ヨドバシ第1ビルオープン 今後の展開は?
昨日、仙台駅東口目の前に待ちに待ったオープンとなった「ヨドバシカメラ仙台第1ビル」。
仙台での30年余の歴史
仙台での支持が半端ないのは皆実感されているでしょう。オープンから30年以上支持され、またライバルの家電店を次々と蹴散らし、その需要を飲み込みその都度店舗がパワーアップされてきた歴史です。
西口イービーンズのさくらや、東口のラオックス(現Bivi)、クリスロードのソフマップという外様勢はあえなく数年で退散し、そして約15年前に西口の旧十字屋ビルに鳴り物入りでオープンしたヤマダLabiの状況は知っての通り。
1991年に初代店舗が現在の西口プレイビルにオープンしてから、間もない東口への移転、全国に先駆けた1997年マルチメディア仙台のオープン、2012年の仮店舗とは思えない第2ビルへの売り場倍増移転、そして今回の大本命第1ビルへの移転オープンとなりました。
自分のゴールドポイントカードは、初代店舗で作ったもので、店名一覧に「仙台駅前店」と記載されているもの。その時は、仙台で10店舗目で、首都圏以外への初進出が仙台でした。その後、郡山、新潟、札幌、博多、梅田と全国展開して行ったそのきっかけが仙台というからに、ヨドバシにとって重要拠点であり続けています。
なお、初代店舗オープンからマルチメディア仙台のオープンまでの6年間が最も目まぐるしかったのでは。その後東口店をオープンさせ、駅前店から改称した西口店と2店舗体制になり、その後仙台を離れていた時期なので鮮明には覚えていないものの、マルチメディア仙台に旧西口・東口店が統合されました。
なお、今回のヨドバシバスターミナルに移転し閉鎖されたさくら観光バスターミナルの場所が数年間の短命だった旧東口店でした。
旧東口店の跡地がさくら観光バスターミナルとして使用されたこと、またその発着高速バスが新バスターミナルに今回移転したことなどを考えると、絶妙な縁を感じます。
ヨドバシ新ビル開業 東北の玄関口に新たな顔 仙台経済界、活性化に期待
仙台市宮城野区のJR仙台駅東口に2日に開業した複合商業ビル「ヨドバシ仙台第1ビル」は、東北の玄関口の新たなランドマークとして注目を集め、オープン初日から大勢の買い物客らでにぎわった。まちづくりに携わる経済関係者からは、交流人口の拡大による仙台駅東口の活性化を期待する声が上がった。
ヨドバシホールディングス(HD、東京)が運営する核店舗「ヨドバシカメラマルチメディア仙台」の入り口には開店前、約600人が並んだ。オープンと同時に勢いよく入店し、目当ての商品を買い求めた。
前夜の1日午後9時から並び「一番乗り」となった青葉区の大学2年佐々木結人さん(19)は「駅からのアクセスが抜群。1回の買い物で、家電や服などいろいろ見られて便利」と喜んだ。モバイルバッテリーを買った30代男性は「売り場が広く商品も充実している。商品を眺めるだけで楽しい」と満足そうだった。
マルチメディア仙台はヨドバシ仙台第2第ビル時代の約1・5倍に増床し、売り場は「家電量販店として東北最大級」(ヨドバシHD)。炊飯器やトースターなどの使い勝手を体験できるのも特徴で、原雄一店長は「体験コーナーで他店と差別化を図った。地元密着の運営を心がけ、仙台駅周辺の活性化につなげたい」と意気込んだ。
第1ビル1階の高速バスターミナルも2日に利用が始まった。バス4台が停車でき、東京や大阪、名古屋などと仙台を結ぶ1日29便が発着する。東京行きに乗車した青葉区の大学生沢田拓哉さん(24)は「乗り場近くに店が多く、待合室もきれい」と話した。
ヨドバシHDは、マルチメディア仙台が5月まで入居した第2ビルの新たなテナントを募集している。市内の経済関係者によると、薬局や診療所が入る医療モールを設ける構想が浮上しているという。
仙台駅東まちづくり協議会の松坂卓夫理事長は「第1ビルに行くだけで、さまざまな買い物が完結するなど(ヨドバシHDは)地域に大きく貢献してくれた。7月の飲食店フロア開業後は、さらに買い物客が増えるのではないか」と駅東口の発展に期待を寄せた。(6/3 河北)
自分は諸事情で、この週末には店舗に行けそうにないですが、各種メディアやtwitterなどでオープンの空気感は十二分に感じることができているし、レポートはそれらに任せることとします。
なお、並んだのが約600名というのは、あすとヤマダオープン時の4~5千人と比較すると、思ったより少なく思いましたが、オープン日が平日かつ雨天の寒空、新規ではなく移転オープンという状況の違いもあるか。まぁ、そもそもこのヨドバシ第1ビルのオープンで完成形ではないのが凄いところ。週末の今はものすごい人出になっているでしょう。
今後の動き
- 7月末 1階と6階の飲食店街オープン
- 秋まで ヨドバシ第2ビルのリニューアルオープン
- 未定 ヨドバシ第1ビルB棟計画(ホテル?)
