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2018年7月 8日 (日)

放射光施設の青葉山整備が決定

 ライバル都市も撤退し,仙台そして青葉山新キャンパスへの整備はほぼ決定していた案件ですが,無事に文科省の正式決定を迎えることができ,喜ばしい限りです。

<次世代型放射光施設>仙台に整備決定 物質解析で高性能な触媒や磁石、新薬など開発貢献に期待




 文部科学省は3日、国内初となる次世代型放射光施設を整備運営するパートナーとして、宮城県の産学官組織を選定したと発表した。施設は東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)に整備する。2019年度着工、23年度の運用開始を目指す。
 パートナーは産学連携組織の光科学イノベーションセンター(仙台市)。宮城県、仙台市、東北大、東北経済連合会が加わる。国側の運営主体となる量子科学技術研究開発機構(千葉市)と近く、施設設計や運営に関する協議を始める。
 文科省科学技術・学術審議会の小委員会が6月28日、仙台への整備案を妥当と判断したことを踏まえ正式決定した。同省は19年度政府予算の概算要求に関連経費を盛り込む。 施設は円形の加速器で円周が325~425メートル、直径は100~135メートル程度を想定。電子を高速で回し、方向を曲げた時に発する放射光を使ってナノレベルの物質解析をする。高性能の触媒や磁石、新薬などの開発が期待される。
 整備費用は約360億円で国は最大200億円を拠出する。イノベーションセンターと宮城県、仙台市などは加速器本体を収容する建屋、研究棟の建設などに最大170億円を負担。うち約72億円は企業出資で賄う方針。
 林芳正文科相は「わが国の科学技術の進展と国際競争力の強化に貢献する施設。知の拠点として、東日本大震災からの復興に役立つことを期待する」と述べた。

[放射光施設]リング型加速器で電子を光速で回し、方向を曲げた時に発する放射光を使い、ナノレベルの物質解析をする。巨大な顕微鏡とも言われ、国内に「スプリング8」(兵庫県)など9施設ある。次世代型施設は物質の機能を見る「軟エックス線」領域に強みがあり、スプリング8の100倍明るい光を使う。高性能の触媒や磁石、新薬などの開発が期待される。(河北新報 7/4)

 詳しい背景などは,河北新報で3回連載の特集記事で取り上げられていますが,震災後からの息の長い誘致活動がようやく実ったというところ。初期は県内で3町(丸森,大郷,松島)が候補地に名乗りを上げていましたが,結局復興財源を当てにできなくなったことでこの3町が撤退し,なぜか候補地には入っていなかった(面積から難しいと思われていた)青葉山が仙台市の財政的なバックアップもあり浮上したとの印象です。

 巨額の地元負担にこの3町が耐えられるわけがないにしても,お役御免的でちょっと気の毒な印象。東北地方という枠組みで国立大学法人の連合体にて誘致活動を進めてきて,東北大だけではないという大前提だったのが,誘致活動を考えると,最終的には東北大が前面に出ざるを得ない状況になってしまったと。

 もともとこの青葉山新キャンパス内の候補地は産学連携のサイエンスパークや運動場などが予定されていたエリアで,ユーザーとしても東北大と大手企業との共同研究体が中心になるんでしょうし,そうすると,使い勝手を考えると,この場所で良かったとは思います。利用を促進するにあたって,立地条件は分かりやすいに越したことはない。ただし,あまりに仙台駅,そして首都圏からの新幹線アクセスが良すぎて,日帰りが容易な立地条件なので,大手企業の出張による(宿泊を含めた)地元への経済効果は,候補地だった3町に比べるとそれほど期待できないかもしれませんね。

 もちろん,東西線の利用客の増には多少のプラスの効果が見込まれる他,東北大学としての大手企業との共同研究の増加,地元産業界の高度化など,多額の地元負担に見合う効果は見込まれると思います。放射光施設を利用する企業が拠点を置いてくれるかは不透明で(既存事例の兵庫県Spring8でも,直接的に関連する企業の進出はほぼないとのこと),東京駅からドアツードアでちょうど2時間であればちょっと厳しいかな。これは中長期的な課題になりそう。

 まぁ,稼働目標の2022年(国は2023年と言っていますが)に向けて,企業からの出資金集めや,建設費が予算内に収まるか,工期というような,多くの課題が山積していますが,東北の産業界においての朗報であるので,期待して待っていたいと思います。

 

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