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2020年9月 6日 (日)

仙台市 バス・地下鉄「運賃値上げ」か?

 震災前は,南北線だけで1日16万人台をピークに利用客が頭打ちとなり微減傾向で14万人台まで落ち込んだ仙台市地下鉄。

 震災後は1か月以上の台原駅以北の運休もあり,さらに落ち込みながら,その後,被災沿岸部からの被災者が沿線のみなし仮設等へ転入するなど,仙台への人口集中が起こったこともあり,利用客数が反転し増加に転じました。

 2015年末の東西線開通後は,さらに東西南北を移動できる2路線目を得たことによる利便性向上により需要が喚起されました。東西線沿線への住民の張り付きが続き,昨年度までは南北線及び東西線とも順調に増え続けてきたのは嬉しい誤算でした。

仙台市地下鉄 踊り場に差し掛かる利用者数(R1.10.26)

 南北線は乗換客含みながらも1日20万人程度の利用客を確保することとなり,東西線も当初はガラガラと叩かれながらもハイペースで増加し,合わせて25万人超(乗換客の重複除く)の利用者確保するところまで伸びてきたところ,一転コロナによる大幅な利用客減に見舞われました。

 その利用客も概ね戻りつつある昨今ですが,こんなショッキングがニュースが流れました。

仙台市 バス・地下鉄「運賃改定」検討 赤字が続く 経営方針一本化

20200904-224928

仙台市交通局は赤字が続く市バスと地下鉄の経営方針を一本化します。それに伴い策定される「経営計画」について、運賃改定などを盛り込むことが確認されました。

これは仙台市交通局に設置された「中期経営計画検討委員会」が作成した計画の素案の中で示されたものです。

それによりますと、バス事業は年間30億円に上る一般会計補助金を繰り入れることで採算が合わない路線を維持し、運賃の値上げを回避してきたことなどから、喫緊の課題として運賃水準の検討を必要としています。

一方、地下鉄南北線については1987年の開業から30年以上が経過し車両更新などの大規模投資が控えていることから、経営の引き締めを図るとともに運賃改定の検討が必要だとしています。

検討委員会は、素案を基本に12月には中間案を作成し、来年2月に最終案を取りまとめる方針です(9/3仙台放送)。

 経営方針の一本化と値上げがいまいち結び付かないですが,いずれにせよ,昨年10月に消費税UPで10円アップが行われ,初乗り210円をはじめとして割高感をより感じるようになった昨今,さらなる値上げが検討されているというのはショックです。

日本一高い地下鉄?

 まぁ,開業時は初乗り大人160円だったことはうっすらと覚えていますが,定期的に値上げされ,気づいた時には全国の公営地下鉄(都営地下鉄を除く)標準の初乗り200円になりながら,それ以降は消費税のUPに伴う値上げ以外は行われずに踏みとどまっていたというのが現実でした。

 なので,頑張っていたという面が大きいですが,それでも,運賃の上がり幅は他都市の公営地下鉄と比べても大きく,「日本一高い地下鉄」という不名誉な称号を与えられて久しいこの仙台市地下鉄。

1区 2区 3区 4区 5区
~3㎞ 3~6㎞ 6~9km 9~12km 12km~
210円 250円 310円 340円 370円

 個人的には,

〇初乗り料金は消費税UPに先んじて京都市地下鉄が210円(現在は220円)と日本一高い

〇運賃の上がり幅も埼玉高速鉄道のように全線20分乗ったら480円を超える料金よりは安い(仙台では20分で340円)

と,心の中では反論を続けてきましたが,消費税10 %になった昨年10月の値上げで初乗り210円,最も利用客の多い仙台―泉中央間が310円と区切りの良い料金ではなくなってしまったことで,正直高いなぁと思うようになりました。基本ICカード利用なので,その都度料金を払う訳ではないことで,負担感は小さくなっていますが。

 初乗りについては,全国の地方大都市の地下鉄でほぼ横並び的に210円にはなっているので仕方ないと思うしかないですが,仙台市地下鉄の運賃の上がり幅の特徴として,3km毎にきれいに上がること。

 初乗りが6kmまでの東京メトロは別格としても,他都市は初乗りは3kmまでのところが多いが,次の上がり幅が4km刻みだったりして,比較的遠距離逓減となる運賃体系になっています。

 それでも,震災後及び東西線開業後の主に南北線の利用客激増で経営的に一息つき,そんなに古びていないように見える南北線の車両更新の話がでるなど,当分は大丈夫かと思っていましたが,その車両更新を原因とする「運賃値上げ」が今回謳われているのであれば,車両更新のペースをゆっくりにするなど,無理ないペースでやれば良いのではと。そもそも施設の老朽化を踏まえた減価償却費を計上していなかったのかという疑問も。

市バスの経営悪化

 一方,地下鉄よりも市バスの方が将来性は悲観的で,一般会計からの繰り入れ金の額も東西線開業後に激増し,年間30億とのこと。

 いつの間にかに減便改正を繰り返し,ターミナル駅発22時以降の便が消滅した宮城交通。利用者はあきらめムードにある他,スポンサーであるためか地元マスコミもほとんど取り上げない(5月に河北がちょっと取り上げた位)のに対し,市営バスのダイヤ改正には市民への事前の説明が必須なのを良いことに,市政与党を標ぼうするK党が目を光らせており,また沿線住民も東西線開業時のバス再編や減便に反対一色となり地元マスコミが格好の餌食として取り上げていました。

