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2019年11月24日 (日)

2045年 100万人を切る仙台市

 震災後に思わぬ形で被災地からの人口増が起こり,106万人程度で頭打ちするはずが,109万人まで到達した仙台市の人口。ただ,本当にこれでピークを迎え,110万人の大台の達成は厳しそうです。

 その増え続けていた人口の中身としては,

  〇 被災地から高齢者が子供夫婦を頼って引っ越してきたことで,高齢化率の更なる上昇

  〇 東京圏への人口流出数が自治体単位では全国一

  〇 元から進んでいた泉区・太白区・青葉区の地下鉄沿線外ニュータウンの急激な高齢化

 というように,必ずしも左うちわで「仙台は元気だ」と言える状況では決してありません。

逆に,課題が覆い隠されてきた面があり,これからの10年間で

  〇 後背地である東北各県の急激な若年層の減少による,流入数の減少。

  〇 仙台市自身も適齢期女性の減による出生数の減少と,高齢者数の増加(特に泉区)。

    その後に来る高齢者死亡数の増加での自然減幅の拡大が止まらない

ということが起こってきます。

 

未来の人口帳 人口減少日本で各地に起こること(河合雅司)

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 本屋にて,ふとこの本を買い求め,読了しました。この方の本は,以前にも「未来の年表」を読んだことがあり,人口減少・少子高齢化が進む近未来の日本に起こるである諸問題を,年次を区切って警告する本でした。

 今回の近著は,都道府県や市町村単位にクローズアップし,人口(全体・若者・適齢期・高齢者)毎の増減を具体例を用いてリアルに示し,解決策のヒントを提示するものでした。

 このような切り口としては,10年位前に藻谷浩介氏が若年層・生産年齢人口・高齢者の人口の推移から,総人口の増減だけでなくその内訳(質)に着目することを提唱したのがきっかけで,その後,元岩手県知事で総務相を経験した増田寛也氏の著書「地方消滅 」で,適齢期女性数と  自然増減数に着目しすることで,消滅自治体の概念を提唱し,未婚率が高くかつ子育てがし辛い東京圏への一極集中が日本全体の人口減少を促進すること,地方の拠点都市へのある程度の人口集積を図ることが解決策の一つとの提言を行っていました。

 この2人の論調を踏まえた上での河合氏の著書になりますが,著者としては,もう根本的な解決策を図るには遅すぎるとのスタンスで,冷酷に今後起こるであろうことを示しているので,知りたくない現実を突きつけられるような印象でした。自分も上記2人の論調は十分に理解しているつもりでしたが,例えば20の政令市の中での優勢劣敗,同じ政令市内でも中心部を構成する区と郊外区の分断など,リアルな予測があります。このデータは国の国立社会保障・人口問題研究所の2018年度「地域別将来推計人口」からです。

仙台市の将来

 仙台市の人口は,今後減少に転じ,将来2045年には何と92万人にまでに減少するとされています。減少幅は16万人で,宮城野区に匹敵する人口が仙台市から消える予測となっています。

 2015年からの30年間での減少率では▲14.7%で,全国の20政令市の中では6番目。新潟市に匹敵する減少率というのは正直ショックでした。これまで持っていた意識では,「人口が減るにしても,全国の中枢都市の中ではまだましだろう」と思っていましたが,人口面では完全に負け組に入ってしまうことに。

〇人口減少数は札幌市より多い(減少率は札幌市:▲7.5% の2倍近く)

〇人口減少率は,新潟市:▲15% と同程度。

〇人口減少数は 北九州市:▲19万人,京都市:▲17.8万人に近い。

〇適齢期の女性人口の減少率は政令市ダントツ ▲32.1%で(2位の北九州は▲24.8%)

〇100万人から陥落する政令市は仙台のみ。広島市は▲6%で,110万人をキープ。

〇一方,福岡市は,10万人以上の増加(他に増加は川崎市,さいたま市のみ)

 このような見通しについて,行政側も無策ではなく,少なくとも仙台市は問題意識を持っていながら,傷みを強いる政策の実施に困難を極め,まずはできる手を打ってきている印象です。

 ただ, 仙台市では,この推計に異論があるからか,今年3月に策定された「仙台市まち・ひと・しごと創生総合戦略」での将来人口推計で,独自の仮定により,2045年時点でも人口100万人をキープするとの予測を立てており,自分も従来認識していたのはこの予測値でした。

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 ただ,この独自推計では,現在事業中の区画整理地区に人口が張り付く(市外からの吸引前提?)好影響を見込むなど期待値に過ぎないのではと思います。基本的に公平に,冷静に判断するためには,全国一律の前提条件で推計したものを元にすべきではと感じますが,社人研の推計値に異論を唱え,こんなに減らないという対外的なアピールも必要だという面も理解します。あくまでも推計なので,100%の正解はない。

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今後の対策は

 仙台市は,市の人口減少ペースを上回って東北の人口が減るので「東北の中での仙台市の占める割合は高まる」と言っており,これは嘘ではないのですが,これまで東北のダム的な役割を自任してきた仙台市としては,ダムに流れ込む後背地の人口(水)が激減することを考えると,かなりの危機感を感じなければならない。宮城県の人口も180万人と▲50万人で,県人口の半分が仙台市に集中することになる見込み。上述の適齢期女性人口の減少(全国政令市ワースト)も,仙台へ転入する後背地の人口が減るからこそ。

 まぁ危機感を感じても東北の人口は30年で3割減となるのは止められないとすると,少なくとも仙台経由,もしくは仙台を通り越して東京圏に向かう転出を減らす方向で,都市機能の向上を図ることは必要。東京から呼び込むことも含めて。

