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2019年8月21日 (水)

仙台と札幌(その6)サッポロビール園とアリオ札幌へ~幻の仙台JT跡地計画を想ふ~

 苗穂駅の北側には,2005年末にオープンしたアリオ札幌が立地しています。移転した苗穂駅北口から徒歩3分となり,大分近くなりましたが,駅からの出入り口はあくまでも裏口的な感じなのは,移転前の苗穂駅からのアクセスにあまり期待していなったからと思われます。

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 現在進行中の再開発ビル経由で,苗穂駅舎からアリオ付近まで歩行者デッキが整備される予定であり,5年後に来たらさらに驚きそう。

 アリオは,あの有名なサッポロビール園に隣接する立地で,当然ながら,サッポロビールの工場跡地への建設で,両施設は連携しています。

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 地上3階建てで,増床前の名取のイオンモールよりは一回り吹き抜けモール部分が短いにしても,3層吹き抜けモールの両端に核店舗のイトーヨーカドーと専門店という,一時期のイオンモールを参考にしたような,今でも賑わいを保っている商業施設です。

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なお,敷地面積は7.2haと意外にコンパクトながら,商業床面積4万平米以上を確保しています。

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 テナントのグレードとしては,イオンモール名取と比べると多少下ながらも,ファミリー向けに必要な大型専門店はそれなりに入っている印象でした。

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幻のアリオ仙台

 札幌のアリオを訪れて,すっかり忘れていた仙台のJT跡地のことを 思い出しました。

 都心近傍の工場跡地への出店フォーマットというと,仙台でも東仙台の12haものJT工場跡地にイトーヨーカドーが一時期進出決定したのに,当時のすべての開発プロジェクトにケチをつけまくった梅原市長の指示により,「あの場所に大規模商業施設はまかりならん。住宅中心の開発へ」と,撤回に追い込まれました。当時の市長のバックグラウンドだった商工会議所がこの進出に異を唱え,その意を汲んだという背景もありました。

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<フォレオ宮の杜HPから引用>

 あの東仙台の立地は,南側に渋滞の名所のガス局前交差点と東北本線をくぐる狭隘なガードがあり,西側にはイオン幸町店と仙山線の中江踏切があり,道路交通上の課題を抱えているエリアでしたので,あの市長が口出しする違和感は当然ありながらも,その当時はこの判断はやむを得ないとも思いました。最寄りの東仙台駅から10~15分と,近そうで近くはない場所であったので,道路への負担は大きすぎると。

JT工場跡地はヨーカドー (2005/11/.29)

JT跡地へのSC反対運動 (2006/07/02) 

JT跡地ヨーカドー進出撤回 (2006/11/21)

 その後には,仙台市の意を汲んで,住宅と商業の混合開発との名目でダイワハウス系が土地を取得し,その後仙台では金太郎飴のように林立した,NSCと呼ばれる平面平屋の郊外店が駐車場を取り囲む形式のモデルケース的なSCに。

 ヨークベニマル・ヤマト屋書店・K’sデンキ・カワチ・飲食店棟と,その後H22に制定されたまちづくり条例以前ではありますが,そのままでは大規模商業施設が認められない工業系から第1種住居地域用途変更の上,区画道路を新設するという,小手先の規制逃れの先鞭をつけた格好です。結局都心部への優遇策を講じないと,郊外への商業集積は止められないということに。

 その後,思い当たるだけでも,

 アクロスプラザ富沢西(ヨークと蔦屋書店・やまやとマツキヨ側の敷地を分割)

 クロスモール荒井(みやぎ生協・K’sデンキ・ケイヨーD2でそれぞれ3分割)

 BRANCH仙台(みやぎ生協と専門店街を分割)

