アクアイグニス仙台 順調に進む建設工事
来年の2022年4月に,仙台市若林区藤塚にオープン予定の『アクアイグニス仙台』
藤塚と言ってもピンとこない方が多いでしょうが,『朝市』や『かわまちテラス』で有名な名取市閖上から,名取川河口を挟んで北側の対岸のエリアです。太平洋に向かって,左側が藤塚の避難の丘です。周りには何も遮るものはなく,閖上側や仙台市街,太平洋を一望できます。今回は先客がいたのでスルー。
仙台市若林区の名取川河口から宮城野区の七北田川河口に挟まれたエリアも,ご承知のとおり,東日本大震災の大津波で甚大な被害を受け,災害危険区域として住居系の住宅再建が基本的に認められず,地下鉄東西線の東の終点駅荒井を中心とした内陸移転を余儀なくされました。
その移転跡地の活用プロジェクト「仙台市集団移転跡地利活用事業」 を仙台市が進めており,このエリアの最南端において公募で選ばれたのが,この『アクアイグニス仙台』のプロジェクト。
地元建設業の深松組が中心となり,三重県他でアクアイグニス事業を進めている『アクアイグニス』社,株式会社岡田商会による3者の合弁企業『仙台reborn株式会社 』がこのプロジェクトのために設立されました。運営会社の想いを引用します。
かつては特徴的な「居久根/いぐね」のある集落として日本の原風景ともいえる美しい景色を見せていた仙台市若林区藤塚。その美しい場所に「治する/食する/育む」をコンセプトに誕生するのが、「アクアイグニス仙台」です。藤塚の新たな営みやこれまでの文化が再び風景として紡がれる場。アクアイグニス仙台は、そんな場所となることを目指しています。
順調に工事進行中
この地に建設されることや,比較的規模の大きい温泉施設であることは承知していましたが,初夏に通った時にはまだそれほど工事が進んでおらず,規模感が中々つかみづらかったのですが,先週末に近くを通ったら結構工事が進んでおり,南側の堤防から見たところ,本館の建物のサイズに驚きました。
敷き詰められている太陽光パネルとの対比で,サイズ感が麻痺してしまいます。
近づいてみると,地上2階地下1階の施設とは思えず,高さも16m強と意外にあります。
このメインの建物は温浴棟とのこと。地下1,000mの深さから温泉をくみ上げるようです。
雄大な太平洋や仙台市街地方面を眺めながら,露天風呂を楽しめそうですね。この写真のような快晴の日であればなおさら。ただし,この太陽光パネルがどうしても目に入ってしまいます。
あと1か月ほどの10月末に建物が完成する予定ですが,この感じだと多少遅れそう。
温泉の他,物販,飲食店など,大きめの温浴施設に必要な要素が盛り込まれています。
本館の他に,平屋建ての建物が並んでいますが,こっちは温泉以外の機能が盛り込まれています。
こちらは,本館目の前の産直マルシェ(肉・魚・野菜・果物)
こちらは,本館敷地から道路を挟んで南側の敷地で,パティスリー(スイーツ)などが入るようです。
計画概要
立派なウエブサイトで,計画概要を紹介しています。
このサイトの中でにYouTubeでの紹介動画があり,イメージが伝わってきました。
施設概要は下記の通り。サイトから引用しました。
〇温泉施設 藤塚の湯〇産直マルシェ
〇ベーカリー |
温泉施設や産直マルシェはともかく,それ以外は横文字が多く高級感をアピールという感じでしょうか。
基本的に,三重県での先例をモデルに施設を導入するようです。
高級路線の行く末が心配
高級感のある日帰り温泉複合リゾートで,ここに来たら一日楽しめそうです。
ただし,料金次第ですが,レストランなどはウエスティン併設並みに入るのに覚悟が要りそう。ランチ3千円でディナー1万円位だと厳しい。この高級感故,当初は良いですが,話題づくりの工夫を継続し,コンスタントに広範囲から集客を図る必要がありますね。
というのも,複合リゾートとしては近隣での競合は少ないですが,高級路線について行けるマーケットの小ささがあるため。
先例の三重県は,京阪神と名古屋に挟まれた立地条件から,商圏人口は2000万人を優に超え,またコロナが落ち着けば関空やセントレアからのインバウンドでの誘客も見込める立地に対し,広域仙台都市圏の人口は,周辺県を含めてもせいぜい300万人程度。インバウンドも誤差の範囲でそれほど見込めない。
競合よりは連携での集客を
海を身近に感じることができる複合施設としては,七ヶ浜町のシチノリゾート(カフェ・レストラン・ホテル・うみの駅七のや)があります。
なお,日帰り温泉については,南側の閖上サイクルスポーツセンター内に,ホテル佐勘グループが運営受託している「りんりんの宿」が,沿岸部で範囲を広げると,さらに南側にはりんりんの宿と同じく佐勘グループ運営受託の『わたり温泉鳥の海』,北側には松島の温泉ホテル群があります。
また,産直市場でいうと,南側の閖上に言わずと知れた『ゆりあげ港朝市』が日祝限定ながらあり,安さや賑わいという点では追随を許さない存在。
震災前は,仙台湾沿岸南部エリアは海を身近に楽しめる施設は海水浴場を除くと名取市閖上と亘理町鳥の海だけで,近くて遠い印象がありました。
このエリアは,震災で甚大な被害を受けた反面,跡地利用や震災復興を旗印に様々な集客施設ができつつあり,住民の目も向いてきています。
よって,近隣の施設をライバルとしてお客を取り合うよりも,この『名取川河口エリア』として,さらに,北側のJR関連会社のフルーツ農園などの震災復興に向けたプロジェクトと連携し,回遊性を向上させて,ここに来れば何か楽しめるという方向性を打ち立てていければ。
実際,ゆりあげ港朝市とかわまちテラスは運営者が実質同じということもあり,朝市からかわまちテラスという流れを作り出し,いつも賑わっています。
複数市町村にまたがるエリアになると,縦割りになりがちなので,この場合県の仙台圏域の出先機関が調整役を果たすなどの方向性を打ち立てることができればと感じました。
まとめ
大きなプロジェクト故に心配になってしまいましたが,このエリアに賑わいが生まれるのは歓迎すべきもの。
来年4月まで約半年。その時までにコロナとの共存が図られ,GWには賑わいを感じることができればと期待しています。
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コメント
この施設のことは,知りませんでした。奥山シエフのレストラン,楽しみです。
確かに高級路線で先行き心配ですが,被災地の観光振興ということで遠方からのお客さんがポストコロナで増えることを期待したいと思います。
投稿: 伊達者 | 2021年9月26日 (日) 00時08分
>伊達者さん
自分も,オープン半年前にも関わらず。この施設のことは良く分かっていませんでした。
地元マスコミを巻き込んだPRを図り,存在をアピールし期待感を高めていければと思います。
地元ゼネコンを中心とした前向きな投資なので,応援したいと思っています。
投稿: SENDAI Watcher! | 2021年9月27日 (月) 22時44分