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2019年10月26日 (土)

仙台市地下鉄 踊り場に差し掛かる利用者数

恒例の仙台市地下鉄南北線・東西線各駅の利用者数(乗車数)が公表されました。

今年は,昨年よりもやや遅い時期の公表となりましたが,傾向としては,

「伸びる東西線に対し,踊り場に差し掛かる南北線」

というところでしょうか。

 南北線・東西線の一日平均利用者数は約25万人弱(乗換利用者の重複を除く)で,

利用者の割合は南北線:東西線で3:1の割合となります。

H29年度との比較では全線で約7千人(+3%弱)の利用増ですが,H28-H29年度の全線増加数が1.3万人(+5.5%)と比べるとやはり,全線の増加数が落ち込んできています。南北線は利用者減の駅もちらほらと現れており,ほぼ横ばいに近くなっています。

 

順調に増加する東西線

 乗換客込みで1日平均7.7万人と,開業前の需要予測値に近づいてきました。

H28-29が 約9千人(+14.1%)増に対し,H29-30が約6千人(+8.8%)増と,

伸び数が南北線を上回っているにしても,絶対数も増加率も落ちてきています。

H30touzai

 南北線とは異なり,まだ全駅が増加基調ですが,各駅の性格が異なるため,増加数にばらつきが見られています。

荒井近辺のように,「人口増が見込める駅」,東北大や卸町イオンなどの「目的地としての利用が見込める駅」,

大町西公園のように「ともに厳しい駅」に分けられます。

●高い伸び率の東側

 東端側の3駅(荒井,六丁の目,卸町)は概ね15%以上の伸びが続いています。

 特に卸町駅は2割以上の伸びで,9月という年度途中にオープンしたのにも関わらずイオンスタイル卸町の影響が大きいのでしょう。従業員利用はもちろん,住民増にも貢献しており,引き続きH31年度(R1年度)も通年での好影響が見込まれると思われます。

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 荒井駅と六丁の目駅は,区画整理エリアへの人口の張り付きが順調である他,駅周辺の商業施設の立地も徐々に進み,期待感は相変わらず高い状況です。ただ,卸町駅を含め,最近続く大雨での冠水といった影響を受けやすいエリアであり,状況を注視する必要があるかも。

 一方,薬師堂駅や連坊駅は,大きな再開発可能な土地がないため,周辺の古い住宅地の相続等での再整備に頼らざるを得ず,伸び率は低下傾向。

 宮城野通駅は,東口で続く再開発の影響で,目的地としての利用者増が続くでしょうし,当然ヨドバシの再開発にも期待。

●伸び率が鈍化傾向の西側

 3千万円台の手頃な戸建ての供給が続く八木山動物公園駅周辺ですが,増加率も落ち着き5%を切りました。一方目的地としての東北大キャンパスを抱える青葉山駅,川内駅の利用者は,学生の居住エリアが代替わりの度に東西線沿線に移行しつつあるので,伸び率は+8~9%程度と比較的高い状況です。 さらに,2023年に青葉山新キャンパスに稼働が予定されている放射光施設の好影響も期待したいところ。

 マンションなど周辺人口が増え,アーケードに直結している青葉通一番町駅も8%超の高い伸び率を保っており,今後見込まれる都心再整備の好影響も受けるエリアでしょう。

 一方,都心部の端である大町西公園駅は,増加幅が急減し,ほぼ横ばいになってしまいました。南北線を含む全駅での最低利用者数の駅ながら,西側が広瀬川で駅勢圏が極端に狭いこと,目的地となる施設が少ないこと,足元の利用者はあまり地下鉄に乗らない(自転車・徒歩・広瀬通を走るバスで十分行動が可能)ということ,新規のマンション供給がなかったことが考えられます。今後は,大手町側でレーベンが景観面で賛否両論の高級マンションを分譲中で,入居が進めば駅利用者が多少は見込めるにしても,厳しい状況です。