1.飲食店街の見通し
ヨドバシのホームページのフロアマップですが、飲食店の予定エリアがマップ上に示されています。
1階は、バスターミナル側の3/5程度の予定範囲が示されており、
出店予定の飲食店のジャンルとしては、「カフェ・飲食店」「肉」「魚介」「寿司」「酒」「和食」「アジア」
6階は駐車場を除くフロアの約半分ですが、「丼」「魚介」「和食」「アジア」ジャンルの出店が。
1階と6階を合わせて、延べワンフロアのボリュームがあります。
従来型のテナントビルの飲食店街は最上階に設けることが定説で、例えば仙台パルコ本館はパルコとしての最上階である9階にレストラン街を設けていますが、眺望を楽しめるというウリとシャワー効果故。なので、第1ビル6階レストラン街は定石と思ったら、建物の構造によると窓際の眺めを楽しめる構造ではなく残念。
その後にオープンしたパルコ2は、上層階にシネコンが入居ということもあり、各階の仙台駅側に飲食店が並んでいる他、朝市に繋がる1階は「パルイチ」として、10店舗以上が並んでいます。
仙台駅前はペデストリアンデッキが2階レベルに張り巡らされているためか、2階がメイン入口になっている建物は1階が必ずしも一等地ではないという現状があります。例えば、ロフトビルの1階は某パチ屋ですし、ヤマダLabiの1階は完全に空きフロア、パルコ本館も1階は駅前広場に面し、排ガスまみれの裏口の雰囲気があるなど、1階の活用は難しい。
ヨドバシ第1ビルは、3階がメイン入口で、その上下各1層(2~4階)がヨドバシカメラ本体の売り場であり、1階はバスターミナルに隣接しているにしても、当初計画ではスーパーと物流センターを入れるとの話を聞いた時には、1階の使い方として思い切ったものを感じたものでした。
結果的に、スーパーは後述のとおり第2ビルへ、物流センター機能は不明ですが、ECサイト購入での受け取り機能は3階入り口付近に設置とのことなので、大幅に1階の使い方を変更したうえで、必ずしも一等地ではないとの認識で6階に加えて1階にも飲食店を増やしています。
ただ、高速バスの利用者は一人使いが多いことと、若者が多いので、コンビニやファーストフードでさっさと済ませてしまうイメージがあり、どちらかと言えば、半田屋やマックが入るBiviがその需要を吸収してきたところ。レストラン系と相性が良いとはいえない。
どちらかというと、混雑しがちかつ価格帯が高めのエスパル東館から流れてくる飲食需要がメインとなるか。
6階と1階に分散する位だったら、1階ワンフロアに飲食店街を集約した方がスケールメリットとして良かったのではと、1階の仙台駅側の活用が不明なだけに。
2.第2ビルのテナントについて
決定しているのは、1階に石井スポーツとアートスポーツが(4階から移転)、神奈川由来の激安スーパーロピアの出店が決まっている他は聞こえてきているものははありません。
ロピアはスーパーなだけに1階の東八番丁通側でしょうね。博多のように複数店舗展開を視野に乗り込んでくるのであれば、他の出店場所も気になるところ。
【6/4 追記】Twitter での求人情報によると、ロピアは第2ビル3階とのこと。第1ビルや仙台駅側からの集客に期待しているのかもしれませんが、ターゲットは近隣住民なので、あえて1階を避けた理由が分かりません。東七番丁通に新設のエスカレータで3階まで上がって入店というのも。。。1階の東八番丁通側であれば、駐輪場も近く立体駐車場も近いので使い勝手が良かったのではと。まぁ、何らかの考えがあってのことでしょうから。。。
上記河北記事で、新たな情報として「第2ビルの新たなテナントを募集している。市内の経済関係者によると、薬局や診療所が入る医療モールを設ける構想が浮上」とのこと。正直う~んという情報ですが、現時点で1階さえ埋めきれない状況からすると、医療モールというのもありかなとは。
第1ビルの5階テナントについても、ヨドバシが梅田や秋葉原、博多などの複合店舗で入居されている”お付き合い”のある店舗ばかりで、新たな斬新な店舗の入居は見込めないとは思っていました。
リンクス梅田と仙台ヨドバシの共通テナント
THE SUIT CAMPANY、ユニクロ、GU,ABCマート、Right on、coca、スキッズガーデン、モーリーファンタジー、JINS
それにしても、リンクス梅田に入居している大型専門店の中で、期待できる業種がないかなと思いながらも、
リンクス梅田の残る大型テナント
- wework ⇒(仙台)JRイーストゲートビルに入居
- ニトリ ⇒(仙台)西口ロフトビルに入居
