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2019年7月 7日 (日)

混雑激化 東北線の課題 (その3)JR東日本 H30年度乗車人員発表

 先日,東北本線仙台以南の混雑状況と乗車人員を取り上げたけど,恒例のこの時期の発表を失念しており,改めて新しい発表数字を含めたものを。仙台駅は91,278 人でJR東日本で49位。首都圏の1都3県以外では唯一の100位以内のランクインで,前年度と比較し2%と順調な伸びです。

2018年度JR東日本乗車人員

 また,仙台ー岩沼間で,岩沼駅以外は増加を続けています。

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岩沼駅

 岩沼駅は震災後は増加に転じながらも一進一退でしたが, 新たな転入などの増よりも,少子高齢化での通勤・通学者の減が再び上回るように。かつてはあおば通駅開業前は,仙台駅に次いで県内のJR駅で2番目の利用客数だった駅で,東北本線と常磐線の分岐点,仙台駅への岩沼駅始発の区間列車に使用される5番線までホームがある大きな駅で,相変わらず存在感はありますね。駅前広場も整備され,市民バスの発着もあり,仙南を代表する駅です。

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岩沼市訪問 (2013/5/26)

 

 

長町駅・太子堂駅

 あすと長町に含まれる,太子堂駅が174人増(4.7%増),長町駅が188人増(2%増)とコンスタントな増加を続けています。増加率でいうと太子堂駅が大きく出ていますが,増加数だと両駅はほぼ同じ。長町駅は昨年度は大規模マンションの入居開始はなかったので,若干伸びは落ち着いた感じですが,今年度はまもなくシティタワー2こと「シティタワーあすと長町レジデンシャル」391戸,10月から駅前の「パークタワーあすと長町」468戸の入居が始まります。完売はしていなくとも,合わせて600~700戸の入居が始まると,通年で1000人規模の利用者増のインパクトはあります。

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 あすと長町側からだと,東口駅前広場に面するJR長町駅が手前側となり使いやすいですが,JR東北本線の輸送力と混雑が限界に達している昨今,近年利用客が増加しながらもまだ輸送力に余裕がある地下鉄南北線の長町駅を利用した方が,通勤のストレスは段違いに軽いですが,仙台駅利用者だと会社が安い通勤定期ルートを指定する場合もあるだろうから,難しいですね。

 なお,南北線長町駅からの朝ラッシュ時は,以前よりは混雑するようになったとはいえ,7時50分より前はつり革を余裕でつかめ,周りの乗客と触れ合うこともない混雑で,たまに座れたりもするし,つり革がかなり余っているのということは,混雑率でいうと100%を下回っている状況。スマホも本も余裕で見れます。7時半頃から8時前までは3分間隔でほぼ待ち時間も遅れもないので,ストレスのない通勤です。仙台駅で降りる人よりもJRや東西線からの乗換客の方が多いので,仙台駅からはちょっと混んできますが。

 ただ,8時前位からは4分間隔になるし,8時半始業に向けて乗る人も増えてくるので,結構ホームで待っている人も増えてきて,ギュウギュウではないけどかなり圧迫感を感じる程度の混み具合になってきます。さすがにスマホは見る気がしない程度の混雑。それでも混雑率でいうと110~120%程度で押し合いへし合いということはなく,JRや地下鉄でも泉方面からの乗るのをあきらめたくなる混雑と比べると天国のようなもの(東西線はもっと快適通勤でしょうけど)。

 今後,JR及び地下鉄長町駅の利用者数の増加も,大規模マンションの供給はひと段落するし新たな開発地も少なくなってきたので,イオンタウンに動きがない限りは頭打ちに向かいそうです。イオンタウンも,キュリオスが終わり予想通り土地取得5年後の建築開始という保留地処分条件をかいくぐるためにつくったガレージを”ご丁寧にも”復活している最中でしたので,数年単位で動きはないでしょうけど。

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 なお,太子堂駅で気になるのは,完成しながらも本格稼働しているのか不明なAmazonの配送センター。従業員の駅の利用に影響してくるし,それよりもAmazonプライムでの即日配送ができるようになるので楽しみにしていたのですが,先日注文したら,千葉から配送されたのでまだっぽいですが,どうなったんでしょうか。