 仙台市自体の人口が伸び悩み,そろそろ天井を打つ見込みの中,東西線沿線 にはもう少し頑張ってもらわないとという状況で,せめて利用者数が10万人まで伸びて欲しいところ。

住民の高齢化が進む南北線沿線

 一方,仙台都心を縦断し,南北の副都心を結ぶ大動脈南北線。台風で通路が浸水しても運行を止めない最強の安定感を誇っていますが,H30年度の利用者数の伸びはだいぶ鈍化しました。

H30nanboku

●高齢化が進む北方面

北方面では,高齢化が進み,居住者の代替わりが難しいS30年代から整備された地形が険しい住宅地が広がる旭ヶ丘駅・台原駅,及び周辺の開発が飽和し新たなマンション供給が止まって久しい八乙女駅の3駅の利用者が減少に転じました。八乙女は,後背地である加茂・長命ヶ丘という高齢化が進む住宅地の影響も否めない。

 泉中央駅もほぼ前年並みで,次年度には減少に転じるかもしれません。北部住宅地の高齢化は進んでおり,明石台・ガーデンシティ・紫山以外はどこも同じですし。泉中央自体の求心力は強いにしても,土地不足で新規マンションも数年に1棟という状況。

 勾当台公園駅や広瀬通駅の利用者もほぼ横ばい。 

 とはいえ,これまで朝晩ラッシュ時の混雑が問題になっていた北方面なので,利用者が天井を打つというのは悪い話ではないかもしれません。

●増加率が鈍化した南方面

 今回減少に転じた長町南駅は,八木山や山田,名取の高館3団地といった後背地の高齢化と通勤需要が減っているということと,東西線の八木山動物公園駅との駅勢圏の競合という状況なので,状況は厳しいながらも,これまでも減少に転じた翌年に増加というのを繰り返してきたので,ザ・モールの存在もあり,安定した利用者数が今後も見込まれるでしょう。

 南北線で随一の増加率の富沢駅は,富沢西の区画整理地区への戸建てやアパート供給が一気に進んでいること,駅近辺でもコンスタントに分譲マンションの供給があること,始発駅というメリットがあり,長町・あすと長町と比べても独自の存在感がありますね。

 一方,五橋駅から長町駅までは微増で,これまで高い伸び率を誇っていた長町駅も2%増と鈍化しました。H30年度は大規模タワーとして前年度に入居開始したワンパークレジデンシャルタワーズ(中央公園前の野村・ワールド物件)の好影響も見込める年でしたが,約200人増にとどまりました。JR長町駅の利用者もH30年度は200人弱の増と鈍化していたので,両駅とも同程度の増加にとどまることに。

 長町駅は,今年度途中に入居開始した三井のパークタワーと住友・ワールドのシティタワーあすとレジデンシャルによる利用者増も見込まれるので,来年の発表が楽しみです。 

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 震災バブル及び東西線開業効果が終息しつつある仙台市地下鉄。利用者数の急激な伸びは今後見込めないにせよ,仙台の基幹的な東西南北を結ぶ交通機関としての重要性は変わりません。伸びしろがある東西線はもちろん,正念場の南北線ももう少し頑張って乗客を伸ばして,より多くの方に利用して欲しいものです。

 

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2019年10月21日 (月)

あすと長町の近況(R1.10)~KHBの建物イメージが明らかに~

 これまでの数年間,あすと長町の話題の中心だった,高層分譲マンションが,長町駅東口のパークタワーあすと長町の竣工と入居開始で,ようやくひと段落を迎えた今秋。引き続いての話題は,相次いで着工となるJR東日本グループの長町駅東口開発と,杜の広場隣接地のKHB東日本放送の新社屋。ともに,令和3年の初めに建物自体の完成を見込んでいます。

 JR東日本グループの開発地は,9月下旬に起工式を行い,既に着工していますが,KHB東日本放送の新社屋予定地は,コインパーキングとしての利用も終了し,現在フェンスでの仮囲いと,工事事務所の準備が終わり,この25日に起工式を迎えます。

