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2021年11月 7日 (日)

ミヤテレ 泉中央へ移転か?

 近年,在仙のテレビ局の局舎移転・新築が相次いでいましたが,現在地である宮城野区日の出町からの移転が取りだたされていた最後の候補,ミヤテレこと「宮城テレビ放送」が,泉中央駅前に残る最後の虎の子の土地を取得したとのニュースが。


宮城テレビ放送/有効活用の検討へ/仙台市泉中央に用地取得/仙台市地下鉄泉中央駅東側の約6100㎡


宮城テレビ放送(仙台市宮城野区日の出町1の5の33 大沼裕之代表取締役社長)は、仙台市泉区泉中央1丁目の用地約6100平方㍍を取得した。今後、取得した用地の有効活用を検討する。

今回同社が取得した用地は、仙台市泉区泉中央1の3の1ほか地内で仙台市営地下鉄南北線泉中央駅の東側近隣地。宮城県警泉警察署の北側に位置し、泉中央通り線と泉ヶ岳通り線に隣接した、現在は有料駐車場として使用しているところ。以前は大手商社が所有していた。

同用地周辺は、1980年に仙台市に隣接する当時の泉市が副都心形成に向けた土地区画整理事業を施行したエリアで、区画整理内には仙台市泉区役所(当時の泉市役所)をはじめセルバやアリオ仙台泉などの商業施設があり、仙台市内北部の中心地区を形成。

宮城テレビ放送は、70年にTBS系列の東北放送、フジテレビ系列の仙台放送に続く宮城県内で3番目の民放局として開局。日本テレビ系の東北ブロックの基幹局で2020年10月には開局50周年を迎えた。既存の放送局は老朽化が著しく、施設のある宮城野区日の出町地内は近年のゲリラ豪雨による浸水で隣接する国道45号が冠水するなど、報道取材にも影響が出ていた。

宮城県内の放送局では、近年、老朽化した施設の整備が相次いで進められており、仙台放送が04年に仙台市青葉区上杉5丁目に新社屋を建設したほか、日本放送協会が18年に仙台市青葉区錦町1丁目から青葉区本町2丁目に移転、20年に東北放送が仙台市太白区八木山香澄町で社屋を建て替え、仙台市青葉区双葉ケ丘2丁目にあった東日本放送は今年、仙台市太白区あすと長町1丁目で業務を開始している。(2021-11-05みやぎ建設新聞より)

相次いでいた在仙放送局の移転・新築

 9月20日に,KHB東日本放送が,市北部の双葉ケ丘からあすと長町に移転したのは記憶に新しいですが,3年半前の2018年にはNHK仙台放送局が愛宕上杉通沿いから,錦町公園横の旧ホテル仙台プラザの跡地に移転しています。

 八木山の東北放送は,テレビ塔が敷地内にあるメリット,及び敷地に余裕があるためか,現敷地内での建替えを選定しましたが,これは地下鉄東西線の開業で八木山動物公園駅から徒歩圏になったことも現在地に残った理由としてあるのかと思います。

 20年近く前には,仙台放送が,大年寺山テレビ塔の至近にあった太白区茂ケ崎から現在の上杉へ移転するなど,札幌が大通付近の都心部に集中しているのに対し,在仙の5放送局は都心と郊外でバランスよく位置しています。

 その中で,唯一移転がまだで可能性が残っていたミヤテレですが,2004年にJR仙石線小鶴新田駅が開業し鉄道駅からの交通の便は改善されたにせよ,記事の通り近隣は冠水被害に度々遭うなど,災害時への対応を考えると適地ではなくなってきたという背景も。とはいえ,候補地は宮城野区から離れることなく東口近辺かなと思っていただけに,泉中央に土地を取得したのは意外な印象を持ちました。

南北の副都心にバランス良く

 仮に,今回の取得地が放送局の移転地としたら,双葉ケ丘にあったKHBのあすと長町移転で空白地になった仙台市北部をテリトリーにすることができるというメリットが生じます。