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名取駅・館腰駅

 両駅とも,1%強の伸び率で,名取駅はアクセス線乗り入れ分の利用者の増が大きいとはいえ,駅前に昨年末にオープンした名取市図書館など,駅周辺整備が進んでいるというのも,多少の影響はあると思われます。再開発ビルと橋上駅舎を結ぶペデストリアンデッキが整備され,東西どちら側からもより使いやすくなりました。今後,駅から徒歩15~20分圏の県道仙台館腰線の西側となる増田西地区で大規模な区画整理が予定されています。

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駅東口周辺には,居酒屋などの新規出店があったり,多賀城駅もですが,再開発ビルの集客を見越した期待感があります。

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名取市図書館に行ってきました その1 (3/10)

名取市図書館に行ってきました その2 (3/23)

 

 一方,館腰駅は,新規の住宅開発はなく,昭和末期に駅開設と同時期に区画整理で整備された住宅地も高齢化が進んでいます。名取駅や岩沼駅周辺と比較すると,手頃な家族向けアパートが多いことで,住民の入れ替わりはあるのが幸い。

 増加の要因としては,臨空工業団地やバイパス沿いの食品加工工場で働くネパール人を中心とする外国人が早朝に仙台方面から向かうことが挙げられるかと。噂には聞いていましたが,留学生アルバイトや外国人技能実習生を含め,かなりの数になるようで。

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南仙台駅

 さて,県内で4番目の乗車人員1万人突破が期待(?)されていたこの南仙台駅ですが,惜しくも(?)2人足りず9,998人でした。

 特に,この南仙台駅を取り囲む中田・西中田・柳生・袋原・四郎丸エリアで新たな開発があった訳でもなく,震災後の急激な利用者増加の原因としては,当初はみなし仮設及び交通の便の良さに惹かれた被災者の自主的な転入だったんでしょう。隣接するエリアの閖上を中心に亘理郡,常磐線が途切れていた相双地区からの転入が多かったところ,そのみなし仮設も既に解消され,自宅再建したり復興公営住宅に移った方も多いでしょうが,その復興公営住宅は南仙台エリアにはないこと,戸建てには地価が高すぎて近くでの再建は難しいことから,減少に転じてもおかしくないところ,増加ペースはかなり落ちながらも辛うじてプラスを保ち0.6%でした。

 長町駅との差が着々と縮まっていながらも,乗降客数でいうと一日約2万人を捌くには手狭な駅設備かつ,改札は東口にしかないため,西側からは自由通路経由の使いづらい状態が数十年そのままになっているのは,本当に気の毒。

 隣の利用客数がそれほど変わらない名取駅が,昭和50年代築の古くはない(岩沼駅と同時期)駅舎を壊して橋上化した上に,コミュニティ施設を併設し,東西の駅前広場整備,東口の再開発ビルに図書館など,この15年間で見違えるような変貌を遂げたのに対し,南仙台駅は駅前ロータリーと駐輪場の建て替え位で,時が止まっています。

 買い物できる場所も,西口は西友があるけど,正面のやまやは閉店して柳生の新店舗に統合,東口はローソンストア100も閉店し,買い物環境も微妙。これも,西口に生協,東口にイオンエクスプレスがある名取駅の方が便利。

 これも,高架化が望まれていながらも全く採択の見込みがないことで,関連する街路整備や駅舎整備が動けないという気の毒な状況。

 駅の北側には遮断時間の長さ故に悪名高い旧4号線の渋滞原因となっている中田西浦踏切の存在がありましたが,結局踏切のシステムの改良でアクセス鉄道が開業して本数を増えても遮断時間は半減したという意外な結末に。あいかわらず,旧4号との交差点で,右左折待ちの車で住宅しているけど,以前に比べればかなりましに。やればできるんじゃん。それで高架化の話も止まってしまっているのか。

 やっぱり市の中心駅と,政令市とはいえ仙台市の郊外の区の中心でもない郊外駅との扱いの違いか。岩切駅のように橋上駅舎化に向けて動き始めるのが現実的な解かと。高架化は10年スパンだし費用が莫大過ぎるので,もはや非現実的でしょうね。

 

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