KHB新社屋 11月着工へ (8/17)

KHB東日本放送 あすと長町移転の続報 (2018/8/3)

KHB東日本放送 H33年にあすと長町へ (2016/3/12)

 起工式と完成予想パースのプレスリリースがありましたが,洗練された期待できるデザインですね。

  

建設計画の概要

建設場所 仙台市太白区あすと長町一丁目3番4
構造・規模 鉄骨造 地上4階 塔屋1階
用途   テレビスタジオ
延床面積 8,510.61平米
建築面積 2,964.98平米

運用開始 2021年10月1日(予定)

竣工   2021年1月31日(予定)

コンストラクションマネジャー 株式会社山下PMC

設計施工者 株式会社竹中工務店

景観に配慮した計画

 建築計画看板では地上5階とありましたが,実際は5階部分が塔屋で,実質4階建ての屋上にアンテナ部分が乗っかる形になります。また,アンテナもむき出しではなく,景観に配慮したカバーをかけるようで,それほど違和感はありません。

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 放送局部分は,予想通り北側の高齢者住宅寄りですが,アンテナは南側に寄せて,北側の高齢者住宅になるべく影響を与えないように配慮しています。

 斜めに配置されているガラス張りのスロープ?がアクセントの効果を発揮しそうですが,基本的には白基調でゼビアリやゼビオスポーツの黒基調に対して対照的です。

 広場に面した1階部分は,ガラス張りで開かれたスペースになっています。その1階に整備される多目的ホールと杜の広場との一体的な活用が期待でき,また,カフェも併設とのことで,杜の広場方面に開かれた空間というのは,あすと長町まちづくり基本方針に定められた,広場を取り囲むように中層の建物を配置するという,この広場の狙いに沿った形での活用となり嬉しく思います。ゼビオアリーナも,最近になって1階の空きスペースにヤマハの教室や塾が入居し,広場に面した部分のにぎわいが多少増したところで,両側に賑わいを感じ,ぐりりスポーツパーク側の店舗との相乗効果を発揮して欲しいところです。

 ニュースや情報番組などでのリポートとしてこの広場が使われるんでしょうし,様々なイベントの開催もあるのでしょうから,あすと長町のにぎわいを増す効果が期待できます。そいえばNHKの新放送局は錦町公園と一体的に活用できるよう,階段状の観覧スペースが整備されましたが,その目的ではあまり活用されていないようなので,KHBにはせっかくの広場隣接の立地条件を活かして欲しいもの。

NHK仙台放送局移転オープン(2018/2/4)

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未活用で残る南側2000平米

 現在,南側の2000平米については工事用事務所が設置され,放送局が完成する2021年春以降でないと着工できないのではと。立地機能もそんなに焦って決める必要はないのでしょうし,気長に待った方が良さそうです。逆に放送局の稼働開始が迫った時期の方が様々な相乗効果を期待しての立地申し出がありそう。残り少ないあすと長町の好立地なので。2000平米というのは狭い土地ではないですが,基本的に広場側に建物を寄せて,半分近くを駐車場として使うとすると,容積率が300%なのでそれほど床面積が確保できるわけではありません。純粋な商業機能というのは,杜の広場の人通りからちょっと厳しいかな。

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杜の広場側からは,すっかりフェンスに囲まれてしまいました。

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一方,大通側からは,入り口部分が開いており,中を見ることができました。

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大通沿いに謎のベンチ工事中

 そのKHB予定地そばのあすと長町大通の緑地帯部分に,10月末までの工期で,なぜかベンチ設置工事中です。

道路向かいのライオンズマンション付近でも同じ工事をしているようですが,なぜこんな場所に?

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 年2回の草刈り直後以外は,草ぼうぼうになっていたり荒れている期間も多いこの緑地帯に整備されるのは悪い話ではないですが,ここに整備される理由として考えられるのは,一応点字ブロックなど設置準備工事が行われながらそのままになっているバス停設置に伴う待合スペースとしてというもの(ただし,終点の市立病院が次なのでちょっと無理があるかも。道路向かいもバス停予定地の近くとはいえ多少場所がずれている。。。ということで謎です。ここでベンチに座って休憩というシチュエーションが思い浮かばない。散歩する高齢者の休憩用?)

