仙台空港国内線 H26年の利用好調(1)
仙台空港関係の2014年の利用状況が宮城県から発表されました。2016年度からの空港民営化に向けて期待感が高まる仙台空港ですが、利用状況も国内線は堅調です。一方国際線は震災以来苦戦が続いています。期待のバンコク便も1シーズンで運休し、今シーズンの復活もなし。厳しい状況。
仙台空港利用客320万人 国内線好調・14年
宮城県は7日、仙台空港の2014年の利用者数(速報値)が前年比4.3%増の320万8285人に上り、2年連続で300万人を突破したと発表した。仙台空港アクセス線の利用者数も6.8%増の329万9000人に達し、2007年の開業以来の最多記録を更新した。
仙台空港は、国内線が4.8%増の304万3295人と好調。格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション関西線が堅調なことに加え、4月のスカイマーク神戸線の新設も後押した。
国際線は4.4%減の16万4990人にとどまった。13年9月から続くソウル線減便の影響が大きい。チャーター便は22便で8便減ったが、バンコク線はゼロから10便に増えた。
アクセス線の利用者数は、仙台空港鉄道(名取市)が運営する名取-仙台空港間3駅の乗降客数を集計した。月別では、レジャー客の多い8月が31万人で最も多かった。
空港利用者にとどまらず、沿線の商業施設や県の教育・福祉複合施設の利用者も多く乗降したとみられる。
県空港臨空地域課は「若い個人客はLCCとアクセス線を併用する傾向がある」と分析する。アクセス線の利用者数は13年の約308万8000人が過去最多だった。
仙台空港は現在、国内線が10路線あり、1日56往復運航されている。国際線は5路線で週17往復。(1/7河北)
現在は10路線ですが、これ以上就航先が増えるかというと、なかなか見込めない。東京便は細々と成田のみ、関西、中部、地方中枢都市の他三都市(札幌、広島、福岡)+北陸の中心金沢(小松)、観光の沖縄。
そうすると、従来路線の便数を増やしていくしかない状況。
〇関西方面
国内線はスカイマークの神戸便が増え、関西へは3空港すべてに定期便が飛ぶことになりました。
レガシー(JAL,ANA)が就航するアクセス至便な伊丹
仙台空港唯一のLCCピーチが飛ぶ関西
元祖格安系で神戸を拠点とするスカイマーク
と、うまい具合に棲み分けがなされています。利用先としてけん引しているのはやはり関西方面との流動が高まったことでの利用者増。
ピーチは4往復化への増便が、パイロット不足でほぼ取りやめになったのは痛いところでしたが、その分スカイマークの神戸便の就航で一応格安系とLCCは計4往復程度を確保できました。ピーチは今年4往復化がなんとか実現しそうです。そのほか伊丹が14、15往復程度で良い感じのバランスを保っています。
やはり、東京便が見込めない仙台空港の命綱は関西との流動強化しかない。現在年間130~140万人程度(伊丹約100万人、関空2~30万人?、神戸10万人?)で、続くのが札幌便70万人。
この2方面だけで200万人越えと2/3を占めているので、民営化で目標として掲げている600万人達成のためには、関西方面だけで200万人規模に持っていかないと厳しいと思われる。
そうなると、ピーチ以外のLCCの就航に期待するしかない。そうするとレガシーとLCCとの乗客バランスが逆転することも十分想定されるのは、新千歳―関西・伊丹をみても、LCC中心の関空の方が伊丹の3倍近くの利用者数になっているので、仙台空港もその流れになるでしょう。
〇新千歳(札幌)
札幌は低搭乗率にあえぐスカイマークが、会社のごたごたからの合理化もあり廃止予定で、3社体制に戻ります。北の大都市同士を結ぶつながりは強いにしても、それぞれ東京との結びつきが強いため、かつ基本は夏に偏った観光路線で、東北人は寒い時期にわざわざ北には向かわないので、利用者の底上げには限界があり。
15年後に北海道新幹線全線開通(5年前倒し)が発表されたことで、あと15年は安泰ながらも、将来的にこの70万人をキープできるか。距離としては新幹線と飛行機が競合する名古屋-福岡間が参考になる距離なので、LCCの就航で料金面での競争力を保てれば新幹線と合わせてパイの拡大が図れる可能性はあります。
〇九州・沖縄方面
あと利用者数増が見込めるのが、九州の中心福岡便と、ピーチの第二拠点となった那覇。
福岡はあの博多駅から地下鉄で5分という利便性は、九州内の各都市への移動を考えても大きい。プロ野球ファンの相互利用もあるし、福岡自体も観光の魅力も大きい。
那覇は通年安定した需要があるし、東南アジア方面との乗り継ぎ拠点としての位置づけが出ているので、期待したい。
そのほかは、ちょっと厳しいかと。
〇中部空港(名古屋)
はやぶさとのぞみの乗り継ぎで、3時間ちょっとの時間距離になったので、空港へのアクセスを考えると、新幹線の方が本数も多く実質的には時間はトントン。現在はバスみたいな4列座席の小型機が就航している区間。もともと名古屋便はビジネス需要が大きいので、ビジネス需要をさらに高めるには本数が毎時1本程度まで増えないと、直前でも乗れる新幹線には勝てない。また一般客の増加のためには、LCCの就航による低価格化での観光需要喚起が図られればというところ。
〇広島・小松
小松は、北陸新幹線の開業で、最短3時間半程度の距離になるので、増加は見込めないまでもIBEXが細々と飛ばしている路線なので、当分はこのままかな。
広島とは同格の都市として意識されるといっても、相互の交流は距離もあって当然強くない。プロスポーツでの関係はあれども、プロ野球もリーグが異なり交流戦のみだし、Jリーグも1年に2試合なので、焼石に水。大阪や福岡経由で新幹線アクセスが主流かと。
〇成田
距離の近さから伸びはなかなか期待できないかもしれませんが、個人的に期待したいのがここ。対東京の通常の旅客需要は当然新幹線がほとんどを占めていますが、LCCでの成田便の就航があれば、その先の国際線・国内線への乗り継ぎ需要を含めて、意外に伸びしろはあるのではと。
現在は一日2往復ですが、せめて4,5往復になれば、貧弱な仙台空港の国際路線網を補完する意味で期待したい。
国際線とアクセス鉄道については、次回に続きます。
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