のような,どこにでもあるような郊外型店の集積が続いています。

結局イオンを利するだけの結果に

 その結果,進出の際すったもんだがあった近隣のイオン幸町店が生き残り,また,同様に9haものの貴重な都心部の土地であった東北大農学部跡地はイオンモールが取得し現在店舗の計画中,南側の東西線沿線の卸町駅前にはイオンリテールがイオンスタイル仙台卸町を昨年9月にオープン。そして,北東側の利府町に立地するイオンモール利府は,来年末までの超巨大な新棟をオープンさせるなど,近隣の大規模SCはイオン一色となってしまいました。

農学部跡地はイオンモールに (2014/2/2) 

イオンスタイル仙台卸町 開業まで3か月? (2018/6/27) 

イオンモール利府 新棟計画について思うこと (2018/2/7) 

 仮にいまさらですが,あのJT跡地にアリオが進出していれば,このような構図にはならず,まだバランスが取れた大規模SC分布になっていたでしょうし,イオンモール利府新棟のようなバカげた計画の抑止力になったかもしれない。というのも,イオンモール利府新棟の商圏としては,確実にこの東仙台を中心とする宮城野区全域が入ってきます。

 個人的には,このような大規模SCは人口稠密地への立地であれば(例えば長町モール),地元の購買需要を満たす存在なので,バランスよく立地すべきと思っており,その点雨宮のイオンモールだけをみると別に反対ではない。

 しかし,利府のような人口3万人しかない土地の安い自治体に立地し,人口18万の宮城野区だけでなく,人口5~6万の塩釜市,多賀城市のような格上の自治体からストローしようとすると,必然的に無駄な交通の流れから渋滞が発生するし,周辺自治体にとって商業機能の衰退を誘発する点で反対する理由。要は都市計画の観点からは,良いとこどりは不自然な街づくりにつながるということ。

サッポロビール園

 約20年ぶりの訪問でしたが,周辺環境はアリオのオープンを含め大分変っていて思い出せない位。南側にあった広大な平面駐車場がなくなっていて,その後には日ハムの室内練習場が出来たっぽい。

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相変わらず賑わっており,札幌は都心近傍でも多くの観光スポットがあり羨ましい限り。特に中国人は増えたなぁと実感。

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博物館もさらっと見学し,ビアホールにも寄りましたが,ほんと雰囲気が良い空間でした。

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 札幌では近郊の千歳市や恵庭市を含めて,4大ビールメーカーのうちサントリー以外が離島である北海道の530万人を対象とした工場とビアホールやレストランを設置しています。ご当地でもあるサッポロビール北海道工場自体は恵庭市に移転済で,都心部にあった2か所の工場跡地は片やサッポロファクトリーというレトロを売りとした巨大商業施設に,もう一つはこのサッポロビール園というようにともに古い建物を保存活用し,観光客が立ち寄れるスポットとして残しています。

 まぁ,北海道=ビール,北海道=ジンギスカン というイメージが刷り込まれているからこそのビール園そろい踏みなんでしょう。

 その他,都心部では旧北海道庁,札幌時計台,北大など,観光名所が点在しているのが仙台との違いだなぁと。

 東北の900万人を対象に,(いろいろいわくがついてしまった)サントリーを除く3社は東北地方に工場を置いており,そのうち仙台近郊には名取駅前という帰りの足を心配しなくても良い交通至便な場所にサッポロビール仙台工場と仙台ビール園があるほか,大梶にあったキリンビール仙台工場は仙台港へ移転し,津波の大きな被害を受けながらも復活し,うみの杜水族館や三井アウトレットパークとともに,仙台港付近の観光地として存在しています。

 しかし,ビール園やレストランで提供するのは同じ生ビールとジンギスカンなのに,なぜか観光客への訴求要素が弱く感じるのはもったいない。当然,サッポロビールの本拠地である札幌と比較するのは酷にしても。うまく観光スポットとしてもう少し売り出せないものか。

 と,北海道らしからぬ酷暑の中,考えてたり。まぁ,北海道で飲む「サッポロクラシック」はお世辞抜きにうまいんだよね。イメージが大事ということだろうけど。

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