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2017年11月19日 (日)

仙台市地下鉄&市バスの新しい動き(4)苦悩が続く市バスと経営改善に向けた取組

初めて路線ごとの収支が発表された仙台市バス。
補助金投入前で年間40億という莫大な赤字。
市バス・地下鉄かわらばん11月号に掲載されていましたが、河北新報に大きく掲載されて話題になった感があります。

H28

全路線が赤字

過去には、黒字かも?と言われていた泉ビレジ線も7千万円の赤字。赤字額で最も大きいのは鶴ケ谷・南光台線の2億8千万円。とはいえ、収入も最も大きく8億円弱なので、収支率として悪い訳ではありません。走らせている本数が多いこと(旭ヶ丘駅接続系統、仙台駅直通系統)から、やむを得ないんでしょう。

公共交通の重要性から、赤字だからといって簡単に廃止・減便というのは、市営での経営ということを考えてもやるべきではないながらも、60億の収入で100億の支出というバランスの悪さ、額の巨額さは改めてビックリ。

最近、JR北海道の経営問題以降、路線維持の判断材料として、路線ごとの収支状況を公表する流れにあります。自分の利用している路線がどのような状況なのかを利用者に認識してもらうことは、得てして「自分の使う路線だけ便利になれば良い」となり、大きな声に引きずられがちな流れに対し、客観的な判断材料を提供する意味で、有意義かと。

税金からの負担額が適正か、赤字額を減らすためにどのようなことができるか、ほとんど使われていない福祉系統(区役所直通のための1日数本の路線)の是非、地下鉄やJR平行系統の在り方、宮城交通との役割分担など、様々な課題があります。

1)税金からの負担額の適正さ

 赤字40億というのは、東西線開業による路線再編後で額が急増した感があります。うち一般会計からの補てん額が30億円規模。地下鉄誘導のために、以前の記事でも書いた、「やりすぎの100円均一エリア」の影響、地元説明会での減便・廃止反対に応えすぎたことがありますが、そうはいっても地下鉄東西線への移行促進のためには、やむを得ない部分も。

2)赤字額を減らすために

 都心部での100円バス施策での減収分は一般会計から補てんされていると聞いたことがある(担当課が都市整備局)けど、東西線3駅付近の100円均一はおそらく事業者が減収分を負担している形になっています。

 例えば、広島市では路面電車とバス会社6社で都心部の一定区域での乗車運賃を均一180円というのが11月1日から開始されました。(どっちに乗っても料金は同じで、来た方に乗れる)。また路面電車・バス共通定期券も準備中とか。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASJB28H3F_Y7A920C1LC0000/

これは路面電車の値上げに伴うバスとの共通料金化ですが、分かりやすさを重視し、複数事業者をまとめ上げたもの。全国の大都市では、東京・大阪・名古屋・札幌・神戸(210円)、横浜(220円)、京都(230円)でも均一料金が主流。100万都市以上の中心部で距離制なのは西鉄バスの福岡・さいたま位?

 バスは地下鉄に比べ労働集約的な交通手段であり、中心部のドル箱区間で100円運賃というのを、地下鉄と自社(局?)競合しながら、バスの赤字を拡大させ、地下鉄の乗客を減らしながら継続すべきものなのか?と。仙台では、過去に八木山動物公園まで均一区間という料金制度が実施されていながらも、距離制に移行した過去があるのは承知。例えば、地下鉄200円区間より一まわり大きいエリアでバス200円均一にし、過度な割引を是正し、分かりやすさを重視するなど(思い付き)。

3)地下鉄・JR平行路線

例えばということで、例示すると。。。

 八木山動物公園~仙台駅については、地下鉄東西線開業時の減便反対でかなり報道されましたが、比較的恵まれている路線。また、完全に地下鉄と並行するわけではなく、沿線には大学や高校も立地し、急峻な地形からバスの存在意義が大きい路線ですが、宮交も平行して走っており(学都パスは使えませんが)、市バスの本数に見直しの余地はある(確実に緑ヶ丘や八木山南方面からの利用者分は地下鉄に移行しているのだし)。

 また、四郎丸線の南仙台~長町・長町南駅or市立病院部分は地下鉄乗継・公共施設やモールへの足としての意味合いもあるけど、大部分がJR南仙台駅結節となり、多くの方がJRに乗り継ぐようになっても、すべての便が長町駅以遠に直通していること、四郎丸~南仙台駅のバス本数が増えていないというのは、最寄り駅結節の考え方に反し、非効率な運用になっているように思えます。袋原・四郎丸内での枝分かれで系統当たりの本数が減っているなど、中途半端な運行になっていることもどうかと思います。