 また,KHBはあすと長町の杜の広場隣接地という,イベント開催や中継にあたり好条件の立地ですが,今回のミヤテレ取得地は泉中央駅のペデストリアンデッキに面する場所で,区民祭りなどのイベントも行われているところであり,さらに普段の人通りは駅前だけに杜の広場よりも格段に多いので,KHBに対抗した訳ではないにせよ,最高の場所を抑えた形です。

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 メディアの多様化で広告料収入の減少など,生き残りに必死な地元民間放送局として,地域密着の方針がカギになるのではと。もともと,東北放送はもともと八木山の放送局とのイメージが強かったですが,仙台放送もKHBもミヤテレも移転前では放送局が立地している場所に根付いているとは言い難い感がありました。都心部に移転した仙台放送はともかく,他の民放3局は,仙台市内の郊外部で地域色を出していく方向になりそうです。KHBは長町商店街や89ersとのコラボを進めており,ミヤテレは泉中央とベガルタ?ただしもうJ2降格は避けられず,もはやテレビ中継の増は難しい状況になってしまったので,送り込んだ前社長が残した負の遺産解消をしてもらわないと。

余裕のある敷地面積をどう活用する?

 6100平米となると,あすと長町に移転したKHB(6600平米)と同程度の面積です。

 KHBの放送局部分は,うち4600平米に地上5階建てで建設され,残る2000平米は活用を模索しながら現在はコインパーキングとなっていますので,ミヤテレの6100平米も仮に放送局の移転地としては十分。

 容積率は,KHB所有地と同様に商業地域で400%あるので,放送局以外との複合施設として,土地代の負担を和らげる活用を模索するはず。

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 可能性が高いのは,1階部分の一部はバスプールの拡張用地として市の負担で整備し,2階以上を放送局機能という形であれば,長年の狭隘な泉中央バスプールの課題が解消されることにもなります。残りは必要なミヤテレの職員や機材車用駐車場を確保するなど。

泉中央駅前の最後の好立地

 さらに,このミヤテレが取得した街区は,セルバ南側でかつては商業活用を模索しながらも,区画整理終了後約30年にわたって平面駐車場として寝かされていた街区です。写真では,セルバと奥の泉警察署の間の街区です。

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 もともと,泉新都心という第三セクターが中心となってまちづくりを進めていた泉中央地区。この第三セクターが解散し区画整理の中心的な役割を果たしていた住友商事が市の所有株を引き受けました。この街区の所有権を持っていた住友商事はアリオ・セルバの大家として,泉中央副都心のまちづくりに多大な協力をしていた企業なので,この残された虎の子の街区を単に高く買ってくれるところに売却するようなことはしませんでした。

 副都心整備の経緯から,長町駅前と比較しても厳しめの地区計画が策定され,該当する駅前B地区は業務・商業・公益施設を整備する街区とされ,少なくとも1階又は1~2階は共同住宅としての活用を禁止されています。

 とはいえ,長町駅前のヤマザワ所有地は三井不動産他に売却され,パークタワーあすと長町が建設されましたが,1~2階は住宅が禁止だったので,3階以上が分譲住宅となりました。駅前の通りに面する部分は住宅が不可であり,敢えて現在フィットネス等が入る商業棟部分を敷地分割したり抜け道はあり,地区計画にも限界があります。

 このようなことをしなかったというのが,泉中央駅前のまちづくりに責任を持つ企業が土地を保有していたということ。単なる民間企業であれば,とっくの昔にタワーマンションが建ってしまっていたでしょう。

 泉中央とあすと長町のまちづくりの比較については過去記事に。

セルバテラスと泉中央の変化(2017/8/20)

 よって,正式発表前なので,あえて”仮に”と表現しましたが,この土地にふさわしい活用をする企業に売却したということから,,放送局の移転地として確定とみています。

 このような,泉中央駅前のラストピースが埋まり,副都心にふさわしい施設が整備されることになれば,本当に喜ばしいです。

 KHBも発表から移転まで5年以上かかったので,2026~27年度移転完了位のスパンの計画になるでしょう。さくらの跡地の再開発完成前位でしょうか。具体の移転発表と,詳細計画を待ちたいと思います。

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