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2016年1月30日 (土)

山元町の復興と、常磐線の移設復旧工事(その2)

前回の続きです。
新しい山下駅前には、スーパーとドラッグストアの出店が決まっています。今年10月のオープンとのこと。

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個店中心の女川駅前の店舗復興は、全てが流されたという背景、物産センターなどとの組み合わせで賑わいを作ろうという、力のこもった特異な例であり、この山下駅前のように、大型店の誘致というのが手っ取り早く、効率的。
岩沼の玉浦西も、スーパーのイトーチェーンの誘致に成功。
 
それに、住民からすると、スーパー(フレスコキクチ)とドラッグストア(薬王堂)があれば、日常の生活を送るのには十分です。
ホームセンターは、西に1kmの6号線沿いに、小規模な店があります。
それに、車で15分の亘理である程度の郊外店の集まりがあるし。
このスーパーとドラッグストアの組み合わせ、空港アクセス線沿いの美田園駅前みたい。
 
単線の高架駅と、駅近くのスーパー(フレスコキクチ)、ドラッグストア(カワチ)、ホームセンター(ビバホーム)に戸建て中心の街並み。駅の利用者数も同じ位でしょう。やはり新住民に対しての利便性を上げるには鉄版の組み合わせ。
 
新山下駅前には個店用の用地もあるようですが、山元町の場合は、旧来の商店街が流されたわけではなく、新駅の1km西側に(元気はないにせよ)個店は並んでいるので、住民は使い分けをすることができますし。その商店街に七十七銀行や郵便局などもあります。

そもそもその旧来の商店街などの旧市街地に駅を近づけて、コンパクトな街づくりをすることが、この鉄道移設のもう一つの目的であり、駅近くから現在地震被害で改築中の町役場に一直線の道路が建設中です。役場は6号線の西側の高台にあるので、このような陸橋で繋いでいます。結構高低差があるんですね。

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小学校移転新築

他に、大規模な敷地としては、沿岸部から移転新築される山下第二小が同じく新駅前に。

これは以前に記事にしていますが、

 震災による小学校の統廃合 他雑感(H25.12.21)

現在間借している山下小学校が1km程度の距離にあり、両校合わせても300人の児童数であることから、山下小への統合が理想なのではと思っていました。

ただ単に国から金が下りるからということだけではなく、山元町としても学校の統廃合については、10回にわたる検討会を開いて、地域住民の意見を踏まえ、導き出した結論のようです。

被災した山下二小学区民および子供たちのことを考え、まずは新市街地に小学校を新設し、将来的には、町北部の山下一小を含めた山下地区の3小学校を統合した小学校として、この山下二小の施設を活用するとの方向性と読めました。

山下地区を1つの小学校でカバーするにあたり、また将来的なコンパクトシティの考え方から、駅近くの小学校を残す。現在の山下小だと、敷地が狭いことや、位置が3校統合にあたり、山側に寄りすぎるということも理由のようです。

現時点でも3つの小学校を合わせても、児童数400人もいないので、統合するのであればこのタイミングの方がとも思いましたが、統合小名目だと国からの補助金が下りにくいのかな。

新たなスタート

この新市街地内に、小学校が今年の夏に再建され、スーパーとドラッグストアも鉄道再開と同じような時期にオープンすれば、山元町の新たなスタートが対外的にアピールできますね。子育て支援施設も計画されているようです。

女川は、3月の女川駅と温泉再開、12月のテナント型商店街オープン、春の物産センターオープンと、段階的なアピールができ(結果的なものかもしれませんが)、観光客を呼びこんでいます。

山元町では、観光客を呼べるような街並みではないにせよ、逆に地域密着型で、仙台に通勤する方々を相馬や南相馬などから住宅再建地として呼び込むなどの可能性はあります。

大幅な人口減と地域の分断という犠牲を払い、ここまで5年かかりましたが、将来的にこの選択が間違いなかったと評価されることを望むところです。

鉄道復旧後の利便性確保

鉄道が復旧しても、通勤通学での利用者がどれだけ確保できるかというところは課題。

震災前でも1日2千人程度(乗降客数)だったので、千人程度利用すれば御の字ではと。

本数も山下駅では震災前の2面3線から1面2線の太子堂駅のような小さな高架駅になり、折り返しが難しくなりそうなので、沿線の人口減も踏まえ、震災前の本数まで確保されるかは難しいのかもしれません。