 それで減便率がわずかに留まり効率化が進まず,(わずか1割負担の高齢乗車証利用者を中心とした)向山など一部沿線住民が望むようにした結果,運賃の値上げを強いられるというのは腑に落ちない。

 とはいえ,下記過去記事で述べたような非効率な運用も多かったりするので,見直しは避けられない状況です。

仙台市地下鉄&市バスの新しい動き(4)苦悩が続く市バスと経営改善に向けた取組(H29.11.19)

 値上げについては,まずは都心部120円パックを通常の初乗り150円にすることで,同じ事業体の地下鉄との無駄な競合を避けること(それでも地下鉄より60円安いので妥当な料金),東西線3駅の100円均一区間の見直し,荒井駅近辺などほとんど乗っていないバス路線の減便など,メスを入れるべきところに手を入れるのが先では。

 八ツ森のようなデマンド交通化なども含めて,やれるところから徐々に進めている印象ですが,終点近くまで乗ると500円を超えるような郊外長大路線の扱いなど,大手術は必要な状況。まあ,コロナの感染拡大防止で3密を避けるなどの要請があり,乗客増が見込めない状況であれば,値上げに走るのが手っ取り早い収支改善方法なのでしょうが,市バスに関してはちょっと安易では。まだやるべきことはある印象。

 従来であれば,宮交への一部路線移管も検討されたのでしょうが,このコロナでその宮交が大ダメージを受けているし,自前路線もボロボロの状況なので,市バスからの移管を受けられる状況ではない。そもそも,過去に宮交に移管したパークタウンなどの泉区内路線が軒並み今回の減便の影響を受けていることから,沿線住民は仮にそういう話があれば移管に大反対するでしょう。

公共交通の位置付け

 そもそも,日本の公共交通機関は,独立採算制を強いられ,コロナ以前から地方の路線を中心に減便や廃止,値上げを繰り返す形で縮小が続いています。

 今回のコロナ禍により,JR東日本や東海などのこれまで年間数千億円レベルの黒字を上げていた恵まれていた大手でさえも莫大な赤字に見舞われました。長距離需要が吹き飛んだことは全く予想つかないことですが,東京圏のJRなどの通期電車の乗客が2~3割減っただけで経営が成り立たないというのは,根本的にスキームがおかしいのではと思います。

 まぁJRは国鉄民営化の命題として,本州3社は消費税UP以外の値上げは極力タブー視されていました。従来本州3社については長距離旅客需要の増,合理化の進展もあり収益を上げ続けられたことから,値上げをせずに済んできたという経緯もあり,極端に安い概ね15㎞以内の近距離運賃や,高すぎる定期割引率(仙台長町間では,JR定期は市営地下鉄の半分未満の料金)が温存されていたことで,大都市圏では私鉄と比較しての競争優位が起こってきました。

 なので,JRに対してはある程度の収益改善を図るため,その歪んだダンピング的な近距離運賃と定期運賃の見直しを認めるべきかと思っていますが,それ以外の私鉄・公営地下鉄については,もともと運賃も安くはなく,定期も20日以上乗らないと元が取れず,週休2日制があたりまえの昨今では休日に乗らない人にはあまりお得感がないような設定のところが多いので,これ以上の運賃値上げによりカバーすることは非現実的。やむを得ず値上げを進めることになれば,「利用者減→自家用車への転移→経営状態の更なる悪化・道路混雑の悪化」と社会としても便益が悪化することが見えています。

 公共交通機関は,社会的インフラであり,自家用車との適切な役割分担を図る意味でも,公共交通機関を使いやすく維持するのは行政の責任でもあり,独立採算制に縛られ過ぎなのはどうなのかとは思います。人口減少に向かう世の中なのに,特定財源の存在から,新たな道路建設が聖域視されており,次から次へと改良された新しいバイパス道路が作られている一方,既存の道路インフラの維持管理費が厳しい状況になっているアンバランス。また道路部門と公共交通機関部門とのアンバランスも。

 仮に,道路予算の1%でも公共交通機関へ向けられることができれば,このコロナの状況での各経営体の存続危機状態を緩和させ,持続的な経営に向けて立て直すことができるのに。

 なお,仙台市バスの年間30億の一般会計繰り入れというのは額としては大きな金額であり,ある程度の効率化は必要ですが,道路予算とのバランスを考えると高すぎる訳ではない。市民の自由な移動を促進する意味では,必要経費ではあります。

経営計画の一本化?

 経営計画の一本化というのが,同じ企業体ながらも運営は別個である地下鉄部門とバス部門をより連携させるという方向であれば,内容はよくわかりませんが歓迎すべき話。現時点では地下鉄―バスでのicscaでの乗り継ぎポイント付与はありますが,予算も決算も運行計画も別個というのはどうなのかと思うので。

 地下鉄とバスの重複路線の解消とバスの乗り継ぎフィーダー化などは,バス側からすると運賃収入が激減しますが,地下鉄側としてはその分の運賃収入が見込めるという面はあります。会計の一本化は無理でしょうが,経営計画だけでもトータルで見れるようになれば良いと思います。
 

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