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2019年11月28日 (木)

阿武隈急行 全線復旧なるか?

 先月の台風19号で福島県との県境区間が大規模な被害を受けて,宮城県区間が全て運休中の阿武隈急行ですが,12月の中旬には槻木から丸森までの区間が復旧する見込みとなりました。

 復活なるか!? 運休が続く阿武隈急行 (11/12)

 地方の第三セクター鉄道としては珍しい,2県にまたがる運行形態は,もともと国鉄時代に廃止対象となった旧国鉄丸森線(槻木ー丸森)を含め,ほぼ完成しながら開通を放棄された福島駅までの鉄建公団工事中区間を引き取って第三セクターとして全線開通したという経緯がありますが,もともと営業路線があった宮城県側ではなく,本社も車両基地も変電所も現伊達市内(旧保原町,梁川町)に設置され,運行本数も県都の福島駅に直接乗り入れできる福島県側の方が約30往復と,宮城県側の23往復に比べて優遇されているというのが,福島県主導の第三セクターという性格を表しているのかと思いました。

 福島県側は全くの新線建設と言っても,国鉄時代に建設が進められていたこの路線の開業前に,福島交通の軌道線が廃止されていたという経緯もあり,鉄道に対する待望論は高かったのと推測します。その沿線に路線を持っており,鉄道廃止後にバスを走らせていた福島交通が主要株主として参加しているということも含め。

 ただ,利用客数を見ると,最も多いのが当然福島駅(乗車客約2,000人強)ながらも,2番目は宮城県の角田駅,3番目が東北本線に接続する槻木駅(ともに1000人台前半)というのが,路線の性格を表しており,福島県側は福島駅以外で最も利用者が多いのが保原駅(乗車客5~600人)で,他の駅が2~300人程度の利用客で小駅から細かく乗客を拾っている反面,宮城県側はほとんどが角田駅と槻木駅相互の利用客というところで,角田高校通学輸送及び仙台方面への通勤通学需要は大きいのが分かります。

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 よって,この宮城県側区間の復旧は,ボリュームとしては大きくバスでは運びきれない路線の復旧であり,仙台方面への通勤通学客の救済という面でも大きいもの。代替の無料救済バスが有人駅のみの運行だったというのは,無人駅の乗降客がほぼ無視できる需要数ということもあるんでしょう。

 ただ,上述のように,車両基地や変電所が福島県側にしかおかず,効率化を図ってきたことが,今回のような災害での路線寸断時には致命傷になってしまうことは盲点でした。

 一方,JRの東北本線(福島―槻木)経由で車両を動かして,宮城県側に2両×3編成を配置し運行再開することができるのは,旧国鉄で,JRとの相互乗り入れが行われてきたこの路線の強みでもあります。ただ,3編成での運行では,本数が限られ,特に朝夕の仙台直通列車の運行は絶望的であり,仮復旧的な位置づけになります。

報道でのトーンと知事記者会見の検証

 知事記者会見の報道を目にして,誤解してしまったのは

県境部分の復旧にこだわらない⇒宮城と福島で路線が分離することも已む無し

 と,村井知事が決めているような論調だったこと。

 ただ,知事記者会見のやり取りを文字で確認したら,決してそんなことはなく,厳しい条件の中熟慮しながらの発言であることが確認できたので,全然決定事項ではなく,今後検討を進めて行くとのことで,真実が分かり一応安心しました。

知事発言要旨(と多少補足) 

 〇台風前から,乗客減が進み,累積赤字も膨らんでおり,債務超過寸前状態で,鉄道の在り方を検討していた。

 〇車両も老朽化が進み,両県の他,地元市町も負担しながら今年度新車導入を始めたところだった。

  ところがこの台風で地元自治体での負担が難しくなりそう。柴田町,角田市,丸森町の首長とも話をした。

 〇路線の日常利用者は,福島側,宮城側で殆ど分かれており,地元住民の県を跨ぐ需要はほとんど皆無

 〇特に被害が大きい区間(丸森―富野)のあぶくま駅と兜駅の利用者はほとんどいない(合わせて10~20人/日 程度)

 〇県境区間の復旧は国費を使えばほぼ地元負担なしとなる反面,原則上下分離が必要であり,この区間を長く運行することを約束しないといけない。仮に復旧後廃止することになったら,国費の返還を求められるので慎重な検討が必要

 〇BRT化は,復旧費的にも補助がなく自己負担となり,全くメリットがない

 とのことで,阿武隈急行が置かれている現状からすると,当たり前すぎることを言っているだけでした。

 県境を超える需要といっても,観光地であるあぶくま駅の利用客が2桁前半/日 であれば,これを理由にするのは難しい。フリー切符で需要喚起をしていますが,収入的には焼け石に水。でも,少しでも需要を掘り起こさざるを得ない。

 梁川と仙台を結ぶ1日2往復のJR乗り入れ仙台駅直通列車も,ほとんどが丸森以北の利用者(梁川駅利用者は200人/日 だし,仙台まで80分以上かかる),その南側の保原駅からは福島駅経由で新幹線の方がよっぽど早い(最短60分程度),しいて言えば,角田駅からの福島駅経由での新幹線乗り継ぎ客の存在。角田からはほぼ各駅停車しかない白石蔵王駅利用も不便だしという程度でしょうか。

 ただ,仮に県境部分をあきらめて両県で分断することになると,,宮城側に車両基地や変電所の新設が自己負担で必要であることから,よっぽど県境区間を復旧した方が費用的に安上がりになりそうなこと,同じ第三セクターの会社で県境で分断する意味がなく,仮に会社を宮城と福島で分割するにしても,資産も負債も分けるのが難しいという,難しい課題が生じます。