- ゼビオスポーツ⇒(仙台)あすと長町に大型店舗
と、出店が期待できるものはなし。そもそもゼビオは梅田で石井スポーツと同じフロアに入居と、相乗効果というよりは喰い合いしそうな無理筋の選定。
可能性がありそうな小型テナントとしては、「3COINS(名掛丁にあるが。。。)」,「GLOBALWORK(近年パルコなどの店舗を閉店、縮小気味)」、「DAISO(十分あり得るが目新しさ皆無。。。)」。まぁ小型テナントではまだほかにもあるかもしれません。
そうなると、ユニクロやGUの大型店舗として第2ビルに移転であれば、併せて3階のワンフロアを埋めることは出来そうですが、それ以上、特に中途半端な2階は新たな店舗を開拓してこないと厳しい。将来を見越すとロフトビルやイービーンズビル建替え時のテナントの移転先として活用できそうですが、そもそもテナント料高そうですし、大型テナント入居させる場合は賃料の相談に応じないと厳しいと思われる。
3.B棟計画の行方
現在平面駐車場となっている、第1ビルとP3立体駐車場の間の空間。
明らかに見送りとなったB棟増築の可能性を残すつくりとなっています。
そもそも、P3の立体駐車場を有効活用するのであればこのB棟でつなげることは必須であり、見送られたZEPPや中クラスのシティホテル(東急エクセルホテル)などは期待しても良いかと。ただ、ヨドバシとして肝入りで進めてきたこのプロジェクト。第2ビルだけをみても上層部のオフィステナントはオープン11年経っても空きスペースが残り、今回の第1ビルオフィスも不透明。第2ビルの店舗部分もどうなるかというところで、事業全体の採算性からするとちょっと不安があります。
もちろん、そごう・西武店舗への出店をもくろむほどのヨドバシカメラの財務の健全さからすると、心配は要らないとは思いたいです。
落ち着いたころに、ぜひ自分の目で見に行きたいと考えています。
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コメント
レポートありがとうございます。ヨドバシのテナント集めの難しさのレポートを読みましたが,仙台の中心部の衰退を考えると仕方がないなと思います。駅前から西口,中央通,一番町を三越まで歩いてみると明らかにシャッター街になりつつあります。専門性のある店舗がどんどんなくなってもはや商店街とは言えなくなってきました。七夕も自前で飾りを出す商店が減ってスカスカになりそう。電力ビルの再開発が威勢よくぶち上げられたものの,現在,市内に分散している電力グループ企業のオフィスを集めても埋め切れるのか。仙台市の要請や期待もあるのかもしれませんが,どでかいオフィスビルに建て替えるというのは時代遅れの発想ではないかと思います。藤崎の再開発も地方都市百貨店がどんどんつぶれていることからして相当の困難があるのでは。仙台の未来は先行き不安だらけですがこれからもレポート宜しくお願いします。
投稿: 伊達者 | 2023年6月 3日 (土) 18時54分
>伊達者さん
コメントありがとうございます。
せっかくの大ニュースであり、今後のテナント集めなどバラ色の未来を予想したいところですが、ヨドバシに関しては現時点で入ってくる情報からあまり期待はできないとの想定に至りました。
そもそも、商業面では仙台で求められてきたブランドや業態などがほぼ進出しつくしてきました。象徴的なのは東急ハンズとシネコンです。
また郊外への大規模モールの進出などで市民が街中で買い物をしなくなった分を他都市からの来街者で補っていたところ、コロナ禍で状況が一気に悪化の方向に進んでしまったという状況です。
商業面では、そのような印象を抱いていますが、電力ビルなど再開発自体が成立しないような状況とは考えていません。
新しいオフィスの供給は、古いオフィスからの移転需要を促すもので、コンスタントな需要がありますし、更なる再開発を促し、移転需要の受け皿にもなりえます。
仙台では東北新幹線開業から、南北線開業及び政令市化のあたりのバブル期に建設ブームがあり、まだその時期の建物の再開発は先といっても、あと10年ほどで建替えが必要になってきます。現在再開発が盛んな札幌は1970年代のオリンピックや地下鉄整備に伴う建築ラッシュから50年経過しているという理由もあり、都市の新陳代謝の時期に差が生じるもので、再開発は一定程度必要なものではと思います。
引き続き、よろしくお願いします。
投稿: SENDAI Watcher! | 2023年6月 3日 (土) 23時34分