4)宮城交通との役割分担

 過去のように、ドル箱路線の泉PT線などを宮城交通に移管したり、営業所まるごと運営委託を行ったりという動きはこれ以上の拡大は難しい状況で、宮交と持ちつ持たれつの関係を築きながらも、宮城交通も市バスもお互いに共倒れしかねない状況というのがなんとも。

市バスはJRバスや宮交へ営業所単位で運営委託し人件費を縮減しているはずが、宮交の運転手不足に拍車をかける形になっています。震災の影響で、復興工事のダンプとの競合というのが言われていましたが、復興事業もそろそろおちつきつつありながら、そもそも県内では、事務系以外の全業種での人手不足が言われる状況になっているから、本当に厳しい。市バスの正規運転手もあと10年で8割が退職とか。

 よって、宮交もこれ以上市バスの路線を引き受けられる状況ではないし、過去に引き受けた路線でも軒並み減便の嵐で、今後の移管の話が出れば、沿線住民は大反対でしょう。

 宮交については、市バスや地下鉄と競合する上述の動物公園線(仙台駅乗り入れ)からの撤退で動物公園駅結節に集約し増便すること、泉中央駅周辺路線の利便性強化など、明確な役割分担・選択と集中を図るなど、市交通局とのさらなる調整を図れないのかな。

市バス路線の再編の動き

先月公表された、「仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29年度~平成33年度)の策定について 」にて、市バスが置かれている状況が赤裸々に説明されています。

上述の路線ごとの収支もこの一環です。

仙台市⾃動⾞運送事業経営改善計画の概要

うち、気になった記述としては、

②地下鉄等との連携強化によるサービスの向上   

  ・バスと地下鉄・JR線との乗り継ぎを考慮したダイヤを設定します。

 ・地下鉄駅に設置しているバス発車時刻表示器を新設・更新します。   

⇒十字型の地下鉄路線体系及びJRも4方向に伸びていることから、都心部に行くには鉄道への乗継が時間短縮になる場合が多く、その乗継促進を行うことは重要で、乗り継ぎに配慮したダイヤは当然のこと、地下鉄駅に設置してあるバス時刻表示器を新設・更新するとの記述は大切ですね。

南北線には、泉中央、八乙女、旭ヶ丘の北部3駅に立派な乗継バス発車案内が以前から設置されていながら、南部の乗継駅の長町、長町南駅にはなぜか設置されておらず、最近東西線の乗継駅(動物公園駅・薬師堂・多分荒井駅にも)には、モニターを利用した簡易式のバス発車時刻案内が設置されているので、そのような簡易式の設置を増やすことが想定されます。上述の駅以外でも、北四番丁(大学病院方面)、青葉通一番町(向山方面)など、簡易モニター式であればそれほど費用もかからないし、せっかくだから設置してほしい。

また、「自動車運送事業の経営改善の取組みについて 」から、気になるところを抜粋します。

3 主な取組みの検討方向
1)運行経路や回送の見直し

① 運行経路の重複等が生じている系統について、個々の停留所の乗降実態を精査した
上で、経路の見直しを行う。
南小泉線のうち薬師堂駅で連結している系統 など
② 起終点と営業所の間の回送について、近接する経路を営業運行している系統との重
複状況や経路上の乗車需要を勘案しながら、効率化を図る。
恵和町線 など

⇒恵和町線は長町駅まで150円、緑ヶ丘のクランク的な急坂を登る関係で中型バスを使っている不思議な系統で、動物公園駅とを結ぶ緑ヶ丘線と重複が生じておりながらも、東西線開業時には見直しがありませんでした。しかし、一本南側の新道(八木山長町線)を通る芦の口小を通る新設路線が開設されたこともあり、緑ヶ丘線との重複の解消も含め検討されているのかと。

(2)需要動向に応じた便数調整
① 需要に応じて多数の便を集中的に運行している朝ラッシュ時間帯について、便ごと
の最大車内人数の状況を精査し、利用実態を踏まえた増便・減便を行う。
直通系統が集約される幹線での最大車内人数45人を目安とした便数調整 など
② 22 時以降の最終便について、利用の極めて少ない便の減便を行うとともに、23 時
30 分以降の便の見直しを行う
最大車内人数概ね 5 人以下の便 など

⇒22時以降の最終便の見直しというのは、先んじて実施した宮交を追っての動きに思えます。運転手不足の影響なんでしょうが、23時30分以降の便の見直しというと、泉ビレジ線(仙台駅23時30分発)と鶴ケ谷線(旭ヶ丘駅23時52分発)位でしょうか。特に鶴ケ谷系統の終バス見直しの影響は大きいので、これは残してほしいけど、乗車状況次第なので、これはどうなんでしょう?宮交の時にも提案したけど、「残したうえで2倍の深夜割増運賃化」というのが23時30分以降についてはバランスが取れて良いのではと。通常料金前提で存続or廃止というのはどうなの?