 それが,7月に発表された「せんだい都心再構築プロジェクト」なのでしょうし,まだ人口が辛うじて増加しているこの段階だからこそ,ラストチャンスとも言えます。人口減少の悪循環のサイクルに入ってしまうと,新たな投資は中々呼び込めない。

 それに,人口が減るにしても,高齢社会がさらに進み,高齢者の移動の制約から,買い物や医療機関,介護施設の充実したエリアの需要が高まることから,自然と都心部及び副都心,地下鉄を中心とする鉄道沿線に人口が集約される流れになってくるので,そのハブとなる仙台駅前を中心とする都心部の果たす役割は大きくなります。

都心再構築プロジェクト始動? その1 (2/2)

都心再構築プロジェクト始動? その2 (2/10)

せんだい都心再構築プロジェクト(第1期) 施策発表! (7/16)

せんだい都心再構築プロジェクト(第1期) 施策発表!(その2)対象となるビルは? (8/23)

せんだい都心再構築プロジェクト(第1期) 施策発表!(その3)容積率が最大2倍に緩和 (8/25)

せんだい都心再構築プロジェクト(第1期) 施策発表!(その4) 再開発補助金の拡充&駐車場附置義務緩和 (8/27) 

 他都市でも東京,大阪,横浜,名古屋を中心に,中心部を抱える伸びる区と,衰退一途の郊外区に二極分化することが予測されており,仙台では区割りが都心部と郊外に明確に分けていないことを考慮しても,郊外型ニュータウンの先行きが厳しいのは自明の理。スカスカの住宅地をどのように維持・再整備していくか。スーパーの閉店,バスの減便など,その兆しが出ていますが,宮城県内でも仙台以外の自治体では既に起こっていることであり,参考になる部分は多い。

 ニーズは増えても,これまでのように至れり尽くせりを求める社会は,今後成り立たなくなっていきます。宅急便などの物流クライシス,セブンイレブンの24時間営業強制が問題となったことが風穴になって,流れは変わってきていますが,遅かれ早かれ破綻することが早めに気づけて,対策を講じるきっかけとなったのは良かったと思いますが,とにかく働く人が地域からいなくなっていくことから,やらなければならないことに資源を金も人も集中させないと。

仙台の課題

 今後拡大一辺倒の街づくりはできるわけがなく,うまく縮みながら仙台という大都市の存在感を維持していけるかが問われています。このあたりを再認識しました。

 仙台に関しては当然都会と田舎の良いとこ取りという良い面があり,このメリットは仮に人口が減っても変わらないものとは思っています。

 なお,こういったウェブ・twitter等で他の拠点都市(特に,新潟,広島)に対し 仙台の優位性を盲目的にアピールしている人をたまに見かけて違和感を感じていましたが,その仙台の足元は脆いものかもしれません。比較というのは自らの立ち位置を理解するためのもので,相手を攻撃するためのものではないと思っています。今回の30年後の仙台の人口減少予測については個人的に衝撃的でしたが,改めて現状や今後の流れをしっかり把握した上で,正確かつ客観的な理解のもとにこのブログも続けて行ければと思っています。

 

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コメント

はじめまして、初めてコメントさせていただきます。

やはり東京集中が未婚率と少子化を促進しているのですね。私も同様の推測をしていましたが、根本的にはこれは国政の問題です。仙台はおろか、三大都市圏、名古屋や大阪ですら東京への流出があるという深刻な状況を放置してきた自民党の問題かと思います。
宮城県や仙台市にできるのは基本水際作戦ですからね。自民党が真剣に取り組む局面になるまで、基本宮城県含む全国の道府県にできることは限られるでしょう。せいぜい選出議員を地方から激しく突き上げるくらいでしょうか。 原因がわかってるのに私には権力がないのでもどかしい思いです。

>とっくめさん

コメント頂きありがとうございます。
確認するのが遅くなり,すみません。

 個人的には,東京圏の人口を,全国各ブロックの拠点都市圏が受け皿となり,せめて名古屋・福岡・札幌クラスの都市機能へ容易にアクセスできる圏域が増えれば,東京圏の過密も抑えられ,地方にも適度な大都市圏が分散して存在するという状態が理想だと思っていました。
 そのためには,道州制の実現も願ってきましたが,もはや道州制の実現は困難なほど,東京圏とその他地方の経済・財政力格差が広がってしまっています。仮に今の東北で道州制にしたら北海道よりも酷い状況になるのは目に見えています。

 東京一極集中を是正できない国政は当然一番の加害者で,日本の将来を見据えた国土計画を実現できるトップが存在しなかったということも残念です。自民党の首相も,長期政権で権力を持っていた小泉首相は神奈川選出なのでもちろん,山口が選挙区の安倍首相も実際東京出身ですから,自分周辺が損をする政策を進める訳がないんでしょうが。関西圏さえも経済力が骨抜きとなり,長期的な地盤沈下を強いられた被害者ですし,カジノも邪魔しようとしているのは悲しい限り。
 一時期盛り上がった首都機能移転が一気にしぼんだのも,候補地の東西対立に議論が矮小化し,結局東京が漁夫の利を得た形になりました。本来であれば,現在NHKの特番で警鐘を鳴らしている首都圏直下型地震の発生を見据え,過度の一極集中を抑える方向に進めるべきだったのでしょうが,そのマスコミ自体が「東京でないと日本ではない」と言わんばかりの単眼的報道を続けてきたことも主要な要因だとは思っています。
 もどかしい気持ちは同じです。

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