震災前は、山下駅と新地駅で折り返ししていた電車が計6往復程度あり、その分がほぼ現在減便となっているため、これらを復活させるためには、折り返しが可能な原ノ町駅まで延長する必要があります。

そうなると、原ノ町駅にとっては震災前と比べても増便になりますが、そこまではやらないでしょうね。沿線人口が減っているし、車両数も足りないでしょうから。

石巻地域の復興のために、仙石東北ラインを開業させたように、相馬や南相馬地域との鉄道の復旧にプラスアルファの配慮があればいいのですが、10km以上の高架による内陸移設で、JR東日本もかなりの費用を負担しているので、復旧してくれただけでも感謝なのかもしれません。

いずれにせよ、このコンパクトシティというのは、税収と人口減、高齢化から必然的に進めなければならない施策。女川とともに、小さな町としてのモデルケースとして、応援していきたいと思っているところです。

旧山下駅へ

 造成や新しい住宅の建築が進む新山下駅を離れ、東に2km弱の旧山下駅へ。

解体された駅舎の跡。タイルが残っているのがもの悲しい。

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駅前には橋元商店が残っています。町民バスのバス停名にも。

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隣の亘理町の3つの駅はすべて震災前に駅前広場が整備されていましたが、山元町の2つの駅は整備がされていなかったところで、結果的に震災で駅が移されてしまいます。

駅舎跡の横に、公衆トイレが残っていますが、水道が通っていないのか、ペットボトルが置いてあり。。。

立派な案内板が残っていますが、正直魅力を感じさせる目的地はなしというのが、山元町の置かれている状況だったのでしょうし、震災後はそれをさらに突きつけられることに。

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旧駅周辺は、もともと昭和50~60年代に多く建てられた建売住宅群が比較的密集していましたが、今では歯抜け状態。でもそれなりに住んでいる方もいるようですが、規制がかかり新たな建築ができないエリアになってしまっては、将来性は厳しい限り。

浜吉田駅へ

常磐線の新しい高架橋沿いに北上しようとおもったら、平行している道路が少なく、遠回りしながら、現在の暫定的な終着駅である浜吉田駅へ。

海からの距離は山下駅に比べて多少遠かったのが幸いしたのか、駅の西側は浸水したエリアではありましたが、現地復旧がなされ、住宅地としてそれなりに元通りの感じです。東側はそれなりの被害を受け、災害危険エリアに指定されているところもありますが。

駅は一応終着駅になっているからか、無人駅ではなく駅員が常駐していました。その時間は電車の発着もなく、のどかなもの。昼間は60~90分に一本の発着になっています。

震災前は、昼間でも30~60分間隔でした。

駅の南側には、地元コンビニ風の店舗もあり、駅前広場にはタクシーも待機。同じ浸水地域でも一駅離れるだけでこれだけ光景が異なるとは残酷なもの。

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でも、年末には形成逆転で、新山下駅前は将来性の高い新たな中心市街地となります。

鳥の海へ

浜吉田駅を離れ、県道亘理相馬線を北上し、鳥の海へ。鳥の海PAにスマートインターが併設整備中でした。今年の春に利用開始とのこと。

ただし、相馬・いわき方面への利用はいいけど、仙台方面との利用だと、東部道路と常磐道にまたがる利用となるので、割高感を感じるのではと。

(仙台東から亘理ICまで670円、鳥の海SICまでプラス310円で980円をどう見るか)。

ETC利用だと休日は3割引きなので、700円程度にはなりますが。

その後、ようやく本来の目的地のわたり温泉鳥の海へ。

仙台近郊の温泉では入浴料500円というのは最安だし、泉質からかなかなか冷めにくく、やや茶褐色がかったお湯の色が温泉気分を感じさせ、お気に入り。

秋保だと1000円コースだし、同じ区内でも20キロ位離れているので、だったら鳥の海だと25キロ位であまり変わらなかったり。

男女入れ替えになっているはずなのに、これまで5回連続で海側にしか入れず、不思議なものと思っていたら、この2回は山側にあたっています。どっちも眺めは良いので、4階のレストランや2階にあった休憩場も含め、全館復活するのを期待しています。

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