 市立病院と長町南駅以遠を結ぶバスが走っていますが,この区間がほぼ空気輸送なので,仮に,この位置にバス停が設置されれば, 近隣住民が長町南のモールに行き帰りする需要を多少拾うことができそうではあります。ただ大通を歩行者が横断するには南北ともかなり遠回りをしなければならないので,仮にここにバス停が設置されたとしても上り下りが事実上別のバス停になってしまうという懸念もあります。バス停の名前も付けづらい。

アウトドアショップが11月にオープン

 あすと長町から線路を挟んで1歩出たところで,長町商店街の裏側にあたる新幹線高架に見下ろされた地味な場所に,キャンプ用品大手のスノーピーク商品を中心に扱うアウトドアショップ「ヒ・グラシ DIY&OUTDOOR CENTER 」がオープンします。地元の高野建設が関わり,既存の古い建物をリノベーションして出店とのことで,近隣のリノベ物件としては人気カフェのパブリック コーヒー&バーがありますが,長町商店街こそ仙台市が進めているリノベーション街づくりにの趣旨に合致するエリアと思っているので,古い廃業する商店等が多い割には,周辺人口が増えており,こういう専門店ショップは人気を集めると思われます。

プレスリリース

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 イメージパースはこんな感じですが,ピンとこなかったので,現地を探索してみました。

 新幹線高架と並行する細い道を長町一丁目方向から進むと,

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危なく通り過ぎるところでしたが,ここっぽい。マンションと古いアパートに挟まれた場所。

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ここかぁ。建物の全面にテントを展示するようなデッキスペースが整備されるようですが,これからのようでした。

駐車場はせいぜい5~6台程度でしょうか。

 

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目の前の道路が一方通行ではないものの,すれ違いに難儀する狭い道なので,車で行きやすい場所ではないのがネック。とはいえ,近年のアウトドアブームにのって,人気を集めそうなショップです。

 カフェは,フラットホワイトコーヒーから豆の提供を受けるとのことで,最近はイグーネ荒井に出店している人気店との相乗効果もありそう。

 オープンする11月9日には,コーヒー豆のプレゼントやトークショーなどがあるようです。

tekuteながまちにハチオープン

 twitterでも流していましたが,tekuteながまち内,最北端のヴィスキオーレ跡地に,ハンバーグレストランハチ長町店がオープンです。時期は11月初旬とのことで,昨年秋に空き店舗になってから1年でようやくこの場所が埋まります。

 ホームページ

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 今日前を通ったところ,改装工事は途中ながらも,従業員の訓練的なことをしていました。

 ハチは仙台駅にも出店しており,JRグループとの関係があることからの誘致と推測しましたが,地元での人気店の出店は嬉しいです。

 以前の店はテラス席もありましたが,オープンが11月なので,しばらく春までの活用は難しそう。また,令和3年1月までの1年以上は目の前が同JR系列の開発工事が行われる関係で,あまり外をアピールはできないのは残念なところ。

 とはいえ,周辺の奥さん方に人気の店になりそうで,さらに 目の前の三井のパークタワーあすと長町が完成・入居開始したため,足元人口も数百人単位で増えるところは好材料か。

 

イオンタウン予定地は,リパーク復活か?