③ 基本系統を補完し、地下鉄両線の駅間運行や特定の施設へのアクセス手段として運
行している特殊系統について、利用実態を勘案しながら便数調整を行う。
地下鉄北仙台駅と川内駅の間の系統、地下鉄荒井駅と市立病院の間の系統 など

⇒地下鉄東西線開業時に新設された特殊系統ですが、乗車率が良くないようですね。市立病院系統は完全なる福祉系統なのでしょうがないけど、北仙台駅と川内駅を結ぶ新設路線は今回の東西線開業に伴う駅相互間の新設路線のモデルケースなだけに、減便は残念。

参考資料:路線別営業係数(別紙 2)

 

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コメント

いつも勉強させてもらってます。仙台の飛躍的発展を願うものですが現実は。地下鉄東西南北合わせて、24万9千人という数字は、広島より12万も人口の少ない仙台としては大したもの。広電はHPみると市内、宮島線で15万6千人程。先日札幌行って道州制の偉大さに感心。博多座に匹敵する大ホールを建設中。2026年冬季五輪立候補(古い話だが、次は山形、盛岡あたりかと思っていた)。ア大会やユニバも福岡、広島の次は仙台ではなく万博やった大都会名古屋。札樽道は札幌周辺だけ均一料金区間。10年以上前某市の道路局の方に聞いた話を思いだした。石〇市長は、平成3年頃、名取合併と道路公社設立と都市高速建設を検討。しかし間もなく退陣。石〇さんなら東部北部南部道路は、高速1,2,3号線となり、東道路が4号線として完成。昭和42年仙塩合併を瓦解させた島〇市長の唯一の功績は地下鉄へのこだわり。最近の川崎の人口150万突破のニュース。川崎市民は騒がない。さいたま市と岩槻市の合併の時、淡々と合併は進んだ。先日の市長選挙でも話題は学校の暗い事件。県内の事務所では、経済の数値を比べるのは、県内かせいぜい東北6県。西日本は九州・四国・中国17県が良く比べあう。仙台の東北〇〇局に赴任した役人が言った最初の一言「本当まとまりの悪い地方ですな」。仙台は、歴史と工業力からは鹿児島熊本金沢と類似の街。国が帝国大設置し、地下鉄の完成には感謝。でももっと札福の近くまで発展してほしいです。

投稿: chikitanpe | 2017年11月19日 (日) 11時33分

初めて投稿させていただきます。これまで長町・富沢あたりを生活圏としておりましたので、時々興味深く拝見させていただいております(今は関東に単身赴任中です)。
先日の河北新報に掲載された東西線1周年関連の記事で市バスの経営は厳しい様子が伝わってきましたが、残念ながらバス事業単体での経営改善策に係る話に終始しており、仙台市の交通体系はどうあるべきかというまちづくり全体の議論がなされていないのではないかと感じられました。
100円運賃の「やりすぎ感」や「福祉系統」の見直し等、貴職のこれまでの意見はおおむね賛同できるものです。きっと都市計画関係に明るい方ではと察します。
今後ますますのご活躍を祈念しております。

投稿: | 2017年12月 8日 (金) 23時17分

>> chikitanpe さん
コメント遅くなりました。
 仙台は東北の中での地位が圧倒的なだけに、他都市との関係が微妙だったり、
都市間競争などに疎い面がありますね。
それでも、楽天進出決定後の13年間での変化は大きいもの。

また震災の反動での復興需要的なものもあり、広島には肉簿してきましたが、
国内での拠点性の違いもあり札幌・福岡には勝ち目はありませんし、仙台なりの色を出していくしかないかなと思います。

投稿: S-Watcher! | 2017年12月 9日 (土) 22時25分

>>匿名さん
 コメントありがとうございます。
バス見直しについて、地元マスコミは市全体の交通体系という観点での問題提起がないのは残念です。公共交通全体というと、JRもあるのでなかなか難しいため、せめて、地下鉄と市バスでの連携強化と重複の解消による効率化でやりようはあると思っています。一律に5%便を減少とか、悪平等以外のなにものでもなく、地下鉄平行区間の見直し、交通局⇔仙台駅間の過剰な区間の効率化(その代わり、仙台駅止まり便から交通局行便への乗継を可能にするなどバスバス乗継特例の設定など)抜本的なメリハリをつけた効率化が必要だと思っています。

投稿: S-Watcher! | 2017年12月 9日 (土) 22時34分

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