 とはいえ,仮に全線復旧しても,沿線人口は減少の一途。現在でも国鉄時代に廃止対象となった路線の「輸送密度2,000人未満」を全線で下回っているので,将来を考えると残すのも地獄となってしまい,両県の覚悟が必要です。

 ただ,この阿武隈急行よりも条件がかなり厳しい三陸鉄道が「震災からの復興のシンボル」と位置付けられ,岩手県の覚悟で震災から復旧し,山田線の一部を取り込んで1本の路線として再復活したこと,さらに今回の台風被害から復旧させることに異論は全くなかったこと,福島県でも災害で長年一部不通になっているJR只見線を県も負担することで復旧させようとしていることからすると,この2路線よりはよっぽど立地条件的に恵まれている阿武隈急行の復旧の可否が宮城県として議論の遡上に上がっている点については不思議です。

 宮城県は,JR気仙沼線や大船渡線の被災区間の復旧に対し,鉄道での復旧を求める地元自治体に対し支援をせず,BRT化をほぼ異論なく受け入れたこと,鉄道というか公共交通については比較的冷淡なスタンスに思えます。仙台という目的地となる大都市を抱えており,鉄道のメリットが活かせる県ではあるとは思うのですが。。。

 この問題も,前記事で取り上げたように30年後の人口減を見越した取捨選択が必要という点を考えると,断腸たる思いです。今後はこのような選択の連続になるんでしょうね。暗い話が続くようですが,目を背けることはできない。

 

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コメント

初めて投稿致しましす。この度の阿武急の、災害復旧について、常日頃思っている事を、災害前に仙台から梁川間を、通勤利用していた経験も、含め記します。既報の通り確かに、県を跨いでの第三セクターは、他では見当たらないとおもっています。丸森線の赤字問題、その後の鉄建公団の関わり等、歴史の経緯は、周囲の認めるところです。本社、基地、変電所等は福島県。社長は宮城県の元部長職だった千葉右京さん!確かに、両県のバランスは、抜群ですが、報道等を見ると今後の迅速な動きは大変なようです。そこでどうでしょう?山田線の、震災復興の復旧、譲渡を成し得たJRの、出番こそが今一番必要なのではないでしょうか。しかし今のままでは、駄目で東北の数ある支社の上に、発言力のある総局的な組織を、つくり専務職を新たにつくり置き、国交省東北地方運輸局鉄道部ととは、これからの鉄軌道の、ためにも前向きに、話し会える土俵造りが、もう既に来ているのではないでしょうか。昔、運輸省対国鉄、国交省対JRで、やれ出向?だ天下り?だなんていっていた場合では、ないとおもいます。安易にBRTだDCだ廃止だ!では、先人の涙💧見るにたえません。最後になりますが、アノ国鉄も38年頑張りました。JRも、32年が、過ぎました。次の30年などと言わず、災害対策を含め、速攻で頑張って頂きたいと、思う次第です。

気仙沼線も震災直後は仕方なくBRTに賛成するしか無かったかと思いますが、その後はSNSの影響などで地方の小さな町やお店・スポットに対しての需要喚起が非常にやりやすくなっています。うまくやっている地域では観光客も増えていますし、鉄路復活で三陸ライナーとか夢のあるような復活劇を期待していましたが、、、
阿武隈急行も同様になってしまうのかと思いましたが、知事発言が報道とニュアンスが違うようで一先ず良かったです。

どうにも宮城県の観光政策はどこかの会社やコンサルに丸投げしてるだけではといった内容の物が多く、県民としては税金の使われ方が気になっています。

>ダザイヒデアキさん

コメントありがとうございます。
確認が遅くなりすみません。

阿武隈急行の現在置かれている状況は本当に厳しいものですね。
実際通勤利用をされていたとのことで,思いも強いものと思慮します。
ただ,宮城と福島でバランスを保ちながら両県で運営してきた地元密着の交通機関ですから,第三セクターとして何とかしていくしかないかと思いますが,東北線との接続の向上やフリー切符の設定,直通運転の増など間接的なJRの支援があるに越したことはありませんね。
 厳しい状況ではありますが,せめて県境部分は鉄路で復旧して欲しいとは思っています。
三陸沿岸の気仙沼線,大船渡線のようにネットワークが途切れてしまえば,存在意義がなくなってしまいます。

>かさん

いつも訪問ありがとうございます。
気仙沼線のBRT化はJRとしたらやむを得ない面もありながら,
被害が小さい柳津ー志津川間だけでも鉄路復旧し,以北はBRTという方法を地元としてアピールできなったのかというのも,女川の駅を中心とした街づくりや,鉄路を残したからこそ,仙石東北ラインの女川延長が実現したことなどを見ると,志津川までのわずかな距離の鉄路を復旧できれば,街づくりの面でも観光客誘致の面でもだいぶ違ったのではと思ったりします。

 阿武隈急行の県境部分BRT化については,BRTの定義も含めてあいまいな中で独り歩きした面もありますが,JRが気仙沼線の鉄道廃止と引き換えに整備するにもそれなりの投資金額(手切れ金)が発生しているので,仮に阿武急として復旧断念であればBRT化は不可能で,改良復旧される国道349号が快適になるでしょうからそこにバスを走らせれば済む話です。
 やはり鉄道はつながってナンボのところがあるので,両県で設立した阿武隈急行の理念を活かす意味でも,鉄路での復旧を求めたいところです。
 なお,県の観光施策は,震災財源でありイケイケドンドンでやっていますが,費用対効果が気になるところですね。

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