 車で通った時に気づきましたが,白色に緑の縁取りの看板が設置されていました。これってやっぱりリパークだよなぁと。既定路線とは思っていましたが,上述の着工した2つのプロジェクトのため,地区内のコインパーキングが減っているので,そういう意味では良かったと思うしかない。

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2019年10月10日 (木)

藤崎 来年に新店舗計画

ちょっと繁忙期で間が空きましたが,ちょっと落ち着いたので。積み残しだった記事を。

 

仙台市が10月からスタートした,「せんだい都心再構築プロジェクト」。

そのエリアには,仙台駅前や一番町エリアも当然入っています。

仙台駅前の開発イメージ

最も注目されていたのは,青葉通を挟み向かい合う,「駅前のさくら野跡地」及び「EDENとGSビル跡地」を所有するオリックス不動産の動向。

Aobadori

 このイメージパースでは,青葉通を広場として歩行者専用エリア化して,その両側の再開発のデザインを統一し,ツインタワー的な開発を行うという,意欲的な将来像を見せています。

 仙台市としては,このような活用もタブーではないという,デベロッパーの意欲を掻き立てるような,決意表明と感じました。

青葉通一番町のイメージ

 一方,拠点性の高まりで集中が進む仙台駅付近に対し,以前は勢いが弱かった一番町エリアですが,特に東西線の青葉通一番町駅の開業で,サンモール一番町エリアのポテンシャルは高まったところ。

 ただ,地元一番店の百貨店藤崎の老朽化した店舗は,一応B2フロア経由で地下鉄駅に直結した効果もあり,売り上げは好調のようですが,いかんせん,本館と向かいの大町館はアーケード上の連絡通路で結ばれているからまだ良いとはいえ,エノテカが入っている一番町館や,東二番丁通に面する「ファーストタワー館」は正直店舗面積稼ぎにしても,藤崎本館との相乗効果は小さいし,分散していることのデメリットを解消するには,本館の建替えしかないと,皆が思っていたでしょう。

 仙台市のこのエリアのイメージパースでは,

Fujisaki

というように,藤崎部分の建替えと高層ビル化という挑戦的な将来像を提示していましたが,これに呼応するように,

創業200周年を迎えた藤崎の社長インタビュー記事が飛び込んできてました。

「来年に新店舗計画」仙台の老舗百貨店、藤崎社長
変わる仙台商業地図 藤崎200年(下)

地場百貨店の藤崎(仙台市)の藤崎三郎助社長は創業200年にあたり日本経済新聞のインタビューに応じ、現行の店舗を解体して新店舗を建設する計画を「東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に決めたい」と話した。仙台中心部で商業施設をはじめとした再構築プロジェクトが進んでおり、店舗改装は行政と連動して進めていく考えを示した。

――複数のビルに分散している現在の店舗を集約することになるのでしょうか。
「理想的にはそれが一番。本店の地下に市営地下鉄の駅も建設されている。こうしたプロジェクトは行政と結びつかないと絶対に無理。せっかくやるんだったら一緒にやらないと。それで中途半端な物を造ってもあまり意味がない」

――具体的な期限は。
「来年東京五輪・パラリンピックが経済的な節目となる。計画は来年までに何とか決めないと。東日本大震災の津波被災地の復興事業も一段落します。復興需要は、私の感覚だと4年前に終わっている」

――消費構造が大きく変わっています。
「これから20年先の商品の販売形態の予測がつかない。団塊の世代がまだ購買力を持つ今後10年は現行の状態が続くのかもしれない。実際の店舗に並べる商品と、ネット通販で販売する商品というように今後の店舗は消費構造を2つに分けて考える必要がある」

――店舗に並べる商品が限られるということでしょうか。
「店舗をいつどのように改装するかということよりも、百貨店から『50貨店』になった時、そこに何を置くのかを決定することが重要になる。昔扱っていて今はない物は相当ある。今でも百貨店って言えない状況になっている。でかい商品はすべてカタログ通販で構わない。持って帰れるものを置けと言っています」

――(9月4日に開かれた)創業200年祝賀式典で「みなさまに」という言葉をたくさん使っていた。周辺商店街との共存共栄ということでしょうか。
「200年続けてきたことに対する御礼という意味です。それは日常でいろんなお客様にご愛顧いただいてもらっているんだということにつきるなということ。それ以外に何もない」

