初夏に通った時にはまだそれほど工事が進んでおらず,規模感が中々つかみづらかったのですが,先週末に近くを通ったら結構工事が進んでおり,南側の堤防から見たところ,本館の建物のサイズに驚きました。

 敷き詰められている太陽光パネルとの対比で,サイズ感が麻痺してしまいます。
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 近づいてみると,地上2階地下1階の施設とは思えず,高さも16m強と意外にあります。

 このメインの建物は温浴棟とのこと。地下1,000mの深さから温泉をくみ上げるようです。

 雄大な太平洋や仙台市街地方面を眺めながら,露天風呂を楽しめそうですね。この写真のような快晴の日であればなおさら。ただし,この太陽光パネルがどうしても目に入ってしまいます。

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 あと1か月ほどの10月末に建物が完成する予定ですが,この感じだと多少遅れそう。

 温泉の他,物販,飲食店など,大きめの温浴施設に必要な要素が盛り込まれています。

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本館の他に,平屋建ての建物が並んでいますが,こっちは温泉以外の機能が盛り込まれています。

こちらは,本館目の前の産直マルシェ(肉・魚・野菜・果物)

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こちらは,本館敷地から道路を挟んで南側の敷地で,パティスリー(スイーツ)などが入るようです。

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計画概要

 立派なウエブサイトで,計画概要を紹介しています。

アクアイグニス仙台 

このサイトの中でにYouTubeでの紹介動画があり,イメージが伝わってきました。

施設概要は下記の通り。サイトから引用しました。

〇温泉施設 藤塚の湯

〇産直マルシェ

・フィッシュ&ミート
・産直フレッシュ(野菜&果物)

〇パティスリー

・コンフィチュール アッシュ
・ショコラ ドゥ アッシュ

〇ベーカリー

・マリアージュ ドゥ ファリーヌ

〇イタリアンレストラン

・(店舗名称検討中)

〇和食

・笠庵 賛否両論

〇農園

 温泉施設や産直マルシェはともかく,それ以外は横文字が多く高級感をアピールという感じでしょうか。

 基本的に,三重県での先例をモデルに施設を導入するようです。

高級路線の行く末が心配

 高級感のある日帰り温泉複合リゾートで,ここに来たら一日楽しめそうです。

 ただし,料金次第ですが,レストランなどはウエスティン併設並みに入るのに覚悟が要りそう。ランチ3千円でディナー1万円位だと厳しい。この高級感故,当初は良いですが,話題づくりの工夫を継続し,コンスタントに広範囲から集客を図る必要がありますね。

 というのも,複合リゾートとしては近隣での競合は少ないですが,高級路線について行けるマーケットの小ささがあるため。

 先例の三重県は,京阪神と名古屋に挟まれた立地条件から,商圏人口は2000万人を優に超え,またコロナが落ち着けば関空やセントレアからのインバウンドでの誘客も見込める立地に対し,広域仙台都市圏の人口は,周辺県を含めてもせいぜい300万人程度。インバウンドも誤差の範囲でそれほど見込めない。

競合よりは連携での集客を

 海を身近に感じることができる複合施設としては,七ヶ浜町のシチノリゾート(カフェ・レストラン・ホテル・うみの駅七のや)があります。

 なお,日帰り温泉については,南側の閖上サイクルスポーツセンター内に,ホテル佐勘グループが運営受託している「りんりんの宿」が,沿岸部で範囲を広げると,さらに南側にはりんりんの宿と同じく佐勘グループ運営受託の『わたり温泉鳥の海』,北側には松島の温泉ホテル群があります。

 また,産直市場でいうと,南側の閖上に言わずと知れた『ゆりあげ港朝市』が日祝限定ながらあり,安さや賑わいという点では追随を許さない存在。

 震災前は,仙台湾沿岸南部エリアは海を身近に楽しめる施設は海水浴場を除くと名取市閖上と亘理町鳥の海だけで,近くて遠い印象がありました。

 このエリアは,震災で甚大な被害を受けた反面,跡地利用や震災復興を旗印に様々な集客施設ができつつあり,住民の目も向いてきています。

 よって,近隣の施設をライバルとしてお客を取り合うよりも,この『名取川河口エリア』として,さらに,北側のJR関連会社のフルーツ農園などの震災復興に向けたプロジェクトと連携し,回遊性を向上させて,ここに来れば何か楽しめるという方向性を打ち立てていければ。

 実際,ゆりあげ港朝市とかわまちテラスは運営者が実質同じということもあり,朝市からかわまちテラスという流れを作り出し,いつも賑わっています。

 複数市町村にまたがるエリアになると,縦割りになりがちなので,この場合県の仙台圏域の出先機関が調整役を果たすなどの方向性を打ち立てることができればと感じました。

まとめ

 大きなプロジェクト故に心配になってしまいましたが,このエリアに賑わいが生まれるのは歓迎すべきもの。

 来年4月まで約半年。その時までにコロナとの共存が図られ,GWには賑わいを感じることができればと期待しています。

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