仙台空港国内線 H26年の利用好調(3)
さて、またまた続きです。
仙台空港アクセス鉄道は、過去最高の年間約330万人の乗客とのことで、ほぼ空港利用と同程度の利用者数があったようです。当然沿線住民や沿線への通勤者の利用の方が大きいので、空港利用者に占める鉄道利用率は当初3~40%位でしたが、現在は駐車場不足も続いており、半分以上を占めるようになっているのかな。
当初は1日あたり7千人程度でスタートし、かなり叩かれたこの鉄道ですが、9千人/日 と当初見込みの1万人/日 に近づき、震災後の沿線への人口増が寄与したとはいえ、一時期とは違い、一転順調な伸びで、一安心。
以前の発表では、駅ごとの利用者数の伸びもありましたが、今年の発表では総数のみ。空港駅もですが、美田園駅の数字が気になります。
ほぼ概成していた杜せきと違って、駅周辺の店舗・住宅の立地途上で伸びしろがあっただけに、ほとんど家が立ち並んだ現在の状況で、1000人/日 程度まで行ったのかどうか。まなウェル効果もあるでしょうが、毎日使ってくれる通勤通学需要で地道に積み上げていくことも重要なので、美田園の利用客掘り起こしが今後の鍵。
空港利用客にとっては
一時期の低迷を脱し、鉄道利用客も当初の目標値に近づいています。2両編成を中心に大分苦情が出るほどの混雑が生じ、年末年始やお盆などの繁忙期には増結もなされながらも、増発には至らない。
というのも、混雑しているのは、仙台―名取のJR区間という面もあり、空港鉄道区間に入ると、そこそこの混み具合になるし、いかんせん、当初の目標値1万人/日 を達成しているわけではないので、まだまだ増発判断には早い。また、震災被害からの復旧に当たり数十億円の支出があったので、それが全額補助金で賄われたのかわかりませんが、空港まで運行できなかった半年間の収入欠損はあるだろうし、増発のためには車両の増備が必要ということを考えると、動けないというのが実情だろうな。
JRと協議が行われているのか、毎春のダイヤ改正では、少しずつ利用客の立場にたっての改善が見られます。
昨年の改正では、21時前に集中する到着便の利用者向けの電車増発がありました。
アクセス鉄道の魔の時間帯改善(H25/12/25)
JRにとってもアクセス線は仙台-名取の運行に占める割合も高く、この仙台-名取までの沿線利用者にとってはアクセス線様様。逆にアクセス線が使えない岩沼・館腰の利用客にとっては気の毒なダイヤになっているほど。
それでも、空港利用者にとっては毎時2~3本のランダムダイヤであり、必ずしも航空ダイヤに合わせての発着でないため、待ち時間なしで乗れることは少ない。飛行機からの乗り継ぎで使ったのは数度といえども、あの空港駅での待ち時間はいつも切ない。また、あの意味のない1日2本の快速はさっさと取りやめればと思うのですが、当初にぶち上げた「空港まで17分」という看板を下ろせないという悲しさ。
まだ運行してくれればいいけど、たまにある風や雨での運休・遅れに当たってしまえば、鉄道以外の公共交通機関が壊滅的(岩沼市民バスのみ)なので、大枚はたいてタクシーにのって空港に駆けつけるしかない(それでも間に合う保証もないし)。
年末にも朝に急な運休があったとのことで、鉄道側には航空便に間に合わせて運行する義務はないとはいえ、ちょっとなんとかならないのかな。他の鉄道アクセスをもつ空港では、バスも生き残っているので、事情は異なるんだろうけど、どのような対応があり得るのか。せめて、早めのアナウンスと、代替手段の案内はサービスとしてあってほしい。
鉄道一本足(愛子観光、東日本急行等のバス撤退でそうなったのだが)の状況は、危なっかしい。
空港民営化に向けて
現在は空港利用者と沿線利用者とで半々程度ずつの利用率ですが、空港民営化で空港利用客が目標の600万人は遠い目標とはいえ、400万人程度までは早い時期に達成できそう(逆にできなければ困る)。
そうなると、鉄道側でも増発や増結などに迫られるし、そもそもこの民営化はアクセス鉄道利用促進対策の面も大きいと思っています。その点の改善は5年スパン程度の話にはなりますが、いつも書いているように、せめて20分間隔(毎時3本)での運転には改善してほしい。
また、空港向けの乗客が増え、鉄道の本数が増えた場合には、快速の在り方として、<東北線の本数が多い時間帯限定の考えですが>仙台-名取が快速・空港線内は各駅停車という運行形態もあるのでは。これだと、
仙台-名取 10分(快速で途中駅通過)
名取-空港 10分(各駅停車)
で、仙台-空港が20分という区切りのよい所要時間になります。
長町ユーザーの自分としては、当然不便になるので痛し痒しですが、空港利用客が肩身の狭い思いで乗っている状況は健全ではないし、杜せきと美田園対策にもなるから、今の意味不明な1日2本の快速が残るよりは良いのかなとも思ったりします。
また1本あたりの所要時間が減る(25分→20分)ことで、車両運用の効率が改善し、全体の増発に回せる余地が増えます。もちろん、前後の各駅停車が名取駅で接続し、東北線の途中通過駅利用者の便を図ることが前提ですが。
「杜せきのした」と「美田園」の臨空都市開発が概ね概成した現在、今後のアクセス鉄道利便性の向上には、空港利用者の増(飛行機利用者以外でも、民営化によるさまざまな関連施設設置による利用者増も含み)がカギになるので、民営化がバラ色の選択肢ではないことは承知の上、方向性が決まったからにはそれにすがるしかないので、期待しています。
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