――都心再構築では周辺商店街も暗中模索です。
「都心型の立地というのを考えた時に、今後どういう形を考えたらいいのかということを考える必要がある。仙台は現在、中心部回帰になってきている。郊外に住んでいた方が少子高齢化によって都心の利便性を見直し始めている。それを考えるとやはり中心部のコミュニティーをもう一度つくり上げていかなければならない」
「今後、百貨店の物を売るというのは確かなんだけど、それに付随する形でせっかく200年の歴史と伝統を周囲に認めてもらえるのであれば、それをうまく使わなければならない。ただ、物を売るだけなら、もはや通販サイトには勝てない」

ようやくの決意表明

 創業200周年の節目を迎え,仙台市の都心再構築プロジェクトの補助金を活用しながら, ようやく本館の建替えの検討に入るという決意表明です。

 本来であれば,地下鉄東西線駅が地下にできるタイミングでやるべきだったんでしょうが,震災後という不透明な時期でもあったので,仙台市がこのプロジェクトでようやく後押しをして,動き出すことになります。

 現在でこそ,市内,そして東北にて百貨店としては一番店の地位を保っていますが,仮に仙台駅前の再開発で大手の百貨店が進出したら,丸井今井を追い越した札幌駅直結の大丸,松坂屋を追い越した名古屋駅直結の高島屋のように,草刈り場となるという危機感も持っていたのでしょう。

規模はどの程度?

 同じ一番町の三越は2館体制で約3万平米強の売り場面積を持ってるので,藤崎も建替えで三越を上回る面積というのが命題。

 ただし,本館集約を図るには,プロジェクトの特典を利用しようとしても,商業機能のみでは容積率UPはないし,容積率UPを目当てにとしてもこの場所では高機能オフィスの需要は弱いし,そもそも敷地面積は4000平米強 とそれほど大きくはない。

 周辺ビルを買収・一体化してもせいぜい5,000平米がせいぜいと思われ,そうすると容積率600%でも床面が30,000平米。容積率不算入の地下を活用するにしても,商業床は20,000~25,000平米がせいぜいで,集約化はかなり厳しいなぁと。なので,現大町館の敷地も活用して,上空通路でなるべく一体化させることなどが考えられるけど,一般的にフルサイズの百貨店として必要とされる4万平米には届きそうにないです。

 まぁ,仙台駅前でも進む再開発と競合するし,百貨店冬の時代だから,現在の商業床面積を維持するので精一杯か。インタビューでも「ネット通販」を意識して,必ずしもフルサイズにこだわらないような発言もあるので,量より質というイメージの再開発を目指すのか。

 一方,「中途半端なものにならないように,仙台市と一緒に取り組む」との決意表明もあるので,市街地再開発事業の形態をとり,ブロック一体の再開発とすれば,敷地面積は7,000平米まで確保できますが,三原本店などの老舗のお店もあり,意見をまとめるまで5年間で済むかというと厳しい。

仮店舗が難問

 気になるのは,建替え期間中の仮店舗をどうするか。400億円を超える年商を建替え期間中フイにできないし,移転新築ではなくあくまでも現位置での建替えと言っているから,そこが気になるところ。

 藤崎自体はこれまで,創業から店舗を移転して現位置になっているとのことで,移転自体はタブーではないんでしょうが,三越と並んで一番町を引っ張る存在の藤崎が,仙台駅前に移転はできないか。それに,せっかく仙台市が地下鉄駅を地下に作ってくれたのに,その場所を捨てられないか。

 でも,丸の内再開発でも複数ビルの再開発を連鎖させて,テナントところてん式に移転させてうまく回すとの方法をとっているし,天神ビッグバンでも同様の手法。大々的な再開発を行う場合は現在の位置にこだわらずに進めることも必要なのかも。

 いろいろと難問は多いですが,これまで政令市の一番店にふさわしいハコへの建替えが望まれてきた藤崎の建替えが進むことは喜ばしいことです。

仙台市も,再構築プロジェクトの目玉として考えているのでしょうし,これからの5年間の動きに期待します。

 

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